仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT 作:風人Ⅱ
―廃ビル最上階・劇場ホール―
―ブオオォッ!!!―
Dセイガ『――チィッ!!おおおおおおおおおおおおおおおおッ!!』
『……!!』
―ズバアアァァッ!!!ズバアアァァッ!!!―
その一方、廃ビル最上階の劇場内の一角をゴネリルの薙刀から放たれた斬撃波によって破壊され、黒煙の中から、Dセイガにカメンライドしたディケイドが両腕をクロスさせながら飛び出してゴネリルへと突っ込み、ゴネリルは続け様に薙刀から雷を纏った斬撃を放ち迎撃していく。その隅では……
―ガギイィッ!!ズバアァッ!!ザシュウゥッ!!―
Dブレイド『ハアァッ!!ウエアァッ!!』
DGEAR電童『ヤアァッ!!ハッ!!』
分身のディケイド達が変身して客席の上を器用に駆け抜けながら、ブレイラウザーを振りかざして造魔達を斬り捨てていくDブレイドと、両腕両足のタービンを高速回転させながら造魔達を次々と蹴散らしていくDGEAR電童の姿があり、更に……
Dホルス『デェアァッ!!ゼアァッ!!』
『グアァッ?!』
D龍騎『ハッ!デェアッ!』
反対側の客席では、逆手に持つ両手のファルブレードで造魔が振るった刀を受け止めながら華麗な後ろ回し蹴りで造魔達を纏めて蹴り飛ばし反撃するDホルスと、ドラグセイバーで周囲を囲む造魔達を纏めて斬り捨てていくD龍騎の姿がある。そんな彼等の援護を受け、ノエルは真っすぐ壇上のギルデンスタンを目指してアサルトライフルで前方の障害となる造魔達を薙ぎながら疾走していた。
―バババババババババババババババアァッ!!!!―
『グルアァッ?!!』
『ガアァッ?!!』
ノエル「ウオッ!!!」
『ハアァァァァァァァァァァァァァァァァアッ!!!』
障害となる前方の造魔達をあらかた片付けたノエルが大声で叫ぶと共に、彼女の背後から怪人Sが勢いよく宙へと跳び上がり、壇上のギルデンスタンに目掛けて降下しながら右手に握った鋼鉄の剣を振り下ろすが、ギルデンスタンも咄嗟に杖を振り上げソレを受け止めた。
―ガギイィィィィィッ!!ギギギギギギギギィッ……!!―
『―――フン、前の戦いで何も出来なかった神の一人の分際で、私の計画を止められると本気で思ってるのかね?』
『だからこそですっ……!何も出来なかったからこそっ、せめて彼女達が守った世界を守ってみせる……!それが私に出来る、唯一の償いですっ!』
―ガギイィィィィィィィィィィィィィィインッ!!!チュドオォォォォーーーーーーーオォンッ!!!―
二度目の甲高い金属音を響かせながら怪人Sがギルデンスタンから跳び退いたと共に、ギルデンスタンの懐に目掛けて横合いからグレネード弾が打ち込まれ爆発を巻き起こした。
対幻魔用に調整されたその威力は並の幻魔なら一発で消し飛ぶ程の威力を誇るが、相手はやはり、腐っても高等幻魔の端くれ。
爆風を拡散させて中から姿を現したギルデンスタンは咄嗟に障壁を展開して全くの無傷であったが、壇上に上ってグレネード弾を打ち込んだノエルもそれでギルデンスタンを倒せるとは思っておらず、銃器の銃口を突き付けたまま敵意を込め叫んだ。
ノエル「アンタは必ず此処で殺すっ……!!折夏や、私や、アンタの実験動物にされて死んでいった人達の無念もっ、此処で全部晴らしてみせるっ!!」
『フ――ハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!面白いッ!!私が改造を施した娘が、私に武器を突き付けて憎悪と共に引き金を引く。いや、これも中々にない貴重な体験ではある。今後の新たな研究の教訓とする為に、是非とも楽しませてもらおうかぁ!』
―ギュイィッ!ドッガアァァァァァァァァァァァァァァァァァアァンッ!!―
両手を広げて高らかに笑いながら、ギルデンスタンが杖の先端を怪人Sとノエルに向けた瞬間に杖の先端が淡く輝き、二人に衝撃波が襲い掛かった。しかしそれが直撃する寸前に、二人は直感のまま横へ跳んでギリギリ衝撃波を避け、鋼鉄の剣とアサルトライフルを構え直してギルデンスタンに再び迎撃していくのだった。
―ドガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!!―
Dセイガ『……!チィッ!大した火力だな、クソッ!』
劇場内の一角で再び巨大な爆発が発生し、爆炎と黒煙の中からボディの所々が黒焦げになったDセイガが床を滑って後退し、床を蹴り上げてゴネリルへと跳躍し飛び回し蹴りを放つ。だがゴネリルは薙刀を盾にしてそれを受け止め、そのままDセイガを力で押し返すと共に薙刀を振り下ろして雷を纏った斬撃波を至近距離から放つが、Dセイガは咄嗟に左腰のライドブッカーからカードを取り出しドライバーに装填してスライドさせた。
『ATTACKRIDE:INVISIBLE!』
―バゴオオオオオオォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーオォンッッッ!!!!―
『……?!』
電子音声が鳴り響くと共に、宙で逆さになり身動きが取れないDセイガの身体が無数の残像となって消え、ゴネリルが放った斬撃波をかわしたのである。そしてDセイガに避けられた斬撃波はそのまま客席の幾つかを吹き飛ばし、ゴネリルは消えたDセイガを探して忙しなく辺りを見渡していく。その時……
『KAMENRIDE:PRIEST!』
『ATTACKRIDE:AGNISH WATTAS!』
Dプリースト『ハアァァァァァァァァァァァァァァァァァアッ!!!』
―バシュウバシュウバシュウバシュウゥッ!!!―
『ッ!』
不意に頭上から二つの電子音声が重なって響き渡り、それを耳にしたゴネリルが頭上を見上げた瞬間、其処にはゴネリルに向けて全身に身に纏った炎から無数の炎弾を放ちながら、ライドブッカーSモードを振りかざして高速で落下して来るDプリーストの姿があり、それに気付いたゴネリルは瞬時に迎撃に出た。
―ガギンガギンガギンガギンガギンッ!!!―
頭上から豪雨のように降り注ぐ無数の炎弾の雨を見て、ゴネリルは咄嗟に踊る様に薙刀を振り回して炎弾を左右へと薙ぎ払っていき、薙刀を勢いよく突き上げてDプリーストを串刺しにしようとするが、Dプリーストはそれをライドブッカーの刃で弾きながらその衝撃と勢いで身体を回転させながらゴネリルから距離を離し、そのまま左手に握っていたカードをバックルへと装填しスライドさせた。
『ATTACKRIDE:REVERSE DERRINGER!』
Dプリースト『そらッ!!』
―バシュウゥッ!ガシィッ!!―
『……ッ?!』
再び電子音声が響くと共にDプリーストがゴネリルに向けて左拳を突き出すと雷が放たれ、ゴネリルの身体に巻き付いて動きを封じていったのであった。
薙刀を弾かれた態勢をまだ立て直せていなかった為にソレから逃れられずに拘束されるゴネリルだが、それでも抵抗を止めず雷の拘束を力付くで外そうと両腕に力を込めていき、そんなゴネリルを拘束する雷を操りながら床を滑るように着地したDプリーストはライドブッカーを床に突き立て、カードを一枚取り出した。
Dプリースト『悪いな、こっちはお前とまともにやり合う気はないんだ……少々荒療治だが、耐えてくれよ……』
『ッ……!……ッ!!』
拘束から逃れようと抵抗を続けるゴネリルに向けて切に願うようにそう告げると、Dプリーストは取り出したカード……NXカブトの世界のアズサの一件で天満幸助に助けてもらった際、彼が作ってくれたカードをディケイドライバーに装填しスライドさせていく。
『CROSSRIDE:CORD GEASS!GEASS!』
Dプリースト(一か八かだ……頼む、成功してくれっ……!)
再度ディケイドライバーから鳴り響いたのは、今まで零が使用してきたカードで発せられなかった聞き慣れない音声。そしてその直後、Dプリーストの左目の複眼に赤い鳥のような模様が浮かび上がり、もしかしたらこの後に起きるかもしれない最悪な事態を想定して仮面越しに額から汗を流しながらも、ゴネリルの目を真っすぐに見据えDプリーストは高らかに叫んだ。
Dプリースト『――ルルーシュ・ランペルージの名を借りて命ずるっ……!立花折夏っ、本当のお前を……"自分自身"を取り戻せッ!お前を縛り付けている物に負けるなッ!!!』
―キュイィィィィィィィィィィィィィインッ!!―
『――ッ?!』
ゴネリルの瞳を見据えそう命じた瞬間、Dプリーストの左目の瞳の中の赤い鳥が光となって翼を羽ばたかせながら飛び立ち、ゴネリルの瞳を通じ彼女の意識深くへと潜り込んでいく。そうしてゴネリルの深層意識に辿り着いた瞬間、ゴネリルの意識に既に植え付けられていた別の"枷"と衝突して一瞬妨げられてしまうが、絶対遵守の強制力によって枷を破壊し、Dプリーストが命じた命令がゴネリルの意識に上書きされていったのだった。
―カシャアァァァァァァァァァンッ!!―
『――ッ?!…………ぁ…………わた…………し…………』
―グラッ……―
Dプリースト『ッ?!オイッ!!』
絶対遵守の力……ギアスによって"枷"を破壊され一瞬は意識を取り戻すゴネリルだったが、直後にそのまま意識を失いながら淡い光と共に折夏へと戻り、身体を揺らし倒されそうになる。それを見てDプリーストはディケイドへと戻りながら慌てて折夏に駆け寄り彼女の身体を抱き留め、ゆっくりと折夏の身体を下ろして何かを確かめるように折夏のこめかみに指で触れると、規則正しい呼吸を繰り返し静かに眠っている反応が返ってきた。
ディケイド『ッ……成功か……良かった……』
殆ど力技での力押しだったが、最悪な事態にならずに済んで良かったと安堵して溜め息を漏らすディケイド。
ディケイドが今行ったのは、クロスライドのギアスの絶対遵守の力で、ギルデンスタンが折夏に掛けた洗脳をこちらの命令で強引に上書きするという荒療治だ。
しかしこちらの予想通り、折夏に掛けられていた洗脳はただでは上書きされずに一瞬だがギアスの力を拒み、最悪上書きしようとする力とそれを阻もうとする力が拮抗し、折夏の脳と意識を傷付けてしまうかもしれない危険性があったが、どうにかギアスの力が押し切る事が出来たのは運が良かったからか……。
これで、彼女はギアスの力によってギルデンスタンの洗脳から解放され、運が良ければ……彼女の失われた記憶を、呼び起こす事が出来たかもしれない。
『……ッ!馬鹿な……ゴネリルの洗脳を解いただとっ?!』
ノエル「!折夏っ?!」
ゴネリルから元の人間の姿に戻ってディケイドに腕に抱き抱えられる折夏を見たギルデンスタンは驚愕し、ノエルもそんなギルデンスタンの言葉を聞いてディケイドと折夏の方へと思わず振り返った。だが、そんなノエルの背中に再び衝撃波を打ち込もうとギルデンスタンが正気に戻り杖の先端を突き付けようとするが、怪人Sは横合いから飛び出して剣でギルデンスタンの杖を払い、ギルデンスタンを押さえ込んだ。
『ノエルッ!折夏をお願いしますッ!ギルデンスタンは私とディケイドでっ!』
ノエル「……ッ!」
そう言われ、ノエルは折夏とギルデンスタンを交互に見つめ迷う素振りを見せる。両親達と自分の仇であるギルデンスタンか折夏か、どちらを取るべきか足の爪先が迷ってしまうが、一瞬顔を俯かせて思案した後……
ノエル「―――分かった、任せて!」
決断を固めた顔を上げ頷き返し、迷いなく壇上から飛び降りてディケイドと折夏の下へと急いで走り出していくノエル。途中で造魔達がノエルに襲い掛かろうとするが、D龍騎とDホルスが造魔達を斬り捨てノエルを守り、ノエルはそのまま立ち止まらずディケイドと折夏の下へと駆け寄った。
ノエル「折夏ッ!!」
ディケイド『気を失ってるだけだ、心配ない……面倒を掛けて悪いが、コイツを連れて離れてろ』
ノエル「……分かった……ギルデンスタンのことは、アンタ達に任せる……私の分まで、しっかり仕留めてよっ……!」
ディケイド『ああ、任せておけっ……』
本当なら、両親達と自分を改造人間にした憎い相手を自分の手で倒したいに違いないのだろうが、今はそれより折夏が大事だと取ってくれたのか。折夏の身体を抱えて力強く頷くノエルに頷き返して立ち上がると、ディケイドはライドブッカーを構え直して駆け出し、道中の造魔達を斬り裂きながら壇上へと跳び上がってギルデンスタンに容赦なく斬り掛かった。
―ガギイィィィィッ!!―
『ッ!貴様、破壊者!よくも私の娘を……!』
ディケイド『悪いな、お前なんぞの娘にしておくのは勿体ないから奪い返させてもらったぜ。……代わりに俺からあの世への片道切符をくれてやるよ』
『覚悟してもらいますよ?貴方が今まで行ってきた、数々の非道の罪……此処で償ってもらいます』
『チッ……!』
ゴネリルを失い、造魔達もディケイドの分身達が食い止めて援護は期待出来ず、ディケイドと怪人Sを一人で相手しなければならない。少しばかり傾きが悪い今の状況にギルデンスタンも忌ま忌ましげに舌打ちするが、ディケイドと怪人Sは構わずそれぞれの剣を構え、ギルデンスタンに目掛けて斬り掛かろうと踏み込み、そして……
―バゴオォォォッッ!!!バチイイイイイイイイイイイイイイイィィィィィィィィィィーーーーーーーーーーーーイィッッッッ!!!!!!―
『――ッ!!?』
ディケイド『?!何ッ?!』
―ドッガアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーアアァンッッッ!!!!!―
『ウアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーアァッ?!!!』
『……!!?』
直後、頭上から轟音と共に、破壊の雨が降り注いだ。
正確に言うと、ディケイドと怪人Sとギルデンスタンが立つ壇上の頭上の天井が大量の粉塵を撒き散らして破裂し、その粉塵の奥から降り注いだ緑色の破壊光線がディケイドと怪人Sへと襲い掛かり、爆発の中へと飲み込んでいったのだった。
その突然の不意打ちにディケイドと怪人Sも咄嗟に反応が出来ず爆風と炎と共に壇上から吹き飛ばされてしまい、そのまま客席の中に叩き付けられて転がり、床に伏してしまった。
ノエル「――ッ?!な……ウオッ!ディケイドッ!」
『ぁ……ぐっ……!』
ディケイド『ゥアッ……ッ……何だ、今度は一体……?!』
突然の事態に、思考が困惑して付いていかない。ギルデンスタンが用意した折夏=ゴネリルは無力化したというのに、これ以上まだ何か隠してるのか。ふらつきながら何とか椅子を支えに立ち上がり、ディケイドは壇上の上のギルデンスタンを睨み付けるが、そこで彼は疑問を覚えた。
何故か、ギルデンスタンは破壊された劇場の上の天井を見上げ、戸惑いを露わにしていたのである。そんな時……
『――やはり、お前だけに全て任せておくのは間違いだったな……これではいつまで経っても準備が進まん』
ディケイド『……ッ?!』
天井……いいや、破壊された天井から僅かに見える、"月"から声がした。
思わずそう錯覚してディケイドが破壊された天井の向こうに目を向けるが、それは勘違いだったと直ぐに分かった。
無論、"月"が話した訳ではない。
その月の光を遮って佇む、"影"が今の声の主だったのである。
『あ、貴方は……』
『……無様な物だ……貴様は下がっていろ……邪魔な障害は私が片付ける』
月の光が逆光となってその姿全体は見えないが、そう告げる"影"の緑色に冷たく輝く瞳に見据えられ、ギルデンスタンは何も言い返せず気まずげに顔を逸らして後退りした。そしてそんなギルデンスタンを見て軽く鼻を鳴らし、"影"は呆然と自分の姿を見上げるディケイドを見て僅かに微笑んだ。
(まさか、本当に生きていようとはな……私の世界の奴なのかはまだ分からんが、それは直接確かめさせてもらうとしよう……場合によっては、計画を見直す必要が出て来るかもしれん)
ディケイドを見下ろしながら"影"がそう思案して一歩踏み出すと共に、闇に隠されていたその姿が月の光に照らされ明らかになった。
月光で明らかにされたその姿は、銀色に輝くボディに緑色に輝く魔眼。
中央部が緑色に輝く真っ黒なベルトを腰に巻き付け、その右手には鮮血のように赤い刃の剣を手にした魔人。その姿はまるで……
ディケイド『――仮面ライダー……だとっ……?!』
そう、月光を背に佇むその魔人の姿は、ディケイドが良く知るライダー達のシルエットと酷似していたのだ。だが銀色の魔人はそんなディケイドの呟きに対して何も答えず、呆然となるディケイドに向かって無言のまま赤い剣を振りかざしながら飛び降り、ディケイドへと容赦なく襲い掛かっていったのだった。