仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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第二十章/シリウスの世界⑨

 

禁句ワードを口にした零とそれにより激怒したなのはによる愉快な逃走劇が繰り広げられた後、屋敷の居間では心身と共にボロボロになった零となのは達が居間にやってきて全員で朝食を食べていた。だがその中で、なのはからキツイお灸を据えられた零が両足の間接を摩りながら顔を俯かせて唸り声を上げていた。

 

 

零「ぐぬうぅぅぅぅっ……足の間接が痛むっ……」

 

 

なのは「自業自得でしょ」

 

 

零「ぐっ、確かに全面的に俺が悪いとは思うがっ……だからって拘束して直ぐにジャーマンスープレックスで叩き付けた後に足4の字固めはないだろうっ……」

 

 

なのは「ふぅん……背中からアクセルで蜂の巣にされる方が良かった?」

 

 

零「…………ジャーマンと4の字固めで宜しかった」

 

 

チンク(今一瞬、どっちが良いか迷ったな……)

 

 

ノーヴェ(ま、バスターで肉を焼かれるよりそっちの方がマシだとは思うけどな……)

 

 

一応、なのはの方も無闇に砲撃を使わなかっただけでもマシな方だとは思うがと、そんな二人の様子を横目で覗き見ながら朝食の味噌汁を啜るチンク達。その時、チンク達が飲んでるのと同じ味噌汁を口にした神威が頭上に疑問符を浮かべて小首を傾げた。

 

 

神威「ん?今日の味噌汁いつもと違うな?」

 

 

シンヤ「そういえば……」

 

 

言われて気付いたというようにシンヤが味噌汁を再び口にしながら頷くと、神威の横に座るノーヴェ(別)がもじもじしながら答えた。

 

 

ノーヴェ(別)「きょ、今日のはアタシが作ったんだ。ま、不味かったか?」

 

 

神威「そんなことねぇ、美味いよ。また作ってくれ」

 

 

ノーヴェ(別)「……おう」

 

 

フェイト(……いいなぁ、この世界のノーヴェは……)

 

 

すずか(神威さんも節操があって優しそうだし……それに比べて……)

 

 

神威に頭を撫でられて顔を赤くするノーヴェ(別)から視線を逸らし、フェイトとすずかがチラッと横を覗き見ると、其処にはヴィヴィオの口に付いた汚れをおしぼりで拭き取る零があった。

 

 

零「む……ほれ、取れたぞ」

 

 

ヴィヴィオ「んっ、ありがとうパパ!」

 

 

零「全く、食べる時は何時も口周りに気をつけろと言ってるだろう?でないと、お前の隣に座っているママにまたお行儀が悪いとキツイお灸を据えられるぞ?」

 

 

なのは「む……ハイハイ、どーせ私は可愛いげもない怖いだけが取り柄の鬼ママですよォーっ」

 

 

零「別に其処まで言っとらんだろうが……お前もいい加減に機嫌治したらどうだ?」

 

 

なのは「人を怒らせた本人が言える台詞じゃないと思いますけど?後、別にもう怒ってなんていませんから」

 

 

零「もう怒っていません、ねえ……本当にそうなら、口に米粒を付けたまま飯を食べ続けるなんて間抜けな格好はせんと思うがな……ほれ」

 

 

―ヒョイッ、パクッ―

 

 

なのは「――ッッッ?!!ちょ、え、何?!何してるのっ?!」

 

 

零「?なにって、見れば分かるだろ?米粒取ってやったんだ。感謝しろ」

 

 

なのは「そーじゃなくてっ!何でわざわざ取ったそれを食べたりするのっ?!」

 

 

零「……?別に問題なくないか?米は残すもんではないし」

 

 

なのは「だからそうじゃなくてっ……あぁーーもぉーーー……」

 

 

零「……ヴィヴィオ。何か俺、間違えたか?」

 

 

ヴィヴィオ「う?」

 

 

カリム「…………」

 

 

―ギュウゥゥゥッ……―

 

 

零「ッッ?!!いっ、ま、痛たたたたたたたたたたたたたたたッ?!ちょ、待てカリム!!なんだ?!何故いきなり膝を摘む?!」

 

 

カリム「あら?可笑しいですねー、さっきまで此処に蚊が止まってたと思ったんですが……ごめんなさい。違ってたみたい♪」

 

 

零「……アレ……何故だ?お前の笑顔の裏からゴゴゴゴゴゴゴッて重たい擬音が聞こえるんだが……」

 

 

フェイト(……神威のアレが少しでも、零に備わってくれたらいいのに……)

 

 

すずか(まぁ、求めるだけ無駄だと思うけど……)

 

 

逆にあの朴念仁がいきなり女性の扱いに手慣れでもしたらそれはそれで不気味なのだが……と、額に怒りマークが浮かび上がるカリムの笑顔に圧されて顔を引き攣る零を見ながら人知れず溜め息を漏らすフェイトとすずかなのであった。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

それから数十分後、零達は朝食を食べ終えた食器の後片付けを行う組の人たちの作業を手伝っていた。まあ手伝いとは言っても、零達はただ自分の食器を運び、写真館の台所組が皿洗いをするという単純な作業なのだが。

 

 

優矢「よっとっ。一応これで最後だな」

 

 

オットー「分かった。後は僕達に任せて」

 

 

セッテ「それにしても、結構な量の食器ですね」

 

 

シャッハ「まぁこれぐらい、何時より多いくらいだと思えば大した量ではありませんよ。早く片付けてしまいましょう?」

 

 

此処の人達や写真館メンバーの人数が人数なので食器もかなり多い訳だが、毎日あれだけの人数の食器を洗っている台所組からすればそれほど大した量にはならない。早く片付けを終わらせてこの世界での役目を捜しに行こうと、シャッハ達が組の人達と共に皿洗いを始めようとした矢先……

 

 

―ドタドタドタドタドタ!ピシャッ!!―

 

 

ジェイル(別)「大変だよ君たち!」

 

 

廊下の方から突然けたたましい足音が近づいてきたと思いきや、一晩庭に埋められていたはずのスカリエッティ(別)が泥まみれの格好で居間に駆け込んできた。

 

 

神威「んだよ?飯ならもうねぇぞ?」

 

 

ジェイル(別)「ご飯はいいんだよ!まぁあとで貰うけども。それより街にミラーモンスターが現れたんだよ!」

 

 

その言葉に、今まで居間に流れていた穏やかな空気が変わって一斉にスカリエッティ(別)へと皆の視線が集まった。それと共に神威、ノーヴェ、ゼスト、ディエチ、シンヤがゆっくりと立ち上がっていき、零はその動きを目で追ってポツリと呟いた。

 

 

零「行くのか」

 

 

神威「おう。お前らはのんびりしてていいぞ?これはこの街を裏から取り仕切るヤクザの俺たちの役目だからな」

 

 

小さく笑いながら居間から出て行こうとする神威だが、零達はその言葉に従わず徐に立ち上がった。

 

 

零「生憎だが、守られるのはどうも苦手な性分でな。俺たちも戦わせてもらう」

 

 

神威「勝手にしろ」

 

 

零「あぁ、勝手にするから気にするな」

 

 

肩を竦めながら笑みと共にそう返すと、神威も口元を緩めながらノーヴェ(別)達と共に居間を後にしていく。そして零、優矢、アズサ、姫、ヴィヴィオやチンクたちもその後を追うように居間から出ていき、なのはも廊下へ出ようとするが……

 

 

キャロ「――なのはさん、待って下さい!」

 

 

なのは「……え?」

 

 

一同が出ていく様子を無言で見送っていたキャロが、突然立ち上がってなのはを呼び止めたのである。それにはなのはだけでなく他の待機メンバーも疑問げに首を傾げるが、キャロはそれに構わずなのはの前にまで駆け寄った。

 

 

なのは「キャロ?どうしたの?」

 

 

キャロ「あ、あの、そのっ……今回の戦い、私に行かせてもらえませんか?!」

 

 

『っ?!』

 

 

戦いに行かせてもらたい。それはつまり、自分が変身してミラーモンスターたちと戦いたいという意味なのだろう。そのキャロからの突然の告白に一同……特にフェイトやエリオは驚き、なのはもそれを聞いて僅かに目を見開き驚いた様子を浮かべていたが、すぐにいつもの様子に戻りキャロと目線を合わせるように膝を折った。

 

 

なのは「……どうしたの?キャロがいきなり、自分の口から戦いなんて言い出すなんて。何かあった?」

 

 

キャロ「……別に、深刻な何かがあるって訳じゃないんです……ただ、私も何か、今の自分に出来ることをやりたくて……」

 

 

なのは「今の自分に出来る、こと?」

 

 

不思議そうに聞き返すと、キャロは胸に手を当てながらコクりと頷き、なのはの目を真っすぐ見据えたまま言葉を紡いだ。

 

 

キャロ「今もああして、零さんや優矢さんたち、ヴィヴィオだって戦ってるのに、私は何も出来なくて……そんなの嫌なんです、守られてばかりは嫌なんです!私も何か、今自分に出来る事をやりたい……あの子もきっと、違う世界の何処かで必死に頑張っているかもしれないのに……私だけ、何もしないでいるなんて嫌なんです!」

 

 

エリオ「……キャロ……」

 

 

キャロの言うあの子が誰を示しているのか分かったのか、物憂い表情でキャロを見つめるエリオ。なのはもそんなキャロの目をしばしジッと見つめると、軽く息を吐き出し、左腕に身につけていたKウォッチを取り外してキャロに差し出した。

 

 

なのは「いいよ、行っておいで」

 

 

キャロ「!」

 

 

フェイト「なのは?!」

 

 

なのは「大丈夫。今のキャロの覚悟は、生半可なものじゃない……正直、キャロやエリオ、ヴィヴィオだって戦わせたくないって思うけど……それを決めるのは私達じゃない。本人がそうしたいって言うなら、私に止める資格なんてないよ。何よりキャロ自身も、それがどれだけ危険なことか、分かった上で言ってるんだから……だよね?」

 

 

キャロ「……はい」

 

 

なのは「ん。でもいくつか注意するけど、絶対無茶はしないこと。ヴィヴィオのことはチンク達に任せてるから一先ず安心だけど……キャロには今フリードがいない。自分の力で戦わないといけない。だからもし限界を感じたら、誰かの手を借りてでも絶対にすぐ戻ること……いい?」

 

 

キャロ「はい!」

 

 

なのは「うん、なら行っておいで」

 

 

キャロの両肩の上に両手を置いて深く頷くと、キャロもKウォッチを胸に当てて力強くなのはに頷き返し、そのまま居間を出て零達の後を追い掛けていった。

 

 

フェイト「……キャロ……大丈夫かな……」

 

 

スバル「です、ね……フリードもいないし……私達も待ってるしか出来ないし……」

 

 

はやて「心配いらへんよ、キャロなら絶対大丈夫や」

 

 

なのは「うん。零君や神威さん達だって付いてるんだし……きっと大丈夫」

 

 

心配そうにキャロの身を案じるフェイトとスバルを宥めるようにそう言うと、なのはとはやては二人の肩を叩いてキャロが出ていった廊下を見つめていくのだった。

 

 

 

 

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