仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT 作:風人Ⅱ
―クラナガン・市街地―
―ザシュウゥッ!!ズバババババババババァアッ!!ドガアァァァァァァァァァァアンッ!!―
リイン『デェヤァアァァァァァァアッ!!』
アストレイGRF『ハァアッ!!ヤアァッ!!』
テンガA『ゼェァアッ!!』
イザナギディスペアの暴走がクラウン達の手によって食い止められ、フェイトが救出されたその一方、センチュリオ達とインスペクターの猛攻の前に全滅寸前にまで追い込まれていたディケイド(紫苑)達は、ディジョブド、ディジョブドD、そして零達の世界のユーノとクロノが変身するアストレイ達の加勢により、戦況は徐々にディケイド(紫苑)達の方に押し返され始めていた。
ディジョブド『ハァッ!』
ディジョブドD『オラァッ!』
―ズガガガガガァッ!!!ガギイィィィィイッ!!―
シルベルヴィント『グゥッ?!このっ、いきなり出て来た部外者の分際でっ、いつまでも邪魔するんじゃないよォオッ!!』
ディジョブドの援護射撃で怯んだ隙にディジョブドDの剣が打ち込まれ、火花を散らすシルベルヴィントが激昂と共に高周波ブレードを構え直して二人に高速で突進しようとするが……
ディジョブドD『やらせっかァッ!!』
―バッ、ガシイィッ!!―
シルベルヴィント『ッ?!なっ、こいつっ?!』
ディジョブドDが剣を乱雑に投げ捨てながら躊躇なくシルベルヴィントへと飛び掛かり、シルベルヴィントの下半身にしがみついたのである。それによってシルベルヴィントも重みが増して高速で動けなくなってしまい、動きが怯んだその隙を突くように……
『LICENSE!ULTIMATE GESPENST KICK!』
ディジョブド『――究・極ッ!!ゲシュペンストォ、キイィイイイイイィィィィィィィーーーーーーーイイィックゥッ!!!!』
シルベルヴィント『ッ!!―ドゴオォオオオオオンッ!!!!―グ、ァッ……!アァァァァァァァァァァァァァァァアッ!!!』
―フッ……バゴオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォオンッ!!!!―
ドルーキン『?!』
ディジョブドの能力の一つであるライセンスカードを用い、上空に空高く跳び上がったディジョブドが発動させた必殺技……究極!ゲシュペンストキックが電子音声と共に炸裂し、シルベルヴィントはディジョブドの必殺キックを顔面にまともに喰らって後方のビルまで吹っ飛ばされ、そのままビルの壁に叩き付けられていったのだった。
そして、相方の危機に気付いたドルーキンが思わずそちらに目を見遣った、その時……
『Reday!』
アストレイBFFP『よそ見をしてる暇はないぞッ!!』
ドルーキン『……ッ!!』
―ガギイィィッ!!!―
その隙を見逃さず、アストレイBFがバックルから取り外したミッションメモリーをビームサーベルに装填しながら一気に接近して剣を抜き取り、ドルーキンに目掛け斬り掛かった。
それに応戦してドルーキンもすぐさま鉄球を両手で抱えアストレイBFの剣をガードするが、アストレイBFは鍔ぜり合いになり掛けた寸前にドルーキンに前蹴りを打ち込んで吹っ飛ばし、すかさず左手にバズーカを掴んでドルーキンに連射しながらミッションメモリーをバックルに戻すと、バックルの携帯を開きエンターキーをプッシュした。
『EXCEED CHARGE!』
鳴り響く電子音声と共に、アストレイBFがアストレイフォンを閉じると、ベルトから青い光が伸びてアストレイBFの全身を駆け巡り、両腕両足に到達すると同時に両手に握るバズーカ二丁、両足のミサイルポットが青く点滅する。そして……
アストレイBF『全弾発射だっ、全部持ってぇええええぇぇええぇーーーーーーーーーーーーええぇぇッッッ!!!!!!』
―ギュイィッ……ドババババババババババババババババババババババババババババァアアアアッッッ!!!!!!―
ドルーキン『!!!』
―ドッガァアァアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーアアァァンッッッッ!!!!!―
咆哮と共にトリガーを引き、全身の火器が一斉に火を噴いた。二丁のバズーカと両足のミサイルポットから絶え間無く撃ち出される弾がドルーキンに次々と打ち込まれていき、ドルーキンの姿が爆発と黒煙に覆われていく。しかしドルーキンもインスペクターの中では鉄壁を誇る幹部。この程度の火力で倒れるほど柔ではなく、最後の一発をその自慢の装甲で受け止め切ってからすかさず反撃に出ようとするが……
『Raday!』
―ブォオオオオッッ!!!―
アストレイGRF『ォオオオオオオオォッッッ!!!!』
―ズシャアアアァァッ!!!!―
ドルーキン『……ッ!!?』
黒煙に覆われるドルーキンの背後から突如電子音声が響き、直後にその向こう側からアストレイGRFが勢いよく飛び出したのだ。その手にはライフル・ビームサーベル・実体斧の複合武器……アストレイGRFの専用武装であるツインソードライフルが握られており、不意の奇襲に怯むドルーキンの背中にライフルの上下に装備された二本のビームサーベルを突き刺して動きを封じ……
アストレイGRF『クロノォッ!!!』
『Raday!』
―パキィインッ!!―
アストレイBF『でえぇやぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーあァッッッ!!!!』
―ブザァアアアアアアアアアアアァアッッッ!!!!―
ドルーキン『ッ!!?』
アストレイGRFのその声を合図に、ドルーキンの正面を覆う黒煙の向こう側からアストレイBFが全身の火器を全てパージしながら飛び出しドルーキンの懐に滑り込み、右手に握るビームサーベルで鉄球を持つドルーキンの右手を弾き、左手に握るビームサーベルでドルーキンの胸に突き刺した。そして……
リインキバット「ウェイクアップ1!ですぅ~!!!」
リイン『ヤァアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーッッッッ!!!!』
ドルーキン『……?!!』
―バゴォオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーオオォンッッッッ!!!!―
前後から挟み打ちにされ身動きが取れないドルーキンの遥か頭上から、リインが右足の鎖(カテナ)を解放しながら踵を振り上げて垂直落下し、ドルーキンの頭部にフルムーン・ラグナロクを叩き込んだのだった。
そしてアストレイBFとアストレイGRFが離れたと共にリインの三連後ろ回し蹴りがドルーキンに打ち込まれ吹き飛ばし、それでもドルーキンは態勢を立て直して倒れようとはしないものの片膝を着き、度重なるダメージのせいで全身のアーマーに亀裂が走り戦闘の続行は困難のように見える。
シルベルヴィント『クッ!シ、シカログ……!!』
センチュリオR(……インスペクターの二人の損傷が激しい……加えてこちらに与えられた兵達が底を尽き始めてる……新手が増えた以上、戦闘の続行は困難……ならば)
―ドゴォオオッ!!―
ディケイド(紫苑)『グウッ?!』
周囲を見渡して瞬時にそう戦況を分析すると同時に、センチュリオRは剣と剣をせめぎ合せていたディケイド(紫苑)に蹴りを放って吹っ飛ばしながら後退し、片手を掲げて生き残ったセンチュリオ達にシルベルヴィントとドルーキンに回収を命じていく。
シルベルヴィント『ッ?!な、何の真似だいアンタッ?!』
センチュリオR『戦況はこちらの不利です。これ以上の消耗を防ぐ為にも、一度撤退すべきかと』
シルベルヴィント『勝手なことをするんじゃないよッ!!こんな無様を曝したまま、引くわけには――!!』
センチュリオR『引き際を見極められなければ、待つのは滅びのみ……それほど死に急ぎたいのであればご勝手にして下さい。私達は構わず撤退させて頂きますので』
シルベルヴィント『っ……!このっ……クッ……』
感情の起伏を一切感じさせないセンチュリオRの淡々とした物言いに一瞬頭に血を上らせて食ってかかろうとするシルベルヴィントだが、彼女を相手に本気になっても無駄だと思い出し、苦虫を噛み潰したような顔を浮かべながら視線を逸らした。
そして、センチュリオRもそんなシルベルヴィントの様子を見てこれ以上の反論は出ないと見ると他のセンチュリオ達に二人の回収を命じ、ディケイド(紫苑)達に視線を戻す。
センチュリオR『此処は一先ず痛み分けとしましょうか……こちらもこれ以上の損害を出すのは望ましくはない』
ディジョブドD『なんだ、逃げるってのか?お楽しみはまだ此処からだろ?』
センチュリオR『この場での私達の役目は所詮足止めですから……貴方達を全滅寸前まで追い込んでトドメを刺せなかったのは惜しく感じますが、最低限の任務を果たせた以上は深追いをする気もない……次に会う時には、こちらも今以上の戦力を持って、貴方達を潰します』
宣言するように一同に向けそう告げると、センチュリオR、シルベルヴィントとドルーキンを回収するセンチュリオ達、残った量産型ライダー達の背後に歪みの壁が出現して彼女達を飲み込み、センチュリオR達は歪みの壁と共に何処かへと転移し撤退していったのであった。
ディジョブド『退いたか……』
ディケイド(紫苑)『みたい、だね……ぅっ……』
ディジョブドD『ッ!おい!』
センチュリオR達の撤退を見届けて気が抜けたのか、途端に膝から崩れ落ちてしまうディケイド(紫苑)。それを見てディジョブドDも思わずディケイド(紫苑)も支えて、三人一緒に変身を解除しながらボロボロの姿に変わり果てた紫苑をその場に座らせていく。
紲那「酷い怪我だ……少し待ってて、今僕の力で治療を――」
紫苑「ッ……いえ、僕の方は大丈夫ですっ……。それより今は、雷さんや怪我人の皆さんの方を……」
「――雷牙達の方なら心配は入らないだろう。あちらには今頃、僕達の知り合いが向かってる筈だからね」
紫苑「!」
紲那を手で制して雷牙達と優矢達の救援を優先すべきだと告げようとする紫苑の言葉を青年の声が真横から遮り、そちらに振り返ると、三人と同じように変身を解除したクロノが紫苑達の下へと歩み寄って来る姿があった。
紫苑「貴方は……」
クロノ「君が別世界のディケイドの風間紫苑君、それからディジョブドの輝晶紲那君達だろう?僕はクロノ・ハラオウン、向こうの彼はユーノ・スクライア。零となのは達の友人だ」
紫苑「零さん達の……?」
紲牙「じゃあやっぱ、アンタら二人は零達の世界のクロノとユーノって事か?」
クロノ「そういう事だな。君達には随分とうちの馬鹿野郎、ンンッ!……零や皆が世話になったようだね。その事に関して、僕からも改めて礼を言わせてくれ」
紲那「あ、いや、別に礼を言われる程の事は何も……」
そう言って紫苑達に深く頭を下げるクロノを見て少し慌ててしまう紲那。しかしそんな紲那を他所に、紫苑は激痛の走る左腕を抑えてクロノに口を開いた。
紫苑「そんな事よりっ、雷さん達の方が心配入らないって、本当に大丈夫なんですか……?その知り合いって、何人くらい……」
クロノ「何人……?いや、一人だけだが……」
紫苑「なっ、一人ってっ、そんなの増援にもならないじゃないですかっ!やっぱり僕もっ、ぅ……!」
紲牙「お、おい、あんまり無理すんなっ!」
雷達の救援にたったひとり向かわせた所で何になると言うのか。やはり自分も、と紫苑が怪我を負った身体に無理を押し立ち上がろうとするが、クロノはそんな紫苑を安心させるかのよう肩の上にポンッと手を軽く置いた。
クロノ「心配は入らない。確かにあの人は変わり者だし、心配な部分も多大にはあるが、同時に僕とユーノを遥かに凌ぐ実力者でもある。彼女に任せておけば、きっと雷牙達も無事に助け出してくれるさ」
紫苑「っ……だけど……」
クロノ「それに、今の君がそんな状態で彼等の助けに向かった所で、足手まといになるのが関の山だ。……それよりも今僕達がすべきなのは、一刻も早く怪我人達を運んで彼等の命を救う事だ。違うか?」
そう言って、真剣に、真っすぐな瞳で紫苑を見つめるクロノ。そんなクロノの目を見て、紫苑も彼の真摯な気持ちを感じ取ったのか、少しだけ迷うように視線をさ迷わせた後に小さく頷き返した。
クロノ「よし……。なら君は、この世界の機動六課に至急救援要請を送ってくれ。ディジョブド、君はその間、怪我人達の治療を頼む。今シャマルが必死に頑張ってくれてはいるが、いくら彼女でも瀕死の重傷人を三人も一緒に並列して治療するのは不可能だ。彼女を手伝ってやってくれ、頼む」
紫苑「……はいっ」
紲那「分かった。任せておいてくれ!」
冷静にそう指示するクロノに従い、紫苑はすぐに自身の通信を使って機動六課に連絡を。紲那は向こう側で自分達と同じくユーノから説明を受けてるはやて達の下に急いで向かっていき、クロノはその背中を見送りながら密かに小さく溜め息を吐いた。
クロノ(取りあえずこっちは何とかなったか……ハルさんの方は恐らく心配ないとして、残るは零の方だが……果たして……)
紫苑にはああ言ったものの、クロノの心の内は未だに出会えてない友の安否に対する心配で埋め尽くされていた。しかし彼にあんな事を言った以上、怪我人達を放ってこの場を離れる訳にはいかない。今にでも彼を探しに向かいたい足を先程の自分の言葉を思い出す事で律し、クロノはこの世界の六課からの救援が駆け付けるまでこの場に留まり、彼女達を守る事に専念するのであった。
◇◆◇
―クラナガン・市街地―
―ガギイィィッ!!ズバァアッ!!バシュンッバシュンッバシュンッ!!―
ディスパー『ハァアッ!!オォラァアッ!!』
ベルグバウ『フッ!ダァッ!ハッ!!』
『ゥオオッ!!?』
『ギャッ?!』
そして同じ頃、ディスパーとベルグバウ、ハルの乱入によって最大の武器だった人質達を失ったデザイアドーパントは、それでもなお苦し紛れにレジェンドルガとセンチュリオ軍団を呼び寄せ応戦していた。
だが、巧みな槍捌きで次々とレジェンドルガ達を薙ぎ払うディスパー、縦横無尽に空を飛び回って銃撃の雨を浴びせ、センチュリオ達の急所を正確に撃ち抜いていくベルグバウの前に撃退されていき、更に人質の心配がなくなった事で今まで動けずにいた雷牙達も戦闘に参戦し、なのは(別)達はレジェンドルガの群れと、雷牙と黒獅子リオは先程までの雪辱を晴らすべくデザイアドーパントと戦う姿があった。だが……
『ハァアアッ!!!』
―ドグォオオオオオォッッッ!!!!―
黒獅子リオ『グッ……?!ガハァアッ!!!』
雷牙『リオッ?!―バゴォオオオオンッ!!!―グゥアアアアッ?!!』
戦況を覆されたとは言っても、デザイアドーパントの脅威的な能力が健在のままであることに違いはない。デザイアドーパントは先程オーガ達を追い詰めた自身の力を活用し、黒獅子リオの拳術を安易く弾きながら黒獅子リオの胸に掌底を打ち込んで吹っ飛ばし、更に彼を助けようとした雷牙の懐に瞬時に潜り込んで腹を殴り、首を掴み上げていく。
カイル「ッ?!ら、雷さんッ!!」
雷牙『ぐ、ァ……!カハッ……!』
『こうなればもう回りくどいやり方はしないわっ……!!貴方を殺し、無理矢理にでもその手からサンダーレオンを奪い取って―――!!』
その後に洗脳でもなんでもして強引に使役すればいいと、デザイアドーパントがギリギリと首を締め上げられて悶え苦しむ雷牙の命を絶つべく手刀を繰り出そうとするが……
―ズガガガガガガガガガガガガガガァッ!!―
『ッ!グッ?!』
ベルグバウ『これ以上好きにはやらせるかッ!』
それを阻止する様に、センチュリオ達を撃退していたベルグバウが右手に握る銃でデザイアドーパントの背を狙い撃い、デザイアドーパントの手から雷牙を手放させた。そしてベルグバウの銃撃で怯むデザイアドーパントに向かってディスパーが一直線に疾走し、ディスパランサーを振りかざし斬り掛かっていく。
―ガギイィィッ!!―
『クッ?!何故邪魔をするのッ?!流れ者の貴方には関係のない事の筈でしょうッ?!』
ディスパー『ところがどっこい、うちの連れの関係でテメェに雷牙達をやらせる訳にはいかねぇのさ。それにな、その事を抜きにしても、俺様はテメェの曲がったやり方が気に食わねぇッ!邪魔する理由はそれだけでも十分だッ!!』
―ドゴォオッ!!―
『アグッ?!』
そう言って怒りの声を荒げながら力任せにデザイアドーパントの腹を蹴り付けて距離を作ると、ディスパーは左腰に装備してるカードホルダーを開いてカードを一枚取り出し、ディスパランサーに装填してスライドさせていく。
『HERORIDE:BOUKEN SILVER!』
ディスパー『テメェの腐った性根を叩き直すついでだ、俺様の力を見せてやるよ。変身っ!』
電子音声と共にそう叫びながらディスパーが槍を前に突き出すと、ディスパランーから赤と黒の針が特徴の巨大な羅針盤のエンブレムのビジョンが飛び出して光となり、ディスパーの身体を包み込んだ。そして光が晴れると、ディスパーの姿は銀色に輝く角が備え付けられたメット、銀と黒のスーツを身に纏った、仮面ライダーとは別の戦士に変身したのであった。
『っ?!その姿……!』
黒獅子リオ(……!アレは、まさか……!)
デザイアドーパントはライダーではない銀色の戦士に変身したディスパーを見て驚きを露わにし、その背後では黒獅子リオもレジェンドルガを殴り付けながら姿を変えたディスパーの今の姿……嘗て自分が元の世界でとある戦いにて敵対し、最後にはゲキレンジャーと共に共闘した轟轟戦隊の銀色の戦士を見て驚愕する中、銀色の戦士に変身したディスパーは更にカードを一枚取り出しディスパランサーにセットした。
『ATTACKRIDE:MABAYUKI BOUKENSHA!BOUKEN SILVER!』
『目眩き冒険者!ボウケンシルバーッ!!……へっ、やっぱコレがなきゃ絞まらねぇよな。行くぜぇ、性悪女ァッ!!』
電子音声が響き渡ると同時に決め台詞を叫び、銀色の戦士……ボウケンシルバーに変身したディスパーは鼻の下を擦りながらデザイアドーパントに啖呵を切り、何処からかディスパランサーとは別の槍型の武器……サガスピアを取り出し疾走してデザイアドーパントと刃を交えていった。
Dボウケンシルバー『ハァアッ!!ダァッ!!オラァッ!!』
―ズシャアァッ!!ギンッ!!ガギイィィンッ!!―
『クッ!!このっ……?!ゥアアッ!!』
Dボウケンシルバーはデザイアドーパントが振るう攻撃を槍で上手く捌きながら一撃、また一撃とデザイアドーパントに能力を使わせる暇を与えまいとダメージを加えていくと、続け様に回し蹴りを放ってデザイアドーパントを蹴り飛ばし、サガスピアを両手で構えて刃に力を溜めて光を纏い、そして……
Dボウケンシルバー『ハアァァァァッ……サガスラッシュッ!!喰らいやがれぇええッ!!!』
―バシュウゥッ!!ズバァアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!!!―
『ッ!!―ガギイイィィッ!!!―グッ……ウアァァァァァァァァァァァァァァァァアッ!!!』
サガスピアと共にその場で回転して銀色の斬撃を目の前に出現させ、其処へ更にもう一撃斬撃を重ねてデザイアドーパントに目掛けて二重の斬撃波を飛ばしていったのだった。それを見てデザイアドーパントも咄嗟に両腕をクロスさせ銀色の二重の斬撃波を受け止めるが、斬撃波を凌ぎ切る事が出来ず爆発と共に再び吹っ飛ばされていき、Dボウケンシルバーはディスパーに戻りながら叫んだ。
ディスパー『どした、もう終わりかよ?』
『グッ……っ……いつまでも、調子に乗るんじゃないわよッ!!』
―シュンッ、ガシッ!―
ハル「……おお?」
挑発するディスパーに激昂の雄叫びを返しながらデザイアドーパントは突然高速移動を用い、何もせずに目の前の戦闘をただ傍観していたハルの後ろに回り込み拘束し、彼女の首に右手を突き付けた。
雷牙『ッ?!しまった!!』
ディスパー『なっ……?!てめぇっ、また懲りもせずっ!!』
『利用出来るなら何だって利用するだけよッ!!それ以上は近づかない事ねっ、でないと――!!』
この女の命はないと、デザイアドーパントはハルの首に右手を突き付けディスパー達を牽制していき、再び人質を取られた事で一同も手出しが出来なくなり悔しげに唇を噛み締めていく。が、それとは対照に人質にされている当の本人のハルは表情を変えず、ポリポリと呑気にこめかみを掻いていた。
ハル「んー。クアットロ君?追い詰められる余り人質を取る、っていう選択肢は私も有りだとは思うんだけどさ。この状況で私を人質に選んでも意味ないと思うよ?や、ホントに」
『貴女は黙っていなさいッ!!元はと言えば、貴女が現れてから全部が狂い出してっ―――!!』
ハル「いや、でもね?」
余裕のないデザイアドーパントとは裏腹にハルは落ち着き払った調子で、頭上を指差し……
ハル「私も一応、"保険"は掛けてあるから、私に危害を加えるのは得策じゃないと思うけど?」
『……………は?』
―バシュンッバシュンッバシュンッバシュンッバシュンッ!!!―
『ッ!!?なっ、ゥアアアアアアアッ!!?』
ディスパー達『?!』
ハルがそう口にした直後、デザイアドーパントの頭上から突如無数のビームの雨が降り注ぎ、ハルには一発も当たらぬようにデザイアドーパントだけを正確に狙って撃ち貫いていったのである。
そして予想外の不意打ちを受けたデザイアドーパントがそのままゴロゴロと地面を転がりながら吹き飛ぶと、上空からハルの下へ一基の赤い飛行マシン……彼女がアクエリオンへの変身時に使用するベクターソルが降下し、ハルがポケットから取り出したバックルに吸収されるように収納されていく。
『グッ、ゥッ……?!な、何なのっ、それはっ?!』
ハル「えっ?ああ、いや、さっきも言ったろ?此処に来る前に、万が一に備えて用意しておいた保険だよ。ほら、私も所詮一般人だし、こういう事に備えておかないと安心出来ない小心者だからさ。我ながら情けない性格だけど、今回はそれが吉と出て良かったよ、ウン」
はっはっはっ、と高らかに笑いながら懐にバックルを仕舞うと、ハルは徐にマントを翻して腰にあらかじめ巻いていた赤と白のベルト……ユーノとクロノの物と同じアストレイギアを露出させ、更に腰のベルトと同じ色のアストレイフォンを取り出して開き、手慣れた手つきで変身コードの番号を入力してエンターキーをプッシュしていく。
『0・0・2』
『Standing by……』
『ッ?!そ、そのベルトは……?!』
ハル「本当だったら、ディスパー君とベルグバウ君の二人だけで加勢は十分かと思って傍観しているつもりだったんだけど、君が私に危害を加えるつもりなら仕方がない。悪いけど、最低限の抵抗はさせてもらうよ?変身」
『Complete!』
そう言いながらハルが携帯を閉じてバックルへと装填すると共に電子音声が響き渡り、ベルトから赤い閃光が伸びてハルの全身を駆け巡っていく。
そして赤い光が徐々に止むと、ハルの姿が仮面の戦士……基本フレームと角の色が赤と白である以外、ユーノとクロノのアストレイと全く同じ外見をし、唯一の相違点が左腰に差した鞘に納められた日本刀である『仮面ライダーアストレイ・レッドフレーム』へと変身していたのであった。
スバル(別)「え……ええッ?!あ、あの人も変身したッ?!」
ディスパー『お、お前っ、お前もライダーだったのかよっ?!』
『くっ……!通りで妙だと思ったわ……!何がただの一般人よ、騙してたのねっ?!』
アストレイRF『え、ええ?それは誤解だ、別に騙していた訳じゃないよ?ただ単に変身する機会や告白するタイミングがなかったから、結果的にそうなっただけと言うかね?うんっ』
『黙りなさいッ!!レジェンドルガっ、何をやってるのっ?!今すぐあの女も仕留めなさいっ!!』
『ウォオオオオオオオオオオオオオッ!!!』
心外だ、と言わんばかりに手と首を振るアストレイRFの言葉に聞く耳を持たず、デザイアドーパントはアストレイRFを標的に含め無数のレジェンドルガ達を再び嗾ける。
それに対してディスパー達も咄嗟にそれぞれの得物を構えて迎撃に出るが、アストレイRFは何故か『ひゃー!!』と可笑しな悲鳴を上げながらレジェンドルガ達が振るう拳や剣を軽い身のこなしでかわすだけで反撃せず、ただただ俊敏な動きで逃げ回るだけでいた。
ディスパー『ちょ、おいっ!!なんで逃げ回ってんだお前っ?!変身したんなら戦えよッ!!』
アストレイRF『えっ?いやいやいや、私は単に無抵抗のまま死にたくはないから変身しただけだよ?というか私ねっ、どうにも拳とか射撃とかはそうでもないんだけど、剣術だけは"刀を持つと途端に殺しが絶望的なまでに下手になる"っていうか、"こちらから剣を振るい出すと虫の一匹すら殺せなくなる"というか―ビュンッ!!―にゃーーッ!!?』
ディスパー『じゃあなんで出て来てんだ大人しく帰れよお前ぇええッ!!!』
『何処までもふざけてっ……いいわ……貴女みたいな雑魚、私が直々に殺してあげますわッ!!』
最もな意見を口にしながらレジェンドルガを一体斬り捨てていくディスパーだが、アストレイRFの方はそれに答える余裕もないのか、『おろーーッ!!』と独特な悲鳴を上げてレジェンドルガ達の攻撃を全てかわしながら逃げ回り、デザイアドーパントもそんなアストレイRFのふざけた調子に苛立ち、何処からか黄金の杖を取り出してアストレイRFに襲い掛かっていった。
◇◆◇
―高層ビル・屋上―
『ダァアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!』
セイレス『フッ!!』
―ガギィイイイイイイイイイイイイインッッッ!!!!!!―
場所は戻り、零が意識を失い倒れている高層ビルの屋上。インスペクター達の脅威が去り、イザナギディスペアの暴走が沈静化され、更にはディスパーとベルグバウ、ハルといったイレギュラーの乱入が続く中、其処では、セイレスに変身したユリカとヴリトライレイザーの闘いが火蓋を切って落とされていた。
―ダンッダンッダンッダンッダンッダンッ!!グガァアアンッ!!―
『チィイッ!鬱陶しいッ!そんな鉛弾で、この私を倒せるとでも思ってる訳ッ?!』
セイレス『…………』
忌々しげに舌打ちしながら屋上を駆け抜け、セイレスが片手に握る白銀の銃から放つ銃弾を回避するヴリトライレイザーがそう叫ぶも、セイレスは何も答えないまま銃撃を続けていくと、足元に転がる破片……ヴリトライレイザーと戦いながら先程全て破壊したセンチュリオの仮面の一部を、銃撃から逃れるヴリトライレイザーの進行先に目掛けて蹴り付けた。
―ビュオオォオッ!!―
『ッ?!な、なにっ――』
セイレス『隙だらけよ』
―ブザァアアアッ!!!―
『ウグァアアアッ?!!』
目の前を高速で横切った破片に驚いてヴリトライレイザーが思わず足を止めた瞬間、セイレスはその隙を見逃さず一気に疾走してすれ違い様にヴリトライレイザーの脇腹を剣で斬り付けて怯ませ、直後に振り返り様に再度銃撃を浴びせてヴリトライレイザーの全身から火花を撒き散らせていった。
―ズダダダダダダダダダダダダダダダダァアンッ!!!!―
『ガァアアアアッ?!!!ゥッ……!!このっ、よくもっ……!!』
セイレス『……ガッカリさせないで欲しいわね……私の知る昔の貴方なら、もっと今より歯ごたえがあった筈よ……イレイザーの力に溺れて、腑抜けにでもなったのかしら?』
『調子に乗ってんじゃないわよっ……!!この世界ならともかくっ、メモリアルの管轄外だったさっきのあの出来損ないの世界でならこっちだってっ……!!』
セイレス『なら、私を相手に存分に戦える状況に恵まれなかった自身の運の無さを呪いなさい……これで終わりにさせてもらうわよ……』
冷淡な声音でそう言い放ちながらゆっくりと足を開いて腰を落とし、ヴリトライレイザーに引導を渡すべく両手の武器に神氣を込めていくセイレス。それに対しヴリトライレイザーも口の中で舌打ちすると、両腕に業火を纏いながら迎撃態勢を取り、両者睨み合い一触即発の空気を漂わせ、そして……
「――――其処までよ、お二人さん。これ以上の戦いは、傍目から見ても不毛にしか映らないわ」
―シュウゥッ……バッシャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!!!―
セイレス『……?!』
『ッ?!こ、この技は……?!』
二人が再度激突しようとしたその時、突如セイレスとヴリトライレイザーの周囲に無数の水柱が立ち上ぼり、二人の間に流れていた張り詰めた空気を拡散させてしまったのである。そして、二人が突然出現した周囲の水柱を見て動きを止める中、二人の間にも一つの水柱が現れ、其処から一人の人物……水色のショートヘアーに、氷のように冷ややかな切れ目の女性が姿を現した。
セイレス『……貴方は……』
「ハロー。こうして顔を合わせるのは初めてかしら、終極の女神様?うちの八雲とシュレンが、大分お世話になってるようねぇ?」
ヒラヒラと、水柱の中から現れた女性は人当たりの良さそうな声音でそう挨拶し、セイレスに片手を振って笑みを浮かべている。だが、それに反してその目は笑っておらず、何処か冷たさを滲ませており、セイレスが突如現れた女性に警戒を強める中、ヴリトライレイザーはその女性の背中に向かって声を荒げた。
『エ、エイラ……!!なんでアンタがこんなとこにいんのよッ?!確か別件で違う物語に、イレイザー集めに行ってたんじゃなかった訳ッ?!』
「あら。そんな用件はもうとっくに終わらせたわよ?貴方達が断罪の神達を相手にはしゃいでる間に、ね?」
そう言って水色の髪の女性……"エイラ"は不敵な笑みと共にヴリトライレイザーに顔を向けると、ヴリトライレイザーは『クッ……!』と憎たらしげにエイラを睨み付けるが、エイラはそれを無視してセイレスに視線を戻すと、セイレスは仮面の下で眉を寄せながらエイラを睨み据える。
セイレス『この感覚……そう、貴方もイレイザーという訳……?それも、シュレンや黒月八雲と同じ――ー』
エイラ「ええ、クリエイトの一員を務めさせてもらってるわ。因みに階級はこの子より一つ上、つまり上司って事になるかしらね?」
『……ハッ、何が上司よ。あんた如きの階級、私がその気になりさえすればすぐに……』
エイラの後ろでそんな小言をヴリトライレイザーが漏らすが、エイラはそれを無視し、セイレスに顔を向け……
エイラ「さて……。いきなりお邪魔したところ申し訳ないけど、終極の女神様?この勝負、悪いんだけど、一先ず私に預からせてもらえないかしら?」
『ッ?!なっ……!』
セイレス『……何ですって?』
顔に笑みを張り付けたまま、突然そんな事を言い出したのである。エイラのその言葉にセイレスも更に表情を険しくさせ、同じく驚愕を露にしていたヴリトライレイザーもハッと我に返りエイラの肩を荒々しく掴んで強引に振り向かせた。
『なに勝手なこと言い出してんのよッ?!これは私とコイツの闘いだッ!部外者が横から口挟んでじゃっ―――!!』
エイラ「挟むに決まってるでしょう?さっきも言ったけど、貴方も八雲も、昔の怨敵を前に立場も忘れてはしゃぎすぎよ。そんなんじゃ、メモリアルから余計に目を付けられるだけでなく、邪魔立てが増えて後の計画にも支障が出てくる……王の余計な怒りを買いたいの、貴方?」
『グッ……!』
エイラが"王"というワードを口にした途端、エイラに食って掛かるヴリトライレイザーの勢いが目に見えて弱まった。そしてエイラもそんな彼女を尻目に乱れた服を整え直し、セイレスに目を向けて話を続けていく。
エイラ「で、どうかしら女神様?これ以上こんな不毛な戦いを続けてもこちらも損をするばかりだし、それに貴方も、其処の彼を早く安静にさせないといけないのではなくて?」
セイレス『……だから見逃せ、と言うの?貴方たちを』
エイラ「この戦いは建設的じゃない、と言ってるのよ。どうせ今の貴方じゃ私達の存在を完全に滅ぼせないし、私達も、物語を改変でもしなければ不死の貴方を殺す事は出来ない……ね?こんな決着の付けられない戦いを続けたところで、得られるものなんて何もないわ。お互いにね」
セイレス『……今はまだその時ではない、ということか……』
エイラが言わんとしてる事が伝わったのか、セイレスはそう呟いた後、エイラとヴリトライレイザーに突きつけた銃をゆっくりと下ろしていく。
エイラ「あら、思いの外物分かりが宜しいのね」
セイレス『完全に納得した訳じゃないわ……ただこちらも、貴方達と正面切って戦う為の準備が完璧という訳じゃない。だからその機会をそちらから頂けると言うなら有り難い限りよ……次に相見える時には、貴方達を後腐れなく殺せるのだからね』
エイラ「……フフ、そう。それは楽しみだわ。では、私達はお先に失礼させてもらいます。ごきげんよう、終極の女神?」
『チッ……覚えてなよユリカっ……次こそは、絶対っ――――!』
微笑しながら胸に手を当てて別れの挨拶をするエイラとは反対に、ヴリトライレイザーは不完全燃焼で苛立たしげに舌打ちしながらセイレスを睨み据えて何かを告げようとするも、全てを言い切る前にエイラが足元から再び水の柱を発生させてヴリトライレイザー共々自身を飲み込ませ、水の柱が消えると、其処には二人の姿がなく何処かへと消え去っていたのだった。
セイレス(……どうにか退かせられたか……認めるのも癪だけど、今の私じゃ奴等を倒せても物語から追い出す事しか出来ない……あれだけ嫌だった神化を果たしても、未だ私の力は及ばないなんてね……)
だが、それでも奴等に弱味を見せる訳にはいかないと仮面の下で小さく嘆息すると、ベルトを外して変身を解除し、ユリカに戻って零の方へと振り返る。
ユリカ(……リィル……貴方はそんな姿になってまで、今もなお彼を守ろうとして……其処までして守る理由が、私の知らない"彼の過去"にあるの?それとも……)
心の内でそう問い掛けても、倒れる零の中のリィルは何も答えてはくれない。ユリカはそれに対して僅かに哀しげに目を伏せた後、すぐに無表情へ戻って何かを探すように周囲を見渡し、ある一点……幸助達と八雲が対峙する高層ビルを見据えた。
ユリカ(……それでも、私のやる事は変わらない……全てを知る為にも、目の前にある手掛かりを求めてただ戦い続けるだけだ)
その為にも先ず、『あの事件』の全てを知る者と対峙しなければと、ユリカは一度零を一瞥した後に正面を睨み、幸助達と八雲が対峙する高層ビルに向かって空高く跳躍したのであった。
◆◆◆
―ブオォオオォッッ!!!―
『グルァアアッ!!』
『シャアァアアッ!!』
アストレイRF『うおっと?!危ない危ないっ、ほっ!』
―バキィイイッ!!―
『グガァアッ?!』
一方その頃、アストレイRFに変身したハルは無数のレジェンドルガ達に囲まれて逃げ場を失い、四方からの集中攻撃を受けている真っ只中にあり、次々と降り掛かる凶爪や武器による攻撃を必死に凌ぎ続けていた。だが、そんな危機的状況に立たされながらもアストレイRFの様子は余裕を保っており、一見ふざけているように見える立ち回りでレジェンドルガ達の攻撃を避けながら肘打ちや平手打ちを叩き込んで反撃し、そのまま距離を離して深々と溜め息を吐いた。
アストレイRF『やれやれ。私なんかを相手に其処まで躍起にならなくても良いじゃないか?どうせ"コレ"を抜いた所で、"私からは"一人も君達を殺せはしないんだから、無闇やたらに襲ってこない方が身の為だと思うよ?』
『グルルルッ……シャアァッ!!』
そう言って左腰に差す日本刀の鞘を掴んで僅かに揺らして見せるアストレイRFだが、レジェンドルガ達はそれに構わず再度四方からアストレイRFへと襲い掛かった。
アストレイRF『聞く耳持たず、か……しょうがないなあ……』
―チャキッ……―
迫り来るレジェンドルガ達を前に小さく溜め息をこぼすと、アストレイRFは腰に差した日本刀……ガーベラストレート(菊一文字)を僅かに抜いて刃を曝し、柄を握りながら足を広げて腰を落とし、そして……
アストレイRF『――無尽ノ太刀……"散"』
―フッッ…………ズバアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!!!!!―
『――ッ?!ガッ……?!』
『ギャッ……ァッ……?!』
――――たった一度の抜刀。アストレイRFの腰から勢いよくガーベラストレートが引き抜かれた瞬間、距離があるにも関わらずそれだけでレジェンドルガ達の手足が斬り裂かれて宙を飛び、更に首筋などの急所に斬撃が走ったのである。
一体何が起きたのか、それすらも分からないまま手足を失ったレジェンドルガ達はアストレイRFの前にバタバタと倒れていき、アストレイRFはそれを見て小さく一息吐きながらガーベラストレートを軽く振るい刃を眺めていく。
アストレイRF『流石は菊一文字、ガーベラストレートだなぁ……。これだけの数を斬り伏せても刃こぼれ1つ無しなんて―バシュウゥッ!!―……!』
―ドッガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!!!!!―
ガーベラストレートの刃を見上げて関心の声を漏らすアストレイRFだが、其処へ突然一発のエネルギー弾が襲い掛かった。それに反応したアストレイRFは咄嗟に後方へと飛び退いてエネルギー弾をかわすと、今の攻撃を放った張本人……杖の先端を向け、分析の為にレジェンドルガ達をアストレイRFに差し向けて今まで傍観していたデザイアドーパントに目を向けた。
アストレイRF『危ないなぁクアットロ君っ。ただの一般人相手に不意討ちなんて、当たって怪我でもしたらどうするのさ?』
『ッ……何処までふざければ気が済むのっ?あんな一瞬でレジェンドルガ達を皆殺しにしておいて、貴方みたいな一般人がいるはずがないでしょう!?』
アストレイRF『皆殺し?ちょ、人聞きの悪い事を言わないでくれよっ。ちゃんと見てみてくれ、ほら、私が斬った彼等をさ?』
『っ?』
心外だ、と言わんばかりにデザイアドーパントの周囲に倒れるレジェンドルガ達を指差すアストレイRFの指先を思わず追い、デザイアドーパントは周りの地に伏すレジェンドルガ達を見回す。すると良く見れば、手足を切り落とされた上に急所を斬られた筈のレジェンドルガ達の身体が僅かに上下に揺れており、息がある。しかもそれは一人や二人だけでなく、彼女に斬られた全員が酷い姿になってるにも関わらず生きていた。
『死んで、いない……?そんなっ、こんな状態で、一人も死んでないと言うの?!』
アストレイRF『んー……だから、さっきディスパー君にも言っただろ?私は刀を抜くと、途端に殺しが絶望的に下手になる、と』
驚愕するデザイアドーパントに肩を竦めながらそう言うと、アストレイRFはガーベラストレートを突き出して流暢に語り出す。
アストレイRF『私の使う剣は、"無尽一刀流"という護身剣術でね。我が家のご先祖様から代々我が家に伝わる古い剣術なんだが、護身の名の通り、襲い来る敵から我が身と命を護る為のものさ』
そう説明しながら、アストレイRFはガーベラストレートをビュンッ、と真横に振るうって空を斬り、苦笑いを浮かべた。
アストレイRF『ただまあ、それを目的に突き詰め過ぎたのか、それとも私達一族が元々そうなのかは知らないが、この剣を会得してしまうと途端に殺しというものが下手になってしまってね。こちらから剣を振るっても、人一人どころか虫一匹すら殺せなくなるんだ。斬っても刺しても突いても、傷は付けられても"こちらからは絶対に命を奪えない"……中々に馬鹿げた話だろ?』
『……成る程。つまり貴方は、その剣を手にしてる限り私達を殺せない、と解釈しても宜しいのかしらぁ?』
アストレイRF『そっ。彼等を見れば分かると思うけど、手足を切り落せてもギリギリ死なないようになっているし、急所を狙ったとしてもどうしても腕が僅かに狙いをずらしてしまうんだ。それも無意識にね。私自身不思議でならないよ』
一体どういう仕組みなんだろーねー?と、頭の上に?マークを浮かべて自分の掌を握ったり開いたりして繰り返すアストレイRFだが、それを聞いて険しげな顔を浮かべていたデザイアドーパントは口元に笑みを浮かべ、杖を握り直した。
『そういうこと……なら私は、貴方に殺される心配をする必要はない、という事かしら?』
アストレイRF『?うーん……うん。私から君へ斬り掛かっても殺せはしないだろうからね、絶対。不殺、なんて聞こえは良いけど、怪人態の君のような相手にはそれも通用しないだろうしなぁ……ほら、これが生身の人間だったら『死』なんて漠然としたイメージより、手足を切り落とされると分かってた方がより生々しいイメージと恐怖を身近に感じさせられるだろ?そのハッタリだけで、大概の人間は戦意喪失して逃げてくれるんだがー……』
『ええ……私みたいなのが相手となれば、人間一人殺せないなんて言う貴方という格好の獲物を、わざわざ見逃す理由はないわぁッ!!!!』
―ダァアアアアンッッッ!!!!―
声に何処と無く歓喜を含ませて、デザイアドーパントは杖を振りかざしてアストレイRFへと襲い掛かった。今の自分なら、例え手足や致命傷を狙われてもデザイアメモリの力で瞬間的に回復する事が出来る為、敵の命を奪えないなどとほざくアストレイRFなど恐れるに足らない。そんな圧倒的有利を確信したデザイアドーパントは狂喜と共にアストレイRFへと猛スピードで迫ると、アストレイRFは何を思ったか、ガーベラストレートを静かに鞘に収め、
アストレイRF『あ、そういえば説明の続きがまだだったね?さっきも説明した通り、無尽一刀流は護身を目的とした剣術だ。だから、"こちらから"剣を振るっても、例え手足を切り落としたとしても無意識に相手をギリギリ死なせないようにするなんて言う、なんとも悪趣味な不殺の剣なんだが……』
『貰ったァアアアアッ!!!!』
デザイアドーパントが振りかざした杖の先端から光が放出され、まるで死神の鎌を連想させる刃を展開する。そうしてそのままアストレイRFに目掛けて容赦なく振り下ろされ、そして……
――――無尽ノ太刀
アストレイRF『……"そちらから剣を振るった時にはね、コイツは必殺になるんだよ"……』
――――"絶"。
―フッ……ザシュウゥウウウウウッッッ!!!!!!―
『―――ッッ?!!!!なっ……ァッ―――――』
デザイアドーパントの鎌がアストレイRFを斬り裂こうとした瞬間、アストレイRFが超神速で抜刀したガーベラストレートが頭上から振り下ろされる鎌を打ち砕いた上に、その奥のデザイアドーパントの首筋に光の斬撃が駆け走ったのだった。そうして、デザイアドーパントはそのままアストレイRFの背後へと事切れるように倒れていき、アストレイRFはそれに見向きもせずにガーベラストレートの刃を撫でていく。
アストレイRF『――――無尽一刀流の真髄はあくまでも護身術だが、その実、護身の皮を被った殺人術でもあるんだ。こちらから敵の命を絶対に奪えない代わりに、敵からの攻撃に対しては無敵の域の"カウンター"を発揮し、確実に敵の急所を狙い惨殺する。カウンターという枠で限るなら最強の一角とも言えるんだ……って、今更説明しても遅いか。もちょっと早く話しとけば良かったよ』
ポリポリと頭を掻きながらそう言ってアストレイRFが振り返ると、其処には無尽ノ太刀・絶をまともに受けて一瞬で絶命し、物言わぬ屍となったデザイアドーパントが倒れる姿があり、それを見てアストレイRFも『悪いことしたなぁ……』と溜め息を漏らすが……
『―――――…………ぐっ、ガハァッ?!ゲホッ!!ゲホッゲホッ、ガハッ!!!!』
アストレイRF『……あり?』
突如、絶命した筈のデザイアドーパントが身体をくの字に折り曲げて激しく吐血しながら何故か蘇生したのであった。アストレイRFは確実に命を断った筈のデザイアドーパントが息を吹き返したのを見てキョトンとした顔を浮かべるが、デザイアドーパントはゆっくりと身体を起こしてふらつきながらアストレイRFの方へ振り返った。
『ゼェエッ……ゼェエッ……よ、よくもっ……よくも、騙してくれたわねっ……刀じゃ殺せないなんて、言っておきながらっ……!!』
アストレイRF『……へ?あー、それに関しては私の説明不足だったから謝るけど……や、そっちも凄いね?完璧に命を断った筈なのに生き返るなんて、なに?そのメモリは蘇生術まで使えるのかい?』
『っ……当然よっ。このデザイアメモリは、私の欲望が高ければ高いほど、私が望む能力を私に与えてくれるっ……それなら万が一に備えてっ、蘇生魔法を事前に掛けておくのは当然でしょうっ……』
アストレイRF『成る程ー。うん、君のその用意周到さにはホントに恐れ入るよ。尊敬すら覚える……と言いたい所だけど、その代償は大きかったようだね?蘇生した代わりに著しくパワーダウンしてるようだ……そんな状態で、まだ私達と戦い続ける気なのかい?』
『ぐっ……』
そう、事前に蘇生魔法を掛けていた事でアストレイRFの一撃を凌ぐ事は出来たようが、その代償は大きかったのか、デザイアドーパントは苦しげに肩で大きく呼吸を繰り返し、足も震えて目に見えて弱体化している。とても戦闘を続けられる状態には見えないが、そんなデザイアドーパントの周りを四人の戦士……レジェンドルガとセンチュリオの混合群を倒した雷牙、黒獅子リオ、ディスパー、ベルグバウが包囲した。
ディスパー『此処までだぜ、性悪女』
黒獅子リオ『貴様の部下は全て倒させてもらった……残るは貴様だけだ』
ベルグバウ『この人数相手に、そんな状態じゃまともに戦えないだろう』
雷牙『諦めて投降してもらうぞっ、クアットロッ!!』
アストレイRF『私の可愛い後輩達の為にも、君が操ってるロスト君達の洗脳の解き方も教えて欲しいからねえ。今度は殺さないように気を付けるから、大人しく捕まってくれるかな?』
ま、下手にそっちから仕掛けると分からないけどねー、と気楽に言いながらガーベラストレートを突き付けて雷牙達と共にジリジリとデザイアドーパントに迫るアストレイRF。それを見てデザイアドーパントもいよいよ余裕がない様子になるが、しかし、何故かデザイアドーパントは急に可笑しげに笑い始めた。
アストレイRF『?何がそんなに可笑しいんだい?』
『ふふ……いいえ?ただ私も嘗められたものだと思いましてねえ~……私の手札がこのデザイアメモリと、あの人質だけだとでも思ったんですか?』
黒獅子リオ『……なに?』
どういう意味だ?、とアストレイRF以外の面々が訝しげな顔を浮かべるが、デザイアドーパントは無言のまま何処からかスイッチのようなモノを取り出し、
『まさか、最後の手段まで使う羽目になるとは思わなかったけれど……こうでもしないと、貴方達相手じゃ逃げ切れないでしょうからねぇえッ!!』
―カチッ……チュドォオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーオオォォンッッッッッッ!!!!!!!!―
ベルグバウ『ッ?!なっ?!』
雷牙『ビ、ビルがッ?!』
狂喜の笑みと共にデザイアドーパントがスイッチを押した瞬間、それと同時に雷牙達の近くの高層ビルから無数の爆発が続けざまに発生し、直後にビルが倒壊し雷牙達に目掛けて傾き倒れ出したのである。
黒獅子リオ『ッ!!こんなものまで仕込んでいたのかッ!!』
ディスパー『テメェッ!!なんて事しやがっ――って、いねぇッ?!』
ビル倒壊の引き金を引いたデザイアドーパントに怒りを向けてディスパーが振り返るが、其処にはいつの間にかデザイアドーパントと瀕死のレジェンドルガ達の姿がなく何処かへと消えてしまっていた。どうやら、雷牙達がビルの爆発に気を取られてる隙に逃走したらしい。
雷牙『クッ……!!アイツっ、この為に爆弾なんかをっ!!』
ベルグバウ『クアットロの事は今は放っておきましょうっ!!それよりも今はあのビルをっ!!このままアレが倒れるのを許したら、街に余計な被害が広がってしまうっ!!』
アストレイRF『むう。仕方がない、此処は私の無尽一刀流で……』
ディスパー『何とか出来るのかっ?!』
アストレイRF『と思ったけど、私一人じゃあの大きさは捌き切れなさソーダナー。ってな訳で、後は任せたよ若人(わこうど)達よ!私の命は君達に預けたァ!』
ディスパー『こんな時に出来ねぇなら最初っから思わせ振りなこと言ってんじゃねぇよォォおおッ!!!殴っぞてめえェェええええッ!!!』
ベルグバウ『ちょっ、ツッコミなんかしてる場合じゃないですよ映紀さぁんッ!!』
ファイっオーッ!、となんとも嬉しくない気の抜ける応援を送るアストレイRFにキレるディスパーを宥めようとするベルグバウだが、その間にも高層ビルは音を立てて既に雷牙達の頭上から落下していき、そして……
「―――エクセリオォォォォォォンッ……バスタァアァァァァァァァァァァァァァァァァァアッ!!!!」
「トライデント、スマッシャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアッ!!!!」
―ギュイィィィィィィッ……ドッガアァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーアアァンッッッッ!!!!!!―
アストレイRF『――お?』
黒獅子リオ『ッ!今の砲撃は……』
倒壊するビルの真横から、桜色と黄色の2つの巨大な閃光が撃ち放たれ、雷牙達を押す潰そうとしたビルを貫いて木っ端微塵に吹っ飛ばしたのであった。そしてその見覚えのある攻撃を目にして雷牙達が2つの閃光が放たれてきた方へと振り返ると、其処にはこちらに向かってくるなのは(別)達の姿があった。
なのは(別)「雷君っ!理央さんっ!」
ティアナ(別)「お二人共、無事ですかっ?!」
雷牙『皆……すまない、助けてもらって……』
フェイト(別)「ううん、さっきはピンチの時に何も出来なかったからこれぐらいはしないと。でも、無事で良かった……」
一先ず雷牙達が無事である事を確かめて安堵の溜め息を漏らすなのは(別)達。すると、その様子を離れて見ていたディスパーとベルグバウが変身を解除し、元の人間の姿……映紀と海斗へと戻りながら雷牙達に声を掛けた。
海斗「あの、すみません。少し、お話良いですか?」
雷牙『……?お前達は、確かさっきの……』
海斗「貴方がこの世界の仮面ライダー、雷牙の龍藤雷さんですよね?俺はかいど―――いや、海斗って言います。こちらは高岡映紀さんで、実は俺達、貴方達と一緒にいる黒月零さんに大事な用事があって、平行世界からやって来たんです」
黒獅子リオ『並行世界から……?』
零に会うために並行世界から来たと正体を明かす海斗の言葉を聞き、戸惑い気味に顔を見合わせる雷牙達。するとその時、ヴィータ(別)が何かを思い出したように顔を上げて海斗に口を開いた。
ヴィータ(別)「じゃあ、あの変な女もお前等の仲間なのか?さっきの戦いん時も、妙に息が合ってたし」
映紀「はあっ?さっきのアレを見てて何でそんな発想になんだよっ!アイツも俺とは初対面っつってただろうがっ!」
カイル「あ、いや、てっきりそういう作戦なのかなー、と……じゃ、ホントにあの時が初対面だったんですか?」
海斗「え、ええ……俺もまさか、あんな人がいたなんて知らな……って、あれ?あの人は?」
背後に振り返って当の本人のアストレイRFにも話を聞こうとする海斗だったが、其処にはアストレイRFの姿がなくいつの間にかいなくなっていた。一体何処へ?と、海斗達がアストレイRFを探して辺りを見回していた。その時……
―……モニュウゥッ―
フェイト(別)「……へ?―ムニムニムニムニムニムニムニムニムニッ!!!―ひっ?!ヒャアアアアアアアアアアアアアアアッ?!!!」
なのは(別)「ッ?!フェ、フェイトちゃんっ?!」
シグナム(別)「テスタロッサっ?!どうし……って……?」
突然フェイト(別)がすっとんきょんな悲鳴を上げた為に何事かと振り返れば、其処にはフェイト(別)が後ろから延びた謎の両手に胸を高速で揉みしだかれる光景があり、その後ろには……
ハル「―――んん?んんん?なんてことだ……中学を卒業してから未だ此処まで成長を果たしているだなんて……テスタロッサ家のオパーイの血筋は化け物か……」
……いつの間にか変身を解除したハルがフェイト(別)の後ろに回り込み、彼女の胸を高速で揉み倒しながら戦慄の走る顔を浮かべる姿があったのだった。
フェイト(別)「――ってぇっ!いきなり何やってるんですか貴女はァァああああッッ!!!」
バッ!!と、両腕で胸を隠しながら半泣きでハルから慌てて離れるフェイト(別)。しかしハルは表情を変えないまま未だに胸を揉むように両手をワキワキさせ、
ハル「いや、何って、別に他意はないよ?ただほら、私は学校卒業以降君のその胸がどれ程までに育っているのかまでは知らなかったからさ?あの悲劇を知っている当事者としては、どーしてもその辺が気になるというかー」
フェイト(別)「意味が分かりませんっ!!大体っ、悲劇って一体何の話ですかっ?!」
ハル「あれ?この世界の君にはなかったのかな?中学の体育祭、君達が中二の時に出た対抗リレーの際、君が中一の時から着てたジャージのチャックが走行中でバインバインに揺れまくってた君の胸に耐えきれず弾け飛び、君の次のバトンを受け取る筈だった零君の額に弾丸の如く突き刺さって噴水のように血を噴き出すという、通称チャックボーン事件という大惨事があってねー。それ以降、零君は巨乳に対して一種の恐怖心を抱くようになったばかりか、君に対抗心を燃やした女子生徒達が「私だって出来るわよ!」と豪語して君のチャックボーンを真似ようとしたが結局上手く行かず、精神的ショックを受けて登校拒否になる生徒が続出したりと……」
フェイト(別)「ホントに一体何の話ですかァアッ?!!」
チャックボーンなんて知りませんよッ!!と、遠い目を浮かべるハルに泣きながら叫ぶフェイト(別)だが、其処へ黒獅子リオが雷牙と共に変身を解いて理央へと戻り、一同の前に出てハルと向き合っていく。
理央「貴様、そういえばさっき、黒月零達の先輩だと言ってたな……?アイツ等の旧友か何かか?」
ハル「うん?うん、そだよ。それから、最初に君達と戦ってた二人のライダーもね。……怪人の方は知らないけど」
『……えっ?!』
理央「…………」
アッサリと、あのオーガ達と自分の関係性を微笑みながらバラすハルに、一同の間に驚愕と動揺が広がるが、理央は僅かに目を細めて徐に両腕で組んだ。
理央「ならば、貴様から代わりに詳しい話を聞かせてもらおうか……。あの連中、俺達が戦ってるどさくさに紛れていつの間にか逃げたようだからな。あの連中のこと、それから、貴様のこともだ」
ハル「……うん。いいよー。私が話せることなら何でも話す。でも一つだけ、私からも条件を言っていいかな?」
理央「条件?」
何を求める気だ?、と警戒を露にする理央。だがハルはそんな理央を見て苦笑いを浮かべ、
ハル「彼等の事を話すのは構わないけど、その代わり、零君達にはまだこの事は話さないでおいてくれるかな?零君達は彼等の正体を知らないし、今はまだ知る時じゃない……何より、今の彼等にはその事実を受け止められるだけの余裕が残されていないだろうからね」
雷「……?それは、どういう……?」
海斗「…………」
意味深な発言をするハルに雷が訝しげな顔で問い返すが、ハルはそれ以上は何も答えず、海斗は何か訳知り顔で胸のポケットから一つの宝石……黒く光輝く輝石を取り出してソレを握り締めていくのであった。