仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT 作:風人Ⅱ
―光写真館―
零「……んで、少しは落ち着いたか?」
優矢「あ、あぁ……悪い、勝手に一人で騒いで……」
なのは「い、いいよそんなの!誰だって最初は驚くに決まってるしっ……」
あれから数十分後。零達は優矢にヴィヴィオの事、自分達がヴィヴィオの保護責任者になっている事を簡単に説明し騒いでいた優矢をなんとか落ち着かせた。
ティアナ「けど、これからどうするんですか?ヴィヴィオはあの二人に連れていかれたわけだし…」
スバル「というか…あの二人はヴィヴィオをどうする気なんだろ…」
零「それは……俺にもわからない。だが、今俺達にとって重要なのはヴィヴィオの救出だ。今はそれだけを考えよう」
ヴィータ「だけど、問題はどうやってヴィヴィオを助けるかだろ?あたしらは今デバイスも魔法も使えない…戦えるのは零と優矢と、Kウォッチを持ってるなのはだけなんだぞ……」
なのは「……うん」
そこまで話すと、誰も口を開かなくなりその場は沈黙となる。
恐らくクアットロ達やヴィヴィオはあの城にいると思うが、詳しい城までの道がわからない。それにこちらで戦えるのはたったの三人だけ。城まで向かう途中にはクアットロが放った追っ手のレジェンドルガ達が今も零達を探しているはずだ。
それをいちいち相手しながら敵の本拠地に突っ込むのは無謀すぎるだろう。零達はいい考えが全く浮かばず、どうすればいいのかと途方に暮れていると…
「──どうした?何やらお困りの様だな?」
『ッ?!』
突如、その場に聞き慣れぬ声が聞こえ零達は慌てて辺りを見渡した。すると窓の向こうから何かが写真館の中の様子を覗いているのに気づき、零は窓を開け放った。其処には…
零「お前は…ッ?!」
優矢「あん時の黒コウモリ?!」
アースキバット「…失礼だな。私にはアースキバットというちゃんとした名があるのだぞ」
そう、其処にいたのは宙を羽ばたくトーレと共にいた黒いキバット……アースキバットであり、いつの間にか写真館の近くにまで近付いていたアースキバットに一同は敵意の込めた目で睨みつける。
零「テメェ…一体何しに此処へ来やがった?」
低い声で零がそう問うと、アースキバットは近くにある木の枝に止まって零を見据える。
アースキバット「何、私はただ主達の命でお前達を迎えに来ただけだ」
零「……なに?」
スバル「む、迎え…?」
アースキバットの言葉の意味が理解出来ず零達の頭上に疑問符が浮かび上がる。そんな零達を他所にアースキバットは肯定の意味を込めて頷いた。
アースキバット「そうだ。私の主がお前達を客として城に招き入れたいらしい」
『…………』
予想外の返答に零達は唖然としてしまう。零はそんなアースキバットを再び睨みつけた。
零「何訳のわかんねぇ事言ってんだよ。こっちは殺され掛けたんだ、そんな話信じられるわけないだろ」
ティアナ「そうよ!そんな事言って、本当は私達を罠に嵌めようって魂胆なんじゃないの?!」
二人はアースキバットを警戒しながら言う。当然だろう。敵である彼等がこんな簡単に自分達をテリトリーに入れようとするなんて警戒するなという方が無理がある。何かの罠では?と考える零達だが、アースキバットはそんな零達の反応に溜め息を吐いた。
アースキバット「こちらとてお前達を招きたくなどない。だが、私の主がその男を大層気に入ったらしくてな……お前に会ってみたいなどと言い出したのだ」
零「……俺を?」
アースキバット「そうだ。もしお前達が城に来るなら、あの子供にも会わせてもいいと言っていたが…」
なのは「ッ!?ヴィヴィオは無事なんですか?!」
ヴィヴィオの安否をなのはが問い詰めると、アースキバットは「あぁ」と頷いた。ヴィヴィオの無事を聞いたなのははホッと胸を撫で下ろす。
零「……ちょっと待ってろ」
―カタンッ―
零は一度窓を閉めると、頭を抱えて溜め息を吐いた。
零「わけわかんねぇぞ…。あいつら一体何考えてんだ…」
優矢「でも…これってある意味チャンスだよな?これなら苦労せずに城へ行ける訳だし!」
スバル「そうですよ!それにこのチャンスを上手く使えば…ヴィヴィオを助ける事が出来るかも!」
確かに、これならわざわざ城に向かうまでにレジェンドルガ達の相手をせずに城へ入る事が出来るし、ヴィヴィオの救出も余り難しい事にはならないかもしれない。このチャンスを逃すわけにはいかないだろう。
零「…そうだな。アイツ等の言う通りになるのは癪だが、これで城に殴り込む手間が省けるし、それに…奴らの主とかいうのも気になる……奴らの誘いに乗ってみるか」
その後、零は少しの間だけアースキバットを外で待たせて皆と作戦会議を始めた。まずは先に零となのはがアースキバットについて行き、その後にスバルとティアナがアースキバットに気付かれない様に離れた位置から二人の後を追って城へと潜入し、ヴィヴィオを救出。優矢とヴィータはもしもの時の為に写真館で待機という方針に決まった。
零「よし、じゃあ……行くぞ…!」
一通りの作戦を立てた後、零となのははアースキバットに城への案内を頼むと写真館を出て城へと向かって行く。それから少しした後にスバルとティアナが二人の後を追って写真館を出ていった。
優矢「皆、大丈夫かな…」
ヴィータ「心配すんな。あいつらはそう簡単にやられる様な奴らじゃねぇよ…」
四人を見送った二人も写真館の周りを警戒しながら外の戸締まりをしっかりして中へと戻っていった。
気がつけば辺りは既に夜。空には満月が浮かび美しい輝きを放っていた……。