仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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第十九章/エクスの世界⑦(前編)

 

 

―芙蓉家・リビング―

 

 

先程の戦闘から一時間後。フェンリル達の助けで鳴滝から逃れユーストマの治療を受けた稟だが、稟の両腕に突き刺さった『それ』を抜く為の作業は先程の場所では出来ないため、零達は先程の場所から一番近くにある芙蓉家に稟を運びユーストマによる緊急治療を行っていた。そして稟の部屋で治療が行われる中、零は……

 

 

フォーベシイ「――皆に、稟ちゃんの事を話す?」

 

 

零「……はい……」

 

 

リビングのソファーに腰を下ろすフォーベシイと向き合い、深刻な表情を浮かべていた。その理由はフォーベシイが今口にした通り、稟が今まで隠し通していた魔法やライダーの事をシア達に話そうと切り出していたからだ。

 

 

フォーベシイ「それは、楓ちゃんに稟ちゃんのことを知られたからかい?」

 

 

零「それもありますが……稟があんな状態になってしまった以上、これ以上隠し通すのは難しいと思います……例え芙蓉が今回の件を黙っててくれるとしても、稟のあの状態を知れば彼女達が下手な良いわけで納得するとは思えませんし……それに……」

 

 

フォーベシイ「それに……何かな?」

 

 

不意に言葉を詰まらせた零にフォーベシイが訝しげに聞き返すと、零は稟の部屋を一度見た後、顔を少し俯かせながら……

 

 

零「――今回の件は、俺にも責任があります……稟を助けに行くのが遅れた上に、鳴滝が俺を倒す為に稟に固執したせいで……稟にあんな怪我を負わせてしまった……」

 

 

フォーベシイ「鳴滝……私や神ちゃんに君が破壊者だと警告してきた男だね……彼は一体何者なんだい?」

 

 

零「それは俺にも分かりませんが……ただ奴は自分を預言者だと称して、俺達が行く先々の世界で俺が破壊者だと広めてる男です……奴が何故そんな事をするのかは、俺も詳しくは……」

 

 

考えてみれば、鳴滝の正体に関しては何も知らない。奴は自分を抹殺して何をしようというのか?ふと脳裏にそんな疑問が浮かび上がるが、零は一時それを頭の隅に置いて話を戻していく。

 

 

零「彼女達には俺から話をします……海道達にさっき彼女達を此処へ連れてくるように連絡しましたから、もう時期到着するでしょう……」

 

 

フォーベシイにそう言うと、零はフォーベシイの隣に止まる電子精霊の姿になったフェンリルとミカエルに目を向けた。

 

 

零「フェンリル、ミカエル、確かお前達の中に去年の稟の生活の記録映像がある筈だよな?」

 

 

フェンリル「?確かにあるけど……どうするの?」

 

 

零「シア達への説明の時に、その記録映像を使わせて欲しい。俺の話だけじゃ、アイツ等も具体的なイメージが出来なくて困るだろうし、記録を見せれば俺の話が真実だと信じてくれるかもしれない」

 

 

ミカエル「そういうことか……俺達は構わないけど、でも稟には……」

 

 

零「稟には俺が無理言って、お前達に頼んだと伝えておく。責任は俺が持つから……力を貸してくれ……」

 

 

マスターに無断で勝手な事をするのは心苦しいかもしれないが、どうか力を貸して欲しい。そう頼み込む零にフェンリルとミカエルは顔を見合わせて暫く考え込むと、二人揃って首を縦に振った。

 

 

零「すまない……お二人にもすみません……俺の問題に稟を巻き込んだせいで、こんな事に……」

 

 

フォーベシイ「いいや、君を責める気は毛頭ないよ。それにこのことは、何時かは皆にも話さなければならないって思っていたし……寧ろ、今がその時なのかもしれない……だから君も、そんなに自分を責めないでくれ」

 

 

零「……すみません……」

 

 

フォーベシイの気使いが身に染みり、曇った顔を俯かせて謝罪の言葉を口にする零。フォーベシイはそんな零を見て微笑を浮かべながらソファーから立ち上がると零の肩を軽く叩き、気分転換にお茶でも容れようとキッチンへと向かっていった。

 

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

 

―芙蓉家・稟の部屋―

 

 

稟「……………………」

 

 

あれから大輝達が芙蓉家に到着し零が楓達に稟の事を話してから大分経った後、ユーストマの治療を受けた稟は意識を手放し、気絶していた。

 

 

ユーストマ「なんとか一命は取り留めた……」

 

 

ユーストマは額に汗を滲ませながら手術着を脱ぎ、まるで死んだようにベッドに眠る稟を見て険しげに眉を寄せる。

 

 

ユーストマ「これ以上俺に出来る事はない……今はこのまま寝かせるか……」

 

 

そう言ってユーストマは稟の部屋を出ていき、零達が待つリビングに向かった。そしてリビングへと着いた途端……

 

 

菫「お父……さんは……!」

 

 

リビングに着いてすぐ、菫が駆け寄ってユーストマに食い付いた。魔王家に居てこちらに移動した他の皆も緊張の面持ちでユーストマを見つめ、ユーストマはそんな一同の顔を見つめ微笑しながら答えた。

 

 

ユーストマ「安心だ。一命はとりとめた」

 

 

シア「ッ!良かったぁっ……」

 

 

樹「まったく……心配かけさせて……」

 

 

その一言に全員が肩に張り詰めていた力が抜けて脱力したが、まだ部屋には暗い空気が漂っている。それでもユーストマは稟の無事を喜ぶ一同を見て笑みを浮かべると、零達に目を向けた。

 

 

ユーストマ「稟殿について誰か話したか?」

 

 

零「俺が話しました」

 

 

ユーストマの質問に椅子に座りながら零が答え、ユーストマは手術着を畳みながら零の向かいのソファーに腰を下ろした。

 

 

ユーストマ「どこまで話した?」

 

 

零「管理局、仮面ライダー、稟の去年の生活、今回の計画について俺が知ってる全て、因みにフェンリル達の映像も使いました」

 

 

ユーストマ「そうか……」

 

 

ネリネ「稟さまは今は?」

 

 

ユーストマ「寝てる。傷は残る可能性は高いが……星殿がなんとかしてくれるだろ」

 

 

フォーベシイ「皆、お茶とお菓子を持ってきたよ」

 

 

ユーストマが稟について零とネリネと話す中、フォーベシィがキッチンからティーセットを持って皆に用意していく。その時……

 

 

―バアァンッッ!!!!―

 

 

アテナ「稟っっ!!!!!!!!!!」

 

 

突然扉が勢い良く開かれ、アテナが鬼のような形相でリビングへと入り込んできた。突然のアテナの登場に他の面々も驚き肩をビクッと揺らすが、アテナにはそれが見えてないらしくユーストマ達に詰め寄った。

 

 

ユーストマ「星殿……」

 

 

アテナ「稟はっ?!!稟は無事なのっ?!!」

 

 

ユーストマ「あぁ、命に別状は無い。とりあえず今は寝ている」

 

 

アテナ「ッ!そう……なら……後で人呼ぶわね」

 

 

稟の無事を確認して緊張の糸が取れたのか、アテナは次第に落ち着きを取り戻しユーストマの隣に腰を下ろした。

 

 

零「アテナ、稟について話したが良かったよな?」

 

 

アテナ「まぁ、これが普通に終わったら話さなかったけど……まぁいいわ。フェンリル、例の戦闘シーン見せて」

 

 

フェンリル「わかった」

 

 

フェンリル(人型)はアテナの側に行くと、両目から光りが放たれ壁に映像が映された。其処にはエクスと機械兵器が戦う姿が映し出されており、アテナは顎に手を添えながらエクスの動きを見つめていた。

 

 

アテナ「……やっぱりね、限界に来てるか……エクト、グレイ、ちょっと来て」

 

 

エクト「?はい」

 

 

グレイ「こうスか?」

 

 

エクトとグレイは言われるがままにアテナに近づくと、アテナは両手をそれぞれの頭に当てていき、二人の頭にあるデータが流れ込んだ。

 

 

エクト「これは……」

 

 

アテナ「リリィフォームにプラスさせるデータを入れといたわ。これならアレを粉砕できる。リベンジしなさい」

 

 

楓「?!ちょっと待って下さい!リベンジするって事は稟君はまた戦いに行くって事ですよね?!」

 

 

アテナ「そうよ、それに鳴滝が言ってたんでしょ?『明後日、ここで答えを聞く』って?稟なら確実に戦闘するわ。これはなら負けないようにすれば良いって事よ」

 

 

楓「そんなっ……何で稟君が戦う必要が有るんですか?!傷つく必要が有るんですか?!零さん達はそれで生きてる人間なんですよね?!」

 

 

亜沙「楓、落ち着きなさい」

 

 

命「かえっち、落ち着けって」

 

 

楓を抑えよう両側から止めに入る亜紗と命だが、楓は止まる事なく、ソファーに座る零を睨みつけた。

 

 

楓「そもそもこうなったのも全部、零さんがこの世界に来たせいじゃないですか!!あの人の目的が零さんなら、零さんがいなくなればいいだけの話じゃないんですか?!」

 

 

零「……それ…は……」

 

 

楓からの非難の言葉に、零は何も答えられず口を閉ざしてしまう。彼女の言う通り、自分さえいなければ稟が傷付くこともなかった。その事を問い詰められた零は両手を組んで顔を俯かせ、返す言葉も浮かばず黙り込んでしまうが……

 

 

祐輔「ねぇ、さっきっから何言ってるのさ?稟君が傷ついたのは君のせいでしょ?」

 

 

楓「えっ……?!」

 

 

今まで一言も語らなかった祐輔が動いた。

 

 

アテナ(これは……説教モードね……始めて見た……祐輔にここは任せるか……)

 

 

祐輔「稟君は皆に心配させないようにするために嘘をついて、絶対にいるようにって、大丈夫って言ってたよね?それを聞きながらなお稟君の元に勝手に行って戦闘が有るところに迂闊に近づいて、稟君の足枷となり、傷ついた原因となったのは誰?君だよね?」

 

 

楓「……………………」

 

 

祐輔「映像を見たけど稟君はライダーの力だと全力だったけど魔法も具現の力を一切使っていなかった。つまりはまだ余力があった。倒せる可能性はあった。なのにそれは消し飛んだ」

 

 

麻弓「祐輔さん、言い過ぎなのですよ!!」

 

 

祐輔「他の人は黙ってて」

 

 

ピシャリッと、普段の祐輔からは考えられない冷たい言い方に誰も口を開けなくなった。祐輔はそんな一同を他所に、言葉を続ける。

 

 

祐輔「それに君は稟君の足を引っ張っただけでなく、アレを倒せるチャンス。つまりは戦いを止めるチャンスを消した」

 

 

楓「……………………」

 

 

鋭く、冷たい言葉の数々が突き刺さり楓は涙が止まらなかった。

 

 

祐輔「確かに稟君の実力を知らなかったのも原因だけど親衛隊を圧倒した事は知ってるよね?それに……僕が一番怒ってるのは君が『稟君をまったくもって信用してない』って事なんだよ」

 

 

楓「そんなことは……祐輔「無いって言える?ならなんで外に出たの?」……ッ?!」

 

 

祐輔「稟君は大丈夫って言って出ていった。確かに稟君は凄い無茶する。だけど約束は必ず守る人だよ。なら僕達は稟君の『大丈夫』って事を信用して待つべきだった。他の人を見た?皆結構安心してた。菫ちゃんなんか笑顔で待っていたよ。それは間違いなく稟君を信じているからでしょ?」

 

 

そう言って祐輔は樹達の顔を見渡していき、また再び言葉を口にしようとした。その時……

 

 

 

 

 

 

稟「――ストップ……です……祐輔……さん……」

 

 

自室で眠ってる筈の稟が、リビングにやって来た。

 

 

 

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