仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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第十八章/GEAR電童の世界⑩

 

 

―ジェイルの研究所―

 

 

零「―――んで、その知り合いの研究所とやらが、まさかこの世界のスカリエッティのとはな……」

 

 

アヤメに案内され、零達が訪れたのはこの世界のスカリエッティが作ったという研究所だった。何でもこの研究所に行方不明となった優矢がいるらしく、零達はアヤメを先頭に優矢がいる部屋へと向かっていた。

 

 

アヤメ「ま、貴方の世界の彼等の事を考えれば複雑かもしれないけど、少なくともこの世界の彼等はまともよ。だから心配はいらないわ」

 

 

零「……まあそれに関しては祐輔の世界のスカリエッティで慣れてはいるが……アレはなぁ」

 

 

心配はいらないと言うアヤメの言葉を聞きながらも、零は先程この世界のスカリエッティに会った時の記憶を掘り起こしていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

ジェイル(別)「やあやあ待っていたよディケイド君!先の件では君を誤解してしまってすまなかったねえ。それで其処にいる子が報告にあったアズサ君か?確かシュロウガやアンジュルグに変身するとか言っていたね?素晴らしい!私はこう見えてスパ〇ボ好きでね、もしよければ今此処で変身してみてくれないかな?!出来ればこの手で直に触ってみたいのだよあの美しい線のあるボディを隅々までグゲェッ?!い、いきなり何をするんだいウーノ?!アーッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

零「―――やっぱり異世界でも、根本的に変態な所は変わってないんだな……」

 

 

翔「ってか、息を荒くしてアズサに迫った時はマジでヤベェって思ったよ(汗)」

 

 

アヤメ「あ、あははは……まあこの世界のジェイルは過度のロボ好きだからね、仕方ないよυυ」

 

 

いやいや、アレは仕方ないで済ませて良いレベルではないと一同は思う。

 

 

ぶっちゃけアズサも両手をワキワキさせながら迫り来るジェイルに怯えて後退りしてたぐらいだし。

 

 

恐らく今頃ウーノ辺りから『ちょっとは自重しろ!』とOHANASHIされてるところだろう、時折何処からか悲鳴が聞こえてくる……自業自得とは正にこの事か。

 

 

そうこう話をしていると、アヤメに案内されてとある部屋の前に辿り着いた。

 

 

アヤメ「此処よ、貴方達の仲間のいる部屋は」

 

 

零「そうか、案内させてしまってすまないな」

 

 

アヤメ「別に良いわよ。でも余り騒がないでね?怪我の事もそうだけど、あの子……何だか色々と悩んでるみたいだから」

 

 

零「……?」

 

 

頬を掻きながら何処か言い難そうに呟くアヤメ。零はそんな彼女の様子に疑問符を浮かべながらも、恐らく優矢の身に重大な何かが起きたのだろうと考えて身を引き締め、真剣な顔で扉をゆっくりと開けていった。其処には……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

優矢「良いって?!だからそんな事しなくて良いってばっ?!」

 

 

「ダメだよ優矢ー?私達、ジェイルのおじ様から優矢のお世話を任せられたんだから。ねぇ兄様ー♪」

 

 

「そうだね姉様ー♪ほらほら、身体拭いてあげるから全部脱いだ脱いだ~♪」

 

 

優矢「だ、だから良いって言ってんだろっ?!ちょ、勝手に脱がすな?!ズボン下げないでええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーーーっっ?!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

零「……………………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……なんか、ベッドの上で二人の幼児に服を剥かれる優矢がいました。

 

 

その光景を目の当たりにした零は扉を半開きにした状態でピシリと固まり、服を脱がそうとする幼児達に必死に抵抗していた優矢も零の存在の気付き、ビクッと肩を揺らしながら扉の方を見た。

 

 

優矢「え……れ、零?零か?!お前どうして此処――」

 

 

ズパンッ!と、唐突に優矢の声が壮絶な音によって掻き消された。

 

 

それは零が勢いよく扉を閉めた事で発生した音であり、中の様子を見てない翔達はそんな零の様子に小首を傾げた。

 

 

翔「おい、どうしたんだよ零?」

 

 

零「……いや、どうやらお取りこみ中だったらしい。時間を改めてからもう一度――」

 

 

優矢「ちょっと待ってええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ?!!」

 

 

ピシャン!!と部屋の扉が開け放たれた途端、同方角から飛んできた叫び声に翔達はわずかに身を退いた。

 

 

相手は今正に襲われ掛けてましたというように着崩れした優矢であり、零は生暖かい目でそんな優矢を見つめた。

 

 

零「おや、お楽しみはもう良いのか優矢?」

 

 

優矢「いや違うからね?!お前が想像してるような事は何一つやってないからね?!ってかその目は止めて軽く傷付くからっ?!」

 

 

零「はっはっはっ、別に隠さなくたって良いんだぞ?何てったって俺は心が広いからなー。お前がどんな奴だろうと、俺は変わらずお前を受け入れるヨー」

 

 

優矢「口調が分かりやすいくらいわざとらしいなオイ?!誤解だからな?!違うからな?!頼むからその何かを悟ったような目は止めてくれえええええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ?!!」

 

 

わざとらしい笑い声を上げる零の両肩を掴んで必死に揺さ振り、悲痛な叫び声を木霊させる優矢。

 

 

翔達はそんな二人の様子を見て展開に付いていけず、終始小首を傾げていたのであった。

 

 

 

 

 

◇◆◆

 

 

 

 

 

優矢の必死の弁解によってなんとか誤解が解けた後、零達は部屋の中でアズサと姫の軽い紹介を済ませてから優矢にこれまでの経緯を話してもらっていた。

この世界に飛ばされた日に煌一達と出会ったこと、零が見付かるまで煌一達と一緒にアルシェイン退治を手伝ってたこと、そしてグロンギである薫と出会い戦ったことを。

 

 

零「――白金薫……ソイツは確かにダグバと名乗ったんだな?」

 

 

優矢「あぁ……自分は未確認生命体0号だって、確かに……」

 

 

その時の事を思い出してるのか、優矢は顔を曇らせて俯いてしまう。そんな優矢の様子を見た零は顎に手を添え、ある疑問を思い浮かべていた。

 

 

零(……どういうことだ?何でこの世界にグロンギが現れた?これも滅びの現象が原因なのか?それとも……)

 

 

様々な可能性を脳裏に並べていくが、やはり答えなど検討が付く筈がない。零は一通り考えて軽く溜め息を吐くと、顔を俯かせる優矢を見据えて口を開く。

 

 

零「それで、お前はこれからどうする気なんだ?」

 

 

優矢「……分かんねえ……」

 

 

フルフルと、優矢は零からの問いに対して力無く首を振り、包帯で巻かれた自分の両手を見下ろした。

 

 

優矢「分かんねえんだよ……俺は今まで、グロンギは人類の敵だって思ってた。倒すべき敵だって……でも薫はそうじゃない……アイツにはちゃんと人間の心があるんだよ……そんな薫と戦うなんて……俺には……」

 

 

今まで戦ってきたグロンギは、どれもゲゲルという名のゲームで人間の命を簡単に奪ってきた奴らばかりだった。

 

 

だが薫はそんなグロンギ達とは違う。先の戦いでは町に甚大な被害を与えたが、奇跡的に怪我人や死亡者は一人もいなかった。

 

 

恐らく薫はそれを考慮して、自分を呼び出す為だけにあんな事をしたのかもしれない。

 

 

薫には人の心がある。あの時、身を呈してあの親子を庇ったのがその証拠だ。

 

 

そのことを考えるだけで、薫と戦う事に対して抵抗が出来てしまう。

 

 

零「成る程……ようはその薫って奴を傷付けたくない訳か?自分が知ってるグロンギとは違い、人間の心が残ってるから……」

 

 

優矢「…………」

 

 

溜め息混じりにそう呟く零だが、優矢は何も答えない。そんな優矢の様子を見た零はベッド脇の椅子から立ち上がり優矢を見下ろしていく。

 

 

零「多分その薫って奴は、今ルルイエ島にいる紗耶香の下にいるかもしれん……グロンギがこの世界にいるのも、多分アイツや遺跡で海道が戦ってたライダーと何か関係がある筈だろうしな」

 

 

優矢「…………」

 

 

零「俺達は今からそのルルイエ島に行って紗耶香達を止めてくる。恐らくその時に薫って奴と戦う事になるかもしれない……だから、敢えてお前に言っておく」

 

 

そう言いながら零は優矢を見据えたまま、目を鋭くさせた。

 

 

零「もし薫が俺達に向かってきた場合……その時は、容赦なく倒させてもらう」

 

 

優矢「ッ?!なっ……」

 

 

零「これ以上面倒な敵を野放しにしておく訳にはいかないからな……お前が戦わないなら、俺が後腐れ残らないように消してやるよ」

 

 

優矢「ッ!ふざけんな!!薫は敵じゃない!!アイツは――!!」

 

 

零「お前がそう思っても、俺からすればただの敵だ。それに俺はその薫って奴のことを何も知らない……たかがグロンギ一匹倒したところで、別に何の罪悪感も感じないさ」

 

 

優矢「ッ?!!テメエ!!ぐっ?!」

 

 

翔「お、おい優矢!無茶すんな!!」

 

 

鼻で笑いながらそんな事を告げた零に堪忍袋の尾が切れた優矢が殴り掛かろうとするが、優矢は身体の傷を押さえてうずくまってしまい、零はそんな優矢を横目にそのまま部屋の扉へ歩き出していく。が、零は扉の前で不意に立ち止まり、扉と向き合ったまま口を開いた。

 

 

零「一つ聞くが……なんでお前は其処までソイツに肩入れする?たった一回会っただけの人間なんだろう?」

 

 

優矢「っ……決まってんだろう……アイツが友達だからだっ……」

 

 

零「……友達か……なら、俺から一つ忠告しておく。その薫って奴は、もしかしたら何かしらの理由があって戦ってるのかもしれん。じゃなきゃそんな町の人間の身を案じるようなお人よしが、何の理由も無しに町を破壊するとは思えんしな」

 

 

優矢「?……理由って……なんだよそれっ……?」

 

 

零「俺が知る訳ないだろ?別に知りたいとは思わんし、単なる推測だしな……」

 

 

痛みに苦しむ表情で問い掛ける優矢にそう答えると、零はゆっくりと扉に手を掛けていく。

 

 

零「……だが、もし本当に何か理由があってそんな事をしたのなら、その薫って奴は自分の意志では戦いを止められんだろう……影にいる誰かの指示で動いてるなら、ソイツはずっとやりたくもない事をやらされる羽目になる……今回みたいな事をな」

 

 

優矢「ッ!そんな……!」

 

 

零「まああくまで推測だがな……ただ――」

 

 

其処で一度言葉を区切り、零は顔だけを優矢に向けると……

 

 

零「――お前は、目の前で友達が間違ったことをしているのに、それを放っておくつもりか……?」

 

 

優矢「っ?!」

 

 

ポツリと呟いた零の言葉に、優矢は驚愕して思わず顔を上げた。しかし零はそれ以上のことは何も言わずに扉を開けて部屋から出ていき、翔達もそれを見て零の後を追い掛けていった。

 

 

優矢「……薫……俺は……」

 

 

一人部屋に残された優矢は零達が出ていった扉を見つめると、複雑な表情のまま自分の手の平を眺めていくのであった。

 

 

 

 

 

◇◆◆

 

 

 

 

 

翔「――良いのかよ?優矢をあのままにして……」

 

 

研究所内の長い通路。出口へと続く通路を歩きながら、翔は隣を歩く零にそう問い掛けた。すると零は一度溜め息を吐き、歩みを進めながらそれに答えていく。

 

 

零「今は思う存分悩ませてやれ。それが今、アイツや煌一にとって必要な事だ」

 

 

姫「むぅ……だが、本当にそれで大丈夫なのか?」

 

 

やはり優矢のことが気に掛かるのか、背後に顔を向けながら心配そうに呟く姫。それを聞いた零も足を止め来た道を振り返った。

 

 

零「これは俺達が決める事じゃない、アイツ等自身が決めなければならない事だ……言えるだけの事は言ったんだし、これ以上余計な口を挟むべきじゃない」

 

 

翔「……今はアイツ等が答えを出すのを待つしかない、って事か……何かもどかしいな……」

 

 

今はあの二人が答えを出すのを待つしかない。零達は優矢の部屋へと続く通路を暫く見つめると、今は自分のやるべき事を果たそうと再び通路を歩き出そうとする。その時……

 

 

「――ああいたいた、ちょっと待って!」

 

 

『……ん?』

 

 

不意に背後から誰かに呼び止められ、零達がそちらの方に視線を向けると、其処には先程優矢の部屋の前で別れたアヤメがこちらに駆け寄ってくる姿があった。

 

 

アヤメ「はぁ~良かったぁ、間に合ったわねυυ」

 

 

アズサ「アヤメ……どうかしたの……?」

 

 

アヤメ「あっうん、ちょっと零に渡す物があってね。はいこれ」

 

 

乱れた呼吸を整えながらそう言うと、アヤメは懐から取り出した一本のメモリースティック……ガイアメモリを零に差し出した。

 

 

零「?これは……ガイアメモリ?」

 

 

アヤメ「そっ、デモンゾーアとの戦いで役立つかもしれないから渡してくれって、ジェノスって子から預かったのよ」

 

 

零「?!ジェノスから?」

 

 

ジェノスから預かったガイアメモリ。それを聞いた零は一瞬驚愕すると、アヤメの手からメモリ……ティガメモリをゆっくりと受け取りメモリを眺めていく。

 

 

零「――分かった、コイツは使わせてもらう。お前は優矢を見ててやってくれ」

 

 

アヤメ「えぇ、貴方達も気をつけてね?」

 

 

零「分かってる……翔、アズサ、木ノ花、行くぞ!」

 

 

零はティガメモリを仕舞って翔達に呼びかけ、紗耶香を止めるべく三人と共にルルイエ島へと向かっていくのであった。そして……

 

 

アヤメ「……亮介、急いでよ……時間もあまりないんだから……」

 

 

四人の背中を見送った後、一人残されたアヤメは何もない天井を仰ぎながらそう呟き、何処かに向かって歩き出していくのだった。

 

 

 

 

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