仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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第三章/キバの世界⑬

 

 

 

『ハァ…ハァ…ハァ…』

 

 

以前、零達がワタルと出会った幽霊屋敷内。

 

 

其処には零達との戦闘で傷ついた瀕死状態のビートルファンガイアが薄汚れた台の上に寄り掛かる姿があり、その肉体が徐々に人間体へと変わっていくと、その姿は以前幽霊屋敷に訪れていた男性に変わっていった。

 

 

そして男の姿が変わり終えると共に、その場へ零となのはが訪れた。

 

 

「ハァ、ハァ……ワタルは……良い王に、なれるだろうか……?」

 

 

男は零達の来訪に驚く事なく、必死に声を振り絞って尋ねると、零は目を伏せて頷いた。

 

 

零「なれるさ……あんたの息子だからな」

 

 

「……気づいて……いたのか……」

 

 

零「何となく、だけどな……あんたはワタルに自分と同じ過ちを犯してほしくなかった。だから──」

 

 

零が男に近寄ろうとするが、男は手でそれを制して零の歩みを止め、椅子に座ってテーブルに置かれていたバイオリンを手に持って胸に抱く。

 

 

それを見た零は無言のままなのはに視線を向けると、なのはもそれを察したように頷いて互いのバイオリンを取り出し、演奏を始めた。

 

 

―♪♪~、♪~~♪♪~♪~―

 

 

家内に広がる二人の演奏。男は目を瞑り、その演奏を聴きながらバイオリンを抱く腕に力を込める。そして……

 

 

 

 

「…………ワタル……」

 

 

―ガシャアァァァァァアンッ……―

 

 

 

 

なのは「……ッ……」

 

 

零「………」

 

 

 

男は穏やかな表情を浮かべて、ワタルの名を呟くと最後は硝子のように砕け散り、男が抱いていたバイオリンはそのまま床に落ちていった。それを見た二人は演奏を止めて構えを解き、なのはは床に落ちたバイオリンに近づいて手に取っていく。

 

 

なのは「……これで、良かったのかな……あの人だってきっと、ワタル君と一緒に……」

 

 

零「……あれがあの男なりの、ワタルへの愛情だったんだろう。自分の子供を愛しているからこそ、子供に辛い試練を与えて強く成長させる……そして子供の為なら自分の命も捨てられる……本当の親を知らない俺でも、そういうものなんだと、俺にも分かる」

 

 

なのは「……うん」

 

 

なのはは切ない表情を浮かべ、バイオリンを強く胸に抱いた。すると、その家にワタルが訪れて二階に上がって来ると、二人の下に近づいて来る。

 

 

ワタル「懐かしいな……僕、此処で産まれたんです……」

 

 

零「……そうか」

 

 

ワタルに小さく微笑んで零は答える。ワタルはそれに頷き、窓際から外の景色……人間とファンガイアが共に暮らす世界を見据えていく。

 

 

ワタル「もう一度、此処から始めてみます……人間とファンガイアが、本当に共存出来る世界を!」

 

 

自分の決意を零となのはに打ち明けるワタル。なのははそんなワタルに近づき、自分が持っているバイオリンをワタルに差し出す。

 

 

なのは「大丈夫だよ。ワタル君ならきっと良い王様になれる。私達もワタル君の事、応援してるから」

 

 

ワタル「……はい!」

 

 

優しく微笑み掛けるなのはにワタルも明るく微笑み返し、なのはの手からバイオリンを受け取った。そして零もそんな二人の姿を前に微笑み、カメラを構えシャッターを切るのであった。

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

それから数時間後。ワタルの家を後に写真館へと戻った零は、写真を現像しながらなのはが拾った謎の腕時計を手に取ってそれを眺めていた。

 

 

零「──つまり、この変な腕時計を使ったらベルトが現れて、お前はライダーに変身出来たって事か……」

 

 

なのは「うん。それに変身して戦ってた時に使った力も、私の魔法やシグナムさんの技と同じだったし……一体なんなんだろ、この時計……」

 

 

二人は腕時計について考えていたが、やはり何も分からず溜め息を吐く。するとその時、零は腕時計の画面の上にアルファベットらしきものが小さく書かれている事に気づき、目を細めてそのアルファベットを読んでみた。

 

 

零「K…ウォッチ…?」

 

 

なのは「?何それ…」

 

 

零「……多分この腕時計の名前だと思うが……まぁ考えても全然わからないし、使えるものは貰っておけ」

 

 

手掛かりがないのでは考えても答えがわかる筈もなく、取り敢えず戦力として使えそうなものは貰っておこうと軽く考え、零はKウォッチと呼ばれる腕時計をなのはに投げ渡して現像した写真を持ってスバル達のいる部屋へと向かう。だが、その零の様子が何処かおかしい様な気がしたなのはは、もしかしてと思い零に聞いてみた。

 

 

なのは「ねぇ零君。もしかして……あの人が言ってた事気にしてる?」

 

 

零「……」

 

 

なのはが言うのは、カイザとの戦闘を終えた後に謎の男の声が言っていた事だろう。零はそれを聞いて足を止めた。どうやらなのはの予想は当たっていたらしい。

 

 

なのは「気にする必要なんてないよ。ワタル君は王様になったんだし、この世界もきっと良くなっていく。だから、零君は破壊者なんかじゃない」

 

 

零「…だといいんだけどな…」

 

 

零は再び歩き出してスバル達のいる部屋へと入っていく。だが、その中には何故か優矢も一緒になって零に挨拶してきた。

 

 

優矢「よっ!漸く来たな!」

 

 

零「……何でお前まで此処にいるんだ」

 

 

優矢「いやさ、俺もお前と一緒に九つの世界を旅したいって思ったんだ。それに元の世界に帰る方法もないし……なっ!いいだろ?」

 

 

零「…ハァ、勝手にしろ。俺には関係ない」

 

 

零が素っ気ない返事を返すと、優矢はよし!とガッツポーズを取って喜びを露わに栄次郎の煎れた珈琲を飲んでいたスバル達の所へと駆け寄っていった。

 

 

なのは「にゃははは……あれだけ酷い怪我があったのに、すっかり完治してるね……」

 

 

零「多分クウガのベルトが関係してるんじゃないか?…それよりも、さっさと次の世界に行くぞ」

 

 

適当に自分の予想を返しながら、零は壁際にある背景ロールに近づいて背景ロールを操作し始める。その時……

 

 

キバーラ「ちょーーっと待ちなさいよ!私も行くわ!」

 

 

突然窓からキバーラが侵入し、そのまま背景ロールに突っ込んでいく。だが既に零が背景ロールを操作していた為……

 

 

―シュルルルルッ!ムギュッ!―

 

 

キバーラ「え?ウギュッ!」

 

 

丁度下りてきた背景ロールの間に挟まれてしまったのだ。だが零はそんなキバーラに気づかずに背景ロールの絵を見つめた。それは……

 

 

零「?なんだ……この世界は……?」

 

 

背景ロールに描かれている絵は暗雲に包まれた空に巨大な満月、そしてその中心に聳え立つ黒い城の背景ロールだった。

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

一方その頃、何処かの深い森林。其処にはボロボロの姿の一人の少女が"何か"から逃れ必死に森の中を走っていた。

 

 

「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ、……キャアァっ?!」

 

 

だが、少女は走っている途中にツタに足を引っ掛けてその場に倒れてしまう。それでも少女はすぐに起き上がると、大木に背中を預けて荒れた呼吸を整えていく。

 

 

「ハァ…ハァ……ママ……パパァ……誰か……助けてぇっ……」

 

 

涙ぐみながらそう呟くと、少女は涙を拭いて再び深い森の奥へと走り去っていったのだった……。

 

 

 

 

キバの世界END

 

 

 

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