仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT 作:風人Ⅱ
―廃ビル・七階フロア―
―……チュドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーオォォォンッッッッ……!!!!!!!!―
魚見「―――ッ?!!」
姫「な、何だっ?!!」
そして、リアの放った光が零達を襲ったと共に、姫と魚見が残る七階フロア……いいや、この廃ビル自体が巨大な揺れに襲われていた。このビルが崩れてしまう。そんな不安と恐怖を思わずにはいられない程の巨大な振動に姫と魚見が必死に耐える中、何かの作業を続けていたドールが手を止めて天井を見上げた。
ドール「む……どうやら、屋上辺りで何か起きたようですね……しかもこの強大な神氣、零さん達の身に何か起きたのか」
姫「っ……!零、なごみっ……!」
この揺れの原因であろう今の爆発音が、零達を襲った物の正体なのか。ドールの呟きを聞いて零達の安否が気になる姫が不安げに天井を見上げると、そんな姫を背中越しに見たドールは揺れが収まったのを確認してから作業を再開し、ふぃー……と一息吐きながら立ち上がって姫へと歩み寄った。
ドール「姫さん。ホイ、これ」
姫「……え?」
ポイッ!と、まるで友人が差し入れのジュースを送るような感覚でドールが投げ渡したのは、掌の形をした金色のバックルのような物と、姫も知らないライダーの顔を模したローズレッドの勾玉の指輪と手形の絵柄が刻まれた指輪だった。
姫「?これは……?」
ドール「改良が一通り済みましたので、持ち主の姫さんにお返ししようかと思いまして。姫さんの籠手♪」
姫「……はっ?これが私の籠手っ?!ちょっと待て、何かいつの間にか形が大分変わってしまっているぞっ?!何をやったっ?!」
ドール「いやぁ、最初は単に旧式のライダーシステムですから、何処か不備な点がないか点検してついでに改良しようかなぁみたいなノリだったんですけど、改良を進めてく内に段々調子が乗り始めて来ましたね?指輪と籠手の力を合わせるっていうシステムから知り合いのライダーを思い出して、元からあったシステムをそのライダーのベルトのシステムにより似せたり、フォームの改造とかしたり、指輪を増やして技や武器を増やしたりとか……んで、そうやって籠手にチョチョイと手を加えたら、ちょーーっと改良のし過ぎで、ベルトに形変わっちゃいました。てへ☆」
姫「てへ☆……じゃあないだろっ?!どうしてくれるんだっ?!勝手にこんな事をしてっ?!」
ドール「うんにゃんにゃ、心配いりませんよ。姿形は変わっても、それは姫さんが以前使っていたと力と大して変わりませんし。それに……怪人なんて呼ばれていたものを生まれ変われさせるなら、調度いい機会かと思いましてね」
姫「……!」
戯けるように片目を伏せてそう告げるドールの言葉に何か気付いたのか、両手に持つ掌の形の金のバックルと指輪を見下ろすと、魚見に目を向けていく。
ドール「資格認証は姫さんのままですので、姫さんが使う事も可能です。無論、それを『変える』事も。後はどうするかは、姫さんが決めて下さいな」
姫「…………」
わざとらしくそう口にするドールに姫は何も答えない。だだ、バックルと指輪を持ったまま歩き出し、魚見の前に立って彼女と目線を合わすように屈んだ。
姫「魚見……」
魚見「……行ってあげて下さい、咲夜……彼等だけでは、不死の幻魔神を倒す事は出来ない……私の事を気に掛ける必要はありません」
姫「…………」
確かに、アマテラスにならなければ不老不死の幻魔神を零達だけで倒すのはほぼ不可能だろう。例外があるとすれば零の中の破壊の力のみだろうが、彼がその力を使う事に否定的な上、力を行使すれば零の身に何か起こらないとも限らない。だから手遅れになる前に、零達の下に急げと促す魚見の言葉を聞き、姫は……
姫「――勿論彼等を助けに行くつもりだ……ただし、お前も一緒にな」
魚見「……え……?」
真剣な眼差しで、真っすぐ魚見を見据えながら静かにそう告げた。そしてそれを聞いた魚見も怪訝な表情で姫に問い返すと、姫は無言のまま掌の形のバックルを魚見の腰に押し当てていき、バックルはベルトとなり魚見の腰に装着された。
魚見「咲夜……?!」
姫「―――正規の資格者、桜ノ神・木ノ花之咲耶姫の登録を削除……次の資格者を水ノ神・市杵宍姫ノ命に変更……」
魚見「な、何をやっているんですか!止めて下さい!」
バックルに手を当てて姫が何をしようとしているのか気付き、すぐさま姫の手を掴んでバックルから離そうとする魚見だが、姫はバックルを力強く掴んだまま更に呟く。そして……
姫「以後、資格者を彼女に固定……承認、完了」
―パキイィィィィンッ!!―
何か弾けるような音と共に、魚見の腰に巻かれたバックルから淡い光が放たれ、掌の形のバックルはベルト部分が消滅し、右手の形をした普通のベルトへと擬態していったのだった。
ドール(ふむ……やっぱりそういう形にしましたかい、実に姫さんらしい)
彼女が行ったのは、桜ノ神専用のライダーシステムの使用条件と資格者の変更。つまり、桜ノ神にしか使えないという条件を破棄し、次なる装着者に魚見を選んだという事なのだ。しかし……
魚見「咲夜、何故ですかっ……これは本来貴女が使うべき物ですっ!それなのに、どうして私なんかにっ!」
詰まる所それは、桜ノ神に合わせて作られたライダーシステムの力の劣化にしか過ぎない。本来の資格者である姫が使えばその真価は発揮され、零や他の人間達に頼らずとも、彼女一人で幻魔神を倒す事は可能の筈なのに、何故こんな愚策に走ったのか。その意味を込めて魚見が問い詰めると、姫は魚見の腰のバックルを眺めながら……
姫「確かに、それを使えば私一人でも幻魔神は倒せるかもしれない……だがそれでは何の解決にもならないし、私にそれを使う資格はそもそもないんだ」
魚見「……え?」
ポツリとそう告げた姫に、魚見が呆然とした声で再び怪訝な表情を浮かべると、姫は徐に立ち上がって魚見の目を見つめながら言葉を続けた。
姫「私は……私一人の力では、この世界を守る事も出来なかった。零や他の皆の力を借りて、必死になって、それで漸く平穏を取り戻して……そうしなければ、世界一つも守れない情けない奴なんだ、私は」
魚見「っ……しかしそれは――」
姫「籠手がなかったから、なんていうのは言い訳にはならない……いつ如何なる時も、全ての災厄から人々を守る……それが籠手の力がなかったから果たせなかったなどと、何が守り神か……」
グッと力強く握り締めた拳を見下ろして自分の無力さを噛み締めるように語ると、姫はローズレッドの仮面の戦士の顔を象った指輪を眺めていく。
姫「一人で世界も守れず、神界から永久に追放された私に、守り神の証であるこの力を使う資格はない……」
魚見「……それを言うなら、私も……」
姫への償いの為にと、神界や町を再び騒がせた自分にこの力を使う資格はない。普通のベルトに擬態にしたバックルに触れ魚見がそう考える中、姫は指輪を握り締めて魚見を見据えながら……
姫「確かに……桜ノ神……木ノ花之咲耶姫としては、平穏を乱したお前のやり方を認める事は出来ない……だが――」
スッと、言葉を区切り、姫は徐に魚見に向かって頭を下げた。
魚見「?さく……」
姫「―――親友として……"咲夜"として……お前には感謝してる……私なんかの為に、禁を破ってまで助けようとしてくれて……追放された私の代わりに、ギルデンスタンと戦ってくれて……有り難う……」
魚見「……ッ……!」
桜ノ神としてでなく、彼女の親友の咲夜として、自分の為に戦ってくれた魚見に素直な気持ちを口にし礼を告げた姫。そんな姫の言葉を聞いて魚見も目を見開きながら僅かに息を拒むと、姫は静かに魚見に左手を差し出した。
姫「お前が動いてくれなければ、救えなかった命があったのも、今よりもっと事態が深刻化していたかもしれないというのも事実だ……だから私も、お前や零だけに全てを背負わせたりはしない……一緒にケリを付けよう。幻魔神を倒して、神界に戻って、今度は私が……お前を助ける」
魚見「……咲夜……」
神界に戻って上役達の批難を浴びせられる事になろうとも、今度は自分が魚見を助けてみせる。その為にも先ず、共にこの事件を解決しようと手を伸ばす姫に、魚見は一度顔を俯かせて瞼を伏せたあと困ったように微笑し、姫の手を掴んで徐に立ち上がった。
魚見「全く……貴女も彼も本当に、何処までもお人良しが過ぎますね……それを伝える為だけに、彼と一緒に行かなかったのですか?」
姫「友人を見捨てておくほど冷酷にはなれないさ……私がこういう奴だと、お前も嫌というほど知ってるだろう?」
魚見「……えぇ、そうでしたね……そんな貴女だからこそ、貴女と彼は引き合ったのかもしれません……」
類は友を呼ぶとは、正しく二人の事を言うのだろうと思い苦笑いを浮かべつつ、魚見は姫の目を真っすぐ見つめ返しながら小さく頷き返した。
魚見「分かりました。戦う術を与えてくれるなら、私も戦います……それに傍でちゃんと貴女達を見ておかないと、また無茶をするのではないかと不安で不安で仕方がありませんから」
姫「ふふっ……お前だって、私や彼の事を言えないぐらいお人良しじゃないか」
魚見「そうさせたのは彼と貴女ですよ……行きましょう、咲夜」
姫「ああ……今度は一緒に、な」
そう言いながら頷いて姫がローズレッドの指輪を投げ渡すと、魚見はそれを受け取って指輪を眺めながら決意を新たに姫に力強く頷き返し、左手の中指にローズレッドの指輪を静かに嵌めていくのであった。
◇◆◇
―廃ビル・屋上跡―
――リアの剣から放たれた全てを飲み込む白光。その破壊力は、零達がいた屋上を跡形も残さず消滅する程の凶悪なモノだった。
それにより屋上の45階から19階に掛けてのフロアが崩壊してしまっているが、それはリアの剣から放たれた光の威力の余波に過ぎない。
テフィラーから放出された白光は射線上の障害を全て薙ぎ払って直線に突き進み、廃ビルから数十キロほど先にある山々が木っ端微塵に消し飛び、更にその先に広がる海の水平線の先まで海を真っ二つに引き裂いてしまっていたのだ。しかし……
リア(……テフィラーが力を放出する寸前、紙一重で私に接近して剣の切っ先の軌道を強引に変えたか……人間の執念とは侮り難い物と思っていたが、此処までとは思わなかったな……)
そう、本来ならリアはこの建物ごと零達を消し飛ばすつもりだったのだ。それによりイレギュラー達を全て一掃するのが目的だったのだが、それが出来ず建物が未だ健在なのは、捨て身で自分に肉薄しテフィラーの剣の軌道を無理矢理変えた大馬鹿者による邪魔があったからだ。
リア「私が仕留めると決めてし損じるとはな……いや、君の無鉄砲さには頭が下がる……一体どうしてこんな無茶が出来るのか」
ズタズタに引き裂かれた様に無惨な姿に変わり果てた屋上跡の中央で、何事もなかったようにテフィラーを眺めながら佇むリアがそう言いながら目の前に視線を向けると、其処には……
零「………………ッ………………ゥ………………」
全身の皮膚が焼き焦げ、肉が裂け、血だまりの中に手足を投げ出してグッタリと倒れ込む零の姿があった。意識が朦朧としているのか立ち上がろうとする気配はなく、リアはそんな零へと歩み寄りながら上半身の砕かれた鎧を脱ぎ捨てていく。
零(っ…………なごみ…………海道は…………無事に、逃がせたのか…………?―ガシッ!―グッ?!)
暗転する意識の中でなごみの安否を気に掛ける中、零の身体が不意に持ち上げられ思考を遮られてしまう。そして、零の襟首を掴んで持ち上げたリアはその口元に笑みを浮かべながら口を開く。
リア「ほんと、君には驚かされるよ。元素の塵にまで分解される神の一撃……テフィラーの光を正面からまともに受けて原形を保っているとは……やはり、君の中に宿る"ソレ"の恩恵が原因なのかな?」
―ズシュウゥッ!!―
零「ッ?!!ガッ……ァッ……!!!」
小首を傾げてそう問い掛け、零の左胸にテフィラーの切っ先を躊躇なく突き付け匙加減に捩込むリア。そのあまりの激痛に零もリアの手から逃れようと必死に身を捩らせてもがくと、リアは零の左胸からテフィラーを離し、テフィラーの刃で傷付き出血する零の左胸を見て目を細めた。
リア(すぐに再生能力は働かない、か……この因子は完全に覚醒し切っていないのか、或いは彼の意思とは別に力が働いているのか……いずれにせよ、このままこの力に完全に成長されては、今より厄介になるのは間違いない……今の内に仕留めておくのが吉か)
この男の危険性が今だけに留まると限らない。今以上に危険な存在になる前に芽を摘んでおくのが幻魔……いや、世界の為だろうと、テフィラーの切っ先を零の左目……破壊の因子に狙いを定める。
リア「潰すのなら、先ずはその目からの方が良さそうだね。君を殺した瞬間に、道連れでこの世界まで破壊されては堪ったものではないし」
零「………………」
リア「何か言い残すことはないかい?君の仲間に伝えたいことがあれば、私の方から言っておくが……」
せめてもの慈悲のつもりなのか、左目にテフィラーを突き付けたままリアがそう問い掛けるが、それに対して零は前髪で表情を隠したまま薄い笑みを浮かべて静かに笑った。
リア「……?何が可笑しい?君を笑わせるような事を言ったかな、私は?」
零「フフッ……いいや……ただ単に、俺も随分買い被られたモノだと思ってな……そんなに俺の中のコイツが恐ろしいのかっ……?」
リア「……恐ろしいかそうでないで言えば、そうだろうね。君のソレは万物全てを破壊する殺戮の力だ……加えて、ソレがどのような進化を遂げるのかは私にも予想出来ない。どれほどの危険度を持っているか計り知れない以上、真っ先に君は潰しておくべきだろうさ」
零「……それは光栄なこった……だがな、お前は一つ勘違いしてるぞ……」
リア「……?」
うっすらと笑みを浮かべる零の言葉に頭上に疑問符を浮かべるリア。すると零は前髪の奥の瞳でそんなリアを射抜くように見据えて、淡々と語り出した。
零「真っ先に潰さなきゃならない相手を、お前は既に間違えてるって話だ……俺一人の力なんてのは、所詮フォーティンブラスを倒す事も出来ないぐらい貧弱だ……本気でこの世界を手中に収めたいなら、俺を狙うよりも、もっとそれ以前に潰すべき相手がいただろうよ……」
リア「?君以上の脅威なんてそうそういないと思うが、一体誰の話だい?異世界の人間か?それとも断罪の神達の事か?」
零「ハッ……決まってるだろ……」
本当に何も分かっちゃいないと嘲笑しながら、リアを睨み返しながら零はハッキリとこう告げた。
零「何百年も前からお前等と戦い続けている……この世界の『守り神』だっ……」
―バッ!!―
『ハアァッ!!』
リア「!―バキイィッ!―くっ……!」
零がリアにそう言い切ると共に、横合いから突如二人の人影が飛び出してリアに不意打ちの跳び蹴りを放ち、リアはそれを受けて零から手を離し後方へと後退りさせられた。そしてリアが目の前に視線を向けると、其処には……
姫「――すまない零、少しばかり遅れてしまった」
零「ッ……遅すぎだろ……とっくに主役の登場を盛り上げてやってたのに、危うく殺され掛けたわ……」
魚見「主役は遅れてやってくるものでしょう。遅れたことに関しては素直に謝罪しますが」
倒れる零の前に着地し、零の身体を抱き起こす二人の女……零を追ってきた姫と魚見の姿があったのだった。
リア「桜ノ神に水ノ神……君達まで来たのか」
魚見「……?彼女は?」
零「……初代幻魔神のリアだそうだ……言うなれば、フォーティンブラスの祖先って奴だな」
姫「初代?……成る程な、通りでフォーティンブラスの奴とは気配が違うと思ったが、ギルデンスタンの奴が蘇らせたのはアレだったのか」
此処に来る前から既にリアの気配を感じ取って疑問を覚えていたのか、零から話を聞いて漸く合点が言ったと納得したように頷く姫。そしてリアはテフィラーを肩に担ぎ、姫と魚見を交互に見つめながら溜息混じりに口を開いた。
リア「それで、今更一体何しに出て来たんだ?自分で言うのもなんだが、君達が揃ったところで私に敵いはしないのは分かり切ってるだろう……同じ神格である君達なら、此処に辿り着く前に私の神氣を感じ取った時点で、それは読み取っていると思ったのだが……」
嫌味や上からの物言いではなく、正真正銘の真実を口にするように告げて溜め息を吐くリア。実際に言えば、リアは確かに二人よりも数段格上の神格だ。今更、二人が揃ったところでリアには敵わない。だが……
姫「ああ、頭に来るが確かにその通りだ。だが……」
魚見「どう足掻いても敵わない……と決め付けるのは、まだ早計でしょう。少なくとも、貴女と実際にこうして対峙して、貴女に勝てないと感じてはいません」
リア「……それはただ単純に、君達が私の恐ろしさを身を持って実感していないからだ。悪い事は言わない、今すぐ手を引け。私もイレギュラー以外と、無駄に争うような真似はしたくないんだ」
格下、それもイレギュラーではない者達の戦うつもりないと、リアは姫と魚見に興味を向ける素振りすら見せない。しかし……
零「――随分人を見る目がないんだな、お前」
リア「……何?」
馬鹿にするように軽く鼻を鳴らしながらそう告げた零の言葉を聞き、リアが怪訝な顔つきで零に目を向けると、零はふらつきながら上体を起こし言葉を続けた。
零「さっきも言ったハズだろう?本気でこの世界を手中に収めたいなら、先ずは俺よりも真っ先に潰さなければならない奴らがいるってな……」
リア「……守り神……まさか、彼女達の事かい?ふふ、それだったら何の問題もないよ。彼女達では私には――」
零「その認識が、お前の間違いだと言ってるんだ」
笑みをこぼすリアの言葉を遮るようにそう言うと、零は姫と魚見の間に立ち姫を顎で差した。
零「あの戦いでフォーティンブラスを倒せたのは、俺の力なんかじゃない。偏にコイツを救う為に集まった仲間達と、そいつ等とこの世界を守る為に、身を全て投げ打った桜ノ神の力があったからこそだ……じゃなきゃ、俺も今ごろは此処に立ってはいなかった」
姫「…………」
その言葉を聞き、姫の脳裏に心臓を貫かれて死ぬハズであった零の姿が過ぎる。そして零はそんな姫から目を逸らし、魚見に目を向け言葉を続けた。
零「そしてそれは、コイツも同じだ。コイツもまた、大事な親友とやらとそいつが守った世界を守る為に、償いの為に、自分の全てを掛けてギルデンスタン達と戦ってきた……褒められたやり方じゃなかったのは確かだが、コイツのその心に、嘘偽りなんてない」
魚見「……!ディケイド……」
驚いたように僅かに目を見開いて魚見が振り向くと、零は真剣な眼差しでリアを見据えながら前髪をかき上げて前に出た。
零「分かるか、初代幻魔神……幾らイレギュラーって奴を潰そうが、そんなのは関係ない。この世界には、自分全部をかなぐり捨ててまで誰かを守ろうとする大馬鹿な奴らがいるんだ……お前やフォーティンブラスみたいな連中がこぞって攻めて来ようが、コイツ等はお前達には屈したりしない。お前が真っ先にコイツ等を潰してれば、俺もお前に勝てる術はなかっただろうに……優先順位を見誤ったな」
リア「……そういう事か……なら――」
ブオオォォッ!!と、リアは右手に握るテフィラーを振るって突風を起こしながら戦闘態勢に入り、零達と対峙した。
リア「――此処で、君達を纏めて倒しさえすればいいだけの話だろう?圧倒的な絶望を味わせて、ね」
零「残念だが、それはもう不可能だ。俺達が揃ったからにはな……」
魚見「ええ……」
『driver on!now!』
零の言葉に頷きながら魚見が中指に指輪を嵌めた右手を腰の掌の形のバックルに当てると電子音声が響き、それと共に掌の形のバックルが金色のベルトに変化していき、そこから更にバックル横のレバーを操作して中央部の掌形のバックルを左手側にスライドさせた。
『shabadwubi touch henshin!shabadwubi touch henshin!』
魚見「桜ノ神も、ディケイドも、この世界の人々も、貴女にやらせはしない」
姫「守り神の意地という奴を、お前にも見せてやるさ……ただでやられてはやらないぞ?」
リア「……君達のその強さ、一体何処から来るのか分からないな。何なんだい、君達は?」
零「とっくにご存知だろ?通りすがりの仮面ライダーと……」
姫「桜ノ神、木ノ花之咲耶姫。そして……」
魚見「水ノ神、市杵宍姫ノ命です」
『憶えておけっ!変身っ!』
『AMATERAS!DECADE!』
『gouka!now!』
『gou!gou!gou-gou-gou!』
零はディケイドライバーにカードをセットして姫と共にディケイド・アマテラスフォームに変身し、魚見は左手の中指に嵌めたローズレッドの指輪の目の部分に当たるカバーを下ろした後にバックルに左手をタッチすると、鳴り響く電子音声と共に左手を真横に翳し、真横に出現した朱い魔法陣を潜り抜けていく。
そして魔法陳を潜り抜けると、魚見の姿は東洋の鎧に西洋の魔法使いのデザインが組み合わったような金色と朱の戦士……朱のラインが走る金色のボディに鎧武とファムを足して二で割ったような仮面、ウィザード・ドラゴンスタイルに酷似した勾玉を模した肩パーツに、鎧武の脚部とドラゴンスタイルのローブを持った怪人Sの生まれ変わった姿、『聖桜』に変身したのであった。
リア「面白い……ならば見せてくれ。君達が何処まで、この絶望に耐えられるかをっ!!」
ディケイドA『そう簡単に絶望したりはせんさ。さぁ……』
『connect now!』
聖桜は右手の指輪を外して左腰のリングホルダーから新たな指輪を取り出し右手の中指に装着すると、バックル横のレバーをスライドさせてバックルを右手側に切り替え、バックルに左手をタッチさせる。そして、電子音声と共に右手を横に向けて朱い魔法陣を出現させると、その中から銀色の剣……ウィザーソードガンを取り出し、手形のパーツを開いて左手でタッチした。
『gouka!Change now!』
聖桜『ショータイムです……決着を着けましょう、幻魔神!』
電子音声が鳴り響くと共に、業火の炎を放つ朱い魔法陣がウィザーソードガンを潜り抜け、ウィザーソードガンは一本の朱い太刀……真炎龍剣に変化していき、聖桜は真炎龍剣を握り締めながら桜神剣を構えるディケイドと共に地を勢いよく蹴り、リアへと斬り掛かって戦闘を開始していくのであった。