仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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番外編/姫と魚見のパートナーの座争奪戦?①

 

 

―光写真館―

 

 

数十分後。外での買い出しを終えた零達が荷物を抱え写真館に戻ると、丁度掃除も終わっていて写真館の中は全て綺麗になっていた。そして、零達は折角綺麗になった箇所を汚さないように気を付けながら台所組に買ってきた食材や日用品を渡して後を任せると、一度着替える為にそれぞれの部屋に戻る事にした。

 

 

零「―――寒っ……やっぱ厚着をしていても、今年の寒さは応えるなっ……」

 

 

一人そう呟きながら、優矢やなのは達と別れ自室への廊下を歩いていく零。手袋を脱いだ片手で顔を触ってみると、外で何度も寒風を受けたせいで肌は冷え切っており、零は小さく溜め息を吐きながらふと帰宅した間際の事を思い出した。

 

 

零(そういえば、スバル達が何か俺に言いたそうにしてたが……結局何だったんだ……?)

 

 

なのは達と一緒に買ってきた食材やら何やらを台所組に確認してもらってた最中に、何やら背後で「アンタが話して来なさいよ……!」とか、「だって何て説明したらいいかわかんないよ……!」とかコソコソしているスバル達の姿があったが、気になってこちらから何か用があるのかと聞いても『な、何でもありませんっ!!』と言ってそそくさと逃げられてしまった。

 

 

零(むう……ま、用があるならまた向こうから声を掛けて来るだろ。それより今はとっとと着替えて――――)

 

 

スバル達の件は取りあえずそう考えて余り気にしないことにし、自室の前にまで到着した零は部屋の扉のドアノブを掴んで回すと室内に足を踏み入れ―――

 

 

 

 

 

 

 

 

魚見「―――おかえりなさい。随分遅かったですね」

 

 

 

 

 

 

 

 

零「…………………………………………………」

 

 

―パタンッ―

 

 

 

 

―――ようとして、無言のまま静かに扉を閉めたのであった。

 

 

零「……部屋、は……ウン、間違えてはいないな」

 

 

部屋の前のネームプレートを確認し、念の為に部屋の位置もしっかり確かめてから自分が部屋を間違えた訳ではないようだと安堵して溜め息を吐く。ならば今のはきっと何かの見間違いだと、何処か自分に言い聞かせるように考えながら扉のドアノブを回して開くと、其処には何も……

 

 

 

 

魚見「―――ご挨拶ですね、いきなり。人の顔を見るなり扉を閉めるなんて」

 

 

 

 

……ないと信じたかったが、何故かエプロン姿の魚見がお玉を手に、不服そうな目をして自分の部屋に立つ姿があったのだった。

 

 

零「…………………………………。人の部屋で何してやがんだ、お前……」

 

 

魚見「?見て分かりませんか?貴方の部屋で家事をしながら、こうして貴方の帰りを待ってただけですよ?」

 

 

零「イヤそんな当然でしょ?みたいな感じに言われても―――って、おい、おい待て……お前、その後ろのヤツなんだっ?」

 

 

取りあえず何か色々とツッコミ所が多過ぎて険しげな表情で頭を抑える零だが、魚見と話している最中に、何やらグツグツと煮込む音が耳に届いて魚見の背後に目を向ける。すると其処には、何故か部屋のテーブルの上に火の付いたコンロと、その上にコトコトと何かを煮込んでる鍋が置かれていた。

 

 

魚見「何って、鍋で料理しているだけですよ?」

 

 

零「違う、そうじゃない……俺が聞きたいのは、何故人の部屋で勝手に鍋なんぞ煮込んでるんだって聞いてるんだっ」

 

 

魚見「ああ、そういう……。貴方が一度着替える為に部屋に戻って来る事は予想が付いていたので、こちらで料理をしながら待たせて頂こうかと」

 

 

零「はあっ……?料理したいのならキッチンでやればいいだろっ?!何だって俺の部屋でやる必要があるっ!」

 

 

キッチンでやれば台所組のオットー達が手伝ってくれるだろうし、自室ならともかく何だって自分の部屋で料理なんてしているのかと至極真っ当なツッコミを入れるが、魚見は腰に両手を当てて、ふぅ……と溜め息を吐き、

 

 

魚見「零、貴方は私の契約者で、私は貴方のパートナーですよね?」

 

 

零「はっ……?何だ薮から棒に改まって?」

 

 

魚見「良いから、ちゃんと答えて下さい」

 

 

零「っ?ああ……まぁ……一応そんな感じではあるな……」

 

 

妙に食い下がる魚見に気圧されて頭を掻きながら素直にそう認めると、僅かだが魚見は嬉しそうに眉を下げて胸を張る。

 

 

魚見「なら、こうして私が貴方を労おうと料理を振る舞うのは、何も可笑しくはないと思いませんか?」

 

 

零「労うって……お前が俺をか?何でまた急にっ?」

 

 

魚見「パートナーとして、相棒を労うのに理由が必要ですか?……まぁ、強いて言うなら、以前助けてもらった恩を今の内に返したいから、というのもありますけどね。もうすぐ今年も終って新たな一年が始まりますし、今年中にそれも清算しておこうかと」

 

 

零「いや、そんなもん今更気にする必要ないだろう?あの時助けてもらったのは俺も同じ――」

 

 

魚見「良いんです、あくまで建前ですから。……そういう事なんですから、今度からは遅くなるなら連絡くらい下さいねっ」

 

 

零「……こんなこと始めるなら連絡欲しかったんだが……」

 

 

魚見「家事にも色々予定があるんだから。――裸エプロンで待ってたけど、寒くて服着ちゃった」

 

 

零「それ家事の項目に入らねぇヨっ?―コンコンッ―……あ?」

 

 

まさかその為に自分の部屋で待ってたのかとか、こんなクソ寒い季節になにやっとんだ、と続けようとして、背後の扉を外側から誰かが叩く音が聞こえた。その音に釣られる様に振り返り、こんな時に誰だ?、と零が扉を開けると……

 

 

零「……木ノ花?」

 

 

姫「やあ零、少し良いか……って、ウオミー?」

 

 

魚見「あら」

 

 

其処には、何やら料理を入れてあるパックを手に立つ姫の姿があったのだった。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

姫「―――そういう事か。通りで姿が見えないと思ったら」

 

 

零「驚かされたのは俺も同じだ、全く……」

 

 

数分後。取りあえず、寒い廊下で立ち話にする訳にもいかないだろうと零は姫を部屋の中に招き入れ、彼女に先程までの経緯を簡潔に説明していた。それで姫も何か納得が行った様に頷くと、魚見は彼女の手のパックに目を向けた。

 

 

魚見「それで、桜ノ神は此処へは何をしに?」

 

 

姫「え……?あ、ああっ、実は私も料理をしててなっ。完成した品を零にも味見してもらおうかと」

 

 

零「は?お前もか?何だって今日に限ってお前ら揃って……何かあったのか?」

 

 

姫「えっ……ああ、いや、たまたま、じゃないかっ?うん、私もまさか、魚見が料理してるとは知らなかったし、ホントにっ」

 

 

零「……?」

 

 

目を泳がせてキョドる姫の様子に零が不審げな視線を向け、それを見て姫も話題を変えるように慌てて魚見が調理している鍋を見て口を開いた。

 

 

姫「そういえば、ウオミーは何を作ってたんだ?」

 

 

魚見「私ですか……?私はシチューを。桜ノ神は何を?」

 

 

姫「私は肉じゃがだ。……和風と洋風だな」

 

 

魚見「アンバランスですね……」

 

 

確かに、と姫が顎に手を添えて少し悩むが……

 

 

姫「まあ、外国人でわかめ酒というのも一興だしなぁ?」

 

 

魚見「わかめ酒と言うより金箔酒ですね」

 

 

『あはははははははははははははははっ!!!』

 

 

零「…………腹減ったからもう勝手に食っていいか?」

 

 

何か意気投合して二人だけで盛り上がる姫と魚見へのツッコミを放棄し、すっかり蚊帳の外の零は死んだ魚のような目でシチューを煮込む鍋の蓋を開けていたのだった。

 

 

 

 

 

◇◇◆

 

 

 

 

 

―光写真館・キッチン―

 

 

そしてその後、何だかんだで盛り上がった二人は会話の流れでもう一品作ろうという話題になり、零と共にキッチンに移動して料理を開始していた。因みに他の面々の夕飯は台所組が零達が買い出しに出掛けている間に既に完成させていて、これから二人が作るのは自分達と零の分らしく……

 

 

零「……つまり、お前達もアイツ等に頼まれて手伝わされていた、と……」

 

 

オットー「まぁ、そういうことっ」

 

 

調理する二人の背を見守りながら溜め息混じりにそう言って隣に立つ台所組のオットー、ディード、セッテに目を向ければ、オットーが苦笑しながら頷き返した。どうやらこの三人も姫と魚見に手を貸してたらしく、二人からあらかじめ零と自分達の分の食事を抜いておいて欲しいと手回しを頼まれていたらしい。

 

 

零「成る程な……で?何でアイツ等がいきなりやる気になって料理なんかし出したのか、何か聞いてないのか?」

 

 

ディード「いえ、理由までは……。ただ昼間に私達が台所の整理をしている最中に、姫さんからキッチンを使わせて欲しいと頼まれて、準備をしてくると部屋に戻った後に……」

 

 

セッテ「その後に魚見さんがやってきて、シチューに使う材料や鍋とガスコンロを譲って欲しいと頼まれて一通り渡した後、魚見さんが何処かに行ってしまって……」

 

 

オットー「それとは入れ代わりに姫さんが戻ってきて、皆の夕飯を作る片手間に手伝っていた、って感じだけど」

 

 

零「…………」

 

 

つまり、オットー達もあの二人が急に料理をし出した理由は分かってはいないらしい。深まる謎に零も顎に手を添えながら、火の前に二人並んでフライパンを操る姫と魚見の背中に訝しげな目を向けるが、そんな零の視線にも気付かず二人は互いのフライパンに目を見遣っていた。

 

 

姫(あの手捌き……やはりやるな、ウオミーっ!!)

 

 

魚見(パートナーキャラの座を確固たる物にする為にも……負けられませんっ!!)

 

 

―ゴォオオオオオオオオオオオオオオッッッ!!!!―

 

 

ディード「後ろからフランベを見ると、二人が燃えてるように見えますね……」

 

 

零「オイ危ねぇから止めろ馬鹿ァァああッッ!!!」

 

 

勝負に白熱するあまり酒の投入にも加減が効かなくなっているのか、ディードの言う通り本人達が燃えてるように錯覚してしまうほど立ち上る巨大な火柱を見て、零も流石に見てられずに止めに入ったのだった。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

―光写真館・浴場―

 

 

そして、皆より少し遅れての夕食後。零は冷え切った身体を温める為に入浴し、浴槽の中で全身の力を抜け切りリラックスしていた。

 

 

零「……ハァ……にしても、本当に何だって言うんだアイツ等……こっちから聞いてもあからさまにはぐらかすし……」

 

 

アレでごまかしてるつもりなのかと、先程の夕食の時に事情を聞き出そうとして「べ、別に何でも……?」と視線をそらされた記憶が頭を過ぎる。やはり、あの二人が突然競い合うような真似をし出したのには何かありそうだが……

 

 

零(あの様子じゃ、素直に話す気はなさそうだしな……鎌を掛けてみるか?だがどうやって……)

 

 

『―――零?』

 

 

零「――っ!っと、何だ、市杵宍?」

 

 

思案に浸っていた零の意識を現実に引き戻すかのように不意に魚見の声が聞こえ振り向くと、浴場と脱衣所を隔てる扉の向こうに魚見のシルエットが見えた。

 

 

魚見『タオルを持って来たした。此処に置いときますね』

 

 

零「あ、ああ……そうか、悪いな。助かる」

 

 

魚見『いえ。……でもシルエット越しだと、生板ショーやりたくなりますよね。ぬぎっ』

 

 

零「そんな心理廃れてしまえっ」

 

 

訳分からん心理と共にシルエット越しに腹のとこまで服を脱いでみせる魚見に、零の冷ややかなツッコミが投げ掛けられる。で、魚見が脱衣所から退室してから数分後……

 

 

―~~~~~♪♪♪♪―

 

 

『――ウッフ~ン、ちょっとだけよぅ?あんたも好きねぇっ、咲クちゃんぺっ』

 

 

零「そろそろ上がりたいんで出てって下さい」

 

 

突然なんの脈拍もなく何処からか流れた淫靡な曲と共に扉の向こうに今度は綺麗な脚線美の足が現れるも、零は背中を向けたままハイライトの消えた瞳で慣れた調子でそう返し、湯舟から組んだお湯で全身の泡を洗い落としていったのだった。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

―光写真館・チンク達の自室前―

 

 

零「―――じゃ、これが俺の分のノルマな……。後の方はそっちで頼む」

 

 

セイン「あいよー、確かに」

 

 

ウェンディ「んじゃ、おやすみッス。また明日~!」

 

 

零「ああ、お前等もあまり無理するなよ?」

 

 

それから数時間後。風呂場から上がった零は数日後に迫るクリスマスパーティーで使う飾り付けの製作を手伝う為にチンク達の部屋に訪れ、自分の分のノルマを全て終えて自室に戻ろうとウェンディ達と別れ部屋を後にし、廊下を歩きながらグイーッと背中を伸ばしていく。

 

 

零「ッ……単調な作業とは言え、やっぱりずっと繰り返してると結構疲れるなっ。今日ももうとっとと寝るか……」

 

 

若干疲れを感じさせる調子でそう呟いてる内に自室の前に辿り着き、部屋の扉を開けて中に入る。一瞬また魚見が中で待ち伏せてるのではないかと身構えたが、見慣れた自室には人っ子一人の影すら見当たらない。

 

 

零「……杞憂だったか……ま、いくらアイツ等でも、そう何度も人の部屋に勝手に入ったりはせんか」

 

 

当然だよな、と独り言ちながら溜き息を吐くと、零は部屋の電気を消して明かりを消し、そのままベッドに身体を投げ込もうとシーツをめくって、

 

 

 

 

 

 

魚見「――――Let's make love all night long (今夜は寝かせないわ)(キリッ」

 

 

 

 

 

 

零「………………」

 

 

 

 

 

 

いつの間にか、ベッドの上に仰向けに寝転んだ魚見が彼を待ち受けていた。……取りあえず、襟を掴んで部屋の外に放り出しておいた。

 

 

―バタンッ!―

 

 

零「―――頭いてぇ……何だってんだ一体っ……」

 

 

魚見を外に放り出して扉を閉じた後、心なしか急に頭がガンガン痛み出し始めたような気がする。

 

 

今日はもう何か色々と考えたくない。その一心で痛む頭を振りながらベッドまで身体を引きずり、シーツをめくりあげて今度こそ身体を投げ出そうとし、

 

 

 

 

 

 

姫「――――ふーっ、ふーっ、ふーっ、ふーっ、ふーっ…………(YES枕)」

 

 

 

 

 

 

零「」

 

 

 

 

 

 

いつの間にか、YESと表面に書かれたピンク色の枕を両手にSM用の開口マスクと黒い目隠しというハードな格好をした姫がベッドの上に寝転んでいた。……問答無用で襟を掴み上げて部屋の外に投げ出しておいた。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

―???―

 

 

―――光写真館が現在滞在する世界とは、また別次元に存在する世界。

 

 

何処かの使われなくなった店舗跡地のその奥に、本来なら通っていない筈の電気で点灯するパソコンの前で嫌らしげな笑みを浮かべる独りの男の姿があった。

 

 

「クク……クッククククッ……漸く再起の時が来た……此処まで力を取り戻すのに苦労したが、流石の断罪の神とは言えど、この我が半身には気付けなかったようだな」

 

 

一人そう呟き、男は身体の調子を確かめるかのように手の平を開閉させた後、机の引き出しを開き、中からカッティングブレードが装着されたバックルと錠前のようなアイテムを取り出すと、パソコンの画面に映し出された青年の顔に目を向けていく。

 

 

「残された力で生み出せたのはコレだけだったが、奴を葬るだけならコレで十分よ。新たなGAが使えないなら、我の手で直接消し去ってくれる……待っておれよ、忌ま忌ましいリア充ディケイドよォおッッ!!!!」

 

 

パソコンの画面に映し出された青年の顔……黒月零に向かってそう叫ぶと共に、男は両手に持つバックルと錠前のようなアイテム……姫が持つのと同じ戦極ドライバーと紫のラインが走る黒いロックシードを掲げ、なんだかよく分からない理由で打倒ディケイドを誓っていたのであった。

 

 

 

 

 

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