仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT 作:風人Ⅱ
翔「さてと。んじゃまあ、そろそろ皆に新しい仲間を紹介しねえとなぁ零?」
零「うぐっ……」
フェイト「?新しい仲間?」
感動の再会に浸っていた零の背後で翔が問題の話題を持ち出し、優矢以外の一同は頭上に疑問符を浮かべて翔へと視線を集めた。
なのは「翔さん?新しい仲間って「お邪魔しま~す」……え?」
新しい仲間についてなのはが代表して翔に問い掛けようとした瞬間、不意にリビングの扉が開いて二人組の女性……外で待っていたカリムとシャッハが部屋の中へと入ってきた。
はやて「えっ…カ、カリム?!」
カリム「ッ!はやて!良かった、また会えた…!」
シグナム「シ、シスターも?!何故此処に……?!」
シャッハ「あ、そのぉ……何と言いますかυυ」
零「……二人は俺が飛ばされた先の世界で見付けたんだ。それでそのまま俺達と一緒に同行してもらってたんだよ……」
カリムとシャッハの登場にざわめく一同に零が淡々と簡潔に説明し、なのは達はそれを聞いてそういうことだったのかと納得しざわめきも治まっていった。
なのは「それじゃ、新しい仲間って騎士カリム達の事なの?」
翔「ん?ああいいや、その二人もだが、まだ他にいるんだよ……おーい、お前等も入ってきて良いぞー?」
なのはの疑問に答えながら翔が扉に呼び掛けると、扉の方からカリム達と一緒に外で待っていたアズサと姫が現れ、部屋の中へ入ってきた。
姫「全く、何時まで外で待たせるんだ?いい加減待ちくたびれたぞ」
零「……仕方ないだろう。こっちにだって色々順序って物があるんだ」
アズサ「零……シロがお腹空かせてさっきから泣き止まない……」
シロ『にゃ~……』
零「なに?ええいこんな時にっ……」
長らく外で待たされてくたびれる姫と、腹を空かせて若干元気のない黒猫を突き出してくるアズサの両方を相手にそれぞれ対応する零。対してなのは達は見慣れないアズサと姫を見て目をパチクリさせるが、直ぐに正気に戻って零に問い掛けた。
フェイト「零……その二人って……」
零(ッ!やっぱり来るか?キレるか?!ええい覚悟は出来てるっ!バスターでもブレイカーでも何でも来いっ!!)
GYAKUSATSUの十回や二十回の覚悟はとうに出来てる。さあ何処からでも掛かって来い!と死を覚悟した零は顔を俯かせながら瞳を強くつむった。が……
なのは「―――その二人が、ルミナさんの妹のアズサちゃんと桜ノ神の木ノ花之咲耶姫さんなの?」
零「……………………………………………………」
…………………………。
零「……はい?」
姫「む?私達の事を知ってるのか?」
はやて「あ、はい。お二人の事はクラウンと冥華さんから伺ってますよ」
なのは「大変だったみたいですね?アズサちゃんは零君を倒すために鳴滝さんに利用されたり、木ノ花之咲耶姫さんは幻魔神っていう神に酷い目に遭ったりとか……」
姫「む、まあそうだが……その事は余り気にしてないから大丈夫だ。あと、私のことは姫で構わないぞ?」
なのは「あ、そうですか?分かりました。じゃあ私も……って、そういえばまだ自己紹介してませんでしたね?私、零君の幼なじみの高町なのはです。なのはって呼んで下さい♪」
姫「よろしく頼む。ほら、アズサも自己紹介しないと?」
アズサ「ん……アズサです……よろしく……それで、この子がシロ……」
シロ『うにゃー……』
ヴィヴィオ「わぁ~!ネコさんだぁ~♪」
ウェンディ「おー!めちゃくちゃカワユイッスねぇ~♪」
フェイト「宜しくねアズサ、シロ?」
零「…………………」
固まる零を無視して、それぞれ自己紹介をしたりシロと遊んだりするなのは達。零は同じく状況が飲み込めてない翔と優矢と一度顔を見合わせ、恐る恐る一同に問い掛けた。
零「あの……お前ら怒ってないのか?ソイツ等連れてきたこと……」
なのは「え?別に?だって訳ありだったんでしょ?」
はやて「まあ最初聞いた時は『またかっ!』って皆して思ったけど、事情が事情やからしゃーないって思ったしな。怒る要素が何処にあるん?」
零「……………」
…………あれ?何だこれ?本気で一瞬そう思った零は有り得ない物を見るような目でなのは達を見ると、翔と優矢の方に振り返り自分の顔を指差した。
零「なあ……これ、もしかして夢か?」
優矢「いや……多分、現実だと思うけど……?」
翔「えーっと……取りあえず夢かどうか一回頬をつまんでみたらどうだ?」
同じく困惑してる翔の提案を聞き、頬を結構キツメに引っ張ってみる……うん、目茶苦茶痛い……
零(という事は……夢じゃない?白昼夢でもない?これが?)
自分の予想と遥かに違う目の前の光景を見つめながら暫く固まり、頭の中で現在の状況を再確認し、全てを理解したところで……
零(―――た、助かったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……っっ!!!υυ)
アズサや姫の事でなのは達が怒り心頭といった様子は微塵も感じられない。今回の制裁は免れたのだと、零は心の中でクラウンや冥華に激しく感謝しながら感動を噛み締めていた。
――――が……
フェイト「――あ……そういえば零に幾つか見てもらいたい物があるんだけど、これ見てくれるかな?」
零「んー?何だ?別に何でも――――」
いやはや、いらん心配してしまったなぁーと額に浮かんだ汗を拭いながら晴やかな表情でフェイトの方へと振り返った瞬間、その表情がピシリと固まった。何故なら……
『――私の初めて……今はこれで我慢して……ね?』
『っっっっ?!!!!!』
フェイト「――これ、なーんだ♪」
……何故なら、零の視界に満面の笑みを浮かべながら一台のパソコン……桜ノ神の世界での桜香との口づけの映像が流れるパソコンを持つフェイトの姿が映ったからだ。
零「そ、それはっ?!」
フェイト「このサイトって結構便利だよね?異世界の情報もタイムリーで分かるし♪アズサや姫の事は事前に聞いてたんだけど、これについては何も知らないんだ♪……何なのかな、これ?」
零「い、いやあの……それはそのっ……」
マズイっ、その事をすっかり失念していた?!と零は今になって思い出しながら冷たい目で睨みつけてくるフェイトを見て思わず身を引いていき、その様子を見たはやても何かを思い出したようにポケットを漁り出した。
はやて「そうそう……そういえば零君?私等面白い物を貰っとるんやけど、これなぁーんだ♪」
零「……え……?」
可愛らしく首を傾げ、満面の笑みを浮かべてはやてがポケットから取り出したのは、数枚の写真……紫音 冥華が零に襲われて(アレな意味で)いる姿が写された写真だった。
零「――って、なんだその写真はッ?!」
はやて「この間冥華さんが見せてくれたんよ……なんでも?零君に身も心も好き放題にされて汚された上に、キスマークやらなんやら体中に付けられたとか……」
零「は、はぁ?!いやいやいやいや知らない知らない知らない?!そんな事身に覚えにないというか、俺がそんな事する訳ないだろう?!」
フェイト「どうかなぁ……だってコレの事もあるし」
零「ぐぅっ?!だ、だからそれはっ……!」
非難囂々の目でパソコンと写真を突き出してくるフェイト達に一瞬怯んでしまう零だが、すぐに首を振って反論を続けた。
零「と、とにかく!パソコンの方はともかく写真の方は知らない!ホントだっ!これはあの女の陰謀だっ!」
はやて「ふぅーん……其処まで言うんやったら、本人に直接聞いてみよか?冥華さーん?」
零「……は?」
そう言ってはやては扉の方に向けて冥華の名を呼び、零は思わず間抜けな声を上げながら扉に目を向けた。其処には……
冥華「…………」
零「な、冥華っ?!」
其処には扉のからゆっくりと姿を現す女性……桜ノ神の世界でなのは達に事情を説明しに行ったはずの冥華の姿があったのだ。そして冥華の登場に零が驚愕を隠せない中、はやては冥華の隣に立って話し掛けた。
はやて「さて冥華さん、今零君が言ってた事はホンマですか?」
冥華「いいえ……彼は嫌がる私を無理矢理組み伏せ、身ぐるみを全て強引に破り取って身も心も汚した挙げ句、自分のものである証として体中にこんな数のキスマークをっ……もう私、女として生きていけないっ!うっ、うわあああああああああああああああああんっ!!!!」
零「ΣΣ人の悪事を勝手に捏造するなっ?!おい待て!違う!誤解だ!俺はその女に何もやってない?!」
フェイト「じゃあこの写真は一体なに?!それに冥華さんの首や体中に付けられたキスマークとかは?!」
零「だからそんな物は知らないっ!!大体そんな写真なんかその気になれば幾らでも造れるし、跡だって俺が付けたという証拠もないだろうっ?!」
はやて「む……まあ確かにそうやけど……」
お、おぉ?手応え有りか?よし!このまま押し切る事が出来ればっ……!
零「それでもまだ疑うって言うなら、俺の体を調べて証拠を探せばいい!それで俺の無実が晴れるなら幾らでも――!」
―……ポロッ―
なのは「……あれ?なにか落ちたよ零君?」
両腕を広げて必死に弁解をする零の服のポケットから、不意に何かが落ちて床に転がった。それに気付いたなのはは落ちた何かに歩み寄って拾い上げ、それが何なのか確かめた。それは……
『機動避妊用具コンドム00 2ndシーズン』
なのは「…………………………………………………………………………………」
…………今の状況で絶対に見付かってはならないモノだった。なのははどっかのロボットアニメを捩ったような商品名がドンッ!と載せられた青い箱を見てその表情がみるみる消えていき、最終的には前髪で顔を隠しながらグシャッ!と箱を握り潰していった。
なのは「零君……何なのかな……これ……」
零「…は?なにが――――ΣΣハッ?!」
感情すら消え失せた低い声でそう呟くなのはに、零は疑問げに振り返って驚愕の表情を浮かべた。先ず零が驚いたのは阿修羅を背後に浮かべるなのは、そしてその後になのはが握り締める箱を見たからだ。
なのは「可笑しいよね…?何時もならこんなの持ってない筈なのに……これってまさか、今の話と何か関係があるのかなぁ……?」
零「い、いやっ……違うっ……それは違うぞなのはっ?!それは今回の件とは何も関係―ガシッ―……え?」
殺気のオーラを纏うなのはから身を引きながら必死に弁解を続ける零だが、背後からいきなり誰かに両肩を掴まれた。その人物は満面の笑みを浮かべる二人……フェイトとはやてだった。
フェイト「動かぬ証拠……見付かっちゃったね♪」
はやて「これでもう違うなんて……言えへんよなぁ?」
零「い、いやだから違うっ?!これは単なる偶然だっ?!えっとっ…そ、それは単に貰っただけであって、別に俺自身が買った訳では……!!」
二人から咄嗟に離れて事実を話していく零だが………どう言っても言い訳っぽくにしか聞こえない。次第になのは達の殺気がみるみる募っていく中、零は自分の力だけでは弁解は無理だと判断し……
零「(クッ!こうなったらっ……)アズサ!木ノ花!カリム!シャッハ!頼む!お前達からも何とか言ってやって……………あれ?」
こうなれば彼女達の証言に頼るしかないと、零は背後へと振り返ってアズサ達に呼び掛けようとしたが……何故か、先程一緒にいた筈の四人がリビングから姿を消していた。
零「え?ア、アイツ等何処に言った?」
優矢「あー……そのぉ……アズサ達ならさっき、栄次郎さんに部屋を案内してもらいに二階に……υυ」
零「おおおおおおおい早いよ爺さんっ?!待てっ!戻って来いっ!!せめてこっちの誤解を解いてから―――ハッ?!」
栄次郎の行動の速さに驚かされながらも悲痛な叫びを上げる零の背後で、殺気のオーラが更に強味を増した気配がした。額から大量の汗を流しながらギギギギッと壊れたブリキ人形のようにウシロヲ見れば……既にデバイス(レプリカ)を手にするなのは達の姿が其処にあった。
はやて「さあて……言い訳は十分に並べたやろ、零君?」
零「い、いや…だから、俺が言ってるのは全部事実であって?!」
フェイト「これだけの証拠や証言が揃ってるのに……まだ違うって言うのかな?」
零「本当に違うんだから仕方ないだろ?!どれも俺には見に覚えなんて――!」
冥華「酷いっ……あのときあの公園で、私に傷を付けたことも忘れたって言うのねっ?!」
零「……は?傷?公園?」
目尻にうっすらと涙を浮かべながら叫んだ冥華のその言葉で、零の脳裏に一瞬ある光景が過ぎった。それは桜ノ神の世界で姫が封印されたツボを大輝に盗まれた際、公園で冥華と一騎打ちした時に肩に傷を負わせた時の……
零「――ああ、あの事か?」
なのは「認めたね?」
零「ッ?!!」
しまった、余計な事を?!と自分の失言に気付き慌てて両手で口を塞ぐ零だが、その行動を肯定だと見做したなのは達はデバイス(レプリカ)を振るって風を起こし……
なのは「判決ッ!!」
『死刑ッ!!!!』
死の宣告を高らかに叫び、デバイス(レプリカ)を構えジリジリと零に迫っていくなのは達。対する零も滝のように冷や汗を流しながら、なのは達が一歩近付く度に一歩ずつ下がっていた。
零(ま、マズイっ……どうする?!今の失言のせいでこれ以上の弁解に意味がなくなってしまったし、当事者の四人もいない!弁解も出来ず、援護も期待出来ない……仕方がないっ……)
なのは達がデバイス(レプリカ)を構えて徐々に迫り来る中、零は瞳を伏せながら心の中である決意をし、カッ!と両目を大きく開きながら……
零「――あぁーーっ?!!あんなところで、幸助がまた知らない女に『嫁にしてくれ』と迫られているーーっ?!!」
ギンガ「えっ?!」
なのは「嘘?!また?!」
セイン「どこどこどこ?!え、どこっ?!」
零が咄嗟になのは達の背後の窓を指差しながら叫んだ瞬間、一同は一斉に背後へと振り返った。そしてそれを見た零はキュピーンと目を光らせながらすぐさま腰に手をやり、其処から玉のような物を取り出し床に向けて投げつけた。
―バウーーーーンッ!!!!!!―
ノーヴェ「うわぁ?!な、なんだ?!」
チンク「ゲホッゲホッ!!こ、これは?!」
すずか「煙玉?!」
零が床に玉を投げつけたと共に、玉が二つに割れて中から煙幕が発生し、なのは達の視界を遮っていったのだった。そして視界を埋め尽くす煙幕が徐々に晴れていくと、先程まで目の前にいた筈の零が忽然と消えていた。
フェイト「ああ、逃げた?!」
冥華「往生際悪いわね……みんな!零は写真館から出てないわ!気配を辿るから着いてきなさいっ!」
『了解っ!』
と、いつの間にかジャッジメントバスターソードとガイアセイバーを両手にした冥華を先陣に一同は一斉に動き出し、そのまま部屋を飛び出て零を追跡していったのだった。
翔「……行っちまったなぁ」
優矢「ですねぇ……つうか翔さん、零のフォローしなくて良かったんですか?」
翔「ん?あっいや、フォローは入れる気あったんだが……いざフォローしようとした時に、冥華さんに邪魔されてさυυ」
優矢「え?邪魔って、何かしてましたっけあの人?」
記憶を掘り返してみるが、冥華が翔を邪魔するような動きはなにもしてなかった筈だ。思い当たる節がない優矢は疑問符を浮かべてばかりいるが、翔は苦笑いしたまま口を開いた。
翔「直接邪魔してきたわけじゃねえんだけど……ただ俺がフォローを入れようとしたら、あの人物凄い笑顔で―――」
冥華『邪魔したら"ナニ"を潰すから♪』
翔「――って、笑いながら無言のプレッシャーを掛けて来てたんだよυυ」
優矢「うわぁ……目茶苦茶理不尽ッスね……」
翔「ああ…零には悪いが、アレは流石に俺でも無理だ。俺の鍛えられた本能も告げてたし、『あの人に逆らうな、アレは師匠並かそれ以上にヤバイ』って……」
優矢「……翔さんが其処まで言うってどんだけヤバイんですかあの人……」
翔の発言に若干引き気味になりながら冷や汗を大量に流す優矢。まぁ実際、外史の八柱神の全ての神権が集約されてるらしいからヤバイで済む話かどうか……
翔「まあ零達は無事(?)に送り届けたワケだし、俺もそろそろ帰るわ」
スバル「え?もう行っちゃうんですか?」
セッテ「そんなに急がなくても……良ければお茶を出しますよ?」
翔「いや、気持ちだけ受け取っとくよ、俺もイロイロ忙しいし。それに……」
『捕まえたぁっ!!!』
『ぐおおおおおおおおおおしまったあああああああああああああああっ?!!』
『もう逃げられへんでっ!観念しいや零君ッ!』
『素直に尾縄を頂戴してOHANASHI―――の前に、これからやっときましょうか♪』
『……え?なに?その馬鹿でかいハサミ?』
『うふふ♪もう淫行に走れないようにぃ……きょ・せ・い・してあげる♪』
『は?へ?嘘だろ?冗談だろ?本気?本気なのか?!待て待て待て待て?!何でそこまでしなきゃならないんだっ?!』
『大丈夫、あの時の借りはコレでチャラにしてあげるから♪はい去勢♪去勢♪』
『や、止めろ?!来るな!寄るな?!寄るなあああああああああああああああああああああああああああっ?!!!』
翔「―――お前等も、アレでゆっくりしてる暇なんてないだろう?」
『ア、アハハハッ……』
断末魔のような悲鳴が響き渡る二階を指差す翔の言葉を否定出来ず、ただ苦笑いを浮かべるしかない一同。
翔「ま、零にはまたその内旅館に遊びに来いって伝えといてくれ。今回のことでサービスするからって」
優矢「あ、はい。ホントに、お世話になりました」
此処にいない零の分も含め、翔に向けて深くお辞儀をする優矢。翔はそんな優矢を見て気にすると言うように軽く手を振り、そのまま踵を返し写真館を後にしたのであった。
ティアナ「……それにしても、本当に大変だったみたいですね、お二人共」
優矢「ん?ああうん。まあ確かに大変だったけど、俺はそんな大した事ないよ、周りに人が居てくれたし。それに一番大変だったのは多分、零だっただろうしさ」
ディード「ああ……確かに異世界に飛ばされた上に命を狙われたり、神と戦うことになったりとか……色々苦労が絶えなかったみたいですからね……」
チンク「挙げ句の果てにはトドメにアレ……だからな」
そう言ってチンクが未だに悲鳴が響き渡る二階を見上げると、優矢達も天井に目を向けながら苦笑いを浮かべた。とそんな時、部屋を案内しに行っていた栄次郎とアズサ達が漸くリビングへと戻ってきた。
栄次郎「あれ?零君と翔君は何処行ったんだい?」
優矢「あ、翔さんならもう帰りましたよ。零は……いつものアレですυυ」
アズサ「……アレ?」
シャマル「あっ、ううん!何でもないのよ?なんでもυυ」
流石に新参者達にいきなりアレを教えるのは気が引けるのか、シャマルは両手を振って必死にごまかしていき、アズサ達はそんなシャマルの様子に疑問符を浮かべていた。
優矢「え、えっと……え、栄次郎さんっ!良かったら珈琲貰えませんかね?!何か久々に帰ってきたらあの味が恋しくなってきちゃってυυ」
栄次郎「ん?そうかいそうかい♪よしよし、じゃあアズサちゃん達の分も容れてくるか、ちょっと待っててねえ~」
優矢はアズサ達を見てすぐさま話題を変えようと栄次郎に珈琲を頼み、栄次郎も優矢の言葉で機嫌を良くし笑みを浮かべながらキッチンの奥へと向かっていった。
姫「ほおう?此処は珈琲のサービスもしてるのか?」
ギンガ「えぇ。栄次郎さんの特製の珈琲、その辺りの喫茶店が容れた珈琲よりも美味しいんですよ?」
姫「ほぉ?それは興味深いな……では私もブラックを頼もう♪苦い物を熟知しておけば色々役立つからな、うん♪」
優矢(……何に役立てようとしてんだろうこの人……まあ大体想像は付くけど……)
両腕を組みながらウンウンと頷く姫を見つめながら、そんな事を考えて苦笑いを浮かべる優矢。そして栄次郎が珈琲を容れてくれるのを待とうと、一同が近くのテーブルに腰掛けようとした。そんな時……
―ガチャ…ガララララララッ…パアァァァァアンッ!―
スバル「……あ、また背景ロールが?!」
リビングにある背景ロールが突然降りていき、写真館はまた新たな世界へと移っていったのである。その絵は巨大な門の中に蒼と白銀の蝙蝠が止まっているという絵だった。その世界とは……
ティアナ「?これってもしかして……稟さんのエクスキバット?」
ディエチ「じゃあ、この世界は……」
優矢「エクス……稟の世界?」
新たに訪れた世界は、零や彼等が良く知る人物の世界。新たな背景ロールを見た一同は今までにない何かを感じながらもその絵をただ眺めていくのであった……
◆◇◆
―謎の建造物内・廊下―
そしてその頃、GEAR電童の世界を後にした総一と薫の二人は組織が拠点としてる世界へと戻り、GEAR電童の世界での零達の動きを報告する為に王座の間へと向かっていた。
薫「……それにしても、良かったの総一?決戦の最中に逃げたりして……」
総一「良いんだよ。俺達の目的は、あくまで零の監視だ……それに奴らの仲間の足止めはしといてやったんだから、俺達が責められる理由なんてねえさ」
薫「…………」
淡々とした口調で話す総一の言葉を隣で聞きながら、何処となく暗い雰囲気を漂わせる薫。そんな薫の様子に気付いた総一は、足を止めて薫と向き合った。
総一「んな事より…お前はいいのかよ?」
薫「……え、何が?」
総一「あの小僧……クウガの事だよ。お前、アイツと何か関わりが合ったんじゃねえのか?」
薫「……っ!」
核心を突くようなその言葉に、薫は思わず顔を上げて驚愕した。その様子を見た総一は「やっぱりな…」と眉を寄せ、深い溜め息を吐いた。
総一「薫、先に断っておくが……アイツの事は忘れた方がいい。また戦うことになったら、お前だってやりにくいだろう?」
薫「……心配してくれるの?」
総一「そんなんじゃねえよ……ただ私情を挟まれたら任務に支障が出るかもしれねえから、そうなる前に忠告してるだけだ」
薫「……そっか……うん、でも大丈夫……彼のことはもう気にしてないから安心して?任務に私情を挟んだりもしないから」
総一「……ならいいけどよ……」
明るい様子で優矢のことはもう気にしてないと告げる薫の言葉を聞き、若干心配は残るも取りあえず納得する総一。
総一「まあいいか……取りあえず俺は報告を済ませてくっから、お前は先に休んでろ」
薫「え?い、いいよそんな、報告なら僕も一緒に……」
総一「良いからおとなしく休んでろ。またいつ任務に借り出されるか分かんねえんだからな。報告は俺一人で充分だから、お前は先に身体を休ませておけ」
薫「……分かった……そうさせてもらうよ……ごめんね総一……」
総一「別に……じゃ、俺はもういくぜ」
詫びる薫を尻目にそう言うと、総一はそのまま報告を済ませる為に王座の間へと向かっていった。そして薫は総一の背中を見送ると、顔を曇らせながら俯いてしまう。
薫「可笑しいな……こんな筈じゃなかったのに……」
ポツリと、薫は廊下の真ん中に佇みながらそう呟き、何もない天井を見上げた。
薫「……だけど、やるしかないんだ……僕を救ってくれたヴェクタスを守る……それが僕の決めた道なのだから……」
目を細め、強い意志を宿した瞳でそう呟くと、薫は静かに踵を返して自室へと戻っていったのだった……
第十八章/GEAR電童の世界END。