仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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第十九章/エクスの世界③

 

 

―光写真館―

 

 

翌日の昼間、あの騒動からずっと気を失っていた零もユーストマの治療のおかげで何とか一命を取り留めて先程漸く目を覚まし、今はテーブルに座ってグッタリと俯伏せになっていた。

 

 

零「あー……クソッ、夢の中にまで昨日のアレが出て来て目覚めが悪かった……というか、治療された筈なのに何故か体が疼くっ……」

 

 

チンク「恐らく身体がまだあの衝撃を忘れていないんだろう。まぁ、あんな目に遭って早々忘れろだなんて出来る筈ないだろうしな」

 

 

そう言ったのは、零の向かいに座って涼しげに珈琲を飲むチンクだった。因みに、なのは達は昨日宴の後片付けを手伝いに来てくれた祐輔から有り難いお説教を受け、現在はその罰として家事や掃除をさせられてる。そして零が疲れたように深い溜め息を吐いてると、キッチンから優矢(ユーストマの治療済み)が珈琲を持って出てきた。

 

 

優矢「んで零、これから一体どうする気なんだよ?」

 

 

零「……取りあえず、暫く様子見といったところだな……倒すべき敵が分からない以上、異変が起きるまで様子を見るしかないだろう」

 

 

チンク「つまり今回も何時も通り、という事だな?」

 

 

零「そういう事だ……ま、正直何も起きなければそれでいいんだが……」

 

 

大輝「まぁ、流石にそれは叶わないだろうねぇ」

 

 

『………………』

 

 

溜め息混じりにそう呟く零の隣で、いつの間にか珈琲を片手にして席に座る大輝がそう言った。完全に不意を突かれた優矢とチンクは唖然となり、零は目付きを鋭くさせながらゆっくりと顔を上げ大輝の方へと振り向いた。

 

 

零「……何処から湧いて出た?」

 

 

大輝「失礼だね君は。せめて何処から現れたと言ってくれないかい?」

 

 

零「お前には湧いて出たで十分だろう……で、今回は一体何の用だ?」

 

 

大輝「なに、君に届け物を頼まれてそれを届けに来ただけさ」

 

 

自分のコーヒーカップに口を付けながら訝しげに問い掛ける零にそう答えると、大輝は椅子に背中を預けながら胸のポケットから一枚の手紙を取り出し、それをテーブルの上へと投げ付けた。

 

 

チンク「?それは?」

 

 

大輝「神王と魔王からの、零への便りさ」

 

 

零「……何?」

 

 

ユーストマとフォーベシイからの手紙。それを聞いた零は珈琲を飲む手を止めて目付きが変わり、テーブルの上に置かれた手紙を手に取った。

 

 

大輝「何でも君と話したいことがあるんだとさ。ま、詳しい事は其処に書かれている筈だから、後は手紙を読んで確かめるといいだろう。さて……」

 

 

―ガシッ!―

 

 

優矢「……え?」

 

 

大輝は零にそう言って椅子から立ち上がると、何故かいきなり優矢の襟首を掴んだ。突然の事に優矢が戸惑う中、大輝は微笑しながら口を開いた。

 

 

大輝「君には昨日の借りがあっただろう?今日はそれを返してもらおうと思って来たんだよ♪」

 

 

優矢「えっ?あ、あれってマジだったのか?!」

 

 

大輝「何勝手に冗談にしてるんだい?ま、取りあえずは屋台の手伝いでもしてもらおうか?その後はボ〇太くんの格好で町中で宣伝、買い出しに屋台引きに……」

 

 

優矢「ちょ、借りって一つじゃねえの?!待って?!そんなの俺一人じゃ出来ないって?!アーッ?!!」

 

 

悲痛な絶叫を上げる優矢を無視し、大輝は優矢にしてもらう仕事を指で一つ一つ数えながら優矢を無理矢理引っ張り、そのまま写真館を後にし風麺へと戻っていったのだった。

 

 

チンク「……桜川も色々と苦労してるんだな」

 

 

零「アイツの場合は単なる自業自得だ……さて、あの二人もわざわざ手紙なんか寄越すなんて、一体何の用なのやら……」

 

 

大輝と優矢が出ていった扉を見てチンクが苦笑いする中、零は特に気にした様子もなくユーストマとフォーベシイからの手紙を開き中の内容に目を通していく。其処に書かれてあったのは……

 

 

零「…………………………………………成る程な……大体分かった……」

 

 

チンク「ん?何だ?手紙にはなんて……って、何処にいく黒月?」

 

 

手紙の内容を目にした零は何処か真剣な表情に変わり、手紙を仕舞い突然席から立ち上がったのだ。それを見たチンクが零を見上げて疑問げに問い掛けるが、零はそのまま扉の方へと近づきチンクの方へと振り返った。

 

 

零「少し王様達からお呼びが掛かったから、ちょっと出掛けてくる。それと……冷蔵庫にお前達と外で働いてる奴等の分の菓子があるから、小腹でも空かせたらそれでも適当に食っておけ」

 

 

じゃあなと、零はそれだけ伝えて軽く手を振りながら扉から出ていき、そのまま写真館を出て神王家へと向かっていった。

 

 

チンク「……黒月の奴、一体どうしたんだ?」

 

 

そして残されたチンクは、突然雰囲気が変わった零に疑問を抱き訝しげな表情を浮かべ、零が出ていった扉をただジッと見つめ続けていたのだった。

 

 

 

 

 

◇◆◆

 

 

 

 

 

―神王家・ユーストマの部屋―

 

 

それから数十分後、写真館を出た零は神王家へと訪れ、現在ユーストマの部屋でユーストマとフォーベシィの二人と語り合っていた。

 

 

ユーストマ「すまねぇな零殿、いきなり呼んじまって」

 

 

零「気にしなくて良いですよ。寧ろ治療をしてくれた礼がまだだったんで、その機会が出来て有りがたいぐらいです」

 

 

フォーベシイ「神ちゃんの治癒魔法は神界でもトップクラスだからね……それで零ちゃん」

 

 

フォーベシィは零の対面、ユーストマの隣に座ると険しい表情を浮かべて零を見据えた。

 

 

フォーベシイ「君はディケイドと星ちゃんから聞いたが……本当かい?」

 

 

零「……えぇ、間違いありません。それが何か?」

 

 

フォーベシイの突き刺さるような視線を正面から受けながらも、動じる様子を見せず悠々とした態度で聞き返す零。それを聞いたユーストマも険しげな顔のまま腕を組み、口を開いた。

 

 

ユーストマ「お前さんは世界を破壊する悪魔と聞いた……もしお前さんが本当にそうなら、俺達も手を打たざるを得ない」

 

 

零「…………」

 

 

つまり、自分が本当に世界を破壊するような存在ならそれなりの対処をすることになる、という意味なのだろう。稟やシアやネリネ、そして三世界全ての人々を守る為に。その意味を察した零は二人の顔を交互に見つめると、瞳を伏せて俯いた。

 

 

零「―――俺は……少なくとも、俺の意思で破壊する事は望みません」

 

 

フォーベシイ「それは……何かしらの要因があれば意思に関係なく……ということかい?」

 

 

零「それは俺にも分かりませんし……違うと断言も出来ません……俺自身も記憶喪失のせいで自分のことが分からないから……記憶が戻れば、もしかしたら貴方達が危険視する悪魔になるかもしれないという可能性も捨て切れない」

 

 

フォーベシイ「それは……『君自身』の意思で悪魔になるという事かい?」

 

 

零「それはないと思いたいですね……今の俺には、自分の命より大事な物が沢山ある……なので、現段階では俺が俺である限り破壊は望みません。ですがもし、俺が俺の意思とは関係なく破壊を望むようになるというなら―――」

 

 

一度言葉を区切り、零は伏せていた瞳を僅かに開いて顔を上げ……

 

 

零「――その時は……俺が俺自身に決着を着けます」

 

 

ユーストマ「つまりそれは……自害するって意味か?」

 

 

零「俺がまだ『人の身』である場合はそうします……ですがもし、手遅れだった場合は……不本意ですが、貴方達の未来の息子さん達の手を借りることになるでしょう……」

 

 

フォーベシイ「稟ちゃん達か……でもそれは、彼等に重荷を背負わせる事になるんじゃないかい?」

 

 

零「でしょうね、アイツ等は優し過ぎるから……ですが分かってくれるでしょう……自分達の世界を守る為だと思えば……例え重荷を背負う事になっても、その分もっと強くなってくれると思います。自分達の大切な物を守れるぐらいに……また一つ……」

 

 

ユーストマ「だがそれだと、お前さんの世界の嬢ちゃん達が悲しむんじゃないのか?」

 

 

零「……そうかもしれませんね……ですが、破壊者になった俺がアイツ等を手に掛けないという保証はない……そうなるくらいなら……いっそ俺が……」

 

 

そう語る零の顔は、何処か強い覚悟を秘めてるように見える。それを見たユーストマは真面目な表情のまま瞳を伏せると、真っすぐと零を見据えた。

 

 

ユーストマ「零殿、俺達に目を見せてくれ」

 

 

零「…………」

 

 

ユーストマにそう言われ、零はゆっくりとユーストマとフォーベシィの目を交互に見た。そして零のその目を見て何かを感じた取ったのか、二人は暫く口を閉ざした後……

 

 

ユーストマ「…………わかった、零殿を信じよう」

 

 

フォーベシイ「君は信用できる。間違いないね」

 

 

零「……根拠は?」

 

 

フォーベシイ「これでも王だからね、人を見る目はあるつもりさ」

 

 

ユーストマ「じゃあ後は依頼の話だ……MMOとしてのな」

 

 

零「……わかりました……お聞きします」

 

 

MMOとしての依頼。その一言で零の表情も真面目な物に一変し、ユーストマとフォーベシイも小さく頷きながら依頼の話しを始めていったのだった。

 

 

 

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