仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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第二十一章/雷牙の世界⑧(中編)

 

 

―クラナガン・ショッピングモール―

 

 

雷牙達とアナザーアギト達が戦い始めたのと同じ頃、写真館を飛び出した紫苑達は通信で雷から聞いた現場に向かって急行し、すでに住民が避難し無人となったクラナガンのショッピングモールを全力で駆け抜けていた。その道中……

 

 

―ドッガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!!―

 

 

紫苑「ッ?!」

 

 

勇輔「な、何だっ?!」

 

 

現場に向かっていた最中、遠方から突如巨大な爆音が鳴り響いたのだった。それを耳にした紫苑達が思わず足を止めて遠くを見れば、其処には高層ビル群の向こうから巨大な黒煙が立ち上る光景が映った。

 

 

優矢「あれは?!」

 

 

紫苑「……多分雷さん達が現場に着いて戦い始めたのかも、急ごうっ!」

 

 

勇輔「あ、ああっ!」

 

 

遠方から響き渡る爆発音を聞きながら急いで走り出す紫苑に続くように、立ち止まっていた優矢達も紫苑の後を追って駆け出していく。だが……

 

 

 

 

 

 

 

 

『――残念ですが、貴方達を此処から先に通す訳にはいきません……』

 

 

―バシュウウウウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーッッ!!!―

 

 

『……ッ?!』

 

 

 

 

何処からか声が響き渡ると共に上空から銃音が聞こえ、紫苑達が上空を見上げると、其処にはなんと無数の実弾とビームが紫苑達に向かって降り注いできていたのだった。

 

 

はやて「ちょっ?!なんやアレっ?!」

 

 

紫苑「ッ!全員散開だっ!急いでっ!」

 

 

ヴィヴィオ「ダ、ダメっ!間に合わないっ!」

 

 

姫「下がれ、皆っ!」

 

 

既に回避も変身も間に合わない距離まで接近してきている無数の実弾とビームの混同射撃を見て一同の表情が凍りつく中、姫が怒号と共に空に向けて右手を掲げ花びらを摸した巨大な盾を展開した。そして上空から飛来してきた実弾とビームが次々と花びらの盾に着弾して爆発と爆風を起こし、爆発から発生した爆煙が周囲を覆っていく。

 

 

勇輔「ゲホッ!ゲホッゴホッ!な、何とか凌いだ……のか?」

 

 

紫苑「……いいや……安心するのはまだ先みたいだよ……」

 

 

ヴィヴィオ「え……?」

 

 

爆煙で咳込みながらも安堵する勇輔にそう告げる紫苑に、一同は訝しげな表情を浮かべ思わず紫苑を見た。すると紫苑は険しげな顔で何かに警戒するかのように目前を睨んでおり、優矢達もそんな彼の視線を追い目の前の目を向けていくと、辺りを覆っていた黒煙が晴れて徐々に視界が戻っていく。其処には……

 

 

 

 

 

 

 

 

『――今のを凌ぎますか。やはり、不意打ち程度では簡単に倒れてくれないようですね……』

 

 

 

 

 

 

 

 

黒煙が消えた先。其処には、仮面のモノアイを不気味に光らせ紫苑達を見据える天使のような姿をした白いライダーが悠然と佇んでいたのだった。まるで天使の輪を彷彿とさせる金色のリングを取り巻くように身に付けているそのライダーの右手には、二つの銃口を持つ巨大な白いランチャーが握られており、紫苑はそれを見て目を鋭くさせながら白いライダーと対峙する様に前へ踏み出した。

 

 

紫苑「君は……誰だ?どう見ても仲良くしにきたって感じに見えないけど」

 

 

『当然です……私の役目は貴方達を雷牙の下に行かせないこと……可能ならば、命を奪っても構わないとも命じられています』

 

 

淡々とした声で紫苑の問いにそう答える白いライダー。それを聞いた優矢達は、改めて目の前の相手が自分等の敵だと認識しそれぞれ身構えていき、紫苑もディケイドライバーを取り出し腰に装着していく。

 

 

紫苑「命じられた、か……君、例のインフェルニティって連中には見えないけど、ソレってもしかして……この世界の管理局にあの警告状を送り付けた奴と関係してるんじゃないの?」

 

 

『…………』

 

 

紫苑「黙秘するって事は、否定しないって意味?……僕達を雷さん達のところに行かせない為に襲ってきたのは、僕達が彼処に行くと何か都合が悪いから、じゃない?」

 

 

白いライダーから話を聞き出そうと淡々とした口調で直接問い詰める紫苑。だが、白いライダーは口を閉ざしたまま何も答えようとはせず、無言のまま空いてる手を上げて背後に歪みの壁を出現させた。

 

 

『それを知ってどうするのです?知ったところで何も変わりはしない、知ったとしても貴方達が辿る結末は変わらない。そう……』

 

 

其処まで告げた直後、白いライダーの背後に出現した歪みの壁から無数の戦士達が姿を現した。そうして、歪みの壁から続々と姿を現した無数の戦士達……青のボディを特徴とした『量産型ゲシュペンストMk-Ⅱ』とグレーのボディを特徴とした『量産型ヒュッケバインMk-Ⅱ』はあっという間に紫苑達を包囲していき、白いライダー……『センチュリオ・レガートゥス』も白いランチャーを剣のような形状に変化させ……

 

 

センチュリオR『――此処で貴方達は確実に殺します。誰一人として、生かしては帰さない』

 

 

―ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガカガガガガガアァンッ!!!!―

 

 

『ッ!変身ッ!!』

 

 

『KAMENRIDE:DECADE!』

 

『READY!』

 

『F・I・S・T・O・N!』

 

 

まるで死刑囚に死刑を宣告する審判者のように彼女がそう告げた瞬間、四方から量産型ライダー達が一斉に武器の引き金を引いて襲い掛かったのだった。それを見た紫苑達もすぐさま変身動作を行ったと同時に銃弾が次々と直撃して爆発を起こすも、ギリギリ変身が間に合ったディケイド(紫苑)達は爆発の中から飛び出しセンチュリオR達と戦闘を開始していくのだった。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

―機動六課・ロングアーチ―

 

 

ルキノ(別)「っ?!これは、風間さん達がアンノウンと戦闘?!数、三十、六十、八十……どんどん増えてますっ!」

 

 

グリフィス(別)「なっ……此処に来てまた別の敵っ?インフェニルティじゃないのか?!」

 

 

アルト(別)「データベースに照合無し……全くの未知の敵ですっ!」

 

 

はやて(別)「…………」

 

 

そしてその一方、機動六課ではロングアーチが紫苑達を襲撃したセンチュリオRと量産型ライダー達の反応を感知し、予想外の敵襲にスタッフの間でざわめきが広がっていた。更に……

 

 

―ビーッビーッビーッ!―

 

 

アルト(別)「?!別区域にまた別の反応?これは……っ?!さ、先程の幹部級のインフェルニティですっ!」

 

 

グリフィス(別)「なっ?!く、こんな時にっ……!」

 

 

ルキノ(別)「幹部級と思わしきインフェルニティと、戦闘員が移動を開始……!この方角は……雷さん達とアンノウンの交戦地帯です!」

 

 

はやて(別)「……やっぱりか……」

 

 

オーガ達やセンチュリオRの襲来だけでなく、まるでこの機に乗ずるようにインフェルニティまで出現して戦いに加わろうとしている。増援に向かった紫苑達はセンチュリオR達の足止めを食らって現場を離れられない状況であり、このままでは更に混戦と化して彼等の身が危ない。どうにかしてインフェルニティを止められないかと、グリフィス(別)が思考を巡らませる中、何かを考えるように瞳を伏せていたはやて(別)がゆっくりと瞼を開いた。

 

 

はやて(別)(……やっぱり、私が行くしかないな……出来れば紫苑君達に頼みたかったけど、相手の正体や能力も分からんこの状況で、下手に戦力を分散させるのは彼等が危険や……なら、動ける私が行かんと)

 

 

交戦経験があるインフェルニティが相手ならば、まだ自分でも何とか対処出来る範囲だし、幹部級も足止めくらいなら出来る筈だと、はやて(別)が意を決した様に立ち上がろうとしたその時、突如はやて(別)の前に激しく画面にノイズが走る通信パネルが現れた。

 

 

はやて(別)「?!な、何や?通信……?」

 

 

『…………ぁ…………き……………………るか…………』

 

 

グリフィス(別)「?なんだ……声?」

 

 

いきなり現れたノイズしか映らない通信パネルに目を白黒させるはやて(別)だが、グリフィス(別)はノイズに紛れて通信パネルから声のようなものが微かに聞こえて来るのに気付き、その間にも通信パネルの画面が徐々に鮮明に映り始める。其処に映っていたのは……

 

 

 

 

 

 

零『―――あー、あー……お、繋がったか。聞こえるか、部隊長殿?』

 

 

はやて(別)『!黒月空曹長っ?!』

 

 

 

 

ノイズが僅かに薄れた通信パネルに映ったのは、今も部屋に軟禁しているハズの零の姿だったのだ。予想外の人間からの通信にはやて(別)も再び驚いてしまうが、零はそんな彼女の反応を余所に軽い調子で喋り出す。

 

 

零『何やら大変な事になってるみたいだな?こっちの部屋まで局員達が忙しなく駆け回ってる声が聞こえて来てるぞ』

 

 

はやて(別)「あ、えと……そ、そんなことより、どうやって通信を?!それらしいモノは何も持ってなかったて報告で聞いた筈やけど……」

 

 

零『ん……?ああ、実は俺もデバイスを持っててな。殆どの機能が停止していて、こうして通信に繋ぐのもかなりギリギリなんだが、こういう時に備えて検査の時に隠させてもらったのさ……流石に気付かなかっただろう?』

 

 

意地悪げに笑いながらそう言って首に掛けたアルティを摘んで見せる零。それを見たはやて(別)も一瞬呆気に取られてから思わず頭を抑えてしまうが、すぐさま平静さを取り戻し画面の向こうの零を見据えた。

 

 

はやて(別)「……それで、一体何が目的ですの?こんなタイミングにわざわざ隠し持ってたデバイス使こうて通信を寄越すってことは、そっちもただ私等をからかうのが目的やないんですよね?」

 

 

もしかすると、戦闘要員を殆ど出払って守りが薄くなっているこの機会に交渉を持ち掛けて、今すぐ自由の身にしなければ機動六課を内側から壊滅させるなどと脅迫してくる気なのかもしれない。変身に必要なバックルとカードを没収したとは言え、彼自身の力はまだ未知数だし、彼への理不尽な仕打ちを考えればそれも有り得い話ではなそうだ。果たして一体なにが目的で通信など寄越したのかと、内心緊張を覚えながら画面の向こうの零を見据えてると、零から返ってきたのは……

 

 

零『流石に部隊長は察しが良くて助かるな……用件はただ一つだ―――』

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

―クラナガン―

 

 

『シャアァァァァッ……!』

 

 

それから数十分後。市街地に突如として出現した無数のローチインフェニルティの群れは、雷牙達とオーガ達が戦闘を繰り広げる区域を目指し進行を進めていた。そしてその最後尾には、零達が先程の戦闘の際に退けた黒い異形……ケルベロスインフェニルティの姿もあった。

 

 

『――ふん……あの連中が何者かは知らないが、今が我々にとって好機なのは間違いない。この混乱に乗じれば、雷牙を打ち倒す事もたやすいだろうからな……』

 

 

雷牙達がオーガ達との戦いに気を取られてる隙を突けば、不意を突いて雷牙達を追い詰められるハズだと鼻を軽く鳴らし、ケルベロスインフェルニティは先行するローチ達を急がせ雷牙達の下へと進行していく。その近くに……

 

 

迅「――火事場泥棒とは正にこのことだな……。インフェルニティもセコいことを考える」

 

 

近くのビルの屋上から身を屈めて、その様子を静かに覗き見る青年……ハル達と別れた迅の姿が其処にあり、迅は逆手に持った右手のディソードライバーを手にゆっくりと重い腰を上げていくと、胸のポケットからディソードのカードを取り出していく。

 

 

迅(紫苑がこの世界で役目を果たす前に、雷牙を倒されるのはこっちにも都合が悪いからな……さっさと片付けさせてもらおうか)

 

 

奴らに介入されれば、またややこしいことになるのは間違いない。そうなる前に此処で消えてもらうべく、迅が取り出したディソードのカードをドライバーへと装填して変身しようとした。そんな時……

 

 

 

 

 

 

―ブオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ……ドガガガガガガガガガガガガガァッ!!!!―

 

 

『ヌッ?!』

 

 

『ギシャアァァァァァァァァァアッ?!!』

 

 

迅(……ん?)

 

 

 

 

轟音のようなバイク音と共に、ケルベロスインフェニルティ達の背後から一台のマシンが猛スピードで突っ込んできたのだった。

 

 

それにいち早く反応したケルベロスインフェニルティは咄嗟に身を翻してマシンを避けるが、マシンはそのまま止まる事なくローチ達を次々と吹っ飛ばしながら突き進み停まっていくと、二人組の男女が乗るマシン……マシンディケイダーを運転していた青年はヘルメットを取って素顔を露わにしていく。

 

 

零「――こんなタイミングで現れたインフェルニティはどんな奴かと思えば……またお前か」

 

 

『?!貴様はっ……!』

 

 

迅(黒月……零……)

 

 

素顔を露わにした青年……それは、六課で軟禁されていた筈の零だったのである。ケルベロスインフェルニティも青年の正体が零だと知って驚きを露わに思わず身を乗り出し、ビルの屋上からその様子を見ていた迅も零を見て僅かに目を細めていく中、零は静かにディケイダーから降りてケルベロスインフェニルティ達と対峙していく。

 

 

零「悪いが、此処から先のパーティーはもう満員でな。大人しく引き返してもらえるなら、俺も手間が省けて助かるんだが……」

 

 

『……フン、そう言われて黙って従うとでも思うか?丁度いい、貴様には先刻の借りがある。雷牙の前に、先ずは貴様から消し去ってやる……!』

 

 

零「根に持たれてたか……まあそれもそうか」

 

 

ギリギリと拳を固く握り締めてローチ達を前面に展開するケルベロスインフェニルティを見てめんどうそうに溜め息を吐くと、零も懐からディケイドライバーを取り出して腰に巻き付けていく。すると、零と一緒にディケイダーに乗って駆け付けた後部席に座る女性……奈央がヘルメットを取り去って口を開いた。

 

 

奈央「気をつけてください、あのケルベロスの本気の速さは貴方達と戦った時と比べ物になりません。それと……」

 

 

零「『力』は使わないようにお願いします……だろ?分かってる。もし力を使ったその時は、後ろから俺を撃てばいい。そういう約束だからな」

 

 

戦闘態勢に入るケルベロスインフェニルティ達を見据えたまま背後の奈央にそう告げると、零はふと、脳裏に機動六課でのはやて(別)とのやり取りを思い出していく。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

数十分前……

 

 

はやて(別)『――出現許可を、出して欲しい……?』

 

 

零『そうだ。そちらに通信を繋ごうと作業してる時に、ノイズ混じりにだがチラホラ会話は聞こえてたんでな。なにかお困りなようだから手を貸してやりたいと思ってるんだが、こっちは勝手に外には出ないという約束で出られない……だから直接アンタに許可を貰おうと思って、こうして通信を送った訳だ』

 

 

はやて(別)『……せやけど、私等は貴方の世界を破壊する力を危惧したから部屋に閉じ込めたんですよ?それを出して欲しいてお願いされたからって、そう簡単に出せるワケ……』

 

 

零『……それもそうだな……なら、幾つか条件を付けるって言うのはどうだ?』

 

 

はやて(別)『?条件?』

 

 

零『ああ……俺を外に出す交換条件として……アズサと光写真館の連中の身柄をお前達に預ける。もしも俺があの映像と同じ『力』を行使したその時は、アイツを煮るなり焼くなり好きにすればいいだろう?』

 

 

はやて(別)『……つまり、貴方が嘘を言うてないて信じさせるために、私らにあの子らを人質に取らせるっちゅうことですか……?』

 

 

零『そうなるな……。それでも信用出来ないのなら、俺に監視を付ければいい。もし力を使ったその時は、俺を逮捕するなりその場で息の根を止めたりさせればいい……それとも、仲間を売り渡すような人間の言葉なんて信用出来ないか?』

 

 

はやて(別)『……確かに、貴方達が世界を旅する為にも、あの写真館がなければ満足に世界を移動することも出来ないのは聞いてます。それを考えれば、貴方が仲間達を見限って、一人で逃げる事もなさそうですけど……』

 

 

零『それでも疑いが晴れないなら仕方ないが、迷ってる時間もないだろう。取りあえずこっちは、さっさとこの世界での役目を終えて自由になりたい、そっちは今の事態をさっさと解決させたい……一応ではあるが、利害は一致してるんじゃないのか?』

 

 

はやて(別)『…………』

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

零(――駄目元ではあったが、言ってみるものだな。ただ、この世界のはやて達を信用させる為にアズサ達を交渉の材料に使った事は心苦しいが……他に方法も時間もなかったしな……)

 

 

それに要らぬ心配だろうが、これで医務室で眠ってるアズサも自分に利用されたと哀れんではやて(別)達も悪いようには扱わない筈だ。形振り構っている時間もない。

 

 

零(雷達を襲ってるアンノウン……正体はまだ分からないが、もしかしたらそれがこの世界で俺や紫苑達が倒すべき敵なのかもしれん……なら、逃げられる前に雷と紫苑に倒させなければ……!)

 

 

巻き込んでしまった写真館で待機している皆への謝罪は後で考えるとして、その為にも今はケルベロスインフェニルティ達を雷牙達の下に辿り着く前に撃退し、急いで紫苑達の援護に駆け付けねばと、零は左腰のライドブッカーからディケイドのカードを取り出し構えようとした。その時……

 

 

奈央「……黒月さん。こんな時ですけど……一つ聞いても良いですか……?」

 

 

零「ん……?」

 

 

不意に背後から奈央に声を掛けられ、零は思わず手を止めて背後に目を向けた。其処には奈央が自分の胸に手を当て、真剣な眼差しを向けて来る姿があり、奈央は真っすぐと零を見据えて言葉を続けた。

 

 

奈央「どうして…其処までして戦う必要があるんですか?こんなやり方を続けて戦い続けても、貴方自身が報われる事なんてない……自分の言い訳もしないで、そうまでして戦うのは何故ですか?」

 

 

零「?……まさか、アンタ……」

 

 

奈央「…………」

 

 

まさか、彼女も雷と一緒に医務室での紫苑との会話を聞いてたのか?真っすぐな眼差しを向けて来る奈央の目を見つめ返しながら一瞬呆然となる零だが、すぐに何時もの愛想のない表情に変わり、前を向いてそれに答えた。

 

 

零「大した理由なんてない。ただアイツ……俺を信用しようとした雷の信頼に、俺なりに応えようと思っただけだ。それに……約束もあるしな」

 

 

奈央「約束……?」

 

 

そのワードが気になったのか、小さくそう呟いた零に奈央は思わず疑問げに聞き返すと、零は右手に持ったディケイドのカードを見つめながら語り出した。

 

 

零「世界を巡る旅を始める時、なのは達に言ったんだよ。必ずアイツ等の世界を救ってやるから信じろって、約束……を―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

―…………ぃ…………しょ…………ゃ………………………る…………………?―

 

 

 

 

 

 

 

 

零(――……?なんだ……今の……?)

 

 

 

 

 

 

約束という言葉を口にしていた途端、脳裏の隅に一瞬だけ何かの光景のような物が浮かび掛けた気がしたが、それもすぐにスッと消えてしまった。まるで、雲を掴もうと手を伸ばして掻き消えてしまったかのように。その不可解な感覚に、零も頭上に疑問符を浮かべて小首を傾げてしまう。

 

 

零(?……まあいい。もう何だったかも分からんし、思い出せないような物なのだからどうでもいい事なんだろう)

 

 

そんな事よりも今は目の前のインフェルニティ達を片付けなければと、零は真剣な表情に切り替わってディケイドのカードを構えた。そして……

 

 

零「変身ッ!」

 

 

『KAMENRIDE:DECADE!』

 

 

カードをバックルにセットして電子音声が響き、零はディケイドへと変身すると左腰のライドブッカーをSモードに展開しローチ達に向けて身構えていった。

 

 

奈央「これが……ディケイド……」

 

 

『貴様から受けた屈辱……此処で晴らさせてもらう!行けッ!』

 

 

『シャアァァァァァァァァァァァアッ!!』

 

 

ディケイド『安心しろ、そんなお前には汚名の挽回をくれてやるッ!』

 

 

ローチ達を差し向けるケルベロスインフェニルティに微笑しながらそう告げると、ディケイドはライドブッカーの刃を軽く撫でながら勢いよく駆け出し、迫り来るローチ達をすれ違い様に素早く斬り裂いて突き進み、爪を構えて襲い掛かって来るケルベロスインフェニルティにライドブッカーを振り下ろし戦闘を開始していくのだった。

 

 

迅「――哀れな奴だな……そんな約束や、過去と向き合う為に因子を行使し続けて、自分自身をも壊してることに気付きもせず……」

 

 

その様子をビルの屋上から終始眺めていた迅は、ケルベロスインフェニルティ達と刃を交えるディケイドを見て鼻を軽く鳴らし、ディソードライバーにカードを装填した。

 

 

『KAMENRIDE――』

 

 

迅「自分の力の事さえ自覚していない……やはりお前は危険だな、黒月零……。お前は、世界に必要な存在ではない」

 

 

『DI-SWORD!』

 

 

明らかな敵意を瞳に宿して断言するように言い放ち、電子音声と共にディソードに変身する迅。そして変身を終えたディソードはディソードライバーを軽く振り、眼下でローチ達を次々と斬り裂くディケイドを瞳に捉え複眼を妖しく輝かせるのであった。

 

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 

 

 

―クラナガン・ショッピングモール―

 

 

『ウオオオオオオオオオオオオオオォッ!!!』

 

 

テンガ『ゼェリャッ!!ダアァッ!!』

 

 

クウガ『クソッ!邪魔すんな、退けッ!』

 

 

一方その頃、雷牙達の救援に向かっていた最中に突如現れたセンチュリオR達の妨害に遭うディケイド(紫苑)達は、それぞれ二組にタッグを組んで迫り来る量産型ライダーの大群の迎撃に当たっていた。

 

 

その中で、クウガとテンガは得意の格闘戦で武器を振りかざして襲い掛かる量産型ゲシュペンストMk-Ⅱ達を次々と殴り飛ばしていくが、やはり数が多いために中々減る様子はなく、二人は背中合わせになって呼吸を整えていく。

 

 

テンガ『ッ!全く、キリがないなっ……!』

 

 

クウガ『ああっ、クソッ、猫の手も借りたいって正にこのことだなっ……―ビュオォォォォォォォォォォォォォォォォオッ!!!!―……え?』

 

 

量産型ライダー達の余りの数に思わず毒づいてしまうクウガとテンガの上空を、何かが勢いよく飛び去った。それに気付いて二人が空を見上げれば、其処には空を飛び舞う巨大な黒いクワガタ……以前ディジョブドの世界に訪れた際、紲那が優矢にくれたカードの効果によって優矢の世界の遺跡からこちら側の世界に駆け付けてくれたゴウラムの姿があり、ゴウラムは上空を飛び交う量産型ヒュッケバインMk-Ⅱ達に次々と突撃を繰り返し撃墜していた。

 

 

テンガ『アレは……?』

 

 

クウガ『ゴウラム?!来てくれたのか!』

 

 

イクサF『ハァッ!…お?ちょうど良いところに増援か……!』

 

 

リイン『空の敵はゴウラムに任せれば大丈夫やね…!皆は地上の敵に集中やっ!隣の相手と離れ離れにならんよう気ぃ付けてなっ!』

 

 

クウガ『分かってますっ!』

 

 

こんな大群に囲まれた状況の中で一人で突っ込めば、あっという間に四方から囲まれてしまう。そうならないように注意を払いながら戦わなければと、リイン達はそれぞれ拳を構え直し、量産型ライダー達の大群の中へと再び突っ込んでいくのだった。

 

 

―ガギイィッ!!バキィッ!!グガアァンッ!!―

 

 

ナンバーズ『グゥッ?!ウアァッ!!』

 

 

ディケイド(紫苑)『ヴィヴィオ!ダアァッ!!』

 

 

一方、ディケイド(紫苑)とナンバーズの二人は軍団を指揮するセンチュリオRを先に倒し指揮系統を乱そうと挑むが、センチュリオRが巧みに振るうブレード・ルミナリウムの鋭い斬撃の数々がナンバーズを追い詰めて斬り飛ばしてしまい、それをフォローするようにディケイド(紫苑)がライドブッカーでセンチュリオRに斬り掛かった。

 

 

―ガギイィィィィッ!!―

 

 

センチュリオR『――並行世界のディケイド、風間 紫苑……どうやらまだ力のすべてを取り戻せていないようですね……』

 

 

ディケイド(紫苑)『ッ?!僕の事も知ってるのか……?』

 

 

センチュリオR『無論、貴方だけではありません……仮面ライダーテンガ、クウガ、ナンバーズ、イクサ・フロンティア、リイン……それ以外の別世界のライダー達のデータも我々は保有しています。つまり、貴方方が私に勝てる可能性は0に近いと言っても過言ではありません』

 

 

感情の篭らない無機質な声でそう断言し、鍔ぜり合っていたディケイド(紫苑)のライドブッカーをブレード・ルミナリウムで力任せに押し返して斬り掛かるセンチュリオR。そして何とか初撃を弾き返すディケイド(紫苑)だが、その後に襲い掛かる斬撃を捌き切れずに直撃を受け吹き飛ばされてしまい、地面を何度も転がり倒れ込んでしまう。

 

 

ディケイド(紫苑)『ッ……どうかなっ?そうと決めるのは、まだ早いと思うよ?』

 

 

ふらつきながら身体を起こしてセンチュリオRにそう言うと、ディケイド(紫苑)はライドブッカーを左腰に戻しながら一枚のカードを取り出し、ドライバーへと装填しスライドさせた。

 

 

ディケイド(紫苑)『変身ッ!』

 

 

『KAMENRIDE:SHINING!』

 

 

電子音声が響き渡り、ディケイド(紫苑)の姿が奇妙なメロディーと共に変化して異形の姿へと変わっていく。キバに酷似した姿だが、その外見は赤い複眼に黄色のボディとキバとは全く逆の姿のライダー……紫苑達が前の世界で出会った渉が変身した『シャイニング』に変身したのであった。

 

 

センチュリオR『カメンライド……別のライダーに姿を変えたからといって、私に勝てるとでも?』

 

 

Dシャイニング『さっきも言ったでしょ?勝てないと決め付けるのは早いって、さッ!!』

 

 

勢いよく地を蹴り、一息でセンチュリオRとの間合いを詰めて右拳を振り抜くDシャイニング。それを見たセンチュリオRは咄嗟にブレード・ルミナリウムの峰でそれを払い退けながらDシャイニングを斬り付けていくが、Dシャイニングも負けじと身を屈めて斬撃をかわしながらセンチュリオRを殴り付けて後退りさせ、ライドブッカーから一枚のカードを取り出しバックルに投げ入れた。

 

 

『FORMRIDE:SHINING!FANG!』

 

 

ディケイドライバーの中枢核からファングセイバーが飛び出し、Dシャイニングがそれを手にすると左腕と胸部に鎖が巻かれ、銀色のボディと複眼が特徴としたファングフォームへと変化したのだ。そしてDシャイニングはファングセイバーの刃を撫でながら勢いよく駆け出し、ファングセイバーを巧みに使いセンチュリオRを追い詰めていく。

 

 

センチュリオR『ッ!この力は……!』

 

 

Dシャイニング『まだまだ、これで終わりじゃないよ!』

 

 

そう言ってDシャイニングはセンチュリオRから距離を離すように後方に跳び、今度は違うフォームカードをライドブッカーから取り出してディケイドライバーにセットする。

 

 

『FORMRIDE:SHINING!ARK!』

 

 

電子音声と共に次にディケイドライバーの中枢核から現れた拳のような形をした槌、アークハンマーを手にすると、Dシャイニングは黒い複眼と黒色の鋼のような鎧を纏ったアークフォームへとフォームチェンジした。

 

 

Dシャイニング『そぉらッ!』

 

 

センチュリオR『ッ!』

 

 

―ブオォォッ!!ドゴオォォォォォォオンッ!!!―

 

 

フォームチェンジを終えたと同時にDシャイニングがアークハンマーを振り回しセンチュリオRへと襲い掛かるが、センチュリオRはかろうじてアークハンマーを避けながら後退して壁際にまで追い詰められていき、頭上から振り下ろされたアークハンマーを地面を転がってギリギリ回避すると、アークハンマーはそのまま建物の壁を木っ端微塵に打ち砕いてしまう。

 

 

センチュリオR『ッ……大したパワーです……ですが―バシュウウゥッ!!!―……ッ!』

 

 

―ドグオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォオォンッ!!!!―

 

 

ブレード・ルミナリウムを構え直しDシャイニングに斬り掛かろうとした瞬間、真横から向かってきた強力なエネルギー弾がセンチュリオRに直撃し爆発を巻き起こしたのだった。そしてそれを目にしたDシャイニングが驚きエネルギー弾が放たれてきた方に振り返ると、其処にはヘビィカノンを構えて立つナンバーズの姿があった。

 

 

Dシャイニング『ヴィヴィオ!』

 

 

ナンバーズ『紫苑さん!今ですっ!』

 

 

セッテ『今の内に早くっ!決めて下さい!』

 

 

爆煙で姿が見えなくなったセンチュリオRに目掛け、ヘビィカノンからエネルギー弾を乱射し足止めを行うナンバーズ。そしてDシャイニングもそれを見て頷きながら通常形態のシャインフォームに戻り、ライドブッカーから一枚のカードを取り出しドライバーに装填した。

 

 

『FINALATTACKRIDE:SH・SH・SH・SHINING!』

 

 

Dシャイニング『ハアァァァァッ……』

 

 

―ジャキィッ!―

 

 

バックルから響く電子音声と共にDシャイニングが身を屈めながら両手をクロスさせると、Dシャイニングの右足のヘルズゲートの鎖が解き放たれた。そしてDシャイニングは上空に高く飛び上がりながら爆煙に目掛けて右足を突き出し、センチュリオRに向かって猛スピードで急降下していく。

 

 

Dシャイニング『デェアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーッッッ!!!!』

 

 

ナンバーズ『よしっ…!』

 

 

セイン『このまま行けば、決まるっ!』

 

 

センチュリオRが爆煙の中から動き出す気配は未だにない。このまま行けばDシャイニングの技が決まってセンチュリオRを倒せる筈だと確信し、ナンバーズが見守る中でDシャイニングの跳び蹴りが爆煙の向こうに微かに浮かぶ人影に直撃し掛けた。その時……

 

 

 

 

 

 

 

 

―ギュイィィッ……バシュウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーッッ!!!!―

 

 

Dシャイニング『ッ!!?ぐ、ぐあああああああああああああああああっっ!!!?』

 

 

ノーヴェ『?!な、何だッ?!』

 

 

ナンバーズ『し、紫苑さんっ?!』

 

 

 

 

Dシャイニングの必殺技が決まろうとした直前、上空から降り注いだ青白い閃光がDシャイニングに直撃し、Dシャイニングは無数の火花を散らしながら地面に叩き付けられてディケイド(紫苑)に戻ってしまったのだった。その突然の事態にナンバーズも驚愕を隠せないまま慌ててヘビィバレルを消しディケイド(紫苑)に駆け寄って身体を起こさせると、先程の青白い閃光が降り注いできた空を見上げた。其処には……

 

 

 

 

 

 

シルベルヴィント『―――ふふっ、漸く見付けたよ?風間 紫苑……』

 

 

 

 

 

 

遥か上空に浮遊し、胸部の砲身から青と白の火花を散らしながら妖しげに微笑む半人型の戦士……アギーハが変身したシルベルヴィントの姿があったのだった。

 

 

ナンバーズ『な、なにあれ……?』

 

 

ディケイド(紫苑)『あ……ぐっ……お、お前はっ……?』

 

 

又もや突如として現れた異形の戦士にナンバーズが呆気に取られてしまう中、シルベルヴィントの不意打ちを受けた傷を押さえながらナンバーズの手を借りフラフラと起き上がるディケイド(紫苑)。すると、上空で浮遊していたシルベルヴィントがゆっくりと降下していき、ディケイド(紫苑)に右手の高周波ソードの切っ先を向けながら名乗った。

 

 

シルベルヴィント『初めましてだね、風間紫苑……。あたいの名はアギーハ、インスペクターの幹部の四天王さ』

 

 

ディケイド(紫苑)『……?インスペクター……?』

 

 

インスペクター。聞き慣れないその名に怪訝な顔を浮かべて思わず聞き返してしまうディケイド(紫苑)だが、シルベルヴィントはそれに構わず、両手のソードを構え戦闘態勢に入った。

 

 

シルベルヴィント『あんたに恨みはないけど、ウェンドロ様はあんたの中に眠る『力』を欲してる。渡してもらうよ?あんたの体ん中に眠る力……『無限の因子』をねぇッ!』

 

 

ディケイド(紫苑)『無限の……因子……?待ってっ!一体何の―ガギイィィィィィィィィィインッ!!!―グアァッ?!!』

 

 

ナンバーズ『――ッ?!紫苑さんっ!!』

 

 

身に覚えにもない力を渡せと告げられて困惑する隙もなく、シルベルヴィントは信じられない猛スピードでディケイド(紫苑)との距離を詰め高周波ソードで斬り掛かり吹っ飛ばしてしまい、そのまま目にも止まらぬ速さでディケイド(紫苑)に何度も斬り掛かっていく。そのあまりの速さに反応が遅れたナンバーズも吹っ飛ばされるディケイド(紫苑)の姿を目にし、ディケイド(紫苑)を助けようとベルトのバックルのKナンバーに手を伸ばした。その時……

 

 

 

 

 

 

『――レルム・D、起動……出力50%……』

 

 

―ドバアアァァッ!!!!―

 

 

ナンバーズ『?!……え?』

 

 

 

 

 

 

背後から聞こえた無機質な声と何かが破裂するような爆発音。直後に背筋が凍えそうな殺気を背中越しに感じ、ナンバーズが背後へと振り返ると、其処には……

 

 

 

 

 

 

センチュリオR『――成る程……確かに、加減して倒せる相手ではなさそうですね……』

 

 

 

 

 

 

視界を遮ってた爆煙を消し飛ばし、先程とは明らかに雰囲気が変化したセンチュリオRの姿があったのだ。しかも、ディケイド(紫苑)とナンバーズから受けた傷の殆どが完治寸前まで再生し掛けており、遂には完全に傷が塞がって完治してしまった。

 

 

ナンバーズ『そ、そんなっ……ダメージが殆どないっ?!』

 

 

オットー『傷が一瞬で……まさか、自己再生能力?!』

 

 

センチュリオRの信じられない速度の再生能力を目の当たりにしてナンバーズもチンク達も驚愕を隠せずに動揺を浮かべ、それを他所にセンチュリオRは右手に持つブレード・ルミナリウムを大型銃……ランチャー・ジェミナスに変化させ、二つの銃口をナンバーズに突き付けた。

 

 

センチュリオR『……ならば、此処から先は本来の力で戦わせて頂きましょう』

 

 

―バシュウゥッバアァンッバシュウゥッバシュウゥッバシュウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーッッッ!!!―

 

 

ナンバーズ『ッ?!!くっ……ウアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーーッッッ?!!!』

 

 

―ドッガアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーアンッッ!!!!―

 

 

ランチャー・ジェミナスの引き金を引くと共に撃ち出されたのは、無数の実弾とビームの混同射撃。一度に放たれたその銃弾の数々を避け切れる筈もなく、最初の何発かはなんとか凌いでいたナンバーズは銃弾の雨の中に呑まれ、爆発に飲み込まれてしまったのだった。

 

 

リイン『?!ヴィヴィオッ!!』

 

 

クウガ『クッ!俺達が行きますっ!お二人はコイツ等をお願いしますっ!』

 

 

センチュリオRに圧されて追い詰められるナンバーズの危機を見て、クウガは量産型ゲシュペンストMk-Ⅱを殴り飛ばしてテンガと共にナンバーズを助けようと走り出していく。だが……

 

 

 

 

 

 

―シュウゥゥゥゥゥッ……バシュウウウウウウウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーッッッッ!!!!!!―

 

 

イクサF『……ッ?!待て二人共?!避けろっ!!』

 

 

テンガ『……へ?』

 

 

 

 

量産型ゲシュペンストMk-Ⅱをイクサカリバーで斬り裂き撃破していたイクサFは、彼方から迫る一筋の光に気付き、切羽詰まった声で二人を呼び止めたのだ。突然の事にクウガとテンガも疑問符を浮かべ振り返ると、イクサFはいつの間にか二人の目前にまで近づき二人を突き飛ばした。その直後……

 

 

 

 

―ドッガアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーアァンッッッ!!!!!!―

 

 

『?!な……うわああああああああああああああああああああっっ?!!!』

 

 

 

 

イクサFが立っていた場所……正確に言えば、クウガとテンガが先程まで立っていた場所に、極太の砲撃が着弾し巨大な大爆発を巻き起こしたのであった。爆発から発生した爆風にクウガやテンガにリイン、周囲の量産型ライダー達も巻き込まれて吹っ飛ばされ地面に叩き付けられてしまうが、三人は何とか身体を起こし砲撃が着弾した場所に目を向けた。その時……

 

 

―ヒュンッ……ドゴオォォォォォオンッ!!―

 

 

リイン『……え?』

 

 

リインの真横を何かが通りすぎ、次の瞬間、その何かはリインの背後のビルの壁に衝突し爆発を起こしたのだった。僅か数秒間の出来事にリインも言葉も出せず反応が遅れるが、すぐに我を取り戻し慌てて背後へと振り返った。其処には……

 

 

 

 

姫「……ぅ……ぁ……」

 

 

リイン『ひ、姫さんッ?!』

 

 

クウガ『姫さんッ!!!』

 

 

 

 

そう、吹っ飛ばされて壁に叩き付けられたのは、先程の砲撃からクウガとテンガを庇った姫だったのである。変身も強制解除されたその姿は服がズタズタに裂け、全身もヤケドだらけで流れる血も焼き焦げており、腰に巻かれたイクサベルトも半壊しバチバチと火花を散らしている。そんな惨い姿に変わり果てた姫を見たリイン達は慌てて姫に駆け寄り大声で呼び掛けるが、意識を失ってるのか姫から返事は返って来ない。其処へ……

 

 

―ガシャンッガシャンッガシャンッ……―

 

 

ドルーキン『…………』

 

 

クウガ達の前に、重量感を感じさせる重い足音と共にゆっくりと一人のライダー……シルベルヴィントと同じくインスペクターの一員であるシカログが変身したドルーキンが姿を現したのであった。

 

 

テンガ『ッ?!な、なんだアイツ……?!』

 

 

リイン『か、仮面ライダー……?それにあの肩の砲身……まさか、今の攻撃もあのライダーが……?!』

 

 

ドルーキン『…………』

 

 

―ジャラァッ……ブォンッブォンッブォンッブォンッ!!!―

 

 

突如姿を現したドルーキンを目にしてリイン達が警戒を強める中、ドルーキンは無言のままモーニングスター状の巨大ハンマーを何処からか取り出してブンブンと勢いよく振り回していく。それでドルーキンが敵だと改めて認識したクウガとテンガは、リインの前へと飛び出していく。

 

 

リイン『!優矢君、勇輔君!?』

 

 

クウガ『っ……はやてさんは姫さんを頼みますっ!勇輔っ!』

 

 

テンガ『ああ!超変身っ!』

 

 

構えを取って高らかに叫ぶと、テンガの姿はクウガ・タイタンフォームに外見が酷似したアースフォーム、クウガも全身から雷を放ちながらライジングタイタンフォームへと姿を変え、姫が壁に激突して割れた鋭く尖った壁の破片をそれぞれ手にし、アースブレードとライジングタイタンソードに変化させていく。

 

 

そしてテンガは態勢を立て直した量産型ライダー達、クウガはドルーキンに目掛けて走り出し勢いよく斬り掛かっていった。

 

 

リイン『二人共っ……ッ!とにかく今は姫さんの治療や!リイン!』

 

 

リインキバット「は、はいですぅ!」

 

 

そんな二人の後ろ姿を見て、リインは左腰にある四つのフエッスルの中から指輪の形を模した緑のフエッスルを取り出し、バックルの止まり木に止まったリインキバットに吹かせていく。

 

 

リインキバット「カモ~ンシャマル!ですぅ~!」

 

 

可愛らしい掛け声と共にリインキバットが緑のフエッスルを吹くと、まるでそよ風のような何処となく癒しを感じさせるメロディーが響き渡り、直後に彼方から緑色の光球が飛来しリインの隣に降り立ったのだった。その正体は……

 

 

シャマル「――……?あ、あら?私、どうしてこんなところに……?」

 

 

リイン『シャマル!』

 

 

そう、笛の音と共に飛んできた光球の正体は、写真館でなのは達と共に待機していた筈のシャマルであり、その姿は滅びの現象の影響により身に纏う事が出来なかった筈の騎士甲冑に包まれていたのである。

 

 

これがリインの持つ特殊なフエッスル……カモンフエッスルの能力であり、フエッスルを吹くことでヴォルケンリッターの誰かを呼び出し、失われた力を蘇らせ共に戦う事が出来るのだ。

 

 

ただし、戦闘で呼び出せるのは一人だけであり、他のヴォルケンリッターを呼び出す際には先に呼び出したヴォルケンリッターを帰さねばならないというデメリットもある。

 

 

シャマル「はやてちゃん?もしかして、私を呼び出したのは……?」

 

 

リイン『うん、私や。急で悪いけど、シャマルの力を貸して……!』

 

 

未だ動揺気味のシャマルにそう言いながら、グッタリと壁にもたれ掛かる姫に目を向けるリイン。シャマルもそんな姫の姿を見て一瞬目を見開いて驚愕するが、すぐに自分が呼び出された理由を理解し力強く頷き返した。

 

 

シャマル「分かったわ……姫さんの治療は任せてっ!その間はやてちゃん達は、周りの敵をお願いっ!」

 

 

リイン『うん、任せといて。行くでリイン!』

 

 

リインキバット「了解ですぅ!」

 

 

リインキバットにそう呼び掛けながら、リインは早速シャマル達を狙って襲ってきた量産型ゲシュペンストMk-Ⅱに飛び掛かって膝蹴りをお見舞いし、シャマルの治療が完了するまで二人を守ろうと身構えていく。そしてシャマルもリインを信じ、治癒魔法を使って姫の治療を開始していくのであった。

 

 

 

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