仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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番外編/仮面ライダーディエンド~怪盗と王女と幻の秘宝~⑫

 

 

 

――広い緑色の草原……

 

 

風が吹き、何処までも無限に広がっていく草原の草が僅かに揺れる。

 

 

青空の下で何処まで続いていくそんな場所に、二人の人物が何の前触れもなく現れた。

 

 

一人はレデグレアの王宮にいた筈のシュレリア、もう一人はそんな彼女を連れて姿を消したディエンドだった。

 

 

シュレリア「――……あ、あれ?此処は……?」

 

 

姿を現してからすぐ、シュレリアは見慣れない草原を見て思わず辺りを見渡した。確か自分は先程までレデグレアにいた筈なのにと。シュレリアが困惑しながら周りを見渡してると、ディエンドは無言で歩き出して大輝へと戻っていき、懐からエレメンタルストーンを取り出した。

 

 

シュレリア「……?泥棒さん?」

 

 

大輝「…………」

 

 

エレメンタルストーンを見つめたまま何も喋らない大輝にシュレリアは心配そうに声を掛け、大輝は暫く石を見つめるとシュレリアの方へと振り返って歩き出し、シュレリアの手を取ってエレメンタルストーンを握らせた。

 

 

シュレリア「!泥棒、さん……?」

 

 

大輝「……預けておくよ。それは君が持っていた方が良いだろうしね」

 

 

シュレリア「え?で、でも、泥棒さんはコレのためにレデグレアに来たんじゃっ?!」

 

 

そう、大輝は最初からエレメンタルストーンを盗む為だけにレデグレアに訪れたのだ。そのお宝が手に入ったというのに、それを返すと告げる大輝にシュレリアも戸惑ってしまうが……

 

 

大輝「勘違いしないでくれないか?それは返す訳じゃない。最高に価値ある状態で手に入れたいから、君に一時預けておくだけさ」

 

 

シュレリア「……え?」

 

 

大輝の言葉の意味が分からないのか、疑問げに小首を傾げながら思わず聞き返すシュレリア。そんなシュレリアの様子を見た大輝は、シュレリアの手に握られた石を見つめながら語り出す。

 

 

大輝「怪盗がお宝を盗む時の最大の条件は、盗むお宝が最高に価値のある状態である事だ。だけどその石だけじゃ、最高に価値があるお宝とは言えないんだよ」

 

 

シュレリア「?最高に価値のある状態って……?」

 

 

大輝「決まってるだろう?聖女である君がそのお宝を持っていること……それが、エレメンタルストーンが最高に価値のある状態なんだよ」

 

 

シュレリア「っ……!」

 

 

シュレリアがエレメンタルストーンを持っている事。それがエレメンタルストーンが最高に価値のある状態なんだと、そう告げた大輝にシュレリアは息を呑み、大輝はエレメンタルストーンからシュレリアに目を向けて話を続けた。

 

 

大輝「お宝は、価値のある物でなければならない……少しでも価値が下がれば、例えそのお宝を手に入れても納得はしないし、満足もしない……それが怪盗なんだよ」

 

 

そう言って大輝はシュレリアの前から身体を少しずらし、シュレリアの背中を押して前に出させた。シュレリアはそれに疑問符を浮かべたが、目の前にある光景を見て目を見開いた。其処には……

 

 

 

 

 

 

 

 

シュレリア「――レイ……ディアント……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女の目に止まったのは、遥か彼方に見えるひとつの国。

 

 

二度と帰る事も、この目で見る事もないと思っていた、自分の祖国だった。

 

 

シュレリア「……泥棒さん……どうして……?」

 

 

大輝「さあ?俺はやりたいようにやっただけだ。別に君の為にやったんじゃない……ただ――」

 

 

大輝は呆然と見上げてくるシュレリアにそう言いながら前に出ていき、レイディアントを見つめながらポツリと呟いた。

 

 

大輝「――それなりに興味があるだけさ。君が言っていた、エレメンタルストーンより価値のあるお宝……それを見せてもらう為にも、君が彼処に戻らなければ意味がないだろう?」

 

 

シュレリア「っ!泥棒……さん……」

 

 

エレメンタルストーンより価値のあるお宝を見せてもらう為。そう告げた大輝にシュレリアは僅かに驚くも、すぐに笑みを浮かべていき、大輝はそんなシュレリアを真剣な目付きで見据えながら指鉄砲を向けた。

 

 

大輝「だけど忘れるなよ?俺は別にお宝を諦めたワケじゃない……いつか今より腕を上げて、必ずその石と一緒に君を盗みに来る……憶えておきたまえ」

 

 

シュレリア「……へ?」

 

 

必ず君を盗みに来る。真剣な表情でそう告げた大輝にシュレリアは一瞬唖然となるが、その意味を理解して顔を真っ赤にしてしまう。そんな時……

 

 

 

 

 

 

 

 

「姫様ぁーー!!姫ぇーー!!」

 

 

シュレリア「え?……エ、エルク?」

 

 

 

 

不意にシュレリアを呼ぶ声が響き渡り、二人がその声が聞こえてきた方へと振り返ると、其処にはレイディアントの兵士達と一緒に馬に乗ってこちらに向かってくるエルクの姿があった。エルク達を見たシュレリアは一瞬呆然となるが、すぐにハッ!となって慌てて赤くなった顔を元に戻そうとし、そんな彼女の異変に気付いたエルクは傍らに立つ大輝を睨みつけた。

 

 

エルク「貴様ぁ!!やはり姫様に何かしたのかっ?!絶対取っ捕まえてやるからそこで大人しくしていろぉぉぉぉぉーーーーっ!!」

 

 

大輝「ったく、めんどくさいのが来たな……んじゃ、俺はこの辺で失礼させてもらうよ」

 

 

このままじゃあ首とか跳ねられるかもしれないしと、大輝はシュレリアから背を向けて何もない草原の方へと歩き出した。

 

 

シュレリア「ぁ……まっ、待って下さい!あの、貴方の名前は……?」

 

 

遠ざかっていく大輝の背中を見て思わず呼び止め、口にしたのはずっと彼女が知りたかったこと。その問いを受けた大輝は足を止め、シュレリアの方へと振り返り……

 

 

 

 

 

 

 

 

大輝「―――海道大輝……ただの泥棒さ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

指鉄砲を向けて狙い撃ち、不敵な笑みと共にそう告げたのであった。そしてその直後に一際強い風がその場を過ぎ去り、シュレリアが思わず目を閉じてもう一度目を開くと、目の前には既に彼の姿が何処にもなかった。

 

 

シュレリア「……海道……大輝……それがあの人の……」

 

 

シュレリアは大輝の消えた草原から目を離さず、石を握り締めた両手で胸に触れながら、彼の名を呟いて心に刻むシュレリア。すると其処へ馬に乗ったエルク達が漸くその場へと到着し、馬を降りてシュレリアの下に駆け付けた。

 

 

エルク「姫様!ご無事ですか?!」

 

 

シュレリア「……っ!あ、はい、私は大丈夫ですよ」

 

 

エルク「そ、そうですか……良かったぁ……」

 

 

シュレリアの無事を聞けて安心したのか、肩の力を抜いてホッと一息吐くエルクだが、すぐに何かを思い出して辺りを見渡した。

 

 

エルク「シュ、シュレリア様!アイツは?!あの盗っ人は何処ですか?!今すぐ奴を取っ捕まえないと!」

 

 

シュレリア「あ、そ、その必要はないですよ?あの人は何も盗んでませんから。ほら、秘宝も此処にありますし」

 

 

エルク「え……あれ?……じゃあ……アイツはなにも盗まないで行ったんですか?」

 

 

シュレリア「はい、あの人はただ―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―……いつか今より腕を上げて、必ずその石と一緒に君を盗みに来る……憶えておきたまえ―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シュレリア「あの人はただ……えっと……その……」

 

 

エルク「?姫様?アイツがどうかしたんですか?」

 

 

何故かしどろもどろになるシュレリアにキョトンとした顔で問いかけるエルク。対してシュレリアは「アイツが」と聞かれて思わず顔を赤くしてしまい、それを見たエルクは険しげに眉を寄せた。

 

 

エルク「姫様?……まさか……」

 

 

シュレリア「……は?い、いえ?!なんでもないですよ?!あ、あはははははははは!!///」

 

 

何でもない何でもない!と、顔を赤くにしながら両手をブンブン!と振るうシュレリア。そんなシュレリアから何かを感じ取ったのか、エルクはピキッ!と額に青筋を浮かべた。

 

 

エルク(あ、あんにゃろぉぉぉぉぉぉぉぉぉ…………なんつうモンを盗んでくれとるんだあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーっっ!!!!!)

 

 

心の中で頭を抱えながら叫ぶエルク。同時に彼は此処にはいない盗っ人の顔を別な意味で心に刻み、いつか必ず取っ捕まえてやると心に誓ったのであった。

 

 

 

 

 

 

◇◆◆

 

 

 

 

 

 

その後、シュレリアは無事にレイディアントへと戻り、再び元の生活に戻った。

 

 

レデグレアでは、次期国王が怪物だったという事実が広まって民が次々と去っていってしまい、国そのものが自然解体された。

 

 

レデグレアを去った民達はその後、レイディアントを始めたとした様々な国々の協力によって受け入れられ、突然の生活の変化に戸惑いながらも徐々に慣れていったらしい。

 

 

その後はレデグレアのような侵略国家が現れた時の為に、レイディアントを中心に様々な国が同盟を締結し、世界は再びより良い方向へと向かっていった。

 

 

――因みにその一番の中心には一人の怪盗が関わっていたのだが、それを知る人間はごく僅かしかいない……

 

 

 

 

 

 

 

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