仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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第三章/キバの世界⑪

 

同時刻。キャッスルドランの地下では、先程まで意識を失っていた優矢が漸く目を覚まし、地面を這い蹲るようにして傷ついた身体を引きずり、脱出を試みようとしていた。

 

 

優矢「っ…早く…早く零達に、あのファンガイアの事を…」

 

 

一刻も早く、零達にあのファンガイアの事を伝えなければと、優矢は傷ついた身体を無理矢理動かして写真館へと急ぐ。其処へ……

 

 

ワタル「──優矢!」

 

 

優矢「……ッ?!わ、ワタル!?」

 

 

地下の入り口の方から、優矢を助けに来たワタルが現れて優矢の下へと駆け寄って来たのだ。その後ろにはなのは達も一緒だ。

 

 

優矢「み、皆……?何で此処に?!」

 

 

スバル「何でって、勿論助けに来たに決まってるじゃないですか!」

 

 

ヴィータ「今零の奴があのファンガイアの相手をしてる筈だ!今の内にこっから逃げるぞ!」

 

 

優矢「零が…あいつと…?」

 

 

なのは達は傷付いた優矢を抱え、急いでその場から避難しようと歩き出す。その時……

 

 

―ドゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッ!!!!―

 

 

ディケイド『ウグァアアアアアアアアアアッッ!!!!』

 

 

ティアナ「?!えッ?」

 

 

なのは「れ、零君ッ?!」

 

 

突然地下の天井が凄まじい音と共に崩れ、其処からディケイドが無数の瓦礫に混じっていきなり落下してきたのだ。なのは達は突然の事に驚くがすぐに我に返り、倒れているディケイドを見て思わず慌てて駆け寄ろうとした。だが……

 

 

キバDGB『ヌゥオオオオッ!!』

 

 

―バゴォオオオオオオンッッ!!―

 

 

ディケイド『ガハァアアッ!!グゥッ!!』

 

 

「「「なっ……!」」」

 

 

ディケイドが突き破ってきた穴から今度は鉄槌を振りかざしたキバが現れ、そのまま降下の勢いを利用してドッガハンマーでディケイドを容赦なく殴り付けた。ディケイドは倒れたまま突然の攻撃に為す術なく痛め付けられ、キバは怯んだディケイドへと更に追い打ちを掛けるようにドッガハンマーを容赦なく餅つきのように何度も何度も打ち付けていく。

 

 

なのは「れ、零君ッ!!」

 

 

優矢「駄目だッ!!あいつは……ワタルの側近達を全て取り込んだんだ……!今の奴には俺でも、零でも勝てないっ……!!」

 

 

スバル「そ、そんなっ……!」

 

 

優矢の口から告げられた衝撃的な事実に驚きを隠せないなのは達。そしてキバは無理矢理立たせたディケイドをドッガハンマーで殴り飛ばすと、なのは達と一緒にいるワタルの存在に気づき、ゆっくりとワタルに近づいていく。

 

 

キバDGB『お前に最後のチャンスをやろう。……其処にいる人間共のライフエナジーを吸い尽くせ』

 

 

ワタル「……?!」

 

 

キバから告げられた冷酷な命令。それを聞いてワタルだけでなく優矢達も驚愕するが、キバは構わず優矢達を顎で指す。

 

 

キバDGB『さあ早くしろ!人間のライフエナジーを吸う、それがファンガイアの本能なのだ!お前も、本当はそれを望んでいるのだろう!』

 

 

ワタル「…………」

 

 

キバに命じられ、ワタルは優矢の前に立つ。

 

 

優矢「ワタル……」

 

 

優矢はワタルを見上げ、しかしその顔には明確な覚悟を決めてワタルを見つめる。恐らく、いや、きっとワタルにならライフエナジーを吸われても構わないと思っているのかもしれない。そんな優矢の眼差しを受け、ワタルは一度顔を俯かせると、キバの方へと振り向き、徐に顔を上げて告げる。

 

 

ワタル「……この人を……この人達を、解放して……」

 

 

優矢「……!」

 

 

なのは「ワタル君……!」

 

 

キバ『ッッ……!!貴様ァアアッ!!』

 

 

―バキィッ!!―

 

 

ワタル「ぐぅっ!」

 

 

「「「 ワタル(君・王子)!!?」」」

 

 

予想とは反対の答えに、キバは激昴してワタルの顔を容赦なく殴り飛ばした。それを見たなのは達、そして優矢も身体が傷ついているにも関わらずに倒れるワタルの下へ駆け寄った。

 

 

優矢「ワタル!何で……!?」

 

 

ワタル「ッ……まだ……まだ、約束を果たしてもらってない……僕の行きたい所に、連れてってくれると……そう行ってくれたでしょ……?」

 

 

優矢「っ……お前……」

 

 

ワタル「漸くわかった……僕の本当に行きたい所が……まだ僕は……貴方の、友達ですか……?」

 

 

自分の、嘘偽りのない本当の気持ちを優矢に伝えるワタル。その言葉に優矢は一瞬息を飲んだが、すぐに微笑み、ワタルの頭の上に手を置いて笑顔を向けた。

 

 

優矢「当たり前だろ?俺も、零も、なのはさん達も……皆、お前の友達だ……」

 

 

優矢の言葉に、なのは達もワタルに向かって頷く。それを見て、ワタルの心を渦巻いていた迷いが消え去り、ワタルは明るい表情で優矢達に微笑み返した。

 

 

キバDGB『……なんだ……馬鹿な、人間とファンガイアの友情だと……?!』

 

 

人間とファンガイア。彼等が微笑み合う姿を目にし、キバは信じられないと戸惑う。その時、キバに吹き飛ばされたディケイドがよろよろと立ち上がり、キバに向かって語る。

 

 

ディケイド『そいつは信じているんだ……掟を。人間とファンガイアは、共に生きていけると……!』

 

 

キバDBG『ッ……共に生きていける?ふざけるな!そんなものは、ただの幻想にすぎない!』

 

 

ディケイド『お前にとってはそうかもしれない……だがワタルは、その幻想を信じ、信じる者の為にそれを実現しようとしている!それがワタルの強さであり、王の資格だ!』

 

 

キバDGB『ッ……!!』

 

 

今の優矢達とワタルの姿を指し、力強く言い切るディケイドの言葉にキバは思わず押し黙る。そして、その言葉を聞いてワタルも力強く頷き、身を起こしながらキバを真っ直ぐ見据える。

 

 

 

 

ワタル「僕は……王に……なりたいっっ!!」

 

 

 

 

偽りの王を見つめるその瞳に、力強い決意が宿る。

 

 

それは最早迷いのない、己の信じる未来を確かに見据えた覚悟を示していた。

 

 

キバDGB『ッ……ぅ……うぅあああああああああああああああぁぁぁっっ!!!!』

 

 

そんなワタルの決意を聞き、キバは激高の雄叫びを上げ、それを好機だと感じたディケイドはすぐさまライドブッカーをカードを一枚バックルに装填した。

 

 

ディケイド『お前もいい加減目を覚ませ!コウモリ!』

 

 

『ATTACKRIDE:BLAST!』

 

 

―ズガガガガガガガガガガガァンッ!!―

 

 

キバDGB『ガァアアッ!!?』

 

 

電子音声と共に即座に銃形態に切り替えたライドブッカーでキバのベルトに取り付けられているキバットに狙いを定め、無数の銃弾を乱射するディケイド。

 

 

完全に油断を突かれたキバはそのままダメージにより変身が解除されてビートルファンガイアに戻り、キバットもキバのバックルからフラフラと地面に墜ちていった。

 

 

キバット『い、痛たたたっ……ん?ここは……』

 

 

ワタル「キバット!」

 

 

キバット『ん……?おお!ワタル~!無事だったんだな~!』

 

 

ワタル「うん、キバットも無事で良かった。早速で悪いけど、キバットの力を貸してくれ!」

 

 

キバット『おう!何かよくわかんないが、ワタルの為だ!キバッていくぜ!ガブッ!』

 

 

そう言ってキバットがワタルの左手に噛み付くと、ワタルの顔にステンドグラスのような模様が浮かび上がり、腰に何重もの鎖が巻き付いてキバットベルトへ変化する。

 

 

ワタル「変身ッ!」

 

 

手にしたキバットを突き付けてベルトの止まり木部分にキバットをセットした瞬間、ワタルの姿がメロディーと共にキバへと変身する。そしてディケイドもライドブッカーをソードモードに切り替え、キバと共にビートルファンガイアに突っ込んでいった。

 

 

ヴィータ「よし、お前ら!今の内にここから離れるぞ!」

 

 

『はい!』

 

 

ディケイドとキバがビートルファンガイアと戦闘を開始したこの隙に、ヴィータ達も優矢を連れて避難を始める。だが……

 

 

なのは「…………」

 

 

スバル「……?なのは、さん?」

 

 

皆が移動を始める中、何故かなのはだけはその場から一歩も動かず、ディケイド達の戦いを無言で見守っていた。

 

 

ヴィータ「オイ!何やってんだなのは!早く此処から……!」

 

 

なのは「……ヴィータちゃん達は先に逃げて。私は……此処に残る……」

 

 

「「「っ?!」」」

 

 

なのはから告げられた予想外の言葉に、全員が驚愕する。

 

 

ヴィータ「お、お前っ、いきなり何言ってんだ?!」

 

 

ティアナ「そ、そうですよ!私達が此処にいたら、零さん達にも迷惑が……!」

 

 

なのは「うん、それは私もわかってる。けど、今此処で逃げたら…私は何時まで経っても零君に守ってもらうことしか出来ないと思うんだ…」

 

 

キバと肩を並べ、ビートルファンガイアに剣戟を見舞うディケイドの姿を見つめながらなのはは言葉を続ける。

 

 

なのは「私、ね……零君が一人で戦って、傷付いてる姿を見て、考えたんだ。多分……私は魔法やレイジングハートに頼りすぎてたんじゃないのかな、って……魔法を使っていく内に、自分も強くなってるって思い込んでたんだと思う。だから、それじゃ駄目なんだ。魔法に頼らず、私自身が……本当の意味で強くならなくちゃいけないって……そう思ったの」

 

 

スバル「……なのはさん……」

 

 

なのは「だから私は、零君を一人置いて逃げ出すだなんて出来ない……!何も出来ないとしても、あの人が身体を張って誰かの為に戦い続けた事を、生き証人としてこの目で見届けたい!此処で逃げたら、レイジングハートと一緒に戦う資格も、私自身が強くなることも、そして……零君の隣に立つ資格もなくなるから!」

 

 

自分の正直な思いを、自分が必死に考えて決めた決意をヴィータ達に力強く告げるなのは。その時だった。

 

 

 

 

―パアァァァッ……―

 

 

なのは「……え……?」

 

 

 

不意に、なのはのポケットが淡い光を放って輝き出した。突然の事に驚きながらなのはは自分のポケットに片手を入れ、その輝きを放っていると思われるものを取り出す。それは……

 

 

なのは「…これって…あの時の腕時計…?」

 

 

そう、なのはが取り出した輝きを放つそれの正体は、あの廃屋の家で拾った銀色の腕時計だったのだが、その腕時計は最初に拾った時とは違い、何故か全体を被っていた汚れが消えて本来の姿に戻っていた。

 

 

更にもう一つの違いとして、腕時計の画面に表示されているのは時間ではなく、何かのエンブレムが表示され点滅を繰り返していた。

 

 

なのは「?何だろ…このマーク…」

 

 

それが気になったなのはは、思わず画面に表示されているエンブレムに指先で触れてみた。その瞬間……

 

 

『RIDER SOUL TRANS!』

 

 

なのは「……えっ?」

 

 

画面のエンブレムにタッチした瞬間、突然電子音声が響いて腕時計となのはの腰が輝き出し、輝きが収まると、なのはの左腕には腕時計が、腰にはディケイドライバーに酷似したオレンジ色のベルトと、ディケイドの物と同じライドブッカーが左腰に装着されていた。

 

 

なのは「え?え……ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーっ!!?な、何これぇええっ!?」

 

 

ヴィータ「お、おい、なんだよそれっ?!」

 

 

スバル「そ、それってもしかして、ベルト……?!」

 

 

なのはの腰に突如出現したディケイドライバーに酷似したベルトを見て一同が戸惑う中、なのはの左腰にあるライドブッカーが勝手に開き、一枚のカードが飛び出した。

 

 

それを見てなのはが反射的に慌ててそのカードを手に取ると、そのカードにはディケイドに酷似した一人のライダーの姿が描かれていた。

 

 

なのは「これ……まさか……?」

 

 

―ドゴオォンッ!!―

 

 

ディケイド『グゥッ!!』

 

 

キバ『うわぁッ!!』

 

 

なのは「ッ?!」

 

 

そのカードを眺める中、ディケイドとキバがビートルファンガイアに吹き飛ばされて倒れる姿が視界の端に映る。それを見たなのははディケイド達とカードを交互に見ると、駄目元で零の見様見真似でカードを構えた。

 

 

ティアナ「な、なのはさん……!まさか……?!」

 

 

なのは「ふーーーっっ……変身ッ!」

 

 

高らかに叫ぶと共に、なのははカードを自分のバックルに装填し、両手でサイドハンドルをスライドさせた。

 

 

『KAMENRIDE:TRANS!』

 

 

その瞬間、ディケイドライバーに酷似した電子音声が鳴り響き、なのはの周りに九つシルエットが現れ、それら全てがなのはの身体に重なり灰色のスーツとなって身に纏う。

 

 

そして最後にバックルから出現した無数のカードが仮面部分に刺さると、灰色のスーツは鮮やかなオレンジ色へと変化していったのである。

 

 

『……?!な、何?!』

 

 

ディケイド『?!あ、あれは……?!』

 

 

スバル「な、なのはさんが……変身しちゃったぁああああああ?!」

 

 

その場いた全員が、なのはの姿に驚愕した。

 

 

その姿はディケイドに酷似しているが、スーツの色がオレンジであり、アーマーはディケイドと違ってシメントリーで瞳の色が白となっている。

 

 

誰もが予想だにしていなかった展開に一同が驚きから目を剥く中、変身したなのは……魔法に変わる新たな力を手にした『仮面ライダートランス』は、己の手を見下ろして感慨を覚えていた。

 

 

トランス『この力……これなら……!二人共!そこから離れて!』

 

 

『『……ッ!』』

 

 

なのはが変身したトランスの姿を見て未だ唖然としていたディケイドとキバだが、トランスに呼び掛けられて我に返り、ビートルファンガイアから慌てて離れる。それを確認したトランスはライドブッカーから一枚のカードを取り出し、バックルに装填した。

 

 

『ATTACKRIDE:ACCEL SHOOTER!』

 

 

鳴り響く電子音声が響くと共に、トランスはライドブッカーをガンモードに切り替えながらビートルファンガイアに銃口を向け、それと同時にトランスの周りに複数の魔力球が現れた。

 

 

トランス『アクセルシューター……!シュートッ!!』

 

 

―ズガガガガガガガガガガガガガァッ!!!―

 

 

『なッ?!ぐぁああああああッ!!』

 

 

トランスがライドブッカーのトリガーを引くと同時に、彼女の周囲に浮遊する魔力球が全てビートルファンガイアに向かって一斉に放たれ、ビートルファンガイアはそれらを受けて耐え切れずに吹き飛ばされていった。

 

 

キバ『す、凄い……!』

 

 

ディケイド『……何が一体どうなってんだ、こりゃ……』

 

 

ビートルファンガイアを吹き飛ばしたアクセルシューターの威力に驚嘆するキバの横で、立て続けに起こる超展開に頭の理解が追い付かず困惑するディケイド。そんな二人の下に、トランスが駆け寄っていく。

 

 

トランス『零君!ワタル君!大丈夫?!』

 

 

キバ『え……?あ、は、はい!』

 

 

ディケイド『なのは、お前……その姿は一体……?』

 

 

トランスと向き合い、変身した彼女の頭から足の爪先を眺めながら困惑するディケイドからの問いに、トランスも自身の姿を見て困った様子で頬を掻く。

 

 

トランス『え、えーっと……実は私にもよく分かんなくて……前に拾った腕時計を使ったらベルトが出てきて、勢いに任せてやったらこうなっちゃって……にゃはははっ』

 

 

ディケイド『勢いで、お前……というか、腕時計っ?』

 

 

笑って誤魔化すトランスから返された呆れた答えに、再び唖然となるディケイド。そんな時……

 

 

『ゥッ……ぐっ……!き、貴様等ァぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーッ!!!!』

 

 

『『『!!』』』

 

 

先程のトランスの技で吹き飛ばされたビートルファンガイアが、身体から白煙を立ち上るせながら起き上がり、怒りを露わに殺気を放ちながら咆哮する。

 

 

ディケイド『チッ!取り敢えず話は後だ!なのは、お前も戦えるんだな?』

 

 

トランス『え、あ、うん……!いきなりで驚いたけど……大丈夫!今なら私も戦えるから!』

 

 

ディケイド『そうか、ならいい……!ワタル!なのは!行くぞ!』

 

 

キバ『はい!』

 

 

トランス『うん!』

 

 

なのはの突然の変身や腕時計の事など気になる点は多いが、何にせよ戦力が増えたのは助かる。

 

 

今はともかく戦いに集中すべく、トランスはライドブッカーの銃口をビートルファンガイアに向けて発砲し、彼女の援護でビートルファンガイアが動きを封じられている隙にキバは徒手空拳、ディケイドはライドブッカーによる剣戟でビートルファンガイアに挑み掛かっていくのであった。

 

 

 

 

 

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