仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT 作:風人Ⅱ
―――11月22日。
地球ではこの日を11(良い)22(夫婦)の日と呼び、あの朴念仁―――黒月零と高町なのはの二人が、めでたく"夫婦"となった記念すべき日付けでもある。
本人達も後からそのことに気付き、特になのはが嬉しそうにカレンダーの日付けに花マルを書いて『来年、この日に絶対記念日しようね♪』と微笑む愛しい笑顔に対し、『ああ、絶対にな……』と笑いながら確かに約束を交わした夫は―――
―黒月家・自室―
美由希『――は?結婚記念日のこと、今日まで忘れてたぁっ?!』
零「……ソーナンデス……」
―――現在、多忙な局員の仕事に追われて結婚記念日の事をすっかり忘れ、当日になって漸く思い出し焦りのあまり地球の実家の姉に電話で泣き付くというダメっぷりを発揮していたのであった。
美由希『ちょ、アンタ……結婚したばかりのクセして記念日忘れるとか……今が大事な時期でしょうっ?!なにそんな大事な日のこと忘れてんのよっ?!』
零「イヤ……オレも此処最近多忙が続いていたので、すっかりというか、ボケていたというか……昨夜のなのはがやけにご機嫌だったから可笑しいとは思ってたんだが……」
美由希『その時点でなんで気付かないのか……。普通は色々疑問に思って考えて考えて『あ、そっか!』ってなるとこでしょ其処はっ!』
零「其処まで考えが及ばなかったというか……もう年なのだろうか、コレ……」
美由希『私より全然若い癖して何言ってんのよ……』
自業自得とは言え、かなり追い詰められた状況に立たされているからか、虚ろな目でダラダラと滝の如く汗を流す零に冷ややかにツッコミを入れる美由希だが、すぐに呆れるように溜め息を吐いた。
美由希『っていうか、何で私に相談?何も私じゃなくたって、そっちのお友達に相談に乗ってもらえばいいんじゃないの?』
零「したさ……フェイト達にも今日相談したんだが、アレだ……『そういう事は、忘れてた本人がキッチリ責任を取らなければ駄目!』と全員から言われて……」
美由希『……あぁ、そりゃ正論ね……』
結局は記念日を忘れていた零に責任があるのだから、その失敗は本人の手で取り返さねば駄目だという彼女達の意見も正しい。だが、この常識知らずの弟にそれだけ言ってもどうせ迷走し続けるだけで結論も出ないだろう。
美由希『(全く、しょうがないなぁ……)』
此処は姉として、阿呆の弟にお節介を焼いてやろうと軽く溜め息を吐きながら、美由希はゆっくりと語り始めた。
美由希『零……?アンタ、ほんっと~~~~~っに、なのはの事を愛してるのよね?』
零「?ああ、それに関しては嘘偽りはないが……」
美由希『神様に誓って?』
零「アイツと式を上げた時に既に誓ってる。……何が言いたいんだ?」
美由希が何を言わんとしているのかイマイチ見えず、思わず問い詰めてしまう零。すると美由希は、何処か優しげな声で諭すように話し出した。
美由希『だったら、アンタが普段なのはにしてやれていない特別なこと……今日は沢山、あの子にそれをしてやりなさい』
零「普段してやれていない、特別なこと……」
美由希『そっ。アンタ、どうせ結婚してからもあの子に『好き』とか『愛してる』とか、普段から正面切って言えてないんでしょ?」
零「ぐ……そ、れは……」
零の素直じゃない性格から考えると、恐らくそういった直接的な言葉は普段から比喩的にしか伝えていないはずだ。その事を指されてやはり図星だったのか、零は言葉を詰まらせて思わず黙ってしまい、そんな零の反応から美由希も『やっぱりか……』と再び溜め息を吐きながらも言葉を続けた。
美由希『女の子っていうのは、まあ女の子に限った話でもないんだけど……そういうのを、言葉や形にして言って欲しいものなのよ』
零「……そういうものなのか……?」
美由希『そういうものなの。だからそれだけでいい……。難しくなんて考えなくてもいいの。アンタが素直に、自分の気持ちをあの子にごまかさず伝えて、特別なことをしてあげればそれだけで』
零「……俺の素直な気持ちに……特別なこと……か……」
美由希『私から教えられるのはそれだけ。そこから先は自分で考えること。私が全部教えたら意味がないからね』
零「……ああ、分かった。すまなかったな美由紀姉、手間を取らせて……」
美由希『何の何の♪可愛い弟と妹の為、困った時に一肌脱ぐのがお姉ちゃんってもんでしょ?』
零「……そうだな……ありがとう……」
彼女から教わった通り、素直に礼の言葉を告げながら笑みを浮かべる零。そしてその後二言三言と美由希と会話を交わしてから電話を切った後、部屋の天井を見上げながら深く息を吐いた。
零「……とは言ったものの……普段の俺がなのはにしてやれていない特別なこと、な……」
一人呟きながら、零は思考と記憶を巡らせる。結婚式以降、自分となのははほぼ結婚前と変わらずに今まで通り自然体で接していた。やはり幼い頃から家族同然に暮らしてきた為にお互いにその方が落ち着くのだが、やはりそこは夫婦らしくなのはも愛を語らったりもしてくれる。だが、自分はいつも比喩的にしか伝えていないから、自分の素直な気持ちをなのはに伝えた事は未だにない。
零「俺の素直な気持ち……俺のアイツへの気持ちと……俺がアイツにどんなことをしてやりたいか……」
思えば、今まで自分から何か趣旨を拵えて誰かにしてやるというのはしたことがないような気がする。いつもは誰かが企画を発案して自分はそれに乗り、その過程で何かをするということは度々あったが、こうして自分が誰かの為に何かサプライズを考えることなどあまりなかったかもしれない。
……考えればこれも、自分がいつもなのはにしてやれていない特別な事ではないか?
零「しかし、今から何を考える?俺一人じゃそんな大した計画は……ん?」
頭を悩ませながらふと視線を下げると、自分のデスクの上に置かれている数枚のチラシらが視界に入った。確かさっき家に帰って来た時に家のポストに入ってた物を取り出しそのまま部屋まで持ってきてしまったんだったなと、頭の中で思い出しながら何気なくチラシを漁っていくと……
零「――?これは……」
ピタッと、不意にチラシを漁っていた零の右手が一枚のチラシを手にして動きを止め、チラシに書かれてる広告に目を通していく。
零「……これだったら、俺でも……いやだが、今から間に合うのか……?」
……いいや、もうこれしか考え付かない以上、間に合わせるしかないッ!そう心の中で力強く決心すると共に、零は意を決した表情を浮かべて椅子を倒しそうなほどの勢いで立ち上がったのだった。
◇◆◇
なのは「―――えっと……メールで指定された公園って確か、此処……だよね……?」
それからおよそ数時間後。
明日の自分が担当する教導の訓練メニューの組み立てや、データの整理等で帰宅時間が夫の零よりも遅れたなのはは、現在、雪が降り積もるミッドの町を歩いてとある公園の前まで訪れていた。
なのは(仕事が終わったら此処に来い、なんてメールをいきなり寄越すなんて……急にどうしたんだろう?何かあったのかな……)
寒さが厳しい冬の夜。幾らマフラーとコートを着込んでるとは言っても、やはり寒いものは寒い。
こんな寒い夜は仕事場から一直線に家に帰り、暖炉や暖かい夕食であったまりながら家族団欒を過ごすのが一番だと、彼女の夫である零が口にしていたのを覚えてる。
そんな事を言っていた彼がわざわざこんな寒い夜の下で待ち合わせだなんて、やはり何かあったのだろうか?
そんな疑問を抱きつつサクサクと音が鳴る雪に足跡を刻みながら歩いて公園の中へと立ち入り、待ち人の姿を捜して白一色の雪景色で彩られた公園をグルリと見渡していく。すると……
なのは「うーん、と……あ、いた。おーいっ!零くー…………」
そんなに広い公園ではない。寒い夜だし、人気のない公園で人っ子一人見つけるなど造作もない。
実際彼女は愛しい待ち人の姿をすぐに発見出来たし、片手を振りながら笑って声を掛けようとしたのだが、その表情は思いっきり引っ込んで引き攣った顔になってしまった。何故なら……
零「………………………………………あぁ………………………………………来たのか、なのは………………………………………」
……公園の中にあるベンチに座り込み、全身に白い雪を積もらせて何やら重たい空気を漂わせて落ち込んでいる旦那の姿があったからである。
なのは「れ、零君っ?ちょ、どうしたのっ?っていうか何してるのこんなとこでっ?!」
零「…………いや…………まあアレだ、ウン…………雪化粧って奴だ…………似合うだろう……………?」
なのは「意味違うからソレっ!いいからほらっ、とにかく立ってっ!」
見るからに自分の意思で立つ気力も無さそうな零の腕を引っ張って強引に立たせ、全身に積もった雪を払い落としていく。
雪の積もり具合からしても恐らく一時間くらい前から此処にずっと座っていたと思われるが、幾ら丈夫な彼でもこれでは身体が冷えて風邪を引いてしまうではないか。
だと言うのに、そんな当の本人である零は寒がる様子も見せず、バツが悪そうになのはから顔を逸らしたまま口を開いた。
零「なのは…………その、すまない…………」
なのは「謝るくらいなら最初から家で待っててよっ!もし凍死なんてしたらどうするの……!」
零「いや、そうじゃなくて…………今日の、記念日のことなんだが…………」
なのは「……へ?」
ピタッと、零の口から出た記念日というワードを聞き、なのはは思わず雪を払う手を止め零の顔を見上げる。そんな彼女に対し、零は申し訳なさそうに瞼を伏せながら軽く頭を下げた。
零「本当なら、こういう日は……テレビや雑誌で見るような洒落た店で食事とか、気の利いた贈り物とか……もっとそういう、サプライズ的な何かを用意するのが当たり前なんだろうが……ロクにそういう事を学んで来なかったせいか、それに勝るぐらいの『特別』な事が思い付かなくてだな……」
なのは「あの……零君?」
零「いや……元はと言えば全部、俺が悪いんだが……そのせいで、こんな物しか用意出来なかった……」
なのは「……え?」
困惑して首を傾げるなのはにそう言って、零はずっとコートのポケットに突っ込んでいた左手を抜き取り、なのはの前に差し出し恐る恐る拳を開いていく。すると、其処には……
なのは「?これって、もしかして……ビーズ?」
零「……を使って、作った物だ。不格好だけどな……」
零の掌の上に、淡く綺麗な様々な色の飾り玉……その中でも特に際立つ、なのはのシンボルカラーの白と青、そして、彼女の魔力光の色であるかわいらしいピンク色のビーズで作られた、少しばかり不格好だが星をモチーフにした編みリングが乗せられていたのである。
なのは「えっ、これ、作ったの?!零君が?!」
零「……家でヴィヴィオにも手伝ってもらって、だけどな……コイツを見て思い付いて、材料とか教本とか買い集めて作り始めたのまでは良かったんだが、やっぱり付け焼き刃じゃこれが限界だった……」
落胆した様子でそう言いながら右側のポケットに手を突っ込み、其処からクシャクシャに折り曲げられた一枚の紙……零が制作した物とは比べ物にならない完成度の作品、ビーズで作られたブレスレットやネックレスなどが載ったビーズ教室のチラシをなのはに見せて、顔を俯かせてしまう。
零「それでも、付け焼き刃なりに少しずつ上達して、ヴィヴィオにもデザインを考えてもらったりと途中までは上手く行ってたんだが……失敗する度に時間を気にしたり、そのせいでまた失敗を繰り返して……途中からはもう、やはり何か別のプレゼントをとも考えたんだが、当日になって慌てて用意したものをせっかくの初の記念日に贈っても誠意が篭ってない上に、お前の気持ちを疎かにしてる気がしてな……」
なのは「…………」
零「本当に、すまん……実は……その…………」
こんな不格好なプレゼントしか用意出来なかった以上、やはり真実を包み隠さず話すしかない。
しかし、一体彼女になんと伝えるべきか。
どう言葉を取り繕った所で、今日という日を楽しみにしてたであろう彼女の期待を粉々に打ち砕く事に変わりはないのだ。
寒さのせいか、はたまたそれ以外の要因のせいなのか、ビーズの指輪を乗せた手を震わせながら彼女に事実を話そうとするが、そんな彼に対し、なのはは軽く息を吐きながらビーズの指輪を持つ零の手を握り……
なのは「――記念日の事、すっかり忘れてたんでしょ?知ってるよ」
零「……………………………………………は?」
そんな、なんでもないようにとんでもないことをアッサリ言い放ったのであった。
零「知っていた、って……お前……は?何故にっ?」
なのは「何故って、あのね……何年一緒にいると思ってるの?昨日の時点で零君の態度とか反応とか見てれば直ぐに分かったよ。昨日の私、なんかわざとらしいぐらい妙に機嫌が良いように見えなかった?」
零「……ま、まさかっ」
ワナワナワナと、先程とは違う震えに襲われながら零がそう問い掛ければ、漸く気付いたか……と言いたげに、なのはは呆れるように深く溜め息を吐いた。
なのは「こっちが分かりやすくアピール繰り返しても全然いつも通りの反応しか返さないから、『あ、これ完璧に忘れてるな……』って直ぐに思ったもん。零君じゃあるまいし、私が気付かない訳ないでしょう?」
零「なっ……あ、悪趣味にも程があるだろうお前ッ!!?」
なのは「零君だって、今日まですっかり忘れてたんだからコレでおあいこだよ。……私はちゃんと覚えてたのに……」
零「ぐっ……それは、確かに、そうかもしれんが……」
なのは「……だから、今日だって私が色々と準備して、ネタバラシで零君をびっくりさせてそれで満足しようって、そう思ってたのに」
そっと、まるで水を掬い上げるかのように両手で零の掌の上の指輪を大切に受け取り、その不格好な作りを見てなのはも思わずクスッと小さく微笑んだ。
なのは「びっくりさせるつもりが、逆にびっくりさせられちゃうんだもんなぁ……あーあ、何か悔しいなぁー」
零「ッ……良く言う、してやられたのは寧ろこっちの方だってのにっ」
なのは「こういうイベントの駆け引きで、零君が私にまだまだ敵う筈ないでしょ?まあ、今回はたまたまだったけど次はこうは行かないだろうし、もうちょっと昇進が必要かもねぇ。ま、私を見習って頑張りなさいな若人♪」
零「誰の真似なんだソレはッ!クソッ!無駄に頭を悩ませて損したっ……!」
此処でなのはを待ってる間に土下座する覚悟もしてたからこそ、ヴィヴィオの前では見せられないとこんな寒空の下の公園を待ち合わせ場所に選んだのにとんだ無駄骨ではないかと、腕を組んでそう毒づきそっぽを向いてしまう零だが、そんな零を見てなのはは苦笑いと共に手の中の指輪を大事そうに胸に当て微笑んだ。
なのは「でも……嬉しいって気持ちは、ほんとだよ?もう半ば諦め掛けてたから、私から今日のことを言い出さなきゃ駄目だろうなって思ってたし……だから、すっごく嬉しい……」
零「……っ……」
恐らく、少ない時間の中で少しでも凝った作りにしようと努力したのだろう。所々の作りに細かい作業の痕跡が見受けられ、零の手から受け取った掌の上の不格好なビーズの指輪を大切そうに、愛おしげに見つめて嬉しそうに微笑むなのは。
そんな彼女の表情を横目に、顔を背けていた零も視線を逡巡させて何か迷うように瞳を伏せると、なのはの方に向き直り、突然自身のマフラーの端っこをなのはの顔を隠す様に押し当てた。
なのは「わっぷ?!ちょっ、ちょっと!いきなり何?!」
零「うっさいっ。今日はお前のおかげで散々振り回されたんだっ。これぐらいの仕返しはしてもバチぐらい当たらんだろうよっ」
なのは「そ、それは元々記念日を忘れてた零君のせいでしょーっ?!」
もう!いいから退けてよこれー!と叫びながら、顔を覆うマフラーを退けようと上から押さえ付ける零の手を掴んで離そうとするなのは。すると、零はそんな彼女の顔を暫しジッと見つめて僅かに深呼吸をした後、徐になのはの耳元に顔を近付け……
零「……―――――――――」
なのは「…………へ…………?」
誰もいない、真っ白な無音の世界で囁かれた言葉。
それを聞いたなのはは一瞬彼から何を言われたのか理解が追い付かず固まってしまい、マフラーの上から押さえ付けられていた零の手がソッと離れて視界が戻ると、なのはの目の前に立つ零はマフラーを鼻の上まで覆って顔を隠しながら、耳を赤くしてなのはの顔を見ないようにそっぽを向いていた。
零「……とっとと帰るぞ。家にアルティを置いてきたとは言え、これ以上ヴィヴィオを一人にしとくのは心配だからな……」
先程までと違って声のトーンを落とし、何処かぶっきらぼうに聞こえる口調でそう言いながらそそくさと公園の入り口に向かって逃げる様に早足で歩き出す零だが、急ぎ過ぎて足元の注意が疎かになっているのか、その道中で雪に足を取られて危うくコケそうになり「アイタッ!」などと間抜けな声を上げている。
そんな締まらない後ろ姿を目にし、先程の突然の告白から呆然と固まっていたなのはも我に返りながら思わず吹き出してしまい、掌の上のビーズの指輪をもう一度見下ろすと、手袋を外した右手の薬指にビーズの指輪を嵌め、零の後を追って横に並びながら零の左手に裸の右手を絡めていく。
零「……お前、こんなクソ寒い中で手袋外して歩くとか、しもやけになっても知らんぞ……」
なのは「そうだねー。明日も事務作業とか山ほどあるし、指が使えなくなったら大変かも。まぁ、だからほら、愛しい旦那様には奥さんの綺麗な手を温めて守って頂こうかなー、と」
零「なんで俺なんだっ。手袋あるなら手袋すればいいだけの話だろうがっ」
なのは「だってさっき零君の身体から雪を落とす時に手袋も冷たくなっちゃったし、零君のこっちの手はずっと指輪持ってポケットに入れてたから暖かいもん。こんな寒い雪の中を呼ばれてわざわざ来てあげたんだから、たまにはワガママくらい言っても許されると思うんですけどー?」
零「ハッ、たまに?おいおい、お前がワガママを言わなかった日なんて何時あった―ギリギリギリギリギリィッ!!―イダダダダダダダダダダダダダァッ!!?ちょっ、ばっ……?!待てっ!!分かったっ!!悪かったっ!!今のは俺の失言だった謝るゥううううぐぁあああああああああああああああああああああっっっっ!!!?」
鼻を軽く鳴らしながらなのはの発言を小馬鹿にしようとした零だが、それがカチンッと来たなのはが無言のまま握り締めた手に力を込めて護身術の要領で片腕を捻っていき、零もすぐさまなのはに対して訂正して謝罪するが結局聞く耳を持たれず腕を極められ、悲痛な絶叫が雪降るミッドの街に木霊したのであった。
―――余談だが、指輪作りを手伝ってくれたヴィヴィオとアルティも実はなのはと共犯だったらしく、零が留守の間に家の中の飾り付けを済ませていたヴィヴィオとなのはが笑顔でハイタッチする傍ら、家庭内での妙な疎外感に落ち込んで暗い影を落とす零サンなのであった。