仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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番外編/桜龍玉と新たな神⑪(後編)

 

―廃ビル・屋上跡―

 

 

リア「小細工無しに正面から来るか……その意気や良しだが、それだけではなぁッ!!」

 

 

―バゴオォオオオオオオオオオオオォッ!!!!―

 

 

それぞれの武器を手に正面から全力で突っ込んで来るアマテラスフォームに姿を変えたディケイドと聖桜に、リアがテフィラーを振りかざし白光を撃ち放つ。だがそれに対する聖桜の対応も素早く、リアが迎撃態勢を取った瞬間を見てすぐに右手の指輪を取り替えバックルにタッチした。

 

 

『defend now!』

 

 

―ドゴオォオオオオオオォンッッッ!!!!―

 

 

リア「!障壁か……!」

 

 

電子音声と共に聖桜が正面に右手を突き出すと、迫り来る白光と二人の間に朱い魔法陣が展開され、けたたましい轟音を響かせながら白光を受け止めた。そしてディケイドは白光を防いだ魔法陣を真横を抜けてリアに目掛け疾走し双剣に切り替えた桜神剣を振り上げ、リアも瞬時にテフィラーを振るい桜神剣と激突した。

 

 

―ガギイイィィッッ!!!ガギギギギギギギギギギギギギギギギギギギギイィッッッ!!!!―

 

 

リア「ははっ、凄いなッ!さっきまでとは動きが段違いじゃないか零君ッ!」

 

 

ディケイドA『ッ!』

 

 

咲夜『こいつ、アマテラスの動きに食いついて来るかッ!』

 

 

アマテラスに強化変身したディケイドが雷の如く次々と振りかざす斬撃を歓喜の笑みと共に安易く弾き返しながら反撃してくるリアに、ディケイドの中の咲夜もリアの規格外さに驚きを隠せないでいる。しかし、既にリアと一戦を交えているディケイドは冷静にリアの剣撃を捌きながら右手の桜神剣で斬り掛かるが、リアはソレをテフィラーで受け止めながら空いた左手の拳を振り抜いてディケイドに殴り掛かった。だが……

 

 

―ドンッ!!―

 

 

リア「む……?!」

 

 

『cho-iine!』

 

『finisshu strike!saiko-!』

 

 

聖桜『ハァァアアアアッ!!』

 

 

ディケイドはリアが放った左拳に対して咄嗟に蹴りを放ち、そのままリアの馬鹿力を利用して後方へとバク宙して後退したのである。更にその次の瞬間、新たに別の指輪を嵌めた右手をバックルに当てた聖桜が業火を纏った真炎龍剣を両手に構えながらバク宙するディケイドの真下を素早く潜り抜け、そのまま無防備のリアに大剣を振るって業火の炎を叩き込んでいった。

 

 

―ドッガアァアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーアァァンッッッ!!!!!!―

 

 

リア「がぐっ!ぐっ、まだ、まだ……だよッ!!」

 

 

鎧を脱ぎ捨てた故に、尋常ではない熱と炎が肌を直接焼き焦がし、神氣を纏った爆炎となってリアの身体を焼き尽くそうとする。だが、それで倒れるほど彼女も柔ではなかった。苦悶の声を上げそうになる口を噛み締めながらテフィラーの刃で爆炎を斬り裂いてすぐに脱出するが、聖桜は既に離脱して目の前にはおらず、代わりに後方まで後退したディケイドが一つに連結させた桜神剣の柄の部分の銃口の照準をリアに定め……

 

 

ディケイドA『吹っ飛べッ……!!』

 

 

―バシュウウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーッッッ!!!!!!―

 

 

リア「その気はないよぉッ!!」

 

 

テフィラーを振るった態勢を咄嗟に戻せないであろうリアに銃口から巨大な砲撃を撃ち放つディケイドだが、リアは笑みを崩さぬまま先程使っていた大鎌を右手に出現させながら振り上げ砲撃を消し飛ばしてしまい、瞬時に大鎌を再び消してテフィラーを振りかざしながらディケイドに目掛けて突進した。だが……

 

 

『bind now!』

 

 

―ジャラアァァッ!!ガシイィッ!!―

 

 

リア「……むっ!」

 

 

後方から響く電子音声と共に、突如無数の銀色の鎖がリアに襲い掛かり、彼女の身体に巻き付いてその動きを止めたのだった。

 

 

そしてリアが自身の身体に巻き付く鎖を見下ろしその鎖が放たれる背後へと振り返ると、其処には、右手を突き出して周りに出現した四つの魔法陣から無数の鎖を伸ばして操る聖桜の姿があり、聖桜は鎖を操りリアを捕縛したまま左手にブルーの指輪を身に付け、バックル横のレバーをスライドさせて左手側に切り替えたバックルに左手をタッチさせる。

 

 

『ikazuchi now!』

 

『biribiribiri!biriririri!』

 

 

まるで歌を歌っているかのような奇妙な電子音と共に聖桜が頭上に左手を向けると、青白い魔法陳が頭上に現れてゆっくりと降下し、聖桜はその魔法陣を頭から潜り抜けていく。そうして魔法陣を抜け切ると、聖桜の姿は深紅の稲妻の意匠が彩られた武者の鎧を模した蒼のボディ、ウィザード・ウォータードラゴンと息吹鬼を足して二で割ったような仮面の姿……雷の属性を司るイカヅチスタイルに姿を変え、聖桜はすぐに真炎龍剣から元に戻った右手のウィザーソードガンの手形パーツを開き左手でタッチした。

 

 

『ikazuchi Change now!』

 

 

リア「ッ!何をする気かは知らないが、阻止させてもらう……!」

 

 

―バキイィイイイイッ!!―

 

 

ディケイドA『邪魔はさせるかっ!!』

 

 

電子音声と共に、魔法陣を潜り抜けて蒼い異形の刀へと変化したウィザーソードガン……真雷斬刀を構える聖桜を見て、力任せに自身を捕縛する鎖を引きちぎり聖桜に再攻撃を仕掛けようとするリア。しかしそれを阻止しようとディケイドは再び桜神剣を双剣にしリアに向けて疾走して剣を振りかぶるが、リアもそれに対して咄嗟に左腕を振り上げ、足元の床を殴り付け一同の足場を粉砕してしまった。

 

 

―ドゴオォオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーオォンッッッッッッ!!!!!―

 

 

咲夜『クッ?!生身の拳で床を粉砕するとはっ!』

 

 

ディケイドA『馬鹿力がっ……!!』

 

 

たったのワンパンチで階層ひとつ分を崩壊させたリアの規格外なパワーに苦虫を潰したような顔を仮面越しに浮かべるディケイド。床を崩壊された際に発生した土埃が辺りを覆って敵の姿は捉えられず、ディケイドとリアはそのまま無数の瓦礫と共に破壊されたフロアのすぐ真下の階層へと落下してしまうが……

 

 

『ikazuchi!』

 

 

―バリイィッ!―

 

 

リア「!―ガギイイィィッ!!―ちぃ!」

 

 

リアが着地した直後に背後から電子音声が響き渡り、一筋の蒼い雷光が頭上から降り注ぐ無数の瓦礫をジグザグの動きでかわしながら信じられぬ速さでリアへと襲い掛かったのだ。それに反応したリアもすぐさまテフィラーで蒼い雷光の一撃を凌ぐが、蒼い雷光はリアのすぐ真後ろで人の形……聖桜の姿となり、レバーをスライドさせてバックルの手形を右手側へと切り替え、右手に嵌められた指輪をバックルにタッチさせた。

 

 

『cho-iine!』

 

『finisshu strike!saiko-!』

 

 

聖桜『ハアァッ―――!!!!』

 

 

―ザシュッザシュッザシュッザシュッザシュッザシュッザシュッッッ!!!!!ドバァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーアァンッッ!!!!―

 

 

リア「ァッ―――!やる、がまだぁッ!!!」

 

 

―ブザアァァッッ!!!!ドッガアァアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーアァンッッ!!!!!―

 

 

雷を纏い、雷鳴の如く速さで振り下ろされた真雷斬刀の連続攻撃がリアの身体に叩き込まれ、最後の一刀が振り下ろされた際に放たれた巨大な雷撃がリアの身体を焼き焦がす。正確に急所を狙い打ち込まれた斬撃。しかしリアも全身から流血しつつも絶命には至らず、目前の聖桜を薙ぎ払うように白光を纏ったテフィラーを勢いよく振るうが、聖桜は咄嗟に身を屈めてそれを回避し、避けられた白光はフロアの壁全てを木っ端微塵に吹き飛ばし一瞬で見晴らしの良い屋外に変えてしまった。その時……

 

 

『SOL!MAXIMUM DRIVE!』

 

『GLACIER!MAXIMUM DRIVE!』

 

 

リア「!!」

 

 

今度は頭上から二つの電子音声が鳴り響いた。リアが空を見上げると、其処には今の広範囲攻撃を跳躍で回避したディケイドが月を背に飛び降り、業火と吹雪を刀身に纏った桜神剣を両手に振り上げ、そして……

 

 

ディケイドA『オオォオオオオオオオオッッ!!!!』

 

 

―ブザアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアッッ!!!!―

 

 

リア「ガッ……!!グッ、ハァアッ!!!」

 

 

ディケイドが振り下ろした炎と氷を纏った双剣がリアの肩から下を斬り付ける。だがリアもすぐに立て直してテフィラーを両手に握り締めながらディケイドへと斬り掛かるが、ディケイドはバク転でそれを回避しながらその場から跳び退き、それを逃すまいとしてリアがテフィラーを振るい三つの光の斬撃波を放ち追撃する。しかし……

 

 

『rekkuu now!』

 

『byuu!byuu-byuu-byuu-byuu!』

 

 

―ビュオオォオォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーオォッッッ!!!!―

 

 

リア「!竜巻……?」

 

 

再び何処からか電子音声が響き、ディケイドに向けて撃ち出された三つの斬撃波が突如出現した緑の竜巻に阻まれ軌道を逸らされたのである。

 

 

全く有らぬ方角へと別々に飛んでいく三つの斬撃波を見てリアも僅かに驚くと、緑色の竜巻が徐々に収まりその中から緑色の戦士……黒み掛かった緑色の甲冑と魔法使いのようなローブに、ウィザード・ハリケーンドラゴンとカリスの仮面を足して二で割ったような仮面の戦士、風を司る属性のレックウスタイルへと姿を変えた聖桜が現れ、その手には深緑色の薙刀のような形状をした異形の武器……真疾風刀が握られていた。

 

 

リア「……今度は緑か……仮面ライダーというのは、コロコロと色彩を変えるのが他にも多く存在するようだが、実際に目の当たりにするとまるで虫かカメレオンのようだね。実に面白いよ」

 

 

聖桜『例えのチョイスはイマイチですが、褒め言葉として受け取っておきますっ』

 

 

『gouka now!』

 

『gou!gou!gou-gou-gou!』

 

 

不敵な笑みを向けるリアにそう返しつつ、聖桜は通常形態のゴウカスタイルへと戻りながら左腰のホルダーから新たに指輪を取り出し、右手の中指に装着してバックル横のレバーをスライドさせバックルへとタッチした。

 

 

『copy now!』

 

 

電子音と共に聖桜の足元とその隣に魔法陣が出現し、聖桜が魔法陣を潜り切ると同時になんと、聖桜の隣にもう一人の聖桜が現れたのである。そして聖桜ともう一人の聖桜が全く同じ動きでレバーをスライドさせてバックルにもう一度タッチすると、今度は二人の両脇に魔法陣が現れ新たに二人の聖桜を生み出していく。

 

 

『copy now!』

 

 

リア(分身?いや、ただ単に本物そっくりに作られた複製か……どちらにしろ、このまま放っておくと面倒になるのは間違いない……ならば……)

 

 

―バシュウゥッッッ!!!!!!―

 

 

アレが何か大技を繰り出すつもりの前準備なら、これ以上面倒になる前に早々に決着を付ける。そう考えに至ったリアがテフィラーを掲げると同時にリアの全身から膨大な神氣が溢れ出し、テフィラーはその神氣をも吸収して先の一撃目の時よりも更に力を高め、辺り一帯に巨大な火花を撒き散らしながら凄まじい輝きを放っていく。

 

 

咲夜『ッ……!!まずいぞ、零っ!!』

 

 

ディケイドA『分かっている……こっちも全力で迎え撃つぞッ!!』

 

 

『SOL!MAXIMUM DRIVE!』

 

『GLACIER!MAXIMUM DRIVE!』

 

 

あの災厄の光を再び放とうとするリアを目にしたディケイドも咄嗟にアマテラスの力を使用し、このフロアから下の階層を守る結界を廃ビル全体に形成する。そして桜神剣にセットされたソルメモリとグレイシアメモリのマキシマムドライブを再び発動し、更にライドブッカーからカードを取り出しディケイドライバーへと装填してスライドさせた。

 

 

『FINALATTACKRIDE:DE・DE・DE・DECADE!』

 

 

ディケイドA『はぁぁああああああああああああっっ…………!!!!』

 

 

電子音声と共にリアに向け展開されるディメンジョンフィールドの前で桜神剣を構え直しながら集中し、一意専心の構えを取るディケイド。そして……

 

 

リア「―――この世を切り裂き、地獄を織り成せ……テフィラアァッ!!!」

 

 

―シュウゥッ……ドバァアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーッッッッッッ!!!!!!!―

 

 

ディケイドA『デエェアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッッッ!!!!!!!』

 

 

―ブザアァッッッ!!!!ガギイイイイイイイイイイイイイイイィィィィィィィィィィィィィィィィーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッッッ!!!!!!!!―

 

 

まるで己の祈りを願掛けるように呟きリアが突き出すテフィラーから放たれたのは、一撃目の時よりも遥かに広範囲で威力が倍加されてる白光。それに対しディケイドも咄嗟に背中の羽根を大きく広げて飛び出し、ディメンジョンフィールドを一息で潜り抜けてリアが撃ち放った光に全力の剣を打ち込み激突していったのだった。

 

 

―ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドオォォォォッッッッッッ!!!!!!!!―

 

 

リア「――ふ……ハハハハハハハハハハハハッ!!!ほんっっとうに君達には驚かされるなぁ、零君ッ!!桜ノ神ッ!!テフィラーの光を真っ向堂々と受け止められた相手など、君達を入れても片手で数えるぐらいしかいないよッ!!人間の底力とやらはやはり興味深いッ!!こんなにも心が躍るのは私も久々だッ!!」

 

 

―ビシイィィッ……バキッ、バリィイイイイイイイイイイインッッッ!!!―

 

 

咲夜『ッ?!!零ッ!!!』

 

 

ディケイドA『グッ!!!ひ、人の心配するより先に残ってる力を全部こっちに回せッ!!!この姿でいられる時間も残り少ないんだッ!!!』

 

 

歓喜を露わにリアが徐々に白光の威力を高めていく度に、白光を受け止めるディケイドのボディの至る箇所が皹割れて破損し、規格外の熱量に耐え切れず白い煙を立てて溶解しつつある。それでもなおディケイドはどうにか踏み止まりながらアマテラスの全能力を総動員させてテフィラーの光を全力で凌ぎ、その背後では八人にまで分身した聖桜達が左手の指輪を取り替え、それぞれのベルトのレバーでバックルの手形を左手側にスライドさせタッチした。

 

 

『cho-iine!』

 

『kick strike!saiko-!』

 

 

『『『『ハァアァァァァァァァァァァッッ……!!!!!!』』』』

 

 

八人の聖桜達のドライバーから電子音声が同時に鳴り響き、聖桜達の足元に朱い魔法陣が出現する。そして聖桜達は揃って腰のローブを翻しながら、魔法陣から右足へと炎を纏い、一斉にロンダートし夜空へと跳び上がった。

 

 

リア「っ……!アレは?」

 

 

咲夜『ッ!!!今だ、零ッ!!!』

 

 

ディケイドA『ッッ!!!ハアァアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーッッッッッッ!!!!!!』

 

 

―ギュイィィィィッ!!―

 

 

聖桜達が一斉に夜空へ跳び上がる光景にリアの意識が一瞬逸れ、それにより白光の勢いが僅かに弱まった。その隙を逃さずディケイドも残った力の全て、そこに破壊の因子の力を加算させ一気に光を押し返しながらリアに目掛けて突っ込んだ。

 

 

リア「ッ!何だと……?!」

 

 

ディケイドA『ぅぅおおおおおあああああああああああああああーーーーーーーーーーっっっ!!!!』

 

 

そしてそれに気付いたリアはすぐさま白光に力を込めようとするが、それよりも速く光の中からボディ全体が溶解したディケイドが飛び出して双剣に切り替えた桜神剣を全力で振りかぶり、すれ違い様にリアの胸を十字に斬り裂いていった。

 

 

―ズシャアアアアアアッッ!!!―

 

 

リア(グッ……!!?クッ、この力、これが彼の因子の……?!!)

 

 

―パシュンッ!―

 

 

零「ぐうぅっ!!」

 

 

姫「クッ、魚見ッ!!!」

 

 

桜神剣で斬り裂かれたリアの胸から鮮血が舞い散り、彼女の動きが一瞬だけ目に見えて鈍る。大ダメージにより変身が強制解除されて零と共に受け身も取れずゴロゴロと転がりながらそれを確かめた姫が、咄嗟に身体を起こして夜空を見上げて叫ぶと、其処には八人の聖桜達が空中反転して跳び蹴りの態勢に入り、そして……

 

 

『『『『ハアァァァッッッ!!!!!!』』』』

 

 

―ゴウゥッッッ!!!!!―

 

 

リア「ッ!!!」

 

 

朱い炎を纏った右足を突き出し、夜空に朱い炎の線を描きながら一斉にリアに目掛けて全力の跳び蹴りを放つ聖桜達。それを目にしたリアもすぐさまテフィラーを構え直して迎撃に出ようとしたが、今まで零達に受けたダメージが此処に来てリアの動きを鈍らせ、そうして……

 

 

―ドゴオォオオオオッッッ!!!!―

 

 

リア「ぐぁっ……ぐっ……!!」

 

 

聖桜『――フィナーレです……リア』

 

 

―シュウゥ……チュドオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーオォンッッッ!!!!!!―

 

 

連続で打ち込まれた聖桜達のキックが見事に炸裂し、リアの身体に朱い魔法陣が浮かび上がる。そしてその背後に身を翻しながら華麗に着地した聖桜達が一人へ戻ってポツリとそう呟いた瞬間、リアは巨大な爆発を巻き起こしながらゆっくりとその場に膝を付き、地面に倒れ伏していったのだった。

 

 

姫「ッ!やった……?」

 

 

零「……っ……グッ……終わった……のか……?」

 

 

聖桜『…………』

 

 

爆発と共に倒れ伏したリアの姿を見て、傷だらけの零が身体を抑えながら上体を起こし呟く。そして聖桜もゆっくりと振り返りリアに目を向けると、倒れるリアの指が僅かにピクリと動き、そのまま傷だらけの上体を起こして三人の方へ振り返り座り込んだ。

 

 

リア「……ハァ……参った……まさか此処まで見事にやられるなんて……うん、これじゃあ負けを認めるしかなさそうかな……出せる切り札は出したんだし」

 

 

聖桜『……その割にはまだ余力を残していそうな様子ですが……貴女、本当に全力で戦っていた訳ではありませんね……?』

 

 

リア「心外だな……私は今出せるだけの全力を出したつもりだよ?それを君達が打ち負かした……実質二度も世界を救った事になるのだから、もっと胸を張って誇ってもいいと思うけど」

 

 

姫「……?まさか、本気で負けを認めるつもりなのか……?」

 

 

随分潔いが、そう言いつつも実は自分達を油断させるつもりなんじゃないかと、信じられないというように疑いの眼差しを向けて怪訝に問い掛ける姫だが、それに対してリアはヒラヒラと手を振りながら答えた。

 

 

リア「ウソなら今こうして君達と言葉なんて交わさず、有無も言わせぬままこの建物ごと君達を葬ってるさ。実際に私は大事な場面で油断して敗北し、そんな事が出来る身体じゃあない。それに私の力は君達よりも遥かに上だし、君達相手に小細工なんてそれこそ無意味じゃないか?」

 

 

姫「む……」

 

 

嘘や嫌味ではなく、事実を口にして笑い掛けるリア。だが姫は疑念を拭えぬまま訝しげに半目でリアを睨み続けると、零が震える膝に力を入れながら徐に身を起こした。

 

 

零「騙している、って事はなさそうだな……ま、戦う気がないのは本当のようだし、取りあえずは信じてみてもいいじゃないか……?こっちもこれ以上コイツと戦うのは御免だし……」

 

 

聖桜『……そうですね。私も信じてみてもいいと思います。彼女は嘘を口に出来るような人柄ではなさそうですから』

 

 

姫「むむっ……零と魚見も彼女を信じるのか……」

 

 

聖桜『……?何か問題でもあるのですか?』

 

 

姫「……いや、私も実際は君達と同意見なんだが……もう少し可愛げのある言い方をしてもいいだろうに……」

 

 

リア「ん……?ああ、何か癪に障る言い方したかい?すまないね。こう見えて口下手なものだから嘘は言えないし、本当の事を口にしようにもオブラートな言い方が出来なくて有りのままにしか伝えられないもので」

 

 

姫「だ、だからそれが余計だと言っているんじゃないかっ!」

 

 

零(……珍しい……コイツでも相性の悪い相手がいるんだな……)

 

 

まあ相手は長年戦ってきた宿敵の幻魔を統べる神なのだし、確かに相性が良いとは言えないかと。そう思いながら零は姫の意外な一面を見て内心驚きつつ、とにかく此処を離れて桜香達と合流すべきだろうと姫達に声を掛けようとした。その時……

 

 

 

 

 

―……ドバァアアアアアアッッッ!!!!!―

 

 

リア「――むッ?!!」

 

 

『?!なっ……?!』

 

 

突如、リアの身体から勢いよく極光が放出されたのである。その光の正体は莫大なまでの量の神氣であり、完全に油断し切ってた三人は突然のその出来事に驚愕を隠せず咄嗟に身構えた。

 

 

零「おいっ!いきなり何の真似だっ?!」

 

 

リア「ッ……!!ち、違う……これはっ……ァッ……!!」

 

 

凄まじい勢いで莫大な神氣を放出するリアに戸惑いのまま零が疑問を投げ掛けるが、何故か当の本人のリアまでもが自分の身体を抑えながら驚愕と動揺が入り混じった表情を浮かべている。そんな時だった……

 

 

 

 

 

―チュドオォオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーオォォンッッッッ!!!!!―

 

 

聖桜『ッ?!』

 

 

姫「な、何だっ?!」

 

 

 

 

 

零達の背後から不意に、けたたましい爆発音が響いた。その爆音に驚愕し零達が慌てて振り返ると、この廃ビルから遠く離れた場所に位置する山の一つが轟音と共に崩壊していき、その奥から……

 

 

 

 

 

『――ヒ、ヒヒヒヒヒヒッ……ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッッ!!!!』

 

 

 

 

 

……粉塵が舞う山の奥から薄気味悪い高笑いと共に姿を現したのは、380m程はある巨大な黄金の異形……いや、全身が黄金で作られ、背中の金の羽根に女面や男面、翁面など無数の面が張り付けられた人型の異形の姿をした上半身、四足の脚部で歩行する獣の異形の姿を形取った下半身を持つ黄金の像だったのである。

 

 

零「なっ……おいっ、何だあの金ぴかのデカブツはっ?!」

 

 

崩れ落ちた山の中から突如出現した巨大な黄金の像を目の当たりにし、零も目を見開いて驚愕してしまうが、姫はあの黄金の像を見て別の意味で驚愕していた。

 

 

姫「そんな……アレは……あの像は、まさか……黄金魔神像?!」

 

 

零「?!魔神像?おい、何か知ってるのか?!」

 

 

リア「ッ……数百年前……当時幻魔王だった信長が、全ての人間達に自分を祟拝させる為に完成させた洗脳装置だよ……柳生一族の者に破壊されたと聞いていたが……成る程……ギルデンステンめ、密かに改修してたのかっ……グッ!!」

 

 

―バシュウゥッ!!パタンッ……―

 

 

聖桜『ッ!リア?!』

 

 

まるで何かを悟ったようにリアが自嘲した瞬間、リアの身体から放出されていた神氣が弾け飛ぶように拡散して糸の切れた人形のように倒れてしまい、それを目にした零達は慌ててリアに駆け寄り彼女の身体を抱き起こすと……

 

 

聖桜『っ!身体が、軽い?しかも神氣が感じられない……これは……?』

 

 

リア「……どうやら、ギルデンステンは私が敗れた後の保険も用意してたようだ……私が君達に敗れれば、私から神権を吸収してあの黄金魔神像を動かす動力源にする……伊達に私の下に仕えていた訳ではないようだよ……流石は幻魔界一の天才だ……」

 

 

零「神権を吸収だと……?ならお前は……」

 

 

姫「既に神ではなくなっているっ……こんな事が……それに、こんな状態で神でなくなればっ……!」

 

 

今のリアの容体は、今までの戦いで受けたダメージにより不死の身体でなければ即死しても可笑しくないような重傷なのだ。それが神でなくなったとなれば耐え切れる筈もなく、このままではリアは間違いなく死ぬが、零達が呆然としているその間にも山の中から出現した黄金魔神像は何処かに向かって動き出し始めていた。その方角は……

 

 

聖桜『―――町の方角……あの像、桜ノ町に向かっているっ?!』

 

 

リア「……アレの本来の用途は洗脳、だからね……その為に先ず人間が多い場所を目指すのは当然だろうさ……急がないと、町の人間が全て……私の力で幻魔に祟拝するように洗脳させられてしまうよ……」

 

 

零「チッ……!咲夜、もう一度アマテラスだっ!」

 

 

姫「なっ、馬鹿を言うなっ!その傷でこれ以上戦えば君だって死ぬぞっ?!それにアマテラスになれる時間だってもう二分もっ……!」

 

 

零「他にも方法も迷ってる時間もないだろうっ!身体の傷と残り時間なら短期戦に持ち込んであのデカブツを壊せば問題はないしっ、あんなデカイ相手に対抗するにしてもアマテラスしかないっ!市杵宍、お前はソイツを頼むぞ……!」

 

 

聖桜『えっ……?まさかっ、貴方達だけで戦うつもりですかっ?!』

 

 

リア「……私を気に掛ける余裕があるのかい……?私にはもう神の力は残されていないし、助けてもアレをどうこうする力もない……その辺りの人間と変わりはないんだよ……?そんな奴を助けるなんて、人が良すぎやしないかい……?」

 

 

零「アレが動き出したのはお前が神権を奪われたせいでもあるだろうがっ!幻魔が起こした面倒なら、解決するまで勝手に死ぬなっ!咲夜っ!」

 

 

姫「~~~~っっ!!何処まで生き急げば気が済むんだ君はっ……アマテラスの残り時間が迫れば無理矢理にでも離脱するぞっ?!いいなっ!」

 

 

零「あぁっ、いくぞっ!」

 

 

『AMATERAS!DECADE!』

 

 

苦渋の決断で念を圧すように告げる姫に頷き返すと、零は腰に装着したバックルにカードをセットして姫と共にディケイド・アマテラスフォームへと再び変身し、背中の羽根を広げて黄金魔神像に目掛けて屋上から飛び出していったのだった。

 

 

リア「……さっきまで殺し合いをしてた相手に死ぬな、と言うか……本当にお人良しが過ぎる……」

 

 

聖桜『……そうですね……不本意ではありますが、私も貴女の意見には同意です……でも――』

 

 

呆れるようにそう言いながらも、聖桜は左腰のリングホルダーから新たな指輪を取り出して右手の中指へと装着し、ベルト横のレバーをスライドさせてバックルに右手をタッチした。

 

 

『healing now!』

 

 

ドライバーから電子音声が響くと、聖桜はリアの身体に右手の掌を翳す。すると、聖桜の右手から温かな光が放たれリアの身体を包み込んでいき、リアの全身の怪我が少しずつ癒え始めていた。

 

 

リア「ッ!……水ノ神……?」

 

 

聖桜『――きっと、それが彼という人間なんでしょう。不死の私を命懸けで助けようとするぐらいですから……そんな彼に大きな借りを作ってしまった以上、私も彼の意志を尊重するしかありません』

 

 

リア「……はぁ、君も面倒な男に付き従ってるという訳か……」

 

 

聖桜『えぇ……でも、不思議と悪い気がしないのは、何故なんでしょうね……』

 

 

クスッと、そう呟きながら仮面の下で苦笑いし、聖桜は桜ノ町を目指す黄金魔神像に向かってディケイドが飛び去っていった方へ振り向いていく。

 

 

聖桜(私もすぐに後を追います……それまでは絶対に死なないで下さい、二人共……)

 

 

 

 

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