仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT 作:風人Ⅱ
―ガキイィッ!!グガアアァンッ!!ガギィッ!!―
『デエアァッ!!』
ディケイド『ゼアァッ!!ハアァッ!!』
そして同じ頃、ローチ達を撃破したディケイドはケルベロスインフェニルティと一騎打ちの剣戟を繰り広げ、互いの間に無数の火花を散らしながら剣と爪をぶつけ合っていた。そしてディケイドがライドブッカーSモードを大振りで振るうと、ケルベロスインフェルニティは背後へと跳躍しビルの壁を蹴ってディケイドに斬り掛かり、ディケイドは咄嗟に地面を転がってそれを避けながらライドブッカーから一枚のカードを取り出した。
ディケイド『相変わらず、ちょこまかと身軽な奴だな……変身ッ!』
『KAMENRIDE:CHAOS!』
ドライバーにカードを投げ入れて電子音声が響くと、ディケイドはDカオスへと変身し、右手に握られていたライドブッカーは左腰に戻され代わりにカオスブレイドが握られていた。
奈央「っ?!変わった……?だけど、データで見た狼みたいなライダーじゃない……」
『カオス?ふん、混沌を司る神の名か。俺の速さに追い付くためにそんな力に頼るとは……ならば見せてやる、俺の本気を……!』
そう言ってカオスに変身したディケイドを見据えながら不敵な笑みを浮かべ、両手を構えながら自らの本気を見せるべく走り出そうとするケルベロスインフェルニティだが、それよりも早くDカオスは既に一枚のカードをドライバーへと投げ入れてスライドさせていた。
『ATTACKRIDE:TIME STOP!』
―ピシイィッ!!―
『……ッ!!?な……にっ……!!?』
奈央「……え?な、何が起きたの?」
電子音声と共に、突如ケルベロスインフェルニティがDカオスに目掛けて駆け出そうとしているポーズのまま固まってしまったのであった。いきなり動かなくなってしまった自分の身体にケルベロスインフェルニティも驚愕と戸惑いを浮かべるが、カオスブレイドの刃をスルリと撫でて立つDカオスを見て、怒りの声を上げた。
『き、貴様っ、まさか俺の時を止めたな……?!』
Dカオス『うん?ああ、良く気付いたな。少々惨いやり方だが……まぁ、許せ。こっちも時間がない』
アッサリした言い方でそう告げながら、Dカオスは左腰のライドブッカーからもう一枚のカードを取り出しバックルに装填してスライドさせていった。
『ATTACKRIDE:TIME QUICK!』
―シュンッ……ズババババババババババババババババババババババババァッ!!!!―
『ッ?!グ、グアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーッッッ?!!!』
再び電子音声が鳴り響くと同時に、タイムクイックを使用したDカオスの姿が奈央とケルベロスインフェルニティの視界から消え、肉眼では捉えられない速さで動けないケルベロスインフェルニティを斬り刻んでいくのであった。そして、Dカオスはすれ違い様にケルベロスインフェルニティを斬り付けながらライドブッカーから再びカードを取り出し、バックルに装填してスライドさせた。
『FINALATTACKRIDE:C・C・C・CHAOS!』
電子音声が響き渡ると、Dカオスの右手に握り締められるカオスブレイドに時を破壊する膨大なエネルギーが蓄積されて刃が光り輝き、そして……
Dカオス『ゼェアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーッッッ!!!!!!』
―ガギイィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィインッ!!!!―
『グ……グハアァッ!!』
―ヒュンッ……ドゴォンッドゴォンッドゴォンッドゴォンッドゴオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォオンッ!!!―
振り向き様にフルスイングで振るわれたDカオスのカオスブレイドがケルベロスインフェルニティへと叩き込まれ、ケルベロスインフェルニティはそのまま真横のビルの壁を突き破りながら遥か遠くまで吹っ飛ばされていったのだった。
奈央「え……えぇぇぇぇ……む、惨いっ……」
Dカオス『ふぃ……悪いな。せめて良い夢見ろよ、番犬ちゃん。先を急ぐぞ、桜井』
とてもじゃないがヒーローらしからぬ勝利を収めたDカオスに奈央が何とも言えぬ目を向けるも、Dカオスはそれに気付かないままケルベロスインフェルニティが吹っ飛ばされた方角に向けて謝罪するように合掌しながらディケイドに戻り、紫苑達の救援に向かうべくディケイダーと奈央の下に歩み寄ろうとした。その時……
―シュンッ……ガギイィッ!!―
ディケイド『?!何……?』
奈央「えっ?!」
ディケイダーと奈央の下に向かおうとしたディケイドの足元に、突如何処からか一本の剣が飛来して深々と突き刺さっていったのだ。いきなり飛んできた剣を目にしてディケイドが驚愕の表情を浮かべながら思わず固まる中、不意に背後から聞き慣れぬ声が届いた。
『……悪いが、お前を雷牙や紫苑達の下に向かわせる訳にはいかないな』
ディケイド『!』
背後から届いた青年の声。それを聞いたディケイドが背後へと振り返れば、其処にはゆっくりとディケイドの下に歩み寄って来る紫のボディのライダー……迅が変身したディソードの姿があり、ディケイドは仮面の下で突如現れたディソードに驚きを浮かべながらも、すぐに表情を険しくさせてディソードを睨み付けた。
ディケイド『何者だ、お前……?』
ディソード『なに、ただの通りすがりさ……お前のような破壊者を監視するだけの、ただのな』
ディケイド『……監視?』
意味深げに語るディソードの言葉に疑問を抱き思わず問い返すディケイド。だがディソードは何も答えないままディケイドの横を通り過ぎて地面に突き刺さった剣……ディソードライバーの前に立ち、ディケイドはそんなディソードを横目に見ながら目を細め、ライドブッカーをゆっくりと握り締めていく。
ディケイド『……お前が誰か知らないが、取りあえず俺を先に進ませる気はない……そういう訳か?』
ディソード『そう解釈してくれれば構わんさ。お前を雷牙や紫苑に近付けさせるわけにはいかない……俺はお前を認めない……お前の中の因子は、世界に必要な存在ではないからな』
ディケイド『因子の事まで知ってるか。しかも紫苑の事まで知っているとなると……成る程、お前の目的が大体分かってきたな……』
握り締めたライドブッカーをソードモードに切り替え、ギラリと妖しげに光る刃を眺めながらそう呟くディケイド。そしてディソードも地面に突き刺さるディソードライバーの柄を掴むと、徐に地面から抜き取って刃を撫でていく。
ディソード『なら用件だけ伝えよう。……お前が持つ因子を、此処に置いていけ』
ディケイド『断る。コレは俺の記憶を取り戻す唯一の手掛かりなんでな……それを見ず知らずの人間にはいどうぞと、渡せるはずないだろう』
ディソード『……ふっ……そんなくだらないものの為に、世界に危機を及ぼすつもりか?』
ディケイド『無論それだけじゃないさ。お前を信用出来ないというのもあるし……こんな悪魔の力、誰かに預ける訳にはいかないんだよ……俺みたいな破壊者を生み出さない為にもな』
こんなものは人間が扱える力ではない。実際この力に振り回され、自分は危うく世界を破壊し掛けたのだ。そんな危険な物を誰かに預けるわけにはいかないし、過去の記憶の手掛かりとなるコレを手放す訳にはいかない。今まで目を逸らしていた自分の過去や因子とも向き合うと、祐輔の世界でフェイト達や自分を救ってくれたリィルにも誓ったのだから。
ディソード『破壊者か……それは、自分が世界を破壊する存在だと認めた上での言葉か?世界を脅かす敵であると……』
ディケイド『討たれる覚悟ならとうに出来ているさ、それを覚悟した上でコイツを使い続けて来たんだ……まあ、今はまだ討たれてやるつもりはないが』
ディソード『……そうか……なら、交渉は決裂だな』
そう呟き、ディソードが身に纏う雰囲気が一気に冷たくなった。それを背中越しに感じ取ったディケイドはライドブッカーSモードの柄を握り直し、ディソードもディソードライバーの刃に映る自分の顔を見つめて僅かに目を鋭くさせた。次の瞬間……
ディソード『――ハアァッ!!』
ディケイド『フッ!』
―ガギイィィィィィィインッ!!!―
ディソードが急に振り返りながらディケイドに目掛けて、ディソードライバーで一閃を叩き込んだのである。ディケイドは咄嗟にそれをライドブッカーで受け止めて切り払いディソードに斬り掛かるが、ディソードもそれを安易く弾き火花を散らしながらディケイドから距離を離す。そして二人はそれぞれの剣を構え直しながらゆっくりと立ち回り、再び互いに向かって駆け出し激しい剣戟を繰り広げていくのだった。
◇◆◇
―ガギイィッ!!ギイィンッガアァンッガギイィンッ!!―
『デエェアァッ!!』
雷牙『チィッ?!ハァッ!』
一方で、雷牙とオーディンディスペアはライガクローと長槍をぶつけ合い無数の火花が散る激戦を繰り広げていた。そしてオーディンディスペアは真下から振り上げた長槍の斬撃で雷牙を吹っ飛ばし、すかさず雷牙に右手を突き出し手の平の前に雷球を構成していく。
『雷の異名を待つのは私だけで十分よ、黒コゲになりなっ!!』
―ズガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!!!―
雷牙『ッ?!クソッ!』
―ドガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!!!―
怒号と共にオーディンディスペアの手の平から巨大な雷の砲撃が放たれ、それを目にした雷牙が咄嗟にその場から飛び退いた瞬間、雷の砲撃は雷牙が立っていた地面に炸裂して大爆発を起こしたのだった。
雷牙(ッ……何て威力だ……あんな物をまともに喰らったらっ……『――羅刹……解放……』……ッ?!)
雷の砲撃で破壊された地面を見て、その驚異的な威力に雷牙が冷や汗を流す中、上空から不意に一つの声が聞こえた。それを耳にして雷牙が慌てて空を見れば、其処には全身からオーラを放ち大剣の切っ先を突き出しながら勢いよく落下して来るオーガの姿があった。
雷牙『しまっ……?!』
オーガ『遅せェッ!羅刹の二、豪刃烈波ぁッ!!』
―ドッガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアンッッ!!!!!―
落下して来るオーガの姿を捉えた時には既に時遅く、雷牙がその場から離れようとするよりも速くオーガの剣の切っ先が雷牙に直撃し、直後にその衝撃で雷牙の真下の地面が破裂し木っ端微塵に吹き飛んだのだった。
黒獅子リオ『ッ!雷ッ!!』
アナザーアギト『よそ見してる余裕なんてねぇぜっ、黒獅子ちゃんよッ!』
その隣でアナザーアギトと一進一退の肉弾戦を繰り広げていた黒獅子リオはその光景を横目に見て一瞬集中が途切れてしまい、アナザーアギトはその隙を逃さず勢いよく振り抜いた右拳を黒獅子リオの腹に打ち込んで怯ませ、更に畳み掛けるかのように回転蹴りを放ち黒獅子リオを後退りさせた。
黒獅子リオ『グゥッ!なんだコイツ……戦い方が目茶苦茶な癖に、隙がない……?』
アナザーアギト『ワリィな?こうなっちまった以上、こっちも後がねぇんだわ……アッチが終わるまで付き合ってもらうぜッ!』
ターゲットである雷牙と出会って自分の考えた作戦がパーになってしまった以上、最早後戻りは出来ない。こうなればこのままサンダーレオンを奪還するしか道はないと、アナザーアギトは再び構えを取って拳を構えながら黒獅子リオに突っ込み殴り掛かっていった。その背後では……
フェイト(別)「ハーケン、セイバアァァァァッ!!」
スバル(別)「ハアァァァァァァァァアッ!!」
エリオ(別)「デェアァッ!」
カイル(別)「ゼェアァッ!」
『フッ!』
―ガギイィィィィィィィィィィインッ!!!―
残った六課の面々をダグバがたったの一人で相手し、その圧倒的な戦力で彼女等の攻撃を次々と跳ね返していた。上空に浮遊するフェイト(別)が放ったハーケンセイバーを片手で払い退け、突進してきたスバル(別)の拳を僅かに身を動かしただけでかわし、それに続くようにエリオ(別)とカイルが振りかざして突っ込んできた槍とガンブレードを両手で意図もたやすく受け止める。直後……
ヴィータ(別)「でえぇあああああああっ!!」
シグナム(別)「紫電、一閃っ!!」
『!』
三人の背後から上空に飛び出したヴィータ(別)とシグナム(別)が鉄槌と剣をそれぞれ構えながら飛び出し、ダグバに目掛けて振り下ろしたのだった。それを見たダグバは咄嗟にスバル(別)とカイルを突き飛ばすと、二人に手の平を向け衝撃波を放ちヴィータ(別)とシグナム(別)を後方にまで吹っ飛ばしてしまった。
シグナム(別)「グゥッ!!」
なのは(別)「シグナムさん!ヴィータちゃん!大丈夫?!」
ヴィータ(別)「っ!大丈夫だっ……けどアイツ、威圧感がハンパじゃねぇぞっ……」
痛みの走る身体に顔を歪めながらヴィータ(別)が目の前に視線を戻せば、其処にはヴィータ(別)達が態勢を立て直すまで足止めしようと援護するティアナ(別)達の一斉射撃を受けながらも、全くビクともせず静かに佇むダグバの姿があった。そんな光景になのは(別)とフェイト(別)も戦慄を覚えながらも、二人は互いに顔を見合わせて頷き、ダグバに再び攻撃を仕掛けていくのだった。
―ズザアァァァァァァァァァァアッ!!!―
雷牙『グウゥッ!ハァ……ハァ……クソッ……』
オーガとオーディンディスペアが放つ強烈な連続攻撃をなんとかライガクローで受け止めるも、衝撃までは殺せず後方まで吹き飛ばされてしまう雷牙。その姿はボディの所々が削れてボロボロになり、仮面部分にも皹が入り痛ましい姿になっていた。
雷牙(コイツらっ、今まで倒してきたインフェルニティ達と比べものにならないっ……強すぎるっ……)
仮面の下で額から血を流しながらオーガ達の戦闘力の高さに驚きを隠せない雷牙だが、それも当たり前だ。相手は以前にも零や竜胆や祐輔を追い詰めた事がある手足れであり、並行世界の敵との戦闘経験が無いこの時代の雷牙が勝てないのも当然だった。
肩で呼吸を繰り返し思わず弱音を吐きそうになるそんな雷牙の前に、オーガとオーディンディスペアがゆっくりと対峙しボロボロの雷牙に向けてオーガが大剣の切っ先を突き付けた。
オーガ『もう十分だろう?お前じゃ俺らには勝てねぇ……これ以上痛め付けられたくなかったら、大人しくお前が持ってる契約獣……サンダーレオンを俺らに寄越しな』
雷牙『ッ!サンダーレオン……?何故お前達がアイツを……?!』
オーガ『知る必要ねぇだろ。良いから大人しく渡せ、こっちの用が済めばお前に返してやるからよ……多分な』
雷牙『…………』
今の雷牙の力では自分達を倒す事は出来ない。オーガはその事実を突き付けた上でサンダーレオンを渡せと大剣の切っ先を向けて警告すると、雷牙は少しだけ口を閉ざした後、無言のまま首を横に振った。
雷牙『お前達が何者かは知らないし、何の目的の為にサンダーレオンを欲してるかも知らないが……それは出来ない相談だ。サンダーレオンは俺の相棒であり、大切な友だ。それを見ず知らずのお前達に渡すなど、出来る筈がない!』
オーガ『……そーかい……おたくがそういう構えなら、こっちももう容赦しねぇぜ……?例え死んだお前の手から奪うことになってもなァッ!』
『初めっからそうすれば良いでしょ?戦いなんてのは生きるか死ぬかの命のやり取り、負けた方は命なんてないのよッ!』
サンダーレオンは渡さないと拒否してライガクローを構え直す雷牙にそう叫び、大剣と長槍を再び構えてくオーガとオーディンディスペア。そして三人は互いの間合いを徐々に詰めていき、相手の出方を伺って飛び込むタイミングを見計らっていた。その時……
―ヒュウゥゥゥゥゥゥ……ドゴオォンッ!!ドゴオォンッ!!ドゴオォンッ!!ドゴオォンッ!!―
雷牙『ッ?!』
オーガ『?!な、何だ?!』
なのは(別)達『キャアァッ?!』
上空から、突如数発のエネルギー球が飛来し雷牙達やオーガ達の周りに見境なく直撃し爆発が巻き起こったのである。爆風によって辺りの車等が吹き飛ばされる中、雷牙達とオーガ達はなんとか耐え気って吹き飛ばされずに済み、爆風が少しずつ晴れるとエネルギー弾が飛来した上空から複数の人影が降り、雷牙達から離れた場所に着地した。それは……
『――ご機嫌よう皆さん?お取り込み中の所にお邪魔してごめんなさい♪』
雷牙『ッ……?!』
黒獅子リオ『何だ、アイツは……?』
雷牙達の前に突如として現れたのは、黄金に輝く甲冑を纏った女王の様な外見の怪人……クアットロが変身したデザイアドーパントと、革袋を被せた複数の何かを抱えるレジェンドルガ達だったのだ。
突然の攻撃と共に乱入してきたデザイアドーパント達に雷牙達も驚愕と困惑を隠せない中、オーガ達はその聞き覚えのあるデザイアドーパントの声から、彼女の正体にすぐさま気付きデザイアドーパント達に向けて叫んだ。
オーガ『その声……テメェ、例の裏切り者の戦闘機人かっ?!』
『ウフフッ、気付きました?ご明察……。お久しぶりですねぇ追跡者の皆さん?お元気にしてましたぁ?』
アナザーアギト『……元気っちゃ元気だが……そっちは随分と変わったじゃないの?そんな全身ピカピカになっちゃって』
『おかげさまでねぇ。けど、今は貴方達なんかに構ってる時間はないんですよ』
オーガ『何……?』
彼女達の天敵である自分達を前に余裕に満ちた態度で素っ気なくそう告げるデザイアドーパントに眉を寄せて険しげに聞き返すオーガだが、デザイアドーパントはそんなオーガ達を無視し、未だ呆然と佇む雷牙に目を向けて口を開いた。
『初めまして、仮面ライダー雷牙?私は、並行世界のナンバーズのNo.4……クアットロと申します。以後、お見知り置きを』
雷牙『クアットロ……?』
フェイト(別)「ナンバーズって……まさか、スカリエッティが生み出した戦闘機人の?!」
デザイアドーパントが口にしたナンバーズの名に反応して身を乗り出すフェイト(別)。そんな彼女の声を背中越しに聞き取った雷牙はそれで目の前の怪人の正体を知り、内心警戒心を強めながらデザイアドーパントと向き合い問い掛けた。
雷牙『クアットロと言ったか……それで?並行世界の戦闘機人のお前が、俺に何の用だ?』
『いえいえ、別に大した用ではありませんよぉ?ただ貴方と取り引きをしたいと思い、こうして貴方にご挨拶しに足を運んだだけですから♪』
雷牙『取り引き……?俺とか?』
一体自分と何の取り引きをしようと言うのか?疑問符を浮かべて雷牙がそう問い掛けると、デザイアドーパントは雷牙に向けて手を伸ばしこう告げた。
『実は、私達の目的の為にも貴方が契約する雷の獅子……サンダーレオンが必要でしてね?今日はその貴方のペットを、私達に譲り渡してもらえないかとお願いしに参ったんですよ♪』
雷牙『?!お前達もサンダーレオンを……?!』
『ええ。まあ、其処の連中は私達をおびき寄せる為に野蛮なやり方で貴方達からサンダーレオンを奪おうとしてたみたいですが、私達はそんな事しませんから、安心して下さいな♪』
『はぁ……?言ってくれるじゃないのよ、金メッキ風情が……』
あからさまに嫌味を込めたデザイアドーパントの言い方にオーディンディスペアも癪に障ったのか、ドスの利いた声と共に踏み出そうとする。が、それを止めるようにアナザーアギトが横から腕を伸ばして制止し、代わりにオーガが前に歩み出た。
オーガ『俺達の前に堂々と姿を現すたぁ、随分と余裕じゃねぇか……?そんな姿になったからって、俺らとやり合えるとでも思ってんのか?』
最早彼女達本人が自ら出て来た以上、オーガ達に雷牙と戦う理由はない。此処でクアットロを倒して捕らえさえすれば、彼等の任務は達成されるのだ。既に雷牙からデザイアドーパントに標的を変えているオーガ達だが、デザイアドーパントは余裕に満ちた邪な笑みを浮かべてクスリと笑った。
『確かに、私だけで貴方達全員を相手にするのは少々面倒ですわねぇ……でも、別に戦う必要なんてないでしょう?だって――』
―パキィッ!―
そう言いながらデザイアドーパントが片手を上げ軽く指を鳴らすと共に、背後に控えるレジェンドルガ達がそれぞれの抱える何か……『道具』達に被せた革袋を勢いよく剥ぎ取り、その下に隠された物を露わにさせた。
雷牙『――なっ?!!』
オーガ達『ッ?!!』
スバル(別)「そ、んな……あれってっ……!?」
露わになった革袋の中身。それを目にした雷牙達は信じられない物でも見たかのように目を見開いて驚愕し、オーガ達は驚愕のあまり言葉を失い絶句してしまう。何故なら……
男の子A「……ッ!!!?ッ!!!~~ッ!!!」
女の子B「ッッ~~~~~!!!!」
『―――私達はあくまで、"平和的解決"が目的なんですから♪』
ニコッと、まるで天使の皮を被った悪魔の様な笑みと共にデザイアドーパントが右手で差したのは、革袋で隠されていた中身……両手を拘束されて自由を奪われ、口を塞がれて叫ぶこともままならず、涙でグチャグチャになった顔で雷牙達に必死に助けを求める六人の子供達の姿だった……。