仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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番外編/仮面ライダーディエンド~怪盗と王女と幻の秘宝~②

 

 

奇妙な共同生活が始まってから一日目……

 

 

シュレリア「という訳で、これからお料理をしたいと思います!」

 

 

大輝「…………は?」

 

 

…外の天気は清々しい程の晴天。太陽の日の光が室内の窓から差して心地好く、このまま二度寝でもしようかと思いきやいきなり何の前触れもなく叫んだシュレリアの言葉に大輝は間抜けな声をあげた。

 

 

因みに現在の時刻は昼間、いわば昼飯時である。

 

 

そんな中で、大輝は怪我の回復に専念する為にベッドに仰向けで横たわっており、その隣には椅子に座ったシュレリアがむん!と妙に意気込んだ様子で身を乗り出しながら大輝を見つめていた。

 

 

大輝「……一つ疑問言っていいかい?何がという訳なのかさっぱり分からないんだが」

 

 

シュレリア「え?だから、お料理ですよお料理!ほら見て下さい!もうお昼ですお昼!泥棒さんもお腹空かせてるでしょう?」

 

 

ビシッ!と12時を過ぎた時計を指差しながら意気揚々とした様子で大輝に問うシュレリア。そんな彼女のテンションにいい加減鬱陶しく感じながらも、大輝は自分の腹を軽く摩る。

 

 

大輝「まぁ、確かに少し小腹が空いてきた感じはするけど……まさか、君が料理をするつもりなのか?」

 

 

シュレリア「?はい、そうですよ?何か可笑しいですか?」

 

 

大輝「可笑しいというか……そういうのって普通城の使用人とかが用意してくれる物じゃないのかい?」

 

 

どうでもよさそうな表情でもっともな疑問を口にする大輝。

 

 

何故他国の王女である彼女が此処にいるのかは知らないが、一国の王女なら一応世話係の一人や二人はいる筈だ。

 

 

なら彼女が料理をする必要なんて何処にもないと思うのだが……

 

 

シュレリア「使用人は……えっと、この前まではそういう人達がお世話をしてくれたんですけど、今はもういないというか……私がもう来ないで良いと言ったから来ないというか……(汗)」

 

 

大輝「?どういう事だ……?」

 

 

何故そんなことしたのかと問い掛けようとする大輝だが、疑問を口に出した所で自然と答えが思い浮かんだ。

 

 

大輝「まさか、俺が此処にいるからか?だから使用人を近付けないようにした、と?」

 

 

シュレリア「あっ、はい。だって、泥棒さんは王宮の人間が探してるお尋ね者になってるでしょう?だから使用人さん達にお世話してもらうのは止めたんです。使用人さん達も私じゃなくて、王宮に仕えている人達ですから、誰かに告げ口する可能性だってあるし」

 

 

大輝「…………」

 

 

つまり、自分が此処にいることを他の人間に知れ渡らないように使用人まで追い払ったという事か。

 

 

自分を油断させる為にそうしているのか、ただ単に甘いだけなのかと考える大輝だが、そんなの考えるまでもないかと馬鹿馬鹿しく思えて溜め息を吐いた。

 

 

大輝「まあいいか……しかし、この部屋には台所なんてあるのかい?」

 

 

シュレリア「ありますよ、基本お菓子を作ったり紅茶を煎れたりする時にしか使わないんですけど、たまにお料理とか作ってくれたりしてましたし」

 

 

大輝「成る程……」

 

 

だったら一通りの材料等は台所に揃ってあるという事だろう。それならこの部屋に閉じ込められていても二週間は何とか持つかもしれないと、大輝がそう考えているとシュレリアが席を立って台所へと向かっていく。

 

 

シュレリア「それじゃあ、今からお粥でも作ってきますね?楽しみに待ってて下さい♪」

 

 

そう言ってシュレリアは鼻歌を口ずさみながら台所に向かっていき、それを見送った大輝は天井を仰ぎながら……

 

 

大輝「……こういう展開に限って、超最悪な料理が出てくるのがお約束だよなぁ……」

 

 

……と、この後起こる展開を軽く予想していたのだった。

 

 

 

 

 

 

◆◇◇

 

 

 

 

 

数十分後……

 

 

シュレリア「出来ましたー!ささ、たぁーんとお食べ下さい♪」

 

 

大輝「……………」

 

 

そう言って台所から出てきたシュレリアはお粥が入ってると思われる鍋をベッドの横のテーブルに置き、蓋を勢いよく開いた。しかし大輝は鍋の中身を見た瞬間顔が固まり、微塵も動かないままジッと鍋の中を見つめていた。何故なら……

 

 

 

 

 

 

―ボゴボゴボゴボゴボゴボゴボゴボゴボゴッ……―

 

 

 

 

 

 

大輝「……………」

 

 

 

 

 

 

……コレハイッタイナンダロウカ?と、海道大輝は目の前に置かれた物体を見て思わず自問自答した。

 

 

彼女がお粥と言っていたからお粥だと思うのだが…………………正直コレは…………………

 

 

大輝「……あのさ……これってお粥なのかい?」

 

 

シュレリア「え?そうですよ?お粥に見えませんか?」

 

 

大輝「見えないも何も……これもう見た目的にアウトだろう?お米とか煮込み過ぎてスープみたいになってるし……」

 

 

そう、ぶっちゃけて言うが見た目からしてもうお粥に見えんのだ。お粥なのに米が『一切』入っていないと思いきや、良くみれば米は全部スープみたくドロドロに溶けてるし、あと火にも当てていないのにボゴボゴいってるし……

 

 

大輝「……一応聞くけど……君、料理の経験は?」

 

 

シュレリア「あ……えーっと……使用人さんが料理しているのを……ちょびっと見た程度で……」

 

 

大輝「……ああもう良いよ、大体分かったから……」

 

 

視線をあちらこちらに泳がせながら歯切れ悪く告げたシュレリアに大輝は思わず頭を抱えたくなった。

 

 

大体予想は着いていたが、やはり彼女に料理スキルなんて器用な技術は備え付けられていなかったようだ。

 

 

しかし、だからと言ってコレは流石にないのではないか?

 

 

お粥なんて料理の中でもスタンダードな部類(大輝からして)に入る筈なのに、 それすらまともに作れないとなると…………これはもう壊滅的である…………

 

 

シュレリア「あ、あの……もしかして、お気に召さなかったですか……?」

 

 

大輝「…………」

 

 

不安そうに顔を覗き込んでくるシュレリア。

 

 

正直コレを食べるのはかなり気が引けるのだが、お粥が完成するまで待たされていた間に胃袋はいい具合に腹を空かせている。

 

 

それにどうせ別の物を作らせてもまた失敗するに決まっているし、今より酷い物に仕上がったら自分の命が危ないかもしれない。

 

 

下手な駆け引きするよりも、まだ無難と思われる物を選んだ方が良いだろうと、大輝は諦め半分で溜め息を吐きながらテーブルの脇に置かれた小さい器とレンゲを手に取り、鍋のお粥を器に移して一口食べてみた。

 

 

シュレリア「ど、どうですか……?」

 

 

大輝「……………………………………凄いね…………感動したよ……………」

 

 

シュレリア「ッ!ほ、本当ですか?!」

 

 

大輝「ああ……………此処まで食材を殺しきるなんてそうそう出来ないだろうね……………」

 

 

シュレリア「……へ?」

 

 

無表情で淡々とした口調でそう言った大輝の言葉にシュレリアは思わず目が点となると、すぐに正気に戻り慌ててもう一本のレンゲでお粥を掬い口に運んだ。

 

 

………………………一言で言おう………………『無』だった。

 

 

味も何もない、ただドロドロとした食感があるだけでそれ以外に何も味がない。

 

 

米以外にもネギやら何やら加えた筈なのに、その味すらない。

 

 

そう……これは……

 

 

これが俗に言う、幻想殺しならぬ……『食材殺し』であるっ!!(ジョージ風)

 

 

シュレリア「――ハッ?!な、なんでしょう今の……何だか無償にマーボー豆腐が食べたくなるような声が……?」

 

 

大輝(……可哀相に……あまりの衝撃にワケの分からない電波を受信したみたいだねぇ……)

 

 

意味不明な発言をしながらレンゲを片手に辺りを見回していくシュレリアに哀れみの視線を送る大輝。その視線にハッと気付いたシュレリアは恥ずかしそうに縮こまってしまった。

 

 

シュレリア「えっとぉ……す、すみません!こんな筈じゃなかったんですけど、その……このままお下げしましょうか……?」

 

 

自分でも正直これはないと思ったのか、申し訳なさそうに頭を少し下げながら器を下げようかと聞いてくるシュレリア。だが、大輝はお粥の入った器をジッと眺めた後……

 

 

大輝「……別に良いさ……これを下げてもらった所でマシな物が出てくる訳でもないし、幸いにも食べられないほどマズイって訳でもないからね」

 

 

シュレリア「……へ?」

 

 

ふぅ、と諦めたように溜め息を吐いて言うと、シュレリアは思わず首を傾げた。しかし大輝はそんな彼女に構わず再びレンゲを取って黙々とお粥を口へと運んでいき、シュレリアはそんな大輝を見て暫く呆然としてると、自然と笑みをこぼしながら大輝の顔を見つめていたのだった。

 

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

 

それから数時間後、何とかお粥を完食して二度寝していた大輝は夕方頃にふと目を覚まし、喉が乾いたのでシュレリアに水を頼もうとしたが、シュレリアは部屋の隅のソファーで規則正しい寝息を立てながら眠っていた。仕方ないので、大輝はまだキシキシと痛む体を抑えながら水を取りに行こうと台所に足を踏み入れたのだが……

 

 

大輝「………………何だ、これは………………」

 

 

台所に入ってすぐ、大輝は目の前に広がるソレを見て思わずそんな言葉を出した。

 

 

まだ目覚めたばかりだから瞼を半開きだが、内心では視界に入った台所の現状を見てオメメパァーッチリ☆的な心境だった。何故なら……

 

 

 

 

 

 

………床には無数の野菜の残骸と散りばめられた米、流し台には汚れたフライパンや鍋、食器等が山積みに置かれ、その近くには何か肉や魚やマムシやら色んな物体がはみ出たミキサー、トドメにガスコンロにはドでかいカレー鍋がズッシリと置かれ、其処から何とも言えない異臭が漂っていたからだ………

 

 

 

 

 

 

大輝「……料理どころか、後片付けすら出来ないのか……あの王女様は……」

 

 

余りの惨状に流石に言葉も出ない大輝は何とも言えない表情でそう言うと、今度はゆっくりと天井を仰いだ。其処には……

 

 

大輝「――それに……どうやったらあんな所にあんなモノを突き刺せるのか……是非とも教えてもらいたい物だねぇ……」

 

 

…………其処には、何故か天井に一本の包丁が根本まで深くぶっ刺さっていたのだった…………

 

 

 

 

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