仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT 作:風人Ⅱ
―光写真館―
市街地に現れたミラーモンスターを撃退してから数十分後。戦闘後に突然倒れてしまったキャロを連れ光写真館に戻ったあと、零達は写真館の前で見送りに来てくれた神威とノーヴェ(別)と向き合い別れの挨拶を交わしていた。
神威「もう行くのか?」
零「ああ。キャロもさっき目を覚ましたし、この世界での役目も終わったみたいだが、まだ旅は終わっていないからな」
神威「そうか。まあいい、頑張れよ?俺の力が必要なときはいつでも呼べ」
零「わかった……お前たちはオーディンを倒したら、どうするんだ?」
神威「どうもしないさ。俺の願いを邪魔する奴は叩き潰す。ミラーライダーの戦う理由は正義でも悪でもない……自分自身の願いだからな」
真っすぐな視線を零に向けながら迷いなくそう告げる神威。零は黙ってそれに耳を傾けると、神威は左手を腰に当てて再び語る。
神威「人が願いを持ち続ける限り、俺たちの戦いは終わらない。ミラーライダーは人の欲望の果ての姿だからな。神崎も言っていた。『人が欲望を背負いきれなくなった時、人はライダーになる』ってな」
零「……そうか……なら、俺から言うことは何もないな……」
自分達の望みの為、それを邪魔する者と戦い続ける。端から聴けば聞こえが悪く思うかもしれないが、ある意味それもミラーライダーに限らずライダーの在り方を示すひとつなのかもしれない。
今までの世界で自分達がしてきたことも、世界を救いたいからという欲のために滅びの張本人となった敵を倒してきたと、単純に言えばそういう事になるのだ。だから零たちはそれを否定するつもりはないし、寧ろそっちの方が神威達らしいと微笑を浮かべた。
零「ま、其処まで豪語したんだ。頑張れよ?でないと、組長の面子が丸つぶれだぞ?」
神威「言われるまでもねえさ。あ……ところで、俺のファイナルフォームライドどんなんだったんだ?そこだけ記憶に無くてな。しかもなぜか腹一杯なんだが?」
零「はっ?あー……いや、気にするな……じゃあ、またなっ」
神威「?何か府に落ちねえが……まあいい、またうちにも遊びに来いよ。何時でも歓迎してやっから」
なのは「あははっ……は、はいっ……」
流石にあんなモンスター達を食っていたなどと言えず若干顔を引き攣りながら話をごまかすと、零は苦笑いするなのはと共に神威達と別れ写真館へと入っていったのだった。
◇◆◇
―光写真館・リビング―
キャロ「い、痛い痛いっ!シャマル先生っ、痛いですって!」
シャマル「我慢する!全くもう、こんなに傷だらけになって帰ってきて……」
フリード「キュクルル~……」
零となのはが戻ったあと、リビングでは意識を取り戻したキャロがソファーに腰掛けながらシャマルの治療を受けている真っ最中だった。因みに、フリードリヒはキャロが変身を解いたと共にミラーモンスターの姿から元のチビ竜のフリードへと戻り、今はキャロの膝の上に乗り心配げにキャロの顔を見上げている。
シャマル「――はい、これでおしまい。一先ず大した怪我はないから、傷が残る心配もないわ」
キャロ「あ、ありがとうございます……あと、すみません……無茶はしないって約束したのに……」
ヴィータ「まったくだな。幾らトラブルの連続だったつっても、無茶のし過ぎにも程があんだろ。ま、今回はフリードの助けがあったから良かったものの……」
キャロ「ぅ……ご、ごめんなさい……」
両腕を組みながらジト目で睨んでくるヴィータに返す言葉も浮かばず、反省の意を込めて謝罪しながら俯くキャロ。一同もそんなキャロを見て苦笑いすると、はやてがキャロの隣に腰掛けポンッとキャロの頭の上に手を置いた。
はやて「ま、きっとキャロにもそうせなあかん事情があったんやと思うし、反省しとるんなら私等も深くは追及したりせえへんよ?せやけど、キャロが今日みたいにあんま無茶すると……」
と、はやてが苦笑しながらそう言うとキャロから視線を外して別の方へと顔を向けていく。キャロもそんなはやての様子に疑問を浮かべて小首を傾げ、はやての視線を追ってみると、其処には……
フェイト「どーーして?!どうしてキャロがあんな傷だらけになって帰ってくるのォッ?!!零達が付いていながら!!一体みんなして何やってたのォォォォォォォォーーーーーーーーーっっ!!!!(泣)」
すずか「フェ、フェイトちゃん!!落ち着いて!!」
零「いやだから俺達も助けようとはしたんだがミラーモンスター達に邪魔されて救援に行こうにも足止めされてしまっていたというか取りあえず襟掴んで身体を揺さ振るのは止めてくれホント酔うというか既に酔っているというかっ……」
優矢「なっ何で俺までぇぇぇぇっ……ウェップッ……」
なのは「ス、ストップストップッ!!フェイトちゃん待ってってば!!二人ともなんか顔色が真っ青になり始めてるからっ?!!」
……其処には、キャロが傷だらけになって帰ってきた為にパニックに陥り、漫画みたく目をグルグルさせながら零と優矢の襟を掴んで前後にブンブン激しく揺さ振りまくるフェイトの姿があったのだった。ちなみにすずかがフェイトを羽交い締めし、なのはがフェイトの両腕を掴んで二人を解放しようと試みてるようだが、過保護パワーを発揮している今のフェイトには何ら通じていないようだ……。
はやて「……キャロたちの保護者さんがものすごいパニックになってまうから、今後今日みたいなのは控えてな?」
姫「うむうむ、子供に何かあった時の親は恐ろしいからな。余り過剰な無茶はしない方がいい。特に零みたいなのは以っての外だ」
キャロ「は……はい……」
スバル「っていうか、一緒に戦った姫さんはフェイトさんに責められないんですね、あとアズサも(汗)」
姫「みたいだなぁ。まあアズサはともかく、私は攻められるより攻める方が好みだからな。それを分かってくれてるんだろう」
ティアナ「いや意味が違うっていうか字が違うっていうか、何の話ですか」
うむうむと腕を組みながら深く頷く姫に冷静にツッコミを入れるティアナ。そうしてそんなやり取りと零達の様子を見て苦笑を浮かべていたエリオだが、キャロの膝の上に乗るフリードを見て、フリードの頭を撫でながら口を開いた。
エリオ「それにしても、謎ですよね。何でフリードはミラーモンスターになって、この世界に飛ばされていたんでしょうか……?」
チンク「それはきっとアレだろう?私達が生身のまま魔法やISが使えないように、滅びの現象のせいでそうなったのでは?」
ティアナ「確かに。可能性として考えるなら、それが一番有り得そうよね。現に、リイン曹長やアギトが小さくなれなくなって……」
ザフィーラ「俺も今は獣人化が出来なくなっているからな。恐らくそれと同様のことが、フリード自身にも起きているのではないか?」
エリオ「うーん……そうなのかなぁ……」
フリードがミラーモンスターになってこの世界に飛ばされたのも、滅びの現象の影響によるもの。現状で考えられる一番の可能性を口にする一同にエリオも何処か府に落ちない様子でフリードの頭を撫で、漸く優矢共々フェイトから解放された零は床に倒れながらある思案をしていた。
零(滅びの現象か……そういえば、ルーテシアの変身するガリュウも契約モンスターにガリューがいたという話だったが……もしかしてガリューもその影響で、ミラーモンスターになっていたのか……?)
もしくはクアットロ達に捕まった際にミラーモンスターにされてしまったという可能性も捨てきれないが、真相はやはり分からない。パニック状態のフェイトを必死に宥めるなのはとすずかの横で難しげにそう考えていると、ティアナがフリードの頭を軽く人差し指で突いた。
ティアナ「にしてもアンタ、私達がこの世界に来た頃からずっと傍に付いてたんでしょ?ならなんでもっと早く姿を表さなかったのよ、チビ竜」
フリード「ぷきゃあ、キュクルルー!」
姫「ん?……ふむ……成る程……それについては、何だか色々と理由があったみたいだな」
セッテ「?理由?」
姫「あぁ。最初は、私達を見付けた時にすぐ姿を見せようとは思ってたみたいだが、自分の今の姿を見てすぐフリードだって分かってもらえるか不安だったから、姿を見せる事に少し躊躇してたみたいだ」
優矢「ウップッ……あー、成る程っ……確かに、俺も最初見た時はミラーモンスターと思って警戒してたしなぁ……っていうかアンタ、フリードの言葉が分かんのかっ?」
姫「言葉というより、単に意思を読み取っているだけだ。本人が何かを伝えようとする意思を見せていれば、それを読み取って大体のことは分かる……でまあ、彼もその後、どうにかして私達に接触しようと何度も試みたみたいだが、私達が神威達と行動を共にするようにしてから簡単に姿を見せられなくなったみたいでな……」
セイン「?神威達?なんで?」
何故神威たちと行動を共にしてから姿を見せられなくなったのか?その理由が分からないスバル達は訝しげな表情で小首を傾げるが、その理由がなんとなく理解出来た零は椅子を支えにふらつきながら立ち上がって答えた。
零「それは多分、今の自分がミラーモンスターだったから……か?」
姫「正解!どうやら彼は、我々がこの世界に来る前からミラーモンスターと戦う神威達の戦いぶりを陰ながら見ていたようだ。だからもし、自分が安易に彼等の前に姿を見せれば、他のミラーモンスター同様退治されてしまうのではないかと警戒してたらしい」
零「……成る程……だからあの盗難騒ぎで助けてくれた時、姿を見せないでそのまま逃げたのか」
あの夜での戦闘の際、自分と優矢を助けてくれたのがフリードだというのは正体が分かった時に確信したが、何故そのまま姿を見せずに逃げたのかは未だ分からなかった。なので漸くその理由が分かって疑問が解消された零は軽く息を吐くと、スバルがフリードの頭を人差し指でグリグリとしていく。
スバル「でもまあ何はともあれ、無事にフリードも見付かって良かったよねぇ。これでキャロとフリードのコンビも復活だし♪」
エリオ「ですね。キャロもカブトの世界に飛ばされたばかりの頃、フリードのこと心配してましたし……良かったね、キャロ」
キャロ「うん♪これからまたよろしくね?フリード」
フリード「キュクルルー♪」
満面の笑みを向けるキャロに答えるように、両腕の翼を羽ばたかせて鳴き声を上げるフリード。その光景を離れて見ていた零も、もうキャロは心配いらないなと微笑しながらキャロ達から視線を外すと、入り口の方から先程写真の現像を頼んでいた栄次郎がリビングに入ってきた。
栄次郎「ああ零君、頼まれた写真の現像終わったよ。ほれ、今回も中々良い写真だ♪」
そう言って笑いながら現像した数枚の写真達の中から一枚取り出して零に見せると、零はそれを受け取って写真を見つめる。其処には神威の屋敷で愉快げに馬鹿騒ぎする神威達となのは達の姿が写されており、零はその写真を見て満足げに笑みを浮かべていく。
栄次郎「それにしても、その神威君という子は中々良い顔で笑うね。笑顔が似合っているよ」
零「ああ、自分の望みの為に戦い続けてる奴だからな。だからきっと、後悔する生き方はしないと思う……戦いが終わった後も、こうやってみんなと笑いながら生きていくだろ、多分な」
自分の望むがままに生き、嘘偽りなく生きる。そんな裏表のない男だからこそ、あれだけの大勢の人間が彼の周りに集まるのだろう。写真から視線を外しながらそう考えて微かに微笑むと、零は写真を額に飾ろうとその場から歩き出した。その時……
―ガチャ…ガララララララッ…パアァァァァアンッ!―
リビングにある背景ロールが独りでに降りて淡い光を放ち、写真館が再び別世界へと移動したのであった。新たに現れたその背景ロールの絵には……
オットー「?これって……また動物?」
ヴィヴィオ「ライオンさんに、鮫さんに……鳥さん?」
背景ロールの絵には、前回のウォルフィンの絵と同様に青い雷を背景にした黄色い獅子が中央に立ち、その両脇に黄色い鮫と鷹の三体が描かれていたのだった。