仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT 作:風人Ⅱ
第十八章/GEAR電童の世界⑰
デモンゾーアとの戦いから半日後。世界を覆い尽くしていた闇はデモンゾーアの消滅に伴い全て消え去り、初音島の人々もTV中継でその様子を目にし歓喜の声を上げていた。そして初音島の様々な機能が徐々に復旧しつつある中、零達は芳乃家の前で煌一達と向き合っていた。
朱焔「なんていうか…今回は色々とすまなかったな」
翔「別にいいさ。そもそも今回は、俺達が騙されて力を貸しちまったのが原因なんだし」
零「前にも言ったが、俺達はただ自分達の尻拭いをしただけだ。別に礼を言われる筋合いなんてない……」
霧彦「ですが、今回の件があったお陰で煌一君が一歩前に進めたのも事実です。その事に関しては、貴方達に感謝しています」
柔らかい笑みを浮かべながら零達に感謝の言葉を送る霧彦。翔達はそれに対して少し照れ臭そうに笑い、零は霧彦達から目を逸らして煌一を見つめた。
零「それで……お前の方は大丈夫なのか?」
煌一「…あぁ…俺は平気だ…確かに今回は紗耶香を助けられなかったが…紗耶香はまだ救い出せる…その事が分かった以上、いつまでもクヨクヨしてられないさ」
零「……そうか……お前がそう言うなら、俺ももう何も言わない」
紗耶香を助けられなかったことをまだ少し引きずってそうに見えるが、まだ諦めた訳ではないと告げる煌一に零も微かに笑みを浮かべ、カメラを構え煌一の顔を撮影していく。そして煌一はそんな零の隣に立つ優矢に目を向け、優矢の目の前に立った。
煌一「優矢、お前も元気でな?向こうでも体には気を付けるんだぞ?」
優矢「あ……はい……煌一さん達も……ホントに……お世話になりました……」
気を遣う煌一の言葉に何処か落ち込んだ様子で答える優矢。恐らく、ルルイエ島での決戦で薫と和解出来なかったことを引きずってるのだろう。煌一はそう考えながら軽く吐息を漏らすと、空を見上げながら微笑を浮かべた。
煌一「――優矢。俺はな、この島の人達の事を改めて凄いって思えたんだ」
優矢「……え?」
笑いながらそう告げた煌一の言葉に、顔を俯かせていた優矢は思わず顔を上げ、煌一はそんな優矢の顔を見つめながら再び語り出した。
煌一「世界が闇に覆い尽くされて、もうダメかもしれないっていうどん底の中で、この島の人達は最後まで希望を捨てなかった……そしてその思いが奇跡を起こして、俺達の力になったんだ……俺はこの島の人達から教わったよ……最後まで希望を捨てない事……そうすればきっと、奇跡は起こるって……」
優矢「……最後まで、希望を捨てない……」
煌一「そうだ……それを教わったから、俺も紗耶香を救い出す事を最後まで諦めない。だからお前も、友達のことは絶対に諦めるな。友達の笑顔を守る……その為にお前は、戦うと決めたんだろう?」
優矢「…ッ!」
煌一のその言葉に優矢は息を拒み、その表情が先程までとは違う力強いモノに変わっていく。煌一はそんな優矢に一歩歩み寄り、優矢の肩に手を置いた。
煌一「お前ならきっと友達を救える。お前には心強い仲間が付いてるんだ。周りを信じて、自分を信じろ……そうすればきっと、道は開ける筈だ」
優矢「煌一さん……はい!ホントに、ありがとうございましたっ!」
煌一からの励ましを受け、優矢は力強い表情で煌一達に向けて頭を下げていった。その様子を隣で見た零は誰にも気付かれないように小さく笑い、煌一の顔を見上げた。
零「それじゃ、俺達はもう行く……頑張れよ、煌一」
煌一「あぁ……お前もな、零」
零と煌一はそれぞれ片手を差し出し、互いに手を握り合った後零達は煌一達から背を向けて歩き出した。すると零達の目の前から歪みの壁が出現し、零達は歪みの壁を超え今度こそカブトの世界へと戻っていったのだった。
◇◆◆
その一方、芳乃家前の様子を近くのビルの屋上から見つめる二人組の青年の姿があった。片方は先程翔達と共にディエンドに変身して戦っていた大輝、もう片方は同じく零王に変身しスペースビーストの大群と戦った亮介だった。
亮介「――行っちまったか……アイツ等……」
大輝「漸くね。まあ、後は翔と桜ノ神がいれば問題はないだろうさ」
亮介「そうだな……んじゃ、俺もそろそろ自分の仕事に戻るとするわ」
大輝「あぁ、頑張ってくれよ?大ショッカーの情報は、君がいなきゃ集められないんだからね」
亮介「わぁーってるよ……そんじゃ、こっちの方は任せたぜ?」
軽い口調でそう言うと亮介は屋上のフェンスを飛び越え、そのまま目の前に出現した歪みの壁を通って何処かへと消えていった。大輝はそれを見送ると軽く息を吐き、懐から一冊のファイルを取り出した。
大輝「さて……三つの世界を回ってる内に因子も第二段階に入ってしまった……予定より早いね……」
そう呟きながら、大輝は取り出したファイルを開いてあるページを見つめた。
大輝「……残るはあと二段階……これら全ての段階を踏まえれば、彼は完全に力を取り戻す。その先に待つのは……完全なる破壊者か……CHAOSか……」
何処か真剣な目付きで大輝が見つめるのは、ページを二枚重ね合わせた一つの絵……右手に緑色に輝く白い石、左手に紫色に輝く黒い石を持った女神と、左右のページにお互いに向けて剣を突き出す二人の青年の絵だった……
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