仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT 作:風人Ⅱ
―機動六課・訓練スペース―
イクサFとディソードの戦いが人知れず始まった頃、機動六課に訪れている零とアズサはなのは(別)の案内で訓練スペースへとやって来ていた。訓練スペースに到着して直ぐに二人の目と耳に入ったのは、市街地にセッティングされたフィールドと、鉄と鉄が激突するように何度も響く金属音。零とアズサがその金属音の発信源を探し辺りを見渡していると、なのは(別)が口を開き説明を始めた。
なのは(別)「此処が私達の教え子、FWの皆の訓練を受ける時とかに使う特殊訓練施設、一応私監修の陸戦用空間シュミレーターだよ。さっき話した通り、今はレオン分隊の隊長達とFWが模擬戦をしてるところなんだけどね。ほら、彼処」
そう言ってなのは(別)が市街地のある場所を指差すと、零とアズサはそれを追うようになのは(別)が指を差す方向に目を向けた。其処には……
―ガギィンッ!!ガギィンッ!!ガァンッ!!―
「ダアァァァァッ!!!」
スバル(別)「おおおおおおおおッ!!!」
「フッ!フンッ!」
其処には、刀身が青く光り輝くガンブレードを振りかざして斬り掛かる少年と、リボルバーナックルを振りかぶって殴り掛かるスバル(別)の攻撃を悠然と佇んだまま赤子の手を払うようにそれぞれの武器を両手で受け流し、すかさず鋭い拳を振り抜き、反撃する隙を与えず少年とスバル(別)を追い込んでいく黒髪の青年の姿があった。其処へ……
―ババババババババッ!!―
「ッ!」
スバル(別)と少年の後方のビルから、数発のオレンジ色の魔力弾が黒髪の青年に目掛けて放たれた。魔力光の色からするに、ティアナによる遠距離からの狙撃なのだろう。正確に青年の頭を捉えて奔るオレンジ色の銃弾。だが、天空から飛来するそれに咄嗟に反応した黒髪の青年は上段回し蹴りだけで魔力弾を全て叩き落とし、狙撃に気を取られる隙を狙って両脇から襲い掛かったであろうスバル(別)と少年の拳と剣を両手で受け止め、反撃していた。
零「(あの男、雷じゃないな……)……アイツが、レオン分隊の隊長なのか?」
なのは(別)「え?あ、ううん。あの人はレオン分隊の副隊長の、理央さんだよ。ちょっと前に色々あって、私達に協力してくれてるの。隊長は――」
―ガギイイイイイイイイイイイイイイィィィィィンッ!!!―
なのは(別)が何かを説明しようとしたその時、それを遮るようにフィールドからけたたましい金属音が鳴り響いた。驚いた三人が思わずそちらに視線を向けると……
エリオ(別)「くっ、ぐううううっ……!」
雷「…………」
其処には、青年達とは別の場所で槍と槍を鍔ぜり合うこの世界のエリオと、零達が探していた目的の人物である龍藤 雷の姿があった。二人の態勢はエリオ(別)が雷の頭上からストラーダを振り下ろし、雷がそれを両手に持つ槍で受け止める姿勢のまま互いに動かない。其処へ……
キャロ(別)「フリード!!」
雷「ッ!」
雷の背後から、キャロ(別)の叫びと共にフリード(別)の放った火炎が放たれる。それを見たエリオ(別)は雷から咄嗟に離れ、雷も直ぐさまその場から飛んで火炎を避けるが、地面に着地したと同時に何処からか無数の銃弾が飛来し、雷に容赦なく襲い掛かった。
雷(ッ!この攻撃、レオナか!)
空から止め処なく降り注ぐこの射撃が誰による攻撃かすぐに気付きながら、雷は素早く槍を振り回して銃弾を弾き返していく。その内の一発の弾がエリオ(別)の背中に当たってしまうが、エリオ(別)には何の外傷もなく、全身が淡く発光している。ただそれだけで至って何も変化がないように見えるが、若干疲れが浮かんでいたエリオ(別)の顔に力強さが戻り、そのまま勢いよく地を蹴って雷にストラーダを突き出していった。
エリオ(別)「セェイッッ!!」
雷「チッ!(レオナの奴、俺に牽制しながらエリオに回復弾を使ったかっ。このまま長引かせると、こっちがマズイかもなっ)」
エリオ(別)の放つストラーダの素早い突きを避け続けながらそう判断し、背後に跳んで距離を離そうとする。しかしエリオ(別)もそれを許すまいとストラーダのブースターを起動して雷に突撃し、更にエリオ(別)の背後から先程と同じように援護射撃が放たれ、雷へと向かっていった。その訓練を眺めていた零は……
零(ふむ……雷がいるって事は、この世界の管理局は雷と敵対してる訳じゃないみたいだな。なら……)
雷が管理局と敵対してないと分かった以上、後は雷に会って話しをしてみるか。そう考えると、零は隣で雷たちの訓練を見守っているなのは(別)に話し掛けた。
零「なのは隊長。いきなりで悪いんだが、俺達も犯罪者役であの訓練に途中参加していいか?」
なのは(別)「え?犯罪者役って……」
零「挨拶も兼ねて、俺達の隊長殿の実力を知りたいんだよ。それに実戦においてのイレギュラーの登場なんて、戦いに良くある事だ。新人達の良い経験になるかもしれないし、絶対無茶したりはしない。駄目か?」
なのは(別)「…………」
零の突然の提案に戸惑いながらも、否定はせず考える仕草を見せるなのは(別)。そして……
なのは(別)「――そうだね。私も、あの子達が突然のアクシデントに上手く対処出来るか、ちょっと気になるかな……うん、いいよ。でも、あまり無茶なことはしないようにね?」
零「はいよ、なのは隊長」
訓練への途中参加の許可をなのは(別)から得て、なのは(別)に片手を振りながら雷達の下へと向かうべく、アズサと共にその場を後にする零。その道中、アズサは不思議そうに首を傾げて零を見上げた。
アズサ「零、何するの……?」
零「なに、ちょっと雷の奴を驚かせようってだけだ。それにアイツ等に教導されて、この世界のスバル達がどれだけ強くなってるのかも個人的に気になるしな。それだけだよ」
アズサ「……それにしては、ちょっと楽しそうに見える……」
気のせいだ、と。アズサの疑問に右手首を摩りながら笑ってそう答える零だが、アズサの言う通り零のその顔は悪戯を思い付いた子供のような顔に見えるため、あながち違うとも言い切れない。そして、今も雷達が訓練する市街地へと向かいながら、零が自分とアズサはどっちに乱入するべきかと考えていると……
―ビィー!!ビィー!!―
『クラナガン第8エリアにインフェルニティ出現!!数は九!現在民間人が襲われており、その内正体不明の戦士三人がインフェルニティと応戦しています!!』
『ッ?!』
突然訓練スペース内に響き渡る警報。それを聞いた零とアズサは驚愕し、思わず訓練スペースの頭上を見上げた。
アズサ「アラーム……?それにインフェルニティって、確か雷牙の世界の怪人の……」
零「こんな時に出てくるとはな、何処の世界でも怪人が空気を読めないのは一緒か……というか、正体不明の戦士に民間人?」
アズサ「……もしかしたら、優矢達が先にインフェルニティと戦ってるのかも」
零「ああ……有り得るな。仕方ない、これじゃあ訓練どころじゃないだろうし、先にインフェルニティから潰すか。行くぞ、アズサ」
アズサ「んっ」
先ずは優矢達を助けにインフェルニティの下に向かうかと、零とアズサは訓練スペースを後にしてインフェルニティが現れたエリアに向かうのであった。
◇◆◇
―クラナガン―
零とアズサが警報を聞いてから数十分後。インフェルニティが現れたという第8エリアでは、インフェルニティ出現の騒ぎを聞き付けて合流したなのは、優矢、ヴィヴィオが変身したトランス、クウガ、ナンバーズがゴキブリ型のローチインフェルニティ達と戦う姿があった。
―バキイィッッ!!―
『ゴバァッ?!』
ナンバーズ『ひやぁぁぁぁぁぁぁぁ?!ゴ、ゴキブリ殴っちゃったぁっ?!もうやだコイツ等ぁっ!』
トランス『うぅっ!ヴィ、ヴィヴィオ!その名前言わないで!せっかく意識しないように戦ってたのにっ!』
クウガ『ダァッ!ふ、二人とも!接近戦が駄目なら離れて戦ってくれていいから!ちゃんと戦ってくれ!』
ティアナ「……まあ、アレを意識しないで戦えなんてのは確かに無理な話よねっ……」
スバル「み、皆さーん!頑張って下さーいっ!」
ローチインフェルニティのモチーフがゴキブリの為か、拳や足で攻撃するだけで気持ち悪さのあまり身体を震わせるトランスとナンバーズ。そんな二人に背後の物陰に隠れながらエールを送るFWに見守れながら、クウガもローチインフェルニティを数体殴り飛ばしていく。その時……
―……バッ!!―
『ヌゥオオオッ!!』
クウガ『ッ?!―ガギィンッ!!―ウアァッ!』
エリオ「ッ?!優矢さんっ!」
トランス『優矢君?!』
ローチインフェルニティと戦っていたクウガに、真横から飛び出した何かがいきなり襲い掛かって攻撃してきたのである。突然の奇襲にクウガも吹っ飛ばされ、それを見たトランスとナンバーズは慌ててクウガへと駆け寄ると、クウガに襲い掛かった何かの正体を確かめるべく視線を向けた。其処には……
『――全く。雷牙をおびき出そうとして、何やら可笑しな連中が釣れてしまったな……』
ナンバーズ『な、何アレ……?』
キャロ「三つの犬の頭……もしかして、ケルベロス?」
ローチインフェルニティ達の先頭に立ち、ひとりだけ明らかに他とは違う異質な威圧感を放つ黒い異形。両肩に黒い犬の頭部を持つケルベロス型のインフェルニティ……ケルベロスインフェルニティの出現に身構えるトランス達だが、ケルベロスインフェルニティはそんな三人を見て鼻を軽く鳴らした。
『何者かは知らんが、貴様等がいては雷牙討伐の邪魔になる……消えろッ!』
―シュンッ!―
トランス『ッ?!消え―ガギィンッ!―キャアァッ!』
―ガギィンッ!ガギィンッ!―
ナンバーズ『ウアァッ?!』
クウガ『グアァッ?!』
トランス達の視界からケルベロスインフェルニティの姿が消えたと同時に、ケルベロスインフェルニティは素早く動き出してトランス達の懐に一瞬で潜り込み、両手の爪で斬り付けて再び素早く動き出す。大輝と同じヒット&アウェイの戦法に翻弄されトランス達はケルベロスインフェルニティの動きを追い切れず、三人はそのまま壁際にまで吹っ飛ばされてしまった。
エリオ「み、皆さんっ!」
ティアナ「アイツ、速いっ……!」
『フッ、大したことのない連中だ。貴様等の始末は、コイツ等で十分だろう……行けっ!』
『シャアアアアアアッ!!』
トランス『クッ!』
倒れるトランス達を始末すべく、ローチインフェルニティ達を一斉にけしかけるケルベロスインフェルニティ。それを見たトランスは咄嗟に身体を起こしながら左腰のライドブッカーからカードを一枚取り出し、迫り来るローチインフェルニティ達を迎え撃とうとした。その時……
―ブオォォォォォォォォォォォォォォオンッ!!―
『ッ?!―ドゴオォッ!!―ボアァッ?!』
『ッ!』
道路の奥から一台のマシン……マシンディケイダーに乗った零とアズサが走って現れ、トランス達に襲い掛かろうとした先頭のローチインフェルニティ達を轢き飛ばしていった。
スバル「れ、零さん!アズサ!」
零「無事か、お前等?なんだか随分危なそうだったが」
トランス『う、うん、なんとかっ……』
クウガ『っ……き、気をつけろ二人とも!その黒い奴、かなり強いっ!』
現場に駆け付けた零達を見てトランス達が一安心する中、ケルベロスインフェルニティを指差して零たちに警告するクウガ。それを聞いた零とアズサもヘルメットを外しながらディケイダーから下りると、ケルベロスインフェルニティを見据えながら腰にドライバーを巻いていく。
零「確かに、一見他のとは違う感じはするな……まあ今まで戦ってきた規格外な連中に比べれば、まだマシな類だろう」
アズサ「ん……フォーティンブラスやデモンゾーアの強さを考えたら、まだカワイイ方……」
『ッ!なんだとっ?貴様等、俺を舐めてるのか?!』
零「生憎だが、お前みたいな犬っころ舐めたら病原菌が移るかもしれんから願い下げだ。変身ッ!」
アズサ「変身……」
『KAMENRIDE:DECADE!』
『CHANGE UP!ANGELG!』
激昂して叫ぶケルベロスインフェルニティにそう言いながらそれぞれ変身動作を行い、二人はディケイドとアンジェルグに変身した。そしてアンジェルグは右腕から排出したミラージュソードをEモードに展開して構え、ディケイドはライドブッカーをソードモードに切り替えて刃を撫でると、ローチインフェルニティ達に斬り掛かり、トランス達も態勢を立て直してローチインフェルニティ達に突っ込んでいった。
クウガ『ハアァッ!ダリャアァッ!ほらヴィヴィオ!後ろでビクビクしてないで戦えって!』
ナンバーズ『うぅぅっ……え、ええい!女は度胸っ!ゴキがなんだぁーーっ!!』
肉弾戦で先陣を切るクウガの呼び掛けで覚悟を決め、半ばがむしゃらに迫り来るローチインフェルニティ達を回し蹴りで吹っ飛ばしていくナンバーズ。その二人の隣では、アンジェルグとトランスがミラージュソードとライドブッカーソードモードを振りかざしてすれ違い様にローチ達を斬り捨てていき、トランスは更にライドブッカーからカードを一枚取り出してトランスドライバーに投げ入れスライドさせた。
『ATTACKRIDE:ACCEL SHOOTER!』
トランス『シューートッッ!!』
―ズガガガガガガガガガガガガガガンッ!!!―
『ギボァァッ!!』
電子音声と共にGモードに切り替えたライドブッカーの銃口をローチ達に向けて引き金を引くと、トランスの周りに生成された複数のアクセルシューターがローチ達を貫き爆発させていった。そしてアンジェルグも背中の翼を広げて上空へと飛び上がり、右腕から槍状のエネルギーを乱れ撃ちしながら急降下し、ローチ達を斬り飛ばしていく。
ディケイド『ハアァッ!!』
―ガギイィィィンッ!!―
『ヌオォォッ?!』
そしてクウガ達から少し離れた場所では、ディケイドがライドブッカーSモードを振るってケルベロスインフェルニティの足を掬い、咄嗟に立ち上がろうとしたケルベロスインフェルニティを前蹴りで蹴り飛ばすと、ケルベロスインフェルニティが身を起こしてすぐ素早く動き出してディケイドに襲い掛かり、超スピードの突進を数発喰らって吹っ飛ばされてしまう。
ディケイド『ッ!すばしっこい奴だな……ならコイツでどうだ?』
そう言いながら態勢を立て直したディケイドはライドブッカーを左腰に戻して一枚のカードを取り出し、バックルへと装填しスライドさせていった。
『FORMRIDE:AGITO!FLAME!』
電子音声と共にディケイドに波紋が広がり、フレイムセイバーを右手に構えたDアギト・フレイムフォームへとフォームライドすると、Dアギトはフレイムセイバーを両手で握りゆっくりと居合の構えを取った。
『(姿が変わった?なにをする気かは知らんが無駄な足掻きだ、死ねェッ!)』
Dアギトに変身したディケイドに内心少し驚きながらも、ケルベロスインフェルニティは構わずDアギトの周囲を素早く動き回ってDアギトの背後に回り込み、そのままDアギトへと背後から突っ込み爪を振りかざして引き裂こうとした、が……
Dアギト『――其処かッッ!!』
―ガギィッッ!!―
『ッ?!なっ―ズバァァァァァァァンッ!!―あぐあああああッ?!』
フレイムフォームの特性により鋭敏化した感覚を研ぎ澄ますことで、ケルベロスインフェルニティの接近にいち早く反応したDアギトは振り向き様にフレイムセイバーで振り下ろされた爪を下段から弾き、そのまま上段に振り上げたフレイムセイバーを勢いよく振り下ろしケルベロスインフェルニティを斬り裂いて後退りさせた。そしてDアギトはフレイムセイバーの刃を撫でてディケイドに戻ると、ライドブッカーからファイナルアタックライドのカードを取り出した。
『グウゥッ!ば、馬鹿なっ……貴様ぁ、一体何者だ?!』
ディケイド『ただの通りすがりの仮面ライダーだ、憶えておけ』
『FINALATTACKRIDE:DE・DE・DE・DECADE!』
そう言いながらバックルにカードを装填してスライドさせると、ディケイドの目の前にディメンジョンフィールドが展開されていく。ケルベロスインフェルニティもそれを見て危険を察知したのか、残ったローチ達を自身の前に呼び集めて盾にしようとするが、ディケイドは構わずライドブッカーSモードを両手に握り締めてディメンジョンフィールドを一気に駆け抜け、そして……
ディケイド『ハアァァァァァァァァァァァァッ!!!ハアァァッッ!!!』
―ガギイイイイイイイィンッ!!!―
『ギシャアァァァァァァッ?!』
―チュドオォォォォォォォォォオンッッ!!!―
『グ、アァッ?!』
ディメンジョンフィールドを潜り抜けたディケイドのディメンジョンスラッシュがローチたちを纏めて一刀両断し、ローチたちは一斉に爆発を巻き起こし跡形もなく散っていた。その爆発の余波に巻き込まれてケルベロスインフェルニティも吹っ飛ばされ、地面を何度も転がってふらつきながら身体を起こしていく。
『ヌウゥッ……!これでは雷牙討伐は無理かっ……!』
部下であるローチ達を全滅させられては、雷牙の討伐以前にライダー五人を一人で相手するのは流石に分が悪すぎる。此処は一度撤退すべきだろうと、ケルベロスインフェルニティは忌ま忌ましげにディケイド達を一瞥して撤退していき、それを確認したディケイドも両手を叩くように払いトランス達と合流した。
クウガ『やったな零!』
ディケイド『一先ずはな。ま、一匹逃がしてしまったが……』
トランス『だね。でもまあ、部下の怪人達を倒された訳だから、向こうもすぐには動けないんじゃないかな?』
ディケイド『……だと良いんだが』
肩を竦めながら息を吐いてそう言うと、取りあえず今は六課に戻ろうとバックルに手を掛けるディケイド。が、その時……
『――待て、ディケイド!』
『……!』
突然誰かに呼び止められる声が聞こえ、一同はそれが聞こえてきた方向へと振り返った。其処には、こちらを見つめる一人のライダーと一人の青年……雷が変身する雷牙と、先程訓練所でFWを教導していたレオン分隊の副隊長である理央の姿があった。
スバル「!あれって、雷牙?」
ディケイド『なんだ、やっと来たのか?遅かったな、インフェルニティならもう俺達が片付けたぞ』
やっと駆け付けた雷牙達を見て、アンジェルグの肩を叩きながら前に出るディケイド。しかし、雷牙は何故か一言も言葉を返そうとはせず、左腰のカードケースからゆっくりとカードを取り出し……
『ATTACKSPELL:RAIGA CLAW!』
雷牙『おおおおおおおッッ!!!』
ディケイド『?!―ガギィィィィンッ!!―グアァッ?!』
『なっ?!』
ナンバーズ『パパッ?!』
雷牙はライガドライバーにカードをセットして現れたライガクローを両腕に装備しながらディケイドに突撃し、いきなりライガクローで斬り掛かってきたのだ。そんな雷牙の突然の行動にトランス達も驚愕を隠せず固まってしまうが、その間にも雷牙はライガクローを振りかぶって吹っ飛ばされたディケイドへと斬り掛かっていき、ディケイドはライガクローの片方を脇で挟んで押さえ込みながら雷牙に呼び掛けた。
ディケイド『グッ?!おい待てッ!いきなり何の真似だ、雷ッ?!』
雷牙『気安く名を呼ぶな!貴様のことは預言者とやらから聞いてるぞ、悪魔が!』
ディケイド『なっ……』
訳を聞き出そうとして雷牙の口から返ってきたのは、今までの世界で何度も浴びせられてきた暴言の言葉。雷牙にそう言われ仮面の奥で絶句してしまうディケイドだが、雷牙は構わずディケイドの腕を無理矢理振り払いライガクローで何度も斬撃を浴びせていき、その光景を呆然と見ていたトランス達も漸く正気に戻って困惑した。
ティアナ「ど、どういう事?!何で雷さんが零さんを?!」
クウガ『わ、分かんねえけど、とにかく止めないとマズイだろっ?!』
理央「――そうはさせん」
とにかく雷牙を止めようと走り出したトランス達だが、それを阻むように雷牙と一緒に現れた理央が一同の前に立ち塞がった。
トランス『邪魔しないで下さい!私達は貴方達と戦いに来た訳じゃないんです!』
理央「それは無理な相談だ。あのディケイドとやらがこの世界を破壊する存在と言うなら、このまま生かしておく筋など、それこそ俺達にはないのだからな……臨獣ライオン拳、臨技・臨気凱装」
自分達が敵ではないことを必死に呼び掛けるトランス達にそう言い放ち、理央は一歩前に踏み出した。それと共に理央の身体から金色のオーラが放出し、直後、理央の全身を獅子を模した黒い外装が次々と纏い、全く別の姿へと変わっていった。
黒獅子リオ『猛きこと、獅子の如く。強きこと、また獅子の如く。世界を守る者…我が名は黒獅子、リオ』
エリオ「あ、あれはっ?!」
ナンバーズ『ラ、ライダーじゃない?それに、何この感覚……普通じゃないっ』
アンジェルグ(黒獅子リオ?……ッ!まさか、臨獣拳アクガタの?)
獅子を模した黒い外装を身に纏った『黒獅子リオ』の姿に一同が戸惑う中、アンジェルグは何か心当たりがあるように黒獅子リオの姿を見つめていくが、黒獅子リオは構わずトランス達に向かって飛び掛かっていった。そして、近くの物陰では……
鳴滝「――ディケイドよ。今度こそ、この世界が貴様の墓場となる……フフフッ……」
雷牙の攻撃の前に追い詰められていくディケイドの姿を物陰から見つめ、不気味に笑う鳴滝の姿が其処にあったのだった。