仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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第二十一章幕間/クロツキレイの物語(せかい)③

 

 

―バチッ、バチバチバチィッ…………ドゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーオオォンッッッ…………!!!!!!!!―

 

 

『ッ?!何だ……?!』

 

 

そして同じ頃、激戦が繰り広げられるメモリー達から離れた場所で暴走するアバドンイレイザーを抑えようと試みるジークローバーとカルネも、NEOカオスの手によって灰色の空に打ち上げられた道標に気付き、揃って困惑と驚愕の様子を隠せないでいた。

 

 

ジークローバーWDD9『何だアレは……空に亀裂が……?!』

 

 

『この感覚は……向こう側と繋がっているッ?!黒月八雲の仕業かッ!!』

 

 

『■■■■■■■■■■■■■■■■ァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッッ!!!!!』

 

 

幸助達と八雲が戦っている岩山の上空に突如出現した巨大な次元の裂け目を目にして驚愕してしまう二人だが、そんな暇すら与えないと言わんばかりに甲冑姿に変化したアバドンイレイザーが先程までの理性のない戦いぶりがまるで嘘のように、槍のような武器を巧みに操りながらカルネとジークローバーに素早く襲い掛かっていき、二人は咄嗟に我に返りアバドンイレイザーの槍を受け止めて押さえ込んでいく。

 

 

ジークローバーWDD9『クッ!!どうするんだカルネッ?!このまま零を止められないんじゃ堂々巡りにしかならんぞッ!!』

 

 

『言われなくても分かってるッ!!だがっ……!』

 

 

目の前で起きてる異常事態も気になるが、こんな零を放っておく訳にはいかないし、何よりもこのままでは零の自我が完全にイレイザーに飲み込まれてしまう。そうなっては雷牙の世界を再生したとしても零だけが救われず、彼の仲間達にも悲しみを与える結末にしかならない。だが……

 

 

『■■■■アァァッッッッ!!!!!』

 

 

―ギュイィィィッ……チュドオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーオォンッッッッ!!!!!!!―

 

 

ジークローバーWDD9『グッ?!クソッ!!』

 

 

『ぐうぅッ!!』

 

 

アバドンイレイザーが自身の持つ槍全体に真紅のエネルギーを纏わせ、勢いよく横薙ぎに槍が振るわれたと共に全包囲に紅い衝撃波が放出され、それを見てすぐさまそれぞれの得物で必死に凌ぐ二人に容赦なく襲い掛かる。零を止めようにも、先ずはどうにかして彼が正気を取り戻さなけれねば助けようがない。だが……

 

 

―シュンッ……ガギギギギギギギギギギギギギギギギギギギイィンッッッッ!!!!―

 

 

『ガハアァッ!!』

 

 

ジークローバーWDD9『ッ!カルネッ!!』

 

 

その肝心の方法が思い浮かばず焦りばかりが募る中、紅い衝撃波が止んだと共にアバドンイレイザーが一瞬でカルネの懐に飛び込み、紅い光を纏った槍を素早く振るって無数の斬撃を打ち込みカルネを吹っ飛ばしてしまったのだ。そしてジークローバーは咄嗟にカルネの下に駆け寄って彼を守るように剣を構え直し、アバドンイレイザーも次の標的をジークローバーに定めて再び攻撃を仕掛けようとした。が……

 

 

 

 

 

 

―ピタッ―

 

 

『■■■■■■■■■――――――………………ァ…………………』

 

 

 

 

 

 

突如前触れもなく、二人に再度襲い掛かろうとしたアバドンイレイザーは長槍を振りかざした状態のまま固まり、その動きを止めたのであった。

 

 

ジークローバーWDD9『……?何だ?』

 

 

『ッ……動きが……止まった?』

 

 

そんなアバドンイレイザーの姿を目にし、二人もまた困惑を隠せない様子で構えを解きながら思わず互いの顔を見合わせた。先程まで見境なく暴れ回ってたにも関わらず、何故急に動きが止まったのか。不可解げな様子を浮かべつつもアバドンイレイザーを警戒する中、アバドンイレイザーが僅かに身体を震わせ……

 

 

『…………………ェ…………………ど……………………』

 

 

ジークローバーWDD9『?!今のは……声?』

 

 

微かに、風が吹けば掻き消えてしまいそうなほど小さな声が、アバドンイレイザーから聞こえたのである。運よくその微かな声を聞き取れた二人は驚愕しつつも、すぐに耳を澄ませ、アバドンイレイザーが微かに発する声に耳を傾けると……

 

 

 

 

 

 

『………………フェ………………イト………………ア、リシア………………リイン、フォース………………ルーテシ……ア………………どこだ……………どこにいるっ………………?ぜったいに………………ぜったいに………………タス………………タスケッ……………ァ………………ァァ………………ァァァァァァァァアアアアアアッッッッッ………………!!!!!!!』

 

 

『……零、坊や……』

 

 

 

 

 

 

途切れ途切れに、懸命に喉の奥から絞り出すかのようにアバドンイレイザーの口から発せられたのは、書き換えられてしまった雷牙の世界で、八雲の策によって望まぬ殺し合いをさせられてしまったフェイトとアリシアとリインフォース、そしてクアットロの操り人形として零を窮地に追い込んだ一人であるルーテシアの身を案じる零の声だったのだ。

 

 

恐らくあれが、先程幸助が言っていた僅かに残された零の自我。そしてその声で、二人は咄嗟に零が今どんな状態にあるのか悟った。

 

 

あのイレイザーの中に囚われる零の意識は、自分がどんなに醜い姿になっているのかも分からないまま、今もフェイト達を助ける為に雷牙の世界でヴリトライレイザーやΦ達と戦っているつもりでいるのだ。

 

 

……そのフェイト達や仲間達を、自分が世界ごと手に掛けたとは知らずに。

 

 

ジークローバーWDD9『――カルネ……此処から先は、本気で行くぞ』

 

 

『!グラン坊や?』

 

 

不意に、ジークローバーが身に纏う雰囲気が真剣な物へと変わり、カルネが怪訝な顔でジークローバーを見上げると、ジークローバーはアバドンイレイザーを見据えたまま口を開く。

 

 

ジークローバーWDD9『これ以上、零を苦しめる訳にはいかないだろ。それにあの亀裂に関しても、黒月八雲がまだ何か事を起こそうとしてるのは間違いない筈だ。……それはお前にだって、分かってるんだろ?』

 

 

『…………そうだな』

 

 

短くそう答えて、ゆっくりと身を起こして立ち上がるカルネ。そうして二人が見据えた先には、アバドンイレイザーが左手で顔を覆いながらもがき苦しむような姿があり、カルネとジークローバーは肩を並べて立ち並んだ。

 

 

『君の言う通りだ……今は、なのは嬢ちゃん達と幸せに願ってるリィル嬢ちゃんの為にも、零坊やを止めてみせる―――リミット解除、暗黒狼魔翼開放ッ!』

 

 

ジークローバーWDD9『聖杯・<希望>、起動ッ!』

 

 

『mode Messaih!』

 

 

カルネとジークローバーがそれぞれに雄叫びを上げると共に、カルネの背中から悪魔を彷彿とさせる巨大な翼が生え、ジークローバーも自身が身に付ける赤龍帝の籠手から電子音が響くと同時に右手に嵌めた指輪を腰に巻いたベルト……ジークマギドライバーに翳していく。

 

 

『Infinity Dragon!Please!』

 

『he-SuiFooDo-!BouZabaByuuDogo-n!』

 

 

再度電子音声が鳴り響き、それと共にジークローバーは頭上から出現した銀色の魔法陳を潜り抜け、まるでダイアモンドを連想させるような美しい姿に……ジークローバー・インフィニティドラゴンメサイアに変化し、指輪を嵌めた右手をアバドンイレイザーに向けて掲げながら高らかに告げる。

 

 

ジークローバー∞D・M『さぁ、ラストショータイムだッ!!』

 

 

『行くぞ、零坊や……少しばかり、辛抱してくれよ』

 

 

『ィ…………ガッ…………ァァァァアアァァァアアアアアッッッ―――――――――■■■■■■■■■■■■■■■■■■■アアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッッッッッ!!!!!!!』

 

 

二人が強化形態に変身した姿のそれに対し呼応したのか、アバドンイレイザーは全身を覆う甲冑の隙間から血の様に赤い閃光を放ちながら獣の咆哮を上げ、左手にも槍を生成して二人に目掛け飛び掛かり、カルネとジークローバーもほぼ同時に地を蹴って飛び出しアバドンイレイザーが振り下ろす双槍と激突していくのであった。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

―次元の裂け目眼下・岩山の頂上―

 

 

―ガギイィィッ!!バキイィッズガガガガガガアァッ!!バキイィンッ!!!―

 

 

ガイア『くうぅッ!ハアァッ!』

 

 

NEOカオス『フッ!』

 

 

その一方、メモリーがほんの一瞬の隙を突かれ岩山の頂上から遥か地上に墜落し、同じく全身を凍り付けにされた冥王が地上で回復に専念していたアレンに助けられる中、ガイアは単独でNEOカオスとヴリトライレイザーを相手に奮闘していた。

 

 

NEOカオスの後方からヴリトライレイザーが無数に放つ火炎弾を足蹴で上手く蹴り落とし、その隙を突くように斬り掛かるNEOカオスの剣撃を捌きつつ反撃して打撃技を打ち込むが、NEOカオスはガイアの拳を掴みながら仮面の下で目を細めた。

 

 

NEOカオス『流石にあの二人みたく簡単に隙を曝さないか……まぁ、貴様とはあの二人ほど因縁が薄いのだから当然の話か』

 

 

ガイア『ッ!訳の分からない事をッ!』

 

 

NEOカオスの言葉を戯言と切り捨て、ガイアが勢いよく振り上げた回し蹴りがNEOクロノスの頭を捉えた。だがNEOカオスも瞬時にガイアの手を離しながら素早く屈んで足払いを掛け、宙に浮いたカオスに膝蹴りを打ち込み空に飛ばしていってしまった。

 

 

ガイア『グッ……!タイムクイックッ!』

 

 

『TIME QUICK!』

 

 

NEOカオス『タイムクイック……』

 

 

『TIME QUICK!』

 

 

―フッ……ズガガガガガガアガガガガガガガガガガガガガガガアァァッ!!!!ドゴオォォンッドゴオォォンッドゴオォォンッドゴオォォンッ!!!!―

 

 

上空へと投げ出されたガイアが苦悶の表情と共に瞬時にタイムクイックを発動させ、それを見たNEOカオスもタイムクイックを発動させると二人の姿がほぼ同時に何処かへと掻き消え、直後に何かと何かが衝突する激突音と衝撃波が岩山の上空の至る所で巻き起こっていく。そして一際大きい衝撃波が上空で発生した直後に、ガイアとNEOカオスが漸く姿を現して岩山の頂上に着地し、ガイアが再度NEOカオスに仕掛けて駆け出そうとした。その時……

 

 

 

 

 

―シュウゥゥゥッ……ドゴオオオオオオオォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーオオォォンッ!!!!―

 

 

ガイア『ッ?!な、何?!』

 

 

 

 

 

岩山の上空の次元の裂け目の向こう側が一瞬だけ輝き、裂け目の向こうから突如一筋の閃光が飛来してきたのであった。そして閃光はそのまま岩山の頂上の真上を過ぎ去って遥か地上へと墜落して爆風を巻き起こし、爆風が徐々に晴れていくと……

 

 

 

 

 

『―――グオァアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーッッッッ!!!!』

 

 

『……戻ってきた……戻ってきたぞぉぉおおおおぉぉぉぉおおおッ!!!!』

 

 

『ウゥオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッ!!!!』

 

 

 

 

 

爆風の中から姿を現したのは、昆虫や肉食獣の姿形を持った数十体の異形の群れ。高らかに歓喜の雄叫びを上げるその異形達の正体は、八雲とシュレンと同じく嘗て大罪を犯して物語から存在を許されなくなり追放された者達の末路の姿……イレイザーの大群だったのである。

 

 

ガイア『イレイザーが……!』

 

 

NEOカオス『漸く最初の連中が来たか……シュレン、奴らを率いて各世界に散蒔かせろ。自分達の好きなように、物語を改変しろとな』

 

 

『はいはい、言われなくともやりますよーっと』

 

 

カオス『ッ!そうはさせっ―ガギイィィッ!―ウグゥッ?!』

 

 

NEOカオスの指示通り、侵入したイレイザーの大群の下へ向かおうとするヴリトライレイザーを止めようと駆け出すガイアだが、それを阻むようにNEOカオスが飛び出してすれ違いにガイアを斬り伏せてしまい、NEOカオスブレイドの刃をスルリと撫でガイアに切っ先を向けていく。

 

 

NEOカオス『貴様は俺の相手をしていればいい……。お前ほどの女神が、わざわざあんな愚劣者共の相手をする必要はないだろう?』

 

 

ガイア『クッ……!』

 

 

そう言って再びNEOカオスブレイドを振りかざして斬り掛かるNEOカオスの斬撃を地面を転がって咄嗟に回避するガイア。そしてその間に地上に降下したヴリトライレイザーはイレイザー達の下へと歩み寄り、パンッパンッと両手を叩き景気の良い音を辺りに響かせた。

 

 

『ハイハーイ、イレイザーの皆さん、ちゅーもぉーく』

 

 

『……?誰だ、お前?』

 

 

『うん?誰って、貴方達をこちら側に招くお手伝いをさせてもらった者ですけど?そうね……クリエイトの一員って言えば、私が何者かは検討が付くんじゃない?』

 

 

『ッ?!ク、クリエイトっ?じゃ、じゃあもしかして、あの入り口を開けたのもアンタ達なのかい?!』

 

 

クリエイトという組織名に聞き覚えがあるのか、イレイザー達の間にざわめきが広がり互いの顔を見合わせていく。そしてそんな彼等の様子を眺めながら、ヴリトライレイザーが飄々と口を開いた。

 

 

『クリエイトを知っているなら、私等が何の為に貴方達をこちら側に招き入れたのか大体予想は付くでしょ?貴方達にはこれから――――』

 

 

と、ヴリトライレイザーが先程NEOカオスから指示された命令をイレイザー達に伝えようとした。その時だった……

 

 

 

 

 

 

―ギュイィィィィィッ……ドゴオオオオオオオオオオオオオォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーオオォォンッッッッ!!!―

 

 

『――ッ?!』

 

 

『……あら?』

 

 

 

 

 

 

ヴリトライレイザーが本題を口にしようとした次の瞬間、突如空に浮かぶ次元の裂け目の向こう側から再び一筋の光が飛来し、まるで流星の如くイレイザー達の後方に墜落し爆風を巻き起こしたのである。それを目にしたイレイザー達は突然の出来事に動揺して思わず後退りしてしまうが、先程にも同じ光景を見たばかりのヴリトライレイザーは特に驚きはせず口元をニヤつかせた。

 

 

『思ったよりも速いペースで次が来るのねぇ……ま、この調子で集まってくれればこちらも助かるのだけど』

 

 

次に戻って来たイレイザーは集団か、或いは一人だけか。何れにせよ、一人でも多くイレイザーが集まれば改変出来る物語が増えるのだから自分達としては都合が良い。濛々と立ち込める黒煙を見据えてそう考えながら、ヴリトライレイザーは新たに襲来した侵入者を出迎えようと歩き出した。その直後……

 

 

 

 

 

 

―ボウゥゥッ……ズバアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!!!―

 

 

『――ッ?!な、クッ!』

 

 

―ズシャアァァァァッ!!!!―

 

 

『ッ?!!ギ、ガ……』

 

 

『ウゥグアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアッ!!!?』

 

 

―ドッガアァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーアァァンッ!!!!!!―

 

 

 

 

 

 

――突然の出来事だった。ヴリトライレイザーが歩み寄ろうとした黒煙の向こうから突如、不意を突くように二つの炎の斬撃波が飛び出してヴリトライレイザーに襲い掛かったのだ。ヴリトライレイザーはその顔に驚きを浮かべながらも咄嗟に反応して斬撃波を避けるように後方へ跳躍するが、そのすぐ真後ろにいた二体のイレイザー達が斬撃波に斬り裂かれ爆散していった。

 

 

『クッ……!何よコレ……どうなってんのっ?!』

 

 

一体何が起きたというのか、困惑を隠そうとせずヴリトライレイザーが苦虫を噛み潰したような表情で叫ぶと、炎の斬撃波が飛来してきた黒煙が徐々に薄れて晴れていき、其処には……

 

 

 

 

 

 

 

 

―ジャキッ!―

 

 

メモリー?『………………………………………』

 

 

 

 

 

 

 

 

徐々に薄れていく黒煙の中で、静かに身を屈める一人のライダー……幸助が変身するメモリーの姿が其処にあったのだった。

 

 

『ッ!断罪の神!もう復活して…………?けど、姿が違う……?』

 

 

再び目の前に立ち塞がったメモリーを見てすぐさま身構えるヴリトライレイザーだが、メモリーの姿を目の当たりにした途端その表情が訝しげな物に変わった。

 

 

よく見ると、メモリーの姿は先程までNEOクロノスと戦っていた時と違い、全身のボディが炎のように赤く染まり、複眼の色は緑に、風に揺れるマントも橙色に変化し、更に右手にはメモリアルブレイドではない見慣れぬ真紅の剣が握られている他、メモリドライバーのバックル部分には赤い本の様なアイテムが装填されたスマートフォン型のツールがセットされている。

 

 

ただフォームチェンジしただけかと思われるが、メモリーのあんなフォームなど八雲から聞かされていない。

 

 

―ドグオオォッ!!―

 

 

ガイア『グッ!……ッ?!幸助?!』

 

 

NEOカオス『……?断罪の……?何だ、あの姿は……』

 

 

その一方で、岩山の頂上で一騎打ちの攻防を繰り広げていたガイアとNEOカオスもメモリーの存在に気付いていたが、二人もまた初めて目にするメモリーのその姿に怪訝な様子を浮かべていく中、メモリーは無言のまま身を起こしてイレイザー達に向かって歩き出していく。

 

 

『コイツ、やろうってのかァ?』

 

 

『漸くこっち側に戻って来られたんだっ、やられてたまるかよぉっ!!』

 

 

迫るメモリーを自分達の敵であると認識し、直ぐさま各々が得意とする武器を構えて一斉にメモリーに襲い掛かるイレイザー達。だが……

 

 

―ガギイィッ!―

 

 

『ッ?!―ズシャアアァッ!!―ヌアアァァッ?!』

 

 

―ガギイイィィッ!!ズバアァッズシャアァッ!!―

 

 

『ウアァッ?!』

 

 

『ギャッ!!?』

 

 

メモリーは冷静に、最初に襲い掛かってきたイレイザーを右手に持つ真紅の剣で斬り伏せ、直後に死角から他のイレイザーが振り下ろした武器を切り払いながら斬撃を打ち込み吹っ飛ばす。更に、左腰に納めたもう一本の剣……メモリアルブレイドを勢いよく抜き取りながら居合い斬りで正面のイレイザーを斬り捨てると、バックルにセットされた赤い本の形をしたアイテムを抜き取って、真紅の剣の柄の部分に装填していく。

 

 

『数多の苦難を勇気と不屈の魂で乗り越える、真紅の不死鳥の物語!』

 

『BRAVE FINISH!』

 

 

赤い本を装填された真紅の剣からまるで物語を読み上げるかのように高らかな電子音声が響き渡り、それと同時に真紅の剣の刃から赤い炎が放出され螺旋を描くかのようにメモリーの周囲を舞い踊り、そして……

 

 

メモリー?『――ハアァァァァァッッ!!!』

 

 

―ズババババババババババババババババババババババババアアァッ!!!!!―

 

 

『ッ?!ァ、ガッ……グゥオアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアッ?!!!!』

 

 

―ドッガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!!!―

 

 

『ぐっ!?』

 

 

態勢を立て直したイレイザー達が四方から再び一斉にメモリーに飛び掛かった次の瞬間、メモリーはその場で勢いよく一回転しながら真紅の剣を振るい、赤い炎の斬撃でイレイザーの大群を纏めて斬り裂いていったのだった。そしてメモリーに斬り裂かれたイレイザー達は断末魔と共に爆発して跡形も残さず消滅し、その光景を岩山の頂上から一部終始見ていたガイアは呆然とした顔を浮かべていた。何故なら……

 

 

ガイア『……ち、違う……あのメモリー、幸助じゃ……ない?』

 

 

NEOカオス(……断罪が得意とする剣技とは太刀筋が違う……いや、流水の剣と似た部分が所々に見受けられるが、アレは奴の剣とは明らかに似て非なる……アレは―――)

 

 

そう、あのメモリーがイレイザー達を倒す際に見せた剣技は天満幸助のソレとは違い、流水の剣技を取り入れたような全く異なる剣技を使っていたのだ。彼を良く知る二人からすればその違いは一目で解り、だからこそあのメモリーの正体が幸助でないと気付き戸惑う中……

 

 

 

 

 

 

―シュウゥゥゥッ……ズバババババババババババババアアアァァッッッ!!!!ドゴオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーオオオオンッッッッッ!!!!!―

 

 

NEOカオス『――!!』

 

 

正体不明のメモリーに目を奪われる中、NEOカオスの上空から無数の斬撃波と砲撃の雨が降り注ぎ、NEOカオスに襲い掛かったのだった。しかし咄嗟にそれに反応したNEOカオスはその場から跳び退きながら避け切れない斬撃波と砲撃を弾いていくが、斬撃波の一つを捌き切れずに左腕に直撃して爆発を起こし、左腕のアーマーが完全に破壊されながら後退していくと、ガイアの前に三人の人物が上空から降り立った。

 

 

幸助S「――遅くなったなシズク、無事か?」

 

 

ガイア『ッ?!幸助っ……!椛ちゃんにアレン神父も!』

 

 

アレン「遅れてしまい申し訳ありません、凍り付けにされた椛ちゃんの解凍に少々手こずってしまって……」

 

 

椛「あ……はぁ。アハ………あはははははははははははははははははは!!面白い、面白いの!久しぶりに、全開の力が出せる時が来るとは思わなかったの!!!後悔するななの……もう、私の狂気は止められないの!!あはぁ♪アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ♪」

 

 

ガイアを守るようにNEOカオスの前に立ちはだかる三人……それは先程の激闘の際に頂上から投げ出されてしまった幸助と椛、そして、NEOカオスの氷結魔法により凍り付けにされた椛の解凍を手伝っていたアレンだった。だが、幸助と椛が身に纏う雰囲気は先程までとは違って仰々しいまでの凄まじい覇気を纏っており、加えて椛に関しては狂気を滲ませる狂った高笑いを上げていた。

 

 

NEOカオス『全リミッターを解除に因子解放、加えてスペリオルモードに狂化……俺なんぞを相手に其処まで切るとはな、余程その女に関しての遺恨が魂の芯にまで染み付いてると見られる』

 

 

幸助「当然だ、同じ過ちを二度も繰り返すほど俺達は馬鹿じゃねぇんだよ……。今度は万全の状態で、テメェの首を刈り取るまでだ」

 

 

NEOカオス『それはそれは、光栄の限りだな……。だがそうか、貴様が此処にいるという事は……やはりアレは貴様の差し金か?』

 

 

幸助「……?アレ?」

 

 

―ガギイイィィィッ!!!―

 

 

NEOカオスの問い掛けに幸助が訝しげな表情でそう聞き返したその時、不意に何処からか甲高い金属音が響き、直後に岩山の下から二つの影が飛び出し幸助達とNEOカオスの前にそれぞれ降り立っていく。一つは苦虫を噛み潰したような顔を浮かべるヴリトライレイザー、そしてもう一つは、次元の裂け目の向こう側から突如現れイレイザー達を撃退した二人目のメモリーだった。

 

 

椛「……え?」

 

 

幸助「赤い……メモリーだと……?」

 

 

NEOカオス(?……あの反応……もしや、奴らも知らない?)

 

 

『グッ、クソッ……何なのよアンタっ?いきなり現れたかと思えば斬り掛かってきてっ、何者よっ?!』

 

 

二人目のメモリーを目の当たりにして幸助達が目を見開き戸惑う中、今まで赤いメモリーと打ち合っていたヴリトライレイザーが忌ま忌ましげに赤いメモリーに向けて叫ぶ。そして、この場にいる誰もが考えている疑問を向けられた赤いメモリーは、背中のマントを風で揺らしながらそんなヴリトライレイザーとNEOカオスと向き直り……

 

 

 

 

 

 

メモリー?『――メモリー……仮面ライダーメモリー・ブレイブフェニックス、断罪の後継者……だよ』

 

 

 

 

 

 

ビュンッ!と、左手に握るメモリアルブレイドで風を斬りながら赤いメモリー……否、"仮面ライダーメモリー・ブレイブフェニックス"は静かにそう名乗りを上げ、NEOカオスとヴリトライレイザーと対峙していくのであった。

 

 

 

 

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