仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT 作:風人Ⅱ
―市街地・スーパー―
翌日。姫と魚見が何時にも増して可笑しくなってから夜が明けて、零達は昨日に引き続きクリスマスに向けての準備の為に再び街へと買い出しに出掛けた。
今日も引き続き買い出し役となった優矢とスバル達は食材を、零は朝一緒に連れていって欲しいと同行を願い出た姫と魚見と共にパーティーグッズや日用品などを買いに街で二手に別れていた。
優矢「――コレと、コレ……あっ、それからコレもか。エリオー!カゴが一杯になってきたから、悪いけど次持ってきてくれるかー?」
エリオ「あ、はい、分かりましたー!」
人数分+おかわりの分も考えて、食材を次々とカートの上のカゴに投入してく内に早くも一杯になってしまい、優矢はエリオに頼んで新しいカゴを取りに行ってもらう間に食材が山積みに入ったカゴをカートの下の段に位置を変えて運んでると、別区域へ食材を集めに行っていたスバル達が優矢の下に戻ってきた。
スバル「優矢さーん!こっちの方は大体揃いましたー!」
優矢「おーう!んじゃあ、後はこっちが揃えれば完了だな」
ティアナ達と共にカートを押して手を振るうスバルに手を振り返しながら手元のメモを確認すると、優矢は戻ってきたエリオが持って来たカゴをカートの上に乗せてスバル達と共に買い物を再開していったが、そんな時……
優矢「ん……そういやさ、スバル達って、昨日今日の姫さんと魚見さんってどう思う?」
『……へえっ!!?』
何となしに、優矢の口から投げ掛けられた昨日と今日の姫と魚見に関する些細な疑問。優矢の方は世間話の感覚で話題を口にしたようだが、当事者である彼女達の方は隠していた筈の自身の犯罪をいきなり言い当てられた犯人の如く動揺して思わず素っ頓狂な声を上げ、その反応に優矢もビクッと肩を震わせてしまう。
優矢「な、なんだよ皆っ?どうかしたのかっ?」
エリオ「えっ……いや、その、えーとっ……」
ティアナ「あ、ああ!そこのお刺身のパックが格安で皆して驚いてたんですよ!私達の世界じゃ、こういうのはもっと原価が高かったですから!ねえっ?!」
ギンガ「そ、そう!やぁ、こういう所はやっぱり地球が羨ましいなぁ~とか思ったりっ、アハッ、アハハハハハハッ」
優矢「っ?」
イイナー、スゴイナー!と急にそわそわし出して店内を見渡していくスバル達に優矢も頭上に疑問符を一杯並べて首を傾げてしまい、そんな優矢にキャロが話題を変える為に慌てて口を開いた。
キャロ「え、えと……でも、何で急にそんな事っ?」
優矢「えっ?や、急っつーか、昨日から明らかに可笑しいだろ、あの二人?何時にも増してっていうか、何か張り合ってるっていうか……ほら、今朝の朝食ん時だって、顔を突き合わせるなり『今日の朝食は胃が持たれない消化に良いものだ!』、『望むところです!』、とか言い出すなりキッチンに突っ込んでって、たまご雑炊と煮込みうどんを作ってまだ寝てる零の部屋に殴り込んでったし……」
……まあ、二人が部屋を飛び出して数分後に零のけたたましい悲鳴が写真館中に響き渡り、その後、何やらションボリとした姫と魚見が不自然に米が残った雑炊と、中途半端に残った麺だけが鍋からこぼれ出て熱々の汁だけが何処かに消えて空っぽになってたのを見るに、取りあえず朝から零が悲惨な目にあった事だけは窺い知れたが。
優矢「俺はてっきり、また零が二人に何かしたんじゃないかと思ったけど、良く良く考えたら昨日はアイツと俺達で買い物に出かけてずっと一緒だったし、出掛ける前はあの二人も何時も通りだったから、何か他に理由あるんじゃないかって思ってさ」
ギンガ「……り、理由……ね……」
優矢「そう。五人は昨日、昼間は姫さんと魚見さんと一緒だったろ?なら、何か知ってるんじゃないかって――って、ど、どしたっ?」
昨日の事をよーく思い出しながらそう言ってスバル達の方に振り返ると、五人は揃って顔から滝のように汗を流して目を泳がせている。そんなスバル達の様子に優矢も思わずギョッとしてしまう中、ティアナが恐る恐る片手を上げた。
ティアナ「あの……じ、実は、ですね?」
優矢「?」
気まずげに目を反らしつつ、流石にこのまま話さずにおくのはまずいかもしれないと思ったのか、ティアナはスバル達に代わり先日起きた出来事について簡潔に説明していき、話を聞いていく内に優矢も漸く合点が行ったように納得し顔を引き攣らせながら頷き返した。
優矢「成る程っ……んで、どっちがパートナーとして優れてるかって話になって張り合ってる訳かっ」
ティアナ「ええ……もうっ、元はと言えばこの馬鹿のせいでっ……!」
スバル「ううっ……ごめんなさいっ……」
優矢「いや俺に謝られてもさっ。ってか、そういう事なら先ず零に説明した方が良くないか?ほら、アイツもきっと今の現状にどうしたら良いか分からずにいるだろうし、もし皆から話しにくいなら俺から零に説明しとくけど?」
エリオ「あ、そ、それじゃ是非っ!」
キャロ「お、お願いしますっ!私達の方から話そうにも、どうやって説明したら良いのか思いつかなくてっ!」
優矢「そ、そんな思いきり懇願しなくても……。あー、じゃ、じゃあ、此処での買い物が終わったら零達と合流して、そん時に俺から話すからさ?皆はその間、あの二人を―――」
当事者以外の人間の口から話してくれるなら有り難いことこの上ないと、両手を合わせてお願いする五人に優矢も苦笑いしながらも、取りあえず此処を出てから零達と合流しての事を取り決めようとした、その時……
―ガッシャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!!!―
『キャアァァァァァァァァァァァァァァァァアッ!!!!』
優矢「――?!な、何だっ?!」
ギンガ「今のはっ?!」
店内の入り口の方から突如、硝子が破裂するような音と共に悲鳴が響き渡ったのだ。その悲鳴を聞いて周囲の客達もざわめき、優矢達は互いに顔を見合わせると、カートをその場に置いて悲鳴が聞こえてきた方へと一斉に走り出した。そして、優矢達がスーパーの入り口に駆け付けると、其処には……
『ゥウァァアアアァァァッ…………』
『ァァァアァアアアアァァッ……』
スバル「ッ?!あ、アレって?!」
ティアナ「まさか、怪人っ?!」
そう、其処には、硝子張りの窓を割って開けた穴から店内にミイラのような外見をした無数の怪人達……屑ヤミーの群れがぞろぞろと入り込み、レジを踏み荒らしながら客や店員達に襲い掛かる光景があったのだった。その光景を前に優矢達も一瞬唖然としてしまうがすぐに我に返り、優矢、スバル、ティアナ、ギンガは屑ヤミー達に向かって飛び蹴りで打ち込んで襲われる人々を助けていき、その間にエリオとキャロは店内に残された人達を入り口にまで誘導し避難させていく。
―ドグォオッ!!―
『ゥオオッ!!?』
優矢「クッ!何だってんだよコイツ等ッ!一体どっから沸いて出てっ……!」
ギンガ「分からないけど、でもとにかく民間人が避難するまで被害が出ないようにしないとっ……!優矢君っ!」
『RIDER SOL REISU!』
優矢「分かってますっ!!ダァアッ!!」
この屑ヤミー達が何処から現れたのかは謎だが、今は先ず民間人を無事に避難させなければと、ギンガはKウォッチを操作し、優矢は屑ヤミーを蹴り飛ばしつつ腹部に両手を翳しそれぞれの腰にベルトを出現させると、それぞれ変身の構えを取り、
『変身ッ!!』
掛け声と共にそれぞれ変身動作を行い、優矢はクウガ、ギンガはレイスへと変身する。そしてそれぞれ拳を構え、迫り来る屑ヤミー達に向かって飛び掛かり戦闘を開始していった。しかし……
「――――これで邪魔物は足止め出来る。フフフッ、待っておれよ、リア充ディケイドよ……」
その様子を盗み見る一人の男の姿が影にあり、クウガとレイスが屑ヤミー達相手に奮闘する様を見届けると、男はニヤリと笑みを浮かべながら何処かに向かって歩き出していった。
◆◇◇
そして、クウガ達が戦闘を開始したその頃……
零「………………………………………疲れた………………………………」
何処までも青が続く空を見上げながら、黒月零は現在一人でコンビニに向かって足を進めていた。その呟きには隠しきれない疲労を滲ませ、足取りも何処か重く見える。どうして此処まで疲れ切っているのか、理由はやはり……
零「アイツら……行くとこ行くとこで張り合うような真似をしおって……。昨日から何なんだ一体っ」
そう、やはりというか予想通りというか、今朝に同行を願い出た姫と魚見が昨日に続き、何かある度に買い物先でも『いざ勝負!』と自分を巻き込んで競い合いを始め、張り合ってたかと思えば突然一緒にボケ出してツッコミをさせられたりと、何かもう心身共に早くもクタクタになってしまい、二人に休憩を申し出てて一人になる為、二人を近くの公園に待たせてコンビニへ買い物に向かっていたのである。
零(とは言え、このまま戻って買い出しを再開した所でさっきの続きになるのは目に見えてる。そうなれば、これ以上は本当にこっちの身体が持たんし……こうなったら、あの二人から強引にでも目的を聞き出して止めさせるしかないな……)
というかそうしないと本当に今にでも倒れ兼ねない。ただでさえ普段からあれほど振り回されてるというのに、これ以上パワーアップされでもしたら捌き切れる自信がないし、もう今朝のような目には遭いたくないと、左頬と首筋に貼ってる冷却シートを摩り溜め息を吐く。
そう戻った後の事を考えて強く決心すると、零は到着したコンビニの自動ドアを抜け店内に足を踏み入れた。
「いらっしゃいませー」
零(そうと決まれば、さっさと用を済ませるか。取りあえずあの二人には紅茶で良いとして……紅茶に合う物と言えば、っと……?)
店員の声を耳に身近なカゴを手に取る。取りあえず、姫と魚見へのドリンクに温かい紅茶を手に取りカゴに投げ入れ、次にあの二人の好みと紅茶の組み合わせに合いそうな物を真剣に選んでいく。と、そんな時……
「―――おや。そこにいるのは、黒月零殿ではないか」
零「……うん?」
何を買っていこうかと悩む中、突然真横から誰かに声を掛けられ、零が振り返ると、其処には見慣れない顔の男がいつの間にか零の隣に立っていた。
「いやぁ、探しましたぞ?まさかこんな所にいようとは」
零「……?アンタは?」
「ん?ああ、これは失敬。私の名はマキナ、と申しましてね。又の名を――」
と、"マキナ"と名乗った男は懐に手を伸ばすと、其処からカッティングブレードが装着されたバックル……戦極ドライバーをいきなり取り出して腹部に当てると、バックルの端から伸びたベルトがマキナの腰に巻き付いたと共に、バックル左側の黒いプレートに紫色の仮面の戦士の横顔が浮かび上がった。
零「ッ?!ベルト?まさか、お前っ……?!」
マキナが腰に巻いたベルトを見て、驚愕の声を上げる零。それに対してマキナは無言のまま、服の内側から更に紫のラインが走る黒いロックシードを取り出した
マキナ「―――又の名を、"デウス"。貴様を葬る為にやってきた神の名だァッ!」
『DEUS!』
狂喜の笑みを浮かべながらロックシードを解錠すると共に電子音声が鳴り響き、それと同時にマキナの頭上にファスナーが出現し丸い裂け目が現れ、その奥から丸い黒の物体が降下してきた。そしてマキナはロックシードをバックルにセットして固定し、カッティングブレードでロックシードをスライスしていった。
『Lock On!』
マキナ「変身……」
―スパァンッ!―
『Come on!』
『DEUS ARMS!』
『Deus ex machina……!』
レクイエムを彷彿とさせる不気味なメロディーと共に、マキナの頭上に浮遊する黒い物体がマキナの頭へと被さった。そしてマキナの身体が紫のアンダースーツを纏い、黒い物体が徐々に花開くように開いてバナナアームズと造形が酷似した刺々しい黒い鎧となり、その下に隠された黒と紫色の洋風の仮面が露わになりながら黒とパープルの鎧を身に纏った戦士……『仮面ライダーデウス』へと変身し、直後に拳を振りかざして零へと殴り掛かっていったのだった。
―ガッシャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!!!―
「ッ!!?う、うわああああああああああッ!!!」
「きゃあああああああああああああッ?!!!」
零「グウゥッ?!テメッ、いきなり何の真似だッ?!」
デウス『何の真似、だと?今言った筈だろう?貴様を葬りに来たとなァアッ!!』
―ドゴォオオッ!!―
零「ぐぁああァッ?!ぐっ、クッソッ!!」
『KAMENRIDE:DECADE!』
悲鳴を上げて逃げ回る周囲の客達に目もくれず、問答無用で一切の躊躇なく殴り掛かって来るデウスの拳を受けながらもすぐさまディケイドライバーを腰に装着してディケイドに変身し、再び襲い掛かってきたデウスに回し蹴りを打ち込んで後退りさせた。
デウス『ッ……!クククッ、そちらもやる気になったか……ならばこちらも加減は無しだァッ!』
―カシュゥッ!―
『Come on!』
『DEUS SQUASH!』
変身したディケイドを見て不気味に笑い、バックルのカッティングブレードを一度倒して電子音声を鳴らす。そして、後ろ腰から黒い両刃の槍……デウスライサーを取り出すと、バチバチッと稲妻を撒き散らす黒い雷光を両刃に纏わせながら身構え、それを見たディケイドも直ぐさま回避行動を取ろうとするが……
「ぅ、うぁあああああああああっ……!うぁあああああああんっ……!!」
ディケイド(……?!まずっ――!!)
自身の直ぐ背後から泣き声が聞こえ、慌てて振り返れば、其処には突然始まった戦いに恐怖し、レジの前で縮こまって泣き叫ぶ男の子の姿がある。ディケイドもそれに気付いて回避行動を取ろうとした身体をその場に踏み止まらせるが、
デウス『何をチンタラやっているかぁあッ!!!』
―ズバァアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーアァアアンッッッッ!!!!!!―
ディケイド『クッ……!!―ズガァアアアアアアアアアアアアアンッッッ!!!―グッ、うぐぁあああああああああああああああああああっっっ!!!!?』
―ガッシャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアンッッッッ!!!!!!―
デウスはディケイドのすぐ背後の男の子の存在など露知らず、問答無用で雷光を纏ったデウスライサーを横殴りに振るってディケイドに目掛けて巨大な斬撃波を叩き込んでいったのである。それに対しディケイドも左腕で受け止めてどうにか防ぎ切ろうとするも、耐え切る事が出来ず左腕を爆発させ、そのままコンビニのガラス窓を突き破りながら外ヘと吹き飛んでゴロゴロと地面を転がっていってしまう。
―シュウゥゥゥゥゥゥゥッ…………!!!―
ディケイド『ァッ……ッ……クッソッ……腕がっ……!!』
デウスの必殺技を受け止め切れずに、アーマーが粉砕されてダラダラと出血する左腕を抑えて苦悶の顔を浮かべるディケイド。そんなディケイドの下にコンビニの中からデウスが飛び出し、地面に散乱するガラス片を踏み鳴らしながらデウスライサーを肩に担いで歩み寄って来る。
デウス『クククッ、だらしのない。音に聞こえた破壊の因子の持ち主の力はこの程度なのか?やれやれ、想像していた程ではなかったなぁ?ガッカリにも程がある』
ディケイド『ッ……てめぇ……一体っ……!!』
デウス『立つのも辛いなら、そのまま倒れていても構わんぞ?何、どうせ一瞬で済むからな。……そうして貴様を葬った後、桜ノ神も水ノ神も我の物にしてくれるわぁああああああああっ!!!!』
ディケイド『チィッ!!』
そう言いながらデウスライサーを振り回し突っ込んで来るデウスを迎撃すべく、ディケイドはダラリと左腕を下げたまま立ち上がってハイキックを放つも、デウスは槍でソレを弾きながらディケイドに容赦なく斬撃を叩き込み、後ろ回し蹴りを放ってディケイドの頭部を蹴り飛ばしてしまうのであった。