仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT 作:風人Ⅱ
―市街地・公園―
姫「―――むう。零の奴、遅いな……」
魚見「そうですね……」
ディケイドがデウスの襲撃に遭っているその頃、公園ではコンビニに買い出しに向かった零の帰りを待つ姫と魚見が首を長くして公園のベンチに並んで腰を下ろしており、姫は公園にある時計台と零が通っていった公園の入口を何度も交互に見つめ、魚見はジッと空を見上げたまま暇を持て余しているかのように小さく足をぶらつかせていた。
―ヒュウゥゥゥゥゥッ……―
姫「ううっ、寒っ……まったくっ、人をこんな所に待つように言っておきながら遅れるとは、帰ってきたら小言の一つでも言ってやらねばなっ。なぁ、ウオ……ウオミー?」
魚見「…………」
外出の為に着込んできたとは言え、吹き抜ける真冬の寒風は身体の芯に堪える。ガタガタと震えながら身体を抱きしめつつ零が帰ってきた時の文句を頭の中で考える姫だが、そんな彼女とは対照に、今まで空を見ていた筈の魚見は正面に顔を向けて何かをジッと見つめていた。
姫「魚見?どうした?」
魚見「……サクッち、アレは……」
姫「?」
そう言って指を指す魚見の指先を追うように、姫が首を傾げながらそちらに目を向ける。其処には……
「―――ひっぐ……ううっ……うっ……」
公園の奥に立つ大きな樹の前で立ち尽くし、何やら目を摩りながら泣きじゃくる赤いマフラーを巻いた女の子の姿があったのだった。
姫「あれは……」
魚見「あの子、何かあったんでしょうか……すみません、少し席を外します」
姫「あっ、ま、待て。私も行く」
あの泣いている幼子が気になって席を立つ魚見の後を追い、姫もベンチから立ち上がる。そして二人は赤いマフラーを巻いた女の子の下にまで走り寄ると、膝を曲げて泣いてる女の子に声を掛けた。
魚見「あの、どうかしましたか……?」
姫「君?何を泣いているんだ?何処か、怪我でも?」
「うっ……?ひぐっ……ぅ……んんっ……」
フルフルと、心配げに顔を覗き込む姫の質問に小さな首を横に振って否定して、女の子は上を指差す。その指差す方を追って姫と魚見が上を見上げると、其処には、サッカーボールを蹴るワニのぬいぐるみが樹の上に引っ掛かっている光景があった。
魚見「アレは……もしや、あのぬいぐるみは貴方の?」
「…………そう、だけど…………でも、そうじゃないの…………」
姫「?どういう意味だ?」
女の子の言葉の意味が理解出来ず二人が揃って頭上に疑問符を並べると、女の子はずずっ、と赤くなった鼻を啜りながら、たどたどしい口調で経緯を話し出した。
◆◇◆
魚見「――成る程。つまり貴方には、昔から仲の良い男の子のお友達がいて……」
姫「その子がクリスマスの日に引っ越してしまう事が決まって、そのお別れの品に、君の母親と協同であのぬいぐるみをクリスマスプレゼントとして彼に贈ろうと作った、と」
「…………」
数分後。女の子から教えてもらった経緯を簡潔に纏め二人が確認の為にそう質問すると、女の子はコクりと控え目に頷き、姫と魚見はぬいぐるみが引っ掛かった樹を見上げながら溜め息を吐いた。
姫「で、いざ完成したぬいぐるみを渡そうとこの公園に彼を呼び出して、プレゼントを彼に渡したのまでは良かったが……」
魚見「その後に彼の男友達が現れて、彼に渡したぬいぐるみを「女々しい」と散々馬鹿にされ、頭に来たあまり彼の手からぬいぐるみを強引に奪ってあの樹の上に投げてしまい、彼とも口喧嘩になり喧嘩別れしてしまった……と」
「っ……ぐすっ……」
二人の話でその時のことを再び思い出したのか、女の子は後悔を滲ませる顔を俯かせたまま再び涙を落として地面を濡らしてしまい、二人もそんな女の子を見下ろして揃って二度目の溜め息を吐いた。
姫「それはなんと言うか、タイミングが悪かったというか、気の毒にな……」
魚見「ですが、何故貴方もそんな事を?折角頑張って作ったものを馬鹿にされて怒るのは無理もありませんけど、話を聞く限り、彼と喧嘩になるような要素はなかったと思いますが……」
「……それ、は……その……」
魚見が女の子と目線を合わせて小首を傾げてそう問い掛けると、女の子は所在なさげに目をさ迷わせながらスカートを掴み……
「だってっ……タカくんが、アタシとコウくんのこと指差して「ふーふだー!ふーふ!ふーふ!」ってずっとからかうから、恥ずかしくなって、カッとなって……気が付いたらコウくんにあげたぬいぐるみを取って投げて、怒鳴って、喧嘩しちゃって……そんなつもりなかったのに……アタシ、いつもそんなんでっ……」
魚見「いつも……となると、もしかして、貴方はそのコウくんって子と毎回そういう些細な事で喧嘩を?」
「えっ……そう、だけど……なんで?」
魚見「いえ、少し気になって……」
姫(ああ、成る程。恐らくこの子……)
魚見(幼いながら既にツンデレ要素を兼ね備えているとは……将来性がありますね)
と、首を傾げる女の子を前にそんな何とも残念な分析をする二人。そして、魚見は徐に腰を上げぬいぐるみが引っ掛かっている樹を見上げると、後ろ腰に身に付けている水色のポーチの中から一つの指輪を取り出し、右手の中指に嵌めていく。
魚見「でも、そうですね……このまま見過ごすのも忍びないですから、特別に、貴方に真冬のショータイムをお見せしましょう」
「……へ?」
そう言いながら片目を伏せて悪戯っぽく笑う魚見に、女の子は思わず間抜けな声を漏らす。それを他所に、魚見は徐にバックルの手形に右手を翳していった。
『Connect Now!』
―ギュイィィッ!グググッ……!―
「え……ええええぇッッッ!!!!?」
バックルからの音声と共に魚見の真横に赤く描かれた魔法陣が現れ、魚見が其処に右手を突っ込むと、遥か頭上の樹の林に引っ掛かっているワニのぬいぐるみの真横にも同じ赤い魔法陣が出現し、其処から魚見の手だけが現れてぬいぐるみを掴んだのである。その有り得ない光景を前に女の子も驚愕を隠せないでいるが、魚見は構わず右手を引いてワニのぬいぐるみを魔法陣の向こう側から取り出し、唖然となる女の子にぬいぐるみを差し出していく。
魚見「どうぞ。でも、今度は投げ付けたりなんてしてはいけませんよ?この子も可哀相ですし、何より、貴方を手伝ってくれたお母様の努力も、この子には詰め込まれてる訳ですからね」
そう言って女の子の腕に、ワニのぬいぐるみを抱かせ手渡していく魚見。女の子もそんな魚見と手元に戻ってきたぬいぐるみを何度も見比べて眼を白黒させると、途端に目を輝かせて魚見を見上げ叫んだ。
「す、すごいっ……!!お姉ちゃんって、マジシャンだったのっ?!」
魚見「え……ああ、いえ、私は……」
興奮が冷め止まない様子でそう問い掛ける女の子からの質問に、魚見も少々どう返答を返すか困ってしまう。別に隠すほどの正体ではないが、馬鹿正直に神様と答えても信じてもらえるかどうか怪しいし、かと言って実際そうではないマジシャンと名乗るのもどうかと思い悩む中、姫が女の子との目線を合わせるように膝を曲げて笑いかけながら代わりにこう答えた。
姫「マジシャンではないな。どちらかと言えば、そうだな……実は、私と彼女はな?こう見えて、魔法使いなんだ」
「魔法使いっ?!魔法使いって、ほんとにいたのっ?!」
魚見「……ええ、まあ……」
姫「まぁ、あまり注目されても困るからな。普段は目立たないようにしてるんだが、今回ばかりは泣いている女の子を見過ごせず力を使ってしまったんだ。だがもし他の人達に知られると私達は今まで通りの生活が出来なくなってしまうから、此処で起きた事は、君と私達だけの秘密……だぞ?」
「ひ、秘密……う、うん。分かったっ……!」
魔法使いも大変なんだ……、と一人呟きながら、姫との約束を真摯に受け止めて小さな手で口を塞ぎながらコクコクと頷いた女の子。それに対し姫も微笑を返すと、ゆっくりと両手を合わせて手と手の間に力を込めていく。
姫「約束してくれるなら、お礼に私からも君へプレゼントを上げよう。ほら」
そう言って姫が合掌する両手を前に出してゆっくりと開くと、其処には姫の力で生み出した、女の子が持つワニのぬいぐるみとセットになるようにマネージャー服を着たクマのぬいぐるみがあった。
「す、すごーいッ!!コレ、魔法で作ったのっ?!」
姫「まぁ、流石に君達が作ったぬいぐるみには敵わない出来だがな」
姫が生み出したぬいぐるみを見て更に目を輝かせる女の子に、姫は苦笑いしつつ頬を掻きながら女の子にぬいぐるみを手渡し、立ち上がって腰に手を当てていく。
姫「さて……問題のぬいぐるみも戻ってきた事だし、そうなると後は、君がその友達の彼と仲直りするだけだ」
「え……でも、アタシ……ひどいことしたし……絶対に嫌われて……」
だから、許してくれないかもしれない、と言外に言いながら女の子が不安そうに両手に持つぬいぐるみを抱き締めると、魚見は首を横に振りながら諭すように語る。
魚見「そう思うなら、尚更です。このまま彼と仲直りも出来ないまま、嫌われたと思ったまま離れ離れになれば、きっと後悔する事になる。……そうなる前に、その子を追い掛けて、貴方から謝りに行った方が良いと思いますよ?」
「……でも……」
魚見の言う通り、今すぐにでも追い掛けて彼に謝りに行きたいが、不安が勝ってその勇気が沸き上がらない。泣きそうな顔で俯くことしか出来ない女の子に魚見もどうしようかと悩み始める中……
姫「ふむ……君、少し手を隠してくれるか?」
「……え?」
魚見「桜ノ神?」
突然姫がそう言い出し、女の子に手を差し出してくれないかとジェスチャーするように掌を差し出したのだ。そんな姫から申し出に女の子だけでなく魚見も怪訝な顔を浮かべるが、姫は真っすぐ女の子を見つめて掌を差し出し続けており、女の子もそんな姫の顔と手を交互に見た後に恐る恐る手を伸ばすと、姫は女の子の手の上に、キラキラと光る粒子のようなものを降らしていった。
「……?今のって……」
姫「今、私から君へ魔法を掛けた。友達の彼と君が、必ず仲直りが出来るな」
「えっ……?ほ、ほんとにっ?!」
姫「ああ。しかしこの魔法は、君が専心誠意、ちゃんと彼に謝らなければ発揮されない魔法だ。だから後は、君が勇気を示さなければ意味はない」
「……勇気……」
ポツリと、女の子が譫言のように姫から言われた言葉を繰り返して呟くと、姫も深く頷く。そして女の子も腕の中に抱く二つのぬいぐるみをジッと見つめた後、顔を上げて力強く姫に頷き返した。
「わかった……これから、コウくんに謝ってくるっ!」
姫「その意気だ!今度はしっかりな?」
「うんっ!お姉ちゃん達、ありがとうねっ!あと、秘密の事もちゃんと言わないようにするからっ!」
姫からのエールを受けて、女の子は先程までの暗い様子から一変して明るい顔で走り出し、公園の入り口で一度振り返って二人に手を振った後に友達を追い掛け公園を後にした。そうして、姫と魚見も女の子の姿が見えなくなるまで手を振り続けた後、魚見が急に溜め息を深く吐いた。
魚見「それにしても、貴方も上手い事を考えますね、桜ノ神」
姫「ん?何の事だ?」
魚見「また惚けて……あの子に魔法なんて、最初から掛けてなんていなかったでしょう?」
ジトーとした目を魚見が姫に向けてそう言うと、姫は僅かに肩をビク付かせて、苦笑いを浮かべた。
姫「あー……やっぱり君にはバレていたか……」
魚見「当たり前でしょう。一体どれだけ貴方と親友をやってると思ってるんですか?」
姫「ハハハハッ……まぁ、踏み切れないあの子に良いきっかけになるのではないかと思ってな……流石に、当人達の間での問題に介入するなんて無粋な真似はしないさ」
肩を竦めておどけるように姫が言えば、魚見も呆れるような顔で溜め息を吐き、二人はそのまま会話もなく女の子が去っていった入り口の方を見つめていると……
姫「――なあ、魚見……?ちょっと聞きたい事があるんだが、良いか?」
魚見「……?聞きたい事、ですか?」
不意に、姫が目を泳がせてそう言い出し、魚見も怪訝な表情で姫の方に振り向くと、姫は何処となく言いにくそうに頬を掻きつつ、
姫「その……昨日の事なんだが……何故急に、君があんな私と張り合うような事を言い出したのか、今になって気になってな……いつもの君らしくないというか、あんな事は、今まで一度もなかっただろう?」
魚見「……そう、でしたっけ?」
姫「ああ……。だからその、出来れば理由を聞かせて欲しいというか……何か、あったのか……?」
魚見「……それは……」
魚見の表情を伺うように姫が俯き加減にそう問い掛けると、魚見は僅かに視線を逸らして口を閉ざしてしまう。そして、そんな時間が暫く続いた後、魚見が漸く口を開こうとした、その時……
―……ゾワァッ!!!―
魚見「―――っ!?」
姫「なんだ……今の感覚っ……!?」
突如、姫と魚見の背筋にとてつもない悪寒が走った。前触れもなく襲い掛かったその感覚に二人も驚愕して顔を見合わせ、街の方へと振り返る。
姫「今のおぞましい神氣は、一体……?」
魚見「しかも気配がしたのは、零が向かった先の……まさか、彼の身に何か……?」
姫「ッ!行くぞ、魚見っ!」
魚見「ええ……!」
零が向かった先の街から感じられたおぞましい神氣の正体は分からないが、何か嫌な予感がする。その予感に駆られるように二人は顔を見合わせた後、おぞましい神氣が感じられる街に向かって走り出していくのであった。
◇◆◇
―バシュウゥッ!バシュウゥッバシュウゥッバシュウゥッ!―
デウス『無駄無駄無駄無駄無駄ァアアアアッ!!!!』
ディケイド『チィッ!!!』
そしてその一方、デウスの襲撃により左腕を負傷したディケイドはライドブッカーGモードを用い、デウスを近付けまいと乱射し距離を取ろうとするも、デウスはデウスライサーを回転させて銃弾を全て弾きながらディケイドに肉薄し、両刃の槍を叩き付けながらディケイドの弱点である左腕を執拗に狙い続けていた。
―ガギィイイイインッ!!―
ディケイド『グゥウッ!!クソッ……!!』
デウス『弱い!弱い!弱い!弱すぎるわ!その程度で因子の力だけでなく数多の女や女神にも見初められるなど、有り得はせんのだよォォォおおおおッッ!!!』
ディケイド『ッ……!!訳の分からん事をッ!!』
―ズダダダダダダダダダダダダダァアッ!!!―
左腕を庇いながら戦うディケイドの姿を無様だと一笑するデウスにそう叫び返し、ディケイドはデウスの足元に目掛けてライドブッカーを乱射させて煙幕を発生させていく。
デウス『煙幕か……。軟弱な貴様に似合いな姑息な手よなァア?だが――』
―ブォオオッ!!ガギィイイイイッ!!―
ディケイド『――クッ?!』
デウスの死角から剣形態に切り替えたライドブッカーで斬り掛かるディケイドの刃を、デウスは振り返りもせずデウスライサーで受け止めてしまい、そのままバックルのカッティングブレードを掴んで刃を一度倒し、
―カシュゥッ!―
『Come on!』
『DEUS SQUASH!』
デウス『その程度で、この我を倒せると思うてかァアッ!!』
―ズバアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!!!―
ディケイド『!!!』
バックルからの電子音声と共に再びデウスライサーの両刃に雷光を纏い、ディケイドを真っ二つに両断するように横薙ぎに振るったのであった。そしてデウスの必殺技をまともに喰らったディケイドはそのまま上半身と下半身が分かたれた……かのように見えて、突然その身体がブレて残像のように消え去っていった。
デウス『?!分身だと?!『FINALATTACKRIDE:DE・DE・DE・DECADE!』……ッ?!』
ディケイド『はぁぁあああああああああああああッッ!!!!』
消え去ったディケイド……ディケイドがイリュージョンを用いて生み出した分身を見てデウスが目を見開く中、背後から電子音が響き渡り振り返ると、其処にはディメンジョンフィールドを展開してデウスに目掛けライダーキックを放つ本物のディケイドの姿があったのだった。完全な不意打ち。しかし、それを目にしたデウスは怯む事なく咄嗟にデウスライサーを突き出しディケイドの必殺技を受け止めてしまう。
ディケイド『何ッ?!』
デウス『馬鹿めがっ!このデウスは貴様を抹殺する為に我が生み出したライダーっ!この程度でやられたりはせぬわァアっ!!』
―カシュッカシュゥッ!―
『Come on!』
『DEUS AULAIT!』
ディケイドのディメンジョンキックを受け止めたままバックルのカッティングブレードを二度倒して電子音を鳴らし、デウスの右腕に黒い雷光が纏われ、そして……
デウス『ドゥウリャアァアアアアアアアアアアッッッ!!!!』
―ドゴォオオオオオオオオオオオオオオォオンッ!!―
ディケイド『グッ?!ぐぅああああああぁっっ!!!』
デウスはそのままディケイドの右足をデウスライサーで叩き伏せてディケイドを地面に引きずり落とすと共に、雷光を身に纏った右腕をディケイドのボディへと叩き付けて吹っ飛ばしてしまい、ディケイドは地面を転がりながら変身解除させられて零に戻ってしまう。
零「ァッ……ッ……クソッタレ、めっ……!」
デウス『ハッハハハハァッ!笑止!笑止!笑止!破壊の因子の力がなければ所詮その程度かァッ?!全く、こんなくだらん男が神にも等しき力を行使して数多の世界で救世主を気取っているとは、いやはや、世も末とはこの事よなぁ?』
ドクドクと大量の血を流して倒れる零の姿を見下すような目で見つめ、デウスはデウスライサーを突き付けながら零の下へと歩み寄っていく。
デウス『さぁて、お遊戯もそろそろ幕引きと行こうか?貴様を殺した後、破壊の因子も頂くついでに、貴様を慕う女共も我が可愛がってやろうではないかァ?』
零「ッ……!なに、勝手なことっ……!」
デウス『なぁに安心しろ、悪いようにはせんさ。そうさなぁ?手始めに、貴様と契約している二人の女神を我好みの女に―ズガガガガガガガガガガガガガガガァアンッ!!!―ごばぁああああああああッッ!!!?』
零「?!」
そんな薄気味悪い妄言を口にしながら零にトドメを刺そうとしたデウスの顔面に、突如何処からか飛来した無数の銃弾が降り注ぎ火花を散らしながらデウスを吹っ飛ばしていった。それを見て零も思わず驚愕すると、零の背後からウィザーソードガンを突き出す魚見と姫が零の下へと駆け付けた。
魚見「零っ!」
零「っ!市杵宍っ?木ノ花もっ……」
姫「無事か?!一体何が……って、その傷っ……?!」
零の下に慌てて駆け寄ると、姫は零のズタズタの左腕を見て目を見張り絶句してしまう。そして魚見が零の傍に屈んで左腕を手に取ると、その際にドロリッと血が滴り落ち、よく診ると、デウスの執拗な攻撃を受け続けたことで怪我の具合が更に悪化しており、腕の肉が裂けて白い骨が見えてしまっていた。
魚見「酷いっ……とにかく治療を……!桜ノ神っ!」
姫「分かってるっ……!向こうは任せろっ!」
そう言ってデウスの相手を自ら引き受け、姫は顔面に銃弾を浴びせられて身もだえているデウスと対峙していく。
デウス『ぬぅうぐっ……ん?ほほう、誰かと思えば、あの軟弱ディケイドと契約した桜ノ神に水ノ神ではないか?』
姫「貴様……一体何者だ?気配からして何処ぞの神である事は間違いなさそうだが、何の目的で彼を狙っている?」
出来るだけ冷静に、相手の目的を聞き出す為に心の内の怒りを沈めて姫がデウスにそう問い掛けると、デウスはデウスライサーを肩に担ぎ込みニヤリと笑って口を開いた。
デウス『これはこれは申し遅れた。私の名はマキナ、またの名をデウスと申してな。嘗ては断罪の神に裁かれたものの、半身を残してこうして生き残り、破壊の因子を行使して数多の女共だけでなく、我と同じ神格である貴殿らまでも手込めにしようとしてる軟弱ディケイドを抹殺しに来たのだよ』
姫「……?まさか、そんな訳の分からない理由でこんな騒ぎを起こしたというのか、貴様はっ?」
デウス『うん?寧ろ妥当な理由だろう?人間の分際で神の力を行使するなどおごかましい。そんな脆弱な男に持たせるぐらいなら、崇高な神格である我のような神が持つ方が相応しいと思わんか?』
悪びれもせず、片手を広げて高らかに演説するデウス。姫はそんなデウスの話を聞いていく内に眉間に皺を寄せていくと、先程デウスが零を襲撃した際に破壊したコンビニや店の中で苦しげに横たわっている怪我人達の姿が視界の端に映り、怒りで手を震わせながら懐から戦極ドライバーを取り出していく。
姫「ふざけるな……そんな取るに足らないくだらない理由の為に、神の力を大衆の前で振るって大勢の人達を巻き込んだ上に、彼までも傷付けたと言うのかァッ!!」
戦極ドライバーをデウスに突き付けて怒りの声を上げると、姫は腰にバックルを装着してスカートの装身具に身に付けたピーチロックシードを荒々しく掴み取り、解錠スイッチを押した。
『PEACH!』
姫「変身ッ!!」
『Lock On!』
―スパァンッ!―
『Soiya!』
『PEACH ARMS!』
『Gouka☆kenran!』
ピーチロックシードをバックルにセットしてスライスし、鳴り響く電子音声と共に姫の頭上に現れた裂け目からピーチアームズが落下して姫の頭に被さる。そうしてスーツを身に纏った後にピーチアームズが展開されて鎧を身に纏い天神へと変身すると共に、飛び散る桃の果汁を右手に出現した桜雪で斬り払いながらデウスに飛び掛かり斬り掛かっていった。
―ガギィイイイインッ!!―
デウス『ハッハハハァッ!威勢の良い女子は嫌いではないぞッ!あの軟弱ディケイドを屠った後、水ノ神と共に我の物にしてから手ずから我好みの女にしてやるわッ!!』
天神『黙れッ!貴様のような身勝手な神の存在を私は絶対に許さんッ!断罪の神に代わってっ、今度は私が貴様を葬り去ってやるッ!!』
―カシュゥッ!―
『Soiya!』
『PEACH SQUASH!』
そう言ってデウスの両刃の槍に荒々しく桜雪をぶつけ合わせると、天神はデウスに前蹴りを打ち込んで吹き飛ばし、ドライバーのカッティングブレードを倒して桜雪の刃にエネルギーを身に纏わせながらデウスへと勢いよく斬り掛かっていくのだった。