仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT 作:風人Ⅱ
奇妙な共同生活が始まってから一週間と二日目……
エルクの訪問から二日後、シュレリアから絶対安静!と言い渡された大輝は現在退屈そうな顔でベッドに横たわっていた。
大輝「……暇だなぁ……」
此処に閉じ込められてから一週間が過ぎ、怪我も殆ど治ってきてそう思えるようになっていた。ホントなら暇つぶしにと二日前のように筋トレでもしたいのだが、シュレリアに見つかればまた煩く言われるのでそれも出来ない。(実際、この二日間シュレリアの目を盗んで何度か筋トレしていたが、その度に彼女に見付かって何度も説教された)
大輝「……それにしても、エレメンタルストーンより大事な物……か……」
何もすることがなく、ただジッと天井を見上げていてふと脳裏に走ったのは、前にベランダでシュレリアが言っていた言葉だった。あの時の彼女は、エレメンタルストーンより大事な物があると言っていた。あれだけの価値があるお宝より、もっと価値がある物があると……
大輝「……馬鹿馬鹿しい。そんなものが存在する筈がない……」
あの宝石はこの世界で一番の価値を持つお宝だ。それより価値があるお宝が存在するわけがないと、大輝はあの時のシュレリアの発言をくだらないと思いながら寝返りを打って腕を枕にした。その時……
『ぴにゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーっっ?!!!』
―ドガラガシャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!!!―
大輝「…………」
……何か、洗面所の方から間抜けな悲鳴と轟音が響き渡ってきた。また何かやらかしたのか……と呆れ半分大体予想が付きながらも、大輝は徐にベッドから立ち上がり洗面所へと足を踏み入れた。其処には……
大輝「……今度は何をやってるんだ、君は?」
シュレリア「アイタタタッ……あ、ど、泥棒さん?!」
洗面所に入ってすぐ視界に入ったのは、何やら大量の洗濯物を床に撒き散らし、その一部に押し潰されているシュレリアの姿だった。大輝はそんな間抜けな格好の彼女に呆れた視線を送りつつ、足元に散りばめられた洗濯物を見回していく。
大輝「随分酷い有様だねぇ……何をどうすればこんな風になるんだい?」
シュレリア「え、えーっとですね……ただ普通に洗濯機に洗濯物を入れようとしただけなんですけど、中々全部入り切らない物だから無理矢理押し込んでみたら……洗濯物がいきなり全部飛び出してυυ」
大輝「こうなった訳か……何のコントだい、コレは?」
洗濯物をぎゅうぎゅうに押し込んだら物凄い勢いで飛び出したとか、ひと昔前のコントでしか見た事ない。それを自然とやってのけるシュレリアに大輝も呆れを通り越して尊敬してしまうが、とりあえず床に散らばるこれ等をどうにかせねばと思い腰を屈めて洗濯物を拾い集めていく。
シュレリア「あ、い、良いですよそんな事しなくても!後は私がやっておきますから、泥棒さんは休んでて……!」
大輝「休みたいのは山々なんだけどさ、君に任せてても終わりっこないだろう?また間抜けな悲鳴を聞かされて起こされるのもごめんだし、どうせまた同じ事になると思うし」
シュレリア「そ、そんなこと!」
大輝「ないって言い切れるのかい?絶対に?」
シュレリア「うっ……」
大輝に軽くジト目で睨まれ、シュレリアは思わず口を閉ざした。恐らく『絶対に失敗しない』とは言い切れないのだろうと思いながら、大輝は洗濯物を拾い上げて近くに置かれた籠の中に投げ入れていく。
大輝「それにしても、料理や洗濯も満足に出来ないなんてねぇ……ちゃんと花嫁修行とかしてこなかったのかい?」
シュレリア「ぅ……はい、残念ながら……υυ」
大輝「あっそう……まぁ、あんなゲテ物食わされて、大体予想は付いてたけどさ……っていうか良くそんなんで嫁に出ようだなんて思えたね?俺だったら、君みたいな人を嫁には迎えるのは御免だよ」
シュレリア「うっ……」
大輝「今もまだお粥程度しか作れないんだろ?全く、料理が出来ない女性なんて男に好感持てないよ?ま、実際俺も君に好感持ててないし」
大輝はそう呟きながら此処に閉じ込められてばかりの頃に食べさせられたお粥を思い出し、シュレリアも同じ事を思い出したのか閥が悪そうに顔を俯かせてしまい、「うぅ~…」軽く唸り声を上げながら大輝を涙目で睨みつけた。
シュレリア「そ、そんなに言うなら泥棒さんも作ってみればいいじゃないですか!簡単に言いますけど、お料理って結構難しいんですよ?!」
大輝「んー、俺としては別に構わないけど……良いのかい?確か絶対安静って言い渡された記憶があるんだけど?」
シュレリア「私が傍で見てますから問題ありません!ついでに泥棒さんの欠点をバンバン見付けてあげますから覚悟しておいて下さい!」
王女とか聖女とかそれ以前に、女として色々ダメ出しされて悔しいのか、涙目になりながらビッ!と大輝を指差して高らかに宣言するシュレリア。そんなシュレリアを見た大輝は含み笑いを漏らすと……
大輝「……別に構わないけどさ、君に俺の欠点を見つけるなんて出来ないと思うよ?」
自信に満ちた口調で、そう告げたのであった。
◇◆◆
それから数十分後、取りあえず洗濯物をすべて洗濯機に入れて回した後、大輝は料理を作る為にシュレリアと共にキッチンに入っていた。そして、大輝の欠点を見つけようと意気込んでいたシュレリアに終始見つめられながら作って完成した料理は……
シュレリア「――オムライス……ですか?」
場は部屋へと戻り、椅子に座ったシュレリアは目の前のテーブルに置かれた料理を見てそう呟いた。彼女の前に置かれたのは半熟の卵をチキンライスの上に乗せ、綺麗な木葉型に整形されてデミグラスソースをかけた料理……一般世間でオムライスと呼ばれる料理だった。
大輝「有り合わせの物で手早く作れそうなのがそれしかなくてね。俺的には、君よりずっと上手い出来だと思うけど?」
シュレリア「むぅ……」
挑発的な態度で言いながら大輝はスプーンを差し出し、シュレリアはあからさまに馬鹿にされてると感じて口先を尖らせながらスプーンを受け取ると、目の前のオムライスに目を戻した。
シュレリア「ま、まあ……確かに見た目は私より上手く出来てると思いますけど……でも肝心なのは味です!味がなってなければ折角綺麗なオムライスも台なしなのですよ!」
どっかの料理評論家みたいな物言いでスプーンの先でオムライスを突きながらそう言うと、『いただきます!』と強気な口調で声を出した後にオムライスを口に運んだ。その瞬間……
シュレリア(……っ?!!こ、これは……っ?!)
オムライスをひとくち口に含んだ瞬間、シュレリアの脳裏に稲妻が駆け走った。
シュレリア(お、美味しい……なんですかこれは?!見た目は普通のオムライスで手早く作ったって言ってたのに、それでこの味ですか?!)
自分も以前一流のシェフ達に作らせた様々な料理を食べてきたが、此処まで美味しい料理なんて一度も食べた事がない。シュレリアは驚きと衝撃を隠せず呆然とオムライスを見つめ、それに気付いた大輝は笑みを漏らしながらシュレリアの顔を覗き込んだ。
大輝「どうかな?せっかくだから感想を聞かせてもらえると嬉しいんだけど?」
シュレリア「……そ、そうですねぇ……な、中々良い出来だと思いますよ?味もしつこくないし、このデミグラスソースも中々ですし、全然食べられないほどまずくもないですしっ……」
大輝「率直に言うと?」
シュレリア「大変美味しゅうござました(泣)」
一瞬美味しくないと嘘付こうかとも考えたが、やはりそんなこと出来る筈もなく悔し涙を流しながら俯いてしまうシュレリア。大輝はそれを聞いて満足げな笑みを浮かべながら、テーブルに腰を下ろした。
大輝「まぁ、当然と言えば当然だけどねー?君と俺とじゃ腕の差が全然違うワケだし♪」
―グサッ!―
大輝「第一お姫様だからと言って、家事が出来ないのは女性としてどうかと思うよ?そういうのを世間でなんて言うか知ってるかい?ダメ女って言うんだよ?」
―グサグサッ!!―
大輝「家事はまともに出来ず、料理もお粥しか祿に作れない……将来的にも考えて、そんな人間と結婚するなんて俺は嫌だなぁー」
―グサグサグサッ!!!―
溜まりに溜まった鬱憤を晴らすか如く、大輝は遠回しな嫌みを次々と口にしていき、その度に見えない何かによって背中を刺されまくったシュレリアは……
シュレリア「――うっ……うぅ……うえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーん!!!泥棒さんのお馬鹿ぁ!!!オタンコナスゥゥゥゥーーーーーっっ!!!(泣)」
結局欠点も見付けられず、言われるがままに馬鹿にされて「えぇーん!」と子供みたいに泣きながら椅子から飛び出し、そのままキッチンの奥へと走り去ってしまったのであった。
大輝はそんなシュレリアを楽しそうに見送ると、シュレリアが残したオムライスをスプーンですくって口に運び、「今日はイマイチかな?」などと呟いていたのだった。
因みにこの数時間後……
シュレリア「このままじゃ引き下がれません!!見てて下さいよ泥棒さん!!私はもう絶っっっっ対に負けませんからね!!」
大輝(…………また面倒な事になってしまったな…………)
……大輝に色々と言われて彼女の中の負けず嫌いに火が付いたらしく、女として磨きを掛ける為に全力で家事を行うシュレリアの姿があったとか……