仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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シリウスの世界
第二十章/シリウスの世界


 

 

―光写真館・庭―

 

 

―ダンダンッ!ダンダンダンッダンッ!―

 

 

零「…………」

 

 

エクスの世界での役目を終え、次の世界へ訪れた零達一行。明日早速この世界を調べる為になのは達がそれぞれ休む中、零は一人深夜の写真館の庭でライドブッカーGモードを構えながら、庭に立てられた的を次々と撃ち抜いていた。

 

 

零「……普通の状態なら、こんな物か……」

 

 

ライドブッカーGモードを下ろしながら幾つもの穴が開けられた的を見てポツリと呟くと、零は左目に付けたコンタクトを徐に外し、因子の力を解放して両目を紫色に変化させた。そして再びライドブッカーを構え直し、的に狙いを定めると……

 

 

―ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガァッ!!!!バリイィィィィィィィィィィィィィィィィィィインッ!!!!―

 

 

……ライドブッカーから放たれた無数の銃弾が全て的に直撃した瞬間、的が全部硝子のように粉々に砕けて跡形も残さずに消滅してしまったのであった。それを見た零は的が消えたただの棒を見つめながら構えを解き、自分の手の平を見下ろした。

 

 

零「……幻魔達との戦いで片目から両目に力が上がったみたいだが、まだ完全に覚醒し切ってる訳じゃないみたいだな……」

 

 

そう考えられるのは、以前祐輔の世界での因子暴走があったからだ。今の因子の力はあの時の半分にも至らず、しかもあの時暴走した力が因子の限界という訳ではないようだ。触れる物を必ず壊し、触れられた物を必ず破壊する。もしあの時の力を越える覚醒に目覚めたら、一体どれほど恐ろしい力になるのか……

 

 

零「――ま、今考えた所で分かる筈もないか」

 

 

それに今のところ、幻魔神との戦いの時に感じた因子の成長の灯は感じられない。きっと暫くの間は大丈夫だろうと、零は前向きに考えながらライドブッカーGモードを軽く回転させ……

 

 

零「……で、何時まで其処に隠れてるつもりなんだ、海道?」

 

 

険しげに眉を寄せながら、背後にある木の方へと振り返り不機嫌そうに問い掛けたのである。するとそれと共に木の陰から一人の青年……大輝がゆっくりと姿を現し何時もの笑みを浮かべた。

 

 

大輝「へぇ、中々勘が鋭くなってきたね?一応気配は消しておいた筈なんだけど……」

 

 

零「お前の場合は、近くにいるだけで何故か苛立つから分かりやすいだけだ……で?今度は何の用だ?」

 

 

用がないならさっさと帰れと、それだけ告げて特訓を続けようと大輝に背を向けていく零。対して大輝は木に背中を預けながら両腕を組んで口を開いた。

 

 

大輝「別に大した用事じゃないさ。ただ、君にひとつ警告をしようと思ってね」

 

 

零「?警告……?」

 

 

大輝「そっ、以前魔界城の世界で君達と幸助さん達が退けた敵……君達の世界のスカリエッティ達が再び動き出そうとしてる事をね」

 

 

零「ッ?!何っ?」

 

 

自分達の世界のスカリエッティ達が活動を再開しようとしている。それを聞いた零は驚愕して大輝の方へと振り返り、大輝はそんな零の顔を見ないまま言葉を続けた。

 

 

大輝「妙だと思わなかったのかい?連中はライダー少女Wの世界に現れて以降、今まで一度も君達の前に姿を現さなかった……それが何故か分かるか?」

 

 

零「それは……奴らがまだ戦力を整えていなかったからじゃないのか?魔界城での戦いで、アイツ等は俺達に負けて戦力の殆どを失った……それを取り戻す為に、何処かに雲隠れしてたんだろう?」

 

 

大輝「まあそれもあるが、それだけじゃない……彼等は次に君達と刃を交える時に備え着々と戦力を集めていたが、最近になってそれが一気に半減された。ある連中との予想もしてなかった戦いのせいでね」

 

 

零「ある……連中?」

 

 

大輝の言葉に頭上に疑問符を浮かべて小首を傾げる零だが、脳裏にある人物達の姿が思い浮かび「もしかして……」と顔を上げた。

 

 

零「まさか……」

 

 

大輝「そう、彼等はとある世界で新たに開発したライダーシステムの稼動実験の最中、魔界城からずっと追われていたある連中に見付かったのさ。君達も今まで何度か戦った連中……」

 

 

零「……あのライダー達か……」

 

 

脳裏に蘇るのは、セイガの世界で戦ったオーガとファム、GEAR電童の世界の決戦で現れた歌舞鬼、キャンセラーの世界で祐輔達と共に倒したヴェクタスと戦った記憶。確か魔界城でも満身創痍だったスカリエッティにトドメを刺そうと現れたが、まさかあれからも執拗に奴らを追っていたとは思ってもいなかった……。

 

 

大輝「結果スカリエッティの軍は、レジェンドルガの大半を失って敗北。殆どの戦力を失った彼等は再び行方をくらまし、奴らの追跡が届かない世界に逃げ延びたらしい」

 

 

零「そんな事が―――ッ!アリシアとリインフォース、ルーテシアはどうなった?!」

 

 

大輝「?あぁ、クアットロに洗脳されてる彼女達かい?心配しなくても、彼女達は奴らとの戦いに参加してなかったから無事さ」

 

 

零「……そう、か……」

 

 

戦力の殆どを失ったと聞き、まさか彼女達までと一瞬不安が過ぎったがどうやら杞憂だったらしい。ホッと一息吐いて安心する零だが、大輝はそんな零の様子を見て呆れるように溜め息を吐いた。

 

 

大輝「安心するのは勝手だが、彼女達の身を案じてる余裕が君にあるのかい?今現在彼女達が敵であることに変わりはないんだぞ?」

 

 

零「……お前に言われなくても分かってる、そんな事」

 

 

大輝「本当かな?彼女達はあのクアットロの指揮下にある。彼女なら君達を追い詰める為なら、アリシア・テスタロッサ達を捨て駒にするぐらいのことは簡単にする……今の内に覚悟した方が良いかもしれないよ?彼女達を討つ覚悟をね」

 

 

零「…………」

 

 

大輝「討たなければ、討たれるのは君だ。分かってるだろう?彼女達に躊躇や戸惑いなんてものは存在しない。言葉や気持ちなんかで彼女達を救う事なんて出来ないって、ロストに散々痛め付けられて思い知っただろ?」

 

 

零「…………」

 

 

そんな事、今更言われなくても分かっている。彼女達をクアットロの元から救い出すには、やはり彼女達の意識を支配しているクアットロを叩くしかない。その為にも、彼女達との戦いは先ず避けられないだろう。だが……

 

 

大輝「一応これも伝えておくけど、彼女達全員を救い出せるとは思わない方が良いかもよ?絶対助け出せるとも限らないからね。誰か一人が死ぬぐらいの覚悟はしておいた方がいい」

 

 

零「余計なお世話だ。お前にそんな事言われなくても、ちゃんと三人とも――」

 

 

大輝「救い出せると?フッ、君一人に何が出来るって言うんだい?十年前の君もそう言ってアリシア・テスタロッサもリインフォースⅠも救えなかった……何かを破壊するしかことしか出来ない君の力で、どうやって彼女達を救える?」

 

 

零「方法なら幾つも考えている……それに、なのは達だっているんだ。アイツ等の力を借りれば――」

 

 

大輝「なのはさん達にあの二人の事を、未だに話せていないのにかい?」

 

 

零「ッ!」

 

 

可笑しそうに笑う大輝の言葉に、零は険しげに眉を寄せながら大輝を睨み付けた。しかし大輝はそんな零の視線を軽く流し、零に背中を向けて言葉を紡いだ。

 

 

大輝「これからの戦いは、今までのように甘くはいかない。忘れるなよ?アズサや桜ノ神達を救えたのは、『たまたま』運が良かっただけだ。これからの戦いの中で、彼女達の中の誰かを犠牲にしなければならない時が来た時、ちゃんと決心が出来るように心構えしておいた方が良い。でないと……君はいつか壊れる」

 

 

零「っ……」

 

 

大輝「まぁ、せいぜい悩みたまえ。俺はやる事があるから、じゃあね♪」

 

 

苦虫を噛み潰したような顔を浮かべる零にヒラヒラと手を振りながらそう言うと、大輝はそのまま庭を後にし何処かへと去っていってしまった。そしてその場に一人残された零は……

 

 

零「―――失ってたまるか……もう二度と……今度こそ救ってみせる……絶対っ……」

 

 

脳裏にアリシア達の顔を思い浮かべながら手の平を見下ろし、拳を強く握り締め決意を口にしていたのだった……

 

 

 

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