仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT 作:風人Ⅱ
―ルルイエ島・上空―
その頃、上空ではスペースビースト達と戦っているバロンとアンジュルグが苦戦を強いられていた。最初の頃はバロンとアンジュルグの必殺技の連発で順調に数を減らせていたのだが、スペースビースト達がデモンゾーアから放たれる闇に当てられて身体能力や知能が驚くほど強化され、今では二人の技を見切り逆に押し返し始めていたのだ。
『ギュオォォォォォォォッ!!』
バロン神龍『クソッ!チョロチョロ動き回りやがって!少しはジッとしてろってんだ!』
ST『落ち着け相棒!冷静さを失ったら思うツボだ!』
アンジュルグ『ッ!でも、あっちもまだ数を増やしてきてる…このままじゃ押し切られて…!』
アンジュルグの言う通り、スペースビーストの群れはまだまだ数を増やし目の前から迫ってきている。このままではいつか初音島への進行を許してしまう。内心そう考えて焦りを浮かべながらも、二人は諦めることなくスペースビースト達へと迎撃していった。
◇◆◆
そして同じ頃、島の地上で同じくスペースビーストの群れを迎え撃っていたディエンド達もあまりの大群に数で圧され、徐々に追い込まれつつあった。
―ザシュウッ!ズバァッ!ズシャアァッ!―
『ギシャアァァァァァァァァァアッ?!』
零王『この!いい加減!うぜぇんだよ!お前等ぁ!』
ジエンド『飛ばしすぎよ亮介!ペースを落として!』
零王『んな事言ったって、コイツ等ウジャウジャ出てきてキリがねえよ!』
ディエンド『確かに、このままじゃジリ貧だね……』
コウリュウ『まだだっ…まだ諦めるわけにはいかない!此処で俺達が倒れれば、世界はデモンゾーアの闇で覆い尽くされてしまうっ!』
それが意味するのは、この世界に住む全ての人々の命が消えるという事。それを必ず阻止する為にも、一同は体力が消費しつつも武器を構え直してスペースビーストの群れへと突っ込んでいった。
◆◇◇
そして場所は戻り、島の奥ではボロボロのGEAR電童がメフィストと一体一の激闘を繰り広げていた。その端には石化したディケイド、上空ではデモンゾーアが天に向かって雄叫びを上げ、世界を闇で覆い尽くそうと闇を広げて始めていた。
―バキッ!ガキィッ!ズガアァァァァァァアッ!―
GEAR電童『グァッ!グッ!フゥッ…フゥッ…!』
メフィスト『ククッ…いい加減諦めたらどうだ?最早デモンゾーアを止めることなど出来やしない。まして一人残った貴様だけに、何が出来る?』
GEAR電童『まだだっ…俺は諦めない!デモンゾーアや貴様に…この世界も純一達も…零達も…紗耶香もやらせやしない!その為に俺は此処まで来たんだッ!』
決して億する事なく、GEAR電童はボロボロの身体でメフィストに向けて身構えていく。メフィストはそんなGEAR電童を馬鹿にするように鼻で笑い、右腕のアームドメフィストを構えてGEAR電童へと襲い掛かっていった。
◇◆◆
―???―
零「…………っ…………ぅ…………あ…………?」
その頃、暗闇に包まれたとある空間。一筋の光すらも射さない何処かその場所で、何故か俯せに倒れていた零が重たい瞼を開いて目を覚ましていた。
零「っ…何だ…何が起きたんだ…?」
目覚めたばかりで若干意識が混乱し、零は何が起きているのか分からず額を押さえながら頭を何度か左右に振るって身体を起こすと、ふと自分の周りを囲む何かの存在に気付いた。
零「…?何だ…これは…」
零が辺りを見回して目にしたのは、まるで自分を閉じ込めるかのように周りに張られた透明なクリスタル。一見檻のように見えるそれを目にした零は訝しげな顔を浮かべ、周りに張られたクリスタルを睨みつけた。
零「なんだ一体…何がどうなって―コツンッ―……ん?」
状況がまるっきり飲み込めない零が立ち上がろうと足を動かした時、不意に足のつま先が何かに当たった。零がそれに気付いて足元に目を向けると……其処にはグッタリとした様子で俯せに倒れる姫の姿があった。
零「ッ?!咲夜?!おいしっかりしろ!咲夜!」
姫「……っ……ぅ……零……か……?」
慌てて姫の体を抱き抱えて必死に呼び掛ける零の声でゆっくりと瞼を開き、漸く意識を取り戻した姫。零はそれを見てひとまず安堵の表情を浮かべるが、すぐに険しい表情に変わって周りのクリスタルを見上げた。
零「くそっ…一体何なんだ此処?俺達はどうなったんだ…?」
姫「っ…此処は…おそらく…私達の精神の中なのかもしれない…」
零「?俺達の…精神?」
この空間は自分達の精神の中。目を動かしてクリスタルの中を見回した姫の言葉に零は訝しげな表情になり、姫は苦しげに顔を歪めながらクリスタルの天井を見上げた。
姫「覚えてるだろ…?私達はあの時煌一を庇い…あの怪物の光に貫かれて…」
零「あぁ、確か石になったハズだよな…?」
姫「そう…此処にいる私達は、恐らく僅かに残された自我…このクリスタルは…その私達を閉じ込めてる為の檻のような物なのだろう…多分、私達を永遠に石のままにする為に…」
ようは、このクリスタルの檻が邪魔をして外の世界に出られないということか。呼吸も途切れ途切れの様子で説明してくれた姫の話を頭の中で簡潔に纏めると、零はとにかく此処から出る方法を考えなければと思考を瞬時に切り替えて辺りを見渡した。
零「クソッ…だがどうやって此処から出ればいいんだ…咲夜、お前の力でどうにかならないのか?」
姫「…生憎…今はちょっと無理そうだな…どうやらさっき奴にやられた時に、力の大半を奪われたらしくて…」
苦しそうに眉を寄せながらそう呟くと、姫は気怠げに右手の手の平へと視線を落とした。すると其処には、姫の右手の指先から桜色の神氣が漏れ出て消えていく様子があり、零はそれを目にして驚愕の表情を浮かべた。
零「咲夜、お前ッ?!」
姫「…力を殆ど持っていかれたせいで…存在を留めておくのが手一杯になってしまってな…しかもこのクリスタルは、私の力の回復を妨害してるらしい…此処から出る為に使う力も…もう残ってない…」
零「ッ!クソッ!」
自嘲するように笑う姫の顔を見て、零は思わず毒づき目の前を睨みつけた。其処には自分達を阻むように張られたクリスタルの檻が存在し、零は唇を噛み締めながら必死に頭で考える。
零(どうするッ?!このままだと外の世界の煌一達も、咲夜の身も危険だっ…何かこの状況を打破する方法は…!)
必死に思考を巡らませる中、零はふと自分の左目に手を当てた。その目にあるのは破壊の因子。総てを破壊する悪魔の力……
零(コイツの力を使えば…或いは…いや駄目だ…これ以上コイツを使う訳には…!)
確かにこの力を使えさえすれば、此処から抜け出す事も不可能ではないかもしれない。だが零は、正直もうこの力を使いたくはなかった。
アズサの救出やフォーティンブラスとの戦いで二度もこの力を行使し、そのどちらも命を落としかけた事で危うく暴走し掛けた。
更に先の幻魔達との戦いの中で、因子の力が左目だけではなく右目にまで宿り出したのだ。
あの戦いの後でそのことに気付いた時、なにか物凄く嫌な予感がした。
これ以上この力を使えば、何か"取り返しの付かない事"が起きそうな、そんな予感が……
零(っ…どうするっ…一体どうすれば…!)
目の前にはクリスタルの檻、腕の中には力を奪われて瀕死状態の姫、そして外の世界には今もデモンゾーアと戦い続ける煌一達がいる。
このままではどちらも危ないと、零は刻一刻と決断を迫られ思わず拳を握り締めていった……