仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT 作:風人Ⅱ
―カチッ……カチッ……カチッ……―
『───予定より随分早いですね……まぁ、それだけアレが必死だったという事でしょうか』
そして同じ頃、零とΦ達の様子を数キロほど離れた位置のビルの屋上から傍観し全てを見届けた八雲はフードの下で酷薄の笑みを浮かべると、左手に握られる懐中時計を見下ろし、ゆっくりと懐中時計を閉じて懐に仕舞っていく。
『その点においては、癪に障りますが褒めるべきなのでしょうか。おかげでこちらもスムーズに――――』
言い掛け、八雲はフードの下の目付きをスッと細めながら、顎を僅かに上げ爪先で地を軽く蹴りその場から跳び退いた。その瞬間……
―ブザアアアアァァァァッッッ!!!!!!―
――まるで残像のように、八雲が今立っていた場所の目前に何かが現れ、その手に握る剣を八雲に向かって素早く振り抜き居合い斬りを放ったのであった。その剣から放たれた鋭い斬撃は八雲の首を刈り取ろうとするも、剣の切っ先は僅かに八雲の首に届かず掠めてしまい、剣を振るって吹き上がった風圧が八雲のフードを脱ぐって顔を露わにするだけで終わってしまう。そして斬撃をかわした八雲はそのまま後方へと下がると、鋭い真紅の瞳で目の前の敵を射抜いた。それは……
―ブオォッ!―
メモリー『――よぉ。久しぶりだな、八雲……』
ガイア『…………』
冥王『…………』
全身から圧倒的な威圧感を放ち、剣を振るって八雲を見据えるライダーと、その背後に今にも八雲に飛び掛からんとばかりに殺気を露わに控える二人のライダー。その正体は、零達の平行世界の仲間、そして八雲にとって"宿敵"でもある天満幸助が変身したメモリー、天満シズクと不破椛が変身したガイアと冥王の三神であり、八雲は彼等を見て軽く口の端を吊り上げながら薄く笑った。
八雲「これはこれは、また懐かしい顔触れが揃い踏みで……久しいじゃないか、断罪とその妻の女神共?彼の宇宙意思の奴隷となったお前達が、こんな有象無象の一つに過ぎない世界に、一体何の用だ?」
ガイア『ッ……惚けた事をっ……』
わざとらしく惚けた様子で笑う八雲に怒りを覚え身を乗り出すガイアだが、それを横からメモリーが片手で制止し、八雲を真っすぐ見据えた。
メモリー『お前がこの世界の裏で糸を引いて、零達を罠に嵌めた事は既に俺達の下に伝わってる……零達をわざとこの時間軸の雷牙の世界に誘い、何も知らない雷達に偏った情報を与えて零と仲違いさせ、零の世界のフェイトをロストと戦うように仕向け、加えてこの惨状だ……』
八雲「……それが何か問題か?俺はただあの機械人形に助言を与え、技術を提供し、アレの女のフェイト・T・ハラオウンを誑かしたまで……その後の問題は、当人達が勝手をやったまでだ。俺は直接には何も手を下してはいない。裁くなら、今回の事件の主犯である機械人形共と、彼処にいるイレイザーとクローンのみで十分ではないか?」
メモリー『どんな形であれ、今回の件に関与した時点で貴様も同罪だ……貴様等自身が世界から、イレイザーという名の刻印を押され追放された身だという事を忘れたか?ただでさえ貴様等が全ての物語に関与すること自体がルール違反だというのに、今回の件はやり過ぎたな』
冥王『お前には、即刻この世界から出ていってもらうの……抵抗するのなら――』
―ビュウゥンッ!―
直後、八雲の後頭部目掛けて一本のナイフが飛来し、それに続くように青と白の騎士と漆黒の騎士の二人がそれぞれ剣を振りかざして八雲に斬り掛かっていった。しかし、八雲は振り返る素振りすら見せずに僅かに首を動かしただけでナイフを避けながらナイフを手に取り、二人の騎士が振りかざした二本の剣をナイフで軽く受け流すと、騎士達は八雲から離れて今のナイフを投擲した人物の下まで下がった。それは……
クラウン『――抵抗するのならば、我々が全力で貴方を虚無へと叩き堕とすまでです』
ジークローバーWDD9『そういう事だ……覚悟してもらおうか、外道……?』
『……年貢の納め時という奴だな、黒月八雲……今回ばかりは、僕も一切容赦はしないぞ?』
其処には、メモリー達と共に八雲を挟み撃ちするように背後に佇む三人の人影……滝の世界のダークライダーであるクラウン、ヒカルの仲間であるグランが姿を変えたジークローバーWD(ウェルシュドラゴン)D9、イレイザー態へとその姿を変えたカルネだったのだ。零達のあの惨状を目にしたからなのか、彼等三人からは常人が向き合えばそれだけで命を刈り取られ兼ねない程の殺気が滲み出ており、それを見た八雲はクラウンが投擲したナイフを手の中で弄びながら目前の三神を見据えた。
八雲「これは驚きだな……俺一人を潰す程度で、これだけの顔触れが揃うとは。一体何がお前達を其処まで憤せたのか、まるで親兄弟でも殺されたようだな」
クラウン『……或は、それに近い憤りを感じていますよ。貴方は零氏達と雷氏達を謀っただけでなく、彼等を疑心暗鬼に陥れ、挙げ句には過去の零氏の憎悪や絶望といった負の感情を宿した『破壊の因子の欠片』を与えて狂気に染めたΦ嬢を零氏に嗾かけ、あろう事か零氏のリィル嬢への想いを利用して踏みにじった……いずれ向き合う筈だった、零氏のリィル嬢との記憶を最悪な形で呼び起こして……』
『お前は越えてはならない一線を越えた……零坊やが、リィル嬢ちゃんに対してどれだけ深い罪悪の意識を抱いているか……それを知っていながらっ!』
八雲「知ってるこそ、今回の計画にも利用しやすいと誰より理解していたつもりだが?実際、奴はこちらの期待通りに動いてくれたのだからな……お前達も観たのだろう?是非とも感想を聞かせて頂きたいものだ。初めて愛した女と同じ顔、同じ声をしただけのただのクローンを宛がっただけで馬鹿のように悦び、憎悪の限りをぶつけられれば絶望して泪しながら跪き、無様な姿を曝しながら仲間だけでも助けてくれなどと必死に懇願する……フッ、全てを知るお前達の目には、実に滑稽な道化の姿に見えただろう?」
ジークローバーWDD9『……もういい……その不快な口を閉じろ……これ以上貴様と話すだけ時間の無駄だ』
静かな怒りを露わにして、ジークローバーWDD9が八雲に向かって剣を構え、それに触発されるように他の一同もそれぞれ身構えていき、メモリーも八雲を睨み据えながら剣の切っ先を突き付けた。
メモリー『こっちとしても、お前の事は今の若者達に任せようと思っていたが、そういうワケにもいかなくなった……覚悟してもらうぞ、八雲?過去の因縁諸共、この場で断ち切らせてもらう……』
断罪者として、そして天満幸助として八雲との因縁を此処で完全に断つつもりなのか、何時になく本気を露わにするメモリー。そしてそんなメモリー達に囲まれ、八雲は……
八雲「――参ったなぁ……この身を司る属性上、俺は貴様と対峙すれば著しく弱体化する身だ。そんな状態で貴様等を纏めて相手にするとなるとただでは済まんだろうし、今この世界には輝晶紲那達を始めとした多くの異界人が徐々に集い始めている……ああ、正しく絶体絶命という奴だな」
メモリー『…………?』
手の中の短刀を弄びながら、自分の今の立場についてそう語る八雲。だがその時、メモリーはある違和感に気付いた。
幸助とシズクと椛の天満ファミリー、更にクラウンと、一度でも彼等に関わったことがある者達なら、彼等一人にでも対峙するという今のような状況に陥れば体を震え上がらせ、無様な姿を曝して必死に命乞いするのが大体の反応だ。
八雲「嗚呼……本当に……お前達の善人振りには感動すら覚える。知人の危機を救う為ならば、何処へでも何時でも駆け付ける……だから──」
だがそれに反して、八雲の様子は先程と変わらず変化がなく、その顔には未だに薄い笑みが張り付いている。まるで……
八雲「──だからこんなにも簡単に、こちらの策に掛かってくれる。都合が良くて助かるよ……今宵の喜劇に、お前の存在は特に必要不可欠だからな……断罪の?」
まるで、彼等の到着を待ち侘びていたような、そんな笑みのように見えた。
◇◆◇
零Side
―……ドグンッ……―
……暗い……寒い……冷たい……
光が見えない……何も見えない……暗闇しかない……
此処は……何処だ……?
―……ドグンッ……―
身体が重い……鉛のようだ……
頭が……体中が……胸が痛い……
どうして……こんなところに……
―……ドグンッ……―
……ああ……あぁ……
そうだ……そうだった……
リィルの、あの偽物に……やられて……それで……俺は……
―……ドグンッ……―
ハ……ハハッ……ハハハハハハハハッ……ハ……
何て無様……何て滑稽……何て恥さらしな最期……
あんな偽物の虚言に簡単に騙されて……挫けて……恥を曝して……絶望なんか抱いて……
挙げ句の果てに……俺は……リィルを……この手でっ……!
―……ドグンッ……―
……ああ……結局……俺には……この結末が似合いなのか……
何も救えないで……何も出来ないままで……
アイツを殺した俺には……そもそも……そんな、資格なんてっ……
―……ドグンッ……―
このまま……塵のように消えて……終わる……
……そうだな……それしか、俺に出来る……償いなんて――――
―……ドグンッ……ドグンッ!―
―…………それでも、私は絶対に傍にいるよ―
…………え…………?
―貴方の過去に何があっても…貴方が貴方でなくなったとしても…そんなの関係ない。だってそうでしょう?例え貴方が何者だろうと、貴方が貴方である事に…何一つ間違いなんてないんだから―
これは……ホルスの世界の……なのは、の……?
―ドグンッ……ドグンッ……!―
―……私等は別に、零君に何も求めてへん……ただ一緒にいてくれるだけでええんや……たったそれだけで…ええんやから…―
ッ!今度は……はやて……の……?
―ドグンッ……ドグンッ……!―
―昔わたしに言ってくれたよね?今度は誰かからの命令ではなく、自分の意思で、自分を信じて生きてみろって。その言葉を聞いて…私はもう一度自分の意思で生きてみようって思ったの。だからなのはが何度も私に呼び掛けてくれたことや、零のその言葉があったお陰で……私は今もこうして皆といられるんだなって―
?!この声は……フェイトか?けれど……
―そんな事ないよ?零やなのはがいたから、私はもう一度生きようって思えたんだから……私一人の力じゃ……ここまで来る事なんて出来なかった―
いつの……記憶だ……?
こんな記憶……俺は知らな――
―……だから尚更、私達の世界を救いたいって強く思うの。今の私がこうして変われたのはあの世界があったから。あの世界で感じてきた思いや時間は、何処の世界にもない……私や零やなのは達が積み上げてきた思い出は……あそこにしかないから―
――知ら……な……?
―……ねぇ零?その、ちょっとお願い聞いてもらってもいいかな……?―
……ぁ……あぁ……
―えっと……もし……もしもだよ?もし私達の世界を救って帰ってこれたら……その……もう一度この場所で、写真撮ってくれる……?―
――そうだ……何言ってるんだ、俺……?
こんな……大事な記憶……何で今まで、忘れてっ……
「約束……?だからなんの話だ?"そんな約束した覚えなんてないぞ"?」
……っ……馬鹿だ俺っ……
だからアイツ、あの時にっ……
『私はただっ、零にもう何も忘れて欲しくないっ……それだけでいいのっ!!私の事もっ、なのは達の事もっ、私達が一緒だった記憶もっ……もうこれ以上っ、何も忘れて欲しくないだけなんだっ!!』
そうとも知らずに……俺がアイツを追い込んで……
なのに俺は、こんな所でっ……!
―ドグンッ……ドグンッ……―
駄目だ……戻らないと……
こんな所でまだ終われない……終わるワケには、いかないっ……
フェイトとロストを止めて……雷達と紫苑達を助けて……
フェイトに……謝らなければっ……!
―ドグンッ……ドグンッ……―
リィルの事は……確かに、許されない罪を犯したかもしれないっ……
でも、今は……
アイツが俺を救ってくれた時に……言ってくれた言葉を……最後まで……!
―ドグンッ……ドグンッ!―
「――其処までだ、再生の魔女の片割れ。破壊された記憶を再生するのは構わんが、それ以上余計な真似をしないでもらおうか?」
―ドグンッ!…………―
ッ?!なん……だ……?
お前は……?
「よぉ、久しぶりだなぁ。こうして話すのはホルスの世界以来か、罪人?」
っ!何で、お前がっ……!
何故お前が此処にいるっ!
「何も可笑しいことはないだろう?こうして話すのは久々だが、俺は常にお前の傍に在り続けてきたんだ。今更驚くような事か?」
っ……それで、一体何しに出て来たっ?
俺はお前なんかと話す事は何もないぞっ……
「相変わらずつれない奴だ……ま、俺とお前の場合は寧ろその方が良いのかもな。お前と俺は決して相容れない、そんなのは前々から分かりきってた事だ……」
……だったらもう俺の前に現れるな……
今はお前なんかに構ってる場合じゃ……
「――そっちになくても、こっちにはあるんだなぁ……これが」
―ドバアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアッ!!!―
ッ?!何だ……これっ……闇っ……?!
「全く、八雲も余計な真似をしてくれる……阿南祐輔の世界で取り込みし損じたからといって、まさか奴が動くとは……出来れば俺のペースでやらせて欲しかったんだがな……」
なに……言ってっ……お前、一体っ……?!
「ん?俺か?そうだな……どうせこれが最後の問答になる訳だしな……俺は――」
「――お前の"罪"……そのものだよ……」
零Side End
◇◆◇
『――これで本当に終わり……か』
腹を大剣で串刺しにされ、足元に広がる血の海の上でΦに愛おしげに抱き締められる零。そんな彼を見て、ヴリトライレイザーは興ざめしたように肩を竦め吐露をこぼした。
『出来損ないとは言え、八雲の血を引いているのだから少しは楽しめるかと散々煽り立ててやったのに……期待外れもいいところね』
これなら今八雲が足止めをしてるという異世界人達と戦った方がまだ良い暇潰しになったと、もう一度溜め息を吐きながらガリュウと共にその場を後にしようとΦと零に背を向けた。その時……
―……ガシイィッ!ググググググゥッ!―
Φ「――?!か……ぁ……はっ……?」
ガリュウ『?!』
『ッ!……何?』
二人がその場を後にしようとしたその時、不意に背後からΦが呻く声が聞こえ、その声を耳にした二人は慌てて背後へと振り返った。其処には……
零「………………………………………………」
身体は既に死に体、右腕を失い、腹を大剣で貫かれてもう立つ事も出来ない筈の零が、ヴリトライレイザーに骨を粉砕された左腕でΦの首を掴み締め上げながら幽霊のように立つ姿があったのだった。
『な……そんな馬鹿な……アンタ、何で……!』
零「…………フッ…………」
―バゴオォォォォォォォォォォォォォォォォオォンッ!!!―
Φ「ッ?!か……はッ……?!」
立ち上がれる筈のない身体で再び立った零を見て驚愕するヴリトライレイザーの反応を他所に、零は僅かに口端を吊り上げて左腕を大きく振るい、Φを容赦なく信じられない怪力で地面に叩き付けていったのだった。そしてΦが痛みのあまり悶絶する中、零は前髪で顔を隠したまま徐に口を開く。
零「――再生の因子……最大出力……再構築……形成……」
―シュウゥゥゥゥッ……パアアァンッ!―
ボソボソと零が小声で何かを呟いた瞬間、それに呼応するかのように先程Φの剣によって切断された右腕が突然光となって弾け、そのまま無数の粒子となり零の下へ飛来していく。そして無数の粒子は零の肩の部分からまるで動脈を描くように腕の形を形成していき、最後に光が弾けると、切り離されたハズの右腕が零の肩に戻っていたのだった。
(ッ?!あれは……再生の因子の瞬間再生?!そんな、アイツには彼処までの力は扱えない筈なのに……!)
零「………………」
信じられない物を見るような表情で右腕を再生させた零を見つめるヴリトライレイザー。しかし零はそんな異形の様子に構わずに右手の調子を確かめるように掌を開いたり閉じたりを繰り返し、空いた左手で腹部に突き刺さったままの大剣を引き抜いていく。すると、大剣が抜き取られた腹の穴は白色の輝きを放ちながら徐々に塞がって完全に再生されていくが、零はそれを確認する事なく抜き取った大剣を両手で握り締め、そして……
―ズシャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァッ!!!―
Φ「?!ィ……ア……アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ?!!!」
……躊躇なく、頭上に振り上げた大剣を足元に倒れるΦへと勢いよく振り下ろしていったのだった。大剣にその身体を引き裂かれたΦは鮮血を撒き散らして絶叫を上げるが、零はその手を止める事なくΦを串刺しにしていく。
―ザシュウゥッ!!ズシャアァッズシャアァッズシャアァッズシャアァッ!!―
Φ「ぎぁ――あああああああああああああああああああああああッッ?!!!!イタ――イ――!!!!イタイよRey(レイ)……ヤメテ……ヤメテェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエッッ!!!!」
零「……フ……フフフ……ハハハハハッ……!!!」
激痛で身悶え、泣き叫ぶΦの顔に酷薄の笑みを浮かべ、零の手が徐々に速さを増していく。次第にはΦの声も聞こえなくなり、大剣を突き刺される度にその身体が痙攣してビクビクと動くが、ヴリトライレイザーは助ける素振りを見せずただジッとその光景を傍観し、零は薄い笑みを張り付けたまま口を動かした。
Omnes diis Tenri. Et ob quod peccatum quod Ego in hoc natus sum mundi(遍く天理の神々よ。私の犯した罪は、この世に生を受けた事です)
Corporis fundunt nescit amor nescit amoris infundat(この身は愛を注がれる事を知らず、愛を注ぐ事を知らない)
Et ego sum esurientem. Etiam si non possit se ad amorem, amor ad minimum aeternitatis dabo illis ad populum crawling carissimi, et misericors Dominus.(されど私は渇望する。例えこの身に一身の愛を得られずとも、せめてこの愛しく憐れな這い人達に永劫の愛を与えん事を)
Conputruerunt iumenta Haec anima, haec sordida sanguine est: hoc solum novit carne et dolorem desperandum(この魂は腐敗し、この血は汚れ、この肉は苦痛と絶望しか知らない)
Tunc peccatum paenitet me, inquit, iudicem, et nota devotio, pace tua dixerim me ad vos. So--(ならば罪深き私は貴方達の許で懺悔し、祈り、審判を受け、この身を貴方達に捧げましょう。だから――)
―……ゾワアァッ!!―
『ッ?!これ、はっ……!』
零の口から紡がれる詠唱。それと共に、零の全身から放たれる異様な気配を感じ取り、ヴリトライレイザーは目を見開き信じられない物を見るような表情を浮かべた。何故ならその気配は、彼女が良く知っている物と全くの同じだからであり、そして……
Ambo te ignosce me. Amare illis toto orbe terrarum(どうか許して欲しい。この世全て、彼等を愛す事を)
―……ビシィイッッ!!―
その一言と共に、零の足場から巨大な亀裂が走った。