仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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番外編/幾ら努力しようが絶対に無駄に終わる努力もある。ようするに無駄な努りょ(ry①

 

―光写真館―

 

 

零「―――久方ぶりに、あの世とこの世の境をさ迷った気がするぞ……」

 

 

―――そして、先の騒動から数十分後。リアと馬鬼の突然の訪問によって重傷を負った零はなのは達の手を借りてリビングに運び込まれ、魚見の魔法の力で全身に突き刺さったガラス片を取り除いてもらった後に治療し、全身に包帯を巻いてもらいミイラ男のような姿に変わり果てたそんな彼の姿に、元凶であるリアはテーブルの席で茶を啜りながら一言。

 

 

リア「うん。すまない。悪気はなかったんだほんと。ただこの前マンガで見たジャパン流の挨拶を模範した結果、どうやらその知識が間違いだったのだと桜ノ神達から教えられたよ。まじごめん」

 

 

零「最後の謝罪に誠意も感じられなければ謝って済む問題でもなかろうがっ……!うちの爺さん見てみろっ!お前に壊された玄関を見て目眩を覚えてたぞっ!」

 

 

そう、先の騒動を聞き付けた栄次郎はリアと馬鬼のせいで破壊された玄関を目にし、その凄惨さにショックを覚えて倒れ掛けたのだ。その後は姫の力のおかげでどうにか壊される前の状態の玄関に戻してもらい、何とか持ち直したものの、栄次郎に余計な負担を掛けてしまったのは事実である。

 

 

リア「ああ、ご老体にも迷惑を掛けてしまったようだね。申し訳ない事をした。うん。今後は私も心を入れ替え、ジャパン流挨拶のドウジョウヤブリは封印すると心に誓おう。まだ1回しか使ってないけど」

 

 

優矢「や、道場破りって挨拶じゃねえし、そもそもうち写真館だし……」

 

 

うん、と拳を握り締めながら良くわからない決意を固めるリアに冷静にツッコミを投げ掛ける優矢だが、その時、リアが訪問してから妙に警戒し、彼女の向かいの席に腰を下ろす姫がジト目でリアを見据え口を開く。

 

 

姫「そんな事はどうだっていい。それよりも……お前は一体何しに来たんだ、初代幻魔神。勝手に馬鬼まで持ち出してやって来たと思えば上がり込んで、何が目的なんだ?」

 

 

リア「?随分辛辣だなぁ、桜ノ神。私はもう幻魔神ではないと言うのに、まだ私がそんなに怖いのかい?」

 

 

姫「誰もそうは言ってない!というか、私が抱いてるのは恐怖心ではなく警戒心だ!この世に蘇った時に私や零達の事も記憶したなら、私達が幻魔神という存在のせいでどれだけ長く苦しめられて来たかぐらい知ってるだろ……!そのきっかけを作ったお前と、いきなりそう簡単に仲良くとはいくもんか……!」

 

 

リア「……ふむ……そう言えば、君はあの世界の数百年前にフォーティンブラス率いる幻魔達と戦っていたんだったか……まあ確かに、その因縁を考えたら幻魔神の神権というシステムを作った私に、君が反発心を覚えるのは無理からぬ事かもねえ。……あ、そういえば絢香から君達への手土産を渡されたんだったよ。はいコレ」

 

 

ティアナ「あ、どうも……」

 

 

姫「オイイイイイイッ!!真剣に聞かないかァッ!!こっちは真面目の体で話してるんだぞォッ!!」

 

 

ズズゥッと、再び茶を啜りながら思い出したように席の下に置いていたお土産をティアナに手渡すリアに、机を叩きながら勢いよく立ち上がりガーッ!!と吠える姫だが、そんな姫とは対照的にリアは「まーまー」と呑気に姫を宥め……

 

 

リア「君のその恨みは最もだが、ソレを実際に私にぶつけられてもどうしようもないよ。第一、私が幻魔神の神権というシステムを築いたのも、当時無法だった幻魔界を統べるのに必要だと思ったから作ったのがきっかけだったからね。何もフォーティンブラスみたく他世界を侵略するのが目的だった訳じゃないし、流石にソレが数千年後に君達に仇なしたと言われても責任は持てないよ」

 

 

姫「そんなの……!」

 

 

リア「無責任にしか聞こえない?でも、実際そうだよ。当時の私は自分が生きた時代を統べる事だけで忙しかったし、私が果たすべき責任は私の時代で全て果たしたけれども、それでも当時の時代にはまだ幻魔神の存在が必要だったから、後任を任せても大丈夫だと思って選んだ後継者に跡を託して没した。其処で私の役目は終わったんだ。だから私が死んだ後の未来で後継者達がやってきた事の責まで、死人だった私に背負う事は出来ない。軽薄な言い方だけどね」

 

 

姫「ッ……それ、は……そうかもしれないがっ……」

 

 

確かに、幻魔神というシステムを築き上げた張本人はリアではあり、彼女が築いたその神権のせいで後々の時代にフォーティンブラスなどの邪神を生み出したが、それはリアの後の時代を生きた者達が彼女が遺した力を間違って振るったからであり、それを全てリアのせいにするのは何処か違うような気もする。実際姫もリアの言葉に一理あると感じているのか、唸るように声を漏らしながらリアから目線を逸らして口籠り、リアはそんな彼女を瞳に捉えたまま言葉を紡ぐ。

 

 

リア「でもまぁ、君のその憤りも妥当なものだと思う。私の遺したものが、君が守りたかったものを奪ったのもまた事実だからね。私にはフォーティンブラスが仕出かした事の責任は取れないけれども、君の憎しみを受け止めるぐらいなら今の私にも出来る。……幻魔神のせいで不幸になった者達の為にも、君は私を赦すべきではないさ」

 

 

姫「……お前……」

 

 

そう言って目を伏せながら僅かに微笑むリアの言葉が予想外のものだったのか、姫は思わず呆気に取られ、そんな彼女に対してリアは更に笑みを深めて、

 

 

リア「それはそれとして、君のあのペットは随分カワイイ奴だね?新参者で、しかも敵対してた幻魔であるハズの私にもすーぐ懐いて、今ではもう私の言う事を全部聞いてくれてるよー。こんな私に気を赦してくれるし、嬉しい限りだなぁ」

 

 

姫「……は?」

 

 

スバル「ペット、って……ああ、確か魚見さんが怪人Sの時から乗ってたっていう馬ですよね?名前は確か、馬鬼……ですっけ?」

 

 

魚見「えぇ、元々は桜ノ神が数百年前の幻魔達との戦いの際に駆っていた愛馬でしたが、彼女の封印後は上役が預かり、ずっと誰にも乗られる事なく神界で飼育されていたんです。と言うのも、馬鬼は気性が荒く、彼を乗りこなす人材が中々いなかったのが原因らしくて……」

 

 

姫「そ、そうだっ!実際、私だって当時馬鬼を手懐けるのに半年は掛かったんだぞっ!そんな簡単にっ、しかもずっと戦ってきた幻魔を相手にそんな簡単に懐くハズが……!」

 

 

リア「え?私は会ってすぐ、一時間足らずで懐いたけど?」

 

 

姫「……なん、だと……?」

 

 

魚見「私もです……神界から脱走する際、上役から手渡されて恐る恐る接しましたけど、すぐに背中に乗せて言う事を聞いてくれましたが……」

 

 

姫「エエエエッ!!?」

 

 

魚見どころか、幻魔であるリアですら初めて会ってすぐに馬鬼が懐いたと聞かされて驚愕を露わに叫ぶ姫だが、そんな彼女を他所に、リアと魚見は互いに視線を交わして「だろ?」みたいな顔を浮かべた。

 

 

リア「あの子が気性が荒いなんて今初めて聞いたよ。そんな素振りは見られなかっただろう?」

 

 

魚見「ええ……私も聞いてた話とは違っていて、ずっと疑問に思っていたんですが……桜ノ神、本当に馬鬼を乗りこなすのに半年も掛かったのですか?」

 

 

姫「だ、だからそうだと言ってるだろっ!アイツはホントにとんでもない暴れ馬なんだっ!そんな簡単に懐くハズがないっ!きっと、何かっ……何かお前達が馬鬼を怖がらせるような事をして、無理矢理服従させたんじゃないのかっ?!」

 

 

リア「失礼な……そんな酷い事をするハズないだろう?ただ会ってすぐ、胸で頭を抱いてあげたくらいしかしてないよ」

 

 

魚見「あ、ソレ私もやりました。脱走する覚悟を固める為に、これから運命を共にする相棒にヨロシクの意味を込めて、こう、胸に抱き締めて……」

 

 

姫「……胸に、抱く……?」

 

 

覚えている限りの中で、二人が共通して馬鬼に行った動作を聞かされた姫の視線が魚見とリアの胸……僅かにプルンと艷やかに揺れる、抱き締められたらとても心地良さそうな豊満なバストに向けられて―――

 

 

零「―――あぁ、成る程……ようするに相手がデカ乳だったからすぐに懐いたってこ―ドグォォオオッ!!!―ゴバァアアッ!!?」

 

 

姫「ぐぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっ……!!!!!私だってっ、私だってぇええええええっ……!!!!!不老でさえなければもっと豊満に育ったに違いないのにぃいいいいいいいいいいいいいいいっっっ…………!!!!!!」

 

 

「「ぐぅおおおおおおおおおおおおおおおっ……!!!」」と、片やデリカシーのない発言を口にしようとしたばかりに両脇のなのはとはやてに容赦ない裏拳を顔と鳩尾に叩き込まれて悶絶し、片や固い絆で結ばれていたと信じていた相棒の知りたくもなかった残酷な事実を前に膝を屈して絶望する二人。片方は自業自得だからほっとくとして、魚見とリアは揃って姫の両肩にポンッと手を置き、憐れむように微笑んだ。

 

 

リア「そう気を落とすなよ、桜ノ神。こればっかりは仕方がない。単純に私達が君と違い、生まれ持ってのないすばでぃーだったってだけの話さ」

 

 

魚見「そうですよ、桜ノ神。そんなもう叶わないもしもを憂いるより、今を見ましょう?大丈夫です。女性の価値は胸だけでは決まりません。……あの子の場合はちょっとそうじゃなかったというだけの話で」

 

 

姫「やっっかましいわァァァァああああああッ!!!!全然励ましてないどころか寧ろ貶してるじゃないかァああああッ!!!!もういいッ!!!!お前とはどうあっても敵だッ!!!!和解不可ッ!!!!君とも今からは敵同士だ魚見ィいいいいいいいいッ!!!!」

 

 

リア「やだなあ……これが女の嫉妬か……嘆かわしい。だから人間同士の争いはなくならないのか……」

 

 

魚見「落ち着いて下さい桜ノ神!胸が大きいからと言ってそれが良い事とも限りません!肩こりとか、サイズに合ったブラを探すのがめんどくさいとか、そんな面倒な気苦労を知らないだけでも貴方の方がずっと生きやすい体をしてますよ!」

 

 

姫「よし戦争だ」

 

 

優矢「ちょっ、止めてぇええええええええッ?!!!こんなところでベルト取り出したりしないでぇええええええええええッ!!!!」

 

 

ティアナ「もォォおおおおおおッ!!!!魚見さんも火に油を注ぐようなこと言わないで下さいよォォおおおおおおおおおおッ!!!!」

 

 

遠回しにそんな苦労した事ないでしょ?、と煽ってるようにしか聞こえない魚見の説得(?)に遂にキレてドライバーまで取り出す姫を止めようと優矢達が必死にしがみつく中、床に突っ伏し悶絶していた零がテーブルの縁を掴んで身を起こし、顔半分をテーブルの縁から覗かせながらリアにジト目を向けた。

 

 

零「……で?結局お前、一体何しに写真館に来たんだ……?別に木ノ花をオモチャに遊びに来た訳じゃないんだろう?」

 

 

リア「もちろん。私が今日来たのは、君達にこの世界の街を案内してもらいたかったからだよ」

 

 

はやて「?案内……ですか?」

 

 

何故に?、と零達の頭上に疑問符が揃って並び、リアはそれに答える前に懐を漁ると、其処から封筒を取り出して見せながら説明の続きを語る。

 

 

リア「ほら、私は君達に敗れてから今桜ノ神社で世話になってるだろ?だから絢香達に日頃のお礼をしたくて、彼女達への贈り物を探しに君達を頼りに来たんだ。出来ればサプライズで渡したいから、あの世界で買い物してる最中にばったり会ったりしないよう、別世界にまで足を運んだって訳さ」

 

 

零「それはまた随分律儀な……いや待て、という事はその封筒の中身は金か?どうやって手に入れたんだソレっ?」

 

 

リア「ん?コレかい?実は向こうで年末に巫女のアルバイトをしてね。そのお給料で貰ったものだから、別に犯罪で手に入れた訳じゃないから安心していいよ?」

 

 

なのは「バ、バイトって……えぇっと……元神様が、違う神様の神社で手売りした、って事ですかっ……?」

 

 

リア「うーん、実に大変でやり甲斐のある体験だったよ。そもそも働くこと自体初めてだったからねぇ。けどほら、あの神社の神様って今留守中だろう?そんな神社の絵馬やおみくじにご利益があるかも分からないから、私手ずから元幻魔神のご利益がある絵馬を作って手売りしたりもしたよ。こっちの神様の方が効果望めるよ?って、うん」

 

 

姫「「うん」、じゃないだろォおおおおおおおおおおおおッ!!!なに人の神社で無断信仰してくれてるんだお前はァああああああああああああッ!!!」

 

 

スバル「ひぃいいいいいいいいいいッ!!!落ち着いてぇえッ!!!落ち着いて下さい姫さァああああああああああああんッ!!!」

 

 

未だ収まる所を知らぬ怒りに更なる油を注がれ、怒り心頭の姫を優矢達がより必死に押さえ付ける。そんな様子を横目に零も顔を引き攣りつつ、眉間を抑えながら溜め息を吐いた。

 

 

零「まあ……絢香達への恩を返したいっていうお前の言葉にも嘘は無さそうだし、手伝うくらい別に構わんが、頼むからこれ以上アイツを煽るような真似はするなよ……。でないとうちの若いのの身体が持たん……」

 

 

リア「んー……それはちょっと約束はし兼ねるかなー。ほら、私彼女に嫌われてるし、こんな口調だろ?ソリが合わないのもそうだが、生まれてから死ぬまでずっとこんな感じだったからオブラートな言い方も出来ないし、自分でも分からない内に彼女の気に障れてしまうのは否めない。だから其処はホラ、彼女の契約者である君がフォローしてくれたら助かるかなーと」

 

 

零「……ようするに面倒事を俺に押し付けたいって事じゃねえかっ……」

 

 

リア「ええっ?君からしたら今更じゃないかやだなーはっはははははははははっ!」

 

 

零「爆笑する所のツボが可笑しいだろォッ!!指差すなぁあッ!!」

 

 

何がそんなに彼女のツボに入ったのか、零は失礼にも目尻に涙を浮かべて人の顔を指しながら爆笑するリアの指を払い除け、リアの方も一頻り笑った後に若干息切れしながら目元の涙を拭い、気を取り直すように咳払いする。

 

 

リア「まぁ、それもある意味君を信頼してでの頼みって事さ。私を倒して彼女達の世界を救った英雄の一人なのだから、それくらいの器量の良さは見せてくれても良いだろう?」

 

 

零「調子の良い事をっ……というか英雄呼ばわりなんかするな気色悪いっ。こっちはただあの二人の力を借りてお前達と戦っただけだと前にも話しただろうがっ」

 

 

リアからの英雄呼びにあからさまに嫌そうな顔を浮かべなから、零は未だ怒りが収まる気配のない姫と、そんな彼女を宥める為になのはとはやてと一緒に姫を落ち着かせようとする魚見を顎で指してそう訂正するが、それに対しリアは腕を組みながら肩を竦めた。

 

 

リア「君も君で自分を過小評価し過ぎな気もするけど……ま、其処まで嫌がるのなら私も言葉には気を付けよう。それで、どうかな?出来るのなら今からにでも街へ贈り物を探しに行きたいのだけど」

 

 

零「……チッ、仕方ない……おい、お前等も一緒に来て手伝ってく―――オオオオオオイッ?!!何もう変身一歩手間みたいな状態になっとるんだお前等ァああああああああッッッ?!!」

 

 

リアの要望に渋々と了承し椅子に掛けたジャケットを掴みながら姫達の方に振り向けば、其処にはリアと話し込んでいる隙にいつの間にか姫の頭上にピーチアームズが待機状態で浮遊して変身する直前みたいな光景が広がっており、姫が暴れる度に連動して荒ぶるピーチアームズを見て、街に向かうよりも先にアイツの怒りを鎮めねばと、零も慌てて姫の鎮圧に乱入していくのであった。

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

―???―

 

 

―バキィイイッ!!―

 

 

「ごはぁああッ!!?」

 

 

その頃、とある世界の何処かにある謎の研究所の一室。暗がりの中で薄気味悪い光を放つ無数の生体ポットが並び、研究書らしき無数の白い紙が机や床に散乱されたその部屋では今、白衣を着た一人の男が何者かに殴られて床を転がる光景があった。そして、鼻血が垂れる鼻を抑えて蹲る男の下に、彼を殴った人物……"財団"の幹部であるカンパネルラが歩み寄り、膝を折って何処か不機嫌そうに男に語り掛けた。

 

 

カンパネルラ「困るんだよなぁ、博士。勝手にあんな大規模な実験を僕達の許可なくされちゃったらさぁ……しかも見事に失敗してくれちゃってるし、仮にこれで僕たち財団の仕業だと公にバレでもしたら、どう責任取ってくれるのさ?ねえ?」

 

 

「ぐっ……ッ……も、申し訳っ、ありませんっ……カンパネルラ様っ……」

 

 

カンパネルラ「謝って済むなら、こうやって僕が足を運ぶ事はないでしょ。君への処分は追って伝えるから、それまで大人しくしてる事だね……下手な真似して、財団を敵に回すような事はしないように」

 

 

見下すような冷たい眼差しで男を見下ろしそう吐き捨てると、カンパネルラは徐ろに立ち上がってそのまま振り返る事なく部屋を後にし、男は蹲ったままそんなカンパネルラの背を見送ると、途端に勢いよく起き上がって机の上の研究書や器具を乱暴に払い除け、けたたましいガラス音が室内に響き渡った。

 

 

「クッソッ……クソォッ!!クソォッ!!クソォオオオオオオオッ!!!何が財団だッ!!どいつこいつも俺の研究が分からない馬鹿ばかりの分際でぇッ!!!」

 

 

ダンッ!!と、収まらない苛立ちを叩き付けるように机に拳を落としながら頭を掻き毟り、財団への止まらない悪態を吐きまくる男だが、そんな事をしてる合間にも脳裏を過るのは、先程カンパネルラからも伝えられた財団からの処分の件に対する恐怖心だった。

 

 

「ッ……いやまだだ……まだ時間は残ってるんだっ……!そうさっ、俺の研究の結果さえ見せ付けりゃっ、財団の馬鹿共を黙らせてやれるっ……!」

 

 

処分を待つまでの間に結果さえ出せれば、まだ挽回の余地はあるハズ。そう考えながら男はノートパソコンを取り出して電源を入れると、血走った瞳で画面を睨み付けながらキーボードを素早く打ち込んでいく。

 

 

「人類全てを神にも等しき存在……高次元生命体に進化させる実験っ……!その成功まであと少しなんだっ……!そのデータは今までの実験のモルモット達が裏付けているっ……!あともう一歩っ……せめて、高次元生命体と同等の存在のサンプルなどさえあればっ……!」

 

 

研究の完成を急ぎながらも、その完成の一歩手前で手詰まりになり、焦燥に駆られてそんな有りもしない物を思わずねだってしまう男だが……

 

 

「……っ……?待てよ……高次元生命体と……同等の存在……?」

 

 

そのワードが男の中の何かに引っ掛かったのか、そう呟きながら口元を片手で何か思案した後、突然思い出したようにパソコンのキーボードを忙しなく操作して何かのファイルを開き、その中から一枚の画像データを表示し、口元を歪めた。

 

 

「そう、か……ははっ、はははははははっ……!いるじゃないか……ちょうどいい奴等が……!こんな連中に持たせているより、私の方が有効に扱えるサンプルが……!」

 

 

クツクツと薄気味悪い笑みを張り付けて、男が見つめるのは、何処かの崩壊したビルの屋上を夜の上空から撮影した一枚の写真……その中心に立つ、テフィラーを手にしたリアと、そんな彼女に首を掴まれて持ち上げられる、全身血塗れの零の姿だった。

 

 

 

 

 

 

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