仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT 作:風人Ⅱ
―宇宙―
『ギシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッッッ!!!!!!』
そしてその頃、月面から光を超える速さで飛び立ったフォーティンブラスは既に地球のすぐ傍にまで迫って来ていた。
既にディケイド達がいる月は遠く、最早フォーティンブラスの前に立ち塞がる障害は存在しない。
徐々にゆっくりと大気圏へと突入していき、此処を抜けた後は先ずはディケイドに受けた傷を癒す為に大量の人間達を食べ尽くそうと知性のない頭でそう考え、地球の引力に身を任せようとするフォーティンブラス。その時だった……
―……ギュイィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィイッ!!!!―
『……ッ?!!』
地球へと降下しようとするフォーティンブラスの前に、突如青白い巨大な光……ワープホールが出現したのであった。そして突如目の前に現れたソレを目にしたフォーティンブラスも驚きを浮かべ、思わず降下を中断し動きを止めた。次の瞬間……
―バシュウウゥゥッッッッ!!!!!!―
ディケイドT『うぅおおおおおおあああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッ!!!!!!』
『ッ?!!―ドゴオオオオォッッッッ!!!!!!―ギシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーッッッッ?!!!!!』
ワープホールの向こうから、猛スピードで巨大な物体……フォーティンブラスが月に置き去ってきたハズの黄金魔神像の下半身の像が勢いよく飛び出してきたのだった。そして、黄金魔神像の下半身の像……それを咆哮と共に全力で押し出すディケイドはそのままフォーティンブラスの腹に像をブチ当てて大気圏の外にまで押し出していき、完全に大気圏から離脱したと同時に剣形態のアメノハバキリを右手に握り締めた。
『SOL!MAXIMUM DRIVE!』
『GLACIER!MAXIMUM DRIVE!』
魚見『残り21秒っ……!!零っ!!』
ディケイドT『ハアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーッッッッッッ!!!!!!!!』
電子音声が鳴り響くと共にアメノハバキリから神氣の炎と氷で構成された光の刃が放出された。そしてディケイドはアメノハバキリを握り締めながら黄金魔神像の装甲の上を駆け抜けて像の突撃で怯むフォーティンブラスへと飛び掛かると、アメノハバキリを高らかに振り上げ、そして……
ディケイドT『ズエアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッ!!!!!!』
―ブザアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーッッッッッッ!!!!!!!!―
『ガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッ?!!!!!』
ディケイドが振りかざしたアメノハバキリの光の刃が、先程ディケイドの放った砲撃に撃ち貫かれたフォーティンブラスの額に深々と突き刺さっていったのだった。フォーティンブラスは傷を負った箇所を再び攻撃され断末魔にも似た叫びを上げながらもがき苦しみ、ディケイドはそんなフォーティンブラスの額からアメノハバキリを抜き取り背中へと回り込んで真上に跳躍した。そして……
ディケイドT『魚見イィッ!!!』
魚見『スサノヲ、全基フォーメーション・展開っ!!』
ディケイドの呼び掛けを合図に魚見が八基のスサノヲに念を送ると、六基のスサノヲが三基ずつディケイドとフォーティンブラスの間で三角形を作るように陣形を取り、残りの二基がディケイドの右足に装着されて神氣を纏い、ディケイドはスサノヲに向けて跳び蹴りの態勢を取り、そして……
ディケイドT『ハアァァァァァァッ……ゼエェアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーッッッッッッ!!!!!!!』
―ズガアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーアアァンッッッッッッ!!!!!!―
『グッ……?!!グゥオアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッッッ……!!!!!?』
六基のスサノヲ達が形作る二つの六角形の中心を潜り抜ける様に急降下したディケイドの右足……月光招来がフォーティンブラスの背中に炸裂し、ディケイドはそのままフォーティンブラスと黄金魔神像の下半身の像と共に大気圏内へと突入していくのであった。
―ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッッ……!!!!!!―
魚見『ぅっ……くっ……!!残り11秒っ……!!零っ!!!』
ディケイドT『ァ……グッ……落ちろぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッッッ!!!!!!』
『ウオオオオオオオッ……ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッッ!!!!!!!!!』
大気圏の熱が身を焦がし、ディケイドの全身からツクヨミの限界時間を知らせる光の粒子が立ち上り始める。だがそれでもなおディケイドはフォーティンブラスの背中を踏み付ける右足に全身全霊の力を込め続けると、フォーティンブラスの背中から全身へ徐々に巨大な亀裂が走っていき……
―カチッ……カチッ……ビガアアァッッッ!!!!―
ディケイドT&魚見『―――ッッッ!!!!』
フォーティンブラスの腹に激突したままの黄金魔神像に内蔵された爆弾がついに起爆し、黄金魔神像から放たれた光が一瞬でディケイドとフォーティンブラスを飲み込んでしまい、そして……
―バチバチッ……バチィッ……チュドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーオオォンッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!―
『オ、オオオオオオオオッ……オオオッ……グウゥオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッッッッッ?!!!!!!!』
巨大な青い火花が散った次の瞬間、ディケイドとフォーティンブラスを飲み込んだ光りが数百キロ先にまで及ぶ巨大な大爆発と化し、広く暗い宇宙にフォーティンブラスの断末魔の叫びが何処までも響き渡ったのであった……。
◇◆◇
―海上―
―ドッガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーアァァンッッッッ…………!!!!!!!!―
鬼王『――ッ?!あ、あれはっ……?!!』
龍王『爆発……?まさか……黒月っ?!!』
アシェン「ッ……零様……」
ルーノ『…………』
同時刻、黄金魔神像とディケイドが消えた海上の上でディケイド達の帰還を待ち待機してたルーノ達の頭上の空で爆発の光が広がり、一同はその光景を不安と心配が入り混じった様子で見上げていた。其処へ……
―バッバッバッバッバッバッバッバッ……!!!―
背後からヘリのプロペラ音が聞こえてきた。それを耳にした一同が振り返ると、其処にはノエルの大型ヘリが一同の下へ近付いて来る姿があり、一同の方に側面を向けると共にドアが開き中から二人の人物……身体の所々に包帯を巻いた姫となごみが顔を見せた。
アシェン「お嬢様っ!」
ルーノ『お二人とも、ご無事でしたか』
なごみ「えぇ、なんとか。それより……」
姫「二人はどうなったっ?!零はっ?!魚見はっ?!」
龍王『……それが……』
必死な様子で零と魚見の安否を問い詰めて来る姫に対し何も答えられず言い淀み、一同が無言のまま極光が広がる夜空を見上げると、姫はそれで彼女達が何を伝えているのか悟り絶句してしまう。
姫「ま、まさか……そんな……っ……!」
―ガクッ!―
なごみ「姫さん!」
倒れそうになる姫の身体をなごみが咄嗟に横から支えゆっくりと座らせるが、姫の顔色は真っ青に染まってしまっている。そんな姫に掛ける言葉も見付からず、一同の間にも重たい空気が流れ始める。そんな時だった……
「――なんだいなんだい、このしんみりとした空気は?まるでお通夜みたいじゃないか?」
『……ッ?!』
重たい空気が支配するその場に何処からか飄々とした声が響き、その声に釣られ一同が声がした方へと振り返ると、其処には何もない空間を悠然と歩いてこちらに近付いて来る人物……廃ビルで何処かに消えた筈の真姫の姿があった。
なごみ「貴方は……」
姫「……上役……何のご用ですか……」
真姫「おいおい、随分つれない挨拶だなぁ。保身派の上役達に報告する事の経緯をしっかりと見届けたから、一応声を掛けておこうと思ったんだけど」
鬼王『……こっちはアンタに構ってる隙なんてないのよ……全部しっかり見届けたって言うんなら、とっとと神界にでも戻ればいいでしょ……』
真姫「無論そのつもりだよ。まあけど、神界に連れていくのは"彼女"一人だけで十分なんでね。"彼"は返しておくよ」
『…………え?』
何やら意味深な言い回しをする真姫の言葉に、姫達が頭上に疑問符を並べて振り返ると、真姫はパキィッ!と指を軽く鳴らして自分の目の前に二つの光球と何処からか出現させた。それは……
零「……ぅっ……ぁ……」
魚見「ぅ……っ……」
鬼王『ッ?!零ッ!!』
ノエル「ぁ……ウオッ!!」
そう、真姫が出現させた光球の中には、フォーティンブラスと共に黄金魔神像の爆発に呑まれて消滅したと思われていたボロボロの姿の零と魚見の姿があったのだった。そんな二人の姿を目にした一同は顔色を明るくさせて歓喜し、姫もまた一瞬唖然とした後に我へと返り、動揺を露わに真姫に問い掛けた。
姫「ど、どういう事ですか?!何故上役が二人を?!」
真姫「ん?べっつにぃー?ただあの黄金魔神像に内蔵されてた爆弾は、どうやら君(桜ノ神)対策に作られた神をも殺せる品物だったらしいからね。あのままじゃ今回の事件の重要参考人の一人である水ノ神が爆発に飲み込まれて消えられてただろうし、そうなったら私が困るから助けただけだよ。ホイ」
適当な調子でそう答え真姫が人差し指をヘリに向けると、光球に包まれる零の身体が勢いよくヘリに突っ込み、姫は慌てて零の身体を受け止めるもそのまま零と共に倒れ込んでしまった。
零「ゴフッ……」
姫「いっつぅっ……!な、何を考えてるんですか上役っ?!彼は怪我人ですよっ?!」
真姫「命を助けてあげたんだからそれで十分でしょ?まあ、助けたのは彼の無茶のせいで危うく大事な証人の水ノ神も消されるところだったから、ついでみたいな感じだけどね」
咎めるような目を向ける姫に軽い調子でそう答えると、真姫はもう一つの光球に包まれる魚見を一瞥し、姫に再び目を向けた。
真姫「さて……事件も漸く解決したようだし、彼女の身柄は私が預かるよ。神界の頑固者爺共が早く彼女を連行してこいって煩いし、戻って一休みしたらすぐに審議会だってさ」
姫「っ……!だ、だったら、私も……!」
真姫「君は連れていけないよ。前回の事件の責任を負わされて、神界への立ち入りを禁じられてるだろ?」
姫「ッ……しかしっ……」
それでもやはり魚見が心配なのか不安げな表情を浮かべる姫。するとそんな彼女の反応を見て、真姫はやれやれと首を振って目を伏せながらこう答えた。
真姫「彼女については、私の方から色々とフォローを入れておくから心配しなさんなよ。それに……」
片目だけ目を開くと、真姫はヘリの中でなごみに壁に背中を預ける形で座らせられている、全身血まみれで前髪で顔が見えない零を見据えた。
真姫「……これでも腐っても神様だからね。部外者の通りすがりのクセに、此処までこの世界の為に身を張った人間の努力を無下するような真似はしないさね」
姫「……上役……」
真姫「んじゃ、君達はこのまま帰って休むといい。私も彼女を神界に送り届けてから事後処理に勤しむよ、君ももうそんな力は残っていないようだしね。じゃ、またね」
片手を上げて軽くそう言うと、誰かが呼び止める間もなく真姫は魚見と共に光となって何処かへと消えてしまった。そして一同がそれを見届けた直後に、ヘリの操縦をオートに切り替えて来たノエルが慌ててその場に駆け付け、真姫と魚見の姿がない事に気付き姫に詰め寄った。
ノエル「ね、ねぇ!ウオは?!さっきまで此処に……!」
姫「……私の上役が神界に連れていったよ……今回の事件について、他の上役達を交えて審議会を開くそうだ」
ノエル「ッ!そんなっ……私、まだちゃんと、ウオにお礼すら言えてないのにっ……」
なごみ「…………」
姫から魚見が連行された事について聞かされ、ショックを隠せない様子で壁にもたれ掛かるノエル。恐らく、彼女も魚見がどんな立場にあるのかを知っていたのだろう。神界に連れていかれればどんな目に遭わせられるか、それを知っているからこそ不安げに顔を俯かせるノエルに、姫が声を掛けようとして……
「―――心配は入らんだろ……」
『ッ!』
横合いからボソリと力無い声が聞こえ、姫達がそちらに目を向けると、零が片目を伏せて肩を僅かに上下に動かしながら姫とノエルを見上げる姿があった。
姫「零……!気が付いたのか?!」
零「……あの女、中身はふざけた奴だったが、本人も言ってた通り腐っても神の端くれなんだろ……さっきの言葉が嘘じゃないなら、今はそれを信じるしかないだろうよ……」
ノエル「…………」
零がそう言って真姫と魚見が消えたヘリの外を横目で見ると、ノエルもまた零の視線を追い外の風景を見る。すると、ルーノ達が続々とドアを通ってヘリの中に着地していき、他の三人が変身を解除する中、アシェンは自身のセンサーで零の身体をスキャンし僅かに眉をしかめた。
アシェン「……左腕左足が骨折してる上に出血多量、その他諸々の重傷……普通の人間ならショック症状で死んでる状態ですよ、零様」
零「別に今に始まった話じゃなかろうよ、もう慣れた……」
姫「『もう慣れた』、じゃないだろっ!明らかに私と彼女と別れた時より怪我が増えてるじゃないかっ!」
―バシイィッ!!―
零「イィッッッ……?!!お、お前っ、怪我してる所を叩くとか阿呆かっ?!!慣れてると言っても痛いもんは痛いんだぞっ?!!」
姫「知るか馬鹿っ!」
姫に殴られた部分を抑えて涙目になりながら文句を口にする零と姫の言い争いは続く。そんな二人の様子を周りが呆れたり苦笑したりする中、同じくその様子を暫く眺めてたノエルは薄く溜め息を吐いた後、一同に背を向けて口を開いた。
ノエル「……取りあえず、アンタも他の連中も治療が必要みたいだし、町に戻るとしましょう……私も早く折夏を安静に出来る場所で寝かせたいし」
姫「……それは助かるが、いいのか?魚見のこと……」
ノエル「ええ……ソイツの言う通り、今の私には信じることしかできないし……今は信じて待つわ……折夏と一緒にね」
姫「……そうか。彼女も、良い仲間達に巡り会ったんだな……」
まるで自分の事のように嬉しそうに微笑み掛ける姫の言葉を背に、ノエルはふん……と何処となく照れ隠しのように鼻を軽く鳴らして金髪の髪を手で払いながらコックピットに戻っていき、零もその背中を見届けた後、黄金魔神像の大爆発の光が収まった夜空を見上げながら思考に浸る。
零(――だそうだぞ……此処にはまだ、お前を待っていてくれてる連中がいる……だからもう、馬鹿な……かんがえ……は…………)
身体が重い。今まで必死に持ち堪えていた意識がそこで遂に限界を迎え途切れてしまい、開いていた片目をゆっくりと閉じ、零は誰にも気付かれず完全に意識を手放したのであった……。