仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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第二十一章/雷牙の世界⑨(前編)

 

 

 

そして、雷牙達がデザイアドーパントと対峙するその頃……

 

 

―ズガアァッ!バキィッ!バキャアァッ!!―

 

 

『ヌグアァッ?!』

 

 

―ドッガァァァァァァァァァァァァァーーーーーアァンッ!!!―

 

 

リイン『まだまだっ!ヤァッ!』

 

 

シャマルが姫の治療に専念する中、リインは前後左右からネオプラズマカッターを抜いて襲い掛かる量産型ゲシュペンストMk-Ⅱ達の攻撃を避けながら力強く拳を叩き込み、上空から急降下して不意を突こうとした量産型ヒュッケバインMk-Ⅱへと跳び回し蹴りを打ち込んで頭を粉砕し爆散させていた。その一方で……

 

 

―ガキイィッ!!ガギギギギギギギギギギイィッ……!!!―

 

 

クウガRT『グッ!くううううううっっ……グアァァッ!!!』

 

 

ドルーキンが放った巨大なハンマーをライジングタイタンソードでなんとか受け止めようとするクウガだが、余りの威力に耐え切れず弾かれ盛大に吹っ飛ばされてしまっていた。更に其処へ追い撃ちを掛けるようにドルーキンが胸の砲身から巨大なビーム砲を撃ち出し、吹っ飛ばされるクウガを飲み込んで爆発を起こしていった。

 

 

クウガRT『ガアァァッ!!ぁ……ぐっ……!クソッ……アイツ、堅すぎるし……攻撃の威力が高すぎるっ……!』

 

 

ライジングタイタンフォームの持ち前の防御力でどうにか持ち堪えなんとか踏ん張り、仮面の汚れを拭いながらドルーキンを見据えて思わず毒づくクウガ。

 

 

先程からどんなに剣を叩き込んでもあの重装甲の前に全て弾かれ、こちらの攻撃を一切寄せ付けない。

 

 

加えてこちらは、向こうの攻撃を一方的に喰らい続けてボディの所々が焼き焦げボロボロになっており、その姿から分かる通りダメージ量も半端ではなく足元も覚束ない状態だ。

 

 

それでも背後にいるリインや姫達にコイツを近付けさせるワケにはいかないと、クウガは力が上手く入らない自分の身体に鞭を打ってライジングタイタンソードを両手で握り直していくが、ドルーキンは再び右手に握る巨大なハンマーを勢いよく振り回し始め、そんなクウガに目掛けて容赦なく頭上から振り下ろしていった。

 

 

クウガRT『ッ!!やらせるかよぉぉぉぉぉっっ!!!』

 

 

―ガギイィッ!!!ドバアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアンッッ!!!!―

 

 

しかしクウガも咄嗟に頭上から迫るハンマーをかわすようにドルーキンに目掛け勢いよく飛び出し、ハンマーはそのまま何もない地面に打ち込まれ大きく地面を沈没させる。

 

 

そして、ハンマーの一撃を避けたクウガはそのままドルーキンに突っ込みながら徐々にライジングドラゴンフォームに姿を変えると、右手に持つライジングカラミティソードをライジングドラゴンロッドに変化させて投擲の構えを取り、ドルーキンも迫り来るクウガを迎撃しようと咄嗟に胸部の砲身にエネルギーを溜めてビーム砲を放とうとするが……

 

 

クウガRD『させるかァッ!』

 

 

―ブオォォンッ!ズシャアァァァァッ!!!―

 

 

ドルーキン『……!』

 

 

ビームが撃ち出される前に、クウガがライジングドラゴンロッドをドルーキンの胸部の砲身に向かって投げ付け、砲身に槍を突き刺しビームの発射を封じたのであった。

 

 

そうして発射を封じられたドルーキンは数歩ふらつきながら後退りし、クウガは更にドルーキンの胸に突き刺さったライジングドラゴンロッドを掴み、そのまま捩り込むように強引に押し込んでいく。

 

 

―ガギイィッ!ジジジジジジジジジィッ……!!―

 

 

ドルーキン『!!』

 

 

クウガRD『グウゥッ!このままっ……一気にっ!!』

 

 

槍を強引に押し込みながら、封印エネルギーを一点に集中させて流し込んでいくクウガ。

 

 

そんなクウガを離れさせようとドルーキンもハンマーを手放してクウガを掴み強引に引き離そうとするが、クウガはライジングドラゴンロッドを掴んだまま離れようとせず封印エネルギーを流し続け、ドルーキンの胸の砲身の周りに徐々に亀裂を入れ始めていく。だが……

 

 

 

 

 

 

 

 

―ズシャアァッ!!―

 

 

クウガRD『……え?』

 

 

 

 

 

 

 

 

直後に、突如クウガの腹部に激痛が走ったのだった。

 

 

その突然の感覚にクウガも一瞬何が起きたのか分からず唖然となり、ゆっくりと自分の身体を見下ろせば、其処には何故か赤い粘膜が付着した"白い刃"がクウガの腹から突き抜けていた。

 

 

クウガRD『なっ……ぇ……コレ……はっ……?』

 

 

自分の身体から突き抜けるソレを目にして、クウガは何が起きたのか理解出来ぬまま徐に背後へと振り向いていく。其処には……

 

 

 

 

 

 

―ブォォンッ―

 

 

センチュリオ『…………』

 

 

クウガRD『ッ?!お、まえ……は……?!』

 

 

 

 

 

 

其処には、センチュリオRと全く同じ姿をした純白のライダー……センチュリオシリーズの最下級クラスのセンチュリオ・アウジリスがブレード・ルミナリウムを握り、仮面のモノアイを妖しく光らせながら無言でクウガを貫く姿があったのだった。更に……

 

 

 

 

 

 

―ブオォォォォンッ……―

 

 

センチュリオ『…………』

 

 

センチュリオ『…………』

 

 

センチュリオ『…………』

 

 

リイン『っ?!な、何やの……アレ……?』

 

 

 

 

 

 

ゴウラムの活躍により徐々にその数が減って墜落していく量産型ヒュッケバインMk-Ⅱ達の遥か上空に突如歪みの壁が現れ、其処から無数のセンチュリオの大群がゆっくりと姿を現したのである。漸く敵の数が減り始めた中で新たに出現したその白ずくめの軍勢を見て、リインが驚愕して目を見開く中……

 

 

―チュドオォォォォォォーーーーーーーーーーオンッ!!!―

 

 

リイン『ッ?!』

 

 

遠方から鳴り響いた爆発音。それを耳にしたリインが再び驚愕し慌てて背後へと振り返ると、其処には……

 

 

 

 

優矢「…………ぅあ…………ぁ……ごばぁっ……」

 

 

 

 

リイン『ゆ、優矢君ッ?!』

 

 

ビルの壁の一角が壊され、その奥には瓦礫に埋もれながら口や腹部から夥しい量の血を流して倒れる優矢の姿があったのだ。その有様は遠くから見ても致命傷と分かる瀕死の重傷を負っており、その近くには優矢にトドメを刺そうとゆっくりと近づくドルーキンとセンチュリオの姿があった。

 

 

リイン『っ!あかん……!優矢君っ!―ズバァッ!―くぅッ?!』

 

 

直ぐさま優矢を助けに走り出すリインだが、真横から量産型ゲシュペンストMk-Ⅱが振るったネオプラズマカッターに阻まれてしまい、其処から続々と襲い来る残りの量産型ライダー達に邪魔されて動けなくなってしまう。そしてその間にもドルーキンが優矢に接近し、片手に握るハンマーを振り上げようとした。その時……

 

 

テンガA『やらせるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!』

 

 

―ガキイィンッ!!―

 

 

ドルーキン『?!』

 

 

優矢に向けその巨大な鉄球が放たれようとした直前、今まで量産型ライダー達と戦い撃破していたテンガがアースブレードを振りかざしながらその間に割り込み、ドルーキンに渾身の斬撃を叩き込んで後退させたのだった。

 

 

優矢「……ぁ…………ゆ……ぅ…………すけ……?」

 

 

テンガA『ッ!しっかりしろ優矢っ!気をしっかり持てっ!―ガキイィンッ!―グゥッ?!』

 

 

自分を助けたのがテンガだと分からないぐらい意識が曖昧なのか、消え入りそうな声で勇輔の名を呟く優矢に大声で呼び掛けるテンガ。だが直後にセンチュリオがブレード・ルミナリウムを振りかざしながらテンガへと斬り掛かり、テンガは咄嗟にアースブレードでそれを受け止めて剣戟を繰り広げていく。

 

 

シャマル「勇輔君っ!」

 

 

テンガA『クッ!シャマルさんっ!!今の内に優矢の手当てをっ!!早くっ!!』

 

 

シャマル「っ……!でも、まだ姫さんの手当てがっ……―キュッ……―っ?!」

 

 

まだ重傷の姫の治療が完了してない為に此処を離れることを躊躇ってしまう中、不意にシャマルの服の袖を何かに引っ張られた。それに驚きながらシャマルが目線を下げると、其処には気を失っていた筈の姫が弱々しくシャマルの服の袖を引っ張る姿があった。

 

 

シャマル「姫さん?!」

 

 

姫「ッ……シャマル……私はもう、大丈夫だ……君は…優矢の治療をっ……」

 

 

シャマル「な、何言ってるんですかっ!確かに火傷はある程度引きましたけど、まだ姫さんの怪我はっ……!!」

 

 

姫「心配しなくていいっ…死にはしないさっ……私は不死なんだ……だが、優矢は私とは違うっ……急ぐんだシャマル……手遅れになる前にっ……早くっ……!」

 

 

シャマル「っ……姫さんっ…」

 

 

ガクガクと小刻みに震える右手で袖を必死に引っ張りながら、優矢の下に急げと促す姫。そんな姫の言葉を聞いてもシャマルは煮え切らない顔を浮かべるが、今にも叫び出したい程の激痛を感じている筈なのに真っすぐな眼差しを向けて来る姫の目を見て決意が固まり、力強く頷き返し優矢の下に向かっていったのだった。

 

 

姫「……フフ……決心が早くて助かる、な……グゥッ!」

 

 

優矢の下に急ぐシャマルの後ろ姿を見送って安堵するように吐息を零すも、すぐに左腕に走った激痛に顔を歪めた。どうやら骨が折れてしまってるのか、指一本すら動かせず持ち上げる事も出来ない。

 

 

姫「っ……参った……コレでは力を使って治癒術を……使う事も出来ない、かっ……」

 

 

力を使うには右手と左手を合わせることが発動条件の一つなのだが、左腕がこの状態では力を発動させる事は難しい。それでもどうにかしてこの傷を治療しなければと、姫は震える右手で必死に左手に触れようと伸ばしていくが……

 

 

 

 

 

―ガシャッ!ガシャッ!ガシャッ!―

 

 

センチュリオ『…………』

 

 

センチュリオ『…………』

 

 

センチュリオ『…………』

 

 

 

 

 

そんな姫の目前に、上空に現れたセンチュリオの大群の中の数体が降り立ち、リングに付属した純白の羽をブレード・ルミナリウムに変質させて右手に握りその切っ先を姫に向けたのだった。それを見た姫は思わず苦笑いを浮かべると、壁に寄り掛かったままズルズルと気だるげに立ち上がり、半壊したイクサナックルをベルトから取り出し左肩に押し付けた。

 

 

『RE…D…Y…』

 

 

姫「やれやれっ……少しは、休ませてはくれないものか……変身っ……!」

 

 

『F…I・S…O……N…!』

 

 

カタカタと右手を震わせてバックルにイクサナックルをセットすると、ノイズが雑じった壊れ掛けのような電子音声と共に、ボディの所々が破損して無惨な姿に変わり果てたイクサFへと変身した。そして変身した姫を見てセンチュリオ達はそれぞれの剣を構えていき、イクサFもイクサカリバーガンモードの銃口を突き付け発砲していくのだった。

 

 

―ガキイィィィィィィィィィィィィィーーーーーイィンッ!!!!―

 

 

ディケイド(紫苑)『グアァッ?!ぐっ、うあぁっ!』

 

 

そしてその近くでは、ディケイド(紫苑)が目にも留まらぬ速さの突撃を繰り返すシルベルヴィントの攻撃を受けて何度も吹っ飛ばされてしまう姿があった。その姿は、殆ど反撃も出来ないまま一方的に痛め付けられているせいでボディの所々に切り傷が刻まれており、そんなディケイド(紫苑)の前にシルベルヴィントが姿を現して妖しげに微笑んだ。

 

 

シルベルヴィント『ふっふふふふっ、随分と呆気ないねぇ風間紫苑?因子を使えなきゃこの程度なのかい?』

 

 

ディケイド(紫苑)『くっ……!このっ……!』

 

 

余裕の笑みを浮かべるシルベルヴィントを睨み付けながら立ち上がろうとするも、ディケイド(紫苑)はすぐによろめいて片膝を着いてしまい、同時に目前の敵に対する反論が思い浮かばずに舌打ちしてしまう。

 

 

シルベルヴィントのあの速さに対抗するためにはクロックアップ並の速さが必要だが、ディケイド(紫苑)はそのカードをまだ取り戻せていない。

 

 

つまり、今手元にシルベルヴィントの機動力に太刀打ち出来る切り札がないのである。

 

 

シルベルヴィント『さて、そろそろ終わらせようじゃないかい風間紫苑?あんたの旅も、あんたの命も……此処でねぇッ!!』

 

 

ディケイド(紫苑)『ッ……!』

 

 

両腕に装備した高周波ブレードを十字に重ね合わせ、バーニアを再び噴出させてディケイド(紫苑)にトドメを刺そうと突っ込んで来るシルベルヴィント。それを目にしたディケイド(紫苑)も直ぐさま立ち上がろうとするが、ダメージのせいで膝の力が抜け再び跪いてしまい、その間にもシルベルヴィントの凶刃が迫りディケイド(紫苑)を貫こうとした。その時……

 

 

 

 

 

 

―バサアァッ!!―

 

 

「はあぁッ!」

 

 

シルベルヴィント『ッ?!―ドッガアァンッ!!!―うぐああぁぁっ?!!』

 

 

―チュドオォォォォォォォォォーーーーーーオォンッ!!!―

 

 

ディケイド(紫苑)『……ッ?!え……?』

 

 

 

 

 

 

何処からか羽が羽ばたくような音が聞こえ、それと共にシルベルヴィントが真横から猛スピードで飛び出してきた何者かに蹴り飛ばされビルの壁に叩き付けられていったのであった。その突然の光景を見て、ディケイド(紫苑)は一瞬目を丸くさせて唖然となると、すぐさまハッと我に返ってシルベルヴィントを蹴り飛ばした物の正体に視線を向けていく。それは……

 

 

 

 

 

 

 

 

アズサ「――っ……何とか、間に合ったっ……」

 

 

ディケイド(紫苑)『ッ?!君は……』

 

 

 

 

 

 

 

 

背中から伸ばした白い羽根を羽ばたかせて浮遊し、脇腹を抑えながら苦痛で顔を歪める病人服を身に纏った少女……機動六課の医務室で眠っているハズのアズサだったのだ。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

―機動六課・ロングアーチ―

 

 

はやて(別)「?!あ、あの娘はっ……?!」

 

 

時を同じくし、機動六課でディケイド(紫苑)達の戦いを見守っていたはやて(別)は、戦場に現れたアズサを見て目を見開きながら驚愕していた。確かアズサは今六課の医務室で眠っていて自分達の監視下に置かれていた筈なのに、何故彼女が今彼処にいるのか?呆然とアズサの姿が映し出されたモニターを見つめてはやて(別)が固まる中、彼女の前に突然通信パネルが現れた。

 

 

シャマル(別)『は、はやてちゃん!聞こえる?!』

 

 

はやて(別)『?!シャマル……?』

 

 

はやて(別)の前に出現した通信パネルの画面に映し出されるのは、医務室でアズサの治療と見張りを任されていたハズのシャマル(別)であり、その様子は落ち着きがなく表情にも焦りが浮かんでいた。

 

 

シャマル(別)『落ち着いて聞いて!実は、あのアズサって娘が医務室からいなくなっちゃったの!まだ傷も塞がってなくて安静にしてないといけないのに、少し目を離した隙に警備の人達を気絶させて逃げ出したみたいで!今スタッフの皆で探し回ってるんだけど……はやてちゃん?聞こえてる?』

 

 

はやて(別)「…………」

 

 

画面を良く見てみると、確かにシャマル(別)の背後にアズサの警備を任せた局員達がベッドの上に横たわる姿が見える。それが今彼女が話した通りアズサによる物なのだと改めて思い知らされ、はやて(別)は必死に説明するシャマル(別)の声も耳に入らず眉間を抑えてゆっくりと項垂れてしまうのだった。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

そうしてその頭痛の原因であるアズサは、先程蹴り飛ばしたシルベルヴィントが叩き付けられたビルの壁を見据えながら空を浮遊していたが、額から汗を流しながら赤い血が滲み出ている脇腹を強く押さえていき、其処へ彼女の内側の存在であるアスハの溜め息が入り混じった呆れ声が聞こえてきた。

 

 

アスハ『ったく……アンタの非常識さと無鉄砲さにはホントに頭が痛くなるわね……。やっと目を覚ましたと思ったらいきなりベッドから跳び起きて、押さえに掛かった警備の奴らを全員薙ぎ倒すとか……』

 

 

アズサ「っ……だって……皆が戦ってるのに、私だけ眠っている訳にはいかないし……零と雷が早く仲直り出来るように、こんな戦い、早く終わらせないとっ……」

 

 

アスハ『……はぁ……別にアンタ一人が気張った所で、この戦いが早く終わる訳じゃないでしょうよ……』

 

 

自分の身体の事も無視して戦おうとするアズサに呆れ溜め息を吐いてしまうも、彼女がこうなってしまっては自分が止めても言う事を聞かないだろう。こういう頑固頭なところは零に似てしまってるしと、アスハはもう一度深く溜め息を吐き、アズサの人格を無理矢理身体の奥に引っ張り込んで表へと出ていった。

 

 

アズサ『?!アス、ハ……?』

 

 

アスハ「……どうせ、私が止めろつっても聞かないんでしょ、アンタは?此処で私が無理矢理帰らせても、またアンタが無理矢理入れ替わって戦いに向かおうとするだろうし……そんなのはごめんだから黙って引っ込んでなさい。この程度の怪我は、私ならアンタより平気で戦えるから」

 

 

『CHANGE UP!SYUROGA!』

 

 

それだけ告げて腰にベルトを出現させると、アスハはシュロウガへと変身し右手の手の平の真ん中に現れた魔法陣からデスディペルを取り出し戦闘態勢に入った。そしてディケイド(紫苑)が未だ呆然とシュロウガを見上げる中、シュロウガは視線を動かさないままディケイド(紫苑)に呼び掛けた。

 

 

シュロウガ『アンタも何時までそうしてるつもりよ?ボーッとしてないで、苦戦してるヴィヴィオを助けにでも行ったらどう?』

 

 

ディケイド(紫苑)『っ?!アズサちゃん……じゃない?君は……一体……?』

 

 

シュロウガ『そんなの気にしてる場合?今はそれより、アンタがやるべきことが他にあるんじゃないの?』

 

 

ディケイド(紫苑)『………………』

 

 

ディケイド(紫苑)の疑問に対し答える素振りを見せず、冷たく突き放すようにそう言い放つシュロウガ。そんなシュロウガの態度から自分がどんなに疑問を投げ掛けても答えることはないのだろうと感じ取り、ディケイド(紫苑)は少しだけ考えるように顔を俯かせると、シュロウガに向けて頷き返しナンバーズの加勢に向かうべく走り出していくのだった。その直後……

 

 

―バゴオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォオンッッ!!!―

 

 

シルベルヴィントが叩き付けられたビルの屋上が爆発し、其処から勢いよく何かが飛び出した。シュロウガがソレを追うように遥か空を見上げていくと、其処には先程アズサに蹴り飛ばされた際に破損したマスクの片方のごく僅かの隙間から、怒りに満ちた瞳でシュロウガを見下ろす一人の異形……シルベルヴィントの姿があった。

 

 

シルベルヴィント『っ……あんたかいっ……あたいの顔を踏み付けて蹴り飛ばしてくれたのはっ!!』

 

 

シュロウガ『えぇ、そうよ。でも、随分と綺麗な顔になったじゃないの?さっきまでのブサイクな面より、そっちの方が何万倍マシだと思うけど?』

 

 

シルベルヴィント『言ってくれるじゃないかいっ……小娘がッ!』

 

 

挑発するように鼻を鳴らし嘲り笑うシュロウガの言葉に怒り、シルベルヴィントは両腕の高周波ブレードに光を纏わせ身構えていく。そうしてそれを見たシュロウガもデスディペルを軽く振るって風を起こし、シルベルヴィントに向けてかかって来いと言わんばかりにクイクイとジェスチャーをしていく。

 

 

シュロウガ『さ、こっちもあんま時間掛けれないからとっとと掛かって来なさい。ちょっとだけ遊んであげるからさ、オ・バ・サ・ン?』

 

 

シルベルヴィント『オバっ……?!このっ……尻の青い小娘風情が、調子に乗るんじゃないよォッ!!』

 

 

『オバサン』の部分をわざとらしく強調して挑発するシュロウガに遂にぶちギレ、スタートダッシュから既に超スピードでシュロウガに突っ込み斬り掛かるシルベルヴィント。だがシュロウガもシルベルヴィントと同じく超スピードでそれを回避し、互いに空へ戦いの場を変えて超高速バトルを繰り広げていくのだった。

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

ディソード『デェアッ!!ハッ!!』

 

 

ディケイド『チィッ!!』

 

 

その頃、ディケイドは自身の因子を狙い突如襲ってきたディソードと剣を交えて一進一退の攻防を繰り広げていた。だが、ディソードが振りかざすドライバーをライドブッカーSモードで受け止めて反撃するその顔には、何処か焦りが浮かび始めている。

 

 

ディケイド(クソッ……!コイツ、隙が中々見付からないっ……こんな奴に時間を取られてる暇はないっていうのにっ……!)

 

 

先程からディソードの戦闘不能を狙い急所を集中して攻撃するも、そのすべてがディソードに安易く弾かれ無効化されてしまい、決着の決定打となる一撃を与えられず時間ばかりが過ぎていくだけだったのだ。このままでは雷や紫苑達の助けに間に合わないと、次第に焦燥が募り始めてたディケイドは一旦ディソードから距離を離し、ライドブッカーを左腰に戻しながら一枚のカードを取り出してバックルにセットした。

 

 

『KAMENRIDE:KABUTO!』

 

 

電子音声が響き渡り、それと同時にディケイドの姿がカブトへと徐々に変化していく。そして右手に現れたクナイガンを逆手に構え、ライドブッカーから一枚のカードを取り出しバックルに装填してスライドさせた。

 

 

『ATTACKRIDE:CLOCK UP!』

 

 

―シュンッ!―

 

 

ディソード『ッ!クロックアップか……―ガキイィッ!!―グッ?!』

 

 

再び電子音声が響き渡ると共に、Dカブトはクロックアップ空間に突入して音速すら超えるスピードでディソードへと突っ込み、すれ違い様にクナイガンで斬り付けて吹っ飛ばしていったのだった。そしてDカブトは間髪入れずディソードが地面に落下する前に何度も突進を繰り返して吹き飛ばしていき、そのまま上空へと飛び上がりディソードにクナイガンの切っ先を向けながら落下してトドメを刺そうとした。が……

 

 

『ATTACKRIDE:INVISIBLE!』

 

 

Dカブト『ッ?!何?!』

 

 

クナイガンの刃が届く直前にディソードのドライバーから電子音声が響き、直後にディソードは無数の残像と化して何処かへと消えてしまったのだ。それを目にしたDカブトは目を見開きながらディソードが消えた場所へと着地し、クロックアップを解除して辺りを見回しディソードの姿を探していくと……

 

 

『KAMENRIDE:KICK HOPPER!』

 

 

『デェアアァッ!!』

 

 

Dカブト『ッ!―ガキイィィィィッ!!―クッ?!』

 

 

不意に背後から電子音声が鳴り響き、それを耳にしたDカブトは咄嗟に背後へと振り返りながらその場から飛び退いてクナイガンを振るい、背後から放たれた攻撃と激突し火花を散らしたのだった。そしてDカブトは十分に距離を取って目前を見据えると、其処には、緑色のボディと赤い複眼を持ったバッタをモチーフにした姿の仮面ライダー……キックホッパーに変身したディソードが、右足を振り上げて立つ姿があった。

 

 

Dカブト『ッ!その姿……お前も他のライダーに変身出来るのか?』

 

 

Dキックホッパー『使えるには使えるが、普段は余り多様しない力だ……だが、お前を相手に出し惜しみをしていては勝つ事など叶わんだろう?』

 

 

Dカブト『ッ……そうまでして、何故俺の因子を狙う?お前が言う監視とは、何の事だ?』

 

 

Dキックホッパーとの距離は十メートル。全力で踏み込めば十分に間合いを詰められると考え、DカブトはDキックホッパーに見えぬようにライドブッカーからゆっくりと一枚のカードを取り出していく。

 

 

Dキックホッパー『お前や紫苑等が破壊者と称されるように、俺にも一つの役目……監視者としての使命が存在する』

 

 

Dカブト『監視者……?』

 

 

Dキックホッパー『そう、ディケイドが世界の外敵となる危険な存在にならないように監視し続ける者……向こう側で言えば、紫苑が世界の破壊者とならぬよう見張ってるのさ。奴の中の"因子"が目覚めないようにな』

 

 

Dカブト『ッ?!因子だと?!』

 

 

"因子"というワードを口にしたDキックホッパーに、目を見開いて驚愕を露わにするDカブト。まさか紫苑も、自分の中に宿る因子と同じような物を持っているというのか?そんな疑問が浮かび上がり聞き返そうとするよりも早く、Dキックホッパーは話の続きを語り出した。

 

 

Dキックホッパー『ヤツの中に眠るのは、お前の破壊の因子と同じく無限を司る因子……一度その力が解き放たれれば、無限の動力と力を得る事が出来る』

 

 

Dカブト『無限……つまり、無限の因子って事か……だが、何故紫苑がそんな物を持ってるんだ?俺が以前クアットロに無理矢理埋め込まれたように、アイツも誰かに因子を埋め込まれたのか?それとも――』

 

 

Dキックホッパー『それを貴様が知る必要はない……どうせお前は此処で消える。お前が破壊の因子を渡さないなら、お前ごとソレを抹消するまでだからな』

 

 

Dカブト『……それは、今という状況を理解しての言葉か?』

 

 

Dキックホッパー『貴様を紫苑に近づけて、奴の中の因子に良からぬ予兆を招くよりマシだろ。特に、今の不安定な状態の貴様は危険過ぎる……』

 

 

Dカブト(……?不安定?)

 

 

険しげにそう語るDキックホッパーの言葉の意味が分からず、疑問符を浮かべてしまうDカブト。だが、今はそんな事より雷や紫苑達の救援に向かう為に目の前の相手を倒す事が最優先だと、思考を切り替えながらDキックホッパーを見据えていく。

 

 

Dカブト『取りあえず、お前が紫苑の敵ではないってことだけは分かった……が、こっちの邪魔をするなら押し通らせてもらうっ!!』

 

 

『KAMENRIDE:EDEN!』

 

 

怒号を飛ばしながら地面を蹴って走り出し、同時にDカブトはライドブッカーを開いて取り出したカードをディケイドライバーに投げ入れてDエデンに変身し、Dキックホッパーに目掛け突っ込みながらクナイガンが変化した正宗を横薙ぎに振るっていった。しかし、Dキックホッパーは咄嗟に上空へと跳び上がりながら正宗を避け、それと同時にドライバーにカードを一枚装填した。

 

 

『KAMENRIDE:IXA!』

 

 

Dイクサ『ハァッ!!』

 

 

―ズギャギャギャギャギャギャギャアァンッ!!!―

 

 

Dエデン『チッ!』

 

 

『FORMRIDE:EDEN!EXIS!』

 

 

―ガギンッガキンッガキンッガキィンッ!!!―

 

 

電子音声が響くと共に上空でイクサへと変身し、空中で身を捩らせながら右手に現れたイクサカリバーガンモードをDエデンに向けて連射していき、Dエデンも咄嗟にカードをドライバーに装填しエクシアフォームに姿を変え、上空から降り注ぐ無数の弾丸の雨を右腕の大剣とライドブッカーで素早く斬り払う。そしてDイクサは銃撃を続けながら地上に着地して更にカードを一枚取り出し、Dエデンもカードを取り出してそれぞれのドライバーに装填していく。

 

 

『FINALATTACKRIDE:I・I・I・IXS!』

 

『FINALATTACKRIDE:E・E・E・EDEN!』

 

 

Dイクサ『ハアアァッ!!』

 

 

Dエデン『デエェアッ!!』

 

 

―ガキイィィィィィィィィィィィィィィィィインッッ!!!ジジジジジィッ……チュドオォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーオォンッッ!!!―

 

 

『グァアアァッ!!?』

 

 

それぞれのドライバーから電子音声を響かせて互いに目掛けて必殺技を放つ二人だが、二人が放った必殺技は中央で激突して押し合い、巨大な大爆発を巻き起こしてDエデンとDイクサを吹っ飛ばしてしまう。だが二人は咄嗟に受け身を取りながらカードを取り出し、互いに目掛けて駆け出しながらドライバーにカードを装填した。

 

 

『KAMENRAID:BLADE!』

 

『KAMENRAID:CHALICE!』

 

 

―ガキイィィィィィィィィィィィィィィィィインッッ!!!―

 

 

Dブレイド『ハアァッ!!ウェアァッ!!』

 

 

Dカリス『ヌウゥンッ!!ハッ!!』

 

 

Dエデンはブレイドに、Dイクサはカリスへと即座に変身しながらすれ違い様にラウザーとカリスアローをぶつけ合い、無数の火花が散る。そしてDブレイドはブレイラウザーを上下左右素早く振りかざしDカリスに斬り掛かるが、Dカリスは後方一回転でソレを避けながらエネルギー矢を連射してDブレイドに撃ち込み後退りさせ、再びカードを取り出しドライバーに装填した。

 

 

『KAMENRAID:ZOLDA!』

 

 

Dゾルダ『フッ!』

 

 

―ズガガガガガガガガガガガガガガアァンッ!!!―

 

 

Dブレイド『グッ?!グアアァッ!!』

 

 

再びカメンライドでゾルダに変身し、マグナバイザーの銃撃でDブレイドを吹き飛ばしてしまった。そしてDゾルダは何処からかディソードライバーを取り出し地面に突き刺すと、カードを一枚取り出してドライバーに装填しスライドさせていった。

 

 

『FINALATTACKRIDE:Z・Z・Z・ZOLDA!』

 

 

『モオォォォォォーーーーーーーーッッッ!!!!』

 

 

ドライバーから電子音声が響くと共に、マグナギガが雄叫びを上げながらDゾルダの前に出現した。そしてDゾルダは目の前に現れたマグナギガの背中にマグナバイザーをセットすると、マグナギガの全ての武装を展開してDブレイドに照準を合わせていく。そして……

 

 

Dゾルダ『――終わりだ、黒月零……』

 

 

―カチッ……バシュウウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーッッッ!!!―

 

 

Dブレイド『……!!』

 

 

―ドッガアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーアァンッッッ!!!!!!―

 

 

奈央「?!く、黒月さんっ!!」

 

 

マグナバイザーの引き金を引くと共に、マグナギガの全砲門から無数のミサイルとレーザーが一斉に放たれ、その全てがDブレイドに直撃し巨大な爆発を巻き起こしたのであった。そしてソレを確認したDゾルダは、マグナギガを消しながらディソードへと戻って地面に突き刺さったドライバーを抜き取り、スルリと刃を撫でた。

 

 

ディソード『随分と呆気なかったな、黒月零……最悪因子を使うかもしれないと対策も考えていたんだが、全くの杞憂だったか……』

 

 

手応えは確かにあったし、爆煙の中からディケイドが飛び出して来る気配はない。だが万が一に備え追撃しておいた方がいいかもしれないと、ディソードは更にもう一枚カードを取り出しドライバーに装填しようとした、その時……

 

 

 

 

 

 

『FINALATTACKRIDE:G・G・G・GARMRAID!』

 

 

『――イグニションッ!!』

 

 

―バシュウゥゥゥゥッ!!!!―

 

 

 

ディソード『…っ?!』

 

 

 

 

 

 

突如爆煙の中から掛け声が発せられ、同時に煙の内側から紅蓮の業火が噴き出し爆煙を吹き飛ばしたのだ。そして爆煙の中から姿を現したのは、両肩両腰に装備した牙のような形状のパーツから噴出される炎を身に纏い、業火の中に佇む紅のライダー……以前零が知り合ったヒューゴ・メディオが変身するガルムレイドにカメンライドしたディケイドの姿があったのだった。

 

 

ディソード『なっ……貴様まだ……!!』

 

 

Dガルムレイド『おおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉーーーーーーーーーーーーッッッ!!!!!!』

 

 

あの一斉射撃を喰らっても尚立ってるDガルムレイドを見て驚愕するディソードだが、Dガルムレイドは構わず炎を全身に纏いながらディソードに目掛けて飛び出し、それを目にしたディソードは舌打ちしながら慌ててドライバーにカードを装填しようとするが、それよりも速くDガルムレイドの左拳がディソードの腹に打ち込まれた。

 

 

ディソード『がああぁぁっ?!!』

 

 

Dガルムレイド『バーニングゥゥッ、ブレイカァァァァァァーーーーーーーーーーーーッッッ!!!!』

 

 

―バキャアァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーアァァンッッッ!!!!!―

 

 

ディソードに拳を打ち込みながらその場で一回転し、上空に向けてディソードを投げ出したDガルムレイド。そして、Dガルムレイドはライドブッカーから再び二枚のカードを取り出し、ディケイドライバーに纏めて装填してスライドさせた。

 

 

『KAMENRIDE:ALTEISEN!』

 

『FINALATTACKRIDE:A・A・A・ALTEISEN!』

 

 

電子音声が再び鳴り響き、Dガルムレイドは赤い閃光を放ちながら分厚い重装甲と右腕のパイルバンカーが特徴的な赤のライダー……ガルムレイドと同じく零が以前知り合った南武 恭介が変身するアルトアイゼンへと姿を変え、変身の完了と共に吹き飛ぶディソードに向かって突撃しながら、左腕の三連マシンキャノンと両肩に装備したスクエア・クレイモアを続けざまに乱射すると、頭部のヒートホーンにエネルギーを纏いディソードの頭上へと飛び上がった。

 

 

―ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガアァンッ!!!―

 

 

ディソード『ぐあぁっ?!ぐっ?!このっ……!!』

 

 

Dアルトアイゼン『まだ終わらんぞっ!!』

 

 

―ザシュウゥッ!!!―

 

 

ディソードの頭上から降下して頭部のヒートホーンを薙ぎ払い、すかさず左腕のリボルビング・ステークを振り抜きディソードの腹に突き刺した。

 

 

ディソード『がぁっ!?』

 

 

―ガシャアァンッ!ガシャアァンッ!ガシャアァンッ!ガシャアァンッ!―

 

 

Dアルトアイゼン『バンカァーッ!!撃ち抜けえぇッ!!』

 

 

―ドシュウウゥッッ!!!―

 

 

ディソード『!!』

 

 

そのまま間髪入れずリボルビング・ステークの弾薬を惜しみ無く連続で撃ち込み、最後の一発を撃ち込みながらディソードを遠方へと撃ち飛ばしたのであった。そして、Dアルトアイゼンは吹き飛んでくディソードにゆっくりと背を向け……

 

 

Dアルトアイゼン『これが…コイツの切り札だ…』

 

 

―カシュゥッ……ドッガアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーアァンッッッ!!!!―

 

 

ディソード『グアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアッ!!!』

 

 

空になった薬莢をステークから排出したと共に、ディソードは地面に叩き付けられながら大爆発を起こし、Dアルトアイゼンも爆発を背に右腕を下ろしディケイドへと戻っていくのだった。

 

 

奈央「っ!や……やったの……?」

 

 

ディケイド『…………』

 

 

その二人の戦いを物陰から見守っていた奈央も、漸く戦いに決着が着いたのかとディソードが爆発した場所を見つめていき、ディケイドも肩を僅かに上下させながら無言のまま背後に振り返ると、爆煙が風に吹かれ徐々に視界が戻っていく。其処には……

 

 

 

 

 

 

ディソード『―――ッ……クッ……!』

 

 

 

 

 

 

全力を込めたディケイドの連続攻撃を受けても諦めず、ドライバーを杖代わりにしふらつきながら立ち上がろうとするディソードの姿があったのだった。しかし、流石に先程の連続攻撃が効いているのか、その姿はボロボロで複眼やボディの所々がひび割れていた。

 

 

ディケイド『流石にしぶといな……こっちも今ので終わらせるつもりだったんだが、そう簡単に倒れてはくれんか』

 

 

ディソード『っ……当たり前だ……お前を、紫苑達に近付ける訳にはっ……!』

 

 

ディケイド『……何故そうまでして俺に向かって来る?お前が其処まで傷付いてまで戦うのはどうしてだ?世界の為か?使命の為か?それとも……』

 

 

ディソード『っ…………』

 

 

此処までボロボロにされても尚立ち向かって来るディソードの目的を問い詰めるディケイドだが、その問いを受けたディソードは顔を逸らしながら口を閉ざして何も答えず、代わりにゆっくりとディソードライバーを構え直して戦いの続きを促した。そしてディケイドもそれを見て仕方ないと深く溜め息を漏らすと、次の一戦で今度こそディソードを気絶させようと決意し、左腰のライドブッカーに手を伸ばした。その時……

 

 

 

 

 

 

 

 

―フッ……ガキイイイイイイイイィッッ!!!―

 

 

ディソード『っ?!ぁ……?!』

 

 

ディケイド『っ?!―ガキイィィィィッッ!!―がっ……?!!』

 

 

―ドッガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーアァァンッッッ!!!!!!―

 

 

奈央「?!え……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

――ディソードの背後から突如放たれた、一筋の深紅の閃光。肉眼では捉えられない速さで放たれたソレはディソードの脇腹を背後から貫通し、更にディケイドの腹を貫きながら通り過ぎ、ディケイドの遥か後方の高層ビルに直撃して木っ端微塵に吹き飛ばしていったのだった。だが、謎の閃光に腹を貫かれた二人は吹き飛んだビルに意識を向ける余裕すらなく、変身も解除されそのまま力無く地面に倒れ込んでしまった。

 

 

奈央「っ!く、黒月さんっ?!大丈夫ですかっ?!しっかりっ!!」

 

 

零「ぁ……がぁっ……!!ぐあぁっ……!!」

 

 

迅「がっ……な、んなんだっ……今のはっ……?!」

 

 

肉と血の焦げた嫌な臭いが辺りに漂う中、木っ端微塵に吹き飛んだビルを目にし唖然としていた奈央は地面に倒れ込む零を見て慌てて駆け寄り身体を起こしてくが、零は奈央の言葉を返す余裕もなく腹に走る激しい激痛に身悶え、迅も自分と零を襲った今の攻撃の正体が分からず困惑の顔を浮かべていた。其処へ……

 

 

 

 

 

『――へぇ……本当に頑丈に出来てるのね。普通なら今の一撃で即死の筈なんだけど……あぁ、それとも私の狙いが甘かっただけ?』

 

 

『ッ?!』

 

 

 

 

 

何処からか、関心を含んだ女の声が響き渡った。それを聞いた奈央、そして零と迅が苦しげに顔を動かし声が聞こえてきた方へと振り向くと、其処には……

 

 

 

 

 

『まあどっちでもいいか……いずれにしろ、私がやる事に変わりはないんだし』

 

 

 

 

 

迅の遥か後方。其処には、まるで龍と蛇を掛け合わせたかのような禍々しい外見と、炎に包まれる二対の翼を背中から生やした赤とオレンジのツートンカラーの異形……シュレンが変貌したヴリトライレイザーが、零達に人差し指を向けながら悠然と歩み寄る姿があったのだった。

 

 

迅「お前……はっ……?!」

 

 

奈央「な……なに、あれ……インフェルニティなの……?」

 

 

『……はぁ……にしても、現場で待機済みだったのにいきなり作戦変更だとか、冗談じゃないわよ……予定通りなら、このまま手薄になった六課に攻め込んで局員を皆殺しにした後、アンタにソレ見せ付けて絶望させるつもりだったのに……余計な真似してくれたわね、出来損ない?』

 

 

零「っ……出来……損、ない……?」

 

 

奈央に抱き抱えられる零を見据えて、吐き捨てるように出来損ない呼ばわりするヴリトライレイザーに怪訝な表情を浮かべて問い返す零だが、ヴリトライレイザーは構わずに指を鳴らして右手に炎を纏った。

 

 

『まぁ、それも別の方法を試せばいいか……あっちに行ったクアットロとレジェンドルガ共に先越されるのも癪だし、さっさと終わらせてもらうわよ?』

 

 

零「?!レジェンドルガにクアットロ……?まさか、アイツ等もこの世界に来てるのかっ……?!」

 

 

『うん?知りたい?だけど残念……アンタがあの女に会う事はないわ!』

 

 

―バシュウゥッバシュウゥッバシュウゥッバシュウゥッバシュウゥッ!!!―

 

 

奈央「?!」

 

 

零「っ!クソッ……!ぐぅっ……!」

 

 

そう叫ぶと共に、ヴリトライレイザーは零と奈央に向けて炎を纏った右手を勢いよく振るい、無数の炎弾を撃ち出したのだった。それを目にした零はすぐさま再変身しようとライドブッカーに手を伸ばすが、腹に穴が空いた身体を急に激しく動かした為に激痛が走って動きが鈍り、炎弾が二人に襲い掛かろうとした。その時……

 

 

『KAMENRIDE:DI-SWORD!』

 

 

―ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガアァンッ!!!―

 

 

ディソード『グウゥッ!!グアァァァァァァァァァァァァァァァァアッ!!』

 

 

奈央「?!えっ?!」

 

 

零「!?」

 

 

無数の炎弾が零と奈央に当たろうとした寸前、倒れていた迅がディソードに変身しながら二人の前へと飛び出し無数の炎弾を代わりに受けたのだ。そして火花を散らしながら全ての炎弾を受け切ったディソードは力無く地面に倒れ掛けるが、ドライバーを杖代わりにし何とか倒れるのを防いだ。

 

 

零「お前……?!」

 

 

『あらら、まさかそんな状態で動けるなんてねぇ……っていうか、何の真似よ?アンタさっきまで其処の出来損ないと戦ってた癖に、今度はソイツ庇う気?』

 

 

ディソード『っ……別に、奴を助けた訳じゃないっ……ただ其処の女は、俺達とは関係ないから庇った……それだけだっ!!』

 

 

怒号を飛ばすと共に、ディソードはふらつく足をしっかり地に着けて地面を蹴り、ヴリトライレイザーへと突っ込みドライバーで斬り掛かっていった。だが……

 

 

―ガキイィッ!!グガアァンッ!!ガキャアァンッ!!―

 

 

『ふふ、よくもまあ頑張るわ。もうボロボロじゃないの?その意気込みは立派だけど……』

 

 

ディソード『クッ……!』

 

 

ボロボロの状態に関わらずドライバーを振りかざしてヴリトライレイザーに何度も斬り掛かるディソードだが、ヴリトライレイザーはその場から一歩も動かないまま防御も回避もせず斬撃を全て正面から身体で受け止め、ビクともしない所か笑みすら浮かべている。それを見たディソードも通常攻撃は効かないと判断して距離を取り、ドライバーに一枚のカードを装填しスライドさせた。

 

 

『FINALATTACKRIDE:DI・DI・DI・DI-SWORD!』

 

 

ディソード『なら、コイツでどうだっ!!』

 

 

電子音声が辺りに響き渡ると、ディソードとヴリトライレイザーの間にディメンジョンフィールドが展開されていき、ディソードはドライバーを握り直しながらディメンジョンフィールドを勢いよく潜り抜けてヴリトライレイザーに斬り掛かろうとした。が……

 

 

―シュンッ……ガシャアァンッガシャアァンッガシャアァンッ!!!―

 

 

『ふ……』

 

 

ディソード『っ?!―ドッガアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッッ!!!―グァッ?!ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!?』

 

 

零「なっ?!」

 

 

ディソードがフィールドを潜り切る前に、なんとヴリトライレイザーはディメンジョンフィールドへと躊躇なく自ら飛び込み、フィールドを一枚ずつ壊しながらディソードへと迫って業火を纏った右足でディソードを蹴り飛ばし、ディソードは爆発に飲み込まれて吹っ飛ばされてしまったのだ。そしてディソードは変身が強制解除され迅へと戻ってしまい、火だるまになりながら地面に叩き付けられてしまった。

 

 

迅「ぐああああああっ?!ああぁっ!!あああああああああああああああああああああああっ!!!」

 

 

『……アンタ達とは、次元が違うのよ』

 

 

奈央「あ、あの人がっ……?!」

 

 

零「クッ……!!うあああああああああああああああああああああっ!!!」

 

 

『KAMENRIDE:DECADE!』

 

 

奈央「っ?!黒月さんっ!」

 

 

『……ん?』

 

 

悲痛な悲鳴と共に火だるまになってのた打ち回る迅にトドメを刺そうとヴリトライレイザーが歩み寄る姿を見て、零は腹の激痛を振り払うように叫びながら勢いよく駆け出してディケイドに再変身し、ヴリトライレイザーに向かって拳を振り上げながら殴り掛かるが、ヴリトライレイザーは顎を軽く上げただけでソレを避けながらディケイドの腹に蹴りを入れて後退りさせてしまう。

 

 

ディケイド『グウゥッ?!ぐっ!桜井!!早くソイツを連れていけ!!』

 

 

奈央「えっ?で、でも黒月さんは?!」

 

 

ディケイド『俺はコイツを足止めする!!お前はシャマルに連絡してソイツを治療させろ!!急がないと手遅れになる!!急げっ!!』

 

 

全身火傷に覆われボロボロになった迅の姿から早急に治療が必要だと悟り、ディケイドは奈央に迅を急いで機動六課に連れていくように告げながら左腰のライドブッカーをSモードに展開しヴリトライレイザーへと斬り掛かっていく。そして奈央は、一瞬ディケイドと迅を交互に見て迷う素振りを見せるも、今は目の前の怪我人を救う事が先決だと決心し、迅の身体を支えながらその場から離れていくのだった。

 

 

『フフ……今度は襲われた方が襲った奴を助けるなんて、随分と優しいじゃないの?』

 

 

ディケイド『っ……奴にはまだ聞き出さなきゃならん事が山ほど残ってるから、勝手に死なれちゃ困るだけだ……それより答えろっ!クアットロ達もこの世界に来てるのかっ?!奴らは今何処にいるっ?!』

 

 

『ふん……それを知って、どうするっての?』

 

 

ディケイド『良いからさっさと答えろっ!奴らがこの世界に来てるなら、今回の件にも奴らが一枚噛んでる筈だし、奴の護衛に二人のライダー達が付いてる筈だっ!奴らは今何処にいるっ?!』

 

 

『ライダー達?……ああ、あのクアットロ達の人形共の事か……それなら――』

 

 

既に立ってるだけでも限界な為に、余裕がある内に急いでクアットロ達の居場所を聞き出そうと問い詰めるディケイドにそう告げ、ヴリトライレイザーはゆっくりと右手を上げてディケイドを指差していき、ディケイドはそれを見てまた先程と同じ攻撃が来るのではと思わず身構えた。が……

 

 

 

 

 

 

 

 

『――今、アンタの後ろにいるじゃない』

 

 

ディケイド『……は?』

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴリトライレイザーがそう口にしたのは、ディケイドが予想していなかった言葉だった。その言葉の意味が一瞬だけ理解出来ず、ディケイドが思わず間抜けな声を漏らした。その瞬間……

 

 

 

 

―ズシャアァッ!!!―

 

 

ディケイド『……ぇ……?』

 

 

 

 

鋭い斬撃音を辺りに響かせ、突如ディケイドの背中を何かが斬り裂いたのだった。突然の不意打ちにディケイドも一瞬何が起きたのか分からないままバランスを崩して倒れそうになるが、何とか踏み止まり、視界が何度も暗転する中で呆然と背後へと振り返った。其処には……

 

 

 

 

 

―ピチャッ……ピチャッ……―

 

 

ロスト『…………』

 

 

ディケイド『ッ?!おま、え……ロストっ……?!』

 

 

 

 

 

そう、ディケイドの背後に立っていたのは、赤い雫が滴り落ちる銀色の槍を振り下ろしたアンシンメトリーの外見をした仮面ライダー……ライダー少女Wの世界で自分を苦しめ、クアットロ達によってこの世に蘇らせられたアリシアとリインフォースが変身したロストの姿があったのだ。そして更に……

 

 

 

 

―ブオォォォォォォォォォォォォォォオッ……―

 

 

ガリュウ『…………』

 

 

センチュリオ『…………』

 

 

センチュリオ『…………』

 

 

センチュリオ『…………』

 

 

 

 

ディケイド達の周りに歪みの壁が出現し、その中から無数のライダー達……ルーテシアが変身したガリュウを筆頭に、十体近くのセンチュリオ達が現れ、あっという間にディケイドを包囲してしまった。

 

 

ディケイド『ッ!黒い仮面ライダー……ルーテシアか……!それにコイツらっ、レジェンドルガじゃないっ……?!』

 

 

『そっ、ソイツらは"センチュリオシリーズ"……あんな雑魚共よりもよっぽど使える量産型共よ。それともう一つ……』

 

 

ガリュウと共に現れた見慣れないセンチュリオ達を見て戸惑うディケイドを他所に、ヴリトライレイザーはその場から退くように一歩後退った。その奥に……

 

 

 

 

 

 

 

 

『………………………』

 

 

 

 

ディケイド『?なんだ……女……?』

 

 

 

 

 

 

 

 

ヴリトライレイザーが退いた先に、仮面ライダーでも怪人でもない一人の少女が無言のまま静かに佇む姿があったのだ。だがその姿は全身に装甲のようなパーツを身に纏い、モノアイが特徴のバイザーが顔に身に付けられていたりと明らかに普通ではない外見の上に、何処か不気味な雰囲気を身に纏っていた。それが余計に不気味さを引き立たせてディケイドも思わず後退り、そんなディケイドの様子を見てヴリトライレイザーも笑みを浮かべながら口を開いた。

 

 

『どう?コイツが今回の特別ゲスト。アンタにとっては嬉しいサプライズでしょう?"懐かしい"と思わない?』

 

 

ディケイド『……?懐かしい……?何の話だ……?』

 

 

ヴリトライレイザーの言葉の意味を理解出来ず訝しげに聞き返すディケイドだが、ヴリトライレイザーはそれ以上は何も語らずただ妖しげに笑いながらゆっくりと右手に炎を纏っていき、それに呼応するかのように周囲のセンチュリオの大群もランチャー・ジェミナスを右手に形成しディケイドに狙いを定めた。

 

 

ディケイド『ッ!』

 

 

『まぁ、それはまた後の楽しみと行きましょうか……その方が後々盛り上がるし、ねぇ!』

 

 

―バシュウゥッバシュウゥッバシュウゥッバシュウゥッバシュウウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッ!!!!!―

 

 

ディケイド『クソッ!!』

 

 

ヴリトライレイザーはディケイドに向けて先程と同じように無数の炎弾を放ち、センチュリオ達も引き金を引いてランチャー・ジェミナスの銃口から一斉に混同射撃を撃ち出した。それを目にしたディケイドは直ぐにライドブッカーから一枚のカードを取り出し、ディケイドライバーに装填してスライドさせていく。

 

 

『ATTACKRIDE:BARRIER!』

 

 

―ドッガアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーアァンッッッ!!!!―

 

 

ディケイド(ッ……!とにかく、ロストとガリュウが現れたのなら好機に違いはないっ!クアットロが介入してくる前に、三人のベルトを破壊すればっ……!)

 

 

バリアを展開して一斉射撃を何とか凌ぎ、ディケイドはライドブッカーから一枚取り出しながら思考を駆け巡らせていく。周囲を爆煙が覆ってる以上、向こうも視界を遮られこちらの姿を捉えられないはず。今ならロストかガリュウに奇襲を仕掛けてダメージを与え、戦況を有利に進められる筈だと、ディケイドは背後のロストの方へと振り返ってカードをバックルに装填しようとする。が……

 

 

 

 

 

 

 

―ヒュンッ……ズシャアアアァァァァッ!!!―

 

 

ディケイド『――っ?!!なっ……?』

 

 

 

 

 

突如、爆煙の向こう側から高速で何か……一本の剣が飛来し、カードを持つディケイドの右腕へ正確に突き刺さったのだ。一瞬なにが起きたのか分からずに驚愕してしまうディケイドだが、自分の右腕が剣に貫かれたのだと気付いたと同時にとてつもない激痛が走って思わずカードを手放してしまい、そして……

 

 

―シュンッ!―

 

 

『………………』

 

 

ディケイド『?!お前はっ……?!』

 

 

ディケイドの目前に、あのバイザーを身に付けた少女が瞬時に移動して肉薄して来たのだ。その両手には、ディケイドの右腕に突き刺さる剣と同じ柄をした二本の剣が握られており、少女はニイイ、と口元を歪めながら驚愕するディケイドへと容赦なく両手の剣を振り下ろしていったのだった。

 

 

 

 

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