仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT 作:風人Ⅱ
優矢「──しっかし、本当に何もないなぁこの世界は…」
零「そうだな…。ここまで来ると虫一匹すらいるかも怪しくなって来たぞ…」
あれから暫く森の中を探索していた零と優矢だったが、辺りに人がいないかと見回しても、人どころか動物一匹すらも見つからなかった。
優矢「なあ、やっぱ一旦戻らねえか?このままじゃ埒があかないし、なのはさん達にも手伝ってもらった方が効率いいって」
零「……まあ、これ以上の収穫は望めないだろうしな。仕方ない、一度写真館に──」
と、二人が来た道を引き返そうと踵を返した。その時……
―ドゴオオオォォンッ!―
『……ッ?!』
突如、轟音にも似た爆音が響き渡り、二人は驚いてそれが聞こえた方へと振り返った。
優矢「零!今の…!?」
零「あぁ、俺も聞こえた……!確か……あっちだったな。行くぞ!」
零と優矢はその爆音の正体を確かめる為に急いでそれが聞こえた場所へと向かっていった。
◆◇◆
森を抜けた先にある広々とした更地。其処には怪奇な服を身に纏った二組の少女が黒煙に包まれた場所で何かを話していた。
「ケホッ、ケホッ、あらら…さすがにやり過ぎましたかね?」
丸い眼鏡に白いマントを纏った少女が立ちのぼる煙を手で払いながら隣の少女に話し掛ける。
「馬鹿者がッ!加減という物を知らんのか?!もし今ので死んでしまったらどうするつもりだ!」
一方で長身で紫色の髪のショートカットをした少女が眼鏡を掛けた少女に向かって怒鳴り声を上げた。
「大丈夫ですよ。ちゃーんと手加減はしていますし、それに"陛下"ならあの程度の攻撃では簡単に死にませんから」
眼鏡の少女は甘ったるい口調で簡単に説明すると黒煙の向こうから異形な姿をした化け物、レジェンドルガが歩いて来た。それを確認した眼鏡の少女はレジェンドルガに近づいて腕に抱えられている小さな少女に目を向ける。
「それにしても"ドクター"はまた陛下を使ってなにをするんでしょうねー。私達にもまだ詳しく話してもらってないし…」
「さあな……ドクターにはドクターのお考えがあるんだろう……そんな事よりも任務は終わったんだ、早く城に戻るぞ」
長身の少女がそういうと眼鏡の少女は「はーい」と返事を返し、レジェンドルガを連れて何処かへと向かって歩きだした。その時…
零「待てッ!」
『……?!』
先程の場所から駆けつけた零と優矢がその場に着いて少女達を呼び止めた。少女達は驚きながら振り返ると長身の少女は零達を見て顔をしかめた。
「人間…?どういう事だ?この世界について調べた時は人間は一人も存在しなかったはずだろう」
「うーん、そのはずだったんですけど。…もしかして調査不足でしたかね?」
二人は零と優矢を見ても特に動揺した様子を見せずに会話をしている。
優矢「お前ら…一体何者だ!?こんな所で何をやっていたんだ!」
「何…っていわれてもね。…悪い事してました~♪…って言えばどうするのかしら?」
優矢「っ…ふざけんな!こっちは真面目に聞いてんだよ!」
「我々が何者だろうと貴様には関係あるまい。こっちも忙しい身なんだ…今すぐ我々の前から消えるというなら見逃してやる。さっさと失せろ」
優矢「なんだと…!」
優矢は目の前の少女達を睨みながら身構える。だが、そんな優矢とは別に零は目の前の少女達を信じられないもの見るかのように目を開いて驚愕していた。その零の様子に気づいた優矢は怪訝な表情を浮かべて零を見た。
優矢「零…?どうしたんだよ?」
零(そんな……まさか……なんであいつ等がこんな所に…?!)
零はあの少女達の事をよく知っていた。
彼女達はミッドチルダで起こったある事件で、機動六課と敵対していた広域次元犯罪者が造った人造魔導師。
零やなのは達は彼女達とは何度も戦闘を行った事があり、その度に苦戦をしいられた強敵だった。しかし、目の前の彼女達はその事件の解決後、捜査に非協力的だったために彼女達を造った広域次元犯罪者と共に軌道拘置所に収容されているはずなのだ。
だから彼女達がここにいるはずがない。ありえない…と思った瞬間、そこで零は思考している中で一つの可能性が浮かんだ。
零(まさか…そんな…)
自分達の世界に起こった滅び…。その滅びの現象により自分の仲間達は別々の世界へと飛ばされた……。それらを組み合わせた瞬間、答えは簡単に出てしまった。
零(…そうか……そういう事かよ……くそッ!)
考えてみればすぐにわかる事だ。彼女達がこの世界にいる理由などそれしかない。零は心中で舌打ちすると一歩前に出て目の前の彼女達を睨みつけた。
零「…こっちの質問に答えてもらおうか。ここで何をしていた?」
「はぁ…まったく。さっきも言わなかった?貴方達には関係な――」
零「あるさ。こっちはもう一度お前達を逮捕しないといけないんだからな………"ナンバーズ"のトーレさんとクアットロさん…?」
『ッ?!』
不意に自分達の名を呼ばれた二人…トーレとクアットロは驚愕の表情を浮かべて零を睨みつけた。
トーレ「貴様…!何故私達の事を…?!」
零「知っているか……か?簡単な話だ…俺はお前達を知っている。お前達も記憶を掘り返してみればすぐに俺の事を思い出すさ」
零にそういわれるとクアットロが何かを思い出した様に納得して零を睨み返した。
クアットロ「成る程ね…。トーレ姉様。あの男、機動六課にいた隊長陣の一人ですよ」
トーレ「なに…?」
クアットロに言われてトーレも零の顔を見ると自然と記憶が蘇って納得した。
零「…思い出したか?ならもう一度質問だ。お前達はこの世界で何をしている?お前達以外にも誰かいるのか?」
零が再び問う。だが、クアットロが邪な笑みを浮かべながら零にその答えを返す。
クアットロ「ふふっ、馬鹿ね。答えろと言われて、私達が簡単に話すとでも思ってるの?」
クアットロは嘲笑うかの様に話すと片手を上げて指を鳴らした。すると、後ろに控えていたレジェンドルガが零達に右腕を向けてエネルギー弾を放った。
優矢「いっ!?」
零「チッ!」
―ドゴオォオオオオオオンッ!!―
放たれたエネルギー弾が零と優矢に直撃し爆発に呑まれていった。
クアットロ「ふふ~ん♪鼠二匹の始末かーんりょ~♪」
その凄まじい爆煙は零達のいた周囲を包み込んでいきクワットロはそれを見てほくそ笑む。その時…
『ATTACKRIDE:BLAST!』
―ズドドドドンッ!!!―
『……ッ!?』
電子音声と共に爆煙の中から複数の銃弾が放たれ、二人は慌ててそれをかわすと銃弾が放たれた方へと目を向ける。爆煙が晴れると、其処には…
ディケイド『──いきなりご挨拶だな。俺達でなかったら危うく死んでた所だ』
其処にはライドブッカーGモードを二人に向けて立つディケイドと……隅っこで砂埃だらけになった優矢が尻餅をついていた。
優矢「ゲホッ!ゲホッ!くっ、この、零!いきなり人の首根っこ引っ張り回してんじゃーねぇよ!」
ディケイド『知るか……そもそもボケッとしてたお前が悪いんだろ。助けてやっただけ有り難く思え』
優矢「そっちはありがとうなぁ!けど本気で振り回してくれたお陰で危うく首の骨逝き掛けたけどね?!」
と、優矢がディケイドに向かって怒鳴り漫才(?)をしている中、トーレとクアットロは姿の変わったディケイドを見て険しげな顔を浮かべていた。
トーレ「……クアットロ。まさかアレは…」
クアットロ「えぇ…恐らくアレが、あの男の言っていた悪魔……ディケイドだと思いますよ」
クアットロがそういうと、トーレは目の前にいるディケイドを強く睨みつけた。
トーレ「なるほどな。奴がディケイドなら、我々の邪魔をするに違いないか」
クアットロ「えぇ、それに陛下の事が知れれば確実に城へ乗り込んで来ますね。どうせなら、ついでに此処で始末しちゃいません?」
トーレ「同意見だ。そっちの方が後々事が楽に運ぶからな…アースキバット!」
トーレが叫んだ瞬間、何処からか黒と白のツートンカラーのコウモリがトーレの下へと飛んで来た。
アースキバット「お呼びですか?トーレ嬢」
トーレ「あぁ、あそこにいる奴らを消す。お前の力を貸せ」
アースキバット「承知」
アースキバットと呼ばれたコウモリが短く返事を返すと同時にトーレの腰に黒いベルトが現れる。そして…
トーレ「変身!」
アースキバット「変身!」
ディケイド&優矢『「?!」』
アースキバットが掛け声と共に黒いベルトの止まり木部分に止まると、トーレの目の前に巨大な紋章が現れその紋章が硝子の様に砕け散るとその破片がトーレの身体に集まっていく。するとトーレの姿は紫色の装甲に黄色い瞳、両腕と両足に鎖を巻いた仮面ライダー…『アース』へと姿を変えたのだ。
ディケイド『なっ!?』
アース『また以前の様に邪魔をされたくないのでな。ここで死んでもらうぞ…!管理局ッ!』
ディケイド達が驚いているのを他所にアースはディケイドに向かって突っ込んで来た。
ディケイド『チッ!下がれ優矢!アイツは俺が相手をする!』
優矢「わ、わかった!」
ディケイドは優矢を下がらせるとアースが放ってくる打撃をかわしながら後退しライドブッカーからカードを取り出してバックルに装填する。
『ATTACKRIDE:SLASH!』
ディケイド『ハァッ!』
ディケイドはライドブッカーをソードモードにするとアースに向かって斬りかかった。だが…
―ガキィィィンッ!―
ディケイド『なっ?!』
アース『ふん!』
なんと、アースは片手でライドブッカーの刃を軽々と受け止めたのだ。ディケイドがそれに驚いている中、アースはライドブッカーを払い、ディケイドの胴体に素早い蹴り技を打ち込んで吹っ飛ばした。
ディケイド『グッ!くそっ!速さでならこいつだ!』
すぐさま態勢を立て直したディケイドはカードを一枚ディケイドライバーに装填してスライドさせる。
『KAMENRIDE:KUUGA!』
電子音声が鳴るとディケイドは赤い戦士、Dクウガへと変身して姿を変えていった。
アース『な、なにッ!?』
優矢「あれは…クウガ!?」
クアットロ「ふ~ん…なるほどね~…」
アースと優矢はDクウガを見て驚愕し、クアットロは興味深そうに頷いてDクウガを見つめる。Dクウガは更にもう一枚カードを取り出してバックルに装填した。
『FORMRIDE:KUUGA! DRAGON!』
電子音声と同時にDクウガの姿が蒼い身体、ドラゴンフォームへと変わりアースに向かって身構えた。
アース『チッ!姿が変わったからといって何になる!』
アースは構わずにDクウガに向かって素早いパンチを放っていくがDクウガはそれよりも素早く動き、それをかわしながらアースに打撃を打ち込んで徐々に追い詰めていく。
Dクウガ『ハアァァァッ!』
―ドゴォォンッ!―
アース『グゥッ!ガハッ!』
Dクウガは一瞬でアースの懐に接近して渾身の蹴りを打ち込みアースは耐え切れずに後方へと吹っ飛ばされていった。するとDクウガはディケイドへと戻ってアースに追い撃ちを掛けようと駆け出した。だが…
―ドゴォォンッ!ドゴォォンッ!―
『!?』
クアットロ「はーい!そこまで!」
突如、レジェンドルガがディケイドとアースの間に向けて砲撃を放ち、二人の戦いを止めた。ディケイドはそれにより足を止めて思わずクアットロの方へと振り向いた。
クアットロ「流石にこれ以上遊んでたらウーノ姉様に怒られるし、私達はもう帰りまーす♪」
ディケイド『ッ!?ふざけるな!こっちはお前達に聞きたい事が山ほどあるんだ!黙ってお前達を見逃がすわけにいくか!』
ディケイドはクアットロに向かって叫ぶがクアットロはそれを聞くと怪しい笑みを浮かべた。
クアットロ「そう…でもこれを見ても、貴方は同じ事が言えるのかしらね?」
ディケイド『なに…?』
アース『ッ!クアットロ!』
アースがアワットロに向けて怒鳴るがクアットロは気にせずに言葉を続けた。
クアットロ「貴方があくまでも私達を捕まるっていうなら…」
クアットロが指を鳴らすと隣にいたレジェンドルガが腕に抱えていた少女をディケイドに見える様に地面に寝かせた。するとその少女を見たディケイドは仮面越しに目を開いて驚愕する。
ディケイド『ッ!?そんな…まさか…』
小さいツインテールをした金髪の少女。その少女を見たディケイドは一瞬自分の目を疑った。何故ならあの少女は………
クアットロ「ふふ、そっ♪貴方の大事な陛下が…どうなってもいいのかしら?」
優矢「陛下…?」
クアットロが再び指を鳴らすとレジェンドルガは腰に収めていた剣を取り出しその切っ先を少女に向けた。
ディケイド『ッ?!よせッ!その子には手を出すなッ!』
クアットロ「だったら貴方はどうすればいいのか………わかってるでしょう?」
ディケイド『クッ…ッ…』
クアットロの問いにディケイドは俯き、一度間を置くと次第に構えを解いて無防備となっていく。
優矢「零?!」
クアットロ「ふふん♪素直で結構♪それじゃ……トーレ姉様!」
アースキバット「ウェイクアップ!」
『ッ!?』
突如アースキバットの掛け声が響き渡り、ディケイドと優矢は慌ててアースの方へと振り向くと、アースは猛スピードでディケイドに向かって突っ込んで来た。その手には紫色の球体の様な形をしたエネルギーの塊が握られている。
ディケイド『くッ!?』
ディケイドは慌ててそれをかわそうとしたが、アースは既にディケイドの懐へと接近し紫色の球体をディケイドの身体に押し当てていた。そして……
ディケイド『ッ!?』
アース『ディバインド……インパルスッ!』
アースの言葉と同時に、紫色の球体が衝撃破となって辺りに広がり、ディケイドとその周囲が巨大な爆発に呑み込まれていった…。
―ドゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォーーーンッ!!!!!―
優矢「くっ?!うわぁぁっ!」
辺りが凄まじい爆発と衝撃破に包み込まれ、優矢は爆風に吹き飛ばされそうになるのを必死に耐える。暫くすると爆風が止み、視界を埋めていた煙が少しだけ晴れて来た。それを確認した優矢はディケイドとアースが戦っていた場所へと駆け出して行った。
優矢「零!何処だ!?零ッ!」
優矢は黒煙の中を走り回って必死に零の名を叫びながら零の姿を探す。
優矢「ッ…一体どこに……………ん?」
そこで優矢は煙の向こう側に何が地面に倒れているのに気づき、優矢は近くに駆け寄ってそれを確かめると、その表情が青ざめていった。
優矢「れ、零!?しっかりしろ!おいッ!?」
そう、地面に倒れていたものの正体は体中に怪我を負った零だったのだ。優矢は必死に零の身体を揺さぶって呼びかけるが、零からは何も返事は返って来ない。
優矢「くそっ!とにかく、早く零を写真館に…!」
零の状態を見てまずいと感じた優矢は零を背中に抱えあの二人がいないかと警戒して辺りを見渡した。だが既にその場には優矢達以外は誰もいなかった。
どうやらさっきの爆発に紛れて逃げたらしい。優矢は安心にも悔しさに似つかない感情を感じながらも、傷ついた零を抱えて急いで写真館へと戻っていった。