仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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番外編/桜龍玉と新たな神⑧(中編)

 

―廃ビル・屋上―

 

 

冷たい夜風が吹き抜ける、廃ビル最上階の頭上に存在する屋上。

 

 

其処には先程の戦闘の際に攫った魚見を捕える銀色の魔人と、八つ全ての桜龍玉を地面に並べて黒いマントを靡かせながら悠然と佇むギルデンスタンの姿があり、そんなギルデンスタンと銀色の魔人の前に並べられた八つの桜龍玉は、まるで他の桜龍玉に呼応するかのように何度も淡い光の点滅を繰り返していた。

 

 

『――ほう。桜龍玉が全て揃うと、このような現象が起こるのか……』

 

 

『桜龍の召喚の為の条件を満たしたという証でしょう。後は桜龍を呼び出す為の召喚の言霊を口にすれば……クククッ……』

 

 

魚見「……っ……」

 

 

遂に全て揃った桜龍玉を前に、漸く自分達の主の復活の願いが叶うとクツクツと不気味に笑うギルデンスタン。そうして、銀色の魔人に拘束される魚見はそんなギルデンスタンの後ろ姿を睨み据えながら、どうにか右腕に装着したままの籠手を使って再び変身出来ないか密かに試みようとする。が……

 

 

―……バチッ……バチッバチィッ……!―

 

 

魚見(……?!そんな……籠手の制御装置が破損しているっ……?!)

 

 

火花が散るような不吉な音が耳に届き、その音に釣られて魚見が右腕に視線を下ろすと、籠手を覆っていた筈の鋼鉄の拘束具の一部が破壊され破損してしまっていたのだ。それを目にした魚見は驚愕を浮かべるが、先程の銀色の魔人との戦闘で拘束された時の事を思い出しハッとなった。

 

 

魚見(さっきの戦いの時に破損してっ……?これでは、ごまかしで変身なんて出来ないっ……!)

 

 

本来の籠手の資格者である桜ノ神ではない、別の神でも変身出来るようにごまかすための拘束具が壊れてしまってはもう変身なんて出来ない。唯一の対抗手段が使えなくなり内心焦りを浮かべる魚見だが、その間にもギルデンスタンは両手を広げて夜空を仰ぎ……

 

 

 

 

 

 

『さあ―――いでよ桜龍ッ!!!そして、我が願いを叶えたまええぇッ!!!』

 

 

―ジジジィッ……バシュウウウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーッッッッ!!!!!!―

 

 

 

 

 

 

ギルデンスタンが高らかにそう叫んだ次の瞬間、八つの桜龍玉から無数の火花を撒き散らし莫大な光りが放たれたのだった。そして、桜龍玉から放たれた光りはまるで龍が如くうねりながら勢いよく天にまで上り、何かを形作るかのようにその姿を巨大な何かへと変化させていき……

 

 

 

 

 

 

『―――ォォォォォオオオオオオオオオッ……さぁ、願いを言え……どんな望みも一つだけ叶えてやる……』

 

 

 

 

 

光が形作られ姿を露わしたのは、月を背に廃ビル上空に浮遊する巨大な桜色の龍……桜龍玉を全て揃う事で出現し、あらゆる望みを叶えると言い伝えられている『桜龍』だったのであった。

 

 

『ほぉ……これが……』

 

 

『ク―――ハハハ、ハハハハハハハハハハハハッ!!遂にッ!遂に現れたか桜龍よッ!!これで漸く、我等が主を蘇らせられるッ!!クッハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!!』

 

 

魚見「っ……!」

 

 

遂に現れた桜龍を前に銀色の魔人は感慨深げに桜龍を見上げ、ギルデンスタンもまた両手を広げながら歓喜の高笑いを上げて喜びを露わにする中、魚見はそんな二人を睨み付けながら後ろ腰に隠したナイフに手を伸ばそうとするが……

 

 

―チャキッ……―

 

 

魚見「?!」

 

 

『余計な真似はしない事だ。どの道、貴様はもう変身出来ない……何をしようと無駄な足掻きだ』

 

 

魚見「クッ……!」

 

 

『フッフフフフッ、其処で指を加えて見ているがいい水ノ神。我等が麗しき、神の復活を……!!!』

 

 

銀色の魔人に真紅の剣の切っ先を突き付けられ下手に動けない魚見を嘲笑うようにそう告げると、ギルデンスタンは天空の桜龍と向き直り右手の杖を掲げる。

 

 

『さぁ桜龍よ、我が願いを叶えたまえっ!!我が望みは―――!!!』

 

 

 

 

 

 

『―――おっと、その前に横槍を入れさせてもらうよ?』

 

 

『ATTACKRIDE:BEAST!』

 

 

―ズガガガガガガガガガガガガガガガァッ!!!―

 

 

『――ッ?!』

 

 

 

 

ギルデンスタンが幻魔神復活の願いを桜龍に投げ掛けようとしたその時、不意に何処からか電子音声が鳴り響きそれを遮ったのである。そしてそれと共に無数の銃弾が不規則な弾道を描いて背後からギルデンスタンに襲い掛かり、それに気付いたギルデンスタンが慌てて背後に振り返るも既に間に合わず銃弾が直撃しようとした。が……

 

 

―ガギギギギギギギギィッ!!―

 

 

『……フン……』

 

 

『!おぉ、月影殿……!』

 

 

ギルデンスタンを守るように銀色の魔人が飛び出して真紅の剣を素早く振り抜き、ギルデンスタンの背中に撃ち込まれようとした全ての銃弾を軽々と払い退けてしまったのだ。そして銀色の魔人が真紅の剣を払いながら目の前に目を向けると、其処にはディエンドライバーの銃口を銀色の魔人達に向けて佇むライダー……ディエンドの姿があった。

 

 

ディエンド『ちっ、流石に今のでやれるほど簡単じゃないか。厄介な奴を番犬にしてくれたものだよ……』

 

 

『……ディエンド……そうか貴様か、組織からディエンドライバーを盗んだコソ泥とやらは』

 

 

ディエンド『知ってもらえているっていうのは、光栄に思うべきなのかな……大ショッカーの大幹部さん?今度は、死に損ないの幻魔を傘下に入れようって魂胆かい?』

 

 

『利用する価値があるから使うだけの事だ……この女のようにな』

 

 

魚見「グッ?!」

 

 

淡々とした口調でそう語りながら、銀色の魔人は魚見の襟首を掴み強引に目の前に突き出すが、ディエンドはそれを見て鼻を軽く鳴らしながらドライバーの銃口を突き付けた。

 

 

ディエンド『人質のつもりなら無駄な事だ、俺は基本的に神ってのは嫌いでね。それで俺が怯むと思ってるなら大間違いだぞ?』

 

 

『ふん、だろうな。貴様は他のライダー達とは違うと聞いている……だが――』

 

 

―ブオオォォッ!!―

 

 

魚見「ッ?!ウアァッ!!」

 

 

ディエンド『ッ!何?!』

 

 

なんと、銀色の魔人は突然魚見の身体を勢いよく振り回したかと思えば、魚見をそのまま躊躇なく屋上の外へ投げ飛ばしてしまったのだった。その銀色の魔人の突然の暴挙にディエンドも驚愕し投げ飛ばされた魚見に一瞬意識が向いてしまい、銀色の魔人はその一瞬の隙を見逃さずに猛スピードでディエンドへと肉薄し、真紅の剣を振りかざし斬り掛かっていった。

 

 

―ガギイイィィッ!!!―

 

 

ディエンド『グアァッ!!グッ、このっ……?!』

 

 

『やはり根っこの甘さは他のライダー達と変わらんな、すぐにそうして気を逸らされる……息の根を止めるついでだ、そのドライバーも返してもらおうッ!』

 

 

ディエンド『ッ!お断り、だっ!』

 

 

―ズガガガガガガガガガガガガガガガガガァッ!!!―

 

 

不意を突いた初撃で怯んだディエンドにもう一度斬撃を叩き込もうと真紅の剣を振りかざす銀色の魔人だが、ディエンドはそうはさせまいとディエンドライバーの銃口を突き付けて銃撃し、それに対し銀色の魔人は真紅の剣を振るって銃弾を弾きながらディエンドへと再び斬り掛かっていき、そして、屋上から投げ出されてしまった魚見は……

 

 

―ガシッ!―

 

 

魚見「グッ!くぅっ……!」

 

 

咄嗟に何かを掴もうと無我夢中で左手を伸ばし、屋上の縁に運良く掴まってどうにか落下せずに済んでいたが、左手だけではロクに力も入らず、右手を伸ばそうにも縁に届かない為に這い上がる事が出来そうにない。

 

 

魚見(っ……まだっ、こんな所でっ……桜龍を呼び出されてしまったのにっ……こんなっ……!)

 

 

それでも此処で諦めるワケにはいかないと、左手だけでも這い上がろうと必死に左腕に力を込める魚見だが、やはりそれだけではどうにもならず縁に掴まる左手にガクガクと震えが走り、遂に限界が来て縁から左手を離してしまった。その時……

 

 

 

 

 

 

 

 

―パシィッ!―

 

 

魚見「――――っ……………………え…………?」

 

 

 

 

 

 

 

 

半ば諦め掛けて思わず目を閉じていた魚見だが、地上に目掛け落下しようとした彼女の左手を何かが掴んだのだ。落下が止まり、左手を掴まれたその感覚に魚見も瞼を開き自分の身体が宙吊りになっているのを見て疑問を抱くと、顔を上げて自分の左手を掴んだものの正体を確かめた。其処には……

 

 

 

 

 

 

零「――ぐっ……クッ……クッソッ……屋上に着いた途端にいきなりコレかっ……少しは休ませてくれても良いだろうにっ……!」

 

 

魚見「っ!ディケイド……?!」

 

 

 

 

 

 

其処には、荒い息を吐きながら屋上から身を乗り出して魚見の手を掴む青年……魚見とギルデンスタン達を追い掛けて屋上に到着した零の姿があったのだった。魚見はそんな零を見て一瞬唖然とした表情を浮かべるが、直ぐにハッと我に返り零に向けて叫んだ。

 

 

魚見「は、離してくださいディケイドっ……!私の事は良いっ!それよりも今はギルデンスタンをっ!このままでは幻魔神が復活させられてしまうっ!」

 

 

零「ッ……言われなくても分かってるっ……だがっ、こっちにもそういう訳にはいかない事情ってもんがっ……」

 

 

此処に来る前に交わしたノエルとの約束もある上に、個人的な理由もあってから魚見を見捨てるなんて事は出来ない。だが最上階からこの屋上までの非常階段を全力疾走で駆け登ってきた為に喋る余力もなく、零は魚見の言葉を無視し魚見を必死に引き上げようとするが、そんな零の姿を見つけたギルデンスタンは……

 

 

『フン、余計な真似を……ハァッ!!』

 

 

―ギュイィィッ……バシュウウゥッ!!―

 

 

零「……ッ?!」

 

 

―ドッガアァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーアァンッ!!!!―

 

 

『……!』

 

 

ディエンド『?!零っ!』

 

 

ギルデンスタンが零の背中に目掛けて杖の先端を突き出し、杖の先端から一発のエネルギー弾を撃ち出したのである。エネルギー弾はそのまま零に着弾したと共に轟音を響き渡らせながら屋上の一角を吹っ飛ばしてしまい、魚見も突然襲い掛かった衝撃と爆発に思わず目をつぶると、慌てて顔を上げて零の安否を確かめた。すると……

 

 

―……ピチャッ……ピチャッピチャッ……―

 

 

零「――――ハッ…………ァ…………グゥッ…………クッ…………」

 

 

其処には、破壊された屋上の一角から突き出たパイプに血塗られた右手で掴まり魚見の手を離さずに掴む零の姿があるが、その姿は今の攻撃でズタズタに引き裂かれ、体中から流れる血で全身が赤く染まってしまっていたのだった。

 

 

魚見「ぁ……も、もういい……!離して下さい……!貴方が其処までする必要はありません!」

 

 

零「…………うるせぇ…………少し黙ってろ…………こっちは今、頭がボーッとしてるんだっ…………」

 

 

荒い呼吸を繰り返しながらか細い声でそう呟く零だが、パイプを掴むその右手がガクガクと小刻みに震えている。やはり怪我を負った身体で実質二人分の体重に耐えられないのだろうが、それでも魚見の左手をガッシリと掴んで離さない零に、魚見は珍しく険しい表情を浮かべて叫んだ。

 

 

魚見「本物の馬鹿ですか貴方はっ……!私は不老不死の神で、このまま落ちた所で死ぬ訳ではありませんっ!貴方が自分の命を危険に曝してまでっ、助ける価値なんて私にはっ―――!」

 

 

零「ッ……この、言わせておけばっ……馬鹿はそっちだろうがッ!!幾ら不死の身体でもこの高さから落ちてみろッ!!お前生きたままミンチになりたいのかッ?!」

 

 

魚見「優先順位を間違えないで欲しいと言っているんですっ!幻魔神が蘇れば、またノエルのような大勢の犠牲者が生まれる事になるっ!私なんかを助けてる間に、またあんな悪夢が繰り返される事になるかもしれないんですっ!ですから、手を――!」

 

 

零(っっっ……!!このっ、どいつもこいつもっ……!!)

 

 

『自分は不死だから助ける価値なんかない』だとか、少し前のどっかの女と似たように自分を疎かにするような発言をする魚見に零も内心苛立ちを募らせ、血で滑り易くなっている左手で魚見の手を強く握り直した。

 

 

魚見「ッ!どうしてっ……貴方はまだ――!」

 

 

零「っ……お前の親友にも、同じ事を言ったがな……お前が神だからとか、そうじゃないからとか、そんな小さい事はどうだっていいんだよっ……!」

 

 

魚見「……え……」

 

 

―バキッ……バキィッベキイィッ……!!―

 

 

零が掴まるパイプから不吉な音が、立て続けに響いた。やはり人間二人分の体重に堪えられないのかもしれないが、それでも零は魚見の手を離そうとせず言葉を続けた。

 

 

零「死なないからっていう理由だけで、それでお前を見殺しにしていい言い訳になぞならんだろうがっ……そんな言い訳を俺が呑むとしたらっ、そもそもフォーティンブラスから咲夜の奴を助けだそうだなんてっ、考えもしなかったっ……!」

 

 

魚見「っ……ですが、あの時とは状況がっ……幻魔神が蘇っては……!」

 

 

零「フォーティンブラスが生き返ったのならもう一度地獄に叩き返してやるだけだっ……もうあの時みたいにっ、誰かを見捨てて自分だけが助かるだなんてしたくないしっ……それにっ――」

 

 

ピチャッピチャッと、零の左腕から流れる血が魚見の顔に滴り落ちていく。暗闇のせいで今まで気づかなかったが、目を懲らして良く見ると、零の左腕の服の上から幾つもの破片が突き刺さっている。だがそれでも、零は魚見の手を強く握り締めながら荒い呼吸を繰り返して途切れ途切れに語る。

 

 

零「――お前は、アイツの二人しかいない親友の一人なんだろうがっ……なら、アイツを泣かせるような真似なんか絶対するなっ……お前に何かあれば、アイツも傷付く……散々泣かせて傷付かせて来た、俺みたいな馬鹿には、絶対にっ……!」

 

 

魚見「……!」

 

 

既に余裕もない身体でありながら、絶対に離さないという意志を表すかのように魚見の手を痛いぐらい強く握りながら唇を噛み締めてそう語る零のその言葉を聞き、魚見は僅かに目を見開いて驚愕した。今の今まで愛想のない意地悪な性格の青年と思っていた彼が必死で、真剣に、まさかこんな言葉を口にするとは思わなかったからだ。

 

 

魚見(…………ああ……………そうか…………だから彼女は、彼を…………)

 

 

そんな零の必死な姿から、彼がどれだけ後悔を繰り返して来たのか自分にも感じ取れた。そして漸く、彼女が彼と契約した理由を理解して視線を下げ、拘束具が破損した籠手を見下ろすと、魚見は自嘲気味に笑いながらポツポツと語り出した。

 

 

魚見「――そう……ですか……貴方はちゃんと、彼女の事を大事に想っていたんですね……なのに、私は……」

 

 

零「あっ……?一体何の話……―バキイィッ!―……ッ?!」

 

 

魚見の言葉に疑問を抱いて聞き返そうとする零だったが、頭上から聞こえた先程よりも大きな音と共に零と魚見の身体が大きく揺れ、零が慌てて上を見上げると、零が掴まるパイプが外れそうになっているのが見えた。

 

 

零「まずっ……?!クソッ!おい市杵宍っ!お前その態勢からどうにか変身出来ないかっ?!」

 

 

魚見「……それが、本来の籠手の資格者である桜ノ神であることをごまかす為の拘束具が先程の戦闘で破損してしまって……もう変身が……」

 

 

零「っ……!」

 

 

つまり手詰まりという事かと、何とかパイプに掴まる手を握り直して内心舌打ちしてしまう零。魚見の手を掴む左手にも痺れが走り既に限界が近く、このままでは二人揃って地上に真っ逆さまだとただ焦りと危機感が募るばかりであり、どうにかして魚見だけでも先に上がらせて引き上げてもらえないかと試みる。しかし、その時……

 

 

『FINALATTACKRIDE:DI・DI・DI・DI-END!』

 

 

ディエンド『チィッ……!だったらコイツでどうだっ!』

 

 

―バシュウウゥッ!!!―

 

 

『!』

 

 

銀色の魔人との戦闘で圧倒されるディエンドが左腰のカードホルダーから取り出したカードをディエンドライバーへとセットし、ドライバーの銃口を銀色の魔人に向けて引き金を引きディメンジョンシュートを撃ち放ったのである。だがそれを見た銀色の魔人は咄嗟に身を翻してエネルギー弾を回避してしまい、標的から外れたエネルギー弾はそのまま零が掴まる破壊された屋上の一角に迫った。

 

 

零「ッ?!あの馬鹿っ……!!クッソッ!!」

 

 

―バッ!!―

 

 

魚見「え……うぁっ?!」

 

 

―チュドオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーオォォンッッッッ!!!!!!―

 

 

左腕に全力を込めながら何とか身体を持ち上げて屋上から僅かに顔だけを出す零だが、ディエンドが外したディメンジョンシュートが迫り来るのを見て目を見開き、半ば自棄クソ気味にパイプから手を離し魚見共々落下した。そして次の瞬間、ディメンジョンシュートが零が掴まっていた屋上の一角に直撃して巨大な爆発を巻き起こし、爆風を帯びた衝撃波が零と魚見を襲い二人の落下を促したのだった。

 

 

―ビュオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォオッ……!!!―

 

 

魚見「ぅあっ――くっ――?!」

 

 

零「ガッ――ァ――クソッ――市杵宍っ――!!」

 

 

衝撃に促された落下速度が凄まじ過ぎる。お互いの手を離さないようにするのが精一杯であり、零は必死に魚見から離れないように彼女の手を強く握るが、どの道このまま何もしなくても二人諸共地上に叩き付けられてしまう。

 

 

零(変身っ……駄目だ間に合わないっ!!クソッ!!どうするっ?!)

 

 

この落下の速度と状況ではとてもじゃないが変身など出来ないし、例え出来たとしても変身が完了する前に地面に叩き付けられアウトだ。それでも他に方法がないかと焦りが募るばかりの零が必死に思考を巡らせる中、闇で見えなかった地上が段々と鮮明に見え始め、最早此処までなのかと半ば諦め掛けて猛スピードで廃ビルの七階フロアを通り過ぎようとした。その時……

 

 

 

 

 

 

―バッッッゴオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォオンッ!!!!―

 

 

『ヒヒイイィィィィィィィィィィィィィーーーーーーーーイィンッッッ!!!!』

 

 

イクサF『ああああああっ?!こらあああああっ!!止まれええええええええええええっ!!!!』

 

 

零「――え?―バゴオォッ!!―ごはあぁっ?!!」

 

 

魚見「?!なっ……?!」

 

 

 

 

零と魚見が通り過ぎようとした七階フロアの窓が突然突き破られ、其処から疾風の如く現れた巨大な漆黒の馬……馬鬼と、馬鬼の背中に跨がったイクサFが悲鳴を上げながらいきなり飛び出して来たのである。

 

 

そして馬鬼はそのまま止まることなく何もない空の上を全力疾走で駆け抜けると、落下の最中だった零の横っ腹に勢いよく体当たりをかましてしまい、零と、ついでに零が手を繋いでいる魚見を頭で持ち上げながら急停止し、高らかに鳴き声を上げていったのだった。

 

 

イクサF『ィッツウッ……漸く止まってくれたかっ……全く、瓦礫がモロに頭に当たってしまったぞ……って、え?零っ?!何故君が此処にっ?!』

 

 

零「ぅごっ……ぇぐっ……ァッ……そ、それぇっ……こっちのセリ……ガクッ」

 

 

イクサF『お、おい零ッ?!しっかりしろっ!!オォイッ?!』

 

 

魚見「ッ?!その声は……まさか、さ……咲、夜……?」

 

 

イクサF『え?……お前は……魚見、か……?』

 

 

軽い(?)衝突事故により、馬鬼の頭でグッタリと持ち上げられる零を見てイクサFが驚愕するのもつかの間。

 

 

間近で聞こえたイクサFの聞き覚えのある声に魚見がそう問い掛け、イクサFも現代では零しか知らない筈の自分の本当の名を呼んだ魚見を見て仮面の下で目を見開いて驚き、こうして、二人の神は漸く再会を果たしたのであった……。

 

 

 

 

 

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