仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

40 / 519
第四章/魔界城の世界⑤

 

一方その頃、王座の間。

 

 

 

「ようこそ、お待ちしておりました」

 

 

零となのはが王座の間に入ると同時に、王座の脇に控えているウェーブの掛かった薄紫の女性が丁寧にお辞儀をして二人を迎え入れた。

 

 

零「………」

 

 

なのは「………」

 

 

二人は何も言わずに無言で部屋の中心へと歩いて行くが、二人の表情は険しい。その原因は部屋の一番奥にある王座に座っている男にあった。肩まで伸びる紫色の長髪に金色の瞳をした白衣の男。その男の姿を見て零は思わず頭を抱えたくなる。

 

 

出来れば外れていて欲しかった予想通りの人物であるその男は、そんな零の心境を知らずに零を見て喜びの表情を浮かべながら王座から立ち上った。

 

 

「やぁ、よく来てくれたね、黒月零君。何やら痛々しい格好をしているが、大丈夫かね?」

 

 

男は身体中包帯だらけの零を見て心配そうに問うが、その表情は笑っている。零はその男の態度に苛立ちを感じながらも表情には出さずに淡々と答える。

 

 

零「お前に心配される筋合いはねぇよ、というか…何故の俺の名を知ってる?お前に俺の名前を教えた記憶はないんだが」

 

 

「あぁ、君の事はこちら側で調べさせてもらったよ。君自身にはとても興味が沸いたからね。どうしても会いたかったんだよ…君に」

 

 

両手を広げながら愛おしそうに呟く男の言葉に零は一瞬寒気を感じ、自分の肩を両手で摩りながら目の前の男に答える。

 

 

 

零「そうかい。こっちはお前の面なんて二度見たくなかったよ………"ジェイル・スカリエッティ"」

 

 

 

零は男…「ジェイル・スカリエッティ」を敵意の込めた目で睨みつける。するとスカリエッティは妖気な笑みを浮かべながら王座に腰を下ろした。

 

 

ジェイル「嬉しいよ。君に私の名を覚えていてもらって」

 

 

零「ふざけろ、こっちはお前の事なんて綺麗サッパリ忘れたいんだよ。…そんな事よりもヴィヴィオは何処だ?何処にいる!」

 

 

声を荒らげてヴィヴィオの居場所を問い詰める零だが、スカリエッティはそんな零の形相を見てもただ妖気な笑みを浮かべているだけだった。

 

 

ジェイル「あの子なら無事さ。今は城の地下に閉じ込めているがそれ以外は何もしていない。安心していいよ」

 

 

なのは「なら今すぐヴィヴィオを返して!あの子は何も関係ないんだから!」

 

 

なのはが身を乗り出して叫ぶ。が、スカリエッティは怪しい笑みを浮かべたまま首を横に振る。

 

 

ジェイル「残念ながら、私の望みを叶える為にもあの子の力は必要不可欠だからね。それは出来ないんだよ。ふふふ」

 

 

なのは「っ!」

 

 

零(くそっ…やっぱりそう簡単にはいかないか…ヴィヴィオの事はスバル達に任せるしかないな…)

 

 

スバル達がヴィヴィオを助け出すのを信じ、今はこの男を捕まる事だけに専念すべきか。零はそう考えながら一歩前に出て目の前の男を睨む。

 

 

零「幾つかお前に質問がある。お前の目的なんだ?ヴィヴィオを使って、今度は何をしでかすつもりだ?」

 

 

目の前の男がヴィヴィオを狙うのは、恐らく聖王の力が関係していると思うが明確な理由はわからない。それが気になった零は目の前の男に直接問い質すと、スカリエッティは手の平を上に徐に手を伸ばす。

 

 

ジェイル「世界を旅している君達なら、既に知っているだろう?私達の世界と並行して存在する、数多の世界の事を…」

 

 

零「ッ!何でその事を……というかお前、ライダー達の世界を知ってるのか?!」

 

 

ジェイル「勿論だとも。世界が滅びようとしていたあの日、私達は突然現れた歪みに飲み込まれてこの世界へと辿り着いた。その後はこの城を拠点に、この世界について少しずつ調べていった。……そこで始めて知ったんだよ!私達の世界とは違う並行世界!それぞれの世界に存在するライダー達!そしてレジェンドルガの力を!」

 

 

今までの経緯を話していく中で興奮状態へと変わり、それでも声高らかに話を続けるスカリエッティ。

 

 

ジェイル「私達の世界では不可能だった事も可能に出来る力!魔法と対等……いやそれ以上の力を持つかもしれないライダー達!……心が揺さぶられたよ。それらを知って私はライダー達が、全ての並行世界が欲しくて堪らなくなった!だから私はこの世界で新たな力を手に入れ、この力を使って数多の世界を私の手に収める!それが私の新たな望みなのだよ!ふふふ……ふはははははははははは!!」

 

 

自らの新たな野望を語り、狂った様に笑うスカリエッティ。だがそんなスカリエッティの目的を聞き、なのはは怒りをあらわに叫ぶ。

 

 

なのは「そんな…そんな事の為に、貴方はまたヴィヴィオを利用するって言うの!?」

 

 

ジェイル「もちろん!あの子の中に眠る聖王の力に、私が独自に開発したライダーシステムとレジェンドルガの力を合わせればあの子は最強のライダーとして生まれ変わる!そうなれば数多の世界を手に入れるのもたやすい事だからね!」

 

 

なのは「ッ!ふざけないで!そんな事――ッ?!」

 

 

怒りを抑え切れず、スカリエッティに向かって思わず飛び出そうとしたなのはを零が手で制してそれを止めた。

 

 

なのは「零君!?」

 

 

零「…ジェイル・スカリエッティ。お前の目的はヴィヴィオとレジェンドルガ達を使って他の世界を手に入れる事。それで間違いないな?」

 

 

ジェイル「そう!そしてその為に、君のディケイドとしての力が欲しいんだよ!世界の破壊者である君の力さえあれば、私の夢を阻まんとする者達を消し去る事が出来る!私が世界を手にする事は約束されたも当然だからね!」

 

 

零「…………」

 

 

興奮冷めやらぬ様子で語り続けるスカリエッティだが、零は無表情のままで口を閉ざしている。それでも構わず、スカリエッティは玉座から身を乗り出して歪な笑みを向ける。

 

 

ジェイル「無論ただでとは言わない。君は確か過去の記憶がないのだろう?それも安心するといい。この世界に来てから、実は君の事を調べる中で君の過去の手掛かりになりそうな物を手に入れてね」

 

 

なのは「ぇ……零君の、過去……?」

 

 

零の失われた過去に関する手掛かり。その話を聞かされたなのはの顔に動揺が浮かび、スカリエッティは両手を広げ嬉嬉として叫ぶ。

 

 

スカリエッティ「私が君に興味を抱いたのはそこからさ!君にはとてつもない秘密がある!知られざる異聞がある!私はそれを解明したい!故にだ!世界を手に入れた暁には私がその記憶を取り戻す手伝いをしようじゃないか!」

 

 

そう言って、スカリエッティは零に向けて手を伸ばす。それが意味するのは仲間になれと言う意味だろう。

 

 

スカリエッティに協力すれば失われた過去を取り戻せるかもしれない。その可能性をチラつかされ、なのはは不安げな表情を浮かべて零を見つめる。そして、その肝心の零の答えは……

 

 

 

零「……なるほどな。お前の言いたい事はだいたい分かった……が、興味ないな」

 

 

 

戸惑う事も迷う事もなく、スカリエッティの誘いをバッサリと斬り捨てた。

 

 

ジェイル「……何だって?」

 

 

零の返答にスカリエッティが思わず聞き返すが、零は何も言わずに懐からディケイドライバーを取り出して構える。

 

 

ジェイル「……何のつもりかね?」

 

 

零「何?決まってるだろ。脱走した犯罪者をもう一度逮捕するんだよ」

 

 

当たり前の様にいいながらディケイドライバーを腰に装着すると、零はライドブッカーからディケイドのカードを取り出す。

 

 

なのは「零君……!」

 

 

零「だいたい、俺達がここに来たのはそんな馬鹿げた妄言を聞く為でも、お前のくだらない目的を手伝う為の駒になりたくて来たんじゃない…俺達の目的は最初からヴィヴィオを取り戻す事と……お前のその面ぶん殴りに来ただけなんだからな……!変身!」

 

 

『KAMENRIDE:DECADE!』

 

 

迷いのない答えを告げてディケイドのカードをバックルに装填すると電子音声が鳴り、零はディケイドに変身して身構えた。

 

 

ジェイル「……交渉決裂か……ならば仕方ない。こちらもこちらなりのやり方で君を手に入れるとしよう。ウーノ」

 

 

ウーノ「はい、ドクター」

 

 

スカリエッティに呼ばれた女性…ウーノは短く答えると、彼女の立つ床下が開いてそこから大型のコンソールの様な機械が上がってくる。その機械が安定置に止まるとモニター及びコントロールパネルが出現し、ウーノは指先を走らせて機械を操作する。

すると…

 

 

―バチィッ!バシュュュュュュュュッ!!!―

 

 

ディケイド『ッ……?!なッ!?』

 

 

なのは「な、なに?!」

 

 

突如王座の前が激しく輝き出し、ディケイドとなのはは眩しさに耐え切れず目を瞑った。暫くすると光りが徐々に治まっていき、二人は目を開けて目の前を見ると、其処には……

 

 

『グゥゥゥゥ…』

 

 

白銀の肉体に、両手には巨大な爪の様な武器を付けた一体のレジェンドルガが王座の前に佇み、二人を睨み付けて唸り声を上げる姿があった。

 

 

なのは「あれは…!?」

 

 

ジェイル「私が以前レジェンドルガの研究をしていた時に造った人造レジェンドルガだ。これを使って君を手に入れるよ…ディケイド」

 

 

スカリエッティが左手を上げて指を鳴らすと、人造レジェンドルガが二人にゆっくりと近づいて来る。

 

 

ディケイド『…ッ…下がれなのは!早く!』

 

 

なのは「う、うん!」

 

 

なのはを下がらせながらディケイドはライドブッカーをSモードに変え、人造レジェンドルガ向けて構える。

 

直後、人造レジェンドルガは獣の雄叫びと共に両腕の爪を振りかざし、ディケイドに飛び掛かったのであった。

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。