仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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第十八章/GEAR電童の世界⑨

 

 

―芳乃家―

 

 

数時間後、姫に助けられた零達はルルイエ島を脱出して初音島に逃れ、取りあえず怪我の治療と事情説明の為に煌一の知り合いであるさくらという人物が住む家に訪れ、怪我の治療を済ませて互いに事情を説明していた。(因みにさくらは傷だらけの零や煌一を見てかなり驚いていた)

 

 

翔「――えぇっと……それじゃあつまり、其処にいる煌一は俺達が知ってる煌一とは違う別世界の人間で、紗耶香は本当はアルシェインを率いるダークライダーの一人、それでアンタらはアイツを止める為に紗耶香を追ってた訳か?」

 

 

霧彦「えぇ、大体はそんな感じです」

 

 

説明を受けた翔が一つ一つ情報を整理しながら聞き返すと、霧彦は小さく頷き返してテーブルの上に置かれた茶を口にした。どうやら此処にいる煌一は自分達が知るインフィニティの世界の煌一とは違う平行世界の煌一であるらしく、彼等が本当のこの世界のライダーだという。更に紗耶香はアルシェインを従えるヴァリアスと呼ばれるライダーの手下であり、彼女はあのデモンゾーアという怪獣の力を手に入れる為に自分達を利用していたらしく、彼等はそれを止めようと紗耶香を追ってたらしい。

 

 

零「成る程な、つまり俺達はアイツに言いように利用されてたって訳か」

 

 

シャッハ「……では、GEAR電童が紗耶香さんの仲間を殺したというのも、私達を騙す為に……?」

 

 

身体に白い包帯を巻いた零に続き、シャッハは紗耶香が話してくれた仲間の死について思い出してそう呟くが、煌一はそれに対し首を左右に振った。

 

 

煌一「いいや、仲間が殺されたことは嘘じゃない……紗耶香が俺に憎しみを抱いてる事も……」

 

 

カリム「え…?」

 

 

姫「どういう意味だ?」

 

 

言葉の真意が分からないと言うように疑問げに小首を傾げるカリムと姫。それを離れて聞いていた朱焔が、壁に背中を預けたまま代わりに説明し出した。

 

 

朱焔「あの女の仲間が殺されたっていうのは本当だ。だだその仲間を殺したのは煌一じゃなく、ヴァリアスなんだよ」

 

 

『…ッ?!』

 

 

紗耶香の仲間であるシスター達を殺したのがヴァリアス。それを聞いた零達は息を拒んで驚愕するが、同時にある疑問が生まれた。

 

 

翔「ちょっと待て!紗耶香の仲間を殺したのがそのヴァリアスって奴なら、どうしてその犯人が煌一って事になってんだよ?!」

 

 

零「……多分あれだろう。煌一を仲間殺しの犯人に仕立てあげて憎悪を抱かせ、紗耶香を戦力として仲間に引き入れたってところじゃないか?」

 

 

霧彦「えぇ、それもあるのですが……その……」

 

 

零の予測を肯定しながらも、何故か霧彦は表情を曇らせて顔を反らしてしまう。そんな霧彦の様子に零達を再び不思議そうに疑問符を浮かべるが、煌一が代わりに話を繋いだ。

 

 

煌一「―――アイツを引き入れる事で、俺を精神的に追い詰めるのが目的だったんだよ……アイツは……紗耶香は……俺の命の恩人だからな……」

 

 

『ッ?!!』

 

 

零「紗耶香が……煌一の命の恩人だと……?」

 

 

紗耶香は煌一の命の恩人。想像もしてなかった二人の関係に零達は驚愕と動揺を隠せず戸惑ってしまい、煌一は暗い表情のまま話しを続けた。

 

 

煌一「俺が一人旅をしてた頃の話しだ……俺が旅先で大怪我を負って倒れてた時に、アイツが所属する教会の人達が俺を助けてくれてな……その時に付きっ切りで俺の看病をしてくれたのが、紗耶香だったんだ……」

 

 

紗耶香と過ごした頃の記憶を思い出してるのか、煌一は何処か懐かしそうな顔でポツポツと紗耶香の話しをしていく。

 

 

煌一「アイツと過ごした日々は楽しかった……今の俺があるのも、アイツが居てくれたらこそなんだ……なのに……」

 

 

ふと其処で、煌一の表情が曇った。その顔からは強い後悔や悲しみが感じ取れる。

 

 

煌一「……俺が教会を旅立った直後に、ヴァリアス達が紗耶香達の教会を襲ったんだ……なのに俺は、そんな事も知らずにっ……」

 

 

さくら「煌一……お兄ちゃん……」

 

 

ぎゅうっと拳を握り締める。その拳が白く色を失うほど強く、あの時ああしてれば良かったと言うように。

 

 

朱焔「……それから煌一や俺達は、あの紗耶香って奴をヴァリアスの下から連れ戻そうとアイツと戦ってきた。そしてエルクシードを取り戻そうと戦ったとき、漸くそのチャンスが来たと思ったら……」

 

 

カリム「……私達が……邪魔をしてしまった……」

 

 

そう呟いたのは、あの時紗耶香を庇って煌一達と対峙したカリムだった。紗耶香をヴァリアスの下から助け出すせっかくのチャンスを潰してしまった事にカリムは責任を感じで暗くなり、シャッハもそんな彼女の様子を見て顔を俯かせた。

 

 

シャッハ「その……申し訳ありません……私達のせいで……」

 

 

煌一「……いや、俺もちゃんと説明しなかったからな……責任は俺にもある」

 

 

カリム「ですが……「止めとけ」……え?」

 

 

謝罪しようとしたカリムの言葉を遮るように、居間の壁に背を預けて座っていた零が口を開いた。

 

 

零「今更過ぎたことをあれこれ言っても、何も変わりはしない……責任を感じているなら、今目の前の事態をどうにかするしかないだろう」

 

 

そう言って零は居間に備え付けられたTVへと視線を向けた。其処にはルルイエ島上空に現れたデモンゾーアの映像が流れるニュースが流れており、デモンゾーアの出現に伴い世界の様々な場所で異変が起きているという内容が映っていた。

 

 

零「あの化け物を世に放ったのは俺の責任だ。俺は今から、自分のケツの尻拭いをしてくる……お前はどうする?」

 

 

煌一「…………」

 

 

TVから視線を反らし煌一を見つめながら問い掛ける零だが、煌一は口を閉ざしたまま何も答えない。

 

 

零「ハッキリ言っておくが……アレは多分加減して勝てる相手じゃない……もしかしたら、最悪の選択を迫られる可能性もある。戦う気があるなら、その覚悟もしておいた方がいい」

 

 

煌一「っ……」

 

 

朱焔「ッ!お前っ、どの口がそんな事を言えるんだっ?!遺跡でお前等が邪魔しなきゃ、こんな事には!」

 

 

淡々とした口調でそんなことを言い放った零に朱焔がキレて零に掴み掛かるが、零は目を細めるだけで抵抗はせず、そのままこう言った。

 

 

零「俺だって出来るなら、絶対紗耶香を助け出すって言ってやりたいさ……だがアレの攻撃を受けて分かったが、正直紗耶香のことを気にしながらあの化け物を倒すなんて器用な真似は出来そうにない……グズグズしていたら、アイツは煌一を消す為だけにこの世界を滅ぼすかもしれんからな」

 

 

それほどまでの相手なんだよと、零は朱焔を見据えて断言するように告げ、朱焔もそれを聞いて口を閉ざし零から手を離した。

 

 

零「……最悪、俺は紗耶香ごとあの化け物を討つ……もしそうなっても恨むなとは言わない、憎んでくれても構わない……」

 

 

煌一「…………」

 

 

煌一に胸の内を覚悟を打ち明ける零。だが煌一は無言を貫き通して何も答えず、零もそれ以上は語らずカリムとシャッハに此処で待機するように言うと、アズサと姫と翔と共に芳乃家を後にした。

 

 

煌一「……俺は……」

 

 

霧彦「煌一君……」

 

 

さくら「…………」

 

 

残された煌一は自分の手の平を見下ろして切なげな顔を浮かべ、霧彦達もそんな煌一をただただ黙って見守りを続けるのであった。

 

 

 

 

 

◇◆◆

 

 

 

 

 

芳乃家を後にした零達は、芳乃家の玄関前で立ち尽くしジッと空を見上げていた。空は先程までの青空ではなく、ルルイエ島から出現した暗雲に包まれて雷鳴を鳴り響かせている。

 

 

翔「……んで、どうするんだよ?あんなこと言ってたけど、本当は助ける気満々なんだろう?」

 

 

そんな中、最初に口を開いたのは翔だった。隣に立つ零を見つめながらそう問い掛ける翔に対し、零は軽く溜め息を吐きながら空を見上げた。

 

 

零「簡単には言うが確率は限りなく低い。相手が相手だから、下手すればこっちがやられる可能性もあるしな……正直自信はない」

 

 

姫「それでも、やる気なんだろ?」

 

 

悲観的な事を言いながらも、諦めた様子を見せない零の顔を覗き込んでそう問い掛ける姫。零はそんな姫を見て肩を竦めながら溜め息を吐くと、ライドブッカーから絵柄のないブランクカードを取り出した。

 

 

零「助けられるなら助けたいさ。だが、もしもの時は……俺がアイツを討つ……」

 

 

翔「そうならないように、俺達も出来る限り手を貸すさ。まあ本当なら、煌一達の手も借りたいところなんだが……」

 

 

零「心配しなくても、アイツ等ならきっと来るだろう」

 

 

翔「?根拠は?」

 

 

零「俺ならそうする」

 

 

アズサ「……全然根拠になってない……」

 

 

根拠のない根拠を口にする零にアズサがポツリと呟き、翔や姫も思わず苦笑いをこぼした。零はそれを無視してブランクカードをライドブッカーに仕舞い、芳乃家の方へと顔を向けていく。

 

 

零「まあ、強いて言うならそう……アイツが御薙煌一だからってところだ」

 

 

姫「……?イマイチ分からないんだが?」

 

 

零「後になれば分かる……ほら急ぐぞ。手遅れになる前にルルイエ島へ「ちょっと待ってくれる?」……あ?」

 

 

紗耶香を止めるためにルルイエ島へ急ごうとする零達だが、背後から突然誰かに呼び止められ振り返った。其処に立っていたのは、建物の壁に背を預けてこちらを見つめる女性……優矢の窮地を救った海鳴アヤメであった。

 

 

零「…?誰だ?」

 

 

姫「あ、貴女は確か……」

 

 

翔「?何だ、知り合いなのか?」

 

 

姫「ああ……そういえば話してなかったか。ルルイエ遺跡で君達三人とはぐれた後に遺跡の中で会ってな、煌一達のことやあの祭壇のある部屋までの道を教えてくれたんだ。名前は……確か……?」

 

 

そう言って姫はアヤメの名を思い出そうと顎に右手を添えて考えていき、それを見たアヤメは苦笑しながら零達の下へと歩み寄っていく。

 

 

アヤメ「私は海鳴アヤメ。こうちゃんの姉ってところよ、宜しくね?」

 

 

零「煌一の姉?……その姉貴が何の用だ?」

 

 

アヤメ「ハハハ、噂通りの愛想無しね?ま、ちょっと貴方達に伝えたい事があって来たのよ」

 

 

零「?伝えたい事……?」

 

 

最初の部分がなんか引っ掛かるが、今は手っ取り早く話を終える方が先決と思い険しげに聞き返す。その問いを受けたアヤメは腰に手を当てながら……

 

 

アヤメ「貴方達、この世界には行方不明の仲間を探しに訪れたんでしょう?」

 

 

翔「え?な、なんでその事を……?」

 

 

アヤメ「まあいいから聞きなさいって。貴方達が探しているその仲間なんだけど……今私の知り合いの研究所にいるわよ?」

 

 

『…………へ?』

 

 

……軽い口調でそんな言葉を口にし、零達は思わず間抜けな声を上げて目を点にしたのであった。

 

 

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