仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT 作:風人Ⅱ
―〇〇〇ホテル―
―――あれから十数時間後。既に日付が変わり、深夜の闇に包まれる桜ノ町内の〇〇〇ホテルでは、怪人Sの予告状に記されてた予告時間に備え七桜玉の警備を強める警備員達の姿があり、その中には警備への参加を願い出た絢香達の姿もエントランスにあった。のだが……
―ヒュウウウウウウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥウッ……!!!―
零「―――ポジショニング……見誤った……な……」
……何故か零が一人だけ、冷たい強風が吹き抜けるホテルの屋上にて革ジャンのポケットに両手を深く突っ込みながら寒さに耐え忍び、無表情でガタガタと身体を震わせて怪人Sを待つ姿があったのだった。
◇◆◇
―〇〇〇ホテル・エントランス―
絢香「――は?れ、零さんを屋上の警備に回したぁっ?!」
その一方、七桜玉が厳重に保管されたガラスケースが中央に立つエントランスでは、絢香が姿の見えない零の居場所について桜香から話を聞き驚愕の声を上げていた。そんな絢香の大声に周囲の警備員達の視線も集まるが、絢香はそれに気付かないまま愕然とした顔を浮かべ、桜香は腰に左手を添えてやれやれと首を振りながら話を続けた。
桜香「言っとくけど、別に私がそうさせた訳じゃないわよ?ただ彼が『例の怪人とやらが来る前にアイツ等のボケを捌き切れずに倒れそうだから、どっか一人で見張れる場所を教えてくれ……』って言われたから、屋上を教えただけで……」
絢香「だ、だからって何でよりによって屋上なんですかっ!あんなところに一人で居させたらっ、それこそ風邪引いて倒れ込んじゃいますよっ!」
桜香「……まあ大丈夫よ。どうせ寒さに耐え切れずに戻ってくるだろうし。それより私達が気にするべきは、アレでしょ」
零は限界が来れば本人から勝手に戻ってくるだろうとあまり気に止めず、桜香は顎でエントランスの中央を指した。其処には七桜玉が保管されたガラスケースと、そのガラスケースの前に立ってガラスケースの中の七桜玉を覗き込むなごみ、アシェン、ドール、姫、そして彼女達に七桜玉の詳細を解説する紗耶香の姿もあった。
なごみ「――これが七桜玉ですか」
ドール「なーるほど。玉の中に星……のように見える桜の花びらが七枚あるから七桜、という事ですか」
姫「ふぅむ……私も実物は初めて見るが、確かにこの宝球には僅かながら神愾を宿してるな。やはり桜龍を喚び出す為の物か」
紗耶香「恐らく。とは言え、私達も実在の桜龍をこの目で見た事はないのですが」
ガラスケースに保管される七桜玉をジッーと凝視するなごみとドール。その二人の後ろでは姫が初めて目にする七桜玉から僅かな神愾を感じ取り、その様子を離れて見ていたアシェンは、何かを探るように辺りを見渡していく。
アシェン「それにしても、この程度の警備態勢で本当によろしいのですか?相手は一度六桜玉の盗難に成功させてるようですし、もう少しトラップを仕掛けるなり、何かしら警戒レベルを上げるべきでは?」
紗耶香「いや、トラップは既に前回で実践して、その結果がアレだったんだ。だから単純な罠では向こうも攻略法や解除法、突破法など熟知してると考えてこの警備態勢を取った」
ドール「んまぁ、トラップなんてもんは突破スキルさえありゃ大した障害になんざならねーもんですしねぇ。因みに失礼な質問ですが、この警備員の方々は信頼出来るお人達で?知らぬ内に怪人さんと入れ代わっているなんてオチがありそうで、少々心配なのですが」
桜香「その事なら心配入らないわ」
人数が多い為、いつの間にか警備員の誰かと怪人Sが入れ代わって既にホテル内に潜んでいるかもしれないという可能性を考えて遥か天井のガラスを仰ぐドールに、桜玉が絢香と共に歩み寄りそう告げると、懐から人型の小さな紙切れを取り出した。
桜香「警備の人達全員の懐にこの式神を潜ませてあるから、何か異常が起きた時にはコレが知らせるようにしてあるの」
アシェン「成る程、そちらの対策も既に練っているという訳ですね」
桜香「相手は一筋縄ではいかないようだしね。それとさっき紗耶香と手分けして、ホテル内のあっちこちに侵入者対策の札を張り巡らせておいたから、外からの侵入に対しても対策済みよ。捕まえると決めたからには、手を抜いたりはしないわ」
なごみ「徹底してますね。しかし相手も仮にも怪盗を名乗っている訳ですから、私達の想像を遥かに超える手段で盗りに来るかもしれませんよ?それこそ某怪盗Ⅲ世や猫目三姉妹のような突拍子もない方法でとか」
アシェン「いいえお嬢様、きっと最近で言うところの怪盗キッ〇並の盗みっぷりですよ恐らく……となると、此処は体は子供で頭脳は大人の、スーパー小学生を連れてくるべきなのでしょうか?」
ドール「ノンノン、こんな事件は私がいれば即コスモ解決ですよい。なにせ私は、彼のコスモパトロールでバイトとして働いてた過去があるのですから!若さや愛を問われても!振り返りも躊躇いも蒸着もしませんが!鍛えに鍛えたこの腕でコスモ追跡、あーんどコスモ逮捕してやるぜぇ!エマージェースィー!ジャッジメント!決☆め☆るぜぇッ!」
姫「では、捕らえた後は私がその怪人とやらを亀で……ん?だが、もし相手が男だった場合、亀で縛っても誰得な事に……むむ」
紗耶香「……ああ……黒月がいなくなって分かったが……ダメだ……私には、奴のようなツッコミスキルがない……」
絢香「あ、あはははっ……ま、まあ、桜香さんが仕掛ける罠は確かに優秀ですから、心配入らないと思いますよっ?うんっ」
交互にボケるなごみ達へのツッコミが思い付かず思い詰めた顔を浮かべる紗耶香の隣で、絢香が苦笑で彼女達のボケをごまかしながらそう告げた。そしてそんな彼女達を他所に桜香は左腕に身に付けた腕時計に目を落とし、時間を確認する。
桜香「1時23分……もうすぐ予告時間ね……警戒を怠らないで。いつ何処から奴が現れるか、分からないわ」
ドール「ウォーケェーィ!任せんしゃーい!例の怪人さんが来た瞬間、この手で獅子奮迅にして四肢粉塵にしてやるのだわ!」
紗耶香「やるな。ご法度に触れるわ」
キィィイイエェェエエッ!と荒ぶる鷹のポーズを取り気合いを入れるドールに、冷ややかなツッコミを入れる紗耶香。そして他の一同がそんな様子を見て呆れたり苦笑いを浮かべたりしていた、そんな時……
―ズバアアァァッ!!!―
「う、うわああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっっっっ!!!?」
―ドシャアアァッ!!!―
『ッ……!!?』
突然、エントランス内に悲痛な悲鳴が響き渡ったのである。その声を聞き絢香達や他の警備員達が驚愕して慌てて辺りを見回していくと、遥か上のフロアから何かが落下して絢香達のいるエントランスへと落下し、絢香達がそちらの方に振り返ると、其処には肩から腰に掛けて匙加減に切り傷を付けられて血を流しながら倒れる男性……上のフロアの見回りをしていたハズの警備員の一人の姿があり、それを目にした絢香達は慌てて警備員へと駆け寄って身体を抱き起こした。
紗耶香「お、おいっ!どうしたっ?!しっかりしろっ!何があったっ?!」
「ぁ……ぅがっ……ば……ばけ……もの、が……」
絢香「ば、化け物……?」
姫「――ッ!皆っ、下がれっ!!」
桜香「……え?」
警備員が途切れ途切れに口にした化け物という言葉に絢香が戸惑いと疑問を浮かべる中、姫が突然声を荒げながら絢香の手を引いて後ろへと下がり、それに続くようにアシェンがなごみを、ドールが警備員を抱えてガラスケースの下まで跳び退いた。その時……
―……シュワアァァァァァアアアアアアッ……―
『――グルラァァァァッ……』
『アァァァァッ……』
「?!な、何だっ?!」
「うわあああああああああああああああっ!!?」
エントランス内、各フロアなどの要所々々に突如闇にも似た霧が無数に出現し、其処からなんと黒い甲冑を纏った異形の怪物達が姿を現したのであった。そして怪物達はその場に居合わせた警備員達を視界に捉えると共に彼等へと襲い掛かり、姫達も上階のフロアから響き渡る悲鳴と発砲音に動揺していた。
アシェン「これはっ……!何もない空間に発生した闇から、怪物がっ?!」
ドール「ちょちょちょい!何ねこれ?!こっちの想像を遥かに超える手段で来るかもとは言いましたけど、流石にバケモン使って来るとか聞いてねぇーっ!しかもまだ予告時間じゃねぇーっ!」
姫「っ……何がどうなって……とにかく彼等を救い出して避難させるぞっ!このままでは……絢香?」
突如現れた無数の黒い甲冑の異形達に襲われる警備員達を救う為にイクサベルトを腰に巻き付けて絢香達に呼び掛ける姫だが、絢香と紗耶香と桜香の三人は何故か警備員達を襲う黒い甲冑の異形達を見て目を見開き、驚愕の表情を浮かべていた。
絢香「そ、そんな……あれってっ……?!」
紗耶香「ま、間違いないっ……あれは奴の、ギルデンスタンが作り出した『人造幻魔』ですっ!」
姫「っ?!何っ?」
あの黒甲冑の異形達の正体……それがかつて、絢香達が倒した高等幻魔の一人であるギルデンスタンが生み出した人造幻魔であると、驚きを隠せない様子でそう告げた紗耶香に姫も驚愕の表情を浮かべるが、その時人造幻魔達が姫達に狙いを定め刀で斬り掛かっていき、姫達はそれぞれ人造幻魔に応戦し反撃していく。
姫「クッ!どういう事だッ?!ギルデンスタンは君達が倒したのだろッ?!いやそもそも、幻魔神が倒れた以上、幻魔が存在する筈がっ……!」
桜香「ッ!ギルデンスタンの消滅でコイツ等も活動が出来なくなった筈なのにっ……まさか、奴が?いや、そんなまさかっ……!」
『グルラァァァァッ!!』
ドール「ひょおおおおおおおおおおおおおおおッ!!助けてくりぃーっ!!つか早く応戦した方が宜しいのでなくてぇーっ?!警備員の皆さんの身とか色々危ねーですよぉーっ!!」
刀をブンブン振り回し追い掛けて来る人造幻魔から、怪我人の警備員を担ぎ全力で逃げ回りながら他の一同にそう叫ぶドール。そしてそれを見た姫は咄嗟に駆け出してドール達を追う人造幻魔に跳び蹴りを喰らわせ吹っ飛ばしイクサナックルを取り出すと、桜香と紗耶香も絢香を守りながらそれぞれ籠手を出し、アシェンもなごみを守るように臨戦態勢を取り戦闘を開始していくのであった。
◆◇◆
一方その頃……
零「…………寒い…………」
下のフロアで突如前触れもなく現れた人造幻魔の襲撃に遭ってるその一方、屋上で怪人Sを待ち続ける零はそんな事が起きているとは露知らず、首から下ろしたカメラを風で揺らしながらその場に腰を下ろし遠い目で明かりの消えた町並みを眺めていた。
零「予告時間の一分前だと言うのに、未だ何の動き無し……本当に来るんだろうな、怪人とやら……」
まさか既にホテル内に侵入してるとかじゃないだろうな?と、寒さで身体をガタガタ震わせながらそんな事を考え溜め息を漏らし、零の左手首に身に付けられた腕時計が遂に予告状に書かれていた1時半を刺した。その時……
―バッバッバッバッバッバッバッバッ……!!―
零「…………あ?」
一旦ホテルの中へ戻ろうかと考えていた零の上空から、突然ヘリの音が聞こえて来たのだ。そしてその音に釣られるように零が頭上を見上げると、其処には遥か上空に何処から現れたのか、一機の大型ヘリがこんな時間にホテル上空を飛んでいる光景があった。そして……
―ガラアァッ!―
『………………』
大型ヘリの扉が開き、其処から背中のマントを靡かせながら桜色と金色の仮面の戦士……怪人Sがその姿を現したのだ。そうして、怪人Sは遥か眼下のホテルの屋上を見下ろしながら躊躇なく大型ヘリから飛び降り、そして……
―フッ……ガシャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!!!―
零「ッ!何……?」
怪人Sはそのまま、屋上に貼付けられた天井ガラスに目掛けて猛スピードで落下して天井ガラスを突き破り、その下に繋がってるエントランスへと落ちていったのであった。
◇◆◇
―ガギイィィッ!!ズシャアァァッ!!ズシュウゥッ!!―
鬼王『ハッ!!ハアァァッ!!』
『グオァッ?!』
『グェエエッ!!』
龍王『ゼエェアアァッ!!早く逃げろッ!!』
「ハ、ハイィッ!」
一方同じ頃、ホテル内では鬼王に変身した桜香と龍王に変身した紗耶香の二人が各フロアを駆け回り、人造幻魔達を次々と斬り捨てて警備員達を避難させていた。そしてエントランスでは、イクサFに変身した姫とアシェンが七桜玉を奪おうと迫る人造幻魔達を格闘術で次々と薙ぎ倒していき、七桜玉が保管されているガラスケースの下では、絢香となごみとドールが怪我を負った警備員達の傷を治療する姿があった。
―バキイィィィィッ!!―
『ボアァッ?!』
アシェン「ッ!数が多過ぎますッ!このままでは何れ押されてしまうッ!」
イクサF『クッ!絢香ッ!なごみッ!ドールッ!君達だけでも先に逃げろッ!このままでは君達の身にまで危険が及ぶッ!』
絢香「ッ!でもっ!」
ドール「てやんでぇいっ!そいつは無理な相談って話ッスよ姐さぁんっ!」
なごみ「引き際は心得ていますので、こちらの心配は入りません。何より、この方々を見捨てて逃げるほど、私も非情にはなれませんので」
イクサF『ッ……!全く、君もそういう強情なところは母親似だなっ!』
何でも有りなドールはともかく、警備員達を見捨てて逃げる事を拒否するなごみからなのはの面影を垣間見て苦笑すると、イクサFはイクサカリバーGモードを取り出しながら周囲の人造幻魔達へと乱射し撃退していく。だが……
『グルゥアァァァァァァァァァァァァァァァァァァアアアッ!!!』
―ズシィィィィィィィィィィィィィンッ!!―
『?!なッ……?!』
フロアの一角から一つの影が雄叫びをあげながら勢い良く落下し爆風が起こり、爆風が晴れると、其処にはイクサF達より二回り巨大な体格をし、両手に大剣と盾を装備した巨大な幻魔……幻魔神との最終決戦にて、翔一が変身したジョーカーによって倒されたハズのマーベラスの姿があった。
絢香「こ、高等幻魔っ?!あんなのまで、どうしてっ……?!」
『グルアァァァァァァッ……』
イクサF『ッ……いよいよ持ってきな臭くなって来たな……コレも怪人Sの仕業なのか?いや、もしかすると怪人Sは……?』
ギルデンスタンの消滅と共に活動停止したハズの人造幻魔達の襲撃に、高等幻魔の復活。次々と巻き起こる不可解な展開の連続にいよいよ妖しさを覚えるイクサFだが、マーベラスはそれを他所に右手に握る大剣を振り上げて刃に雷を纏い、それを目にしたイクサFとアシェンは背後のなごみ達と七桜玉を守ろうと咄嗟に身構えた。次の瞬間……
『Saber Active!』
『……ッ?!』
マーベラスがイクサF達に向かって攻撃を仕掛けようとしたその時、エントランスの上空から突然聞き慣れない電子音声が鳴り響いたのである。そしてそれを耳にしたその場にいる一同が驚愕し頭上を見上げると、其処には、白いマントを身に包みながら猛スピードで急降下して来る怪人Sの姿があった。
アシェン「あれはっ……?!」
『――フルコンタクト……』
『saber Brake!』
―ギュイィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィイッ!!!―
再度電子音声が響き渡り、怪人Sが身を包むマントの奥から水色の輝きが放たれ、怪人Sが純白のマントを勢いよく翻すと共に左腕に装備されたアーマーに収納された鋼鉄の剣を抜き取り、水色の極光を刃に纏わせながらマーベラスに向けて振りかざしたのだ。それに対しマーベラスは直ぐさま応戦して雷を纏った大剣で怪人Sへと横殴りに斬り掛かるが、怪人Sが振るった鋼鉄の剣と激突した瞬間に大剣は真っ二つに斬り裂かれ、怪人Sの剣はそのままマーベラスの胴体へと突き刺さっていった。
―ズブシャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアッ!!―
『ッ!!?ゴブッ……ガアアアアアッ……?!!』
『……フッ!!』
―ズバアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアァンッ!!!―
『ゴアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアッ?!!!』
―ドッガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!!―
そうして、怪人Sはマーベラスの胴体に突き刺さった鋼鉄の剣に力を込めてマーベラスを一刀両断に斬り裂き、マーベラスは断末魔の雄叫びを上げながら爆発し粉々に吹き飛んでいったのだった。
絢香「なっ……こ、高等幻魔を一撃でっ……?!」
アシェン「……大したパワーですね……ですが幻魔を倒したという事は、この人造幻魔達は怪人Sの仲間ではない……?」
イクサF『…………』
マーベラスをたった一撃で撃退した怪人Sの戦闘力に絢香が驚愕を浮かべ、この人造幻魔達の襲撃が怪人Sの仕向けたものではないかと推測していたアシェンが頭上に疑問符を浮かべる中、イクサFは怪人Sを見て仮面の下で目を見開き違う驚愕を浮かべていた。
イクサF(ま、間違いない……外見は所々変わってるが、あの鎧……だが、何故アレがっ……?!)
『…………』
―シュバァッ!!―
バサッと、純白のマントを翻した怪人Sを有り得ないものを見るような目で見つめるイクサFだが、怪人Sはそれを他所に右手に握る鋼鉄の剣を左腕のアーマーに静かに収めながら素早く駆け出してイクサF達へと突っ込み、それに対し迎撃するようにアシェンが拳を振り上げて殴り掛かった。が……
―シュビィッ!―
アシェン「!消えた?!」
アシェンの拳が届く寸前に、怪人Sの姿が残像のように音も無く消えた。それに驚き思わず動きを止め辺りを慌てて見渡し怪人Sの姿を探すアシェンとイクサFだが……
―ガシャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!!―
絢香「きゃあぁっ?!!」
『ッ?!』
背後からガラスの破裂音と絢香の悲鳴が響き、二人が慌てて背後に振り返ると、其処にはいつの間にか絢香達の背後のガラスケースを破壊して七桜玉をその手に収める怪人Sの姿があったのだった。
アシェン「なっ……いつの間にっ?!私のセンサーには何の反応もっ……!」
『――七桜玉……予告通り、コレは頂いていきます』
イクサF『ッ!待てッ!お前にはまだ聞きたいことが―バゴオォォォォォォォォォォォォオンッ!!―……なッ?!』
七桜玉を手に逃亡しようとする怪人Sを慌てて呼び止めるイクサF。だがその時、エントランスの床が突然爆発を巻き起こして破裂し、床の下から巨大な黒い馬……怪人Sが従える馬鬼が飛び出してイクサFの前に立ち塞がったのだ。
イクサF『ッ!馬鬼ッ?!お前までっ……?!』
『ブルルルルッ……!!』
『……時間稼ぎは任せますよ、馬鬼。それでは、私はこれにて……』
―バサアァッ!―
アシェン「待ちなさいッ!―バチイィィィィッ!!―クッ?!」
怪人SはイクサF達にそう言いながら純白のマントを身に包み、超人的な跳躍力で跳び上がって各フロアを駆け登りながら破壊された天井に向かって逃亡し始めたのだ。アシェンがそれを追おうとするも、残された馬鬼が自身の角から雷撃を撃ち出してそれを阻止してしまい、馬鬼は怪人Sを追わすまいとしてイクサFとアシェンに攻撃を仕掛けていくのだった。
◇◆◇
―〇〇〇ホテル・屋上―
そして、人造幻魔の襲撃の騒ぎを利用し七桜玉を手に入れた怪人Sは、先程破壊した天井からホテルの屋上へと飛び出して着地し何かを探すように辺りを見回していく。だが……
(……?ヘリが……いない……?)
怪人Sが探しているのは、此処へ侵入する時に自分を運んでくれた大型ヘリの姿。どうやら七桜玉を盗んだ後はそのヘリに乗って逃亡しようとしていたらしいが、肝心のヘリが見付からず怪人Sは困惑に満ちた様子を浮かべていた。そんな時……
―バッ!―
「ハアアァァッ!!」
『――ッ?!―ドグオォッ!!―クッ……!』
物陰から突然一つの影が飛び出し、そのまま怪人Sに目掛け跳び蹴りを放ち蹴り飛ばしていったのであった。突然の不意打ちに怪人Sも対応が遅れて回避出来ず壁に強く叩き付けられるが、すぐに立て直して自分を攻撃した影に目を向けた。其処に立っていたのは……
零「――お前を追うべきかヘリを追っ払うべきか一瞬悩んだが、どうやら後者を選んで正解だったらしいな……アレがお前の逃走の足だったらしいし、この寒さに耐え忍んだ甲斐があったようだ」
其処に立ってたのは、この寒さの中で厚着もせずに黒の革ジャンのみを羽織り、首にカメラを掛けた黒髪の青年……偶々屋上に居合わせた零の姿があり、怪人Sは不意を突いて現れた零に警戒し身体を向き合わせた。
『貴方は……』
零「屋上の担当を任された警備員だ。言っておくが、お前が探していたヘリなら当分は戻って来んと思うぞ?さっきまで俺が此処から銃を乱射して追っ払った所だからな、逃げるなら自分の足で逃げるしかない……最も、逃がすつもりは毛頭ない訳だが」
『…………』
懐からディケイドライバーを取り出して腰に巻き付けながらそう告げると、零は左腰のライドブッカーからディケイドのカードを取り出し、怪人Sが飛び出してきた天井ガラスの方に視線を向けていく。
零「さっきから下の方が妙に騒がしいようだが、アレもお前の仕業か何か?……ま、それもお前を捕まえて吐かせれば分かる話か……とにかく、ソイツは返してもらうぞ?変身ッ!」
『KAMENRIDE:DECADE!』
そう言いながらバックルにカードを装填して電子音声が鳴り響くと共に零はディケイドへと変身していき、それに対して怪人Sは零が変身したディケイドを見て僅かに驚くような様子を浮かべた。
『ディケイド……世界の破壊者……!貴方が……』
ディケイド『?俺を知っているって事は、お前も鳴滝に俺の事を教えられた口か?なら、一々名乗る必要はなさそうだなぁッ!』
ディケイドの名を口にする怪人Sから、奴もまた鳴滝辺りから唆されたのだろうと推測しながら慣れた様子で地を蹴り、怪人Sに殴り掛かるディケイド。そして怪人Sも七桜玉を左手へと持ち替えながらディケイドの拳を払い退けて直ぐさま反撃していき、戦闘を開始していくのであった。