仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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番外編/仮面ライダーディエンド~怪盗と王女と幻の秘宝~⑦

 

 

奇妙な共同生活が終わり、遂に迎えた婚式の日……

 

 

天気はこれ以上にないほどの晴天。国内にはレデグレアの民達も含め、シュレリアとアーベルトの婚式を祝おうと様々な国から国王や民達が訪れていた……とは言っても、殆どの人間はこの政略結婚に納得がいかない様子だったが。そして、とある怪盗と王女が二週間を共に過ごした部屋では……

 

 

 

 

 

 

シュレリア「……………」

 

 

 

 

 

 

其処には、部屋に置かれた化粧台の前の椅子に物静かな様子で座る少女……シュレリアの姿があった。彼女は今、婚式に備えて美しい純白のドレス……ウェディングドレスを纏い、一流の美容師達の手によって化粧も施し、正に可憐な花嫁という名が相応しい姿になっていたが、彼女の顔は暗く沈んでいた。

 

 

シュレリア「……式まで、あともうすぐ……か」

 

 

式が始まるのは午前十時。今の時刻は九時半だから、あと30分で式が開かれる。部屋の壁に立て掛けられた時計の針を見つめながらそう考えると、シュレリアは腿に乗せたアルバムを開いた。

 

 

シュレリア「……これで、良かったんですよね……これが皆を守れる……唯一の方法なんだから……」

 

 

アルバムの写真に写るのは、彼女がレイディアントの国王や民達と共に過ごした頃を写した物。写真に写る彼等の表情はどれも楽しげで、笑顔を浮かべている。彼等がこれからもこうして笑っていられる様になれるには、自分がこの道を選ぶしか方法はない。シュレリアは決意を改める様にそう考えると、顔を上げて無人のベッドを見つめた。

 

 

シュレリア「泥棒さん……無事に逃げられたかな……私が起きた時にはもう抜け出したみたいだけど」

 

 

この部屋に張られていた結界は二週間でその効力を失い、自動的に消える仕組みになってる。自分が目覚めた時には既に彼の姿は何処にもなかった。恐らく結界が消えてすぐに何処かへと去ってしまったのだろう。

 

 

シュレリア「お別れの挨拶も出来なかったし、名前も結局教えてもらえなかったけど……泥棒さん、無事に逃げ切って下さいね……」

 

 

今一番に願うのは、名も知らない彼が無事に逃げ切ること。どうか王宮の者達には見付かりませんようにと、神に祈るように両手を組んで強く望むシュレリア。そんな時……

 

 

―コンコン、ガチャッ―

 

 

エルク「――姫様……そろそろお時間です……」

 

 

シュレリア「……はい、分かりました……」

 

 

ノック音の後に入口の扉が開いてエルクが現れ、時間だと聞かされたシュレリアはゆっくりと椅子から立ち上がって部屋から出ようとする前に、一度振り返って彼と二週間を共に過ごした部屋を見渡し、部屋を後にしたのだった。

 

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

 

同じ頃、王宮の宝物庫の前では……

 

 

「ふぁ~……ったく、一晩中見張りさせられるなんて……めんどくせえなぁ……」

 

 

そう言ったのは、宝物庫の前で見張りをしている王宮の兵士の一人。口を開けて欠伸をする兵士の言葉を聞き、もう一人の兵士は溜め息混じりに口を開いた。

 

 

「しょーがないだろ?先日の賊の事もあって警備を怠らないようにって言われたし、また賊を入れでもしたら俺らのクビが飛ぶんだぞ?」

 

 

「そうだけどさぁ……でもこの二週間、賊の足取りは全然掴めてないんだろう?だったらもうレデグレアにはいないんじゃないか?」

 

 

「あんな深手を負っていたのにか?有り得ないだろ?それに王宮から脱出した形跡もないって言うし……」

 

 

「じゃあまだ王宮内に潜んでるってか?それこそ有り得ないだろ?二週間も掛けて王宮の中を隅々まで探索したんだぞ?それで見つからないなんて―――」

 

 

以前王宮に侵入した賊……大輝の行方について話し合う二人の兵士。と其処へ、通路の角から一人の兵士が現れ二人の下に近付いてきた。

 

 

「お疲れ様です。そろそろ交代の時間ですが……」

 

 

「お、やっとか?悪いなぁ……ん?もう1人はどうした?」

 

 

「もう1人は腹を下して今トイレに行っており、もう直ぐ此方に向かうとのことです」

 

 

「そうか……んじゃ、俺らは仮眠を取って来るから、後は任せたぞ?」

 

 

ポンッとすれ違う際に肩を叩き、二人の兵士は兵士に後を任せて仮眠を取る為に休憩室へと向かっていった。そして兵士は二人を見送ると、鎧の懐から鍵を取り出して扉に掛けられた鎖の鍵穴に鍵を差し込んで鍵を解除し、部屋の中に入って頭に被っていた甲冑を脱ぎ取った。

 

 

 

 

 

 

大輝「―――前よりマシになってるかなって期待してたんだけど……大して変わってないね。拍子抜けだ」

 

 

 

甲冑を脱ぎ取った兵士……いや、兵士に変装した大輝は鎧の締まりを緩めながら軽く息を吐くと、そのまま周りにあるガラスケースに保管された宝石を無視して奥にあるガラスケース……エレメンタルストーンへと近付いて目の前に立った。

 

 

大輝「ふむ……成る程ね、ガラスケースには防止用の魔法が何重にも掛けられているようだね……でも――――」

 

 

大輝は防止魔法を何十重にも掛けられたガラスケースを見てニヤリと笑い、何処からかディエンドライバーを回転させながら取り出しガラスケースに向けて発砲し、ガラスケースを容易く破壊した。

 

 

大輝「――俺には何の意味もないね」

 

 

木っ端微塵に吹っ飛んで床に散らばったガラスケースを見下ろしながらそう呟くと、大輝はドライバーを腰に仕舞ってエレメンタルストーンを手に取った。

 

 

大輝「漸く手に入れたよ、この世界のお宝!」

 

 

漸く手に入ったエレメンタルストーンを手に取りながら子供のように嬉しそうに笑う大輝。これでもうこの世界に用はないと、大輝はエレメンタルストーンを手にしたまま部屋を後にしようとするが……

 

 

 

 

 

 

 

―……だから私は思うんです……本当の宝はエレメンタルストーンではなく、エレメンタルストーンが生まれるきっかけとなった、自分が守りたいと思う人達……民達が幸せに暮らす国なんじゃないかって―

 

 

 

 

 

 

 

大輝「………………」

 

 

 

 

 

 

 

部屋を出ようとした瞬間、何故か脳裏に昨日のシュレリアの言葉が過ぎっていったのだ。それを思い出した大輝は笑みを消して思わず足を止めてしまうが、エレメンタルストーンをジッと見つめた後に再び歩き出し静かに部屋を後にしたのだった。

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

―レデグレア・市街地―

 

 

宝物庫を後にし、私服姿に戻った大輝は王宮を上手く抜け出し、婚式が行われる王宮へと向かう人々の間を抜けながら歩いていた。

 

 

大輝(……国がお宝?国を守りたいから犠牲になる?馬鹿馬鹿しい……そんな物に何の意味が……)

 

 

昨日のシュレリアの言葉が脳裏を何度も駆け巡り、それを馬鹿馬鹿しいと否定しながら大輝は黙々と街中を歩き続けていた。とそんな時……

 

 

―ドンッ!!―

 

 

「きゃあっ?!」

 

 

大輝「……っ!」

 

 

思考に浸りながら歩いていた大輝の肩が一人の女性とぶつかり、女性は少しよろめきながらも何とか態勢を立て直すと、大輝に向けて慌てて頭を下げた。

 

 

「ご、ごめんなさい!ちょっと考え事してて……あの、大丈夫ですか?」

 

 

大輝「……あぁ、別になんとも」

 

 

ペコペコと必死に頭を下げ続ける女性に大輝は溜め息を吐きながらなんともないと答えると、女性の格好を見て訝しげに眉を寄せた。彼女の格好は、共同生活の中でシュレリアが無理矢理見せてきたアルバムに載っていた民達が着ている服と何処となくデザインが似ている。シュレリアも話していたが、この格好はレイディアント独特の文化が作り上げた服装らしく、他の国の人間が着ている事は余りないらしい。つまり……

 

 

大輝「――君、まさかレイディアントから来たのか?」

 

 

「え?……あ、はい、今日の式を観に来まして……あの、もしかして貴方も式を観に?」

 

 

大輝「……まあね……レイディアントとレデグレアのこれからにとっても重要な式だし、ちゃんと観ておかないといけないだろ?」

 

 

本当はそんなつもり等ないが、此処は話を合わせた方が無難だと思いそれっぽく話す大輝。だが……

 

 

「―――でも正直……私はこんな式、納得出来ませんよ……」

 

 

大輝「……?」

 

 

暗い様子でポツリと呟いた女性に大輝は頭上に疑問符を浮かべ、女性は悲しげに眉を寄せながら王宮を見つめた。

 

 

「シュレリア様は、私達やレイディアントを守る為に、仇であるあんな王子に嫁ぐ事になったんです……可笑しいじゃないですか……国を守る為とは言え、どうしてそれでシュレリア様が犠牲にならなきゃいけないんですかっ……」

 

 

大輝「…………」

 

 

悔しげに両手に持つ荷物の取っ手を握り締める女性。大輝はそれを無言で見つめ、女性は顔を俯かせながらポツポツと話し始めた。

 

 

「……私の家、以前は普通に食べていくのもやっとってぐらい貧しかったんです……弟や妹達を食べさせてあげたいのに働くところも見つからなくて……本当にどうしようって思ってた時に、お忍びで町にやって来たシュレリア様とお会いしたんです」

 

 

大輝「…………」

 

 

「最初は凄く驚いたけど、シュレリア様は普通に私と接してくれて、真剣に私の悩みを聞いてくれた上に、更には会ったばかりの私の為に働ける所を探してくれて、お陰で弟や妹達を食べさせていけるようになったんです……」

 

 

懐かしそうにシュレリアとの出会いを話す女性だが、その声は何処となく哀しみが入り混じってるように聞こえる。

 

 

「シュレリア様はいつもそうでした。いつも困ってる人を見れば、その人に手を差し延べて、嫌そうな顔を一つもしないで助けてって……本当に、私達民の事を大事に思ってくれる人なんです……だからあの人は幸せにならないといけない、幸せになるべきなのに……こんなのってないですよっ……」

 

 

大輝「……君は……よほどあのお姫様の事を慕ってるようだね」

 

 

「当たり前じゃないですか……あの人は、私達とって何物にも換え難い……国の秘宝なんかよりずっと価値のある、私達の宝なんです……」

 

 

大輝「……っ!宝?」

 

 

悲痛な顔で自身の気持ちをさらけ出すようにそう語る女性。大輝はそんな女性の言葉を聞いて戸惑い、女性は大輝の声を聞いてハッとなった。

 

 

「あっ、ご、ごめんなさい、初対面の貴方に変なこと言って……」

 

 

大輝「……別に。それより早く行った方が良いんじゃないかい?式、もうすぐ始まると思うけど」

 

 

「あ、はい……ぶつかってすみませんでした……それじゃあ、失礼します」

 

 

そう言って女性は大輝に向けて一礼すると、複雑そうな表情のまま王宮へと向かっていった。大輝はそんな女性の背中を見送ると、革ジャンの懐からエレメンタルストーンを取り出した。

 

 

大輝(……彼女は国や民が宝と言って……民は彼女を宝と言った……何故だ?)

 

 

何故この石より価値があると言い切れる?それが理解出来ない大輝が見つめるエレメンタルストーンは淡い光を放ち、それと共に脳裏にある言葉が過ぎる……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―エレメンタルストーンが生まれた経緯は、ごく一部の人間にしか知り渡っていません……ですがその経緯は、聖女が自分の大切な人達を守りたいという『思い』が形になって生まれたと、そう言い伝えられてるんです―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大輝「……思い……宝……成る程ね……」

 

 

 

 

 

 

 

脳裏を過ぎったのは、またあの少女の言葉。エレメンタルストーンを見つめていた大輝はその言葉が過ぎったと共に顔を上げ、何処か力強さが篭められた表情で王宮を見上げたのだった。

 

 

 

 

 

 

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