仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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番外編/仮面ライダーディエンド~怪盗と王女と幻の秘宝~③

 

 

 

奇妙な共同生活が始まってから早四日目……

 

 

大輝(――ふむ……身体の傷も大分良くなってきたみたいだね……)

 

 

時刻は9時半過ぎ。目覚めた大輝はベッドに腰掛けながら身体の傷の具合を確かめていき、次に手の平を握って開くと同じ動作を繰り返していく。

 

 

大輝(……けど、三日目も寝ていたせいで身体も鈍ってきてる感じがするな……明日辺りには軽い筋トレでもしておいた方がいいかもしれないね……)

 

 

全快してもう一度エレメンタルストーンを盗もうと試みて、体が鈍っていたせいでまた失敗してしまった、なんて事になれば笑い話にもならない。そうならないように軽い運動はしておくかと、脳の端っこで適当に考えながら顎に手を当てた。

 

 

大輝(それにしても、一体何だったんだろうね、あの時のアレ……)

 

 

そう考えながら思い出すのは、あの時エレメンタルストーンを盗もうとした時に襲ってきた光弾。あれさえなければ自分はこんな所に二週間も滞在せずに済んだのに、一体何だったのだろうか?

 

 

大輝(魔法って感じじゃなかったしな……それにあの時、俺以外にも誰かがあの部屋にいたって事だし……一体何者だったんだ?)

 

 

あの時、見回りや見張りをしていた兵士を除いた王宮の人間は全員眠っていた筈だ。なのにあんな時間帯に自分以外の人間があの部屋にいて、しかもエレメンタルストーンを盗もうとした自分を攻撃してきた。

 

 

ならばあの場にいたのは王宮の人間か、それともお宝を盗まれては困る別の人間か……

 

 

大輝(しかし……どう考えてもアレは人間業じゃない……魔法ではないし、拳銃といった飛び道具でもなかった……何者なんだ?)

 

 

険しげに眉を寄せながら、大輝はあの時自分を襲った人物について深く考え込んでいく。と、そんな時……

 

 

 

 

 

 

 

 

「~~~~~~♪♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

大輝「……?謳?」

 

 

 

 

深く思考に浸っていた大輝の耳に、不意に優しい声音の謳が届いた。それを耳にした大輝は意識を現実に戻され、訝しげに首を傾げながら謳が聞こえてくるバルコニーに顔を出した。其処には……

 

 

 

 

 

 

シュレリア「Ich weiss nicmt was soll es bedeuten. Das ich so traurlg bin~♪」

 

 

 

 

 

 

大輝(……あれは……)

 

 

 

其処には、バルコニーから空を見上げながら綺麗な謳を紡ぐシュレリアの姿があったのだ。更にその近くには、彼女の謳に誘われてきたかのように空から小鳥達が降りてきていた。

 

 

大輝(?結界が張られてるのに鳥達が……もしかして、この結界は人間に対してしか有効しないのか?)

 

 

次々とシュレリアの側に降りてくる小鳥達を見て大輝は結界を見上げながら予想し、再びシュレリアへと視線を戻していく。

 

 

シュレリア「…Der Gippel des Berges funkelt. Im Abendsonnenschein~♪」

 

 

大輝(ほぉ……悪くない歌声だ……)

 

 

まるで謳に合わせるように暗い顔、寂しい顔、明るい顔、嬉しい顔、凛々しい顔と、コロコロと表情を変えながら歌っていくシュレリアを見て珍しく素直にそう思う大輝。シュレリアはそんな大輝に未だ気付かず、楽しそうに謳を続けていく。

 

 

シュレリア「Ein Maerchen aus altenZeiten. Das kommt mir nicht aus dem Sinn~♪…………あれ?泥棒さん?」

 

 

謳を歌い終えると共にシュレリアは背後からの視線に気付き、部屋から自分を見ている大輝に気付いて振り返った。それと同時に彼女の側に集まっていた小鳥達が一斉に空へと羽ばたき、大輝はズボンのポケットに両手を突っ込みながらバルコニーに出た。

 

 

大輝「上手いじゃないか……いつもそうやって此処で歌ってるのかい?」

 

 

シュレリア「あ、あはは、聞かれてましたかυυ……まぁ、いつもって訳じゃないんですけど、たまぁーに此処で練習してるんです。ちゃんと練習しておかないと、魔法が上手く使えないから」

 

 

大輝「?魔法……?」

 

 

シュレリア「……あ、まだ言ってませんでしたっけ?私の魔法は他の人と違って、魔法を使う時に謳を紡がないと使えないんですよ。だから、小さい頃から魔法と一緒に謳も教えられたんです」

 

 

大輝「……あっそう……」

 

 

少し照れながらそう言ったシュレリアに大輝は興味なさそうに相打つを打つが、シュレリアから視線を逸らしながらある事を思い出していた。

 

 

大輝(そういえば……この世界を救った伝説の聖女も謳を使った魔法を使えてた、とか聞いた事あるな……だから生まれ変わりの彼女も、幼少の頃からそういう教育を受けてきたってワケか……)

 

 

この世界に来る前に調べた情報を思い出して納得しかけた大輝だったが、其処である疑問も一緒に思い出した。

 

 

大輝「――そう言えば、ずっと気になってたんだけどさ……君、なんでこんな所にいるんだい?」

 

 

シュレリア「……へ?何がですか?」

 

 

いきなり唐突な質問をされたシュレリアは頭上に?を浮かべて思わず聞き返し、大輝は目付きを鋭くさせながら言葉を続けた。

 

 

大輝「ずっと疑問に思ってたんだよ。どうして多国のお姫様が、このレデグレアにいてこんな王宮の部屋に閉じ込められているのか、ってね……」

 

 

シュレリア「……っ!」

 

 

眉をひそめながら軽い口調で自身がずっと感じていた疑問を口にする大輝。そのことを問われたシュレリアは一瞬驚いたように目を見開いた後、複雑そうに顔を俯かせながら口を閉ざしてしまった。

 

 

大輝「…ま、単純に疑問に思っただけだから、嫌なら無理して話さなくてもいいよ。俺からしても別に君の話はどうだっていいし」

 

 

シュレリア「…………」

 

 

一番重要なのはエレメンタルストーンだけだからねぇ~と、内心付け足して本当にどうでもよさそうに片手を振りながらシュレリアの隣を通りすぎて風景を眺めていく大輝。すると……

 

 

シュレリア「……私が此処にいるのは……その……このレデグレアの王子に嫁ぐからなんです……レイディアントを守る為に……」

 

 

大輝「…………」

 

 

ボソッと、ちょっとの風が吹いただけで掻き消されてしまうのではと思ってしまう程、か細い声でシュレリアは告げた。それに対して大輝は風景を眺めたまま何も言わず、シュレリアは胸に手を当てながら話を続けた。

 

 

シュレリア「知ってますよね?レイディアントは平和主義を貫き通している為、その軍事力は他の国よりも劣っています……それでも交通の要衝という地理的な理由から商業が栄え、様々な人達や物資の集まる重要な商業都市として、他の国とも友好的な関係を築き上げたんです。それはこのレデグレアも例外でありませんでした……ですが……」

 

 

不意に、シュレリアの言葉が詰まった。それでも大輝は何も言わず、シュレリアは暫く沈黙が流れてから再び語り出した。

 

 

シュレリア「……数ヶ月前、このレデグレアの先代の国王が病で突然倒れ、亡くなってしまったんです……それからこの国の第一王子であるアーベルト・ジ・レデグレア王子が王座に着いたのですが……アーベルト王子は自らを皇帝と名乗り、交通の要衝となるレイディアントに向けて侵攻したのです……」

 

 

ギュッと、手の平を握る様な音が背中越しに聞こえた。それがシュレリアが手の平を更に握り締めた音だと、大輝はすぐに理解した。

 

 

シュレリア「軍事力に劣るレイディアントはレデグレアに対抗する程の力を持っておらず、戦況はレデグレアが一方的に優勢でした……そして国が壊滅の危機に陥た時、アーベルト王子はある交換条件を申し出てきたんです……『このまま国を滅ぼされたくなければ、レデグレアと同盟を結び、レイディアントに伝わる秘宝を寄越せ』と……」

 

 

大輝「……へぇ……」

 

 

シュレリア「勿論父は拒否しましたが、このままではレイディアントが滅びると恐れた私は、父を説得してアーベルト王子の申し出てを受けることにしたんです……そしてレイディアントはレデグレアと同盟を締結し、エレメンタルストーンはレデグレアに引き渡され、私はアーベルト王子との政略結婚の為に此処へ……」

 

 

大輝「……なるほど……要は、君は人質として此処にいるって訳か……」

 

 

もしレイディアントが他の国と密かに手を組み、レデグレアに攻め入った場合は彼女を処刑する。要はレイディアントへの牽制の為に、彼女は此処に閉じ込められているという事だろう。

 

 

大輝「じゃあ、二週間後に外に出られるっていうのは……」

 

 

シュレリア「はい。その日にアーベルト王子との婚式が行われるんです……」

 

 

大輝「……そういう事か……漸く合点がいったよ」

 

 

他国の王女である彼女が此処にいる理由、二週間後に外に出られる訳など、様々な疑問が一気に解消されてスッキリしたように息を吐く大輝。だが、其処で一つ新たな疑問が生じ、大輝は再び険しい顔を浮かべた。

 

 

大輝「……けど分からないなぁ……何故エレメンタルストーンをそんな簡単に手放したんだ?アレはかなり価値のあるお宝の筈だろう?」

 

 

シュレリア「……そうですね……確かにアレは、代々城に受け継がれてきた大事な価値のある秘宝です……だけど私達には、秘宝よりもっと大事で、命を懸けてでも守りたい物があるんです……」

 

 

大輝「ッ!何だって?」

 

 

エレメンタルストーンより大事で、命を懸けてでも守りたい物がある。そう聞かされた大輝は思わず振り返りながらシュレリアに聞き返すが、シュレリアは既に部屋に戻ろうと歩き出していて大輝の声が聞こえていなかった。

 

 

大輝「……エレメンタルストーンより大事な物?馬鹿な、そんな物ある筈がない……」

 

 

きっと出鱈目に決まってると、大輝は呆れた様に笑いながら背後へと振り返って此処から見えるレデグレアの町を眺めていき、シュレリアはそんな大輝の背中を見て若干苦笑すると、そのまま部屋に戻ってソファーに横たわっていったのだった。

 

 

 

 

 

 

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