仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT 作:風人Ⅱ
―ルルイエ遺跡―
風見市でクウガとダグバが対峙するその頃、ルルイエ遺跡の探索の途中で落とし穴に落ちてしまった零達はというと……
零「――あるんじゃないかって思ってはいたが、まさかこんな形で引っ掛かるとはな……落とし穴に……」
翔「あぁ、完全に油断してた……ってか、此処は一体何処なんだ?」
アズサ「ん……暗い……」
落とし穴へと落ちて姫達と離れ離れになってしまった零達は姫達と合流する為、上の階へ登る階段を探して暗闇に包まれた一本道の通路を歩いていた。だが何処まで進んでも階段らしき物は見付からず、更に明かりになるような物は零の持つスパイダーウォッチのライトだけしかない為、視界も悪く足場が見えないせいで順調に先へと進めずにいた。
零「ちっ、こんなことなら懐中電灯でも持ってくるんだったな。一体なんなんだ此処は?」
紗耶香「おそらく、遺跡の地下空間だと思います……」
視界の悪さに思わず毒づく零の疑問に答えるように、アズサの隣を歩く紗耶香が辺りを見渡しながら説明を始める。
紗耶香「嘗て超古代文明の人々はアルシェインが再び復活した時に備え、彼等に対抗しうる貴重な宝や文書を遠い時代にまで残す為に、アルシェインの手が届かないこの地下空間を作ったらしいですよ」
翔「残す為って、それならあんなトラップ仕掛けるなよな……アレじゃその宝を手に入れる前に死ぬっての(汗)」
紗耶香「仕方ないですよ。本来あのトラップは、アルシェインが此処を襲撃した時の為に作ったものらしいですから。本当なら、この遺跡の何処かにある操作装置によって起動する仕組みになっていたそうですが、長い年月で装置が故障してしまいトラップが制御出来なくなったそうです」
零「それで見事な危険地帯になったって訳か……で?ここら辺にトラップとかはあるのか?」
紗耶香にそう問い掛けながら、零は腕時計のライトを正面に向けたまま横の壁を見た。其処にはアルシェインと思われる異形と古代人が戦う様子が描かれた壁画が存在し、その中には昔のライダーと思われる仮面の戦士の姿もある。
紗耶香「そこまでは分かりませんが、一応警戒した方が良いでしょうね……一体いつ、何処からトラップが現れるかは私でも分かりませんから」
零「警戒しろって、こんな足場の悪い暗がりの中でどうやって―ゴンッ!―ガハァッ?!」
翔「っ?!零?!」
足場の悪い通路の上を歩きながら愚痴をこぼす零だが、その時突然暗闇で覆い隠された壁に頭を打ち付けてその場にしゃがみ込んでしまい、それに気付いた翔やアズサはすぐに零の下へと駆け寄った。
アズサ「零、大丈夫……?」
零「ぐおぉぉぉぉ…くっ…大丈夫だっ……問題ないっ……」
紗耶香「もう、気をつけて下さい。この辺りは瓦礫が多いみたいですから、転んだりしたら大怪我―――っ?!」
額を抑えて涙目になる零に注意しようとする紗耶香だが、何故か突然両目を見開いて驚愕し、零がぶつかった石造りの壁へと駆け寄り壁を触り出した。
アズサ「?紗耶香…?」
翔「おい、どうした?」
紗耶香「……この扉の構造……それにこの奥から微かに感じるのは……まさか!」
石造りの壁を触り出した紗耶香に翔達が不思議そうに小首を傾げる中、紗耶香はそんな一度の反応を他所に石の壁から少し離れると、懐からエルクシードを取り出し大きく掲げた。それと同時に……
―……ゴゴッ……ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴオォォォォォォォォォッ!!!―
『なっ…?!』
紗耶香がエルクシードを掲げたと同時に、零がぶつかった石造りの壁が突如轟音を響かせながら左右へと開かれていったのだ。思わぬ光景に零達も驚きを隠せず唖然となるが、紗耶香だけは「やっぱり……」と何かに確信したように呟いた。
紗耶香「漸く見付けた……此処が……」
翔「お、おいっ、何なんだこれ?!一体何が起きたんだ?!」
紗耶香「……ご覧の通りですよ。此処こそが、私達が目的地としていた場所……祭壇のある部屋です」
『っ?!』
此処こそが、超古代文明の力が眠るとされている祭壇のある部屋。そう告げた紗耶香の言葉に零達は驚愕を隠せず言葉を失ってしまうが、零は直ぐに正気に戻り険しげな顔を受かべた。
零「おい待て、どういう事だ?どうしてその祭壇がある部屋がこんな地下空間にある?」
紗耶香「先程も言ったじゃないですか?超古代文明の人々はアルシェインが復活した時に備え、彼等に対抗しうる貴重な宝を遠い未来にまで残す為、アルシェインの手が届かないこの地下空間を作ったと……ならばその祭壇も地下空間にあっても可笑しくはないです」
翔「?じゃあつまり、俺達は最初からこの地下空間に来る筈だったって事か?」
紗耶香「いいえ、私が調べたところでは地下空間にはないと断言してたんですが……どうやら当てが外れたようですね……」
紗耶香は自分の予想が外れたことを悔いるように呟くが、直ぐに顔を上げて開かれた壁の奥へと歩き出していった。
アズサ「っ!紗耶香…!」
翔「……おい零、どうするんだ?」
零「どうするも何も、付いていくしかないだろ?」
アズサ「でも、カリム達は……?」
零「向こうは木ノ花が付いてるんだから大丈夫だろう。いざという時はアイツの力で遺跡から脱出出来るだろうし……それに、あの女を一人にさせる訳にもいかないしな……」
最後の部分だけ翔達に聞こえないように呟くと、零はライトで辺りを照らしながら紗耶香の後を追い掛けていき、翔とアズサも顔を見合わせると零の後を付いていく。そうして三人が壁の向こうへと足を踏み入れると……
零「――これは……」
アズサ「……綺麗……」
翔「ああ……すげえな……」
三人が壁の向こう側へと足を踏み入れると、其処には先程までの遺跡と同じとは思えぬ巨大な空間が広がっていたのだ。
足元の床にはまるで地脈を現すかのように青い光りが走って空間を照らし、その先には神々しい雰囲気を漂わせる建造物……何かを嵌め込むような突起物が浮き出した石造りの祭壇が建てられている。
そんな幻想的とも言える光景を目の当たりした零達は思わず見惚れ、先にこの場所へと足を踏み入れて祭壇を見つめる紗耶香へと近づいた。
零「……アレが、超古代文明の力が眠るっていう祭壇なのか?」
紗耶香「ええ、間違いありません……漸く……漸く此処まで……」
紗耶香は零の質問に笑みを浮かべながら返し、エルクシードを片手に両手を広げながら何かに誘われるかのように祭壇へ歩み寄ろうとする。が……
『――其処までだファウスト!ディケイド!』
『ッ?!』
紗耶香が祭壇に近付こうとした瞬間、何処からか制止の怒鳴り声がその場に響き渡ったのだ。それを聞いた紗耶香や零達が驚愕しながらその声が聞こえてきた方へと振り返ると、其処には別の入り口の前に立つ三人のライダー……『GEAR電童』と『レイサー』、そして『イルス』がこちらを睨みつける姿があった。
紗耶香「GEAR電童っ…!」
翔「アイツ等、もう追い付いてきたのか?!」
零「みたいだな……全く、嫌なタイミングで出て来てくれる!」
現れたGEAR電童達を見て零達は咄嗟に身構えていき、GEAR電童達はそんな四人へと近づき紗耶香に向けて手を伸ばした。
GEAR電童『此処までだ紗耶香……さあ、今すぐエルクシードを渡すんだ!』
紗耶香「ッ!誰が貴方の言葉なんて聞きますか……皆の仇である貴方なんかにっ……皆さん!此処はお願いします!」
零「っ?!おい、待て!」
紗耶香は憎悪に満ちた瞳でGEAR電童を睨み付けると、零達にこの場を任せて祭壇へと駆け出していき、それを見た零が慌てて紗耶香を呼び止めようとするが……
―ズガガガァンッ!!―
紗耶香「?!なっ?!」
祭壇に向かおうとした紗耶香の真横から突如銃撃が放たれ、それにいち早く反応した紗耶香は咄嗟に後方へと跳んでギリギリ銃撃をかわし、今の銃撃が放たれてきた方へと視線を向けた。すると其処には、銃口から煙りが立つ青い銃を構えた青年……大輝が不敵な笑みを浮かべて立っていた。
翔「なっ、大輝?!なんで此処に?!」
大輝「フッ…なんで?決まってるじゃないか。そこの彼女が持ってるお宝を頂きに来たんだよ♪」
そう言いながら大輝はもう片方の手で紗耶香の持つエルクシードに指鉄砲を向け、それを聞いたGEAR電童は驚愕して身を乗り出した。
GEAR電童『お前、最初からアレが目的だったのか?!』
大輝「当然だろう?なんの裏も無しに君達にあんなことを教えると思うかい?まあ君達が先に先行して仕掛けを解いてくれたお陰で、俺は無事に此処まで辿り着くことが出来たよ」
零「チッ!ホントに悪知恵だけは立派な奴だな……!」
大輝「悪知恵あってこその怪盗だからねぇ?まあそういう訳だから――」
舌打ちしながら毒づく零を軽く受け流すと、大輝はポケットからカードを取り出してディエンドライバーへと装填しスライドさせていく。
『KAMENRIDE……』
大輝「俺もエルクシード争奪戦に加えてもらおうか?変身ッ!」
『DI-END!』
ドライバーの銃口を頭上に向けて引き金を引くと大輝はディエンドへと変身し、それを見た零達は直ぐさまベルトを装着しGEAR電童達と対峙していく。
零「紗耶香!悪いが自分の身は自分で守れ!コイツ等と戦いながらお前に気を配るなんて、到底出来そうにない!」
紗耶香「っ!仕方ありませんねっ……!」
余裕のない様子で叫ぶ零の声から状況の悪さを感じ取ったのか、紗耶香も険しい表情で腰にベルトを巻いていき、零達はそれぞれ構えを取ると……
『変身ッ!』
『KAMENRIDE:DECADE!』
『CHANGE UP!SYUROGA!』
『GATE UP!BARON!』
三つの電子音声が響くと共に三人はディケイド、シュロウガ、バロンへ変身し、紗耶香はピエロをモチーフにしたようなライダー……『ファウスト』へと変身しディエンドに身構えた。それと同時にGEAR電童達とディエンドは武器を構えながらディケイド達へと襲い掛かり、ディケイド達もそれぞれ武器を展開し反撃していくのであった。
◇◆◆
一方その頃、ショッピングモールで対峙し合っていたクウガとダグバも戦闘を開始していたが、クウガはダグバに対して手も足も出せず一方的に痛め付けられているだけだった。
―トガアァッ!ガァンッ!ズガアァァァァッ!!―
クウガ『ガハァッ?!』
『ほら、どうしたの優矢?ちゃんと戦ってくれなきゃつまらないだろう?』
クウガ『グッ!クソッ……超変身ッ!』
薫がグロンギだった。そんな衝撃的な事実に未だ動揺から抜け出せないクウガだが、戦わなければやられる。
本能的にそう思ったクウガは瞬時に構えを取って徐々に姿を変えていき、紫色のボディに金のラインが走った姿……ライジングタイタンフォームへと変わった。そしてフォームチェンジを完了させると同時に近くの瓦礫の山に刺さった細長い破片を手に取ると、破片は金の矛を装着した大剣……ライジングタイタンソードとなり、クウガは即座にダグバに疾走し大剣を振りかざす。が……
―バリイィィィィィィィィィィィィンッ!!―
クウガRT『?!なっ?!』
クウガが振り下ろしたライジングタイタンソードがダグバの身体に触れた瞬間、なんと大剣の刃が粉々に砕けていってしまったのだ。防御すらされていないのに砕け散った大剣を見て一瞬呆然となるクウガだが、その隙を突くようにダグバに横殴りに吹っ飛ばされてしまう。
クウガRT『ガッ?!クッ、畜生っ……超変身ッ!』
殴り飛ばされたクウガは直ぐさま地面から起き上がって再び構えを取り、今度はライジングドラゴンフォームとなって大剣を構えた。すると大剣は瞬時にライジングドラゴンロッドへ変化してそれを構えると、即座にダグバへと飛び掛かって巧みなロッド捌きを繰り出していく。
クウガRD『ハッ!デイッ!セヤァッ!』
『フフ、頑張るね優矢……でも――』
クウガの繰り出すライジングドラゴンロッドを軽々と受け流しながら余裕の笑みをこぼすダグバ。そんなダグバにクウガは仮面の下で顔を険しくさせると、ライジングドラゴンロッドを一度腰の後ろに引いてダグバの腹目掛けて一気に突きを放った。しかし……
―バリイィィィィィィィィィィィィインッ!!―
クウガRD『…なッ?!』
クウガの放ったライジングドラゴンロッドの矛先がダグバの腹に触れると共に、先程のライジングタイタンソードと同じようにロッドの矛先が粉々に砕け散ってしまったのだ。それを見たクウガは再び驚愕しつつも慌てて後方へと跳躍してダグバとの距離を開き、粉々に砕け散ったロッドを呆然と見つめた。
『――そんな物じゃ、僕の身体に傷を付ける事なんて出来やしない。君だって、そんなのはとっくに分かってるんじゃないの?』
クウガRD『クッ?!』
身構えもせずに悠然とした足取りで歩み寄ってくるダグバの言葉に、思わず後退りしてしまうクウガ。すると其処へ、上空から黒いクワガタ虫を模したような姿をした巨大な物体……ゴウラムがクウガのピンチに駆け付ける様に飛来し、頭部と胴体が分離してクウガの背後に停められていたトライチュイサーへと融合合体していった。
クウガRD『ッ!超変身ッ!』
ゴウラムがトライチュイサーと合体する様子を横目で見たクウガは再びダグバに向けて構えを取り、今度はペガサスフォームに金のラインが入った姿……ライジングペガサスフォームへとフォームチェンジし、更に手に持つロッドも金の銃身が装備されたライジングペガサスボウガンへと変化した。そしてクウガは直ぐさまゴウラムが合体したトライチュイサー、トライゴウラムに駆け寄って乗り込むと……
―バチバチッ……バチバチバチバチィッ!―
トライゴウラム全体に電流が走り、フロント部に金色のプレートや随所に金色の装甲が発生した姿……ライジングトライゴウラムへと姿を変え、クウガはライジングトライゴウラムをダグバに向けて全速力で走らせながら座席から立ち上がり、ボウガンの銃口をダグバに狙い定め……
クウガRP『フッ――ハァッ!!』
―バシュウバシュウバシュウッ!!―
『!』
ライジングペガサスボウガンから連続で電気を帯びた弾が撃ち出され、ダグバの身体へと撃ち込まれていったのだ。弾を撃ち込まれたダグバは僅かに体をよじらせて怯み、クウガはその隙にライジングトライゴウラムの座席に腰掛けてエンジンを全開にし、そのままダグバに体当たりを仕掛けようと猛スピードで突進していく。が……
―ドゴオォンッ!!―
クウガRP『―――ッ?!!な……に……?』
その場に鳴り響いたのは、何かと衝突したようなけたたましい轟音。それは全速力で突っ込んだライジングトライゴウラムがダグバと激突した事で発生したのだが、クウガは目の前の光景を前に信じられないように声を震わせていた。何故なら……
『――それで……この次は一体何があるのかな?』
クウガの視界に映るのは、最高速度400km/hを超えるマシンによる体当たりを受けてもビクともせず、平然と笑みを浮かべるダグバの姿だった。そんなダグバの笑みに言葉では言い表せない恐怖を感じ取るクウガだが、ダグバはそれに構わずバイクごとクウガを殴り飛ばしてしまう。
クウガRP『ぐあぁ!!ガッ……うぁっ……!』
『言ったはずだろう、優矢……そんな物じゃ僕の身体は傷付かないって』
想像を超える怪力で殴り飛ばされてしまったクウガはアスファルトの地面の上で悶え苦しみ、ダグバはそんなクウガを尻目に横転したトライゴウラムへと歩み寄り……
『――フンッ!』
―グシャアァッ!!―
いきなりトライゴウラムの側面を足で踏み付け、信じられない力でトライゴウラムを真っ二つにしてしまったのである。辛うじてゴウラムの方は軽傷で済んでいるようだが、完全にスクラップとなってしまったトライチュイサーにダグバは興味を無くしたように視線を逸らし、未だ地面に倒れるクウガに目を向けた。
『これで、君はもう逃げられない……君の仲間であるGEAR電童達も今はこの島にいないから、助けが来る事もない……こういうのを、孤立無援って言うんだっけ?』
クウガRP『ウッ…アッ……かお……るっ……』
逃げる手段を失ったクウガはふらつきながら何とか体を起こしてダグバを見据えていくが、ダグバはそんなクウガを無表情で見つめながら右手に膨大なエネルギーを集め、そして……
『君は皆を笑顔にする為に戦ってるんだろう?だったらもっと、僕を笑顔にしてよ……』
―バチバチッ……ズガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!!―
クウガRP『ッ?!うあっ…ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ?!!!』
―ドッガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!!!―
ダグバが右手から撃ち出したエネルギー弾が直撃し、クウガは断末魔に似た悲痛な絶叫を上げながら巨大な爆発の中へ呑まれていったのだった……