仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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番外編⑬
番外編/仮面ライダーディエンド~怪盗と王女と幻の秘宝~


 

 

 

――――これはまだ、彼が断罪の神の弟子になる前。世界の破壊者達と出会う前の……一人の美しき王女との出会いの物語である。

 

 

 

 

 

◇◆◆

 

 

 

 

 

――――王都レデグレア。荒れ果てた荒野に包まれたとある並行世界に存在する国の一つで、魔法の文化レベルがかなり発達した王国だ。

 

 

街中は西洋を思わせるような作りの家や建物が多く立ち並んでおり、街の中心には巨大な王宮が建てられている。

 

 

今の時刻が深夜のためか、街中は闇に支配され静寂に包まれている。そんな中、高層ビル30階以上はあるであろう王宮の屋上では、革ジャンを羽織った青年がロープを背負って立っていた。

 

 

 

 

大輝「―――例のお宝は、この王宮の中か……」

 

 

 

 

革ジャンを羽織った青年、海道大輝はニヤリと不敵に笑いながら肩に担いでいたロープの片方を手短な場所に結んでいき、もう片方を屋上から投げて下へと吊していく。そして吊したロープを伝って壁を蹴りながら下へと下りていき、適当な窓を蹴り破って王宮の中に侵入していったのであった。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

王宮内への侵入に成功した大輝は深夜の見回りをしている兵士達をやり過ごして先へと進んでいき、目的のお宝が保管されてあると思われる部屋の近くにやって来ていたのだが……

 

 

大輝(……見張りか)

 

 

大輝は通路の角に差し掛かった場所で壁に張り付き、顔だけ出してみる。目的の部屋が見えるが、その扉の前に二人の見張りの兵士が立っていた。

 

 

大輝「すぐに片付けるには問題はないが……ちょっとめんどくさいな……此処はコイツを使うか……」

 

 

そう言って大輝はゴソゴソとポケットの中から手榴弾のような形状をしたモノを取り出し、口でピンを外して兵士達の目の前目掛けて投げつけた。そして球が地に転がると、ピンが外れた部分からガスのような物が勢いよく噴き出し、二人の兵士は突然のそれに驚くもすぐにフラフラと倒れてしまった。

 

 

大輝(思ったより効いたな、睡眠ガス……まあ8時間ぐらいは起きないだろうから、あのままほっといても大丈夫か)

 

 

顔だけ出して様子を見ていた大輝は睡眠ガスが完全に消え去るのを確認すると、通路に出て扉の前まで近づいていく。

 

 

大輝「此処か……一応扉にトラップは仕掛けられていないようだね」

 

 

扉自体に防犯用のトラップが仕掛けられていない事を確認した大輝は扉から少し離れていき、腰からディエンドライバーを回転させながら取り出すと扉に厳重に掛けられた鍵に銃口を向け、発砲して鍵を破壊した。

 

 

そして鍵を破壊した大輝が扉を開けて中へと入ると、部屋中にはガラスケースで保管された高価な宝石達がズラリと並んでいた。

 

 

大輝「凄い光景だなぁ……さて、目当てのお宝は何処にあるかな?」

 

 

ガラスケースで保管される宝石達から視線を逸らし、大輝はなにかを探すように辺りを見回しながら部屋の奥へと進んでいく。そして暫く奥へ進むと、一番奥に他のガラスケースとは何処となく厚さや大きさが違うガラスケースがあり、その中には蒼く輝く球状の宝石が保管されていた。

 

 

大輝「ッ!ビンゴ!やっと見付けた♪」

 

 

パチンッ!と目当てのお宝を見付けて思わず指を鳴らし、大輝は腰に巻いているバッグからゴツゴツとしたゴーグルを取り出して目に装着すると、ケースの周りを見渡していく。これには視覚では見えないセンサーやレーザー等を識別出来る機能が備えられているのだが、ケースの周りにはそれらしき物は見当たらない。

 

 

大輝「?トラップは無しか?随分と警備が甘いんだな。まぁ、それならこっちは楽で良いんだけど」

 

 

センサーやレーザー類のトラップがないのを確認した大輝は小首を傾げながらゴーグルを外してバッグに仕舞い、蒼い宝石が保管されたガラスケースへと近づいていく。

 

 

大輝「かつて聖女が、この世界を我が物にしようとした悪魔を討った時に使ったという伝説の秘宝……エレメンタルストーン。やはり噂は本当だったか……」

 

 

蒼い宝石……エレメンタルストーンを見て大輝は不敵な笑みを浮かべ、さっさと宝石を手に入れて此処を出ようとガラスケースに手を伸ばしていく。が……

 

 

 

 

 

 

 

 

―バシュウッ!―

 

 

大輝「…っ?!―ドガアアアアアアアアアァァァァァァァァァァアンッ!!!―グアァッ!!」

 

 

 

突如大輝に一発の青い光弾のようなモノが何処からか放たれ、光弾は大輝に直撃すると同時に巨大な爆発を起こし大輝を吹っ飛ばしていってしまったのだ。そして吹き飛ばされてしまった大輝は全身が少し黒焦げ、光弾が直撃した腹部からは夥しく赤い血液が滲み出ていた。

 

 

大輝「ぐっ……くぅっ……今のはっ……―ジジジジジジジジジジッ!!!―……ッ?!」

 

 

いきなり放たれてきた光弾に大輝は思わず腹を押さえながら辺りを見渡していくが、今の爆発を感知したのか突然けたたましく警報が鳴り響き、大輝は一度エレメンタルストーンを見て舌打ちすると腹部を抑えながらふらついた足取りで部屋から出ていった。その影では……

 

 

 

 

 

『―――フッ……』

 

 

 

 

 

部屋の隅の物陰では、灰色の身体をした一体の異形が大輝の背中を見て不気味に笑い、そのまま何処かへと歩き去っていったのだった……

 

 

 

 

 

◇◆◆

 

 

 

 

 

―王宮・屋上―

 

 

「居たぞ!こっちだー!」

 

 

大輝「ちっ……!」

 

 

部屋を出て急いで王宮から脱出しようした大輝だが、怪我を負ったせいで上手く動き回る事が出来ず、途中で警報を聞き付けた兵士達に運悪く見つかってしまっていたのだ。そして次第に兵士達に逃げ道を塞がれ、遂に屋上にまで追い詰められてしまっていた。

 

 

「抵抗は止めて、大人しく投降しろ!素直にこちらの指示に従えば、刑も少しは軽くなるぞ!」

 

 

大輝「っ…………」

 

 

周りを取り囲まれ、退路を断たれてしまった大輝は舌打ちしながら後退りをしていくが、後ろは行き止まりで、遥か下には王宮の庭に備え付けられた泉が微かに見える。それを見た大輝は銃を向けてくる兵士達に目を向けながら……

 

 

大輝「―――フッ……」

 

 

―バッ!!―

 

 

『……なっ?!』

 

 

不敵な笑みを浮かべたと思いきや、大輝は背後に振り返らないまま地面を蹴り、そのまま屋上から暗い闇に包まれた空へと飛び出したのだ。それを見た兵士達はギョッと顔を引き攣らせるが、大輝は最後まで笑みを浮かべたまま落下し、そのまま庭の泉へと落ちて水しぶきを上げたのだった。

 

 

「……ッ!あ、あの男っ、何をやってるんだ?!」

 

 

「じ、自殺?死んだのか?」

 

 

「……いや……泉に落ちたのだから、まだ生きてるかもしれん……下だ!!下へ急げ!!あの傷でこの高さから落ちたのだから、多分まともに動けん筈だ!!」

 

 

「は、はい!」

 

 

恐らく此処から逃げる為にあのような行動をしたのだと思うが、きっとあの傷でまともに動けないハズだ。そう考えた隊長と思われる兵士の指示で他の兵士達が荒立たしく屋上を後にし、大輝が落ちた泉に向かう為に下へと下りていったのだった。

 

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

 

大輝が屋上から飛び降りる少し前―――王宮のとある個室。

 

 

「………………」

 

 

王宮内のある個室。まるで王族が使うような豪華な造りをした部屋の中では、美しい白い髪のロングヘアーを持った女性がベッドの上で暗い表情を浮かべながら顔を俯かせていた。

 

 

「……あと二週間……か……此処に閉じ込められてから、もう半月以上も経つんですね……」

 

 

そう言って女性は深い溜め息を吐くと、近くに掛けておいたカーディガンを羽織ってベッドから立ち上がり、部屋のバルコニーへと出て夜空を見上げていく。

 

 

「……今日は満月だったんですね……綺麗……」

 

 

金色の光を放ちながら夜空に浮かぶ満月を見て笑みをこぼす女性。しかし、その笑みもすぐに消えて暗い顔に戻ってしまった。

 

 

「でもレイディアントからなら、星とかももっと良く綺麗に見えていたかもしれませんね……ふふ……まあ、仕方ないですよね……」

 

 

自嘲するように笑いながら女性は満月を見上げていくが、その瞳は何かを恋しく思うように何処か悲しげに見える。そうして暫く夜空を見上げていたせいか身体が冷えてきたらしく、女性は肩を軽く摩りながら部屋に戻ろうとした。そんな時……

 

 

 

 

 

―…………ドッパアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!!―

 

 

 

 

 

「……へ?」

 

 

 

何か重い水の音のような物が聞こえ、部屋に戻ろうとした女性は足を止めて振り返り、慌ててバルコニーから身を乗り出して庭を見渡していく。すると、庭から少し離れた場所にある庭の泉の水面が大きく揺れ動いているのが微かに見え、更に向こう王宮の屋上では、大勢の兵士が泉を見て荒立たしく動き回る姿が見えた。

 

 

「?何かあったのかしら……」

 

 

こんな夜中に、しかもあれだけの兵士達が忙しく動き回っている辺り、きっと何かあったに違いない。そう予想した女性は少し顔を俯かせて何かを考える仕草をすると、そのままバルコニーから部屋、部屋から廊下へと出ていったのだった。

 

 

 

 

 

◇◆◆

 

 

 

 

 

数分後……

 

 

「はぁ……はぁ……やっと着いたっ……」

 

 

あれから部屋を出た女性は全力で王宮内の階段を駆け降り、王宮を出て泉の近くにやって来ていた。そして女性は泉に着くと、肩で息をしながら何かを探すように泉の周りを歩いていく。

 

 

(あれだけの兵士があんな屋上に居て、しかもこの泉を見ていたとなると、きっとこの泉に何かが落ちたのかもしれない……もしそうなら早く見つけてあげないと。特にもし人とかだったらもっと大変だし……!)

 

 

そんなお人好しな事を考えながら泉の周りをくまなく詮索していく女性。とその時……

 

 

 

 

 

 

―……ガサッ……ガサガサッ……―

 

 

「……ッ!だ、誰?」

 

 

 

女性の背後の茂みから不意に物音が鳴り、女性は一瞬それに驚きながらも茂みを見つめて聞き返していく。しかし茂みからは何も答えが返ってこず、女性は首を傾げながら恐る恐る茂みを掻き分けて林の中を覗いていく。其処には……

 

 

 

 

 

 

大輝「…………ぅ…………ぁ…………」

 

 

「……ッ?!お、男の……人?」

 

 

 

林の中にいたのは、全身がずぶ濡れ、腹を押さえながら仰向けに倒れて辛そうな顔を浮かべる青年……大輝だったのだ。女性は大輝を見付けて一瞬驚愕するが、すぐに正気に戻って慌てて大輝に駆け寄り、身体を抱き起こしていく。

 

 

「だっ、大丈夫ですか?!しっかりして下さい!しっかり!」

 

 

女性は必死に大輝の身体を揺さ振っていくが、大輝は荒い呼吸を続けるだけで目を覚まさず、女性は大輝が押さえている腹の傷を見て顔をしかめた。

 

 

「酷い怪我っ……とにかく、このままじゃこの人が危ないっ……早く傷の手当てが出来る場所に運ばないとっ……!」

 

 

腹の傷を見て早く手当てをしないと危険だと判断し、女性は大輝の腕を自分の肩に回して何とか担ぎ、そのまま王宮の中へと急いで戻っていったのだった。

 

 

 

 

 

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