仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT 作:風人Ⅱ
番外編/姫と魚見のパートナーの座争奪戦?
スバル「―――そういえば気になってたんですけど、姫さんのアマテラスと魚見さんのツクヨミってどっちが強いんですか?」
姫&魚見「「…………………………………え?」」
―――それが、今回の事態を引き起こした原因となる一言だった……。
◇◆◇
―光写真館―
季節は冬。数日後に来たるクリスマスの日に備えて街が華やかなデコレーションで彩られていく中、この光写真館でもクリスマスを迎える為に各々が必要なモノを揃えようと準備を進めていた。
零や優矢、映紀を始めとした男組となのは達は外へと買い出しに出掛け、残った栄次郎と留守番組はいつもよりも気合いを入れて写真館の清掃をしていき、リビングではスバル達FW陣とギンガ、姫と魚見がパーティーでの主役となるケーキをどのようなモノにするかという重要な役割を受けて和気藹々と話し合ってた中、先の台詞がスバルの口からふと飛び出し、一同の間に流れる空気が固まったのである。
ティアナ「ス、スバル……?あんたっ、急になに言い出してんのよっ?」
ギンガ「そ、そうよスバルっ、失礼じゃない!本人達の前でいきなりそんな話……!」
スバル「え……えっ?や、ちょうど二人が揃ってたから前々から気になってた話を聞こうとしただけ、なんだけど……もしかしてコレ、聞いちゃいけない系の話でしたかっ……?」
姫「……は?あ……いや、別にそういう訳ではないぞ?ただ少し、意外な質問だったから驚いただけというか、なぁ……?」
魚見「そう……ですね。今まで気にした事もない話の質問だったので、思わず面を食らいましたけど……でも、何故急にそんな疑問を?」
コホン、と気を取り直すように一度咳ばらいした後に魚見が聞き返すと、質問を返されたスバルは「えっ?!」ときょどりながら目を泳がせて人差し指を回し、
スバル「いや、何で、っていうか、大した理由はないんですけど、ほら、お二人が零さんと一緒に変身するアマテラスとツクヨミって、どっちも凄じゃないですか?強いのは当たり前で、速いし、色んな能力も使えてって。でも、両方の戦いを見ててどっちも凄すぎて逆に違いが分からないっていうか、えーと……なんて言えばいいのかな……?」
キャロ「えと……つまり、どっちも強いのは分かってはいるけれど、どう強くて、どっちがどの分野においてズバ抜けているのか素人目には伝わりづらい……って事ですか?」
ティアナ「ああ、何だ……つまりアンタ、アマテラスフォームとツクヨミフォームの性能の違いが分かってないって事?」
スバル「ち、違いはちゃんと分かってるよっ!えと、例えば、色とか、武器とか、中の人の違いとか……!」
エリオ「いや、それ性能って話じゃないような……」
必死にアマテラスフォームとツクヨミフォームの相違点を説明しようとしているスバルを見て、姫と魚見は漸く『そういう事か……』と要領を得た。
要するに先程スバルが言いたかったのは、アマテラスとツクヨミの強さの相違点を知りたいといった意図の質問だったのだろう。
例えるなら、カーレースで優勝した現チャンピオンのレースカーと前チャンピオンのレースカーが具体的にどう違うか。
その手のプロやそれを扱う人間には分かっていても、実際にレースを見る普通の観客からすると、どちらも速い事は分かるがその違いがどう違うのか伝わり辛いという感じなのだろう。
姫「成る程な……君の言いたい事は何となく掴めた。しかしだな、スバル?そういう疑問は、実際に口にするのは無粋というものだぞ?」
スバル「へ?」
魚見「そうですね。どちらが上か、どちらが強いかといった議論は例えどのような答えを出したとしても、比べられる方はあまり良い気はしません。スバルさん、例えば貴方とギンガさん、どちらが上かといった話を目の前で実際にされて、勝っても負けたとしても、あまり良い気はしないでしょう?」
スバル「それは……うん……確かにそう、かも……」
実際にその時のことを想像し、気落ちした様子で俯くスバル。頼んでもいないのにギンガと勝手に比べられ負けるのは確かに嫌な気持ちにはなるが、それと同時に、自分を持ち上げるためにギンガが貶められるのはもっと嫌な気持ちになるし、そんな事で認められてもちっとも嬉しくない。
姫「その手の下らない話で満足するのは、実際に議論を交わす無粋な連中だけだ。スバル、実際に想像して君がそんな気持ちになるのなら、私達が今どんな心境か、良く分かるだろう?」
スバル「……そうですね。すみません、姫さん、魚見さん、変な事聞いちゃって……私、そんな頭良くないせいで、その辺の配慮が足りなかったっていうか……」
魚見「いいえ、そんな事はありません。ちゃんと自分が悪いと反省出来ている時点で、貴方は十分聡明な子ですよ?」
姫「そうだな……君は十分立派だ。それを理解してるなら、私達から言う事は何もない♪まぁ、これに懲りたら、この手の無粋な話はもう――――」
魚見「――――まあそれはそれとして、機動力と火力で言えば、ツクヨミの方が断然上ですよ?アマテラスよりかは」
姫「―――――――――――――――。ウゥン?」
本人の目に見える所で気軽にしたら駄目ダゾー?、と年上らしく諭そうとして、横からコーヒーを啜りながら口にした魚見のその一言で完全に遮られてしまった。
良い感じの話に終わらそうとして、人差し指を立てて笑顔を浮かべる姫の表情がピシィッ!と凍り付き、他の面々はそんな姫の反応を見て顔を引き攣らせ、ぎこちない動きで魚見に視線を向けていく。
エリオ「う、魚見……さん……?」
魚見「?どうしました?」
キャロ「ど、どうしたって、あの……さっき魚見さん、姫さんと一緒にその手の話はしちゃ駄目だって……」
魚見「……?ええ、その手の無粋な議論は、議論する人達が満足する以外に何も生みません。私もその手の話は、不必要な場ではするべきではないと思います」
ギンガ「じゃ、じゃあ……どうして今っ……?」
魚見「どうして、って……だって、スバルさんの疑問事態は不毛ではないでしょ?アマテラスとツクヨミの能力の違いが分からないとなると、いざ皆さんと一緒に戦う時になったら連携が取れないワケですし。そうなるとスバルさんだけでなく私達も困る事になりますから、ある意味、この議題はとても重要です」
ティアナ「ぎ、議題って、其処まで大袈裟な話じゃっ……っていうか連携も何も、どっちにしろあんな出鱈目なスピードに付いていけないとなると、それも無理な話じゃないかとっ……」
魚見「いいえ!それならばこちらで動きを合わせれば済む話!そうして皆さんと連携を取れば何者にも遅れを取る事はナイのです!何よりも皆さんの命にも関わる以上は話さずにおくなど言語道断っ!……そういう事ですので、スバルさん。今からアマテラスフォームとツクヨミフォームの相違点をしっかり教えますから、きちんと頭に叩き込んで記憶してくださいね?」
スバル「えっ、えっ?あ、は、はいっ……?」
何か変なスイッチでもONされたのか、隣で固まっている姫を他所にコホン、と再び咳ばらいした後、魚見は教職員ばりの真摯な顔で五人とフリード相手に授業を開始した。
魚見「先ず、私と零が変身するツクヨミフォームに関してですが、こちらは先程も言った通り機動力と火力に重点を置いた形態になっています。その一端を補ってるのがスサノヲ、これは私が零の中から念力を発して動かす念動兵装となっています。これを利用する事で射程は無限、銀河地平の彼方にも一瞬で転移する事も出来る。此処が先ず、アマテラスとは違って優れた点ではありますね」
姫「…………それぐらい別にアマテラスでも出来るし…………」
ボソッ……と何か聞いてはならない声が聞こえたような気がした。しかし魚見は聞こえていないのか、それとも聞こえた上で無視しているのか、ダラダラと冷や汗を流すスバル達と対照に表情を一切変えずに説明を続けた。
魚見「次に、ツクヨミが用いる主要武装の日照と月読に関して。こちらは通常時でも普通の銃として扱う事が可能ですが、零が持つ二本のガイアメモリを両方に装填することで常時マキシマムドライブ状態になり、放つ銃撃が全て必殺技の域の超強力な砲撃へと変化します。更にこれらと、零の武器を合体させる事でツクヨミフォームの最強の武器……アメノハバキリとなり、ディケイドは一撃必殺に長けた武器を手にする事が出来ます。この辺も、単一の武装しか使えないアマテラスとの違いですね」
姫「…………桜神剣は臨機応変が強みだし、別にそれだけで戦ってる訳じゃないし…………」
嗚呼、やばい、ヤバい、ヤバイ……。
魚見から顔を背ける姫の表情はスバル達からも一切見えないが、あの向こうじゃきっと凄い顔になってる気がする……。
何だか胃がキリキリと痛み出し始めるスバル達の心境など露知らず、魚見は饒舌に説明を続けていく。
魚見「そして何よりも優れているのは、その手数の多さ!スサノヲを使った戦術だけでも百を越え、どんな巨大な敵とも一対一で戦い続けられる事が出来ます!そう、つまり持久力!どのようなサイズの敵とも戦え、高火力、機動力、持久力にも長けて、一撃必殺の剣で敵を断つっ!これこそがツクヨミフォーム……アマテラスフォームには決して出来ない全てが揃った私と零の力ですっ!」
姫「異議ありぃいいいいっっっっっっ!!!!!!」
バァアアアンッッ!!!、とテーブルの上に姫の手が打ち付けられた。ひぃい!とスバル達が肩を縮こまらせるが、対する魚見はキョトンとした表情で首を傾げている。
魚見「どうしました、桜ノ神?急に怒鳴ったりなんかして」
姫「ウ、ウオミーさんっ?先程から黙って聞いていれば、少々言が過ぎるのではないだろうかっ?」
魚見「……?何か可笑しな部分がありましたか?私は至って、当たり前の事実を話していただけのような気がしますが」
姫「寧ろ可笑しい部分が多すぎるっ!!!そんな説明じゃ、アマテラスにはツクヨミに勝る部分が何一つないように聞こえるではないかっ?!!」
魚見「……………………………………。え、寧ろ何かありましたっけ?」
姫「か、確信犯だとぅッ?!あるッ!!あるに決まってるだろうッ!!アマテラスは私自身の力が零にも使えるようになってるッ!!それを使えば、今君が説明したツクヨミフォームの能力も実現させる事が出来ると、君だって知ってるじゃないかァッ!!」
ビシィイッ!!、と涙目になりながら勢いよく立ち上がり魚見に人差し指を突き付ける姫。すると、魚見も「そうだった……」と思い出したように掌の上にポンッと拳を落とすが、直後に小首を傾げて不思議そうな顔を浮かべた。
魚見「ですが、桜ノ神……貴方の能力となると、確かあらゆる奇跡を具現化させる、という万能の能力の事ですよね?」
姫「え?あ……そ、そうともサ!それを使いさえすれば、君のツクヨミの能力をそのままアマテラスに用いる事だって不可能では――!」
魚見「……でもぶっちゃけ、それって戦い向きの能力ではないですよね?」
姫「―――エ?」
ギンガ「……あ、そっか。万能って聞こえはいいけど、それって逆に、どんな事を望んだらいいのか漠然としてて直ぐには思い付きませんよね?」
ティアナ「あー……作戦を考えている時とか、必要な物や足りない物がある時には便利かもしれないけれど、いざ戦いになると戦闘に集中し過ぎて、そんな望みとか瞬時に考えてる余裕もないわよね……それを考えたら、戦闘向きってあらかじめ分かってるツクヨミの方が扱いやすいかも……」
姫「……そんな……そんな……馬鹿なっ……」
ガクッと、FW陣の裏付けを聞かされて崩れ落ちるようにテーブルに両手を付ける姫。そんな彼女に大して、魚見はキュピーン、と瞳を輝かせながら勝ち誇るかのように妖艶の笑みを浮かべた。
魚見「これで証明されましたね、桜ノ神……いいえ、木ノ花之咲耶姫!貴方と彼のアマテラス、そして私と彼のツクヨミのどちらがより優れているか!これでハッキリと決着が付いたワ!」
姫「ッ……いいや……まだ、まだだぞ魚見っ!否っ、市杵宍姫ノ命ォおッ!!」
決定的敗北を魚見の口から突き付けられながらも、姫の瞳には未だに闘志の炎が宿っている。美しい黒髪を揺らして再び立ち上がり、何か決意に満ちた顔で魚見に指を突き付けた。
姫「私はまだ完全に負けてはいないっ!確かに私自身、君に劣る部分があるのは認めてるがっ――――!」
魚見「え、胸とか?」
姫「 ゆ" る" さ" ん" 」
ギンガ「きゃああああああああああっっ!!?待って姫さんっっ!!!早まらないでぇえええええええっっ!!!」
戦極ドライバーを取り出し腰に装着しようとする姫をギンガ達が取り押さえる。そんな彼女達の声のお陰か、姫はすぐに「ハッ……」と我に返り、ドライバーを後ろ腰に仕舞って気を取り直すようにわざとらしく咳ばらいをした後に、魚見に再び指を突き付ける。
姫「とにかくっ!君に劣る部分が多分にある事は私も認めているが、こればかりは、君に勝ちを譲るワケにはいかないっ!彼と最初に契約した君の先輩として、何よりも彼のパートナーとしてもだっ!」
魚見「……良いでしょう。其処まで言われたからには、私も同じパートナーとして引く訳にはいきません」
そう言って姫と同じように椅子から立ち上がり、魚見はビシィッ!とまるで何かの格闘ゲームのキャラクターのようなポーズを取って姫と対峙した。
魚見「勝負の決め手は何も、能力やスペックだけじゃありません。どちらが彼の心と一番に繋がっているか……勝負と行きましょう、桜ノ神!此処からは敵同士ですッ!!」
姫「うむっ、馴れ合いは不要という事かッ!!」
魚見「今は舐め合いだッ!!」
姫「その表現、誤解されそうだぞッ!!」
ティアナ「ああ、うん、良かった、取りあえずあの辺はいつも通りだわ……」
エリオ「いや安心してる場合じゃないですよティアさんっ?!ど、どうするんですかあの二人っ?!」
ギンガ「もうっ!そもそもスバルがあんな変な質問したりなんかするからぁッ!!」
スバル「だ、だだだだってっ!まさかこんな展開になるなんて思わなかったんだもぉおおおおんっ!」
キャロ「と、というかコレっ、どう考えても零さんが巻き込まれるパターンなんじゃっ……」
フリード「キュクルルル……」
「はぁああああああっ!!ハァアッ!!」と何か良く分からない高速組み手までし始めた二人の姿を遠くから眺めることしか出来ず、スバル達は些細な話題から始まってしまった二人の神の対決をどう止めるべきか分からず焦り、ただただ身を寄せ合う事しか出来ずにいたのだった。
◆◆◇
そしてその一方……
―ブチィイッ!―
零「ッ!!?……何だ?」
優矢「よいっしょっと……うん?どうした零?」
零「いや……何か急に靴紐が引きちぎれたんだが……どうなってるんだ……?」
優矢「はぁあ?不吉にも程あんだろっ。まさか、また何か良からぬ事に巻き込まれるとかになるんじゃねぇのっ?」
零「はっ、それこそまさかだろう?一々靴紐がちぎられたぐらいで厄介事に巻き込まれてたら、こっちの身が持たな……ハッ、っくしっ!」
優矢「うわぁっ!おまっ、こっち向いてくしゃみするなよっ!まさか、風邪でも引いたんじゃねーかっ?」
零「ぐっ、そんなまさかっ……や、でも何か寒気がっ……しっかり厚着してきたハズなんだがな……」
近くの商店街になのは達と共に買い出しに来ている零は写真館で起きてる出来事など露知らず、妙な肌寒さに首を傾げつつも優矢と軽口を交わしながら買い出しを続けていったのだった。