仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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第十九章/エクスの世界④

 

 

―魔王家・リビング―

 

 

零がユーストマとフォーベシイから依頼を聞かされてから数時間後、魔王家のリビングにはユーストマとフォーベシィに呼び出された稟、菫、土見ラバーズ、麻弓、樹、プリムラ、カレハ、祐輔が集まっていた。

 

 

フォーベシイ「皆、来てくれたね」

 

 

ネリネ「お父様、どうなさったのですか?」

 

 

フォーベシイ「あぁ、実は今朝、この手紙が家に届いてね」

 

 

急に皆を収集した事に対しネリネが代表して訝しげに問うと、フォーベシィは懐から一通の手紙を取り出しながらそれに答え、一同はその手紙に視線を集め首を傾げた。

 

 

シア「あの、それは?」

 

 

ユーストマ「脅しと呼び出し状だ。稟殿にな」

 

 

祐輔「なっ?!」

 

 

樹「……それはなんと?」

 

 

稟に対する脅しと呼び出し状。そう聞かされた一同が驚愕と共に息を拒む中、樹が何時になく真剣な表情で手紙の内容について疑問を投げ掛けると、ユーストマがフォーベシイから手紙を受け取り一同に向けて開いて見せた。

 

 

ユーストマ「『今夜0時、指定した場所に土見禀を一人で呼べ。さもなくば……周りに危害がある……』これで終わりだ」

 

 

稟「……ふざけてるな……」

 

 

ググッ…と、手紙の内容を耳にした稟は力強く握り拳を固めた。その時……

 

 

―ギュッ……―

 

 

稟「……ん?」

 

 

プリムラ「……稟……危ない?」

 

 

菫「……………………」

 

 

そんな稟の様子からただ事ではないと感じ取ったのか、プリムラと菫は稟の服の裾を握り不安げな顔を浮かべている。稟はそんな二人の顔を見て優しげに微笑み、二人の頭を撫でた。

 

 

稟「そんなわけないだろ?大丈夫だ……」

 

 

楓「ッ?!稟君駄目です!危ないですよっ!」

 

 

二人を宥める稟を見て稟が何を考えてるのか分かったのか、楓は思わず身を乗り出し声を荒げるが、そんな楓を亜紗と命が横から宥めていく。

 

 

亜沙「楓、大丈夫よ。この稟ちゃんよ?親衛隊を毎日フルボッコ、負け無しの無敵の帝王なんだから」

 

 

楓「っ……でもっ……」

 

 

命「かえっち、落ち着きな、神王様達だって策は有るんじゃないのかな?」

 

 

ユーストマ「当たり前だ、稟殿を危険に曝すものか」

 

 

フォーベシイ「手はちゃんと打ってあるさ。零ちゃん、来て頂戴?」

 

 

フォーベシイがそう言って扉の方に顔を向けると扉が開き、其処から零と大輝と優矢がリビングへと入ってきた。

 

 

零「MMO所属、黒月零、依頼は君達の護衛だ」

 

 

優矢「同じくMMO所属、桜川優矢、依頼は右に同じ」

 

 

大輝「その手伝いの海道大輝、今回は零の味方をするから安心してくれよ?具現化の少年?」

 

 

稟「……本当か?」

 

 

大輝「トレジャーハンターの名に賭けて」

 

 

稟「……わかった。頼むぞ」

 

 

楓「稟君っ!」

 

 

稟「大丈夫だ。安心しろ」

 

 

そう言って稟は心配する楓に向けて何時もの笑みを浮かべ、楓もそれを見てそれ以上何も言えなくなり口を閉ざした。そしてその様子を横目で見ていたユーストマは一同に視線を戻し口を開いた。

 

 

ユーストマ「今晩はここで皆に過ごして貰うから……すまないな。あと芙蓉の嬢ちゃん、安心しな。ちゃんと稟殿にも護衛はつける」

 

楓「……はい……」

 

 

不安を募らせる楓を安心させるようにユーストマがそう告げると、楓は未だ納得出来ていないように見えるも小さく頷き返した。

 

 

フォーベシイ「じゃあ皆、自分の家に連絡して、身の周りの物が必要だったら私に言っておくれ、転移魔法で連れていくよ」

 

 

亜沙「……ボクは魔法が嫌いですから……良いです」

 

 

フォーベシイの提案に対し亜沙は何処か辛そうな顔で首を振った。そうして暫く時間を掛けて一同が家への連絡と身の周りの物を揃えたあと、個人が自由に行動し始めた。

 

 

稟(祐輔さん、お願いしますよ)

 

 

祐輔(わかった、いざとなったら僕も……)

 

 

そんな中、稟と祐輔の二人が少し離れた場所で小声で話し合う姿があり、壁に寄り掛かってその様子を離れて見ていた零は小さく息を吐くと、地面に目を向けながら思考に浸り始めた。

 

 

零(さて……このまま予定通りに行けば何事もなく済ませられると思うが、問題は奴らが今回も横槍を入れてくるかどうか……)

 

 

零が考える奴らとは、今までの世界で幾度なく自分達の前に立ち塞がってきた謎のライダー達の事だ。奴らが今までの世界の様に邪魔をして来ないか。そのことが気掛かりでならない零であったが、その時大輝が零の隣にやって来て壁に寄り掛かった。

 

 

大輝「心配ならいらないだろう……今回、彼等がこの世界に干渉してくる可能性は限りなく低い」

 

 

零「ッ!……どういう意味だ?」

 

 

自分の考えを読まれた事に驚いたが、零が今気になったのは大輝の言葉の意味。それを問われた大輝は両手をポケットに突っ込み、つまらなそうな表情で口を開いた。

 

 

大輝「この世界には星神のアテナさんがいるからね。普通の空間転移などで外部からこの世界へ侵入すればどうやっても彼女に伝わってしまい、彼女の妨害を受ける可能性がある。それを回避するには彼女に見付からない方法でこの世界へと侵入するか、それとも彼女の妨害を受ける覚悟で転移してくるかのどちらかしかない。でもわざわざそんな手間が掛かるリスクを負うなんてことは彼等もしたくないだろうし、今回彼等がこの世界へ介入することは多分ないさ」

 

 

零「……お前……まさか、アイツ等の事を知ってるのか?」

 

 

大輝「さあ?ま、例え知ってても君には教えないさ。そんな義理もないしね」

 

 

肩を竦めながらそう言うと、大輝はそのまま別の場所へ向かおうと歩き出した。それを見た零は目を少し細めると、大輝の背中を見つめながら口を開いた。

 

 

零「そういえば……なんで今回は宝もないのに稟達に此処まで手を貸す?お前に限ってただの善意……なんて事はないんだろう?」

 

 

大輝「……確かにねぇ……まぁ、単に彼にはまだ死なれたら困るだけさ。色んな意味で」

 

 

零の疑問に対し何時もの笑みを浮かべてそう答えると、大輝は歩みを進めて何処かへと行ってしまった。そしてその場に残された零は……

 

 

零(アイツ……一体腹の底で何を考えてる……?)

 

 

大輝が去って行った方を見つめながら腑に落ちない顔をし、大輝に対する不信感を更に強めていたのだった。

 

 

 

 

 

 

そうして時は過ぎ深夜11時45分になった頃、稟は必要な準備を終えてリビングで一同から見送りを受けていた。

 

 

稟「それじゃ、行ってくる」

 

 

何時もと変わらぬ笑みを浮かべてそう告げると、一同もそれに対し笑って頷き返し、稟はそのままリビングを出て魔王家を後にしたのだった。

 

 

楓「…………………………」

 

 

――ただ一人、不安げに顔を俯かせる少女に気付かず……

 

 

 

 

 

◇◆◆

 

 

 

 

 

―光陽工場―

 

 

深夜の光陽工場。今日の昼では、この世界の勤め先としてティアナが働いていたその場所で数人の人間達が集まっていた。

 

 

「計画は順調か?」

 

 

「えぇ……お陰さまで」

 

 

「ちゃんと頼むぞ……いくら国庫から出したと思っているのだ……『死体』の処理も優しく無いのだぞ」

 

 

「わかっております」

 

 

そんな怪しげな会話をする人間達が集まる広場には、なにやら人間一人が入れるくらいのサイズのカプセル……少女の遺体が入ったカプセルが置かれていた。

 

 

「これのサンプルはとったのか?」

 

 

「もう取り出しました……今から破壊する予定です」

 

 

実はこの人間達は35人のうち25人は『違法な人工生命体研究』の工場の責任者、残りの10人は『国会与党のトップ議員』だった。

 

 

工場の責任者達は多額の金を議員から受け取り、極秘裏に研究を進め、その研究成果により『不老不死』になろうとし、影で永遠の権力を手に入れようとしていたのだ。

 

 

 

因みに今回稟がユーストマとフォーベシィにあらかじめ頼んでおいたのは『違法な人工生命体の研究』をする研究所、支援する人間のリストの作成。

 

 

それに協力してアテナが調べたのは『内部で誰が研究を進めているのか』ということだった。

 

 

あの手紙は稟とフォーベシィ達が用意したもの。

 

 

稟は人間達を動けなくした上で巨大な魔力を放つ事でユーストマやフォーベシィを呼び寄せ、神界と魔界の王に証拠を見られる事によりマスコミを口封じをし、もみ消す事ができなくなる。

 

 

もしこれを最初からユーストマやフォーベシィがやったのなら、間違いなく『内政干渉』との反感をかうだろう、ならどうすればいいか?答えは簡単、『誰がやったかわからないように』すればいい。

 

 

生まれてくる子が将来皆が不幸になるという訳はない。だがしかし、実験の為だけに生まれて死ぬだけの子に幸せがやってくる訳はない。

 

 

稟はそのような子を一人でも無くす為に自分から汚れ役を買って出たのだ。

 

 

 

そして死体を処理し終えた、その直後……

 

 

 

 

 

―ドガァンッ!!!―

 

 

「ッ?!なっ?!」

 

 

「な、なんだ?!」

 

 

突然ドアが何者かによって破壊され、責任者や議員達は驚愕しながらドアの方へと一斉に振り返った。其処には……

 

 

エクスL『………………』

 

 

既にエクス・リリィフォームへと変身し、リミッターを外した稟が本気の殺気を身体から放出させてながら土煙の中に佇んでいたのだった。そしてその数時間後……

 

 

 

 

 

 

『…………………』

 

 

 

 

 

 

其処には、エクスの制裁によりボロボロになって地面に倒れる35人の姿があったのであった。そしてその中心に佇むエクスは軽く息を吐くと、ゆっくりと辺りを見渡していく。

 

 

エクスL『これだけやればいいか……フェンリル、カートリッジロード』

 

 

―ガシャンッ!―

 

 

エクスのその呼び掛けと共に、フェンリルからカートリッジが一発排出された。そしてエクスはゆっくりと真上に向けてフェンリルを構え……

 

 

エクスL『クラッグバスターッ!!』

 

 

―ドシュウゥゥゥーーーーーーーッ!!!―

 

 

真上に向けて砲撃を放ち、砲撃はそのまま工事の天井を破り上空へと消えていった。それを確認したエクスはフェンリルをゆっくり下して待機状態にし、懐から大量の書類を取り出した。

 

 

エクスL『これはアンタ達のやってきた全ての証拠だ……』

 

 

最早意識を刈り取られて何も聞こえていない35人に向けてそう告げ、エクスは証拠の書類を残しその場を後にしたのであった。

 

 

 

 

 

◇◆◆

 

 

 

 

 

―魔王家―

 

 

ユーストマ「……マー坊、感じたな?」

 

 

フォーベシイ「あぁ、神ちゃん……」

 

 

その頃、魔王家で稟の合図を待っていたユーストマとフォーベシイは稟の放った魔力に気付き顔を見合わせて頷き合い、ソファーからゆっくりと立ち上がり近くに立つ零を見た。

 

 

ユーストマ「零殿、皆を頼む!」

 

 

フォーベシイ「皆寝てるけど、なにかあったら大変だから」

 

 

零「分かりました。お気を付けて……」

 

 

零がユーストマとフォーベシィの言葉に頷き返すと、ユーストマとフォーベシイはそのまま家を出て魔力を感じた光陽工場に向かっていった。

 

 

零(……どうやら稟の方は上手くいったらしいな……このまま行けば……)

 

 

「……あの……」

 

 

零「ん……?」

 

 

このまま行けば稟達の作戦の成功もあと少しかと、そう考えていた零の背後から不意に誰かが呼び掛けた。気になってそちらの方へと振り返れば、いつの間にか楓が其処に佇んでいた。

 

 

零「芙蓉?どうかしたか?」

 

 

楓「あ、いえ……少しお手洗いに行きたいんですけど……」

 

 

零「あぁ、そういうことか……わかった」

 

 

手洗いに行きたいと一言言ってきた楓に頷き返すと、楓は一度零に一礼し何処か急ぎ足で洗い場へと向かっていった。

 

 

 

 

 

◇◆◆

 

 

 

 

 

稟「…………」

 

 

その頃、役目を終えた稟は何故か魔王家に戻る事なく人気の無い開けた場所へとやって来ていた。そうして稟は暫く歩きを進めていくと不意に足を止め、漸く口を開く。

 

 

稟「……ここなら良いだろ?出てこいよ、鳴滝」

 

 

稟が静かな口調でそう言うと、近くの物陰からゆっくりと一人の人物……鳴滝が険しい表情を浮かべて姿を現した。

 

 

鳴滝「土見稟……何故ディケイドを倒さない……あの悪魔はっ!」

 

 

稟「お前に言う義理はない、あえて言うなら……俺は零さんを信用している、それだけだ」

 

 

鳴滝「愚かな……ならば、実力行使を使うまでだ!」

 

 

稟のその言葉でもはや何を言っても無意味と悟ったのか、鳴滝は舌打ちしながら自身の背後に歪みの壁を発生させ、其処から巨大な機械兵器を呼び出していった。

 

 

稟「やられるかよ……フェンリル、ミカエル!SET UP!エクト!グレイ!」

 

 

エクト「いきましょう稟。カプッ」

 

 

グレイ「変っ身ッ!」

 

 

鳴滝が呼び出した機械兵器を目にした稟も即座にフェンリルとミカエルを起動させ、更にリリィフォームへ変身すると共にライトブリンガーを構えて機械兵器に向かっていったのだった。

 

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

 

―魔王家―

 

 

零「――芙蓉の奴……遅いな……」

 

 

場所は戻り、魔王家のリビングでは零がソファーに腰掛けて訝しげに首を傾げていた。その理由はあれから30分以上も経っているというのに、楓が手洗いに行ったきり戻って来ないからであった。そんな時……

 

 

シア「……あれ?零さん?」

 

 

零「む?シア……?」

 

 

背後から不意に誰かに声を掛けられ、後ろに振り返ってみると何故かシアの姿があった。一瞬まだ起きていたのか?と疑問を抱いたが、両手に空のコップが握られてる事に気付き、恐らく先程までネリネ達と話でもしていたのだろうと察して納得すると、そこである考えを思い付いた。

 

 

零「そうだ……シア、悪いが少し良いか?」

 

 

シア「はい?なんですか?」

 

 

零「実は芙蓉が手洗いから出てこなくてな……様子を見るからついてきて欲しい」

 

 

シア「あ、はい。わかりました」

 

 

楓の様子見に付き合って欲しいと言う零の頼みに潔く承知し、シアは空のコップをテーブルに置き零と共に手洗い場に向かった。

 

 

―コンコンッ―

 

 

零「芙蓉、大丈夫か?」

 

 

シア「かえちゃん、大丈夫?」

 

 

―……………―

 

 

零「……返事がないな……」

 

 

シア「ですね……かえちゃーん?」

 

 

扉を何度もノックして呼び掛けてみるが、楓からの返事は何一つない。それを不審に思った零とシアが互いに顔を見合わせた、その時……

 

 

―……ヒュオオォォ……―

 

 

零「!風の音?……まさかッ?!」

 

 

扉の向こうから微かに聞こえてきた風を切るような音を聞き、零は咄嗟にドアを無理矢理こじ開けた。

 

 

―ガチャッ!!!―

 

 

シア「ッ?!えっ?!」

 

 

零「チィ、あのバカっ……!」

 

 

扉を開いた向こうにあったのは……窓が開いて風が流れ込み、誰もいない手洗い場だった――――

 

 

 

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