仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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第十八章/GEAR電童の世界⑭

 

 

スペースビーストの突然の来襲により戦場が混雑し始めた中、少し離れた場所ではディケイドとメフィストが二度目の激戦を繰り広げていた。互いの攻防が激しくなりつつある中、ディケイドはメフィストから距離を離しながらライドブッカーをGモードに切り替え、バックルへとカードを一枚装填した。

 

 

『ATTACKRIDE:BLAST!』

 

 

ディケイド『ハッ!』

 

 

―ズガガガガガガガガァッ!!―

 

 

メフィスト『そんな攻撃がっ!』

 

 

ライドブッカーから高速で撃ち出される乱射にメフィストは鼻で笑いながら真上へと跳んでそれを回避し、そのまま右腕のアームドメフィストを構えてディケイドへと飛び掛かった。だがディケイドは咄嗟に身体を唸って攻撃を回避するとメフィストの右腕を脇で挟んで動きを封じ、そのままライドブッカーからカードを一枚取り出しバックルへと装填した。

 

 

『ATTACKRIDE:SLASH!』

 

 

―シュイィン!ガギィンッ!ガギィンッ!―

 

 

メフィスト『グウゥッ?!』

 

 

電子音声と共にディケイドはライドブッカーを即座にSモードに切り替えながらメフィストを突き飛ばし、態勢を崩したメフィストを斬り裂いていった。そしてディケイドの斬撃を受けたメフィストは後方へと吹っ飛ばされ、斬撃を喰らった胸を抑えながら起き上がり殺気の篭ったディケイドを睨みつけていく。

 

 

メフィスト『ちぃ……中々やるようになったじゃないか?』

 

 

ディケイド『あぁ、さっきの戦いでお前の戦法は大体掴めたからな。さっきは遅れを取ったが、今度はさっきのようにはいかんぞッ!』

 

 

メフィスト『ハッ!言ってくれるじゃないかッ!』

 

 

互いに笑いながら叫ぶと共にディケイドとメフィストは双方同時に飛び出し中心地点で激突し、無数の火花を散らせながら激しく武器をぶつけ合っていった。だがその時……

 

 

姫「零ッ!」

 

 

ディケイド『……っ?!!木ノ花?!―ドガァッ!―グッ?!』

 

 

先程までバロン達と戦っていた筈の姫がその場に駆け付け、ディケイドはいきなり現れた姫に驚き一瞬そちらに意識を向けてしまったのだ。メフィストはその隙を逃さずディケイドの腹を殴り、ディケイドを姫の下まで吹っ飛ばしていってしまう。

 

 

姫「ッ?!零!しっかりしろ!大丈夫か?!」

 

 

ディケイド『グゥッ…問題ない…それよりお前、何で此処に?翔達は?」

 

 

姫「彼等なら大丈夫だ、あっちの方には今大輝達が付いてくれてる」

 

 

ディケイド『?海道が?』

 

 

何でアイツがこんな所に?と一瞬疑問を感じたディケイドだが、遺跡での戦いの時にエルクシード争奪戦に参加していた時の事を思い出し、そういう事かと納得しながらメフィストを見据えた。

 

 

ディケイド『ま、アイツと翔がいるなら向こうは心配ないか。咲夜、アマテラスで一気に決めるぞ!』

 

 

姫「あぁ、無論だ!」

 

 

ディケイドの言葉に頷くと共に姫は自分の身体を桜色の光球へと変化させ、そのまま宙を飛び回ってディケイドの体へと入り込み一体化し、そして……

 

 

『AMATERAS!DECADE!』

 

 

バックルから高らかな電子音声が響くと共に、ディケイドの周りに変身時にも現れる九つの桜色をした残像が出現した。

 

 

そして残像が全てディケイドに重なっていくと、ディケイドの姿が光に包まれながら変化し、背中から三対の白い羽根が生え、光が止むとディケイドはアマテラスフォームへと変わっていったのだった。

 

 

更にディケイドはすぐさま懐から一本のメモリースティック……決戦前にアヤメから渡されたティガメモリを出し、ボタン部分を人差し指で教えていった。

 

 

『TIGA!』

 

 

メフィスト『ッ?!それは?!』

 

 

ディケイドA『お前とこれ以上遊んでる隙もないんでな、コイツで一気に決めさせてもらうッ!』

 

 

ティガメモリを見て思わず身構えるメフィストに啖呵を切りながら、ディケイドは取り出したティガメモリをドライバーの左スロットへと装填し……

 

 

『TIGA!DECADE!』

 

 

再度バックルから高らかな電子音声が響き渡り、光が煌めくようなメロディーと共にディケイドの姿が変化して―――

 

 

 

 

 

 

 

 

ディケイドA『…………』

 

 

咲夜『…………』

 

 

メフィスト『…………』

 

 

 

 

 

 

 

 

…………………………。

 

 

 

 

 

 

 

 

ディケイドA『………………………………おう?』

 

 

 

 

 

 

 

 

――しなかった。メモリを装填して確かに電子音声が発声されたにも関わらず、ディケイドの姿は先程と変わらず何処も変わっていなかったのであった……

 

 

メフィスト『……おい、何も起きないぞ?』

 

 

ディケイドA『あ……う?……ちょっと待っとけ!』

 

 

怪訝そうに問い掛けてきたメフィストに向けて指差しながら待つように叫ぶと、ディケイドは慌ててディケイドライバーからメモリを抜き取って再度スロットに装填した。

 

 

 

 

『TIGA!DECADE!』

 

 

ディケイドA『…………』

 

 

 

 

……が、変わらず反応無し。なのでもう一度メモリを抜き取り……

 

 

 

 

 

 

『TIGA!DECADE!』

 

 

『TIGA!DECADE!』

 

 

『TIGA!DECADE!』

 

 

『TIGA!DECADE!』

 

 

『TIGA!TIGA!TIGA!TIGA!TIGA!TIGA!TIGA!TIGA!TIGA!TIGA!TIGA!TIGA!TIGA!TIGA!TIGA!TIGA!TIGA!TIGA!』

 

 

『TIGA!DECADE!』

 

 

 

 

 

 

ディケイドA『…………』

 

 

咲夜『…………』

 

 

メフィスト『…………』

 

 

 

 

 

 

何度も何度もメモリを差し込んでは抜き、差し込んでは抜きを繰り返し、遂にはメモリをぶっ壊わしてしまうんじゃないかというほど連ボタンしてからドライバーのスロットへと装填するも……やはり何も起きなかった。

 

 

ディケイドA『…………』

 

 

メフィスト『…………』

 

 

ディケイドとメフィストの間に気まずい空気が流れ、二人の間で寂しい風がクルリと回りながら吹いて何処かへと去っていく。そしてディケイドはドライバーにメモリを刺したままポリポリと頬を掻き、メフィストの方へと振り返ると……

 

 

 

 

 

 

 

 

ディケイドA『……あの……今のくだり無しって事にしてもらっていいか……?』

 

 

メフィスト『ふざけるなァァァァァァァァァァァァァァァァッッ!!!!』

 

 

ですよねぇー、とディケイドと咲夜は珍しく心の中でハモった。そんなふざけてるようにしか見えない態度にメフィストも痺れを切らしてディケイドに向かって襲い掛かり、ディケイドもメモリの事で半ば困惑気味になりながらもそれを受け流し反撃していくのであった。

 

 

 

 

 

◇◆◆

 

 

 

 

 

その一方、デモンゾーアと戦闘を開始したGEAR電童は……

 

 

GEAR電童『ユニコーンドリル!ファイナルアタックッ!!』

 

 

―ドシュウゥゥゥゥゥーーーーーーッッ!!!―

 

 

右腕に装備したドリルの一角を持ったユニコーン……レオサークルと同じDW(データウェポン)であるユニコーンドリルの角から巨大なエネルギーの渦を生み出し、デモンゾーアに向けて発射していた。だが……

 

 

―……バシュウゥッ!!―

 

 

GEAR電童『ッ?!やっぱりダメか…!』

 

 

GEAR電童の放った渾身の必殺技はデモンゾーアに直撃こそするが、必殺技はそのままデモンゾーアに吸収され無効化されてしまったのだ。先程からレオサークルを使ったFAや単独技を繰り出しているものの、どれも今のように吸収されるか跳ね返られるだけだった。更に繰り返し必殺技を使い続けたせいで電池パックも残り一つしかなく、打つ手がないGEAR電童は窮地に立たされていた。だが……

 

 

 

 

『私……そう、御薙煌一は憎むべき敵…倒すべき敵…なのにっ……』

 

 

 

 

デモンゾーアの頭部では、先程煌一に言われた言葉で心を揺さ振られ戸惑うファウストの姿がある。そんな彼女の姿を見たGEAR電童は決して希望を捨てる事なく、デモンゾーアの口から発射される光弾を避けながらファウストに呼び掛けた。

 

 

GEAR電童『グッ!もう止せ紗耶香!これ以上エルクシードの力を使うんじゃない!デモンゾーアを止めるんだ!』

 

 

『ッ?!だ、誰が貴方の言葉なんかっ……!』

 

 

GEAR電童『これ以上デモンゾーアの力を行使すれば、闇の力に飲まれて戻れなくなるんだ!そうなる前に止まってくれッ!』

 

 

『私に指図しないでっ!!貴方は…貴方は私の仲間を殺したの!!私の居場所を壊したの!!貴方は…貴方は…!!』

 

 

GEAR電童『紗耶香ッ!!―ズガガガガガガガァァァァァァァァァァアンッ!!―グアァッ?!』

 

 

その言葉はGEAR電童に投げ掛けているというよりも、まるで決意が揺らいでいる自分に言い聞かせているように聞こえる。そう思ったGEAR電童はなんとかデモンゾーアに接近しようとするが、デモンゾーアが口から放った光弾が直撃し吹っ飛ばされてしまった。しかし……

 

 

GEAR電童『っ……ぐっ……ぐぅっ……!』

 

 

『ッ?!な、なんで…なんでまだ動けるの…?』

 

 

GEAR電童はアーマーの至る所が崩れ落ちてボロボロになり、仮面の半分が半壊し流血する煌一の素顔が見えても、それでもまだ起き上がろうとしていた。

 

 

何故動ける?何が其処まで彼を突き動かす?それが分からないファウストはただただ震える瞳でGEAR電童の姿を捉え、GEAR電童はおもむろに身体を起こしながらそんなファウストを見上げた。

 

 

GEAR電童『っ……お願いだ紗耶香……俺はお前を……お前まで失いたくないんだっ……』

 

 

『―――あ……』

 

 

仮面の奥に見える煌一の頬を伝うのは……一筋の涙。それを見たファウストは思わず息を拒み、GEAR電童はふらつきながら立ち上がり、覚束ない足取りでデモンゾーアへ歩み寄っていく。

 

 

GEAR電童『分かってる…こんな言葉…今更言ったって遅すぎるかもしれない…何を今更って、思うかもしれない…でももし…もしまだ間に合うなら…まだ届くのならっ……』

 

 

『あ……ぁ……』

 

 

GEAR電童『お願いだ、紗耶香…もう一度…もう一度だけでいい……俺を……俺を信じてくれっ…!!』

 

 

『……煌一……さん……』

 

 

涙を流すその瞳に宿るのは、嘘偽りのない真摯。その瞳を見たファウストは身体から力が抜け落ちるような感覚がし、胸の奥に押し殺していた思いが再び溢れ出ようとした。だが……

 

 

 

 

 

 

 

『ガアァァァァァァァァァァァァァァァアッ!!!』

 

 

 

 

『ッ?!な、キャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアッ!!!』

 

 

GEAR電童『紗耶香ッ?!』

 

 

ファウストが戦意喪失になり掛けたその時、突然デモンゾーアが巨大な叫び声を上げ、なんとファウストを頭の中に飲み込んでいってしまったのだ。GEAR電童はそれを見て思わず身を乗り出すが、ファウストを飲み込んだデモンゾーアは闇の中から無数の触手を伸ばし、GEAR電童へと襲い掛っていく。

 

 

GEAR電童『グゥッ!(どういう事だ?!何故デモンゾーアがいきなり紗耶香を……もしかして、紗耶香の心に光が蘇り始めたから?ならまさか、紗耶香から完全に光を奪うつもりか?!)』

 

 

デモンゾーアという異形は完全なる闇の存在だ。その力を行使する人間も、完全に身も心も闇に染まっていなければならない。

 

 

少しでも心に光が残っていれば、例えエルクシードを使って封印を解く事は出来ても支配下に置く事は出来ない。

 

 

無論それはデモンゾーアを支配下に置いた後も例外ではなく、もしデモンゾーアの力を行使する中で心に光が戻れば、デモンゾーアを従える事は出来なくなって暴走する。闇でも光の存在でもない半端な人間が簡単に扱える力ではない、今の紗耶香がソレだ。

 

 

このままでは、身も心も闇に染まり切れてない人間が闇に染まり切った人間にしか使えないデモンゾーアを使うという矛盾を晴らす為、デモンゾーアが主である紗耶香の心から光を完全に奪おうとする。

 

 

そうなれば紗耶香は……

 

 

GEAR電童『(本当に…戻れなくなってしまう!)……紗耶香!返事をしてくれ!紗耶香ッ!!』

 

 

最悪の未来を想像したGEAR電童は大声で紗耶香の名を叫び続けるが、デモンゾーアはそんなGEAR電童を寄せ付けまい口から無数の光弾を発射して容赦ない攻撃を浴びせていく。そして……

 

 

 

 

―ボゴ……ボゴボゴボゴッ……―

 

 

咲夜『……っ?!零、アレを見ろ!』

 

 

ディケイドA『グウゥッ!……?アレは?』

 

 

離れた場所でファウストと組み合っていたディケイドに咲夜が何処か焦った様子で呼び掛け、ディケイドは咲夜が指した場所に視線を向けた。其処には地中の中を潜って背後からGEAR電童に静かに近づくナニカの姿があり、GEAR電童は攻撃の回避と紗耶香に呼びかけることに必死で気づいている様子はない。

 

 

ディケイドA『ッ!煌一!逃げろッ!』

 

 

GEAR電童『……え?―ボゴォッ!―ッ?!』

 

 

忍び寄るナニカの存在に気付いたディケイドが慌ててGEAR電童に呼び掛けるが、時既に遅く、地中に潜んでいたナニカは地中から姿を現してGEAR電童へと襲い掛かっていった。そして地中から現れたナニカ……デモンゾーアが放った無数の触手はGEAR電童を捕えようとするが……

 

 

 

 

 

 

 

―ドンッ!シュルルッ……ガシィッ!!―

 

 

ディケイドA『グウゥッ!ガアァァァァァアッ!!』

 

 

GEAR電童『な、零ッ?!』

 

 

触手がGEAR電童を捕えようとした瞬間、ディケイドが全速力でGEAR電童へと突っ込んで横から突き飛ばし、そのままGEAR電童の代わりに触手に捕われてしまったのだ。ディケイドは手足や首を締め付けられて動きを封じられてしまい、デモンゾーアはそんなディケイドを見据えながら口に強大なエネルギーを溜め、そして……

 

 

 

 

 

 

―シュウゥ……ドシュウゥゥゥゥゥゥゥウーーーーッ!!―

 

 

ディケイドA『ッ?!!!なっ……ぁ……』

 

 

GEAR電童『ッ?!れ、零ィ!!』

 

 

デモンゾーアは口に溜めたエネルギーを紫色の光線に変換して撃ち出し、触手に捕われたディケイドの胸を貫通していったのだった。そして光線で胸を貫かれたディケイドは触手から解放されてそのまま倒れ、それでも何とかふらつきながら立ち上がろうとするが……突如ディケイドの体が足元から石になり始めた。

 

 

ディケイドA『ッ?!これ……はっ……?!』

 

 

咲夜『石化能力?!いや、違う……私達の……光……が……奪われっ……』

 

 

下半身が完全に石となり、更に石化はそのまま進行が止まることなく胸の上まで広がっていく。それと同時に複眼から徐々に光が失われ、石化から抗う術を持たないディケイドは、まるで何から逃れるように必死に空に右手を伸ばし……

 

 

 

 

 

 

GEAR電童『―――れ……い……?』

 

 

 

 

 

 

………後に残されたのは、空に向かって必死に右手を伸ばし、光を全て奪われて石像と化したディケイドだけであった……

 

 

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