仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT 作:風人Ⅱ
―ガキィイイッ!!ガキィイイイインッ!!―
ディケイドI『フッ!ハァアアッ!』
デウス『ぬがぁああっ?!グッ、おのれぇええええっ!!』
咲夜と魚見の張り合いの末、偶発的に誕生したイザナギフォームへと強化変身したディケイド。ディケイドはデウスが叩き付けて来るデウスライサーの斬撃の全てを強靭なボディで受け止めて軽々と弾き返し、攻撃を弾かれて怯むデウスの隙を突くようにライドブッカーSモードで斬り付けていき、トドメに後ろ回し蹴りでデウスの顔を蹴り飛ばしふっ飛ばしていった。
デウス『グボァアッ!!?グッ、調子に乗るなよっ、神の力を借りてるだけの人間風情がァあッ!!』
―シュバァアアッ!!―
憤怒の雄叫びを上げながら、ディケイドに目掛けてデウスライサーを振るい黒い斬撃波を飛ばすデウス。だがそれを目にしたディケイドが咄嗟に左手を開いて目の前に突き出すと、掌に備え付けられてる砲口……カグツチから極光と閃光が放出され、デウスが放った斬撃波を正面から掴み取り打ち消していった。
デウス『何ッ?!』
ディケイドI『―――成る程な。大体分かってきたぜ、コイツの扱い方がな……アマテラスッ!』
攻撃を防がれ驚愕するデウスを他所に、ディケイドが確信に満ちた口調でそう叫ぶと、ディケイドが突き出す左手に咲夜の能力で複製された2本のソルメモリがスロットに装填された、太陽のように紅く染まった紅色の桜神剣……アマテラスが出現してディケイドの手に握られ、徐にアマテラスの紅い刃を指でなぞりながらデウスと対峙していく。
デウス『クッ……そんな虚仮威しなどォォおおおおおッ!!』
―バシュウゥッ!―
ディケイドI『フッ!でぇええああああッ!!』
―ズバァアアアアアッ!!―
デウス『なっ?!ガハァアアアアッ?!』
アマテラスを構えるディケイドに向かって再び斬撃波を放ちながら突撃するデウスだが、それに対してディケイドは僅かに身体を動かしただけで斬撃波をかわしながら刃に焔を灯したアマテラスを振りかざして突撃してきたデウスの脇腹にすれ違い様に一閃を叩き込み、即座に振り返って連撃を打ち込みデウスを吹き飛ばしていった。
デウス『グゥウウッ?!!おのれぇぇぇぇっ……ならばァあッ!!』
―カシュッカシュッ!―
『Come on!』
『DEUS AULAIT!』
ディケイドに切り刻まれたボディから白煙を立ち上らせて後退り、デウスは拳を震わせた後にバックルのカッティングブレードを掴み二回素早く倒す。そして、電子音声と共に右腕に黒い雷光を纏わせると、ディケイドに向けて突き出し右手から黒い砲撃を放出していった。しかし……
ディケイドI『―――ツクヨミッ!』
―ガキィイイイイイイイイイイイイイイイインッ!!―
デウス『?!何だと?!』
ディケイドは迫り来る砲撃を前に、右手にソルメモリと同じく咲夜の力で2本に複製されたグレイシアメモリが装填された、藍色に染められたアメノハバキリ……ツクヨミが光と共に現れ、前方に盾のように突き出して砲撃を防いだのである。その隙に……
咲夜『魚見ッ!』
魚見『えぇッ!』
咲夜&魚見『スサノヲッ!!』
―バシュッバシュッバシュッバシュッバシュッ!!―
ディケイドの内の咲夜と魚見が声を重ねて叫ぶと同時に、ディケイドの背中の機械的な翼に内蔵された16基の銀色の念動兵装……スサノヲが一斉に放出され、上空を縦横無尽に駆け巡りながらデウスに向かって突撃していき、あらゆる方向から絶え間なく砲撃の雨を降り注がせていく。
―ヒュンッヒュンッヒュンッヒュンッ!バシュウゥウウウウウウウウウウウウウウウウッ!!!―
デウス『がぁうッ?!こ、こんなものでぇええええええええええッ!!』
上空から雨霰のように無数に飛来する砲撃の雨を必死にデウスライサーで凌ごうとするも、その数の多さに圧倒されて徐々に被弾していき、その隙にディケイドはアマテラスとツクヨミのトリガーを引いていく。
『『SOL!MAXIMUM DRIVE!』』
『『GLACIER!MAXIMUM DRIVE!』』
ディケイドI『ハァアアッ!!』
―ズドォオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーオオォンッッッ!!!―
デウス『?!グッ、ぬぅうぐぁああああああああああああああっっっ?!!』
二つの武器から電子音声を鳴らして前方に突き出すと、アマテラスとツクヨミの銃口に瞬時に膨大な神氣を溜め込み、デウスに目掛けて紅い閃光と藍色の閃光を放って直撃させていったのだった。そして、二つの閃光の直撃を受けたデウスは勢いよく吹き飛んで地面を何度も転がり倒れ付してしまうが、即座に顔を上げて起き上がり、忌々しげにディケイドを睨み付けていく。
デウス『何故だっ……崇高な存在である神格のこの我が、貴様のような人間如きにィイイイイッ!!』
耐え難い屈辱だと叫び、デウスは足の爪先で地面に転がるデウスライサーを器用に持ち上げてキャッチし、素早くバックルのカッティングブレードを掴み三回倒した。
―カシュッカシュッカシュゥッ!―
『Come on!』
『DEUS SPARKING!』
デウス『オォオオオオオオオオオオオッッッ!!!死ねぇええええええええええええええッッッ!!!』
―ダァンッ!―
電子音声を再び鳴らしてあの黒い極光を身に纏いながら遥か上空へと跳躍し、槍を突き出しながら絶叫と共にディケイドに向かって急降下していくデウス。だがそれに対してディケイドは避ける素振りを見せず佇み、ツクヨミの引き金を静かに引いた。
『『GLACIER!MAXIMUM DRIVE!』』
ディケイドI『何が神だ……ゼェエアアッ!!』
―ガキィイイイインッ!!ピシィッ、ピシィイッピシィイッピシィイイイイイイイイイイイイイィィィィィィィィンッッッ!!!!―
デウス『ッ?!な、にっ?!』
電子音声と共に、ツクヨミの刀身が巨体な氷の刃を纏う。そして急降下して来るデウスに目掛けツクヨミを突き出すと、切っ先に触れた瞬間、デウスは黒い極光ごと巨体な氷塊に覆われていき、一瞬の内に氷付けにされていったのだった。
デウス『ァッ……ガッ……う、動け、なっ……?』
ディケイドI『――テメェなんぞ、祐輔や幸助達、コイツ等に比べればパチモン同然だろうがァッ!!』
『『SOL!MAXIMUM DRIVE!』』
―ブザァアアアアァァァッ!!!ズバァアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァッ!!!!―
デウス『うごああぁッ?!』
デウスを氷塊の中に閉じ込め、ディケイドはすかさずアマテラスの引き金を引き電子音声を鳴り響かせながら巨大な焔の刃をアマテラスの刀身から放出し、そのまま氷塊ごとデウスを斬り裂いていったのだった。そして、氷塊を打ち砕かれた事で自由になったデウスは勢いよく吹き飛んで地面を何度も転がり倒れ付すが、
デウス『グッ、グゥッ……!実質3対1っ……このままでは勝てぬかっ……!』
今の自分では新たな力を手に入れたディケイド達には勝てないと踏み、デウスはディケイドに背を受けて空へと飛び上がると、そのまま一目散に猛スピードで逃亡を開始していく。
咲夜『?!あの男、逃げる気か?!』
ディケイドI『そうはさせるかっ……スサノヲッ!』
逃げ去ろうとするデウスの背を睨み据えながらディケイドが叫ぶと共に、16基全てのスサノヲが一斉にディケイドの下へと舞い戻りアマテラスとツクヨミに次々と合体し始めていき、二つの武器の形状を変化させていった。
アマテラスは、双刃に8基のスサノヲが合体して弓のような形態に変化し、神氣の弦が出現したロングボウモード、ツクヨミは同じく8基のスサノヲとの合体により矢のように鋭くしなやかな形状に変化したアローモードへとなり、ディケイドはゆっくりとツクヨミをアマテラスの弦に掛けながら二つの武器のトリガーを引く。
『『GLACIER!MAXIMUM DRIVE!』』
『『SOL!MAXIMUM DRIVE!』』
重なって鳴り響く4つの電子音声。次の瞬間、アマテラスとツクヨミは緑色の輝きに覆われながらバチバチと蒼白い火花を放出していき、ディケイドは鋭い眼光で既に遥か彼方のデウスの背中に目掛けて照準を定め、そして……
―ギギギギィッ……!!―
ディケイドI『――ハァアアッ!!』
―バシュウゥウウウウウウウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーウウゥッッッ!!!!!!!!―
デウス『――――ッ?!なっ、グッ、ぬぅうぐぁああああああああああああああっっっ!!!?』
―チュドオォオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーオオオォンッッッ!!!!!!―
大気を震わせ、ディケイドの足元の地面を陥没させながらアマテラスから撃ち放たれたツクヨミは音速を越えるスピードでデウスに目掛けて放たれ、そのままデウスに直撃し巨大な爆発を巻き起こしたのだった。そして、ディケイドは爆煙の中からデウスが墜落する様子を確認しながら戻ってきたツクヨミを掴み取って地面に突き立て、左腰のライドブッカーから一枚のカードを取り出した。
ディケイドI『決めるぞ、二人共……!』
咲夜『あぁっ!』
魚見『えぇ……!』
ディケイドの呼び掛けに力強く頷き返すと、咲夜と魚見はアマテラスとツクヨミからスサノヲ達を分離させていき、ディケイドは二つの武器を消しながら取り出したカードをバックルに投げ入れてスライドさせていった。
『FINALATTACKREAD:DE•DE•DE•DECADE!』
咲夜『スサノヲッ!』
魚見『全基フォーメーションッ!』
ドライバーから響き渡る電子音声と共に咲夜と魚見が叫ぶと、4基のスサノヲが宙を舞いながらディケイドの右足に装着されていき、残りの12基のスサノヲは上空で4基ずつ四角形を形作るようにフォーメーションを形成しながら縦一列に並んでいく。それを確認したディケイドは背中の翼を大きく広げて遥か上空へと跳躍し、右足を突き出すと、上空でフォーメーションを形成するスサノヲ達との間にディメンジョンフィールドが展開され……
ディケイドI『ハァアアアアアアアッ……ハァアアッ!!』
―バシュウゥウッ!!―
右足に装着した4基のスサノヲから緑色に光輝くブレードを出現させながら一気にディメンジョンフィールドとスサノヲ達が展開するフィールドを潜り抜けていき、最後のフィールドを抜けた瞬間にワープホールへと突入して転移したのである。そして……
―ギュイイイイイイイイイイイィィィィィィィィィィィィィイッッッ…………バシュウゥウッッッ!!!!―
ディケイドI『ゼェエエァアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーアアアァッッッ!!!!!!』
デウス『――ッ?!―ドグォオオオオオオオオッッッッ!!!!― ごぁあああああああああああああっっっっ?!!!!!』
落下していくデウスの目前にワープホールが出現し、其処からディケイドが猛スピードで飛び出し、ブレードを展開する右足……天之尾羽張(あめのおはばり)がデウスに打ち込まれ炸裂したのであった。
―バチバチバチバチバチバチバチバチィッッッ!!!―
デウス『ガァアッ?!ガッ……馬鹿なっ……何故、人間の貴様に、この我がァッ……!!!?』
咲夜『――――貴様には決して理解出来ないだろうさ』
魚見『彼と貴方とでは、決定的に足りないものがある……それが分からない限り、彼に……いいえ、私達には決して勝てません』
デウス『グウゥッ!!み、認めんっ、認めんぞォオオオオッ!!こんな結果ッ!!こんな結末ッ!!貴様のような軟弱ディケイドなどにィイイイイイイイイイイイイイイイイッッッッ!!!!!!!!!』
ディケイドI『ハァアアアアアアアッ……ハァアアアアッ!!!!』
―ドッガァアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーアアアァァンッッッッ!!!!!!―
デウス『グッ……!!?ゥウウウウウォアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーアアアアァッッッ!!!!!!?』
こんな結末など決して認めない。そう言って最後まで自身の敗北を受け入れられないまま、デウスは最後のだめ押しを叩き込んだディケイドの一撃を受けて絶叫と共に爆発を起こし、光の中に消えていったのだった。
―ズザァアアアアアアッ!!―
ディケイドI『……ッ……やっと終わった、か……』
そして、手に入れたばかりの力でデウスに勝利したディケイドはそのまま付近の建物の屋上へと地面を滑りながら着地し、肩で呼吸を繰り返しながら片膝を着くと、突然ディケイドの背の翼のスサノヲ達が起動して何処かに向かって飛び去っていく。
ディケイドI『ッ!おい、どうしたお前ら?まさかまだ敵が……』
咲夜『いや、そういう訳じゃない。ただ――』
魚見『あの神が犯した過ちの後始末ぐらいしておかないと、気持ちよくこの世界から去れませんから。これぐらいは、と思って』
再び警戒心を強めようとしたディケイドにそう言って咲夜と魚見はスサノヲに念を送って操り、最初にデウスが零を襲撃して破壊したコンビニの周囲を囲むと、スサノヲ達は変形して砲撃形態になり、砲口から暖かな光が放出されてコンビニを包み込み、破壊された箇所をあっという間に修復し、更に怪我を負った一般人達の傷を癒していったのである。
「――――あ……あれ?」
「傷が治って、る……?なんで……」
「……?これ……光……」
破壊された建物が元に戻り、更に自分達の怪我が消え去り人々が顔を見合わせて戸惑う中、コンビニの中から一人の少年……デウス襲撃の際に、ディケイドが身を呈して庇ったあの時の男の子が空から降り注ぐ光に気付き、空を見上げながら外へ出た。その時……
「―――あ、いた!タカくんっ!!」
「……え?」
突然何処から名を呼ばれて、男の子は声がした方へと振り返る。すると其処には、首に巻いた赤いマフラーを揺らし、両腕にワニのぬいぐるみとクマのぬいぐるみを抱えた女の子が笑顔で駆け寄って来る姿があった。
「ユイちゃんっ!!」
咲夜『……!あの子は……』
魚見『……成る程……案外狭いものですね、世の中というのも』
ディケイドI『……?何だお前ら?二人して笑ったりなんかして?』
咲夜『うん?ああ、いや……何でもないさ』
魚見『ええ、何でも、ね』
ディケイドI『あ……?』
互いに駆け寄っていく女の子と男の子の姿を見守りながら微笑み合う咲夜と魚見を見て意味が分からないと訝しげに眉を寄せるディケイドだが、二人はただただ可笑しげに笑うだけで何も言わず、ディケイドもそんな二人に対して首を横に振りながら溜め息を吐いた。
ディケイドI『まあいい……それより、さっきは何だって急にあんな張り合うような真似をし出したんだ?ってか、昨日からそんな感じだったが、お前ら一体何があったんだ』
咲夜『え?あー、いや、それは、そのぉっ……』
魚見『と、特にこれといって、大したことがあった訳では……』
ディケイドI『言い逃れしようとしたってそうは行くかっ。もうさっきみたいな目に遭うのも御免だからな、いい加減きっちり訳を話し―グニャアアアアアアッ……―て、も、ら…………う…………?』
―フラッ……ドシャアアァッ!!!―
魚見『?!れ、零っ?』
咲夜『お、おいっ、どうしたんだ?!零っ?!』
いい加減二人の争いの原因を問い質そうとしたディケイドだったが、不意に目の前の景色が飴細工のようにグニャリと捩れたかと思いきや、全身にとてつもない疲労感がのし掛かり、そのまま後ろから倒れてしまったのだった。咲夜と魚見もそれを見て慌てて変身解除を行い元に戻ると、零に駆け寄り、顔を真っ赤にして苦しげに呼吸を繰り返す零の顔に触れて思わず手を引いた。
姫「あっつッ!?な、何だこれッ!?凄い熱だぞッ!」
零「ぉ、ぅ…………ど、どう、なってるっ…………?まだ、3分経っていない…………ハズ、だろっ…………」
魚見から教えられた3分を体内時計で数えてた限り、まだ時間に余裕はあった筈だ。なのにこのとてつもない疲労感と熱っぽさは何なんだと零が魚見に目を向けると、顎に手を添えて何やら思案していた魚見は何かに気付いたように顔を上げた。
魚見「あぁ、そうですね……よくよく考えたら、ただでさえアマテラスやツクヨミ単体でも相当な負担を貴方に掛ける訳ですから、私達が二人も入って変身なんかすれば、それに伴って貴方に掛かる負担が倍になるのも当然でしょう」
零「なっ……!!?お、おまっ、そういう大事な事はもっと早く気付いてっ…………あ、コレ駄目な奴だ」
―バタンッ!!!―
姫「ッ!?れ、零ッ!?しっかりしろオイッ!!気をしっかり持てッ!!れぇえええええええええええええええぃいっっっっ!!!!」
何かを悟った様な口調で口にしたその言葉を最後に、意識を手放して失神してしまう零。そんな彼の真っ赤な顔とは対照的に顔を青く染め、零の身体を抱き抱えながら必死に揺さぶる姫の絶叫が冬の町に何処までも広く響き渡ったのであった。
◆◇◆
―???の世界・店舗跡地―
マキナ「――――ぜぇ……ぜぇ……ぜぇ……何とか、戻って来られたかっ……」
一方その頃、別の世界に存在するとある街中の店舗跡地にて、ボロボロの身体を引きずりながら這うように跡地の中に入っていく一人の男……零達に敗れ消滅したかと思われたマキナの姿が其処にあった。
マキナ「グゥウッ……リア充ディケイドめぇえっ……覚えていろよっ……!このままでは済まさんっ……!もう一度力を取り戻したら、今度こそこの手でっ……!」
この雪辱は必ず晴らすと、マキナは零への一方的な憎しみを募らせてふらつきながら起き上がり、とにかく今は傷付いた身体を癒そうと覚束無い足取りで部屋の奥に足を進めていく。だが……
「――――今度こそ、か……生憎だが、貴様に次の機会なぞありはせんぞ」
マキナ「?!な、何?!」
不意に、マキナの背後から聞こえた謎の声。その声に釣られるようにマキナが振り返ると、其処にはマキナからは見えない位置の壁に背を預けて両腕を組む一人の青年の姿があった。それは……
幸助「――――よう、遅かったな塵芥。俺を此処まで待たせるとは、随分と良いご身分じゃないか?」
ニィッ……と、彼を知る者ならそれだけで魂の芯まで畏怖させる程の笑みを浮かべる黒髪の青年……断罪の神・天満幸助だった。
マキナ「なっ……?!て、天満幸助、だとっ?!何故貴様が此処にっ?!」
幸助「こんな低レベルの結界を建物の周囲に張った程度で、俺の目から逃れられると思ってたのか?生憎、貴様程度を見付けるなんぞ目を瞑る所か、研究の片手間でも出来る事だ」
青年の正体が幸助だと分かり身体を震わせるマキナにそう言うと、幸助は壁から背を離し、まるで死神のようにゆっくりとマキナへ歩み寄っていく。
幸助「さて……まさか半身を残して生き延びていたとは思わんかったが、俺が此処まで出向いた理由は最早説明するまでもないだろう?零への身勝手な復讐の為に無関係な人間を巻き込んだだけでなく、貴様は二度、俺に対して大罪を行った。一つは、俺の断罪から生き延びたこと。もう一つは……俺に貴様の事を思い出させた事だ。今度こそ、二度と転生出来ぬように、その汚れた魂ごと消してやる」
マキナ「ひ、ひいぃっ?!こ、後半からはただの横暴ではないかァアアッ?!」
バキバキッ、と手の骨を鳴らしながら迫る幸助に怯えて後退りしていくマキナ。しかし……
「―――おっと、何処に逃げようと言うんだ?」
「残念だが、貴様に逃げ場は最早ないぞ?」
マキナ「?!なっ……」
マキナの背後から再び声が響いた。 店舗跡地の奥から聞こえたその声にマキナも再び驚愕して振り返ると、其処にはマキナも見覚えのある少年を含んで立つ集団……輝晶紲那と彼の仲間達、そしてマキナの半身であるデウスと深い因縁を持つ少年、別世界の仮面ライダーAGAである"高町翔悟"だった。
マキナ「ッ?!き、貴様等はッ?!」
翔梧「よう、こうして会うのは初めてか邪神?まさか半身残して生き延びてたとはなぁ?しかも俺の前世を勝手に決めだけでなく、関係ない子供も巻き添えにするなんて……ゲンコ以上にボコる」
ユーノ(翔悟)「全力で協力するよ、翔梧」
ユウザ「アナザーGAメモリ代表して、倒す」
アンヘル「身勝手だね……今回は、奴を屠る事に協力するよ」
エンド「ツブすよ、チッチぇ邪神」
リオン「お前のせいでクオリアが怯えていたっすからねえ。クオリアを泣かせるなら、俺の敵っすよ」
紲那「魔界777つ道具にするか、鼻毛真拳水中奥義魚魚操りの舞(水中に引きづり乙姫衣装のオヤジ達のキス地獄)かオヤジの剣でキタキタ踊り刑か、いやぁ楽しみだね~」
紲牙「相変わらず黒いな兄弟」
暗黒のオーラを滲み出し、マキナへの怒りを各々露にする紲那達。そんな彼等を前にマキナも更に恐怖を駆り立てられガクガクと怯える中、そんなマキナの顔に背後から剣の切っ先を突きつけられ……
幸助「念仏は唱えたか?何、まだなら安心するといい……時間はまだまだ残っているんだからなぁあ?」
マキナ「ひっ……ヒィイイイイギャアァアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッッ?!!!!!!!」
Sっ気たっぷりの笑みを浮かべる幸助の笑みを前に遂に恐怖メーターが限界点を突破し、絶叫を上げるマキナ。
……そして、マキナは今日、二度目の地獄と死を迎えたのであった。
◆◇◆
―光写真館・零の自室―
零「…………………………あ"だま"い"だい"…………………………」
そして場所は戻り、光写真館の零の自室。其処には先の戦闘の後に高熱を出して倒れた零が姫と魚見の手によって運び込まれ、ベッドの上で氷を頭に乗せながら寝込む姿があり、そんな零の看病をして体温計を零に挿していたなのはが体温計を抜き取り、熱を確認していく。
なのは「熱は、えっと……よ、40度超えッ?!一体どうやったら今日一日でこんな急に熱が出るのッ?!」
姫「あー……それは、まあ……」
魚見「原因は色々ありますが、これに関しては私達に原因が……」
計った熱の驚きの数値を見てギョッとするなのはに、恐る恐る挙手をして気まずげに名乗り出る姫と魚見。そして、町中に現れた屑ヤミー達を撃退して戻ってきた優矢は唸り声を上げて寝込む零を見つめながら深い溜め息を吐く。
優矢「にしても、クリスマス直前に訳わかんねぇ因縁付けてきた神に命狙われた上に、こうしてぶっ倒れる羽目になるなんてなぁ……災難続き過ぎだろ、お前っ」
零「……うるせぇ……こっちだって、好きでこんな目にあっ……ぅぐっ……」
なのは「ああもうっ、良いから大人しく寝ててっ!姫さん!魚見さん!下に確か薬があった筈だから、一緒に探して持ってきてあげて!」
姫「う、うむ……」
魚見「分かりました……」
零をこんな目に遭わせてしまった責任がある以上、彼の看病を手伝わなければならない義務がある。布団をかけ直すなのはからの指示に揃って頷くと、姫と魚見は薬を取りに部屋を後にし下のリビングへと向かっていった。
姫「ハァッ……まさか、イザナギの副作用が制限時間関係無しにこんな形で出ようとはなぁ……」
魚見「アマテラスやツクヨミよりも強大な力故に、その力の反動も大きいようですね……折角の新フォームも、零がああなるのでは封印するしかないかもしれません」
姫「そうだな……非常に残念だが、零にこれ以上の負担を掛ける訳にもいかないし、それが妥当だろうなぁ……」
新しい形態は捨てがたいが、零の為にもアレは封印しておくのが一番だろうと意見を一致させて溜め息を吐く姫。そんな彼女を横目も魚見も何処か残念そうな顔を浮かべると、その時、姫が何かを思い出したように顔を上げて魚見を見た。
姫「そう言えば……なぁ、魚見?さっき公園で何かを言い掛けていたが、結局なんだったんだ?」
魚見「?……ああ、それは……」
マキナの気配を感知する前に、公園で魚見が何か言い掛けていたのを思い出して問い掛ける姫に、魚見は僅かに目線を逸らし髪の毛の先を弄り出すが、話さずにいるのは無理だと観念したのか、徐に口を開いた。
魚見「桜ノ神は言いましたよね。何故私が急に、貴方と張り合うような事を言い出したのか、何か訳があるんじゃないかと……」
姫「?あぁ、私の考えではそう思ってたんだが……違うのか?」
魚見の口振りは、暗にそう言ってるようにも聞こえる。しかし魚見は毛先を弄り続けながら言いにくそうに視線を迷わせた後、小さく頷き返した。
魚見「ええ……そんな大した理由があるワケじゃありません……私のこれは、もっと幼稚で、くだらないもの……貴方への、対抗心のようものですから」
姫「対抗、心……?」
どういう意味だ?、と姫が疑問一杯の表情を浮かべて首を傾げると、魚見は薄く息を吐きながらそんな姫に目を向ける。
魚見「咲夜……貴方は彼と契約してから、彼と共に数々の修羅場を潜り抜けて来ましたよね。そしてその度に、貴方と彼の絆もより強まっていった……」
姫「そ、そうか?いや、そんな事はないような気が……」
魚見にそう言われて照れ臭そうに頬を掻く姫。そんな姫を見た後、魚見は天井を見上げなざら再び口を開いた。
魚見「正直に白状すると、私はそんな貴方が羨ましく思えてたんです……最初の頃はそうでもなかったんですが、彼のパートナーとして一緒に戦っていく内に、私にはない彼と貴方の間にある絆の強さを目の当たりにして、いつの間にか対抗心が芽生えて……気が付けば先日、貴方と張り合うような事を口走ってしまっていたんです……」
姫「?つまり……それが原因?」
先日からの魚見の姫と張り合うような言動の原因は、姫への対抗心から来るものだった。そう言われてもピンと来ないのか、姫は首を傾げて怪訝な顔を浮かべるが、魚見はそんな姫に視線を戻し、
魚見「取るに足らないくだらない理由だと、自分でも分かってはいたんですけどね……それでも、貴方と彼の絆の強さを間近で見る度に、私も其処に辿り着きたい。あんな風に、私もパートナーとして認められたいと気ばかり焦って、さっきの戦闘でも貴方達の足を引っ張ってしまった……みっともないですね」
先日からのそんな自分の失態を思い返して、苦笑いと共に頬を掻く魚見。するとそんな彼女の横顔を見て、姫は僅かに目を伏せた後、
姫「……それを言うなら、私だって同じさ」
魚見「え……」
ポツリと、そう口にする姫の言葉に魚見が思わず訝げな反応を返し、姫もまた頬を掻きながら恥ずかしげに自身の胸の内を語り出した。
姫「私だって、正直気を焦らせてはいたさ。今回の事だけじゃない……最初の頃はそうでもなかったが、君が彼のパートナーとして同行するようになってから、私には出来なかった方法で零の力になる君を見て、私も負けてはいられないと思い続けていた……今にして思えば、私も君と同じく、君に対抗心を芽生えさせていたんだと思う……それが今回の件をきっかけに、表立って君と張り合うような形になってしまったようだ」
魚見「……咲夜……」
だから、魚見だけじゃない。自分も魚見に対して同じ気持ちを感じてたんだと、心の内を告白して苦笑いを浮かべる姫。そんな彼女を見て、魚見は驚いたように僅かに目を見開いた後、姫と同じく苦笑いを浮かべた。
魚見「要するに……私達は、お互いの足りない物を持ってる相手をライバル視して、お互いに対抗し合っていたと……可笑しな話ですね」
姫「あぁ、全くな」
これでは巻き添えを食らった挙げ句に倒れて寝込んでしまった零に申し訳立たないなと、二人は互いに顔を見合わせて苦笑し、直後に姫は背伸びをするように両腕を伸ばして「さて!」と気を取り直した。
姫「なら、迷惑を掛けた分はきっちり返さねばならないな。お互い、変に意地を張り合ったせいで、彼を振り回してしまったし」
魚見「そうですね……なら今度は、病人の胃に優しい、食べやすい料理対決といきましょうか?」
姫「うん?何だ、まだ続けるのか?」
魚見「彼や周りに迷惑を掛けない分には大丈夫だと思いますよ?それに、お互いに気持ちを打ち明けた今となったら、ただ意味もなく張り合うのではなく、互いを高め合う為に……というのと、悪くない気がして」
姫「ふむ……成る程。そういう事なら、望む所だ!」
魚見「負けませんよ!」
そう言いながら、対決の火蓋が切って落とされた時と同じくポーズを取り合う姫と魚見だが、最初の時とは違って二人の表情は何処か楽しげであり、対決の課目である料理を作る為に同時にリビングに向かって走り出していくのであった。
――因みに余談だが、零の高熱はクリスマスの日を迎えるまで一向に下がる気配がなく寝込み続け、漸く回復して復活したかと思いきや、直後にはあの『天使黎愛(あまつかれいあ)』の件へと繋がる訳なのだが、それはまた別の話である。