仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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番外編/幾ら努力しようが絶対に無駄に終わる努力もある。ようするに無駄な努りょ(ry③

 

―モール街―

 

 

『ATTACKRIDE:ACCEL SHOOTER!』

 

 

トランス『シュウゥーーーーーットォッ!!』

 

 

―バシュッバシュッバシュッバシュッバシュッ!!!―

 

 

『ギャッ?!』

 

 

『グギャアアッ!!』

 

 

一方その頃、昼食の為に先にファミレスで零とリアを待っていたなのは達も街で突如起きたパンデミックの大量発生の対処に追われていた。

 

 

なのは、優矢、姫、魚見はそれぞれライダーに変身してパンデミック達を撃退しながら襲われる民間人を救出し、助け出した人々をはやて、スバル、ティアナが避難させていたが、四人がどれだけ倒してもパンデミックは未だその数を増やしていき、前線を天神と聖桜に任せ、後方でトランスと共にペガサスフォームとなってパンデミックが裂け目から現れる瞬間を狙い撃ち続けていたクウガもそのあまりの数に渋い顔を浮かべていた。

 

 

クウガP『クソッ……!撃っても撃っても全然数が減らないっ!どうなってんだコイツ等っ?!』

 

 

天神『ッ……!この明らかに不自然な敵の出現……恐らく、コイツ等の発生は自然のものではなく人為的なものだっ……!だとすればきっと、何処かにコイツ等を呼び寄せてる奴がいるハズだがっ……!』

 

 

倒しても倒しても、その度に更に数を増して増え続けるパンデミックの出現にたまらずボヤくクウガにそう言いながら、天神も桜雪を横一閃に振るってパンデミック達を纏めて斬り裂いて撃破するも、やはり四人がパンデミックを倒したと同時にまた裂け目から新たな大群が湧き出てしまい、その光景を前にトランスも仮面の下で苦虫を噛み潰したような顔を浮かべてしまう。

 

 

トランス『でもっ、その首謀者を探し出そうにもこれじゃキリがないっ!街の守りも固めないといけないしっ……!』

 

 

聖桜『ッ……せめてこちらも戦力を増強出来ればっ……』

 

 

この騒動を引き起こしてると思われる張本人を探し出そうにも、今此処にある戦力だけでは分断して犯人の探索と街の防衛を同時に行うのは不可能だ。圧倒的に人手が足らない。そんな四人の募る焦燥感を嘲笑うかのように徐々に数を増して押し寄せてくるパンデミックの大群を前にトランス達の額を冷や汗が伝う中、民間人の避難活動を行っていたスバルが優矢から渡されていた携帯を手に、トランスに向けて叫んだ。

 

 

スバル「なのはさんっ!アズサ達と連絡が取れましたっ!皆もこの騒ぎを聞き付けて、今こっちに向かってる最中だそうですっ!」

 

 

トランス『ッ!アズサちゃん達が……?!』

 

 

天神『よし、それなら何とかなりそうだっ。後は彼女達が駆け付けるまで持ち堪えて、チームを二つに別ければ……!』

 

 

聖桜『寧ろ、彼女達にはそのまま首謀者の捜索に向かってもらうのも手だと思います。そうすれば、私達もこの場での救助活動に専念する事が出来ますし』

 

 

スバルからアズサ達がもうすぐ駆け付けるという知らせを聞かされた安堵感からか、トランス達の声音にも幾分か余裕が戻り、このままアズサ達と合流するか、それとも彼女達を別働隊として動かすかを戦いながら話し合える程に落ち着きを取り戻した。が、その時、スバルの持つ優矢の携帯から不意にメールの着信音が響き渡り、スバルは突然のその着信音に「わっ?!」と驚きながらも携帯を操作してメールを開くと、其処に書かれていた内容に目を剥いて驚愕した。

 

 

スバル「えっ、ちょっ……な、なのはさんっ!大変ですっ!零さんがっ……!」

 

 

トランス『ッ?!えっ?!』

 

 

クウガP『大変って……まさか、零の奴に何かあったのかっ?!』

 

 

スバル「いや、えと、あったっていうかっ……今ちょうどリアさんからメールが届いたんですけど、一緒だった零さんがこの騒動の犯人らしき人物が寄越したと思われる使者を一人で追い掛けてしまった、って内容が来てっ……!」

 

 

天神『はあっ?!』

 

 

聖桜『また彼はっ……あれだけもう無茶はするなと言い付けたばかりなのに……!それで、リアの方は……?!』

 

 

スバル「え、えぇっと……何ていうか……リアさんの方は、一人で怪人を相手に余裕ありあり過ぎっていうかっ……」

 

 

と、何故か歯切れの悪い口調でそう言いながらスバルがトランス達に見せた携帯の画面に映るのは、メールに添付された一枚の画像……無数のパンデミック達の死骸が転がる死屍累々の光景を背に、一体何処で覚えたのか、キラッ☆とアイドルのようなポーズを取るリアの自撮り画像であり、その緊迫した今の状況に似つかわしくない画像を目にしたトランス達は思わず肩の力が抜けて唖然としてしまった。

 

 

クウガP『あ、あの人はっ……何ていうか、一人だけ何かテンション可笑しくないかっ……?』

 

 

天神『ええいっ、どうせ絢香達の所で休養している内に幻魔の力も十分取り戻したんだろっ……!アイツの事はほっとけっ!それよりも今は零の方だっ!わざわざ彼だけを誘い込むような真似をする辺り、恐らく敵の目的はっ……!』

 

 

聖桜『……彼の命か、もしくは以前にも見せた破壊者としての彼の力が狙いか、そのどちらかかもしれませんね……。何れにせよ、このまま零を一人だけ敵の元に向かわせるのは危険ですが、まだ此処を離れる訳にはっ……』

 

 

トランス『…………』

 

 

この事件の犯人の真の目論見は直接問い質さない限り分からないが、少なくとも零に関する何かしらが狙いなのは関係しているに違いない。零が誘い込まれた先に罠の可能性も十分にある以上、万が一に備えて零の援護にも向かいたいが、救援がまだ到着してない今の状況で戦力を割る訳にはいかない。迫り来るパンデミックの群れを撃破しながらもどうするべきかと一同が悩む中、トランスはライドブッカーの引き金を引きながら顔を伏せて何か思考に浸った後……

 

 

トランス『――姫さん、魚見さん!二人は零君を追い掛けて下さい!此処は、私と優矢君で引き受けます!』

 

 

聖桜『ッ!えっ……?』

 

 

クウガP『な、なのはさん?』

 

 

天神『し、しかし、君達だけでこの数の進行を食い止めるのは……!』

 

 

トランス『大丈夫……!二人だけでもアズサちゃん達が駆け付けるまでの間くらいならどうにか持ち堪えられますから、二人は零君の手助けをしてあげて下さい!姫さん達の力があればどんな罠があってもきっと零君を救い出せるし、状況次第じゃアマテラスやツクヨミになれるには姫さん達が必要になる筈です!だから……!』

 

 

クウガP『……ですね。いざって時には、避難所までのルートへ街の人達を誘導しに行ってるはやてさん達に付いたゴウラムもいます!此処は俺等に任せて、二人は零を頼みます!』

 

 

天神『ッ……分かった、すまない二人共……!魚見っ!』

 

 

聖桜『えぇ……!』

 

 

『Sumon!Press!』

 

 

トランスとクウガの厚意に後押しされ、聖桜は指輪を付け替えた右手をバックルに翳して電子音を慣らしながら、自身の左方に出現させた魔法陣から写真館に置いてきた馬鬼を召喚し、天神も懐から取り出した梅の花をモチーフにしたかのようなロックシードを解錠して道路に放り投げ、巨大化しながら徐々に変形してバイクとなったロックシードのマシン……ウメノハナタイフーンへとそれぞれ乗り込み、トランスとクウガにこの場を任せ、二人は契約で繋がっている零の気配を頼りに馬鬼とマシンを走らせ街中を疾走してゆくのだった。

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

 

 

 

 

―市街地・中央区―

 

 

――そして、トランス達の現在地から更に街の中央に位置する区域。零達が先程まで買い物をしていたセンター街よりも更に高い高層ビルがズラリと立ち並んだその町並みも、やはりパンデミック達の襲来によって破壊し尽くされてしまい、人の姿もなく、壊されたビルの瓦礫やガラス片が散乱する街の至る所からも黒煙が立ち上る大惨事と化していた。だが、そんな地獄のような惨状と化した中で……

 

 

「―――ァあ……遅い……まだか……まだなのか……まだ来ないのか……?」

 

 

市内のとある広場。辺りに街の人々がパンデミック達から逃げる際に落としていった物が転がり、いつ何処からパンデミックが現れるかも分からない状況の中で、一人の男が貧乏揺すりをしながらベンチに腰掛けて何かを待つ姿があった。

 

 

外見は恐らく二十代後半。セットすらされておらずボサボサに乱れた金髪に無精髭とだらしない顔だが、一見高級そうな黒のスーツを装い、まだかまだかと、何かを待ちわびて苛立ちを露わにしている様子だが、その時、ハッと何かに弾かれるように顔を上げ、口元を歪に歪めた。

 

 

「あァ……やっと来てくれたか……」

 

 

―ガシャアァンッ!!―

 

 

何処か声に歓喜を含んで男がそう呟いた瞬間、けたたましい金属音と共に広場の通りの方から何かが男の前へと吹き飛ばされ、自分の足元に倒れ込んだソレを男の目が捉える。その正体は、全身から火花を撒き散らしながら白い煙を立ち上らせる機能停止したスクラップ同然の機械……零が追い掛けていた謎の白いアンドロイドであり、男がそんな白いアンドロイドから興味を失ったように目を逸らして目前に視線を移すと、其処にはドラゴンロッドで突きを放った態勢のまま男を見据えて佇む青いライダー……Dクウガの姿があった。

 

 

「クッ、フフフフッ……漸く来てくれたかい……待っていたよ破壊者。随分遅かったじゃないか?あまりに遅いから、送った案内役が拙すぎて此処までの道すがらが分からなかったんじゃないかと不安を覚えてたところだったよ」

 

 

DクウガD『…………』

 

 

喜びを露にベンチから立ち上がり、両腕を広げて狂喜的な笑みを深める男に対し、Dクウガは仮面の下で目付きを鋭く細めながらドラゴンロッドを握る腕を下ろして男の姿を観察するように見つめつつ、周囲に他に人影や罠がないか警戒して気を引き締めるが、そんなDクウガの警戒に気付いた男はニヤニヤとした笑みを隠そうともせず首を横に振った。

 

 

「心配せずとも、此処にいるのは私だけだよ。つまりこの騒動は私一人が起こした単独正犯という事だ……。別に仲間なんていないから、騙し討ちの心配する必要なんてないよ?」

 

 

DクウガD『……そうかよ。だったら早い話、此処でお前を叩き伏せればこの騒動も収まるって事になるが……そもそもお前、何者だ?何が目的でこんな真似をした?』

 

 

出来るだけ冷静な口調で、男から情報を引き出す為に静かにそう問い掛けると、男はスーツの裾を整え直しながらDクウガに向けて口を開く。

 

 

 

「私の名はリーガン・マシュベルト。見ての通りただのしがない研究者の一人で、特にこれといった経歴はないのだが……そうだね……『財団』の関係者、とでも言えば、君には私が何者かなんて説明はこれ以上必要ないんじゃないかなぁ?」

 

 

DクウガD『……財団……』

 

 

財団―――それは智大の宿敵であるシャドウが率る組織の名であり、嘗て戦国世界でも武者ディケイドを始めとした武者ライダー達の消滅の原因を作った、自分にとっても仇敵である組織の名だ。その関係者であると名乗る金髪の男……"リーガン・マシュベルト"の口から聞かされた時点で、Dクウガの身に纏う空気が一気に張り詰めて戦闘態勢に入るが、リーガンはそんなDクウガの雰囲気の変化を察して右手で制止した。

 

 

リーガン「待ってくれよ、別に私は君と戦いに来た訳じゃない。……こうして君を招いたのは、君とある取り引きがしたいからなんだ」

 

 

DクウガD『……取り引きだと……?』

 

 

どういう意味だ?、とリーガンの突然の言葉にDクウガが眉間に皺を寄せて訝しげな反応を返すと、リーガンは自分の話に興味を示すDクウガに僅かに気を良くしながら足元に転がるアンドロイドを跨いで歩き出し、両手を広げたまま話の続きを語り出した。

 

 

リーガン「実はね、私は今ある研究を進めている最中なんだよ。全ての人間を、神にも等しき高次元の存在へと進化させ、誰もが時や次元……いいや、神の領域をすら超えた新たな種、『高次元生命体』を確立させる為の研究を……!」

 

 

DクウガD『……高次元生命体?』

 

 

聞き慣れない単語に思わず険しげにそう聞き返すと、リーガンは人差し指を立ててその説明を口にする。

 

 

リーガン「言ってしまえば、神話に出てくるような神の神秘とも言える力の数々を人の身で宿した人種の事さ。つまりこの研究が実現すれば、人は人のままにそんな神にも等しき力を手に入れ、いずれは森羅万象総てを支配する存在になれるかもしれない!つい先日にも、それに最も近いとも言える被験体を幾つも生み出せたんだよ!……ま、最終的には力に耐え切れず自壊してしまったのだけど」

 

 

DクウガD『…………』

 

 

自身の研究……人間を神にも等しき存在と称す『高次元生命体』へと至らせるのだという内容を話していく内に、徐々に話に熱が篭もりテンションが高まって踊り狂うリーガン。だがそんなリーガンとは対象に、Dクウガは無言のままリーガンの背に冷ややかな眼差しを向けるも、リーガンはそんな事にも気付かずDクウガの方に振り返り、先程よりも更に狂気の増した瞳を向けて高らかに語り続ける。

 

 

リーガン「私はね、いずれ人類全てを死の概念からも逸脱した新人類へ導きたいと思ってるんだ!私はその革新者となりたい!……でも、その研究の最中に一つの壁に打ち当たってしまってねぇ。どうしても高次元生命体と同等の存在、或いは力のサンプルが必要になってしまったんだ。其処で―――」

 

 

DクウガD『―――其処で、俺の中のコイツに目を付けた……という事か』

 

 

リーガンの言葉を最後まで聞く事なく遮り、Dクウガは自身の左側の複眼……破壊の因子が埋め込めれた左目に触れ、リーガンはそんなDクウガの言葉を肯定するようにニヤッと更に笑みを深めた。

 

 

リーガン「私の求める取り引きとはソレさ。君には、私の実験に協力して欲しいんだよ。破壊の因子という神へと至る力を持つ君の協力を得られれば、私の研究はより確実性を増すに違いない!人が神に成り代われる事も可能になるという私の論理を証明出来るんだ!だから―――」

 

 

DクウガD『―――だから、その為だけに此処までの騒ぎを起こしたっていうのか、お前は……?』

 

 

リーガン「?……ああ、私が用があるのは君だったからねぇ。邪魔が入って横槍を入れられるのも癪だし、これだけの大惨事となれば君の仲間達もこの騒ぎの対処に追われる事になるだろう?そうして結果は狙い通り、君だけをこうして招く事が出来て万々歳だったよ。ハハッ!」

 

 

DクウガD『……あぁ、そうかい……もういい、大体分かった』

 

 

何の悪びれもなく、パンデミックを街に放って人々を危険に晒した事に一切の罪悪感もなく笑うリーガンの態度から更に不信感を強め、Dクウガは小さくそう呟きながら左腰に収めたライドブッカーをガンモードに切り替え、リーガンに銃口を突き付けた。

 

 

リーガン「…………。どういうつもりかな、それは?」

 

 

DクウガD『どうもこうも、見ての通りだ。話とやらは聞くだけ聞いただけで興味も無ければ、俺のやる事も何一つ変わらん……俺がお前の研究になぞ手を貸す義理もないし、財団に関わりのある人間以前に、そんなくだらん理由で関係ない人間を多く巻き込んだ時点で、お前は俺の敵以外の何者でもない』

 

 

リーガン「……正気かな……分かってるのかい黒月君?私の研究が実現すれば、君のその因子をより安全に、安定して制御する事が出来るようになるかもしれないんだよ?そんなチャンスを棒に振るっていうのかい?」

 

 

DクウガD『余計なお世話だ。例えそれが可能だったとしても、誰がお前みたいな胡散臭い奴に頼るものか……お前の戯言にこれ以上付き合う気はない。とっとと街で暴れているパンデミック共々この世界から失せろ。それでも食い下がるつもりなら、此処で容赦なく叩き潰すだけだ』

 

 

リーガン「…………」

 

 

交渉は決裂。その上、ハッキリと敵対宣言をDクウガの口から告げられたリーガンはその顔から表情が消え去り、頭をガシガシと乱雑に片手で掻き毟りながら、

 

 

リーガン「やれやれ……全く、イヤになるなぁ、ホントに

 

 

 

 

―――どいつもこいつも、俺の研究が分からない馬鹿ばっかりでさぁ……」

 

 

DクウガD『!コイツ……?』

 

 

チッ……という舌を打つ音と共に、突然リーガンの口調が先程と打って変わって口汚いモノへと変わり、据わった目付きでDクウガを睨み付けて来たのだ。Dクウガもリーガンのその雰囲気の変化を感じ取って警戒心を強める中、リーガンは懐からジューサーの造形に似た一つの赤いバックル……嘗て、早瀬智大が七条鉄斗に送ったモノと同じ"ブラッドドライバー"を取り出し、腹部に当てて腰に巻き付けた。

 

 

DクウガD『ッ?!そのベルトはっ……?!』

 

 

リーガン「見覚えあるだろぉ?財団に関わっていれば、お前達のデータなんて幾らでも手に入るからなぁ……それを元に、ベルトを再現して創り上げるぐらい簡単に出来るんだよ……何せ俺、天才だからさぁ」

 

 

DクウガD『なっ……』

 

 

それはつまり、智大の発明品であるベルトをデータを見ただけで一から作り上げたと言うのか。せせら笑うリーガンの言葉にDクウガが驚愕を浮かべるのを他所に、リーガンは更にズボンのポケットからエナジーロックシードに酷似した錠前……無数の首を生やした異形の絵柄のエナジーロックキーを取り出し、解錠した。

 

 

―プシュウッ!―

 

 

『HYDRA ENERGY…!』

 

 

―ギュイィィィィィィィーーーーーーーイィンッ!―

 

 

『グルァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーアアァァッッッッ!!!!!』

 

 

リーガンが錠前を解錠した電子音と共に、リーガンの頭上に出現したファスナーが巨大な丸を描いて裂け目を開いたと同時に、裂け目の奥から武装された巨大な九の首を持つ蛇の異形……ギリシャ神話にて英雄ヘラクレスと相対した怪物であるヒュドラが降臨し、リーガンは更にエナジーロックキーをブラッドドライバーのバックルに装填して固定し、バックル右側のハンドルを握り押し込んだ。

 

 

―ゴポポポポポポポポポッ……!ー

 

 

『BLOOD…!』

 

『HYDRA ENERGY ARMS!』

 

 

ジューサーの容量でエナジーロックキーから血のようなエネルギーがバックル下のコップに絞り出され鳴り響いた電子音声と共に、上空のヒュドラが徐々にアームズへと変形してリーガンの頭に被さり、直後、リーガンの全身を白いライダースーツが覆いながら、アームズが徐々に花開いて変身したリーガンの身体に身に纏われたのだった。

 

 

仮面ライダーデュークとマルスの仮面を足し合わせて二で割ったような薄緑色の仮面に、毒々しい紫色の瞳。白いライダースーツの上に身に纏われた薄緑色の鎧の背中からは、まるで尻尾のように伸びた九つの蛇の頭を持ち、その右手には黒い弓矢を手にした姿……『仮面ライダーテュフォン・ヒュドラエナジーアームズ』に変身したリーガンに、Dクウガは未だ我が目を疑いつつも、思わず舌打ちして毒づいた。

 

 

DクウガD『クソッタレめっ……他所の発明を無許可でパクって使うとは、随分といい趣味してるじゃないかっ……』

 

 

テュフォン『ハッ、どうせ使い捨てのガラクタなんだ。そもそもお前みたいなクソガキから力づくで因子を奪うのに、一から何かを考えて造るなんて面倒極まりないだろ?だったらこの方が手っ取り早いってもんさ……。少なくとも、お前程度にはこの程度の品で十分に通用するだろうしなァ』

 

 

DクウガD『……そうかよ、だったらこっちも加減は無しだ……。此処で取り逃がしてそのベルトがダメだったから、なんて理由であのクソステッキと似たようなものを作られても厄介だからな……お前は此処で仕留めるッ!』

 

 

―ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガァアアッ!!!!―

 

 

自分の中の動揺を振り払うようにそんな軽口を口にすると共に、Dクウガは先制を取るようにライドブッカーで銃撃しながらドラゴンフォームの素早さを活かしてテュフォンに目掛けて突っ込み、肉薄した瞬間に何時でも突きを放てるようにドラゴンロッドを腰の後ろに引いて構える。しかし、テュフォンはDクウガの放つ銃弾を全て右手の黒い弓で受け止めてガードしつつ、弓を横薙ぎに振るって巨大な斬撃破を放ち、それを目にしたDクウガは強化された跳躍力で斬撃破を飛び越えるようにかわし、そのままテュフォンの頭上を超えて背中に回り込もうとするが……

 

 

―……ブォオオオッ!!!―

 

 

『シャアァアアアアアアッ!!!』

 

 

DクウガD『――ッ?!何っ?!―ブシャアァアアアアアアッ!!―ぐぅうううううッ?!!』

 

 

Dクウガがテュフォンの頭上を飛び越えようとした瞬間、テュフォンの背中から伸びた九頭の蛇の頭の内の一つが不意に動き出し、突然首を勢いよく伸ばして空中のDクウガに噛み付こうと襲い掛かったのである。それを目にしたDクウガも驚きを露わにしながらも、咄嗟に宙で身を捻って蛇の頭の襲撃を回避しようとするが、蛇の牙がDクウガの右腕をすれ違いざまに切り裂いて完全に避け切る事は叶わず、赤い血しぶきを腕から撒き散らしながらテュフォンの後方へと叩き付けられてゴロゴロと地面を転がり、ディケイドへと戻りながら倒れ込んで苦悶げに血が流れる右腕を抑えた。

 

 

ディケイド『ァッ……!ぐぅッ、っ……その、アームズっ……まさかっ……!』

 

 

テュフォン『ハッ、今になって気付いたのか?そう、コイツは彼の英雄、ヘラクレスを苦しめたと云われる怪物……ヒュドラの力を宿したアームズでね。コイツの猛毒はヘラクレスの人間としての生を奪っただけでなく、不死であるケイローンがその猛毒の苦痛に耐え切れず、己の不死を返上したとも伝えられているんだよ』

 

 

『シャアァアアアアアッ……!』

 

 

そう言ってテュフォンがギリシャ神話に伝わるヒュドラの逸話を語る中、ディケイドを襲った蛇の頭……ヒュドラが威嚇するように牙を剥いて大きく口を開きながら唸ると、牙から毒々しい色の毒が垂れて地面に滴り落ち、直後、何かが溶けるような嫌な音と共に地面から白い煙が立ち上り、毒を浴びたコンクリートの地面が溶解してしまう。

 

 

テュフォン『ヒュドラの毒は強力でねぇ、少し牙に触れただけでも十分に相手を殺せる効果があるんだよ……特に、ヒュドラの牙で傷を受けた者には尚更なぁ?』

 

 

ディケイド『……ッ……』

 

 

意地汚い笑みを向けて来るテュフォンに仮面の下で険しげな表情を浮かべながら、ディケイドはヒュドラの牙で切り裂かれた右腕……既に毒の影響で赤黒く変色してしまっている傷口を見つめた。

 

 

テュフォン『ハッハハハハハハハッ、中々面白い趣向になって来たじゃないかァ!毒が全身を回るまでせいぜい三十分……さっきは俺を倒すだなんてクソ生意気な戯言をほざいてたが、ヒュドラの毒に侵されてるその身体で何処までそれが出来るかなァー?早く俺を倒して毒も何とかしないと、お前が死んだと共に破壊の因子でこの世界はドーンッ!!、お仲間もろとも心中ってこった。クククククッ……』

 

 

ディケイド『ッ……誰が……ハァッ……生憎この程度の毒でどうにかなる程っ、こっちは軟な身体してないんだよッ……!!』

 

 

『ATTACKRIDE:BLAST!』

 

 

毒のせいか、朦朧とする意識を必死に保ちながらテュフォンに啖呵を切ってバックルにカードをセットし、テュフォンに向けてライドブッカーから無数の銃弾を乱射していくディケイド。だが、テュフォンはそれに対して特に慌てる素振りもなくブラッドドライバーのハンドルを掴んで押し込んだ。

 

 

『HYDRA ENERGY STRIKE!』

 

 

テュフォン『粋がんなよ雑魚……実の親からも見捨てられた"落ちこぼれ"が』

 

 

『『『『グルァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーアアアァァァッッッッ!!!!!』』』』

 

 

―バシュウゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーウウウゥゥゥゥッッッ!!!!!!―

 

 

ディケイド『ッ?!グッ……うぐぁあああああああああああああああああああああああッッッッ!!!!!』

 

 

―ドッガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーアアアァァァンッッッッ!!!!!!!!―

 

 

ドライバーからの電子音声と共に、テュフォンの背中から伸びたヒュドラの首の内の四つが頭を起こし、口から凄まじい威力の火炎放射を放ってディケイドが放った銃弾を飲み込み、そのままディケイドへと襲い掛かって大爆発の中に呑み込んでしまったのだった―――。

 

 

 

 

 

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