仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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第二十章/シリウスの世界⑤

 

 

ヴィヴィオ(別)「はむ、はむはむ」

 

 

先程の大絶叫から数十分が経ち、取りあえず落ち着いて話を聞く為に場所を変えた客間では神威とノーヴェ(別)が並んで座り、そしてこの世界のヴィヴィオが神威の膝の上に座ってケーキを食べていた。

 

 

ノーヴェ(別)「ほらヴィヴィオ、クリームついてるぞ」

 

 

そんな美味しそうにケーキを頬張るヴィヴィオ(別)の口周りに付いてるクリームを隣に座るノーヴェ(別)が拭っていき、神威もそんな二人の姿を微笑ましそうに見つめると目の前に視線を向け……

 

 

神威「で、お前らはいつまで鳩が豆鉄砲食らったみたいな顔してんだ?」

 

 

そう言って神威が見つめる先には、信じられないものを見たというように若干顔を引き攣る零達が向かい側に座っていた。

 

 

ティアナ「いや……だって、ねぇ?」

 

 

はやて「神威さんがパパって呼ばれるのはわかるんやけど……」

 

 

スバル「ノーヴェがママってのは……」

 

 

今まで色んな世界を回り、其処で様々な別の可能性を歩む平行世界の自分たちを見てきた。なのでもういい加減その世界の自分達が何をしてようが別段驚く事もなくなってきたのだが……今回のは流石に予想の斜め上をぶっちぎられてか、零達も不意を突かれた感じで驚きと戸惑いを隠す事が出来なかったらしい。

 

 

セイン「私たちの中でも1番縁がないと思ってたのに……」

 

 

ウェンディ「まさか彼氏持ちの子持ちなんて……パラレルワールドってほんとに恐ろしいッスねぇ……」

 

 

特に一番衝撃が大きかったセインとウェンディはまるで珍獣を見るかのような目でノーヴェ(別)を見つめるが、流石にその言葉が癇に障ったのかノーヴェ(別)の額にビキッ!と青筋が浮かんだ。

 

 

ノーヴェ(別)「テメエら……言いたいことはそれだけか?アタシに恋人がいたらおかしいってのか?」

 

 

ウェンディ「い、いやいやいや!別に可笑しくはないッスよ!ねえセイン?!」

 

 

セイン「そ、そうそうっ!ただノーヴェのあの性格からして恋愛とか彼氏とか縁なさそうで一番可能性なくない?っていうか無理じゃない?みたいな感じでいたから驚いただけなんだよ?うん!」

 

 

零「……フォローどころか地雷踏みまくってんだろ、お前等」

 

 

最早結果が見えてか、零は呆れるように呟きズズーと出された茶を啜っていく。そして彼の予想通り、二人の言葉で怒りの炎に油を注がれたノーヴェ(別)は拳を震わせていき、そんなノーヴェ(別)から危険を察知したウェンディとセインは顔を引き攣らせて後退りし逃げようとするが、自分たちの背後にいたある人物に捕まった。

 

 

『の、ノーヴェッ!?』

 

 

そこにいたのは、同じように怒りに震える自分たちの世界のノーヴェだった。

 

 

ノーヴェ「お前らがアタシのことをどう思ってるか、よ~くわかった。やれ」

 

 

ノーヴェ(別)「おう」

 

 

前には赤鬼、後ろにも赤鬼。完全に逃げ場を絶たれた二人はガクガクと身体を震わせながら強く抱き合い、怒り心頭の二人のノーヴェによりフルボッコにされたのであった。

 

 

 

 

 

◇◆◆

 

 

 

 

 

神威「さて、じゃあどこから話すか……」

 

 

二人のノーヴェがウェンディとセインをボコッて落ち着いた後、気を取り直して神威が零達に事情を説明し始めていた。因みに隅っこには頭に大量のたんこぶが団子のように積み重ねっているウェンディとセインが床に突っ伏してピクピクと痙攣しており、そんな二人をアズサが何処からか拾ってきた木の枝で突っつき、ちゃんと生きているか確かめていた。

 

 

零「先ず一つ聞きたいんだが、あのミラーモンスターはなんなんだ?」

 

 

神威「あれはオーディンが生み出したモンスターだ」

 

 

零「?オーディンだと?」

 

 

神威「あぁ、この世界のミラーモンスターは全てオーディンが作り出したものだ。奴は自我を持ち、神崎のもとから11個のカードデッキとミラーモンスターを作る方法を手に入れた。もっとも、奴の目的はまだわかってないがな」

 

 

フェイト「じゃあノーヴェたちがカードデッキを持っていたのは……」

 

 

神威「ノーヴェとディエチのデッキは神崎のもとに残されていた2つだ。そしてゼストはオーディンから渡され、シンヤはスカが俺たちのカードデッキをもとに作った。他のライダーで所有者がわかっているのはライア、王蛇、シザースの3つだ。ライアとシザースの所有者はすでに死んだ。王蛇は指名手配犯の浅倉の手にある」

 

 

零「そうか……また何とも複雑な事情があるんだな、この世界も」

 

 

ふぅ、と一息吐きながら頭を掻く零。一先ずこの世界の事情や状況等は把握したが、肝心の自分たちのこの世界での役目がまだ分からない。現状ではまだ核心はないが、一番の可能性はこれまで通り、この世界のライダーである神威達の身に何か起きるのかもしれない。そう考えた零は、取りあえず神威の傍に付いて暫く様子を見た方が良いかもしれないと判断した矢先……

 

 

ヴィヴィオ(別)「ママ、おかわり♪」

 

 

零がこれからの方針を決めていると、ケーキを食べ終えたヴィヴィオ(別)が無垢な笑顔と共に、空いたお皿をノーヴェに差し出した。しかしおかわりを要求されたノーヴェ(別)は首を横に振ってダメと言い放った。

 

 

ノーヴェ(別)「駄目だ。甘いもん食いすぎると虫歯になるぞ?」

 

 

ヴィヴィオ(別)「え~、だってママの作ったケーキ美味しいんだもん。もう1個~」

 

 

ノーヴェ(別)「……たく、しょうがねぇな。あと1個だけだぞ?」

 

 

ヴィヴィオ(別)「うん♪」

 

 

ケーキのおかわりを許され満面の笑みを浮かべるヴィヴィオ(別)。ノーヴェ(別)もそんなヴィヴィオ(別)に釣られるように笑いながらお皿を受け取っておかわりを持って来ようとすると、ふと視界の端に神威が笑っているのが見えた。

 

 

ノーヴェ(別)「あんだよ?」

 

 

神威「いや、ノーヴェもなんだかんだでヴィヴィオに甘いよなと思ってな」

 

 

ノーヴェ(別)「うっせ」

 

 

そんな家族の会話を楽しむ三人だが、零達はその会話を聞いて再び信じられないものを見たような顔になる。

 

 

神威「ん?どした?」

 

 

なのは「いや、あのぉ……もしかして、そのケーキって……ノーヴェが作ったの?」

 

 

ノーヴェ(別)「そうだけど……」

 

 

ヴィヴィオ(別)「ママのケーキ美味しいよ♪」

 

 

訝しげな顔で質問に答えるノーヴェ(別)と満面の笑みのヴィヴィオ(別)。それを聞いた一同は暫く固まったあと……

 

 

 

 

『ええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッッ!!?』

 

 

 

 

再びこれでもかという程の絶叫を上げ、屋敷内に響き渡ったのだった。

 

 

ノーヴェ(別)「んだようっせーな!」

 

 

ウェンディ「そ、そんな……ノーヴェが料理だなんて……」

 

 

セイン「しかも美味しい?そんな馬鹿な事がっ……」

 

 

ガタガタガタガタと、最早驚きというより恐怖に近い様子で全身を震わせるウェンディとセイン。そして、再び失礼な発言をかました二人にノーヴェ(別)もまた怒りに震え……

 

 

ノーヴェ(別)「テ~メ~ラ~!!」

 

 

ウェンディ「ヒ、ヒイィィィィィィィ?!ノーヴェがまたブチキレたッス?!」

 

 

セイン「ちょっ!これ以上たんこぶ増やすのはご堪忍を?!ア、アズサ!お願い助けて!」

 

 

アズサ「んー……アーメン?」

 

 

シロ『にゃ!』

 

 

セイン「アズサにも見捨てられた?!しかもシロにまで見限られるってウギャアアアアアアアアアアアアアアッ?!!」

 

 

途中でセインの声が悲鳴に変わったのは、彼女の頭にノーヴェ(別)の鉄拳制裁が降り懸かったからである。そして再び、ノーヴェ(別)の拳骨がウェンディとセインを襲ったのだった。

 

 

 

 

 

◇◆◆

 

 

 

 

 

それから数時間後、零達は神威に許可を貰って屋敷に泊まることになり、夕食を食べ終えた後に神威と屋敷の温泉に入っていた。

 

 

優矢「っていうか、なんで温泉湧いてんだよ?」

 

 

神威「適当に掘ってたら出てきた」

 

 

エリオ「て、適当にって……」

 

 

零「……その幸運を少しでも分けてもらいたいな」

 

 

因みに屋敷に完備されてる温泉はそれぞれ男湯と女湯に分かれており、なのは達は仕切りで分けられている壁の向こうの女湯に入っている。

 

 

優矢「しかもきっちり男湯と女湯に分かれてるし」

 

 

神威「うちはナンバーズいるからな。仕方ないだろ?」

 

 

零「まぁ、確かにそっちの方が間違いの心配もなくて気軽だな……滝達と一緒に行った温泉みたくならずに済むし……」

 

 

今も零の脳裏に蘇るのは、滝達firstメンバーと合同で行った温泉での集団リンチ。あの地獄を思い出して顔を背けながらそう呟く零に優矢も顔を真っ青にしてブルリと震え、事情を知らない神威とエリオは疑問符を浮かべていた。

 

 

エリオ「ま、まあでもっ、温泉なんて中々来られないから気持ちいいですよね」

 

 

零「……そうだな。今回はちゃんと体を癒せそうだし、何の気兼ねなくゆっくりできる」

 

 

優矢「だなぁー」

 

 

前回のような心配がない為か、完全に気を抜けきって寛ぎモードに入る零と優矢。そんな二人を見てエリオが思わず苦笑していると、女湯の方から声が聞こえてきた。

 

 

シャマル『はぁ~、滝さんの世界で行った温泉も良かったけど、こっちも気持ちいい~♪』

 

 

スバル『ですねぇ~♪』

 

 

セッテ『あの時は色々ありましたし、今回はゆっくり出来そうですね』

 

 

チンク『そうだなぁ』

 

 

ティアナ『あ、キャロ。良かったら背中流してあげよっか?』

 

 

キャロ『えっと……じゃあお言葉に甘えて。お願いします、ティアさん』

 

 

なのは『じゃあ、ティアナの背中は私が流そっか?』

 

 

ティアナ『あ、すみませんなのはさん』

 

 

女湯から聞こえてきた女性メンバーの和気藹々とした会話。それを聞いた優矢とエリオは不意に聞こえてきた女性陣の声にビクッと肩を震わせて仕切りの方を向き、更に女湯から声が響き渡る。

 

 

はやて『んー、それにしても……そらー!!』

 

 

フェイト『キャー!?は、はやてぇ?!』

 

 

はやて『ぬふふ、フェイトちゃんまた大きくなっとるなぁ、いやはやけしからん乳やでこの乳~♪』

 

 

フェイト『や、やめ、うひゃあ?!』

 

 

 

 

優矢「あの人はまた悪い癖を……」

 

 

エリオ「うぅ……」

 

 

零「あのエロタヌキめ……無視しろ無視。いちいち変に気にしてたら身が持たんぞ」

 

 

優矢「無茶言うなっての!つかなんで二人とも平然としてられんのさ?!」

 

 

神威「ノーヴェ以外の女には興味ない」

 

 

零「どうでもいい。むしろ今はこの心地好い湯加減を堪能するのが優先」

 

 

と、優矢とエリオとは対照に全然全く気になりませんオーラを放ちながら温泉を堪能する二人だが……

 

 

姫『ふむ、それにしても皆は随分と肌艶が良いのだな。これだけ外見が良いのだから、何か服装や化粧に気を配って身を飾ったらどうか?』

 

 

セイン『所謂オシャレってやつ?うーん、まだ私達にはそーいうの疎いからわかんないなぁ~』

 

 

オットー『……あっ。でも、なにかの雑誌でそういうバックとかピアスとか見たことあるかも』

 

 

姫『ぴあす?あー、あれは駄目だ。私からすれば邪道だ。大体、最近の若者は親から貰った身体に穴を開けたりと何事だろうかっ』

 

 

ディード『ですが姫さん、ずっと処女って訳にも……』

 

 

姫『ぬっ?……私の考えが古かったようだ……』

 

 

 

 

零「って耳の話をしてたんだろォオオオオォォォォオーーーーッ!!!」

 

 

優矢「……てか、ディードが前フリしちゃうとか……なんか姫さんに汚染されてね?」

 

 

こればっかりは流石に無視出来ずツッコミを響かせる零の横で、タラリと額から冷や汗を流す優矢。何やら姫と仲が良い台所組の一人が姫の色に染まりつつあるようだ……。もしかしたらこのままだと、台所組全員が第二・第三の姫になり兼ねないので、これはほんとに近々対策を練った方がいいかもしれない。いやマジで。更に……

 

 

はやて『むむ?なんや~?こっちの世界のノーヴェは私らの世界のノーヴェよりもちょっと胸大きいな~♪』

 

 

ノーヴェ(別)『な!?ちょ、やめろよ!』

 

 

はやて『ええやないか減るもんじゃなし♪』

 

 

ノーヴェ(別)『ちょ、や、やめ!』

 

 

……どうやら、エロタヌキ(はやて)が今度はノーヴェ(別)に毒牙を向けたらしい。そんな艶っぽい声が女湯から聞こえ、優矢とエリオは更に顔を真っ赤にしており、零は逆にツッコミの時のテンションを冷やされて落ち着きを取り戻し無反応。そして神威は……

 

 

神威「…………………………………………………」

 

 

……なんかこう、ゴゴゴゴゴゴゴゴッと効果音が聞こえてきそうな黒いオーラを無言で放っていた。そんな神威の様子に気付いた零と優矢、エリオは顔を引き攣らせて思わず引いてしまうが、神威はそれに構わずに男湯と女湯を仕切っている壁に近付いて……

 

 

―バンッ!―

 

 

結構思いっきり、音に怒りが含ませるように壁をいきなり叩いたのである。その瞬間……

 

 

―ガゴンッ!!―

 

 

はやて『みぎゃッ?!』

 

 

全員集合よろしくタライが女湯のはやての脳天を直撃したのだった。

 

 

なのは『は、はやてちゃん?!大丈夫!?』

 

 

フェイト『タ、タライ!?いったいどこから!?』

 

 

はやて『きゅうぅ…………星……星が見えるスター……』

 

 

ノーヴェ(別)『……(神威、こんなもんまで仕掛けてたのか)』

 

 

突如落下したタライによりノックアウトされたはやてを見て大騒ぎになる女湯。その頃神威はやり遂げた顔で温泉から出て行き、残された零達は……

 

 

優矢「タライって……もしかして神威さんが今やったヤツの?」

 

 

エリオ「そ、そんなのまであるんですね……もしかして、今みたいなのがこっちにも……?」

 

 

零「あるんじゃないか?GAU-8とか」

 

 

優矢「何で航空機用火器?!タライからランクアップしすぎだろ?!いや……でもあの人ならやりかねないかも……」

 

 

なにせ向こうにはノーヴェ(別)が入るわけだし、覗きの防止でそれぐらいのことはやるかも……覗いた瞬間に問答無用で蜂の巣とか。そう考えた優矢とエリオはガクブルと背筋を震わせ、落ち着いて入ってられないと温泉からそそくさと出ていく。そして零は……

 

 

零「――まぁ、そんな仕掛けしなくてもアイツ等ならモンスターに張らせたりとかしてそうだが……それはそれで何か落ち着かんな。さっきから変な視線も感じるし……」

 

 

向こうがいない時にまた入るかと、零もまたお湯を掻き分けながら二人の後を追うように温泉を後にするのであった。そして……

 

 

 

 

 

 

―キィィィィィィンッ……キィィィィィィィィィンッ……―

 

 

『グルルルッ……』

 

 

 

 

 

 

そんな零達の様子を温泉の湯の水面から見つめる巨大なモンスター……先程庭でスカリエッティとモグラを覗き見ていたミラーモンスターが唸り声を上げながら、零達の後を追うかのようにミラーワールド内を歩き出したのだった。

 

 

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