仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT 作:風人Ⅱ
―クラナガン・廃棄工場―
―ガシャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!!!―
ディケイド『ぐぅッ?!』
市街地でなのは達と理央達が邂逅する中、市街地から少し離れた場所に位置する廃棄工場ではディケイドが雷牙が振るうライガクローに斬り裂かれ、ドラム缶の山を倒しながら吹っ飛ばされてしまっていた。しかしディケイドはすぐに態勢を立て直して物影に身を潜め、困惑を隠せないまま雷牙に向けて叫んだ。
ディケイド『クソッ……!いい加減にしろ雷ッ!お前まで鳴滝の口車に乗せられたのかッ?!』
雷牙『気安く名を呼ぶなと言ったハズだっ!あの男の忠告だけじゃないっ!お前が世界を破壊する存在だという事は、こちらでも既に証拠を掴んでいるっ!大人しく投降しろっ!』
―ズバアアァァッ!!―
ディケイド『チッ?!』
投降を呼び掛けながらディケイドが身を潜める物影に目掛け両腕のライガクローを振るい、金色の斬撃波を放つ雷牙。それを感知したディケイドが咄嗟に地面を転がってその場から離れたと共に、ディケイドが隠れていた物影が金色の斬撃波に斬り裂かれて粉々に爆発してしまい、その威力から雷牙が本気であると悟ったディケイドは別の場所に身を潜めながら仮面の下で唇を噛み締めた。
ディケイド(何でだっ……何故雷が俺をっ……まさか、アイツは俺を見限ったのか……?俺が、破壊者だから……?)
雷が何故友人であるハズの自分にその牙を向けるのか。彼が今まで一緒に何度も戦って来た自分を突然敵と見做したのも、やはり自分が世界の破壊者だからなのか?それに対しショックを隠せず内心激しく動揺するディケイドだが、その間にも雷牙が気配を頼りにディケイドが隠れる場所へライガクローを構えながら歩み寄っていき、ディケイドもその足音でハッと我に返りライドブッカーを構えた。
ディケイド(っ……考えるのは後だ。とにかく今は、雷の奴を止めないとどうにもならないっ……!話しはその後直接聞き出せばいいっ!)
―ズガガガガガガガガガガガガガガガァッ!!!―
雷牙『ッ!クッ!』
話が通じない以上は戦って雷牙を止めるしかない。心の中でそう決心したと共にディケイドは物影から姿を現してライドブッカーガンモードを雷牙に向け素早く乱射し、それを見た雷牙は両腕のライガクローで防御態勢を取って瞬時に銃弾を防ぐが、ディケイドはその隙を逃さず雷牙に向かって勢いよく飛び出しながらライドブッカーからカードを一枚取り出し、同時にライドブッカーをソードモードへと切り替え雷牙に斬り掛かった。
―ガギイィィィィィィィィィィィィィインッ!!!―
雷牙『ぐぅっ?!』
ディケイド『悪いな、一気に勝負を決めさせてもらうっ!』
『FINALATTACKRIDE:DE・DE・DE・DECADE!』
ライドブッカーですれ違い様に雷牙のライガクローを斬り付けて雷牙を怯ませると、ディケイドは先程取り出したカードをバックルへと装填してスライドさせ、ガンモードに切り替えたライドブッカーの銃口を雷牙に狙い定めた。それと同時にディケイドと雷牙の間にディメンジョンフィールドが展開されていき、それを見た雷牙は舌打ちしながらすかさず左腰のケースから一枚のカードを取り出してバックルへと装填した。
『SAMONSPELL:THUNDERLEON!』
『グルアァァァァァァァァァァァァァァァアッ!!!』
ディケイド『ッ?!サンダーレオン?!グァッ!』
電子音声が鳴り響くと共にディケイドの真横に黄色の魔法陣が出現し、其処からサンダーレオンが飛び出しディケイドに体当たりして必殺技をキャンセルさせてしまう。突然の不意打ちを喰らったディケイドはそのまま勢いよくガラクタの山にまで吹っ飛ばされガラクタの中へと埋もれてしまい、慌てて態勢を立て直そうとするが……
―ガギイィッ!!―
ディケイド『グッ?!』
雷牙『――チェックメイトだ、破壊者』
雷牙はその好機を逃さず、瞬時に接近してマウントを取り、ライガクローの爪でディケイドの首を捉えたのだった。完全に押さえ付けられてしまったディケイドは慌ててライガクローから逃れようとするも外れず、雷牙はそんなディケイドにトドメを刺そうともう片方のライガクローをゆっくりと振りかぶった。だが……
『――止めてっ!!』
―ガシャンッ!!―
雷牙『ッ?!』
ディケイドにトドメを刺そうとした雷牙の横から一人のライダー……シュロウガが突如乱入して雷牙の腰にしがみつき、そのまま強引にディケイドから雷牙を引き離したのだった。
ディケイド『ッ……っ?!アズサっ?!』
雷牙『コイツ、ディケイドの仲間か…?!』
シュロウガ『もう止めて、雷っ!零もっ!二人が戦う必要なんてないっ!こんな戦いっ……!』
雷牙『クッ!邪魔をするんじゃないっ!退くんだっ!サンダーレオンっ!』
『ガアアォオオオオオオオオオッッ!!』
ディケイド『ッ!クソッ!』
引きはがそうとしても全く離れないシュロウガに痺れを切らし、サンダーレオンに呼び掛ける雷牙。するとそれに応えるようにサンダーレオンが雷牙の代わりに攻撃するようにディケイドに目掛けて爪を振りかざしながら突進し、目の前から飛び掛かって来るサンダーレオンを見てディケイドもすぐライドブッカーの銃口をサンダーレオンに定めた。しかし……
シュロウガ『――零っ…!戦っちゃダメっ!!』
―ドンッ!!―
ディケイド『――ッ?!!なっ……?!!』
ディケイドがライドブッカーの引き金を引こうとした瞬間、それを阻止するかのようにディケイドに向けてシュロウガが飛び出しそのままディケイドの体を突き飛ばしてしまったのだった。そして……
『グルアァッ!!!』
―ガギィイイイイイイイイイイイイイイイイインッッ!!!―
シュロウガ『ッ!!ウアァァァァァァァァァァァアッ!!』
―ブオォンッ!!ガシャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアァンッッ!!!!―
サンダーレオンの振り下ろした爪がシュロウガの背中へと叩きつけられるように直撃し、漆黒の片翼を火花と共にもぎ取りながらシュロウガの背中へと深く突き刺さっていったのだ。更にそれだけに終わらず、シュロウガは背中から赤い鮮血を撒き散らしながら真横へと吹っ飛ばされ、そのままガラクタの山の中へ突っ込んでしまったのだった。
雷牙『なっ……』
ディケイド『ッ?!ア……アズサァァァァッ!!!』
ティアナ「はぁ、はぁ……っ?!ア、アズサッ!!」
今のはどう見ても致命的な一撃だった。それは誰の目から見ても一目で分かり、雷牙は予想外の事態に言葉を失い絶句し、ディケイドはシュロウガの姿が消えたガラクタの山に向けて飛び出し、その場に漸く駆け付けたスバル達も変身が解けてガラクタの中に埋もれるアズサを見て血相を変えながら駆け出し、アズサを下敷きにするガラクタを退かしてアズサを抱き抱えた。
ディケイド『アズサッ!おい、しっかりしろッ!アズサッ!』
エリオ「アズサさんっ!しっかりして下さいっ!」
アズサ「……ぅ……」
額から血を流すアズサの身体を揺さ振りながら必死に呼び掛ける一同。しかし、アズサは意識を失ってる為に何も答えられず、彼女の背中からはサンダーレオンの爪に突き刺されたせいで夥しい量の血が流れている。アズサを抱き抱える手にその血がこびりついたディケイドはそれを目にして息を拒んで絶句し、拳を握り締めながら奥歯を噛み締め、アズサの身体をスバルに預けておもむろに立ち上がっていく。
ディケイド『――何故だ、雷……今まで何度も一緒に戦ってきて……仲間だと、思っていたのにっ……』
雷牙『…何?』
声を震わせながらそう呟くディケイドの言葉に、雷牙が思わず聞き返す。だが、今ので完全に雷牙への憤りを押さえていた理性が吹き飛んだディケイドにそれに答えられるだけの余裕が既になく、ディケイドはライドブッカーをソードモードに切り替えて一瞬で雷牙の目の前にまで距離を詰めた。
雷牙『なっ?!―ガギィイイイイイイイイイイイイイイイイイインッッ!!!―グウゥッ?!』
スバル「ッ?!れ、零さんっ?!」
ディケイド『良いだろう……そっちがその気なら乗ってやるッ!!』
ギンガ「ま、待って下さい零さんっ!!早まらないでっ!!」
先程までとは違い、ライドブッカーSモードで雷牙を問答無用で斬り飛ばしたディケイドを背後から必死に呼び止めるギンガ達だが、ディケイドはそれを振り払い雷牙へと突っ込みながらライドブッカーを振りかざし素早く斬り掛かっていく。
―ガギイィィンッ!!ガギイィィンッ!!ガギイィィンッ!!―
雷牙『ぐあぁっ?!くっ、コイツっ!』
ディケイド『ハアァッ!!』
―ドゴオォッ!!―
雷牙『ぐぁっ!!』
上下左右から容赦なく振り下ろされるライドブッカーの刃が雷牙のボディを何度も斬り刻んでいき、最後に膝蹴りを打ち込まれ吹っ飛ばされる雷牙。そしてディケイドはライドブッカーをブックモードに切り替えて左腰に戻しながらカードを一枚取り出し、バックルに装填してスライドさせた。
ディケイド『そっちが獅子ならこっちは狼だ……』
『KAMENRIDE:SIRIUS!』
電子音声と共に響き渡る鏡の割れるような音と共に、ディケイドの姿が黒のスーツの上に金と銀のアーマーを身に纏ったライダー……前の世界で神威が変身したシリウスへと変身した。そしてDシリウスは変身完了と共に右手に握られていたウォルフロッドを巧みに振り回して身構えると、勢いよく地面を蹴って再び雷牙へと突っ込んでいった。
―ドグオォッ!!ドグオォッ!!ドグオォッ!!―
Dシリウス『ハアアァァッ!!ハアァッ!!』
雷牙『グウゥッ?!(コイツ、さっきと違って加減がなくなってるっ?!クソッ!このままじゃ押し切られるっ!)』
『ガァオオオオオオオオオオオッッ!!!』
容赦なくウォルフロッドによる棒術を叩き付けて反撃の隙を与えないDシリウスの猛攻に徐々に押され始める雷牙。すると雷牙の危機感を読み取ったのか、サンダーレオンがDシリウスと雷牙の間に割って入るように飛び出してDシリウスを威嚇していくが、Dシリウスは焦る事なく素早く左腰のライドブッカーから一枚のカードを取り出し、バックルへと投げ入れスライドさせた。
『ATTACKRIDE:ADVENT!』
―バシュウゥッ!!―
『アォオオオオォォォォーーーーーーンッッ!!!』
『グオオォッ!!?』
雷牙『っ?!な、狼?!』
再度電子音声が鳴り響くと共に、雷牙の足元に落ちていた割れたガラスの破片の鏡からシリウスの契約モンスターであるウォルフィンが飛び出しサンダーレオンへと襲い掛かった。不意を突かれたサンダーレオンはそのままウォルフィンに喉を噛み付かれて組み伏せられていき、その光景に一瞬呆気に取られてしまう雷牙だが、Dシリウスは構わずウォルフロッドを雷牙へと叩き付けて吹っ飛ばしてしまった。
雷牙『ぐっ……!クソッ、これ以上好きにやらせるかっ!!』
『FORMSPELL:RAIGA!BOOSTER!』
このままでは追い込まれるだけだと悟ったのか、雷牙は左腰のケースから一枚のカードを取り出しバックルへと投げ入れて装填した。そして電子音声と共に工場の入り口である扉を破壊しながら一台のマシン……ライガブースターが颯爽と駆け付け、徐々に変形しながら雷牙の身体に装着されていき、自身のマシンと合体し防御力が格段に増した姿である『雷牙・ブースターフォーム』へと姿を変えたのだった。
Dシリウス『ッ!マシンと合体しただと?!』
マシンと合体しブースターフォームに姿を変えた雷牙を見てDシリウスも驚愕を隠せない中、雷牙は左腕に装備した腕時計型ツールであるライガアクセルに右手の人差し指を伸ばしていき、Dシリウスもそれを見て雷牙が何をしようとしてるのか気付きライドブッカーから一枚のカードを取り出してバックルへと装填した。
『ATTACKRIDE:ACCEL VENT!』
『BOOST UP!』
―シュンッ!!!―
キャロ「?!消えた?!」
互いのツールから電子音声が重なって鳴り響くと共に、Dシリウスと雷牙の姿が一瞬ブレた直後にスバル達の視界から消えた。それを目にしたスバル達が驚愕し二人の姿を探して戸惑う中、Dシリウスと雷牙は……
―ガガガガガガガガガガガガガガガガガァッ!!!!ガギイィィィィィィィィィィィィィインッ!!!!―
雷牙B『ハアァッ!!!』
Dシリウス『チィ!硬いっ…!!』
超高速の世界を駆け抜け、互いの得物と拳を激突させ激しくぶつかり合っていた。だが、ライガブースターと合体したことで防御力が重点的に増している雷牙はウォルフロッドの直撃を受けてもものともせず、逆に雷牙の拳をまともに喰らい数メートル先まで吹っ飛ばされてしまい、それと同時にアクセルベントとライガアクセルの効果がほぼ同時に切れた。
『BOOST DOWN!』
スバル「――っ!零さんっ!」
雷牙B『オオオオオオオオオオオオォッ!!!』
Dシリウス『ッ!この野郎ッ!』
地面に倒れるDシリウスを視界に捉えスバル達が驚愕する中、Dシリウスに目掛けてすかさず正面から突進して来る雷牙。それを見たDシリウスは地面に倒れたまま毒づきライドブッカーからカードを一枚取り出し、バックルに装填してスライドさせた。
『ATTACKRIDE:NASTY VENT!』
『ッ!!アォオオオオォォォォーーーーーーオォンッ!!!』
雷牙B『ッ?!ぁ、グアァァァァァァァァァァァァァァァアッ?!!』
バックルから響く電子音声と共に、サンダーレオンを抑えていたウォルフィンが体当たりでサンダーレオンを吹っ飛ばし、雷牙に向け咆哮を上げた。それは耳の鼓膜を破り兼ねないほどの超音波となって雷牙に襲い掛かり、雷牙は両耳を塞ぎ苦しみ出していく。そして……
―ガギイィィィィッ!!―
雷牙B『グウゥッ?!』
Dシリウス『おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッ!!!』
―ズザザザザザザザザザザザザザザザァッ!!!―
その隙を見逃さず、Dシリウスは態勢を立て直すと共に雷牙に向けて飛び掛かり雷牙の腹にウォルフロッドを打ち込み、そのまま雷牙を力任せに工場の外にまで押し出し吹っ飛ばしていった。
雷牙B『グゥッ!!クソッ……!!』
Dシリウス『……そろそろ決めさせてもらうぞ』
『ATTACKRIDE:TRICK VENT!』
Dシリウスは身体を起こす雷牙を見据えながら地面にウォルフロッドを投げ捨ててドライバーへとカードをセットすると、Dシリウスがトリックベントの効果で三人に分身していく。雷牙はそれを見てDシリウスが次で勝負を決めようとしているのだと気付いて左腰のケースから一枚のカードを取り出し、Dシリウス達もカードを一枚ずつ取り出してそれぞれのドライバーへ装填していった。
『『『FINALATTACKRIDE:SI・SI・SI・SIRIUS!』』』
『FINALSPELL:RA・RA・RA・RAIGA!』
『アオオオオオオォォォォォォーーーーーーーンッッ!!!』
Dシリウス達と雷牙のドライバーから電子音声が響くと同時に、廃工場の中からウォルフィンが飛び出してDシリウス達の背後に降り立ち、三人のDシリウスは上空へと跳躍し一回転して跳び蹴りの態勢へと入っていく。そして雷牙もDシリウス達を見据えながら両腕の拳に雷を纏わせて全エネルギーを蓄積させていき、そして……
『『『ゼエェェアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッ!!!!!』』』
雷牙B『ハアァァァッ……デァアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーッッッッ!!!!』
―ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガアァッッ!!!!!ドグオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーオォンッッッッ!!!!!――
上空から急降下するDシリウス達のハウリングライダーキックが雷牙に目掛けて放たれ、雷牙もそれを迎え撃つように超高速ラッシュをDシリウス達のトリプルキックに叩き込んでいき、両者の間で大爆発が発生し二人を飲み込んでいったのだった。その結果は……
ディケイド『――グアァッ!!!!』
雷牙『――ガハアァッ!!!!』
結果は引き分け。爆発の中からDシリウスから変身が解けたディケイドとマシンと分離してしまった雷牙が吹っ飛ばされ、地面に叩き付けられてゴロゴロと何度も転がっていく。
雷牙『グゥッ……ぐっ……!!』
ディケイド『ッ……雷っ、お前はっ……!』
互いにもうボロボロで戦いを続ける余力もないと言うのに、ディケイドは雷牙に対する怒りの感情のままに起き上がり戦いを続けようと雷牙へと歩み寄っていく。しかし……
なのは「――零君っ!駄目っ!」
―ガバアァッ!!―
ディケイド『ッ?!なのは?!』
雷牙『っ…!高町…?!』
雷牙に近付こうとしたディケイドの真横から、市街地で理央と戦っていたハズのなのはが飛び出してディケイドの肩を掴み、そのまま強引に雷牙から引き離したのであった。ディケイドと雷牙も突然現れたなのはに驚愕してしまうが、ディケイドは直ぐに雷牙に意識を戻して雷牙に向かって突き進もうとする。
なのは「待ってっ!お願いだから止めてっ!零君っ!」
ディケイド『退いてろなのはっ!!邪魔するなっ!!アイツは……!!』
なのは「違うのっ!!落ち着いてっ!!あの雷さんはっ、私達の知ってる雷さんじゃないのっ!!」
ディケイド『!……何?』
あの雷牙に変身する雷が、自分達の知る雷ではない。その言葉を聞いて漸くディケイドも落ち着きを取り戻して止まり、なのはもディケイドが止まったのを見て安堵しながら雷牙の方へと振り返った。
なのは「あの雷さんは、まだ私達のことや、平行世界の事を何も知らない頃の雷さん……私達と出会う前の雷さんなの……」
ディケイド『ッ!……なら……アイツが俺達のことを知らないのは……?』
なのは「うん、あの雷さんが、"時間軸の違う世界の雷さん"だから……」
ディケイド『!!』
つまりは、目の前の雷牙は過去の時間軸の世界の雷が変身した存在。平行世界を行き来してればそういった時間軸のズレもたまに良くある話だが、まさか旅先で自分達の知る友人の過去の世界に訪れる事になるとは思っていなかったディケイドは息を拒んで呆然と佇み、其処へ、なのはより一足遅れ優矢達と理央達が駆け付けディケイドと雷牙へとそれぞれ近づいていく。
ヴィヴィオ「パパッ!」
優矢「零っ!」
ディケイド『お前ら……』
なのは(別)「雷君!大丈夫?!」
雷牙『ッ?!高町が、二人?一体どうなって……?』
理央「その事は後で話す。取りあえず今は、ディケイドと戦う必要はなくなった。今だけはな……」
雷牙『……?どういうことだ?』
雷牙は理央の言葉の意味が分からず首を傾げてしまうが、理央はそれに答えないままなのは達と共にディケイドの方へと振り返った。ディケイドはそんな理央達の視線を受けて気まずげに視線を逸らすと、雷牙達へと視線を戻しながらベルトのサイドバックルを開き、変身を解いて零へと戻った。
なのは(別)「えっ……く、黒月空曹長?!」
零「……お前ら、工場の中に向かってくれ。スバル達が中で怪我をしたアズサを看てる。思ったより重傷だ、手を貸してやってくれ」
優矢「アズサが?!」
ウェンディ「わ、分かったッス!」
なのは(別)が変身を解いた零の姿を見て驚愕する中、零はそれを他所に優矢達にアズサの事を伝え廃工場の中へ向かうように促した。そして優矢達がそれを聞き慌てて工場の中に向かった後、零は徐に雷牙達の方へと振り返り、雷牙も変身を解いて雷に戻っていく。
雷「その顔……お前、確か今日うちの部隊に配属する予定の黒月……?」
零「…………」
なのは「あ、あの、零君は破壊者じゃないんです!確かに無愛想で口下手で言葉遣いも悪いし、有り得ないくらい鈍感だしセクハラもするし何処か抜けてるし、一般常識も欠けてるけど、悪い人じゃないんですっ!」
零「お前は俺をフォローしたいのか貶したいのかどっちだ」
零と雷達の間に流れる緊迫な空気を感じ取って何とかフォローしようとしてくれているらしいが、言ってる事が殆ど悪い印象ばかりで説得力の欠片もない。実際なのは(別)達も余計に零に対して警戒心を強めているが、理央は変わらず険しい表情を浮かべながら雷の前に出た。
理央「お前の事は、そちらの高町からある程度話を聞いた……。お前自身は破壊を望む悪魔というワケではないようだが、俺達はまだお前の事を信用し切れていない。もう少し詳しく話を聞かせてもらうぞ、お前やお前の"力"について」
零「……断ると言ったら?」
理央「力付くにでも吐いてもらうだけだ。場合によっては、お前を危険分子として捕らえることになるかもしれんがな……」
なのは「そんな?!―スッ……―っ?!」
理央の発言に思わず反論し掛けるなのはだが、それを制止するように零が横から手を伸ばし、一度なのはの目を見つめた後に理央へと視線を向けた。
零「其処まで言うからには、何か俺の事に関する情報を知ってるんだろう?俺が危険分子だと、誰もがそう確信するような事を……」
理央「知りたければ、大人しく六課にまで着いて来い。此処で全て話して、お前に逃げられでもしては困るからかな」
零「……選択肢が一つ消されたか……用心深い奴だな、アンタ」
そんな軽口を叩く零だが、実際は逃げる気など微塵もない。詳しく話を聞きたいのは自分の方も同じであり、何より雷や彼等も口にしていた『証拠』とやらが気になる。彼等の口ぶりからして、どうやら今回の件は鳴滝の忠告だけが原因ではないようだと思い、今までの世界との違いに違和感を覚えていた。それを確かめる為にも六課への同行を零が頷き了承した、そんな時……
「――六課に行くなら、僕も同行させてもらって良いですかね?」
『ッ?!』
不意に背後から誰かに声を掛けられた。それを聞いた零達が驚きを浮かべながら背後に振り向くと、其処には零達と別々に情報収集をしていたフェイトやはやてに姫達、そしてフェイトと姫が出会った紫苑達が歩み寄って来る姿があった。
フェイト(別)「え、今度はもう一人の私?!」
雷「お前達は……」
零「紫苑に光?!お前達もこの世界に来てたのか?!」
はやて「あっ、いやいや、違うんよ零君。この紫苑君達は……」
何故かフェイト達と一緒にいる紫苑達を見て零が驚愕する中、はやてが若干苦笑しながら零と紫苑を交互に見つめながら困ったように頬を掻いていくが、紫苑がそんなはやての前に出て代わりに説明し始めた。
紫苑「貴方が黒月さんだよね?フェイトさん達から話は聞いてます、貴方も仮面ライダーの世界を旅してるディケイドだって」
零「……?何だ改まって?まるで初対面みたいに」
紫苑「そりゃそうですよ、僕は貴方の知っている風間紫苑じゃない、違う世界の風間紫苑なんですから」
零「……は?」
紫苑の口からいきなりそう告げられ、一瞬何を言われたのか分からず困惑の表情を浮かべてしまう零。隣に立つなのはも別世界の紫苑と名乗る彼の言葉を聞いて零と同じように呆然と立ち尽くして零と目を合わせていき、事情を知らない雷達も零達が何の話をしているのか分からず訝しげな顔を浮かべていたのだった。