仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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番外編/桜龍玉と新たな神⑧(前編)

 

―廃ビル・3階フロア―

 

 

―ズガガガガガガガガガガガガガガァッ!!―

 

 

鬼王『鬼戦術っ、雷斬!!』

 

 

龍王・白『白虎乱剣!風牙雷神剣ッ!!』

 

 

アシェン「ゲンブスパイクッ!!」

 

 

―ズシャアァァァァッ!!―

 

 

『グオアァッ?!』

 

 

最上階の劇場ホールにて、ディケイド達が突如現れた銀色の魔人の襲撃に遭っているその頃、廃ビルの3階フロアでは迫り来る造魔達を蹴散らし先へ進んでいくイクサF達の姿があった。後方のイクサFが撃ち出すイクサカリバーGモードの銃弾が造魔達の数を確実に減らし、接近戦を得意とする鬼王と龍王とアシェンの前衛組が残った造魔を強力な攻撃で纏めて切り払って一掃する。そして……

 

 

ルーノ『カ・ラ・ド~?』

 

 

なごみ「ボルグ」

 

 

―ギギギッ……バシュウウウウゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーッッッッ!!!!―

 

 

『コァアアッ!!?』

 

 

『ギャアァァァァッ?!!』

 

 

―チュドオォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーオォンッッッッ!!!!―

 

 

前方の造魔達を全て撃退し直ぐに、ルーノと、ルーノから借りたカレイドステッキで変身→アーチャーのクラスカードで夢幻召喚(インストール)し、アーチャーの礼装に身を包んだなごみの二人が撃ち放った弓矢が遥かフロアの奥から迫る造魔達に直撃し、造魔達を跡形も残さず纏めて消し飛ばしていったのだった。

 

 

マジカルルビー『ひゅー♪さっすがは平行世界の魔法少女さんの娘さんですねぇ~。たったの数分でこうも早く力を使いこなしてしまうとは。魔法少女としての素質も十二分ですし、良い人材を紹介してくれましたねマイブラザ~♪』

 

 

ルーノ『そうでしょうともマイシスタァー?いやぁ、とあるアイドル達を一流のアイドルへとプロデュースしたこの私の目に、KURUIはなかったずぇ~』

 

 

なごみ「ふむ……ステッキの性格はともかく、武器の性能と威力は上々ですね。これなら私の身体能力でもまともに戦えそうです」

 

 

マジカルルビー『……あれ?何か私、さりげなく人格ディスられてます?』

 

 

龍王・白『……桜香、何か厄介なのがまた増えてるぞ……ステッキが喋ってるぞ……何だアレ……珍妙にも程があるっ……』

 

 

鬼王『そう?魔法のステッキなんてあんなもんじゃない?私が昔見てた魔法少女だって――――い、いえ、なんでもないわ……』

 

 

アシェン「?」

 

 

活発にルーノと意気投合し、勝手に喋ったり飛んだりするマジカルルビーを不気味な物を見るような目で見る龍王に何か言い掛けるも、すぐに言い直して首を横に振る鬼王。そしてそんな一同を他所に、イクサFは先に造魔達が現れた方へと進んで上に続く階段があるのを見付けると、一同に手を振って呼び掛けた。

 

 

イクサF『こっちに階段を見付けた!今度は私が先行するから、君達は後から続いて来てくれ!』

 

 

龍王・白『えっ……?ま、待って下さい神様っ!危険ですっ!』

 

 

鬼王『…………』

 

 

先行して先に進もうとするイクサFを慌てて引き止めようとするが、イクサFはそんな龍王の制止を聞かずに先に階段を登っていってしまい、それを見た一同は慌ててイクサFの後を追い階段を駆け登っていく中、鬼王はイクサFの背を追いながら推理するように思考を駆け巡らせた。

 

 

鬼王(やっぱり、上役の神と話してから桜ノ神の様子が可笑しい。その後も上役と二人で何か話してたようだし、何だか他の人達よりも先を急いでるような……まさか、彼女は怪人S達の正体について何か心当たりが……?)

 

 

だとしたら、こんなにまで焦っているのも一刻も早く怪人Sに会う為か?だが、仮に会えたとしてどうする気なのか?怪人Sは自分達から六桜玉と七桜玉を盗んだだけでなく、真姫の手を借りて彼女の籠手を奪った相手だ。そんな奴と会って一体何を話す気なのかと、イクサFの後を追って四階フロアに辿り着こうとした。その直前……

 

 

 

 

 

 

―ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴオォッ…………!!!!!!!!!―

 

 

『……ッ?!!』

 

 

 

 

 

 

四階フロアへと一同が踏み込もうとしたその時、突如上の階層からの爆発音ような轟音と共に廃ビル全体に大きな揺れが襲い掛かったのである。その突然の揺れに一同も思わずバランスを崩して倒れそうになるが、壁や互いの肩を支えに何とか耐えると、揺れは何事もなかったかのように徐々に収まっていった。

 

 

ルーノ『今のは?』

 

 

―……ピピィッ―

 

 

アシェン「――ッ?!これは……上の階層から高エネルギー反応?!」

 

 

龍王・白『高エネルギー?……ま、まさかギルデンスタンの奴、桜龍王を使って幻魔神を?!』

 

 

アシェン「それは……分かりません。ですが、今までにない強大な敵が現れた事は確かとしか……」

 

 

イクサF『っ……!』

 

 

このタイミングでの新たな強敵の出現。それは間違いないと断言するアシェンの言葉を聞き一同の間に動揺が広がる。

 

 

まさか既に手遅れで幻魔神が復活させられてしまったのか、それともギルデンスタンが強力な造魔を投入したのか。

 

 

いずれにしても、先にギルデンスタンと戦っているであろう怪人Sとその仲間、そして、もしかすると両陣営のどちらかに捕まって戦いに駆り出されているかもしれない零が危機に陥っているかもしれない。

 

 

そう考えた途端、イクサFは鬼王達の間を駆け抜けて下のフロアへと引き返し、真姫が縄で縛られ繋がれたままの馬鬼へと駆け寄って飛び乗った。

 

 

ルーノ『おちょちょちょ、姫さんや?何するつもりですかい?』

 

 

イクサF『コイツに乗って私が先陣を切り込む!君達は後続を頼んだ!』

 

 

鬼王『は?!頼んだってっ、貴女その馬を満足に操れる訳?!幾らドールの道具で大人しくさせられてるからってっ……!』

 

 

イクサF『いや、心配入らない。元々コイツの主は私だったんだ、コイツの扱い方は私が良く知ってるさ』

 

 

まあ彼女が手助けしたせいで籠手と一緒に盗まれてしまったワケだがと、馬鬼の足に繋がれた縄で縛られる真姫にジト目を向けて振り返るイクサF。そんなイクサFの視線を感じ取ったのか、真姫も僅かにビクッと身体を震わせるが、イクサFはそれを無視してイクサカリバーを片手に手綱を握った。

 

 

イクサF『コイツは敵陣への突貫に優れてはいるが、歯止めが効かないのが唯一難点でな……それでもし私が孤立しても、君達は気にせず先へ進んでくれ』

 

 

龍王・白『気にせずって……!』

 

 

ルーノ『……いえ、寧ろその方がいいかもしれません。仮に幻魔神が復活したのなら、今頃両陣営のどちらかに捕まっているかもしれない零さんが幻魔神と戦ってる可能性もありますし、もしそうなら姫さんを先に向かわせるべきです。そうすれば零さんもアマテラスを使える訳ですから』

 

 

アシェン「ですが、零様がこのビルにいないという可能性もありますから、姫様だけを向かわせるのは危険なのでは……」

 

 

ルーノ『そん時は不本意でしょうが、怪人Sさん達と協力するか、怪人Sさん達を囮にして逃げてもらうかのどちらかを取ってもらいましょう。……まぁ姫さんの性格上、後者を取るとは考え難いですが』

 

 

イクサF『大丈夫だ、引き際ぐらい心得てるよ。では、行くぞっ!』

 

 

『ヒヒヒイィィィィィィィィィィィィィィーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーイィンッッ!!!!!!』

 

 

真姫『ンンッ?!ンンッ!ンンンンンンンンンンンンンンンッ!!』

 

 

イクサFがそう呼び掛けて手綱を思いっきり引くと共に、馬鬼は雄叫びを上げて真姫を引きずりながら階段を猛スピードで駆け上がり四階フロアへと飛び出した。そしてそのままイクサFが馬鬼を操り先へと進んでいくと、フロアの先に鉄砲を構え待ち伏せている造魔達の姿を発見し、向こうもイクサFと馬鬼を発見して一斉に鉄砲を撃ち出した。

 

 

―バアァァンッバアァァンッ!!バアァァンッ!!バアァァンッ!!―

 

 

イクサF『チィッ!邪魔をするなッ!!退けぇッ!!』

 

 

『ヒヒヒイィィィィィィーーーーーーーーーーイィンッッ!!!!』

 

 

しかしイクサFと馬鬼も臆する事なく銃弾の雨の中を駆け抜けて、一直線に造魔の大群に目掛けて突っ込み体当たりをお見舞いしていく。そしてその様子を離れて見ていたルーノ達もそれぞれの武器を手に駆け出すと、イクサFと馬鬼が突進して怯んだ造魔達へと切り込んでいくのであった。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

―廃ビル最上階・劇場ホール―

 

 

―ガギイイィィッ!!ズシャアァッズバアァッ!!―

 

 

『ヌゥンッ!!』

 

 

Dホルス『グゥッ?!グアアァッ!!』

 

 

『ウァアッ?!』

 

 

DGEAR電童『グアアアアアアアアアアッ?!』

 

 

そしてその一方、最上階の劇場ホールに突如出現した銀色の魔人の襲撃によって、一度は傾き掛けたディケイド達の優勢の流れは完全に変わってしまっていた。

 

 

最初のディケイドと怪人Sの二人掛かりでも全く寄せ付けず、二人の劣勢に分身のディケイド達が加わっても次第に押されるばかりであり、銀色の魔人が無駄のない動きで振りかざす真紅の剣の前にDホルスは吹き飛ばされ、怪人Sは客席に叩き付けられ、DGEAR電童は火花を散らしてゴロゴロと階段を転がり床に伏してしまう。しかし……

 

 

『ATTACKRIDE:THUNDER!』

 

 

『ATTACKRIDE:STRIKE VENT!』

 

 

Dブレイド『クッ……!!ハァアアアアッ!!』

 

 

D龍騎『はあぁぁっ……デエェアアァッ!!!』

 

 

―バチイィィィィッ!!!ゴオオオオオオオオオォォォォォォッ!!!!―

 

 

『……!』

 

 

銀色の魔人の猛攻によって吹っ飛ばされたDブレイドとD龍騎が態勢を立て直しそれぞれカードをバックルに装填してスライドさせ、電子音声と共にDブレイドはブレイラウザーに纏った青白い雷を雷撃にして放ち、D龍騎は右腕に装着したドラグクローの口から火炎放射を放出して別方向から銀色の魔人に攻撃を仕掛け、銀色の魔人は真紅の剣を盾にして二人からの攻撃を防ぎ身動きを止めた。

 

 

ディケイド『ッ!今だッ!市杵宍ッ!』

 

 

『はいっ……!フルコンタクトッ!』

 

 

『Saber Brake!』

 

 

銀色の魔人が動きを止めた隙にディケイドとDホルスとDGEAR電童はそれぞれのライドブッカーからカードを一枚ずつ取り出してドライバーにセットし、怪人Sも鳴り響く電子音声と共に神氣を鋼鉄の剣に纏わせてパッチ・アーマーから剣を抜き取った。そして……

 

 

『FINALATTACKRIDE:DE・DE・DE・DECADE!』

 

『FINALATTACKRIDE:HO・HO・HO・HORUSU!』

 

『FINALATTACKRIDE:GE・GE・GE・GEAR DENDOH!』

 

 

『『『デエエアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーッッッ!!!!』』』

 

 

『キエェェェェェェェェェェェェェーーーーーーーーーーーーッッ!!!!』

 

 

Dホルス『フッ!ハアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーーッッッ!!!!』

 

 

三つの電子音声が重なって鳴り響くと、それと同時に雷撃と火炎放射を真紅の剣で受け止めて身動きが取れない銀色の魔人に目掛けてディケイドの前にディメンジョンフィールドが展開されていき、ディケイドはそのフィールドの中へと飛び込みディメンジョンキックを放った。

 

 

それに続く様に、怪人Sが莫大な量の神氣を纏わせた鋼鉄の剣を振り上げながら飛び出すと、DGEAR電童も両手両足のタービンを高速回転させて銀色の魔人へと突っ込み、Dホルスも近くの鏡から飛び出したウィンドファルコンが放った竜巻に飛び込んで銀色の魔人に必殺技を放ち、四人は四方から銀色の魔人へと必殺技を放った。だが……

 

 

 

 

 

『――フン……ぬぅおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっ!!!!』

 

 

―ギュイィィィィィッ……バチイイイイイイイイイイイイイイィィィィィィィィィィィィーーーーーーーーーーーーーーーイィッッッ!!!!!!―

 

 

『『『『ッ?!!なっ……グアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーッッッッ?!!!!』』』』

 

 

―チュドオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォオンッッッ!!!!―

 

 

ディケイド『ッ!何ッ?!―バチイイイイイッ!!―うぐああぁッ?!!』

 

 

―バゴオォォォォォォォォォォオンッ!!!―

 

 

『ディケイドッ?!キャアァッ!!?』

 

 

 

 

なんと、今まで防御に徹していた銀色の魔人が真紅の剣から深紅色のエネルギー波を放出して雷と火炎放射を打ち消し、そのままエネルギー波を広範囲に拡散させ四人のディケイドの分身を纏めて葬ってしまったのだった。更にディケイドもそのエネルギー波をまともに受けて入り口近くの壁へと勢いよく吹き飛び壁を突き破ってしまった上に、怪人Sがエネルギー波に拘束され、そして……

 

 

―バチバチバチバチイィッ!!ドガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!!―

 

 

『グッ?!ウアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアッ?!!』

 

 

ノエル「ッ!ウ、ウオッ?!」

 

 

銀色の魔人はエネルギー波で拘束した怪人Sに強力な電力を流し込み、怪人Sは全身から無数の火花を散らしながらあまりのダメージに魚見の姿に戻ってしまったのだ。そして銀色の魔人は変身が解除された魚見をエネルギー波で引き寄せ、傷だらけの魚見の首を締めように掴んだ。

 

 

魚見「ァッ……!クッ……かはっ……!」

 

 

(不老不死の神か……この女を死神博士に引き渡して不死の秘密を得られれば、我らが組織の配下達を不死の軍団にする事が可能かもしれんが……いや、余計な欲を出して奴に私の正体を突き止められても困る。今は――)

 

 

此処で二度と動けない様に生きた肉片にするかどうか思案した末にそう判断し、銀色の魔人は魚見を捕えたままディケイドが吹き飛び突き破った入り口付近の壁に目を見遣る。すると……

 

 

―ガコォンッ……―

 

 

零「―――――クッ……ッ……クッ……ソッ……グゥッ……」

 

 

粉塵が舞う破られた壁の向こうからゆっくりと、変身が強制解除され額や左腕から出血し傷だらけになったボロボロの姿の零がふらつきながら現れ、銀色の魔人はそんな零に捕えた魚見を見せ付けた。

 

 

零「……ッ?!市杵宍ッ……!」

 

 

『この女の身柄は我々が預かる。返して欲しければ追って来るがいい、世界の破壊者……行くぞ、ギルデンスタン』

 

 

『御意』

 

 

零「何っ……?おい待てっ!!」

 

 

ノエル「クッ!逃がすかぁ!」

 

 

―ババババババババババババババアァッ!!―

 

 

魚見を連れ逃げようとする銀色の魔人を止めようと、折夏を守っていたノエルがアサルトライフルの残った弾全てを銀色の魔人に向け乱射していく。しかしその銃弾が全て届くよりも速く、銀色の魔人と魚見はギルデンスタンが発生させた闇に呑まれ桜龍玉と共に闇の中へと消えてしまい、銃弾は客席をズタズタにし無数の羽毛が宙に舞うだけに終わってしまった。

 

 

ノエル「っ!消えたッ?!」

 

 

零「ッ……!桜龍玉も一緒にか、クソッ……!『シャアァァァァッ!!』ッ?!」

 

 

闇に呑まれ消えてしまった銀色の魔人と魚見、そして桜龍玉とギルデンスタンを慌てて追い掛けようとする零だが、その時又も劇場内の所々に闇が発生して無数の造魔達が姿を現し、零とノエル達を包囲して一斉に襲い掛かってきたのである。

 

 

ノエル「な、こんな時に増援っ……?!ウオと桜龍玉も奪われて先を急いでるってのにっ!」

 

 

―バキャアァッ!―

 

 

『ゴエェッ?!』

 

 

零「チッ、邪魔をするなッ!!退けッ!!」

 

 

額からの出血で視界を阻まれながらもなんとか応戦する零と、弾が尽きたアサルトライフルを破棄して右足に巻いたホルダーに収納していたハンドガンと後ろ腰のコンバットナイフを抜き取り、並外れた戦闘力による格闘術で気絶する折夏を必死に守るノエル。だが……

 

 

 

 

―バッ!―

 

 

『シャアァァァァッ!!』

 

 

零「――ッ?!コーマットッ!後ろだッ!!」

 

 

ノエル「っ?!」

 

 

ノエルの頭上の天井に気配を殺して張り付いていた忍型の造魔が、短刀と一体化している両腕を振り上げながらノエルに向かって飛び降り襲い掛かったのである。そしてそれに気付いた零が直ぐさまノエルに呼び掛けるも、ノエルが振り返り応戦するよりも速く造魔の短刀がノエルの額に目掛け振り下ろされ、そして……

 

 

 

 

 

 

 

 

『KAMENRIDE:FIRST!SECOND!V3!』

 

 

―バシュウゥッ!―

 

 

first『ハアァッ!!』

 

 

―バキイィッ!!―

 

 

『?!ゴバアァッ?!』

 

 

ノエル「……え?」

 

 

零「?!な……first?!」

 

 

不意に何処からか電子音声が響き渡り、それと同時にノエルの頭上を飛び越えて一人の仮面の戦士……零の異世界の友人である本郷滝が変身するfirstが突如現れ、ノエルに襲い掛かろうとした造魔の顔面を殴り飛ばし彼女の九死を救ったのだった。更に……

 

 

―ドグオォッ!!ズガガガガガアァッ!!ドガバキイィッズガアァッ!!―

 

 

V3『ハアァッ!デェアッ!』

 

 

second『ウオォラァッ!ハッ!』

 

 

『ギャアッ?!』

 

 

『ガハァッ?!』

 

 

firstだけでなく、ホール内に溢れ出る無数の造魔の大群を二人の仮面ライダー……firstの世界の彼の仲間である風見真二が変身するV3と十文字隼人が変身するsecondがアクロバットな動きで造魔達を翻弄し、確実にその数を減らしていく姿があったのだ。

 

 

ノエル「な、なにコイツ等?一体何処から……?」

 

 

零「…………」

 

 

突如何処からか前触れもなく現れ、自分を助けた三人のライダー達を見てノエルも呆然とした表情を浮かべてしまうが、ノエルと同じような反応を見せてた零は先程の聞き覚えのある電子音声からこの三人のライダーを呼び出した犯人の正体に感づき、先程の電子音声が聞こえてきた方へと無言のまま視線を向けていく。其処には……

 

 

 

 

 

ディエンド『――また随分愉快な格好になってるじゃないか、零?知らない女性と関わる時にはいつもそんな感じだが、もしかして、そういう呪いにでも掛かってるのかい?』

 

 

 

 

 

劇場の片隅にある客席に腰を下ろし、両足を前の客席に組む様に乗せてくつろぐシアンと黒のライダー……大輝が変身したディエンドの姿がいつの間にか其処にあり、ボロボロの姿の零を見て呆れるようにやれやれと首を振っていたのだった。

 

 

零「……海道……何しに来た?というか、これは一体何の真似だ?」

 

 

ディエンド『うん?別にどうもしないよ。ただこの世界には、まだめぼしいお宝が残っているようだからね。それを頂戴しに此処まで来て、たまたま君達を見掛けて面白そうだから横槍を入れたってだけさ。別に君なんかを助けたって訳じゃない』

 

 

ノエル「?お宝って……もしかして、桜龍玉のことを言ってんの?!」

 

 

ディエンド『お、中々察しが良いじゃないか。流石はギルデンスタンの改造人間ってところかな?』

 

 

ノエル「なっ……そ、そんなの今は関係ないでしょっ?!大体アンタ一体っ――?!」

 

 

改造人間と名指しされムキになりディエンドに食ってかかるノエルだが、ディエンドはそんなノエルを無視して徐に客席から立ち上がった。

 

 

ディエンド『さて、と……どうやらギルデンスタン達は、このビルの屋上に転移したようだな……どうせだ、此処は勝負と行かないかい零?どっちが速く桜龍玉を手に入れるかってさ』

 

 

零「……くだらん……こっちはお前以外の怪盗騒ぎに巻き込まれて迷惑している最中なんだ。そんなのに付き合っていられるか」

 

 

ディエンド『あっそう』

 

 

馬鹿馬鹿しいと無愛想そうに吐き捨てる零にそっけない口調でそう返すと、ディエンドは左腰のホルダーから一枚のカードを取り出し、それをディエンドライバーに装填しスライドさせていく。

 

 

ディエンド『ま、それならそれで俺も勝手にやらせてもらうさ。俺が先に桜龍玉を手に入れても、恨みっこは無しだぞ?』

 

 

『ATTACKRIDE:INVISIBLE!』

 

 

その言葉とドライバーから鳴り響く電子音声と共に、ディエンドの身体が無数のビジョンと化し何処かへと消えてしまった。恐らく、今彼が言った通りギルデンスタン達がいると思われる屋上に向かったのだろうと考えながら、零は血がこびりついた前髪を掻き分けてノエルと折夏の下へと駆け寄った。

 

 

零「ッ……俺もさっきの奴とギルデンスタンを追って屋上に行く。コーマット、お前はソイツを連れて先にこのビルから脱出しろ。さっき俺が吹っ飛んで突き破ったそこの壁から外の通路に出られる……そこから逃げろ」

 

 

ノエル「ハァ……?!冗談言わないでっ!ウオがさらわれたのにそんなっ……私だってっ――!」

 

 

零「駄目だッ!お前が付いて来てもどうにかなる相手じゃないっ……!それにお前まで付いて来たら、誰がソイツを守るッ?!」

 

 

ノエル「っ……だけどっ……!」

 

 

それでも、さらわれた仲間を放って逃げる事に抵抗があるのか、零と気を失ってる折夏を交互に見つめ複雑げな顔を浮かべるノエル。するとそんな彼女の横顔を見た零は僅かに目を伏せると、ノエルの両肩を掴み真っすぐノエルの目を見つめながら言葉を紡いだ。

 

 

零「市杵宍は必ず俺が連れて帰る……お前からすれば俺の事なんて信じられないだろうが……何があっても助け出す。だからお前も、立花を安全な場所に連れていく事だけを優先しろ……市杵宍と立花の両方を救うには、今はこれしかない。ギルデンスタンとさっきの銀色を相手にするとなると、変身出来る俺が向かう方が適任だろ……」

 

 

ノエル「けど、アンタさっきのその銀色に負けたじゃない!しかもその怪我じゃ……!」

 

 

零「心配すんな……幻魔神との戦いで死に掛けた時に比べれば、こんなのかすり傷も同然だ。それに負けたままなんてのは、俺の性に合わん……リベンジの機会ぐらい、くれても良いだろ?」

 

 

だから気にするなと、片目を伏せて戯けるように呟く零。そんな零を見てノエルも未だ迷うように苦悩の顔を浮かべると、一度俯き、零の目を見つめ返した。

 

 

ノエル「……約束、してよ……絶対にウオを助けて、連れて戻ってくるって……でないと私、アンタを絶対に許さないから……」

 

 

零「……ああ……絶対に、だ……」

 

 

零が力強くそう言って頷くと、ノエルも零に頷き返し、折夏の片腕を肩に回して立ち上がり、ハンドガンを片手に折夏の身体を支えながら先程零が突き破った壁の方へと歩き出していく。そして零もそんなノエルの背中を見送りながら何とか立ち上がると、頭を抑えて辺りを見回す。

 

 

零(海道は奴らが屋上に向かったと言っていたが……屋上に向かうには……)

 

 

とその時、劇場内の端に扉が半開きになってる非常口が目に入った。その先には上りと下りの非常階段があるらしく、どうやら屋上にも続いてるらしい。

 

 

零(彼処しかない、か……ガタが来ていて、途中で崩れたりしなきゃいいが……)

 

 

そんな嫌な事態を考えながらもふらつく足に力を入れ、零はギルデンスタン達を追ってこの場の造魔の大群をfirst達に任せて屋上に続く非常階段へと向かっていくのだった。

 

 

 

 

 

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