仮面ライダーディケイド&リリカルなのは 九つの世界を歩む破壊神 Re:EDIT   作:風人Ⅱ

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番外編/幾ら努力しようが絶対に無駄に終わる努力もある。ようするに無駄な努りょ(ry⑦

 

―中央区・旧モール街―

 

 

―ギギギギギギギギギギギギギギギギィイッ……!!!―

 

 

天神SA『ぐ、ァッ、ぅっ……!!こん、のぉぉオオオオッ……!!』

 

 

一方場所は戻り、旧モール街でスイカアームズを身に纏い果敢にもテュフォンに挑んでいた天神だが、激闘の最中、一瞬の隙を突かれてテュフォンが操るヒュドラの首に雁字搦めにされ、一切の身動きが取れずにいた。

 

 

鎧の軋む音と共に徐々に力が強まるヒュドラの巻き付きに内心焦りを募らせるも、天神は諦めず必死に足掻いてヒュドラの拘束から逃れようと試みるが、テュフォンはそんな天神の姿を見て嘲笑の笑い声を上げる。

 

 

テュフォン『無駄だよ無駄ァ!どんだけ巨体に姿を変えようが、所詮雑魚は雑魚のままなんだよぉッ!』

 

 

天神SA『ッ……!!舐めるな、よっ……!!この程度の逆境などっ、こっちは何度も潜り抜けて来ているんだっ!!』

 

 

『Oodama Mode!』

 

 

―バシュウウゥンッ!!!―

 

 

テュフォン『ヌッ?!』

 

 

嘲笑うテュフォンにそう言いながらドライバーから電子音を鳴らし、天神は瞬時にスイカアームズを変形させて大玉形態となりながらヒュドラの拘束から逃れ、そのまま高速回転しながらテュフォンを押し潰そうと襲い掛かる。

 

 

しかし、テュフォンもそれに対し黒い弓でスイカアームズを受け止めながら徐々に後退しつつ辛うじて踏ん張ると、背後に戻したヒュドラ達の口から一斉に火炎放射を放ってスイカアームズを遥か後方にまで吹っ飛ばしてしまい、天神も通常形態に戻りながら地面を転がって倒れ込んでしまう。

 

 

天神『グウゥッ!!クッ……ソッ……!!』

 

 

聖桜『ッ……咲夜っ……!』

 

 

テュフォン『ヒッハハハハハハハハハッ!!弱ぇ弱ぇえッ!!所詮神と言ってもゴミはゴミってこったなぁッ!!あーあー、破壊の因子のテストにちょうどいい実験台になるかと思ったけど、期待外れだったわ、クズがっ』

 

 

 

ぺッ!と、まるでゴミでも見るような目で天神と聖桜を見回しそう吐き捨てると、テュフォンは黒い弓を引いて天神に狙いを定め、左目を妖しく輝かせていく。

 

 

テュフォン『つーか、何かもう飽きたわ。後であの出来損ないも後を追わせてやっからさぁ……ゴミはゴミらしく、仲良くおっ死んどけやァああああッ!!!』

 

 

―バシュウゥウウウウウウウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ!!!!―

 

 

聖桜『ッ!咲夜ァああッ!!』

 

 

天神『ッ……!』

 

 

黒い弓から放たれた一本の矢が、何か"嫌な気配"を身に纏いながら天神に目掛けて猛スピードで迫り来る。

 

 

その気配に覚えがある。

 

 

それは今までの旅の中でも、零が難敵達を相手に酷使し続けてきた因子の力そのもの。

 

 

その本質は万象総てを破壊する悪魔の力。神すらもその力の前に成す術なく散る他ない一撃が今正に目前にまで迫り、聖桜の悲痛な声が響き渡る中、天神が次の瞬間に訪れるであろう破壊から目を逸らすかのように思わず顔を背けた、その時……

 

 

 

 

 

―……バシュウウゥッ!!!チュドォオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーオオオォンッ!!!!!―

 

 

テュフォン『……ハッ?』

 

 

聖桜『なっ……』

 

 

天神『ッ…………えっ?』

 

 

 

 

……天神の目前にまで迫っていた矢が、突如真横から放たれてきたエネルギー弾により射線を逸され、そのまま天神から遠く離れた彼方へと墜落して爆発を起こしたのである。

 

 

そんな思わぬ横槍にその場に揃う一同も何が起きたのか分からず呆気に取られてしまうが、先に正気を取り戻したテュフォンがエネルギー弾が放たれてきた方に振り返ると、其処には……

 

 

 

 

 

 

リア「──やれやれ……やっと出口を見付けて外に出られたと思いきや、まさかいきなり戦場とはねえ。全く、ちょっとは一息ぐらい吐かせてくれても良いだろうに」

 

 

 

 

 

 

穴の開いたマンホールの前に佇み、右腕の掌を突き出しながら溜め息混じりに首を振る、腰にベルトを巻いた一人の女性……零達と別れ、下水道から脱出したリアの姿があったのだった。

 

 

天神『お、お前……?!』

 

 

聖桜『リア!』

 

 

テュフォン『……ハッ、何だよ。誰かと思ったら役立たずの死に損ないじゃないか。今さら何しに来た?』

 

 

リア「相変わらず辛辣だなぁ……まあでも、役立たずと言われるのもあながち間違いでもないか。私も不本意だったとは言え、私のせいで零君を危険な目に遭わせてしまった上に、あんな怪我まで負わせてしまった訳だし」

 

 

天神『(ッ!怪我……?!)』

 

 

目を細めて自分のせいで招いてしまった事態を悔いるように語るリアの言葉を聞き、天神はテュフォンの左目に埋め込まれた破壊の因子、加えてあのヒュドラの毒の事も考慮して嫌な予感を覚え、慌てた口調でリアに向けて叫んだ。

 

 

天神『おいリアっ!零はっ、彼はどうしたんだっ?!奴に目を奪われたと言う事は、彼の容態も危険なんじゃっ……?!』

 

 

リア「ん?ああ、その事なら心配は入らないよ、桜ノ神。確かに先程まで彼の容態は危険な状態だったが、今は腕に信頼出来る医者が付いていて無事に一命を取り留めたからね。その蛇達の毒も無事に取り除けたし」

 

 

テュフォン『……何?』

 

 

聖桜『……腕に信頼出来る、医者……?』

 

 

どういう事だ?と、リアの説明に彼女以外のその場の一同が疑問を露わにしてしまうが、一方のリアはそんな彼らの反応も他所に手の中に握り締めたエンブレムをお手玉のように投げて弄びながらテュフォンの前に出ていき、落ちてきたエンブレムをキャッチしながらテュフォンをまっすぐと見据えて対峙していく。

 

 

リア『……後は、君に奪われた破壊の因子を取り返して彼の下に届けるだけで、万事全て収まるという事だ。まぁ、そんな訳だから覚悟してくれ?今の私にはもう、自分から命を差し出せない理由が出来てしまったからね。加減は出来ないんだ、悪いけど」

 

 

テュフォン『……ハッ、さっきから訳の分からない虚言をベラベラと。ヒュドラの毒を解いた?俺から因子を取り返す?ハッ、ハハハハハハハッ!!何だァ、神様辞めてから芸人にでもなったのかぁ?!馬鹿がァ!!俺様の作った毒を簡単に解ける筈もなし、破壊の因子の力を我が物にした俺にテメェなんぞが勝てる筈ねぇだろうがァッ!!』

 

 

何を惚けた事を吐かしているのかと、額を抑えてゲラゲラと下卑た笑い声を上げるテュフォン。しかし、それに対しリアは無言のままスッと目を細め……

 

 

リア「自惚れるのも大概にしておきなよ、三流……。人様の力を借りなければ何事も果たせない君如きの発明なんて、そもそも大した事ないんだ。いい加減、自分の無知無能さを自覚したらどうなんだい?」

 

 

テュフォン『……な、に……?』

 

 

そう言って、今までの彼女とは突然打って変わって侮蔑と冷徹さを兼ね備えた口調で語るリアの言葉に、テュフォンの表情から笑みが消え去り、ヒクッと顔を引き攣らせながらリアを睨み付けた。

 

 

テュフォン『テメェ……今、俺の発明をくだらないと言いやがったか?無知無能、三流だとっ』

 

 

リア「言ったとも。私も並大抵の事には基本的に寛容だが、君の数々の愚行は流石に目に余る。恥知らずにも盗作を利用し、今度は彼から奪った因子を利用し粋がって、それで完成するような君の研究なんてたかが知れてるだろうさ。……ああ、それとも本当は自覚しているのかな?成る程。ならばその下品極まる言動も自信のなさの裏返しと思えば、まぁ、それなりに可愛げがある思うよ?私は」

 

 

テュフォン『……フヒ、ヒヒヒ、ハハハハハハハッ!そうか、そーか!つまりアレだな!……テメェ、今すぐ此処で死にてぇってコトだよなぁ……?』

 

 

自身を指して嘲笑を含みながら煽り立てるリアの言葉で静かに憤慨し、テュフォンはゆっくりと黒い弓を引きながらリアの眉間に狙いを定め、矢に左目の因子の力を注いでいく。

 

 

テュフォン『どーせこの二人を潰した後、テメェとあのガキを殺しにいくつもりだったんだ……ちっとばっかし予定は早まったが、一足先に死んでけやァッ!!』

 

 

ーバシュウゥッ!!ー

 

 

天神『ッ!!まずいっ!!』

 

 

聖桜『リアッ!!』

 

 

テュフォンの手から一切の躊躇なく放たれた矢が、一直線にリア目掛けて襲い掛かった。蓄積されたダメージのせいでその光景を黙って見ている事しか出来ない天神と聖桜の悲痛な声が響き渡る中、因子の力を帯びた矢は一瞬の内にリアの眉間の目前にまで迫り、次の瞬間には鮮やかな鮮血が辺り一面に飛び散るであろうと想像してテュフォンが口端を吊り上げた、が……

 

 

 

 

 

リア「──無駄だよ」

 

 

ーパシ、ギュウゥンッ!!ー

 

 

テュフォン『ッ?!なんっ?!ードッガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ!!!!ーぐ、ぁあああああああああああああああああッ!!!?』

 

 

聖桜『な……』

 

 

天神『や、矢を受け止めて……投げ返した……?!』

 

 

 

そう、リアは矢が当たる寸前に首を逸らしてギリギリで矢を回避しただけでなく、顔の横をすり抜けようとした矢を右手の中指と人差し指の間に挟んでキャッチするという荒技を成し遂げ、そのまま軽く投げ返した矢をテュフォンの顔面目掛けて一発で直撃させてしまったのである。

 

 

そんな思わぬ反撃に遭い顔面から爆発を起こしたテュフォンは顔を抑えてのたうち回り、天神と聖桜も破壊の因子の力を帯びている筈の矢に生身で直接触れて投げ返すという荒技をやって退けたリアを見て驚愕し唖然となる中、リアは矢を掴んで投げ返した手を眺めながら退屈そうに溜め息を吐いた。

 

 

リア「やはり、か……因子を手に入れて力の行使は出来れど、所詮はその程度の力か」

 

 

テュフォン『グァアアアアアアアアッ!!?なっ、んっ、だとォォオオオッ!!?馬鹿を言うなァァアアアッ!!!破壊の因子の力をっ、あんなガキに負けたテメェ如きに跳ね返せる筈がァァアアアッ!!!』

 

 

リア「だったら今、君が無事である事をどう説明する?彼の持つ因子は万物を破壊する悪魔の力だ。その力を帯びた君自身の攻撃をまともに食らった君が、何故こうして私と話せているのか……其処まで分からないほど馬鹿ではないだろ、君も?」

 

 

テュフォン『なっ……』

 

 

拳銃のように人差し指を向けながら飄々と語るリアの言葉に、顔を抑えて衝撃を受けたように絶句するテュフォン。

 

 

因子の力は絶大且つ危険な力。その力は零の手にも余り、これまでの戦いで幾度となくその力のせいで数多の世界を危険に晒してきた。

 

 

因子を解放すれば触れただけで神と呼ばれる存在すらも滅ぼし、世界さえ破壊するその力。

 

 

なのに、そんな力を帯びた筈の自身が放った攻撃をこうも容易く跳ね返された上、こうしてソレを身体に受けたテュフォンには何の異常も起きていない。

 

 

そんな筈がない。破壊の因子が持つのは絶対の破壊の力だ。本当だったら自分は既に頭を吹き飛ばされ……いいや、それ以前に因子の力を帯びた矢に触れた時点で、リアとて無事では済まない筈なのだ。

 

 

つまり、それは……と、リアから指摘されて動揺を露わに自身の両手を見下ろすテュフォンに対し、リアは不敵な笑みを浮かべて冷徹にその答えを突き付ける。

 

 

リア「つまりは、だ……君にはその因子の力を扱える資格がないって事だよ。当然だろ?誰にでも扱える力なら、ナンバーズの機械人形だってわざわざ零君にその因子を返したりせず自分達で利用しようとする筈だ。なのにそれをしなかったのは、彼女達も彼と因子がワンセットなのだと知っていたから。生まれ持っていたが故に、彼はその因子の力を引き出せるんだ……分かるかな?ようするに君の研究とやらを完成させるのに因子の力を引き出す必要があるのなら、零君の存在はどうあっても必要不可欠なんだよ。なのにそんな事すらも分からず、君は彼を殺そうとした……愚かにもねぇ?」

 

 

テュフォン『なっ……ぐっ、ぅっ……!』

 

 

リア「因みにだが、君の攻撃が因子の力を帯びているように感じるのはただの見せ掛け……ようするにハリボテだね。そう見えるってだけで中身はスカスカな状態だ。あぁ、正に今の君みたいでお似合いじゃないか?プライドばかり高くて中身なんて何一つない。成果は全て他人頼り。君の手で生み出せた物なんて一つもない。そんなんで研究者を名乗るなんてね。これならまだギルデンスタンの方がマシなレベルだ……これ以上笑わせてくれるなよ、三下君?」

 

 

テュフォン『ああああああああああああああああああああああああああああああっっっ!!!!黙れぇええええええええええええええええええええええええっっっ!!!!』

 

 

―バシュウゥッ!!バシュウゥッ!!バシュウゥッ!!―

 

 

徹底的に侮蔑を込めて嘲笑を浮かべるリアの声を掻き消すかのように、遂に怒りの臨界点を超えたテュフォンが狂い乱れながらリアに目掛けて因子の力を宿した矢を乱射していく。

 

 

だがそれはリアが言うように見掛けだけのハリボテに過ぎず、リアは迫り来る矢の数々を片手だけで叩き、首だけでかわし、顔色一つ変えずに余裕そうに笑ってみせ、それを見たテュフォンは更に憤慨し頭を掻き毟った。

 

 

テュフォン『ちっくしょうっ……チクショウっ、チクショウチクショウチクショウチクショウチクショウチクショウがァァああああああああああああああああっっっ!!!!どいつもこいつも俺を馬鹿にしやがってェェえええっっっ!!!!テメェらなんぞにっ、テメェらなんぞが俺の才能を測ってんじゃねェェええええええええええええええええええええええええええええええええええええっっっ!!!!』

 

 

―バシュウゥッバシュウゥッバシュウゥッバシュウゥッ!!!!ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!!!!―

 

 

聖桜『ウアァッ?!』

 

 

天神『グウッ!おいリアっ!これ以上そいつを刺激するんじゃないっ!ただでさえ現状でも手が付けられないのに、余計に暴れさせてどうするっ?!』

 

 

リア「おおっと、流石に調子に乗って喋り過ぎたかな……ま、そう案ずる事はないよ。後の事は、私が片付けるからね」

 

 

天神『っ……?何っ?』

 

 

怒りのままにヒュドラ達と矢を無差別に放って街を破壊し尽くすテュフォンの攻撃を身軽に避けながら天神にそう告げると、リアは手の中に握り締めたエンブレムの感触を確かめつつ、腰に巻いたガルウイング型のパトカーがモチーフとなっているベルト……ジャッジドライバーのバックルのサイレン部を開いた。

 

 

『Judge!Ready……』

 

 

天神『!あのベルトは……?』

 

 

聖桜『確か、今朝に写真館に送られてきた……?』

 

 

ジャッジドライバーから静かに鳴り響いた電子音を聞き、其処で漸くリアの腰に巻かれているジャッジドライバーの存在に気付く天神と聖桜。

 

 

そしてそんな二人の視線を浴びながら、リアが右手に持つエンブレムの裏側のスイッチを押した瞬間、エンブレムから1の数字が出現して炎を模したエンブレムへと変化し、バックルの中へ落とすように装填しながらバックル部分を戻すように押し込んだ。

 

 

『SOUL'd JUSTICE!Frame Up!』

 

 

エンブレムを装填した瞬間、ジャッジドライバーからサイレンのような待機音と共に激しいギターテイストのメロディーが流れ、リアはそのメロディーに乗るようにその場で華麗に一回転しながらテュフォンが放つ矢をかわし、バックルに備え付けられたレバーを掴み……

 

 

リア「──変身……」

 

 

―ガシャアンッ!―

 

 

『SOUL'd JUSTICE!』

 

『MATASETAZE!i am HERO!』

 

 

まっすぐとテュフォンを見据えながら静かに呟き、レバーを押し込んだと共にジャッジドライバーのバックルのパトカーがサイレンが発光し、炎のエンブレムがバックルから巨大化しながら現れてリアを包み込むように一体化していく。

 

 

そして全身を覆う赤い光が弾けるように消えると、光の中から現れたリアは全く別の姿の戦士に変化していた。

 

 

メインカラーは青、アクセルトライアルのような尖ったスマートな仮面の目は赤い単眼で、目と言うよりもバイザーに近い。

 

 

肩当てには炎をデフォルメした刑事のつけるバッジのようなエンブレムが右に、左にサイレン。胸のアーマーはパトカーのフロントをイメージさせる。

 

 

光が反射して淡い輝きを放つその姿こそ、文臣がリアの神権の封印と彼女の元々の身体能力を最大限に引き出す為に開発されたライダーであり、そんなリアを見て天神と聖桜、テュフォンも驚愕を露わに後退りした。

 

 

テュフォン『な、何だそりゃっ……!そんなベルトがあるなんて聞いてねぇぞっ?!』

 

 

聖桜『リアが、仮面ライダーに……!』

 

 

天神『あいつ……どうして……?!』

 

 

『──ふぅむ、中々の着心地だな。まぁ私に合わせて改造を施したとも言っていたし、当然と言えば当然か』

 

 

ライダーになったリアの姿に天神と聖桜、テュフォンの間でどよめきが広がる中、リアは変身した己の姿を見下ろしながら両手を閉じて開いたりを繰り返し調子を確かめると、顔を上げてテュフォンを見据え、人差し指を突き付ける。

 

 

『さて、此処からは私のターンと行こうか──さぁ、審判の時だ。己の罪を断罪される覚悟、決まったかな?』

 

 

テュフォン『……ッ……!ほざくなっ!堕ちた神風情がっ、どの口でっ!』

 

 

『『『シャアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアッ!!!』』』

 

 

戯るような口調でそう告げるリア……『仮面ライダージャッジ』の言葉に激昴し、背中のヒュドラ達を一斉にジャッジに目掛けて飛ばすテュフォン。

 

 

対するジャッジは迫り来るヒュドラ達に自ら突っ込むように駆け出すと、ヒュドラ達の突撃を次々と紙一重で退けながら素早くテュフォンの懐へと潜り込み、炎を灯した右拳を全力でテュフォンの腹部に叩き込んだ。

 

 

―ドグォオオオオオオッッッ!!!!―

 

 

テュフォン『ガァアアアアアッ?!ィッ、ッ……て、めぇええっ……!!』

 

 

ジャッジ『おいおい、そんな直線的な軌道でこの私を捉えられる筈がないだろ?こっちはまだまだエンジンが掛かってないんだ、もう少し手応えのあるヤツを頼むよ』

 

 

天神『ば、馬鹿!自分から挑発してどうするんだお前っ?!』

 

 

テュフォン『ざっけんなっ……!ならこれでどうだァああッッ!!!!』

 

 

わざとらしく挑発するようにクイクイッと手でジェスチャーしながら余裕のある笑みを浮かべるジャッジに天神が慌てて一喝するが、既に遅い。

 

 

ジャッジのその態度に苛立ちを露わにしたテュフォンは頭を激しく掻き毟りながら背中から再び飛ばしたヒュドラ達の動きに変化を付け、今度はジャッジを囲むように四方から襲い掛かったのだ。

 

 

回避は不能。上に飛ぼうが下に屈もうが追撃を免れられず、最早ヒュドラ達の牙の餌食になるしかないジャッジに蛇達が一斉に噛み付こうとした、その時……

 

 

 

 

 

ジャッジ『──来い、テフィラー』

 

 

―フッ……ブザァアアアアアアッッッ!!!!!―

 

 

『『『───!!!?』』』

 

 

天神&聖桜『『なっ……』』

 

 

テュフォン『ッ?!な、にィいいいいいっ!!!?』

 

 

 

 

 

ヒュドラ達がジャッジの全身に一斉に噛み付こうとした寸前、ジャッジが小声でそう呟いたと共に何処からか現れた黄金の剣を手に、目にも止まらぬ速さの抜刀を繰り出したのだ。

 

 

その瞬間、頭に切れ目が走ったヒュドラ達の頭部が次々と紫色の血飛沫を撒き散らして爆散していき、その光景を前にテュフォンも驚愕のあまり絶叫してしまう中、ジャッジはヒュドラ達の頭を一瞬の内に斬り伏せた黄金の剣……零達との戦いでも用いたテフィラーを軽く振るい、得意げにテュフォンを見据えた。

 

 

ジャッジ『全く、煽ればすぐに目の前しか見えなくなるのは君の悪癖だなぁ。この程度では、私に傷を付けるなど夢のまた夢だよ?』

 

 

テュフォン『ッ……舐めるなよ……!ヒュドラ達は不滅だ!この程度、すぐに再生して―……ビキッ、ビキッビキィッ……!―……っ?!』

 

 

幾ら倒されようとも、不滅の再生能力を持つヒュドラ達の前では無駄でしかない。そう言い切ろうとしヒュドラ達を再生させようとしたテュフォンだが、何故かヒュドラ達は一向に再生する気配を見せず、それどころか切断痕から徐々に灰色へと変色して力無くしなだれつつあった。

 

 

テュフォン『な、何だっ……?ヒュドラ達が再生しないっ?!な、何故──?!』

 

 

ジャッジ『うん?何だ、君は調べてこなかったのかい?この剣の事を』

 

 

テュフォン『!な、何っ?』

 

 

何かを知ってるような口振りのジャッジの言葉に反応してテュフォンが戸惑いを露わに振り向きながらそう聞き返すと、ジャッジは徐にテフィラーの切っ先をテュフォンに突き付け、ヒュドラ達が再生されない原因を飄々とした口調で語り出した。

 

 

ジャッジ『この剣は、其処にいる桜ノ神と零君が嘗て戦ったフォーティンブラスが手にしていた魔剣ディスクゥエルの原典(オリジナル)でね。ディスクゥエルには様々な能力があり、その中には魔剣で付けられた傷を治療しようとすれば逆に悪化し、その者を苦しめる呪いの力があるのさ。これは零君もフォーティンブラスに敗北した際に付与された呪いだ』

 

 

テュフォン『魔剣……呪い……オリジナル?……ッ!ま、まさかっ……!』

 

 

ジャッジ『察しが早いねぇ。そう、ディスクゥエルにそんな力があるのなら、その原典(オリジナル)であるこのテフィラーにもその力は備わっているのさ。……ディスクゥエルよりも強力な呪いが、ね』

 

 

テュフォン『なぁっ……』

 

 

つまり、あのテフィラーに付けられた傷によりヒュドラ達の再生能力が働かず、寧ろ逆に悪化してテュフォン自身を追い詰める事にしかならないということ。

 

 

以前に零を苦しめたのと同じ呪いを付与されたのだと聞かされ動揺を隠せないテュフォンの反応を他所に、ジャッジはテフィラーを仕舞うように消しながら懐から新たなエンブレムを取り出した。

 

 

ジャッジ『まぁともかく、これで厄介な蛇達は片付ける事が出来た……次は君が彼から奪ったモノを取り返すとしよう』

 

 

そう言いながらエンブレムを起動した瞬間、エンブレムから5の数字が出現して八咫烏を模したエンブレムに変化し、ジャッジはバックルのエンブレムを入れ替えて装填し再びレバーを引いて押し込んだ。

 

 

―ガチャアンッ!―

 

 

『Baton Touch!SOUL'd THIEF!』

 

『TADAIMA KENZAN!YORUNIMO MAGIRENU DATESGATA!』

 

 

ジャッジドライバーから再度電子音声が鳴り響くと共に、八咫烏の巨大なエンブレムがバックルから出現してジャッジを包み込み、黒い光が全身を覆った直後に弾けるように消え、新たなジャッジの姿を露わにする。

 

 

黒をメインカラーとし、鴉をモチーフにした頭の上にアイマスクをしたようなバイザーで赤い嘆願を隠す口無しの仮面。

 

 

肩当てが八咫烏の頭になっており、ボロボロのマントを背中から靡かせる姿……泥棒の力を宿した仮面ライダージャッジ・ソウルドシーフに変化し、マントを翻して両手を広げながら高らかに叫ぶ。

 

 

ジャッジST『ズバッと参上!すし喰いねぇ!……んー、何か違うなぁ。やっぱりテレビや漫画で見たヤツをそのまま引っ張ってくるのは芸があるとは言えないかなぁ?』

 

 

テュフォン『ふ、ふざけるなァッ!余裕かましやがってっ……!ヒュドラを封じたぐらいで俺をやれると思うなぁッ!』

 

 

―バシュッバシュッバシュッバシュウゥッ!!―

 

 

敵を前にして呑気に決め台詞が思いの外しっくり来ない事に腕を組んで悩むジャッジに腕を荒々しく振るって怒り、テュフォンは黒い弓を素早く引いてジャッジにエネルギー矢を放つ。

 

 

それを見たジャッジは徐に腕を解くと、何処からか三種の赤、黄、青が柄に煌めく信号機モチーフの武器……専用武装であるジャッジセイバーを取り出し、柄の部分の黄色信号に光を灯して刃を短剣形態に伸縮させた。

 

 

『SHORT!SRASHER!』

 

 

―ズバババババババババババババババババァアッ!!―

 

 

ジャッジST『──そちらこそ、こんなもので私をやれると思わない事だ』

 

 

テュフォン『ギッ……貴ッ様ァッ!!』

 

 

『HYDRA ENERGY STRIKE!』

 

 

短剣形態のジャッジセイバーを手首のスナップを利かせて振り回しただけで矢を全て捌き、悠然とした余裕を一切崩さないジャッジ。

 

 

そんな達人めいた動きをケロリと熟してみせるジャッジに一瞬威圧されながらも、それを振り払うようにテュフォンはバックルのハンドルを押し込んで黒い弓にエネルギーを流し込みながらジャッジに目掛け正面から突っ込み、対するジャッジもジャッジセイバーを逆手に構えてそれを迎え撃つように飛び出し、そのまま双方得物を振りかざしてぶつかり合う寸前、

 

 

 

 

 

 

ジャッジの全身が突如影の様に黒く染まり、テュフォンが振り下ろした弓の斬撃をすり抜け、そのまま霞のように消え去ったのである。

 

 

テュフォン『ッ?!き、消えた──?!』

 

 

『──汚くて悪いネ。けど、問答無用で頂くよ?』

 

 

―ブザァアアアアッ!!―

 

 

テュフォン『なッ?!』

 

 

影のように消えたジャッジにテュフォンが気を取られる中、テュフォンの死角から黒い手が伸び左目に触れるように撫でたのだ。

 

 

その黒い手を見てテュフォンも慌てて振り向くと、其処にはボロボロのマントを翻して天神と聖桜の下へと着地し、その身に纏う影を晴らして姿を現すジャッジの姿があり、ジャッジは何かを握り締めた右手をヒラヒラと振りながら得意げに笑ってみせる。

 

 

ジャッジST『騙し討ちのようで悪いが、まぁ悪く思わないでくれよ。どうせ君が"コレ"を持ってた所で、宝の持ち腐れだろうしさ』

 

 

テュフォン『な、にっ?……ッ!め、目が?俺の目がッ?!』

 

 

ジャッジST『君のではないよ。彼のだ。……水ノ神、これを』

 

 

聖桜『え?……ッ?!』

 

 

突然自分の左目を抑え激しく狼狽し出したテュフォンを他所に、ジャッジは徐に聖桜の手に右手に握った"ソレ"を手渡すと、受け取った"ソレ"を目にした聖桜はギョッとしてしまう。

 

 

何故ならジャッジの手から手渡されたソレは、テュフォンに奪われた筈の破壊の因子を宿す零の真赤い瞳の左眼球であり、横から覗き込んで零の左眼球を見た天神も思わず目を見開いてジャッジの顔を見上げた。

 

 

天神『お、お前……これ、どうやって──?!』

 

 

ジャッジST『なに、別段そう難しい事でもない。これもこのライダーの力の一つさ』

 

 

愕然となる天神と聖桜にそう言いながらヒラヒラと片手を振ると、ジャッジはピシッと自分の足下……地下を指差す。

 

 

ジャッジ『君達は先にそれを持って、彼の下へ向かってくれるか?契約を交わしてるのなら彼の気配を追って辿り着けるだろうし、治癒が使えるならソレを彼に移植するのも難しくはないだろう。此処は私が引き受ける』

 

 

聖桜『……リア……』

 

 

天神『…………』

 

 

自分がテュフォンを抑えてる間に、取り戻した左目を零の下へ届けて治療して欲しいと頼むジャッジ。そんな彼女の言葉に聖桜も掌の上の眼球を傷付けないように握り締めて一瞬逡巡し、天神の方に目を向けると、天神も俯かせてた顔を上げて聖桜の目を見つめ無言のまま力強く頷き、それで何かを悟った聖桜も天神に頷き返しながら右手の指輪を取り替えてバックルに翳していく。

 

 

聖桜『……分かりました。この場はお任せします』

 

 

『teleport now!』

 

 

短くそう伝え、聖桜は電子音と共に足下から出現した魔法陣に包まれて零の下へ向かうべく転移した。そしてその様子を横目で見届けたジャッジはジャッジセイバーを構え直して目の前に視線を戻そうとするが、そんな彼女の隣に肩を並べるように天神が立ち、桜雪を構えていく。

 

 

ジャッジST『?君は行かないのか?』

 

 

天神『治療役なら魚見一人で十分だ。奴に関しては私もやられっぱなしでは癪だし、何より、お前一人にいい所を持ってかれるのはもっと癪だっ』

 

 

ジャッジST『……はは、君も存外負けず嫌いだなぁ。なら、私も好きにやらせてもらうとしよう!』

 

 

テュフォン『グッ!テメェ等ァァあああああああっっ……何処まで俺を馬鹿にするつもりだァァああああっっ!!!』

 

 

天神『私達や彼の事を下に見る発言をしておいて、今更どの口で言っているんだ?人を散々コケにしてくれたツケは──』

 

 

テュフォンST『あぁ、君自身に払ってもらうッ!』

 

 

―ダァアンッ!―

 

 

目を失って荒れるテュフォンに力強くそう言い切り、天神とジャッジはほぼ同時に地を蹴り上げ両脇からテュフォンへと挑み掛かる。

 

 

迫り来る二人を前に左目を失ったテュフォンは一瞬どちらを対処するか迷うも、死角となっている左から桜雪を振りかざして斬り掛かってきた天神の刃を黒い弓で受け止めるが、其処へジャッジが横から割って入り、すかさず天神が右腰に収めた無双セイバーを抜いて怯むテュフォンに銃撃を浴びせていく中、ジャッジが短剣による素早い斬撃を連続で叩き込みながら鋭い後ろ回し蹴りを打ち込み、吹っ飛ばしていく。

 

 

―ドゴォオオオオッ!!―

 

 

テュフォン『ぐぅううううっ!!んの、野郎がァァああああああっっ……何時までも頭に乗るなァァああああああッ!!!!』

 

 

『Rock On……!』

 

『HYDRA ENERGY!』

 

 

ジャッジST『!』

 

 

天神『させるかっ!』

 

 

―ドッガアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァアンッ!!!―

 

 

激昴の雄叫びと共にバックルのヒュドラエナジーキーを弓に装填し、テュフォンが放つ強力なエネルギー矢が二人に襲い掛かる。

 

 

それを見て咄嗟に防御体勢を取ろうとしたジャッジだが、天神が咄嗟に右手を突き出し自分達の前に花弁の盾を形成してエネルギー矢を防御し、爆発が巻き起こって周囲の視界を遮るように黒煙が辺りを覆い尽くしていく。その時……

 

 

『Baton Touch!SOUL'd LAWYERl!』

 

『IGARI!KURAI YAGARE!DOKANTO!』

 

 

『はァァああああッッ!!!』

 

 

テュフォン『……?!―ドゴォオオオオンッ!!―グッ、ァアアアアアアアッ?!』

 

 

突然何処からか電子音が鳴り響き、直後に煙の向こうから勢いよく飛び出してきた影が振るった巨大な鈍器のようなモノにテュフォンが殴り飛ばされた。

 

 

いきなりの不意打ちに脳がぐらつく程の衝撃を受けてふらつきながらも何とか態勢を立て直し、テュフォンが仮面を拭って目の前に視線を戻すと、徐々に薄れていく煙の向こうから一人のライダーが姿を露わにしていく。

 

 

白をメインカラーとし、マスクは黒いままのバイザー型の単眼を際たたせるようにハンマーが逆さになったような形で、頭部には一本角。

 

 

肩当てがハンマーの形になっており、胸当ては弁護士のバッジのようなエンブレムになっている姿のライダー……裁判官、弁護士の能力を持つ形態となった仮面ライダージャッジ・ソウルドロイヤーは、ハンマーのような形態となったジャッジセイバーを振り下ろした姿勢から得物を構え直していき、ジャッジセイバーを再び振り抜いてテュフォンへと殴り掛かっていく。

 

 

―ガギィイイイイッ!!ガギィイイイイッ!!ドゴォオオオオオオンッ!!―

 

 

テュフォン『がふっ、ごァァあああッ?!ちっ、くしょうがァァああっ!!こんなもんでェェえええええっ!!』

 

 

ジャッジSL『桜ノ神!』

 

 

『Rock On!』

 

 

―ダァアンッ!―

 

 

テュフォン『?!』

 

 

凄まじい馬鹿力で振るわれるハンマーの打撃に圧倒されて反撃もままならず、煮え滾る怒りのままに雄叫びを上げるテュフォンが動きを止めた隙を逃さず、ジャッジが大声で呼び掛けたと共に桃と銀色の影が素早く彼女の肩を踏み台に上空へと跳び上がった。

 

 

その影を目で追ってテュフォンが思わず空を見上げると、其処には桜雪とジョイントさせた無双セイバーにピーチロックシードを装填し、刀身に膨大なエネルギーが収束される薙刀を振りかざす天神の姿があり、テュフォンは慌てて黒い弓を構え天神を撃ち落とそうとするも、それを阻止するようにジャッジが下から振り上げたハンマーでテュフォンの手から弓を弾き飛ばし、

 

 

『PEACH CHARGE!』

 

 

天神『ハアァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーアアアァァッッ!!!!』

 

 

―ズバァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ!!!!―

 

 

テュフォン『ガッ?!ぅぐぁああああああああああああああああああッ!!?』

 

 

会心の一撃。紫電を撒き散らして叩き込まれた必殺の斬撃がテュフォンの身体を見事に斬り裂き、テュフォンはそのまま堪らず全身から無数の火花を散らしながらゴロゴロと地面を勢いよく転がって倒れ込んでいった。

 

 

そしてジャッジも倒れるテュフォンを見て素早く通常形態のソウルドジャスティスへと戻り、手首を軽く回しながら天神の隣に立ち並んでいく。

 

 

ジャッジ『そろそろ頃合いか……此処までのお膳立て、ご苦労だったね。後は私の方でケリを付けよう』

 

 

天神『ふざけろ……!お前に美味しい所は渡さないと言っただろ!』

 

 

互いにそんな軽口を叩き合いつつ、ジャッジはジャッジドライバーのレバーを素早く二回押し込み、天神は戦極ドライバーのカッティングブレードを一回スライスさせていく。

 

 

―ガチャンッガチャアンッ!―

 

 

『BREAKING!SOUL!JUSTICE!Burnin' Up!』

 

『Soiya!』

 

『PEACH SQUASH!』

 

 

ジャッジ『ハッ!』

 

 

天神『ハアッ!』

 

 

―ダンッ!―

 

 

テュフォン『ぐっ、ぅ……ッ?!』

 

 

重なって響き合う電子音声と共にジャッジと天神が空高く跳び上がる。徐に身を起こそうとしたテュフォンもそれを見て空を見上げれば、二人はそれぞれの右足にエネルギーをチャージしながら既に上空で態勢を変えて徐々にキック態勢へと入っていき、二人の技を迎え撃とうとテュフォンもバックルのハンドルを押し込んで必殺技を発動させようとするが……

 

 

―……バチッ……バチッバチッバチッバチィッ!―

 

 

テュフォン『?!なっ……べ、ベルトが……?!』

 

 

バックルを操作しようとしたブラッドドライバーから不意に火花が散った。それに驚き思わず手を引いて慌ててドライバーを見下ろすと、腰に巻かれたブラッドドライバーのバックルがエナジーキーごと縦一文字に斬り裂かれ、傷跡から徐々に亀裂が広がり機能不全を起こし始めていたのだ。

 

 

テュフォン『(こ、これは……まさかっ、さっきのっ──?!)』

 

 

動揺するテュフォンの脳裏に過ぎるのは、天神の一撃を喰らった時の記憶。恐らくあの時にドライバーとエナジーキーをやられたのだと気付いてテュフォンが焦りを浮かべているのを他所に、ジャッジと天神はテュフォンに目掛けて右足を突き出しながら猛スピードで急降下していき、そして……

 

 

 

 

ジャッジ『ハァアアアアアッ……ゼェエエエエエアアアアッッッッ!!!!!』

 

 

天神『ダァアアアアアアアアッッッッ!!!!!』

 

 

テュフォン『く、そっ……くそぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッッッ!!!!!て、テメェらにっ……テメェら如きにこの俺がァァああああああああああああああああああッッッッ!!!!!』

 

 

―ドゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーオオオオォンッッッ!!!!!!―

 

 

テュフォン『ウ、ァ……ウワァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーアアアアァァァッッッッ!!!!!?』

 

 

 

 

ジャッジの必殺技、ブレイキングバーニンと天神の必殺技、桜華脚が炸裂しテュフォンは断末魔を上げて何度も回転しながら派手に吹っ飛ばされ、地面に叩き付けられた瞬間、巨大な爆発を起こし炎の中に呑み込まれたのであった。

 

 

天神『っ……終わった、か……?』

 

 

ジャッジ『恐らくね。自身にも改造を施しているからまだ生きてはいるだろうが、これ以上戦い続けるのは無理だろうさ』

 

 

地上に着地し、テュフォンを仕留められたかどうか未だに警戒を強める天神に軽い口調でジャッジがそう告げると、爆発が止んだ煙の向こうに変身が解除されて力無く地面に倒れ気絶するリーガンの姿があり、それを見た天神とジャッジも肩に張った力を抜いて安堵の溜め息を漏らしながら変身を解除した。その時……

 

 

「──どうやら、こちらも無事に終わったみたいですね」

 

 

リア&姫「「……!」」

 

 

そんな二人の背後から不意に声が響き、それを聞いて二人が振り返ると、其処には変身を解除して歩いて来る魚見と、頭から左目に掛けて包帯を巻き、彼女に支えられながら覚束無い足取りで歩く零の姿があった。

 

 

姫「零っ……!魚見!」

 

 

零「ッ……よぉ、悪かったな……結局面倒事をお前達に押し付ける事になって……」

 

 

リア「人の事を気にするより、先ず自分の身を心配しないか……。それで、治療の方はどうなったんだい?目の調子は?」

 

 

魚見「一先ず、目の移植の方は無事に終わらせる事は出来ました。文臣さんにも治療を手伝って頂いたので、後遺症の心配はないと仰っていましたが……」

 

 

零「その後ふらっと何も言わずにいなくなっちまったがな……あの野郎、散々人を振り回すだけ振り回しておいてっ……」

 

 

包帯を巻いた左目に触れ、文臣の顔を脳裏に思い浮かべてそんな愚痴をこぼす零だが、左目を治してくれた事やリアの説得に協力してくれた事もあるからか、その口調に怒りの色があるようにはあまり聞こえない。

 

 

リアもそれを悟ったのか、零の言葉を聞いて含み笑いを浮かべながら腰に巻いたジャッジドライバーをそっと撫でていくと、零はそんなリアの姿を見つめて徐に口を開く。

 

 

零「お前、これからどうする気なんだ?」

 

 

リア「んー?何だい急に?別に何も、また絢香達の神社に戻って彼女達の世話になるだけだよ。君達と一緒に選んで買ったお土産も届けなければならないしねぇ」

 

 

零「…………」

 

 

いつも通りの口調でそう言いながら明るく笑うリアだが、零は真顔のまま何かを訴え掛けるかのようにジッと無言でリアを見据えている。そんな零の視線に気付いたリアはその顔から笑みを消し、瞳を伏せて小さく微笑んだ。

 

 

リア「其処まで気にしなくても、もう君が心配するような事は考えていないよ。でないと、君にまた余計な負担を掛けて早死させ兼ねないからね」

 

 

零「……そうかよ。だったらいい」

 

 

姫&魚見「「……?」」

 

 

リアのその返答を聞き、何処か安心したような声音で瞼を伏せる零。一方で二人の話が見えない姫と魚見はお互いに顔を見合わせて小首を傾げてしまう中、そんな二人の反応を見たリアは何か思い付いたように顔を上げると、悪戯っ子のように口元に笑みを浮かべ……

 

 

リア「別に君達が気にする程の大した事でもないさ。ただまぁ、私としてはすこーしばかり特別な体験だったと言うかなぁー……多分君達でさえ経験のない事だと思うよ、彼との、ア・レ・は」

 

 

姫&魚見「「……は?」」

 

 

零「っ?アレ……って、一体何の話だ……?」

 

 

リア「アレと言ったらアレだよ。ほら、地下室で私が君にした」

 

 

零「?……あ……」

 

 

怪訝な顔を浮かべる姫と魚見の反応を他所に、アレとやらがピンッと来ない零にリアが自分の唇を艶やかに撫でると、その仕草で彼女が言ってるのが地下室でのアレ……神権の力を行使する為に無理矢理リアにされた吸血行為を思い出した。

 

 

零「そうだっ……そう言えばお前っ、あの時はよくもっ……!」

 

 

リア「オイオイ、そんな目で睨まないでくれよ。あの時はあれしか君を助ける方法はなかった訳なんだしさ、非常時だったんだから仕方がないだろー?」

 

 

零「限度ってモンがあるだろっ!人の気も知らず無遠慮にチューチューチュー(血を)吸いやがってっ!」

 

 

姫(吸う?!)

 

 

リア「酷いなぁ、人を色情魔みたいに。でも確かに、途中から我を忘れてしまったのは謝るよ。ほら、君の首にも痕を残してしまったし(二つ折りのコンパクトミラーを見せつつ」

 

 

魚見(……?!地下では暗くて分からなかったけど、これは……キスマーク?!)

 

 

零「おまっ、人の首に勝手になに付けてくれてんだっ?!しかもこんなに沢山……!」

 

 

リア「いやー、私も堪らず「行為」に興が乗ってしまったみたいだねぇ。我ながら恥ずかしい限りだよー。……そういえば、キスマークって女性から男性に付ける場合、意味合いが変わってくるって前にネットか何かで見たような気がするなぁ。確か……自分のモノというマーキングとか、自分を思い出して欲しいからとか……自分しか知らない相手との秘密の証だったり、とか?」

 

 

零「此処まで派手に付けておいて何処が秘密だっ……!そもそもお前の物になった覚えなんてな……ん?木ノ花?何だ急にガクガク震えて、寒いのか?」

 

 

赤い痕が幾つも残っている首筋を抑えてリアに反論しようとした零だったが、何故か顔を俯かせて身体を震わせる姫の様子を見て何事かと思い訝しげに問い掛けると、そんな彼の気の抜けた間抜けな声に姫もキッと顔を上げ、

 

 

姫「き、君というヤツはァっ……何処まで見境がないと言うんだァァああああっっ!!!!私や魚見だけでなくっ、幻魔神までとか節操がないにも程があるぅっっ!!!!」

 

 

零「は、はあっ?なんだいきなりっ?一体何の話……アレ?え、何か急に腕が滅茶苦茶痛くなってきたんだが、なにコレ?」

 

 

うわあああああんっ!と今にも泣き出しそうな形相で腕をブンブンしながら猛抗議して来る姫に更に困惑を浮かべてしまう零だが、何やら魚見の肩に回した右腕に痛みが走り、恐る恐る振り返れば、其処には零の右腕を掴む手に力を込めながら絶対零度の眼差しを向ける魚見の姿があった。

 

 

零「い、市杵宍……サンっ?」

 

 

魚見「貴方という人は本当に……私達が必死に戦ってるのを他所に懲りもせずに、またですか……」

 

 

零「またって何だまたってッ?!そもそもお前ら揃って一体……待て、待って、待って下さい無言のまま力を込めるなァァああッ!!!ちょっ、メキメキ言ってるッ!!!目の傷より痛いッ!!!木ノ花止めろォォおおおおッ!!!目がマジだコイツゥゥうううううッッ!!!」

 

 

姫「えっぐっ、うぇええええええええっ……NTRたぁっ……よりにもよって幻魔にNTRてしまっだぁあ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”っ……!!」

 

 

零「お前も泣きながらなにトチ狂ったこと言ってんだァァああああああああああああああああッッッッ!!!!!」

 

 

まるで夫に浮気された奥さんのように泣きじゃくる姫と、無言のまま零の右腕を万力の如く怪力で握り締める魚見に挟まれ悲鳴を上げる零。

 

 

リアもそんな三人の修羅場を横目に何処か上機嫌に鼻歌を歌って素知らぬ振りをしていたが、そんな彼女も零達の会話を面白がっていたが為に気付く事が出来なかった。

 

 

 

 

 

彼女達に倒され、気を失って倒れていた筈のリーガンがいつの間にか姿を消してしまっている事に……。

 

 

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

 

 

―ガシャアアンッ!!―

 

 

リーガン「グゥウッ!ク、ソッ……何故だっ、途中まで上手くいっていた筈なのにっ……!」

 

 

人気のない裏路地。黒煙が立ち上る街の方からサイレンの音が響く中、命からがらあの場から逃げ出したリーガンはゴミ箱を倒しながら薄汚れた裏路地をふらついた足取りで歩き、壁にもたれ掛かって荒い呼吸を整えながら空を忌々しげに見上げていく。

 

 

リーガン「これも全部、何もかもあの元幻魔神の女のせいだっ……!奴さえいなければ、今頃因子もこの手の中だったものをっ……!」

 

 

絶対に許さない。次に会った時は必ずあの女の四肢をズタズタに引き裂いて殺してやると、リアへの復讐を胸に誓い、その憎しみを糧に上手く力が入らない身体に鞭を打って自分の研究所に戻ろうと足を進めていくリーガンだが、その時……

 

 

 

 

「──残念だけど、君にそんな機会は二度と巡っては来ないよ」

 

 

リーガン「?!」

 

 

 

 

壁を伝って進むリーガンの目の前から、淡々とした声が不意に響き渡る。その声を聞きリーガンが目を剥いて顔を上げると、其処には路地裏の奥の闇から靴音を鳴らして一人の人物……カンパネルラが姿を現した。

 

 

リーガン「ッ?!カ、カンパネルラ……様……?!」

 

 

カンパネルラ「やあ。また随分と派手に暴れ回ったそうじゃないか、博士?まさか処分を伝える此処まで盛大な命令違反をしてくれるなんて……最早呆れを通り越して尊敬の念を覚えるよ、君にはさぁ」

 

 

リーガン「ひっ……ち、ちがっ……これは、俺はただっ、前の失敗を取り返そうとしただけでっ……!」

 

 

カンパネルラ「でも結局また失敗した。しかも黒月零に僕達との繋がりをベラベラ喋って、余計な情報漏らしてくれちゃってさ……」

 

 

リーガン「あ……ぁ、あっ……」

 

 

溜め息混じりの声音から既に分かる。カンパネルラが自分を処するつもりのだと悟り、リーガンがガチガチと恐怖で歯を震わせながら後退りしていく中、その距離を埋めるように足を進めてカンパネルラは親指と中指を擦り合わせ、

 

 

カンパネルラ「まあでも、収穫が一切なかったって訳じゃないのはある意味救いかな?元幻魔神の力や新たなライダーの能力も観測出来た訳だし、その点で言えば君は良く働いてくれたよ……だからせめてものの報酬に、僕自らの手で処罰を下してあげよう」

 

 

―パキィッ!ズドォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!!!―

 

 

親指と中指を弾いて軽快な音を鳴らした瞬間、それと同時に上空から巨大な影が落下しカンパネルラの背後に轟音を上げて着地した。

 

 

巻き上がる砂埃の向こうで、『グルルルルルッ……』と獣の唸り声を上げる巨大な影。

 

 

それを目にしたリーガンも思わず「ヒッ……!」と悲鳴を上げながら恐怖のあまり腰が抜けて尻餅を付く中、カンパネルラは冷淡な眼差しをリーガンに向けたまま背後に立つ獣を顎で指す。

 

 

カンパネルラ「コイツは最近新たに作った魔獣でね。稼働実験も兼ねて連れ回してたんだけど、どうやら腹を空かせてしまったらしいからそろそろ餌を与えなきゃと思ってた所なんだよ」

 

 

リーガン「え……さ……?ま、まさかっ──!」

 

 

カンパネルラ「君、確か自分の身体を改造して高次元……なんだっけ?とかになったんだろ?随分腹持ちが良さそうだと思ってね。折角だから君の研究成果を有効活用してあげようと思ったのさ……君自身で、さ?」

 

 

『グルルルァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーアアアアァァァッッッッ!!!!!』

 

 

リーガン「イ、イヤだっ……!!あああああイヤだァァあああああああああああああああああああああああッッッッ!!!!?誰、か、ギッ、ゲッ……ぅごぇえァァあああああああああああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーああああぁぁぁぁッッッッ!!!!!?」

 

 

僅かに口元を歪めて嗤うカンパネルラのその言葉を合図にするかのように、獣の雄叫びを上げて魔獣が勢いよくリーガンへと飛び掛かった瞬間、リーガンの悲痛な悲鳴と共に何かを噛み砕く生々しい音が路地裏に響き渡った。

 

 

そしてカンパネルラも自分の足元にまで飛び散る赤い飛沫を冷たい眼で見下ろすと、徐に顔を上げて背後に目をやり、

 

 

カンパネルラ「そういう訳だから、残念だけど彼は僕が先に頂くよ。元々僕の担当だった訳だし、恨み言はないだろ?」

 

 

―……ザッ―

 

 

文臣「………………」

 

 

少年の見た目通り、悪戯っ子のような含み笑いを込めた声でカンパネルラがそう呟くと、路地の奥の闇からまた一人新たな人物……零達と別れた文臣がゆっくりと姿を現し、感情を一切写さない無表情のままカンパネルラと対峙していったのであった。

 

 

 

 

 

◆◆◇

 

 

 

 

 

──その後、リーガンの逃亡に気付いた零達はこの騒動の元凶となった彼を探し出そうとしたが、零のビートルフォンに送られてきた『奴の事は俺に任せろ』と言う文臣からのメールが届いた事から零の治療や次の世界にも向かわねばならない事もあり、一先ず奴の事は文臣に任せようという方針になった。

 

 

因みに今回の発端ともなったリアはなのは達と共に選んだ絢香達へのお土産とジャッジドライバー一式を手に、

 

 

リア「何だか大変な事になってしまったけど、取り敢えず君達も暫くは休みたまえ。私も今日は久々に激しい運動をして疲れたし、ゆったり身体を休めるとするよ。チャオー!」

 

 

と相変わらずな調子で明るく笑いながら手を振り桜ノ神の世界に帰っていったが、そんな彼女の去り際を何故か首元に白い包帯を巻いた零と姫が「二度と来るなぁっ!!」と恨めしげに見送っていた事になのは達は揃って頭上に疑問符を浮かべていた。

 

 

そうして、事件当日から数日後……。

 

 

 

 

 

◇◇◆

 

 

 

 

 

―光写真館・零の自室―

 

 

零「……Zzz……Zzz……」

 

 

事件解決後に新たなライダーの世界へと訪れた一行は、前の世界での戦いの疲労を最後に癒す為、探索は次の日に行おうとそれぞれ自室で休む事にしていた。

 

 

左目を始め負傷した零もその後のシャマル達からの治療を受けてどうにか全治一歩手前まで回復し、身体の傷の痛みに悩まされる事なく久しぶりに快眠を過ごせていたが……

 

 

―……ギシッ……ギシッ……―

 

 

「──ーい…………ぉー…………ぉーい…………起きろー」

 

 

零「…………ぅ、ん…………ん…………?」

 

 

寝息を立てて眠る零のベッドの軋む音と、深い眠りに浸る零を起こす声が暗がりの部屋に響く。

 

 

その声に零も意識を呼び起こされて重い瞼を徐々に開けていき、寝惚けた意識のまま声が聞こえる方に目を向けると、其処には……

 

 

リア「──お、起きた。やぁ零君、ちょっと前振りー♪」

 

 

……何故か数日前に桜ノ神の世界に帰った筈のリアがベッドに眠る零の上に覆い被さり、ヒラヒラと手を振って笑う姿があった。

 

 

零「んー…………リア…………リ、アか…………ってリアッ?!お前なんで此処にっ―ガバァッ!―ムゥグウウッ?!」

 

 

目覚めたばかりで頭が呆けていたが、目の前で揺れる金色の髪と女性特有の甘い匂いで自分の上に覆い被さってるのがリアだと漸く気付き大声で飛び起きようとした零だが、リアはそんな零の口を素早く手で塞ぎ、自分の口に人差し指を当てていく。

 

 

リア「しー。大声は出さないでくれよ。夜中に近所迷惑だし、今この場面を桜ノ神達に見られるのは私も都合が悪い」

 

 

零「グッ……ム、ァッ……?」

 

 

無理矢理口を塞がされ、ベッドに押し付けられたまま零は険しい顔でリアを睨み付ける。その表情だけで喋れない零が何を言いたいのか感じ取れたのか、リアは自分の口元から離した人差し指をクルクルと回しながら答える。

 

 

リア「何で此処にいる?って顔をしてるね。いや、別に何か大事があって来たってワケじゃないんだ。君達と選んだお土産は絢香達にも大変喜ばれたし、私もあれから神社に戻って彼女達と平穏に過ごしていた──までは良かったんだが……」

 

 

零「……?」

 

 

説明しながらクルクル回していた人差し指をピタリと止め、何故か急に照れくさそうに目を逸らすリア。そんな彼女の反応に零も怪訝な顔で眉を顰める中、リアはそっと自分の唇を人差し指でなぞり、

 

 

リア「ほら、前に君を助ける為に、私は君から血を吸っただろ?あの時に味わった甘美の味が、どーしても……どーーーーしても忘れる事が出来なくってさー……だからァ、」

 

 

チロッと、リアの赤い舌が艶やかに人差し指を舐め取る。

 

 

頬を紅潮させ、何処か淫靡な煌きを魅せる貌で自分の顔を見下ろすリアの様子が一変している事に気付いた零は何故かゾクッ!と嫌な悪寒を感じ、慌てて全身に力を込めリアを強引に押し退け逃走を計ろうとするが、それにいち早く反応したリアにそれ以上の力でベッドに更に押し付けられ、

 

 

リア「すこーーし……ほんのすこぉーーーーしでいいんだぁ。もう一度だけ、あと一回だけ、君の血を味あわせてくれないかなぁー?それぐらいいいだろぉ……?命を助けた借りはそれでチャラにするから……ね……?」

 

 

零「ンンンンンンッ!!!?ンンンンンンンンンンンンンンンンンンンーーーーーーーーーーーーーーーッッッッ!!!!!!」

 

 

息を荒く、甘さの伴った吐息を漏らしながら零の首筋に顔を埋めるリアの舌が零の首をなぞる。

 

 

まるで数日振りに餌を貰えた犬猫のように嬉しそうに舌を蠢かす彼女のその様子から身の危険を感じ、ベッドの上で激しく抵抗しながら助けを求めて全力で大声を上げるも、幻魔の力で口を押さえ付けられてる為に身動きも声を上げる事も叶わず、結局成されるがまま彼女に弄ばれ──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―ダダダダダダダダダダダダダダダダダァ……ガチャンッ!!―

 

 

姫「どうしたんだ零っ?!君の気配が段々弱まってるのを感じたが、なに……が……」

 

 

 

 

 

リア「ちゅーっ……ちゅっ、ちゅ、ちゅっ……あぁ、んっ、全くもうっ、こんなの一回きりなんて無理に決まってるじゃないかぁっ……ちゅ、ぇあっ、ぢゅるるるるぞぞぞっ!」

 

 

零「────(涙を流し顔面蒼白。まるでミイラのように干からびて口から魂が抜け出ようとしている)」

 

 

姫「なんっ……なん、な……なななななな何をやってるんだお前ェェえええええええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーえええぇぇッッッッ!!!!!」

 

 

 

 

 

──まるで恋人のように抱き着いた零の首を舌でなぞり、吸い付いて自分のだと印を付けるかのように赤い痕を幾つも残したりなど夢中で血を吸い続けるリアの淫靡な姿を発見し、怒りや羞恥で顔を真っ赤にした姫の喑噁叱咤の雄叫びが写真館中に響き渡ったのであった……。

 

 

 

 

 

 





リア

性別:女

年齢:???(容姿は十九か二十歳)

容姿:腰まで伸ばした金髪に碧眼の美女。


解説:桜ノ神の世界での怪盗事件の際、幻魔の生き残りであるギルデンスタンの手により盗まれた桜龍玉の力で現世に復活した初代幻魔神である女性。


初代の幻魔神とあってその力も歴代の幻魔神達を凌ぐほど凄まじく、復活した当初も自分を復活させたギルデンスタンを触れただけで殺害し、零、大輝、なごみ、姫、魚見を苦しめた。


零達と戦った当初は一見穏やかに見えて冷徹な性格に思えたが、実は人当たりがよく、周りと共に楽しい事を全力で楽しもうとする明快闊達な面もある。


その性格から物事への順応力も高く、行き場のない自分を拾ってくれた絢香達とすぐに仲良くなったり、彼女達から貰ったスマホをあっという間にマスターしてネットを使いこなしたりなど色んな面でとにかく器用。


また、幻魔神の神権を後述のジャッジドライバーに封印していても元々幻魔である為に戦闘能力が高く、生身で怪人の軍勢を撃退出来る上にその様子を自撮りしたりし余裕を見せるなど凄まじい戦闘力を誇る。


ただ彼女が生きていた当時の幻魔界の影響から弱肉強食の価値観が強く根付いている為、零達に敗れた時点で自分の命にも執着を持たなくなってしまっているが、自分を倒して世界を救った零達を勝者と称して唯一執着を抱いている。


ジャッジに初めて変身した以降は自らを人質にした零と文臣の説得から自分を省みるようにはなったが、代わりに零の命を救おうと幻魔神の神権を起動させる為に彼の血を吸血した際に零の血の味に心底魅了され、事件後も零の血を吸わなければ私生活に支障をきたすレベルで中毒になってしまい、それからは度々写真館に侵入し寝込みを襲っては零の血を出血多量一歩手前まで吸いに来るようになってしまった為、零も普段の生活から鉄分を過剰に摂取するようになったとか……。


桜ノ神社や魚見、なのは達との関係も良好。零とも何だかんで仲自体は良いのだが、姫とは嘗て敵対した幻魔である上に幻魔神のシステムを生み出した張本人であるのに加え、自身が巨乳である事を良い事に魚見と一緒に彼女を弄って面白がる為に犬猿の仲。というか、零と大輝のように先ず性格自体合わない模様。


キャライメージはVOCALOIDのLilyから




仮面ライダージャッジ

変身者:リア


解説:文臣が試作品のベルトを改良した仮面ライダー。


元々試作品のままお蔵入りになる予定の品物だったが、リアが幻魔神の神権を保有してることに着目した文臣が改造を施し、機能の一つとして幻魔神の神権を封印するシステムが組み込まれている。


また、封印した神権の力を限定的にだが一時的に神化する必要なく用いる事が出来るが、長時間開放し続けるとオーバーヒートを起こして破損してしまう為に注意が必要。



ジャッジドライバー


解説:モチーフはガルウイング型のパトカー。サイレンがベルトの上部にあり、フロントガラスにあたる部分が、スタイラーエンブレムをセットできる場所になっている。


変身時はサイレン部を持ち上げ、スタイラーエンブレムをセット。戻したのちに、レバーを押し込み、サイレン発光→エンブレムが現れ、変身!


フィニッシュはレバーを二回引くことで必殺技が発動する。



スタイラーエンブレム

解説:色のみプレート状のアイテム。プレート状態の時に裏についたスイッチを押すことで、ナンバーが出現→ベルトにセットすることで連動し、エンブレムが表れる仕組みになっている。


ベルト起動

『ジャッジ!Ready……』

エンブレムセット!

『ソウルド・○○○!フレイム・アップ!』

変身!

『ソウルド○○○!♪○○○!』

ソウルド《フォーム》チェンジ!

『バトンタッチ!ソウルド○○○!』

必殺技!

『ブレイキング!ソウル!○○○!バーニンアップ!』



各ソウルド紹介


ソウルドジャスティス

解説:仮面ライダージャッジの基本形態。


マスクはアクセルトライアルのような尖ったスマートなマスク。単眼は赤く目と言うよりもバイザーである。メインのカラーは青。


肩当てには炎をデフォルメした刑事のつけるバッジのようなエンブレムが右に、左にサイレン。胸のアーマーはパトカーのフロントをイメージさせる。


戦闘スタイルは磨いた正攻法の格闘スタイル。攻撃を受けながらも、相手を圧倒する真っ直ぐなファイトを得意とする。正義の心をともしたような熱い炎を操る事も可能。


必殺技はエネルギーをチャージし、飛び上がると同時に低い体制からあざやかな反転蹴りを繰り出し、その反動で上空高く舞い上がって火の蹴りをフィニッシュに叩き込む『ブレイキンバーニング』と、ジャッジセイバーに炎をまとわせ、素早く六芒星を描き、切断する『フレイヤードジャッジ』



ソウルドロイヤー

解説:裁判官、弁護士の能力を持つ形態。


メインのカラーは白。マスクは黒いままのバイザー型の単眼を際たたせるようにハンマーが逆さになったような形で、一本角あり。


肩当てがハンマーになっており、胸当ては弁護士のバッジのようなエンブレムになっている。


戦闘スタイルは、パワフルなボクシング+プロレススタイル。鈍足をパワーで補う豪快な戦いに加え、雷を操る。


必殺技は一気に判決を下す木槌のようにジャッジセイバーを降り下ろし、雷撃でスパークさせて擂り潰す『スパークインパクツ』



ソウルドスナイパー

解説:射撃主の能力を持つ形態。メインカラーは緑で、マスクが保安官のような帽子型で単眼が赤く光り、目を隠すようになっている。


肩当ては星形で、肩当てからフリンジが垂れ下がり、コートを着ているような感じで伸びている。胸も星形で、中心に弾丸のエンブレム。


戦闘スタイルは早打ちと様々な変化をする弾丸、そして風を操るテクニシャンタイプ。至近距離はジャッジの専用武器をハンマーのように使いながら、打撃と銃を操る。


必殺技はスナイパーズメガホンを展開し、2丁拳銃に切り替え、四散する風の弾丸と、威力の高い貫通弾を同時に発射する『テンペストリガー』



ソウルドディテクティブ

解説:探偵の能力を持つ形態。メインカラーは白と黄色のチェック柄。


マスクは単眼が赤い複眼に変化し、帽子がホームズの被っているディアストーカーと言うハンチングのような感じのマスクになると同時に、パーカーを羽織っている姿になる。


肩当てはなく、胸のエンブレムはパイプをモチーフにしたものになる。


戦闘スタイルは探偵の頭を巧みに使った情報処理と推理を利用した居合いスタイル。大地の力で様々な土を使った技を使いこなす。


必殺技は地面を隆起させ、自分は敵の頭に乗り、膝から勢いをつけそのまま地面に叩き付ける『ランドブランディング』



ソウルドシーフ

解説:泥棒の能力を持つ形態で、メインカラーは黒。


マスクがアイマスクをしたようなバイザーで赤い嘆願を隠す口無し。角は無しで、頭がカラスをモチーフにした形になっている。


また、肩当てがヤタガラスの頭になっており、ボロボロのマントに身を包んでいる。


戦闘スタイルはスピーディーな足技を中心に、影を移動すると言うまさに怪盗を絵にかいた戦いを繰り広げる。


必殺技は影に身を潜め、ジャッジセイバーによる乱れ斬りを見舞った後、影から飛び出して踵落としでフィニッシュする『フォビドゥンファントム』



専用武器

ジャッジセイバー

解説:基本武器にして、専用武器。モチーフは信号機。三種の赤、黄、青が柄に煌めく。


伸縮可能で状況による使い分けが推奨。


赤:短剣。シーフと相性よし。

切り替え音声

ショート!スラッシャー!


黄色:刃が扱いやすい長さになると同時に、ジャスティス、ディテクティブで最も操りやすくなる。


切り替え音声

スタンダード!スバット!


ハンマード

青:ロングソード状だが、ハンマーのように変形した形態。ロイヤーが最も得意とする。


切り替え音声

ハンマード!インパクツ!



スナイパーズメガホン

解説:メガホンの形状をしたスナイパー専用武器。


エネルギー弾や実弾をボリュームのつまみによって、多彩な変化をつけて発射できる。



変身ソング

ジャスティス(ナンバー1→エンブレム炎)

待たせたぜ!アイアムヒーロー!

ロイヤー(ナンバー2→ハンマーエンブレム)

意義あり!喰らいやがれ、ドカンと!

スナイパー(ナンバー3→弾丸の跡のエンブレム)

ヒュイーゴー!バキュンといくぜ!

ディテクティブ(ナンバー4→パイプのエンブレム)

ショータイム!これが推理ショー!

シーフ(ナンバー5→ヤタガラスエンブレム)

只今、見参!夜にも紛れぬ伊達姿!



コンテンダーさんから頂いた設定のオリジナルライダーです。コンテンダーさん、設定ありがとうございました!




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