仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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エクスの世界
第十九章/エクスの世界


 

 

NXカブト、桜ノ神、GEAR電童の世界を後にして漸くなのは達と合流を果たした零。そんな彼等一行が次に訪れたのは異世界の友人の一人である土見稟の世界であり、零達は早速稟を探しに木漏れ日通りを歩いていた。

 

 

零「此処はエクス……稟の世界か……」

 

 

優矢「みたいだけど、どう見てもミッドチルダじゃ無いよな……」

 

 

大輝「ここはあの具現化の少年の故郷だからだよ、ちなみに管理局はまだ知られてないみたいだけど」

 

 

エクスのカードを見つめながら木漏れ日通りを歩く零と優矢の背後でそう言ったのは、何故か稟を探す最中にいつの間にか一緒にいた大輝だった。零はエクスのカードから視線を離すと、溜め息を吐きながら背後の大輝を睨みつけた。

 

 

零「というか、お前も何処まで着いてくる気だ?」

 

 

大輝「別に良いだろう?この世界にはお宝は無いし、だからって大人しくしてるのも暇だし、何か面白そうな事がありそうだから君達に着いていくよ」

 

 

零「……ハァ……もう勝手にしろ……それにしても……」

 

 

大輝の事は諦めて再び溜め息を吐くと、零はふと近くの店の窓に写った自分の姿を見て眉を険しく寄せた。

 

 

零「何で今回の役割がスーツなんだよ……それに……」

 

 

零は窓に写る自分の姿……いつものごとくこの世界に来た時に変わったスーツ姿を見て肩を竦めると、内側のポケットから自分の名刺を取り出してそれを眺めていく。

 

 

零「MMO(Magic Mercenary Office)所属、黒月零……なんだよMMOって」

 

 

優矢「俺が知るかよ、俺もそうなんだし……」

 

 

険しげな顔で呟く零に優矢もそう言って自分の現在の姿……零と同じスーツ姿を見てげんなりとした様子を浮かべた。この世界に着いた時、服装が変わったのは零と優矢とティアナだったので残りのメンバーは写真館で留守番している。因みにティアナの衣装は作業服で『光陽工場所属、ティアナ・ランスター』と名刺にあり、遅刻ギリギリだったので三人とは別行動を取っていた。

 

 

大輝「それを知る為に具現化の少年が居候してる家に向かってるんだろ?二人とも今日は非番なんだし」

 

 

零「お前に言われなくてもわかってる……それより、住所は合ってるんだよな?」

 

 

大輝「当たり前じゃないか。ほら、もう見えてきた……っ?!」

 

 

優矢「?どうしたんだよ?」

 

 

何故か大輝は目の前を指差したまま突然驚愕の表情を浮かべて立ち止まり、二人はそんな大輝を見て疑問符を浮かべながら大輝の視線を追って目の前を見た。すると……

 

 

零「なっ!?」

 

 

優矢「なんだありゃ……」

 

 

零と優矢は大輝が指差す方に目を向けると、大輝と同じように驚愕し思わず唖然となってしまった。大輝が指差しているのは何処にでもあるような一軒家なのだが、三人が驚いているのは其処ではない。では何にかというと……

 

 

『なんだ……あの豪邸はっ?!』

 

 

稟が居候してると言う家の両脇に建つ、洋と和の馬鹿でかい豪邸にである。驚くのも無理もない、それぞれが一般住居の四つ分は優にあるのだから。

 

 

零「おいおい……稟の家がなんか風前の灯火だぞ……災害とか起きたらどっちかの倒壊に巻き込まれて潰されるんじゃないか?」

 

 

優矢「縁起でもねえ事言うな馬鹿。まあいつ取り込まれてもおかしくないけどさ……」

 

 

大輝「取りあえず、さっさと具現化の少年に会ったらどうだい?」

 

 

零「わかってる。いちいち指図するな」

 

 

大輝に軽く文句を言いつつ、零は『芙蓉』と表札が立てられた家の前に立ちインターホンを押していった。

 

 

―ピンポ~ン!―

 

 

『はい、どなたですか?』

 

 

インターホンを押してすぐ、インターホンから聞こえてきたのは稟と同い年ぐらいと思われる少女の声だった。零はそれを聞いて一度咳払いをすると、

 

 

零「失礼、黒月零というが……稟は今いるか?」

 

 

『稟君ですか?稟君なら今は確か実家に戻ってますね。そのあと神王様のお家に寄るそうです』

 

 

零「神王様の家?そこはどちらに?」

 

 

『隣の和風のお家です』

 

 

少女にそう言われ、零は隣建つ和風の家を見て「ふむ……」と頷きながら……

 

 

零「そうか……わかった、ありがとう」

 

 

『あ、いえ。それじゃ、私はこれで』

 

 

少女がそう言うとインターホンが切れる音が聞こえ、零はそれを確認すると優矢と大輝と共に芙蓉家を後にし隣の神王の家に向かっていく。

 

 

零「まさか、王様なんてな……」

 

 

優矢「稟も凄い人に知られているみたいだな……でも神王って?」

 

 

大輝「この世界は昔にあったある事によりここ『人間界』と『神界』、『魔界』とがそれぞれ繋がっているのさ。因みに神界と魔界は魔法文明があって人間界にも伝わってはいるみたいだね」

 

 

優矢「へ~、良く知ってるな?」

 

 

大輝「この世界にはちょくちょく風麺を出してるからね、色々情報が集まるのさ」

 

 

零「また屋台関連かよ……そういえば、あの馬鹿女は?」

 

 

大輝「ルミナ君かい?彼女は今回屋台で待機だ」

 

 

優矢「?なんでさ?」

 

 

この世界の敵がどんな物かは知らないが、ルミナが居てくれればそれなりの戦力として使える筈だ。なのに何故待機させておくのかと疑問を持つ二人だが、大輝は軽い口調でその理由を語り出した。

 

 

大輝「この世界はナンパ率が限り無く多いんだよ。だから間違いなくルミナ君は百%ナンパされるが……ルミナ君が対処できるわけ無いだろう?」

 

 

零「あぁ……確かに、アレなら食べ物とかに釣られてホイホイ着いていきそうだしな」

 

 

大輝「それにこっちでもルミナ君を手伝わせようとしてるのに、こちらで大ポカやらかしたら評判に関わるだろ?」

 

 

優矢「なんか本当に屋台の親父だな……っとここか」

 

 

そんな雑談をしている間に、三人は和風の家に到着し家を眺めた。遠くから見てもでかく見えたが、近くで見るとこれまたでかかった。

 

 

優矢「うおぉ……近くで見るとこれまた迫力あるなぁυυ」

 

 

零「だな。ま、取りあえずここで待たせて貰おう」

 

 

余りのでかさと迫力に後ずさる優矢に同意しながら、零はインターホンに手を伸ばし人差し指で押していくが……

 

 

―ガランゴロ~ン!―

 

 

―ズテッ!―

 

 

零がインターホンを押した瞬間、インターホンから普通のインターホンとは思えぬ音が響き渡り、三人はそれを聞き思わずずっこけてしまった。

 

 

零「なんだよ今のインターホンの音……」

 

 

優矢「ず、ずいぶん個性的だなぁ……」

 

 

『は~い、どちら様ですか?』

 

 

未だ零達がずっこける中、インターホンから少女の声が応答してきた。それを聞いた大輝は一足先に復活し、インターホンの前に立ち用件を話し出した。

 

 

大輝「海道大輝といって、具現化の少年……土見稟君の友人なんだが……稟君がこちらに来ると聞いてね、待たせて貰いたいんだけど?」

 

 

『稟くんのお知り合いですか?じゃあどうぞ!』

 

 

大輝「お邪魔するよ」

 

 

零「……警戒されてるよな……」

 

 

優矢「多分な……」

 

 

いきなり現れた稟の知り合いというスーツの男達……やはり何処から見ても怪しまれるだろう。そう考えた零と優矢は互いに緊張の面持ちで顔を見合わせて頷き合い、大輝の後に続くように和風の家へと入っていった。

 

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

 

同じ頃、写真館で待機する事になったメンバーはそれぞれ食料の調達やこの世界を見て回ったりなどをして時間を潰し、現在写真館に残っているのはなのはたち幼なじみ組とアズサ、そして栄次郎とキバーラだけであった。

 

 

すずか「――ふぅ……なんか、一気に写真館が静かになっちゃったね」

 

 

フェイト「だね。スバルや姫達はシグナムとヴィータと一緒に出掛けちゃったし……」

 

 

はやて「カリムやシャマル達は食料調達で近くの商店街に行っておらんし、何や暇やなぁ」

 

 

今回も待機という事になって他にやる事もなく、はやてはそう言って退屈そうに背を伸ばし、フェイトやすずかはそんなはやてを見て若干苦笑いを浮かべていた。しかし……

 

 

なのは「…………」

 

 

そんな中、なのはだけは顔を俯かせながら両手で包み込んだ珈琲をジッと眺めていた。その表情には何処か破棄がなく、そんななのはの様子に気付いたフェイトは怪訝な表情を浮かべた。

 

 

フェイト「なのは?どうかした?」

 

 

なのは「……ん?あ、ううん、別になんでもないよ?」

 

 

にゃははと、いつもの調子で笑いながら珈琲を口へと運んでいくなのは。そんななのはの様子に疑問を持った三人は互いに顔を見合わせると、すずかがなのはに向けて口を開いた。

 

 

すずか「もしかして…心配?零君のこと」

 

 

なのは「…………」

 

 

すずかがそう問い掛けた途端、なのははピタッと珈琲を飲む手を止め、ゆっくりと珈琲をテーブルの上へと置いてポツリと呟き出した。

 

 

なのは「此処で気にしてても仕方ないっていうのは分かってるんだけどね……それでも、やっぱりちょっと気になるっていうか……」

 

 

フェイト「……それって、この前の怪我の事があったから?」

 

 

フェイトが言う怪我と言うのは、写真館に帰ってきた時の零の怪我の事だ。あれだけの怪我を負ったという事は、恐らくまた何かしらの無茶をしてきたということ。フェイトがそのことを問い掛ければ、なのはは小さく頷きながら話を続けた。

 

 

なのは「この間はあれ以外の無茶はしてないって言ってたけど、絶対嘘だよね。多分アズサちゃんや姫さんの時とかにも、あんな無茶してたと思うし……」

 

 

はやて「……せやな。零君、変なとこで強情やから、ああいう無茶した時はホントのこと言ってくれた覚えないし……」

 

 

すずか「?やっぱり、管理局の仕事をしてる時もそうなの?」

 

 

フェイト「うん……六課が設立される前とか、ちょっと見ない間に包帯だらけになってたりとか……でも、何があったのかって聞いても『階段で転んだ』とか、『別に……』とか、いつもはぐらかされちゃって……」

 

 

その時の事を思い出してるのか、フェイトは何処か寂しげな表情で苦笑いを浮かべていき、なのはとはやても心当たりがあるらしく同じ表情をしていたが、すぐに顔を俯かせて暗くなってしまう。

 

 

はやて「……もしかして、私等全然頼りにされてへんのかな?だからちゃんと話をしてくれないとか……」

 

 

すずか「そ、そんな事……!」

 

 

フェイト「でも、そうじゃないって強くは言えない気がする……」

 

 

なのは「…………」

 

 

もしかして自分達は、彼に頼りにされていないのか?共にジュエルシード事件や闇の書事件、JS事件を解決し、今もライダーとして一緒に戦いながら旅してるにも関わらず、彼の中で自分達はまだ『護るべき対象』としてしか見られていないのか?そう考えると次第に三人の雰囲気が暗くなり始め、すずかもそんな三人を宥める言葉が浮かばずオロオロしていた。そんな時……

 

 

―ガチャッ―

 

 

「―――失礼、光写真館は此処で合ってますか?」

 

 

『……え?』

 

 

不意にリビングの扉が開き、其処から一人の男性が姿を現したのだ。銀色の髪に黒衣の法衣を纏った神父のような格好。突然の来客になのは達は思わず呆然としてしまうが、すずかがすぐに正気に戻り男性に対応した。

 

 

すずか「あ、あの、もしかして撮影ですか?それなら今店主さんをお呼びしますけど……」

 

 

「ああいえ、撮影ではありません。此処へ来たのは、アズサちゃんの様子が気になって寄っただけなので」

 

 

すずか「えっ?……あの、失礼ですが、アズサちゃんのお知り合いか何かですか……?」

 

 

アズサの様子を見に写真館に寄った。そう告げた男性にすずかが恐る恐る質問すると、男性は柔らかい笑みを浮かべながら……

 

 

「えぇ、私の名はアレン。以前アズサちゃんとお会した神父です」

 

 

銀髪の男性……それは以前NXカブトの世界でアズサを支え、クラウンとなって鳴滝達と戦ったアレン・テスタロッサその人であった―――

 

 

 

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